外資系製薬・医療機器メーカー大手3社の違いとは【ジョンソン・エンド・ジョンソン 、アストラゼネカ、ファイザーを比較】
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最終更新日:2024年05月17日
就職活動において、周りの就活生と差をつけるためには業界研究や企業研究が不可欠です。業界研究や企業研究をするには情報収集しなくてはなりませんが、外資系企業は日本で上場していておらず、情報収集に苦労している方も多いのではないかと思います。
本記事では、そんな外資系企業の中でも製薬・医療機器業界に焦点を絞って、就活生に人気のある大手企業3社を取り上げ、事業内容、求めている人物像、選考プロセスを比較していきたいと思います。
- 本記事の構成
- 製薬メーカー、医療機器メーカーの違い
- 外資系製薬・医療機器メーカー業界の動向
- 外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の事業内容比較
- 外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の求めている人物像比較
- 外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の選考プロセス比較
- 最後に
- 製薬・医療機器メーカーの情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介
製薬メーカー、医療機器メーカーの違い
まず初めに製薬メーカーと医療機器メーカーの違いについて簡単に説明します。
製薬メーカーとは
製薬メーカーとは、医薬品を開発し、生産・販売していく一連の流れを担っている企業のことです。医薬品は私たちが生きていくうえで必須のものであるので、他の業界に比べて不況にも強いと言われています。
医薬品は、私たちの命に直結するものであるので、製薬業界は多くの法的規制や、倫理性を求められます。
医薬品のうち、医師の処方箋を必要としない一般用医薬品はメーカー自らのマーケティングによって価格を決めることができますが、日本市場全体の売上規模では医療用医薬品と一般用医薬品は10対1の比率であり、医療用医薬品のシェアが圧倒的に高いです。
製薬メーカーで代表的な企業としては、日系では武田薬品工業、アステラス製薬、大塚製薬などが挙げられます。
●アステラス製薬の選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちら
●大塚製薬の選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちら
医療機器メーカーとは
医療機器メーカーは、手術時に使われる小型のメスや、注射器といったものからMRI装置やレントゲン装置といった大型のものまで、医療機器を製造・販売している企業を指します。
高齢化が進み、医療機器全般の需要が拡大してきており、市場の拡大が見込まれるとともに、景気の影響を受けにくく、安定している業界だと言えます。
医療機器メーカーで代表的な企業としては、日系ではオリンパス、テルモ、ニプロなどが挙げられます。
●テルモの選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちら
●ニプロの選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちら
MRと医療機器メーカーの営業の違い
MRと医療機器メーカーの営業はよく混合されやすいです。違いを簡単に説明します。
MR(Medical Representatives)職は、日本語では医薬情報担当者を意味し、医薬品メーカーに属します。
もう少し細かい説明をすると、MRは自社の医薬品に関する効用や副作用の情報を提供しつつ、医療現場から情報を吸収し、報告することで医薬品が適切に使われるようにします。
よく業界内では「営業」と呼ばれることがあるそうですが、病院などに直接薬を販売するわけではなく、情報提供を行うことで薬が適切に使用されるようにします。特別な学歴が必要なわけではなく、文系出身の方も多く活躍されています。
一方、MRは医師を基本としつつも、薬剤師・看護師・卸担当と幅広く面談するのに対し、医療機器メーカーの営業は面談する相手が8割以上「使用権のある医師」になります。
医療機器メーカーの営業は、デモ用の医療機器を用いて実際に医師の前で機械を使いながらの説明や、トラブル対応のためにオペ室の立ち合いをすることがあるので、医療機器メーカーの営業はMRと比較すると医師と密に話す機会が多いです。
薬は納品すればそこで一旦終わりですが、医療機器の場合は貸し出す形式であるため、一定の期限が過ぎた医療機器を交換する処理を行います。その仕事は医療機器メーカーの営業担当が行います。
