【業界研究】総合商社とは?仕事・歴史・年収・動向をわかりやすく解説
50,897 views
最終更新日:
記事公開日:2019年12月3日
高年収やグローバルな働き方から、毎年多くの就活生が憧れを抱く商社(総合商社)業界。しかし、従来のトレーディングから「事業投資」へのシフトやDX推進など、ビジネスモデルが多角化・高度化しているため、単なるイメージだけでは選考を突破できません。
本記事では、商社業界の基本知識から「商取引・事業投資」の仕組み、歴史や年収、そして最新の業界動向までを網羅してわかりやすく解説します。
就職活動に差をつけるなら今。unistyleに無料会員登録すると、「業界研究ガイド」をすぐにダウンロードできます。ダウンロードして商社業界を把握し、自信を持って選考に臨みましょう。
総合商社とは、複数事業を束ねるプロジェクトのまとめ役
総合商社とは複数の商品を扱い、オーガナイザーとしての役割を果たす商社のことです。
オーガナイザー(organizer)とは「組織者・主催者・まとめ役」を意味します。
つまり総合商社とは、プロジェクトのまとめ役と言うことができます。
プロジェクトでは情報収集に始まり、企画立案、パートナーの選定、資金・原料の調達、建設受託、製品販売先の開拓など多くの課題を1つ1つこなしていく必要があります。
そこで、それらの課題を包括的に遂行し、プロジェクトを牽引している存在が総合商社なのです。
商社の事業内容
商社の業務内容には主に商取引業務と事業投資業務の2つに分かれています。
ここからは商社の仕事内容をよりイメージしやすくするため、これから実際に商社で働いている人を例に挙げながら業務内容を紹介します。
商取引
先の例でも挙げたような元来商社が行ってきた業務です。
メーカーや小売店の仲介をし、手数料を得ることで利益を上げています。
事業投資
1990年代にインターネットが普及するとメーカーが独自に販売ルートを構築する「商社外し」という流れが生まれるようになります。
この危機に対して各商社はより時流にマッチした「事業投資」ビジネスを主軸に展開することとなりました。

生産から消費までのバリューチェーンに関わるの企業への経営参画や子会社化を行うことにより、商社のグループ収益最大化に繋げます。
例えば三菱商事はローソンに、三井物産はセブンイレブンに、伊藤忠商事はファミリーマートに出資または子会社化しています。
人材・資金・情報・経営ノウハウ等の経営資源を投入できるというところも商社の強みです。
総合商社の事業内容
総合商社の役割の分類は多岐に渡りますが、日本貿易協会HPの分類では、総合商社の役割として8つの機能を挙げています。
また、現在の潮流としてグローバル化やIT革命といった大きな環境の変化に対応すべく、機能の高度化、複合化、高付加価値化を模索しています。後述する商社の役割の変遷でもわかるように、商社の機能は、時代のニーズに合わせて日々進化しているのです。
具体的にどのような役割を果たしているのか見ていきましょう。
1.商取引機能
受給格差や情報格差を活かした「モノ」や「サービス」の売買、いわゆる商取引を推進する、商社のコア機能です。近年はeマーケットプレイス(電子市場)を設営・運用する事などにより、グローバルな最適調達ならびに販売も模索しています。
2.ロジスティック機能(物流機能)
陸・海・空を問わず最適な物流手段を提供しています。また近年は、ITを活用した効率的な物流情報システムの構築に取り組んでいます。
3.市場開拓機能
グローバルな市場を開拓するためには、需給動向を正確に把握し分析する必要があります。そこで、総合商社の強みであるグローバルに張り巡らされたネットワークを通じて、世界市場の情報収集・分析を行い、需要と供給をマッチングさせることにより、グローバルな市場開拓を進めています。
4.金融機能
商社独自の金融機能を提供し、その深化・拡大を目指しています。例えば、取引先に対する立替与信、債務保証、融資、プロジェクトファイナンス、為替ディーリング、商品ファンド提供、リースサービスなどです。
また、最近は有望ベンチャー企業にリスクマネーを提供し、育成を支援するベンチャーキャピタル機能、あるいはM&Aなど事業買収・合併に関わる諸機能を提供するなど、商社の金融機能は最近の経済環境の変化に合わせ急速に深化・拡大しています。
