無闇に「第一志望」と答えるのは危険!面接で答えづらい質問と回答
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最終更新日:2024年11月15日
就活生と話していると、志望業界に対する思いいれや憧れが強いほど、志望業界や志望企業以外はありえず、志望企業にしか当てはまらない論理の志望動機が最高の志望動機だと考えてしまいがちなようです。
ただし採用担当者に評価される上でも、自分に合った仕事を選ぶ、就活を茶番ではなく真剣に自分の将来を捉える機会にする意味でも、志望動機は御社じゃなくても別にいいんですというものにするべきだと思うので説明したいと思います。
学生がやりがちな志望動機
多くの学生はその業界にしか当てはまらない論理の志望動機を話すことが大事だと考えているようです。過去の経験や結びつく価値観もないままに下記のようなやり取りをしてしまいがちです。
(総合商社の面接を想定)
学生:グローバルに大きな仕事をしたいと思い総合商社を受けてます。
面接官:なんでそう思うようになったの?海外経験が豊富だったりするんだっけ?
学生:いえ、海外は旅行で行っただけですが、グローバルなことに対する憧れがあります。また語学に対して苦手意識はないので、入社してから頑張りたいと思います。
面接官:グローバルで大きい仕事だったらメーカーも考えられるけど、メーカーは受けてないの?
学生:モノに縛られずに自分で企画したり提案する仕事がいいと思ってます。
面接官:自分で企画提案する、しかも大きい仕事ってことであれば金額ベースで大きい金融であったり、コンサルティングなんかも当てはまるんじゃないの?
学生:いえ、コンサルや金融は自分がプレーヤーになれないので商社のように自分から事業を作れる仕事をしたいと思っています。
面接官:それであればグローバルにサービスを生み出しているネット関連の企業はどう?オラクルとかマイクロソフト、Googleなんかは新しいことにもチャレンジして事業を生み出してるでしょ。
学生:いえ、やはりモノに関わる事業がいいと思っていて、ネットだけではダメなんです!
面接官:(今の時代、ECサイトもあるしモノとネットは絡むんだけどな。そもそもモノに縛られたくないっていってたのに)結局、君の中でグローバルな仕事、規模が大きい仕事、商品にとらわれず自分で提案できる仕事、自ら事業を生み出せる仕事、モノに関わる仕事のどれが大事なの??
学生:全部大事なことなので、商社しかないとおもってます!
一見すると軸に全て合致した熱意の高い学生にも見えますが、前半でモノに縛られたくないと言いつつ、後半でモノに関わりたいと言っていて矛盾があります。もちろん、業界比較を入念に行っての発言であれば構いませんが、途中で矛盾を生んでは結論ありきの業界研究しかしていないと取られかねません。
こんなうんざりするやり取りを面接官は何度も何度も繰り広げているのかと思うと少しぞっとしますが、学生も一生懸命答えているものの、最終的には「絶対に商社しかありえない!」という気持ちを伝えたいと考えているためか、ああ言えばこういう状態になってしまい、余計に面接官の心証を悪くしてしまっています。
第一志望に「合わせ」に行っているため、ああ言えばこう言うといった対処療法的なやり取りで何とか第一志望である理由を話そうとします。
多くの学生が「第一志望業界や企業に対する忠誠心」を全面に押し出して、「御社しかありえません!!」という志望動機を話そうとしてしまいます。もちろん面接官も学生が他の業界を受けていることは理解しているので、「御社しか見ていません!」という媚売りを気持ち悪く感じてしまいます。
しっかり説明できれば問題ないのですが、多くの学生は説明できないのに「第一志望です」と無理矢理答えるために評価されません。
電話で面接官の方からフィードバックを頂いたのですが、その時に、「君は質問に対して正直だったのが良かったよ。けっこう正直に答えられない就活生はたくさんいて、上記の質問だとほとんどの学生はうちを第一志望ですと言ってくれる。
本当に働く会社が他の企業ではなくうちの会社でないとダメだと、きちんと説明出来たり、面接官を納得させることが出来る学生は当然通すけど、ほとんどの学生はうちが1位である理由も言えていないのに第一志望ですと言ってくるから、落とす。君はうちを第一志望ではなく第一志望群という表現だったけど、それを正直に言ってくれたから評価したよ。
そのため自分の経験に基づく1つか2つの重要な軸を提示して後は、他の業界も受けているけど、総合商社が一番面白そうぐらいの感じの回答が最も好感度が高いと考えられます。
「うちの会社じゃなくてもいいんじゃない?」と聞かれたら笑顔でYesと答えてしまってOK
「うちの会社じゃなくてもいいんじゃない?」と聞かれた時に、多くの学生は上記のようなやり取りのように、何とか第一志望であることを信じてもらうために、新たな論理や企業選びの軸を追加したり、その業界・企業特有のことをなんとかひねり出そうとして深みにはまってしまいます。
「うちの会社じゃなくてもいいんじゃない?」と聞かれたら深みにはまるよりも、笑顔で「その通りですね」と答えてしまっていいでしょう。例えば総合商社志望の学生であれば下記のようなやり取りがいいのではないかと思います。
学生:大学時代の海外留学経験から日本の良さを海外に伝える仕事がしたいと思って総合商社を志望しています。
面接官:その志望動機なら自動車メーカーとかでもよくない?