MR、医療機器メーカー営業の両者とも日々忙しい業務をこなしている医師や薬剤師の空き時間を待ち、そのわずかな時間の中で大切な情報を伝えなくてはなりません。故に、MRに求められる能力の一つとして、短い時間で簡潔に言いたいことを述べる能力が挙げられます。
外資系製薬・医療機器メーカー業界の動向
各製薬メーカー、医療機器メーカーを比較していく前に、まずは業界全体でどのような動きがあるのかを把握しましょう。
下記のグラフは過去5年間における日本の医療費の推移を表したものです。
上記のグラフからは、日本において医療費は年々増加し続けていることが読み取れます。
医療費が増加している現状に対し、医薬品業界と医療機器業界はどのような傾向が見られるでしょうか。
医薬品生産金額と医療機器生産金額から探っていきます。まず初めに過去5年間の医薬品生産金額の推移を表したグラフを見ていきます。
続いて、過去5年間の医療機器生産金額の推移を表したグラフを見ていきます。
上記2つの「医薬品生産金額の推移」と「医療機器生産金額の推移」のグラフから読み取れることとしては、主に以下の2点になります。
- 医薬品生産金額は僅かに増加傾向
- 医療機器生産金額はほぼ横ばい
医療費が過去5年間で2兆円増大しているのに対し、医薬品生産金額は0.5兆円、医療機器生産金額に関しては増加していません。
更に深く医薬品、医療機器業界の動向を探るために、過去5年間の医薬品輸出金額、医療機器輸出金額の推移を見ていきます。
続いて、医療機器輸出金額の推移を見ていきます。
上記2つの「医薬品輸出金額の推移」と「医療機器輸出金額の推移」グラフから読み取れることは、医薬品メーカー、医療機器メーカーそれぞれが積極的な海外進出を行っているということです。
輸出額が増加している主な理由としては、日本の医療関連市場は大きいものの、ある程度成熟しており、より高い成長を見込めるアジアなどの海外市場に進出する動きが活発化しているからだと考えられます。
新薬開発、医療機器開発はともに年々難易度が高くなるうえ、膨大な開発費がかかるので、資金力がある企業ほど開発がしやすく、規模の優位性が働きやすい傾向にあります。
故に、世界中に展開しており、資金力が豊富にある外資系メーカーは今後も有利な状況が続くと思われます。
外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の事業内容比較
同じ業界であっても事業内容は異なる場合があり、各社によって注力している領域は異なることが多いです。三社の事業内容について説明します。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業内容と強み
ジョンソン・エンド・ジョンソンは世界60ヵ国に250以上のグループ企業を有するグローバル企業であり、消費者向け製品、医療機器、更には医薬品の分野も手掛けており、文字通り「世界最大級のヘルスケアカンパニー」です。
また、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、米国のビジネス誌「世界で最も賞賛される企業World’s Most Admired Companies」調査において、ジョンソン・エンド・ジョンソンは毎年上位にランクされるなど高い評価を受けています。
そんなジョンソン・エンド・ジョンソンですが、日本では社内カンパニー制により3つの事業分野でビジネスを展開している点が特徴的だと言えます。
- コンシューマー カンパニー
→「バンドエイド」、「ジョンソン」ベビー製品などの消費者向け製品を扱う - メディカル カンパニー
→医家向けの医療機器、医療関連製品などを扱う - ビジョンケア カンパニー
→使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を扱う
以上、3つのカンパニーがあり、それぞれが分社分権経営により運営されています。分社分権経営によって、各々の事業領域、マーケットに特化した独自の戦略に基づいて事業展開することができ、外資系企業ながら日本発の製品開発も進んでいます。
また、ジョンソン・エンド・ジョンソンの新製品が総売り上げに占める割合は約25%に達しており、研究・開発費が総売上高の約11%占めています。
この投資金額は全ての産業の中でもトップクラスの投資額となっており、これがジョンソン・エンド・ジョンソンの強さの要因と言えるでしょう。
アストラゼネカの事業内容と強み
アストラゼネカは英国に本社を置き、世界100ヵ国以上で事業展開している新薬型開発型企業で、日本では1970年代から活動開始しています。
日本での薬価ベース売上高で2018年度第7位ですが、日本は米国、欧州に次ぐ世界第三位の市場規模であり、グローバル売上全体の約10%を占め、アストラゼネカにとって日本市場はとても重要なマーケットとなっています。
アストラゼネカは、オンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器・自己免疫疾患を重点領域として活動しており、その中でも特にオンコロジー(がん治療薬市場)に強みを持っており、2019年には第一三共と抗がん剤分野で提携したことがニュースになりました。