5.リスクマネジメント機能
総合商社は、ビジネス活動全般において、永年にわたり蓄積したノウハウや、豊富な経営資源を活用し、ビジネス推進上のさまざまなリスクを最小限に留めるための施策を講じています。
特に途上国の大型事業や新規成長分野でのベンチャー事業など、より高度なリスクマネジメントを求められる事業に対しては、情報力と経験にもとづく多様なノウハウを活かして、適切なパートナーの選択やコンソーシアムの組成、責任分担の適正化、担保の確保、為替取引や先物市場(リスクヘッジ)、各種保険制度の活用などを行い、事業推進に伴うリスクを極小化しています。
6.事業開発・経営機能
社会・産業の変化のなかで、新たな商品・サービス開発と事業化を育成します。また、様々な分野の事業経験を生かして、川上から川下までのバリューチェーン再構築、既存バリューチェーンの他分野への適用など、産業の変革を支援しています。
7.情報機能
グローバルなネットワークを通じて、世界各地の政治経済情報、産業・企業情報、先端技術情報、市場・マーケティング情報、地域情報、法律・税務情報など広範多岐にわたる情報を収集・分析し、経営戦略の立案や事業計画の策定、日々のビジネス活動推進などに活用しています。
8.オーガナイズ機能
前述したように、総合商社が総合たる所以の機能です。大型プロジェクトの推進に際して、商社の持つ機能を組み合わせ、情報収集、企画・立案、パートナーの選定、資金調達、原料・資機材の調達、建設受託、製品販売先の開拓などを包括的に遂行し、プロジェクトを牽引しています。
総合商社の仕事内容とは
海外駐在や、高給、激務などのイメージが先行しがちですが、本記事では業務内容、1日のスケジュール、年収比較などを通じて総合商社で働くイメージをよりリアルに感じてもらいたいと思います。
1日のスケジュール(オフィスワーク編)
07:00 起床
08:00 出社(定時は9時-17時30分)
08:15 メールチェック開始
09:00 メールチェックで電話が必要と思った人に対して電話開始
10:00 社内打ち合わせ(営業報告や新規案件について)
12:00 昼食 同じグループや部の先輩/後輩と外で飯
13:00 資料作成開始
16:00 他部署と打ち合わせ
17:30 周りのあまり仕事ない方や一般職の方が帰宅開始
18:00 昼間の資料作成の続き
20:00 退社
1日のスケジュール(海外出張編)
06:00 起床@バンコク市内
07:00 タイ支店の現地タイ人スタッフとホテルロビーで合流、クルマで出発
09:00 顧客A到着、打ち合わせ / 商談開始
10:00 移動開始 / 車内で仕事、電話
11:30 顧客B到着、ランチ+打ち合わせ
13:00 移動開始 / 車内で仕事、電話
14:00 ラムチャバン港到着、在庫棚卸、港湾業者と最近の貨物動向の情報交換
15:00 移動開始 / 車内で仕事、電話
17:00 バンコクにあるタイ支店へ到着、現地日本人駐在員と合流
19:00 日系企業社長+若手と会食
21:00 2軒目
23:00 3軒目(若手のみ)
25:00 ホテルへ帰着
商社マンのスケジュールは、オフィスワークと海外出張でかなり異なります。意外にもオフィスワークでは、資料作成に費やす時間がかなりあるようです。海外出張では、朝早くから現地の顧客と商談を重ね、夜遅くまで飲み会を重ねているようです。
また、スケジュールは個人差があると思いますので、あくまで参考程度にしていだければと思います。
また、商社マンのビジネスをよりリアルに理解できるようにインタビュー記事をまとめておきましたので是非参考にしてみて下さい。
少し過去に書かれた記事となりますが、商社のビジネスをエピソード調で綴られており、業務の具体を想起しやすいものとなっています。海外で働く上で「個人として」大切にしていることが書かれているため、一つの価値観を知るという意味では有益な情報を得られるのではないでしょうか。
伊藤忠商事の「健康経営」について取り上げ、今回は「朝型勤務」導入の背景と制度の概要や効果についてフォーカスしています。就活生の間では総合商社は何かと残業時間の多さについて不安視される業界ですが、この記事を読むことで「働き方改革」への注力度合が理解できると思います。
総合商社の年収って本当に高いの?