学生:そうですね、仰るとおりで、自動車メーカーも受けていますし、インフラメーカなど世界に日本の技術やものづくりを発信できる業界は幅広く受けています。自動車メーカーであれば自分が関わったモノが人の手に渡る部分に関わることができるのでやりがいを感じやすいのではと思っています。一方で、総合商社であれば自動車などのモノに縛られすぎることなくビジネスチャンスがあれば、自分で企画・提案して事業を作ることができると考えています。
面接官:結局、自動車メーカーと総合商社だとどっちの志望度が高いの?
学生:総合商社の志望度が高いです。グローバルに日本の良さを伝えるという意味ではどちらの業界も同じ程度ですが、自分のアイディアが入る余地が大きく、新たな切り口で日本の良さや製品を世界に広めることが、総合商社の事業創出でできるのではと思っています。
この学生は、志望度の高い総合商社でも媚を売りすぎることなく、フラットにそれぞれの選択肢のメリット・デメリットを比較して答えています。もちろん海外経験という自分の経験に企業選びの軸が根ざしています。
わかりやすい例として海外留学経験を取り上げましたが、総合商社だから海外経験・グローバルが必須というわけではなく、「新規事業を生み出したい」や「価値観の異なるメンバーで一つの目標を達成したい」といった志望動機で志望する人もいるでしょう。
それぞれの企業選びの軸がどういった業界に当てはまるかは下記のリンクを参考にしてください。
対象企業への理解度が低くとも、企業選びの軸を使って作成した志望動機のテンプレートを紹介した記事です。非常に有用ですので是非参考にしてみて下さい。
参考:「志望動機」が書けない人必見!すぐに使える5つのテンプレート
逆に、総合商社=グローバル程度の浅い志望動機だと下記のエントリーで書かれている通りに面接官に評価されない可能性も高いと言えます。総合商社を例にとっていますがその他業界でも、浅い志望動機やその業界の仕事のやりがい、その本質に根ざしていないファン目線の志望動機は評価されにくいことを理解しておきましょう。
以下記事は現役の商社マンによる浅はかな志望動機例をまとめたものです。対応策や本当の総合商社の魅力なども併せて載せていますので是非参考にしてみて下さい。
参考:【総合商社の魅力とは?】商社マンに嫌われる浅はかな志望動機
最後に
もちろん学生がこのような志望動機がよいものだと思ってしまうのは、面接官や採用担当者の情報発信方法がよくなかったり、実際に上記のような媚を売るような志望動機を評価してしまう企業があるためだと思われます。
それでも多くの企業は、説明も出来ないのに第一志望だと答える学生を評価しません。評価されることを考えても媚を売るのは得策ではないと言えます。また自分に合った企業を選ぶという意味でも、やみくもに「第一志望です」と取りあえず答えるよりもしっかりと冷静にその企業の働き方のメリット・デメリットを比較しておくことが重要になるでしょう。
第一志望の業界や企業に迎合したい気持ちはよくわかりますが、ぐっとこらえて「御社じゃなくてもいいんです」と言えるかどうかが、評価される上でも自分に合った仕事を考える上でも大事になると思いますので、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
photo by 紫流