P&Gの特徴を解説|業績や社風から見る就活対策・企業研究
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最終更新日:2025年12月05日
セグメント別収益と事業内容
先日unistyle業界研究で紹介しましたが、以下の表がP&Gのセグメント別売上高の割合です。家庭・衣料品と乳幼児用品で売上の半分以上を誇っていますが、実際に細かいセグメントと取り扱う商品について見ていきたいと思います。

家庭・衣料品
洗剤系統ではアリエール、ボールド、ダウニーが有名です。企業目的で「世界の消費者の生活を向上させる」と記載している通り、洗剤の分野でも日々進化を遂げています。
2014年に日本市場に導入されたジェルボール(ぷにぷにした袋に入った洗剤)はその最たる一例です。実は、この商品は海外では2001年から導入されていたのですが、日本に導入されるまで13年の年月を要しました。海外と日本で洗濯方式が異なっていたことが、日本での導入を困難にしていたようです。
これを日本に導入させて浸透させたのは、P&Gの社員の努力でした。以下の記事を参考にしてみてください。
彼女達の前に現れたのは“日本の洗濯事情”という大きな壁だった。欧米と日本とでは、洗濯習慣があまりにも違っていたのだ。その大きな違いは2つ、「水温」と「洗濯時間」。そのあまりにも大きな違いを、海外のメンバー達はすぐには理解できなかった。開発が思うように進まない。ジェルボールのコア技術の一つがフィルムだ。低水温短時間で洗濯するのが日本の洗濯環境。しかし従来の欧米型フィルムでは溶け残ってしまう。2010年から試作と評価実験が始まったが、フィルムが溶けないという不具合が続く。一時は日本での製品化は厳しいという諦めムードも漂った。
そこで福島さんのチームは、ある作戦を実行する。海外部門のメンバーとともに日本の消費者モニターのご自宅を訪問したのだ。海外メンバーが日本の洗濯事情を理解し、その実情を定量化することが目的だった。実際に消費者が洗濯する様子を見ながら手順や条件を分析し、洗濯条件の違いを解明した。彼らは日本人の洗濯に対する要求レベルの高さ、洗濯に対するこだわりに驚いた。
衣料品として有名なブランドにはファブリーズがあります。現在でこそ、「洗えないものを洗う」というコンセプトで爆発的な人気を得て、社会に浸透した商品になっていますが、開発当初は苦労も多かったようです。
芳香剤との違いを明らかにするためのブランド戦略、消費者に愛されるためのパッケージデザイン、CMのストーリーなど私達が知らないところの開発秘話が記載されたインタビュー記事を参考にしてみてください。
まず考えたのはコミュニケーション戦略でした。ファブリーズは日本で市場調査を始めた頃、アメリカでは、テスト販売をしている最中でした。現地に視察に行ったところ、アメリカの主婦の方々が、「自宅で、なにか臭うと自ら気がつくのは良いけれど、家に来たお客様やお友達に『なんか臭うわね」』と言われるのはいやだ」ということが分かりました。きっと、この感覚は日本人も似ていると考え、日本のテレビCM作りに活かしました。洗えない布製品が臭っていることに自ら気づき、ファブリーズを使ってみたら臭いが消えました。というストーリーです。
アメリカでテスト販売していた時の商品で、日本の消費者に調査したところ、洗剤の容器が大きく、角張ったデザインだったことから、「大きすぎるし、かわいくないので、人が見るところに置きたくない」と言われたのです。しかしファブリーズは日常的にいろいろなものに使っていただきたいので、目に見えるところに置いてほしい。そのためには小さくしなければならないし、見た目をかわいくしなければならないと気づきました。
ファブリーズには1998年のテスト販売当初から、包括的なエアケア製品としていずれは香りつきなども展開するビジョンがありました。しかし、最初から香りつきのものなどを出していては香りで嫌な臭いをカバーする芳香剤との立ち位置の違いが明確にならず、「洗えないものを洗ってくれる」消臭・除菌のための製品ということが消費者に根付かないだろうと考え、それが浸透するまでは製品ラインナップを拡大しない方針に決めました。「洗えないものを洗う」ファブリーズから「生活空間を包括的にエアケアする」ファブリーズへのブランド拡大は、日本では約5年ほどかけたと思います。
乳幼児用品
P&Gの乳幼児製品というと、パンパースが非常に有名です。今でこそ日本では紙おむつの世の中ですが、この紙おむつを導入したのはP&Gです。現在では、改良に改良を重ねて肌触りが良く、利便性が高いものになっています。
海外で一足先にヒットしていた赤ちゃん用紙おむつ「パンパース」が、日本で発売されたのは1977年。それまでは布おむつが一般的で、紙おむつもありましたが外出時などに使う特別なものでした。さらっとした肌触りのトップシートやおむつカバー不要といった機能性の高さとリーズナブルな価格の「パンパース」の登場で、紙おむつは一挙に普及。毎日のおむつの洗濯からお母さんたちを解放し、育児革命とさえよばれました。15億円規模だった紙おむつ市場は、発売からわずか2年で100億円を超えるまでに成長し、このうち約9割をパンパースが占めました。