三菱商事を筆頭に総合商社の年収は1430万円以上であり、総合商社は高給であると言えます。
これは日本人の平均年収の約3倍であり、総合商社の年収は他の業界に比べて圧倒的に高いと言えるでしょう。以下が主な総合商社の年収や残業時間の一覧です。
| 順位 | 企業名 | 平均年収(万円) | 標準労働時間(日) | 平均残業時間(月) | 時給(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 伊藤忠商事 | 1580 | 7.25 | 42.9 | 7,006円 |
| 2 | 三菱商事 | 1559 | 7.25 | 29.2 | 7,457円 |
| 3 | 住友商事 | 1556 | 7.25 | 10.9 | 8,317円 |
| 4 | 三井物産 | 1549 | 7.25 | 28 | 7,461円 |
| 5 | 丸紅 | 1469 | 7.25 | 17.3 | 7,542円 |
出典:会社四季報 2024年度版
総合商社業界の現状と今後の動向
配属リスクについて
よく総合商社の「非常に幅広い商材を扱っている点」を魅力に感じ志望する就活生が一定いますが、総合商社は多くの場合「背番号制」と呼ばれる最初に配属された部門が自分の背番号となって退職まで働く、という形式をとっており、これがいわゆる「配属リスク」に当たります。
また、総合商社は部門ごとに雰囲気や働き方も異なりいわば中小企業の寄せ集め的な要素もあり、一概に社風なども決めづらく、「社風に魅力を感じている」就活生にも配属リスクがあると考えられます。
→このような総合商社の実態とそれへの反対意見としての「タテヨコ議論」についても述べています。また、このようなリスクに対し内定者はどのような志望動機を述べていたのかの例も掲載していますので同じ悩みを持つ方は参考にしてみて下さい。
資源分野から非資源分野へのシフト
これまで、総合商社の収益の柱はエネルギー・金属などといった資源分野でしたが、資源が計画通りに排出されないケースや、価格の急下落などハイリスクな分野であると考えられます。実際にこれまで多くの総合商社が、この資源分野において巨額の減損を発生させてきています。
→総合商社のこれまでの巨額減損やこれから考えうる減損リスクについてまとめています。
そのため、「優良資産への投資を進めながら入替を続け投融資残高を一定に保ち質を向上させる」など、収益の柱としながら、そのバランスを見直そうとする動きが加速しています。変わって非資源分野、とりわけ食料品分野は世界規模での人口増加を背景に、需要が中長期で伸びると予想されるため、各社が注力している分野です。
一方、現在のエネルギー資源分野においては環境保全の観点が非常に重要視されており、石炭から液化天然ガス(LNG)(米国産シェールガスが有名)へシフトするべく生産能力向上に多くの予算を割いています。
事業構想力とデジタル戦略の強化
三菱商事が以前発表した中期経営戦略2021には「事業構想室・デジタル戦略部を新設し、デジタル人材の育成やTech企業/スタートアップ企業との提携を強化する」と明示しています。
また住友商事の中期経営計画2020では「テクノロジー×イノベーション領域(第4次産業革命領域)に新世代新規ビジネス創出のための成長分野として3年間で3000億円投資」と、いずれの企業もデジタル分野を重要視しながら、新たなビジネスモデル創出のために動き出していることが伺えます。
直近の例だと、三井物産がアメリカのシリコンバレーの投資ファンドに50億を投資するなど、積極的にスタートアップの技術力を取込み、各産業の業務のデジタル化を狙っていることが読み取れるでしょう。
総合商社が冬の時代を事業投資という新たなビジネスモデルで乗り越えたように、第4次産業革命期の現在、新たなビジネスモデルを追求する流れはどの総合商社にも共通の流れと言えそうです。
そもそも総合商社っていつからあるの?

商社の起源
日本の商社の起源は、江戸時代末期、坂本龍馬が勝海舟とともに組織した「亀山社中」という海運会社と言われています。
「亀山社中」は物資の運搬や貿易の仲介を主な仕事としており、倒幕運動に必要な軍備を手に入れたい薩摩藩と長州藩に向けて外国の軍備品を販売していました。
総合商社の起源
戦前から複数分野の商品を取り扱っていたのは三井物産と三菱商事の2社のみで、伊藤忠商事、丸紅、日綿、東綿、日商、岩井、など関西系の各社はいずれも単品を扱う専門商社でした。
例えば伊藤忠商事は繊維のみを扱っていました。戦後すぐに、財閥解体が行われましたが、1954年には三菱商事が、1959年には三井物産が誕生しました。
しかし1960年代後半になると戦後の混乱も収まり、販売や仕入れのルートも安定しました。
その結果、もはや商社を介入しないほうがコスト削減になると言われ、商社の存在価値が問われる時代に突入しました。
専門商社は、取り扱い商品が単品であるため、その商品の需要に大きく業績が左右されてしまうという現状がありました。そこで、取扱商品を複数化して安定化を図り、従来の専門商社ではなく、総合商社だということを社の内外に印象付ける必要があるという経緯から、総合商社が生まれました。
また、拡大途上にあった日本経済における輸出入の急拡大には大規模な組織力と信用力が必要とされました。総合商社はそこに目をつけ、自ら牽引役を務め、海外躍進のオーガナイザー役を買って出たのです。
総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。
実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。
下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。
総合商社の業界研究まとめ

本記事では、「総合商社とは何か?」という問いに対し、仕事・歴史・年収の3つの側面から簡単に説明してきました。
漠然としていた総合商社のイメージが、少しは明確になったでしょうか。
総合商社についてさらに知りたいという方や、選考を受けようと考えている方はより詳しく総合商社について知る必要があるでしょう。
以下に"総合商社志望者向けに厳選したunistyleの記事"を掲載しましたので、こちらも併せてご覧ください。