オンコロジー領域は注目され続けている領域の一つであり、この領域でいかに他企業と差別化が出来るかが今後のカギとなってきそうです。
ファイザーの事業内容と強み
ファイザーは2009年10月の米国ファイザー社による米国ワイス社の統合に伴い、2010年6月に両社の日本法人が誕生しました。
ファイザーは循環器系、中枢神経系、鎮痛・抗炎症系、泌尿器系、眼科系、がん、ワクチンなど、幅広い領域の新薬パイプラインとともに豊富な資金力を持ち合わせていることが特徴です。
日本国内業界ナンバーワンの売上高を誇る武田薬品工業は約1兆5000億円の売上を記録していますが、ファイザーは日本法人だけで約5300億円の売上を誇り、親会社の連結では約6兆7000億円もの売上があります。これは、日本の大手4社の売上高を合算しても及びません。
ファイザーは2018年にバイオシミラービジネスに本格的に参入しました。バイオシミラーとは、先行バイオ医薬品と高い類似性を持った薬のことで、2017年における世界の医療用医薬品売上高トップ20のうち、実に11品目がバイオ医薬品となっています。
バイオ医薬品は今まで治療が難しかった糖尿病やがんといった病気への効果が期待されています。
バイオシミラーは、バイオ医薬品と「同等性/同質性」を証明しなくてはならないので生物の力を使って複雑な構造のたんぱく質を作る分、開発、製造、品質の管理が難しく、高度な技術や大規模な設備が必要です。
ファイザーがバイオシミラービジネスに本格参入を始めたのはファイザーが高い技術力を持っていることの現れでしょう。
外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の求めている人物像比較
各社には企業によって呼び方は異なっても、その企業で働く上で重要な軸となる経営理念が存在します。企業研究を行う上で経営理念を知っておくことは有効です。
以下、各社の経営理念を踏まえた上で3社の求める人物像を紹介していきます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの求める人物像
ジョンソン・エンド・ジョンソンの企業理念は「我が信条(Our Credo)」です。以下、「我が信条(Our Credo)」について説明していきます。
その企業を表す文書は通常何種類もありますが、ジョンソン・エンド・ジョンソンには「我が信条」という顧客、社員、地域社会、株主の4つのステークホルダーに対する責任を具体的に明示したA4用紙の一枚の文書が存在するのみです。
以下が我が信条の全文です。
CSRという概念が定着しつつあるものの、ジョンソン・エンド・ジョンソンは半世紀以上前からステークホルダーに対する社会的責任を意識した経営を行っています。
「我が信条」を実践すると、具体的にどのような行動になるでしょうか。
例えば、営業の際に自社製品よりも他社製品の方が、その患者さんにとって良いと考えられるなら、「我が信条」の考えに従って他社製品を勧めるといった行動です。
目先の利益は失ってしまうかもしれないですが、患者さんにとっての一番の方法は何なのかを考えることが「我が信条」の考えでは大切です。
以上より、ジョンソン・エンド・ジョンソンは自社の顧客にとっての本質の利益とは何なのかを考えて行動できる素養を持った学生を求めていると考えられます。
アストラゼネカの求める人物像
アストラゼネカの活動の原点となっているOur Purposeは「サイエンスの限界に挑戦し患者さんの人生を変える医薬品を届ける」というものです。コーポレートビデオはこちらからどうぞ。
アストラゼネカの企業文化を表すものの一つとして「スピークアップ」という文化があります。スピークアップ文化とは、社員一人ひとりが自身の考えや業務の中で課題に感じたことを積極的に発信し、同僚の意見を尊重して互いに議論する、オープンな職場環境のことです。
以上のことから、アストラゼネカは変化を受け入れ、それを楽しみながら新しいことにチャレンジすることが好きな人を求めていると思われます。
ファイザーの求める人物像
ファイザーの企業目的は「Breakthroughs that change patients’lives(患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生み出す)」となっています。
また、ファイザーでは「ブルー・ブック」というファイザー社員行動指針をまとめたガイドブックが存在します。
これは、ファイザーの社員が倫理的かつ適法に業務を行う上で重要な、コンプライアンス体制をはじめとした会社方針が要約されたものです。気になる方はこちらをご覧ください。
ファイザーには「DARE TO TRY」という合言葉があり、「まずは勇気をもって行動しよう」という気風があります。新しい挑戦に取り組むことを会社が推進しており、失敗しても学びがあるからそれを活かしていけば良いという社風があるとファイザーの社員は語っています。