美容
パンテーン・H&Sなどのシャンプーがその最たる例です。日本では、パンテーンのCMに有名女優を登用することによってその知名度・人気度を確固たるものにしています。現在では女優の菜々緒さんがCMを担当しているようです。
女性はしばしば美容室などに通って、「トリートメント」をすることによって「美」を保ちますが、これを家の風呂のコンディショナーでできるような製品、これがパンテーンです。
P&Gの製品開発では、「消費者がボス」という考えのもと、市場に一歩先をゆく商品開発を目指しています。シャンプーやトリートメント用製品だけでも、消費者のニーズを満たすようにそれぞれ3つのレパートリーがあります。日本においては、資生堂やKOSEなどもシェアを獲得しているので、売上を伸ばすのはそう簡単ではありません。
化粧品
化粧品分野で日本で有名なものはSK-Ⅱです。日本では、桃井かおりさん・綾瀬はるかさん・有村架純さんなどの有名女優がPRしているので、ご存知の方も多いかと思います。
事業内容から考えるP&Gが求める人材

P&Gといえば、「マーケティング」「リーダーシップ」「成長環境」という言葉が横行しがちですが、あくまで外資系消費財メーカーのうちの一社に過ぎません。つまり、消費者の立場から考えて求められる製品を創り出し、世に送り出すことが会社の基本的なビジネスモデルです。
ここで求められる能力について考えてみましょう。P&Gの社員たるもの、こうあるべきというような社員インタビューを引用してみたので、目を通してみてください。(今回は、代表的な職種であるマーケティングに関して紹介します。)
P&Gではナレッジベースのリーダーシップに価値があるとされています。そういうリーダーを中心に、社内に知識が積み重ねられ共有されるので、同じ失敗が二度と繰り返されません。また、リーダーは大きな組織でどれだけ影響力をもてるのか、その為にどんなインスピレーションを周囲に与えることができるかが重要です。知識の積み重ねが、周囲をインスパイアしてチームを引っ張っていくリーダーシップを生むのです。
マーケティング部門ではデータの分析力、要は物事を論理的に考えられるかどうかが大きなポイントですね。また、コミュニケーションを通じてアイデアを形にしていかなければならない仕事なので、対人関係が苦手な人は難しいかもしれません。あとはやはりリーダーシップです。
P&Gではリーダーシップに加えてオーナーシップも重視しています。他人がやらないなら自分がやるという気持ちですね。誰かから指示が来ないからできないなどという言い訳は通用しません。結果を出すためには自分が手を動かし、率先して実行していきます。何らかの障壁があっても超えていくための解決策を見いだす人が求められます。
上記のインタビュー内容でも述べられている通り、P&Gの社員には周囲を鼓舞し引っ張っていくリーダーシップが重要です。
また、メーカーでは営業(セールス)、マーケティング、サプライチェーンなどの異なる立場の人たちが一体となって商品を世に出していきます。さらに、メーカーで働く社員として消費者の動向とニーズを調査しそれに合致する新しいアイデア・商品を生み出していく力も必要です。
上記の能力を備えた人材としてあてはまる学生を「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」に照らし合わせて考えると、
「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」
「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」
「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」
が必要と言えるのではないでしょうか。
P&Gの社風
外資系企業と聞くと、日系企業と社風が大きく異なるのではないかと感じる学生が多いと思いますが、実際のところどのような雰囲気なのかということを探ってみたいと思います。
P&Gの採用ページでは、Our valueとしてIntegrity(誠意)、Leadership(リーダーシップ)、Ownership(当事者意識)、Passion for winning(熱意)、Trust(信頼)が挙げられています。この内容だけみると、P&Gの社員が共通して目指す社員像は日本企業のものと大きく変わりません。日本企業と異なるのは、「働き方」です。
日本のP&Gでは、22カ国の国籍の社員が働き、総合職の37%を女性が占めています。多様性に富んだ社員の個性を尊重し、能力を100%生かすことが、P&G独自の「ダイバーシティ」への取り組みです。私たちにとってダイバーシティを推進することは具体的にどのような意味があるのでしょうか?
引用:Procter&Gamble About P&G OUR BEST BREAKTHROUGHS COME FROM VALUING DIFFERENT PERSPECTIVES.
