理解している?総合商社と専門商社の違い

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最終更新日:2024年07月04日

「商社」と言えば三菱商事や伊藤忠商事を始めとした総合商社を思い浮かべる方が多数なのではないでしょうか。総合商社と言われている以上、幅広い領域で事業をやっていることが想像つくかと思います。

逆に、特定の商材に特化した商社もあり、それを専門商社と呼びます。理解が浅いといった理由で、選考を受けないのはもったいないので、今回は総合商社と専門商社の違いについて解説していきたいと思います。 

「商社」の仕事

トレーディング

「トレーディング」とは、商社が中間業者として顧客企業の製品の輸出入代行や貿易事務を担うことを指します。分かりやすく言うと商社が中間役として、需要と供給をマッチングさせているということになります。

このときに発生する仲介手数料(コミッション)と、利ざや(売値と買値の差)がトレーディングの収益となるわけです。

商社はこの「トレーディング」を主要ビジネスとして誕生しましたが、インターネットの普及や、メーカーの海外進出のような自前の販売網の強化により、仲介役としての商社の必要性が低下しました。これを「商社冬の時代」と呼びます。

このような環境の中で商社が見出した活路が「事業投資」になります。

事業投資

「事業投資」とは、商社の持つヒト・モノ・カネといった経営資源をある企業に投資し、その企業が行う事業を全面的に育てていくことです。

投資先企業が成長し、利益を上げることで投資比率分の利益を獲得する形のビジネスモデルとなっています。より大きな投資対効果を得るために社員を派遣することがあり、これが「出向」と呼ばれます。

「事業投資」という言葉を聞くと、外資系投資銀行を始めとした投資銀行(IBD)が行う企業買収と何が違うの?と思う方もいるかも知れません。

分かりやすく説明すると、投資銀行は事業投資に関する買収先の選定や資金調達の方法などのアドバイスをするのに対し、商社は買収から買収先企業の経営、場合によっては企業の売却や精算などの企業買収に関わる全てのフェーズにプレイヤーとして関わっています。

そのため、ビジネスモデルにも違いが見られ、投資銀行はアドバイスの成功報酬を受け取る形であるのに対し、商社は投資比率に応じた利益となっています。

そのため、商社は自社の経営資源を最大限活用し、買収企業を最大限成長させようとします。

参考:事業投資とは?就活生が意外と知らない事業主体別事業投資の関わり方
事業投資についてはこちらの記事で詳しく解説しています。理解を深めるためにも、参考にしていただきたいです。

総合商社の特徴

ここでは総合商社の特徴をいくつかの要素ごとに解説していきたいと思います。

事業内容・商材

まず、事業内容ですが、総合商社はトレーディングと事業投資の両輪を回すことによって、利益を得ていますが、事業投資の方が獲得利益が大きいことが特徴です。やはり、金額を含めた規模が大きくなる分、収益比率も高くなるのでしょう。

そして事業を行う上で扱う商品・サービスですが、「カップラーメンからミサイルまで」と言われるほど多岐にわたります。

この商品・サービスは資源分野と非資源分野に分けることが出来ます。資源分野には金属やエネルギー関連のものが含まれます。非資源分野は繊維や食料、金融、自動車、化学品など多岐に渡ります。

配属リスク

そして総合商社の一番の特徴でもあり、最も就活生を悩ませるものが「配属リスク」というものになります。総合商社は扱う商品・サービスが多岐にわたることが特徴とは述べましたが、それらをローテーションで関わると言ったシステムではありません。

一般的に「背番号制」と呼ばれ、ある分野に決まったら、そこで社会人生活を送っていくことになります。つまり、自分が興味のない商品・サービスでもやっていかなくては行けないということです。

他部門に移れないというわけではありませんが、その事例はほぼないと言えるレベルでしょう。

就活生はこの点をきちんと鑑みて総合商社にエントリーして頂きたいと思います。

ちなみに伊藤忠商事では「配属先決め採用」という、特定の分野に絞って採用を受けることができます。商社に入りたいかつ絶対に携わりたい事業があるといった方にはおすすめの制度となっています。

参考:総合商社の配属リスクと総合商社におけるタテヨコ議論
こちらの記事では、総合商社についての配属リスクについて解説しています。近年は、様々な分野に携わった方がいいのではないか、といった議論もされています。

以下の記事では総合商社の歴史や事業内容を解説していますので、さらに理解を深めたいという方は参考にしてみてください。

参考:
【業界研究|総合商社編】仕事内容・ビジネスモデル・最新トピックを解説
五大総合商社比較|三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の強みや社風の違いとは
これらの記事では、総合商社の詳しい解説と各企業の違いについて解説しています。総合商社をより深く理解できる内容となっています。

専門商社の特徴

専門商社の特徴としてまず挙げられるものが、特定の分野に特化して事業を行うことが出来ることでしょう。定義としては、売上高の50%以上が特定の商品によって占められている商社のことです。

特定の商品に特化していることから、独自のノウハウやメーカー・顧客との太いパイプを持っていることが強みになっています。

事業内容としてはトレーディングがメインとなっています。また、専門的なノウハウを活用してファイナンスや商品開発を行っている専門商社もあります。

また、専門商社は大きく別けて3つに分けることが出来ます。

1つ目が総合商社系専門商社です。総合商社の子会社として、総合商社では取り扱わないニッチな商材を扱っています。

2つ目はメーカー系専門商社です。特定のメーカーをバックに持ち、その製品を売ることがメインの仕事になります。バックにあるメーカーの商品しか売れないことは、メリットでもあれば、デメリットにもなります。

3つ目は独立系専門商社です。単独で事業を行っているため、独自の歴史やコネクションを持ちます。

参考:【大手鉄鋼専門商社5社比較】伊藤忠丸紅鉄鋼(MISI)・阪和興業・メタルワン・日鉄物産・JFE商事の違いとは-特徴・強み・売上高・年収比較
こちらの記事では、専門商社の中でも人気のある伊藤忠丸紅鉄鋼とメタルワンの違いについて解説しています。同じような商材を扱っているため、比較をすることがとても大切です。
参考:【食品専門商社の仕事内容を解説】総合商社との違いとは?
こちらの記事では、専門商社の中でも、食品を専門に扱っている商社の解説をしています。実際に働いている方の生の声となっていますので、理解を深めやすいかと思います。

それぞれの特徴から分かる違い

事業内容

総合商社はトレーディングと事業投資の両方を行い、バリューチェーンの川上から川下まですべてに関わる。対して専門商社はトレーディングがメイン。ファイナンスや商品開発を行うこともある。

商品・サービス

総合商社は「ラーメンからミサイルまで」と言われるほど幅広い。専門商社は売上高の50%以上を一つの商品で占めているため、特定の領域に特化。

配属リスク

総合商社の典型的な特徴。配属リスクを避けたいなら専門商社を見ても良い。

給与

総合商社も専門商社も日本人の平均年収に比べたら高い。総合商社は平均年収が1,000万を超え、専門商社は総合商社には及ばないが、トップクラスの企業だと800万を超える。

商社の代表的企業

総合商社

総合商社代表的企業

専門商社

・総合商社系

総合商社系専門商社

・メーカー系

メーカー系商社

・独立系

独立系商社

最後に 

いかがでしたでしょうか?

専門商社は総合商社に比べて特定の商材に特化し、独自の歴史やノウハウを持っていることがお分かりになったかと思います。

商社を目指していて、特定の商材のトレーディングに携わりたいという方は、専門商社についてより深く調べてみるといいと思います。

unistyleでは総合商社のみならず、専門商社についても解説している記事や企業研究がありますので、ぜひ参考にして下さい。

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