以上のことから、ファイザーは積極的でチャレンジ精神を持った人材を求めていると思われます。
外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の選考プロセス比較
続いてはジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ、ファイザーの選考プロセスを比較していきます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの選考プロセス・選考突破のポイント
ジョンソン・エンド・ジョンソンの選考は毎年概ね下記のようなフローで進みます。
エントリーシート→Webテスト→Webセミナー(選考とは無関係)→GD→集団面接→最終面接
ジョンソン・エンド・ジョンソンの選考の鬼門はGDで、このステップで多くの学生が落選します。このGDをいかに通過できるようにするかがポイントです。GD対策は以下の記事を参考にしてください。
1.【まず始めにこれを読もう!】GDとは?基礎知識を解説
2.GDの対策方法・コツ
3.GD頻出テーマと業界別の過去に出題されたテーマ
4.GDのテーマごとの進め方
5.GDの役割別(司会・書記・タイムキーパー)の対策方法
6.一人でも複数人でも出来るGD練習方法(11選)
ジョンソン・エンド・ジョンソン本選考レポート(MR)を見てみると、ある内定者は本選考において評価されたポイントとして以下のように答えていました。
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先程述べたように、MRは医師の合間の時間に営業をすることから短い時間で情報を確実に伝えなければなりません。OB訪問で社風を調べておきつつ、論理的、かつ簡潔に自分の言いたいことを言えるように訓練しておきましょう。
OB訪問の具体的なやり方はOB訪問やり方大全!OB訪問の目的から時期・質問内容まで徹底解説をお読みください。
また、具体的な選考対策に関しては以下の記事を参考にしてください。
アストラゼネカの選考プロセス・選考突破のポイント
アストラゼネカの選考は毎年概ね下記のようなフローで進みます。
OpenES提出→テストセンター→GD→二次面接と最終面接(同日に行われる)
アストラゼネカの面接時間は以下の通りです。
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MRに対する自分の考えや、逆質問をあらかじめ準備しておくなどの面接対策が内定獲得を大きく近づけるでしょう。
ファイザーの選考プロセス・選考突破のポイント
ファイザーの選考は毎年概ね下記のようなフローで進みます。
ES&Webテスト→説明会→一次面接→最終面接
ファイザー本選考レポートでは以下のように回答していることから、ESとWebテストが一つの関門となりそうです。
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また、どの面接においても英語ができるかどうか聞かれたと内定者は回答していることから、英語が使えると選考において有利に働く可能性があると思われます。
他にも、どの面接においてもESの深掘りがされているので、ESの質が選考通過のカギとなるでしょう。
最後に
本記事では、外資系製薬・医療機器メーカー大手三社の違いについて解説してきました。
外資系製薬・医療機器メーカーの企業を選ぶ際の参考になれば幸いです。
これから選考を受ける方などは、さらに企業研究や選考対策をしていきましょう。
また、以下に"外資系製薬・医療機器メーカー志望者向けの企業研究記事や選考対策記事"を掲載しましたので、こちらも併せてご覧ください。
外資系製薬・医療機器メーカーの「企業研究」に役立つ記事
●アストラゼネカの選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちらから
●ファイザーの選考対策(ES・選考レポート・関連テクニック/コラム記事)はこちらから
外資メーカー完全攻略記事まとめ
1.外資系消費財メーカー大手3社の違いとは⁈【強み・事業・選考比較】
2.外資系製薬・医療機器メーカー大手3社の違いとは【ジョンソン・エンド・ジョンソン 、アストラゼネカ、ファイザー】
3.外資系食品メーカー大手3社の違いとは【ネスレ日本,ロッテ,コカ・コーラボトラーズジャパン】
4.外資系電機・重工メーカー大手3社の違いとは【日本GE、ABB、日本ヒューレットパッカード】
5.外資メーカーのマーケティング職とは?仕事の魅力や選考対策を解説
6.【外資メーカー】職種別志望動機・自己PRの書き方|内定者例文付き|
7.「外資メーカー内定」のためにTOEICは何点必要?求められる英語力を分かりやすく解説
8.【理系就活生が外資メーカーを目指すなら】新卒採用実績がある外資メーカー22社掲載
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