22ヵ国の国籍、40%弱の社員が女性(総合職)という環境は現在の日系企業とは大きく異なります。以下はP&G女性社員に対するインタビュー記事ですので、少し長いですがご参照ください。
P&Gでは女性社員が多いのはもちろんのこと、女性を多く役員に登用していることでも有名です。特に今回は女性のキャリアアップと職場復帰にフォーカスしてまとめてみたいと思います。
世界的な消費材ブランドP&G社は、役員の47%が女性だ。男性が多いとされる製造現場でも、国内に3つある工場のうち2つは、女性が工場長を務めているという。多くの女性が、子供を育てながらキャリアアップして、ごく自然に活躍しているP&Gから学べることは何か。グローバルチームのマネージャーとして営業を統括する森藤智子さんに、P&Gでのキャリアと働きかたを聞いた。
得意先の営業を経て、森藤さんは、入社7年目で本社で営業企画として、看板ブランドのセールスプランを担当することになる。
「担当ブランドのセールスプランと売上の責任を全て持つことになりました。私の場合は、台所洗剤の『ジョイ』や布用消臭剤の『ファブリーズ』を担当して、年間のビジネスやセールスプランを企画しました」
「チームリーダーや、大先輩の男性の方から『このプランは、ああだ、こうだ』と、厳しいご指導やご鞭撻があって……。仕事はすごくきつかったですが、そういう経験をしたことで、キャリアに対する希望というか、野心やコミットメントのようなものが、徐々に育まれていきました」
森藤さんは「若くして会社のリーダーたちと一緒に責任ある仕事をさせていただいたことで、キャリアアップに対する意識が芽生えていった」と当時を振り返る。
入社8年目で、森藤さんは同僚と結婚。その3年後、長男の出産を機に、育児休業(育休)を取得した。P&Gでは、職場に復帰することを前提に、育休前に上司と「復帰後、どうするか」を話し合うという。
「上司とは、『帰ってきたときに、どうしたいか』を話し合いました。P&Gでは、産育休を取得する前の実績が、復帰するときの評価になります。ですから、育休によって評価が上がることないですが、下がることはありません。ただ『ストップする』だけなので、休むことに関して、キャリアの不安はなかったですね」
〜中略〜
帰国後、森藤さんは仕事に復帰するが、その後約2年半に渡り、夫の単身赴任を経験する。小さい子供を育てながら、どのように働いていたのか。
「日本に戻って来たときには、子供が3歳半くらいのときで、主に私が子供の面倒を見ていたので、7時か、延長して8時には保育園に迎えに行ってきました。ベビーシッターさんにお願いしたり、近所の仲の良いママ友に、たまに面倒を見てもらったりしたことはありました」
グローバルに事業展開するP&Gらしい時間や場所にしばられない柔軟な勤務制度が、森藤さんの仕事と子育てをサポートした。
フレックス制度を導入しているP&Gでは、勤務時間は、1日単位ではなく、1カ月単位で調整している。長時間働いた日の翌日は、やるべきことを終わっているなら、1〜2時間で帰ったり、アメリカとの深夜会議や前後の予定などに合わせて、自分で勤務時間を決めることができる。家からPCでウェブ会議に参加するケースも多いという。
「営業職は、『直行直帰』型の在宅勤務なので、基本的には家で仕事をしています。先に子供を寝かせてから、夜10時にアメリカとウェブ会議することも結構ありました。働き方と時間は非常に柔軟です。平日も在宅で仕事をするので、役所や銀行に行くのに困ったことはありません」
上記でも述べられているとおり、女性でも若いうちから大きな仕事を任せられることが大きなポイントとして挙げられます。インタビューに答えている女性社員の方は、入社7年目で担当ブランドのセールスプラン・全売上に関して業務を一任されています。
また、職場での産休・結婚相手の海外赴任による休職に関しても、P&Gは柔軟な対応で社員の復職を支援しているようです。
その他、海外支社との積極的な人材交流や、職種別採用によるダイバーシティ拡大などバックグラウンドが全く異なる社員一人ひとりを尊重し、全ての社員が各分野で最大限の力を発揮できる職場づくりを心がけているようです。
P&G書類通過者のES解説

今回は「事業内容から考えるP&Gが求める人材」と同様に、代表的な職種であるマーケティング職に関してのES解説に焦点を絞っていこうと思います。まずは、エントリーシートの質問内容から確認していきたいと思います。
①第一志望職種への志望理由(200字以内)②あなたが、解決したい課題や問題について、重要な関連性のある情報(データや事実など)を見出し、その課題や問題の根源をつきとめ、解決策を提案した結果、望ましい...
場合によっては「成果なんて出したことがない!」と思う人もいるかもしれません。
P&Gの選考について

最後に、P&Gの本選考プロセスに関して言及しようと思います。
◆選考プロセス(総合職)Webテスト
⇨筆記試験
⇨職種別セミナー⇨エントリーシート
⇨一次面接
⇨二次面接
⇨インターンシップ
⇨最終面接
参考:P&G 本選考情報(CBD)
外資...
○実際に学生時代に取り組んできたことや志望動機につながるきっかけとなった出来事
○どんなことをしたいのか、自分が入社することによって会社にとってどんな風に役に立つのか
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。志望動機は、HPに書いてあることや会社説明会で人事が言っていたことをただ言うのでは薄っぺらいですし なぜその業界、その中でもその会社、その職種なのかを答えられるようにしておきましょう。
○○会社訪問などであった印象的な出来事
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。
最後に
今回は外資系消費財メーカーの雄である、P&Gの事業・選考・社風・ES通過者の自己PRと志望動機について解説してきました。
外資系企業といえど、日本支社で働く社員の大半は日本人です。面接やインターンを通じた選考に関しても、日系企業と大きく異なることはないとも言えるので、「色々な業界を知る」という意味でも挑戦してみてはいかがでしょうか。






