【例文付】なぜその会社なの?志望動機の伝え方・企業選びの軸の定め方を解説
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最終更新日:2025年05月15日

なぜ選考官は志望者に企業比較を聞くのか
なぜ「その会社なのか」という企業比較が必要なのでしょうか?またなぜ企業は「同業他社の中でも当社を選んだのですか?」と聞くのでしょうか。
それは、そもそも志望動機を聞く理由と同じで、企業は志望者の同業比較を聞くことで、①自社への志望度と②入社の際のモチベーションの二つを知ることが出来るからです。
そもそも志望度の低い就活生では、仮に内定を出しても別の企業の選考結果次第では辞退されてしまうかもしれません。また、入社後のビジョンがない、内定で満足してしまう人材では、入社後の活躍は望めませんし、「思っているのと違った」と早期退職のリスクもあります。
そういった危険性がないかどうかを見極めるために、企業は就活生に企業比較を求めます。そこで企業比較をするために必要となる、企業選びの軸の定め方を以下で紹介します。
企業選びの軸を定めるメリット
そもそも企業選びの軸とは、「あなたがやりがいを持って取り組める仕事や企業の特徴」のことを言います。
そのため、企業選びの軸を定めるメリットは以下の4つになります。
- 受ける業界、企業が絞り込める
- 志望動機が書きやすい
- 入社後のミスマッチが起きる可能性を減らせる
- 転職の際にも前職を辞める理由を無理なく語れる
軸を明確化しておくことで、選考官に「だからこの業界、その中でも弊社を選んだのか」と納得してもらうことができます。
反対に、軸がないと「なぜこの業界?なぜうちの会社?」と面接官に疑問を覚えさせてしまい、志望度がまったく伝わりません。
そのため、企業選びの軸を定めておくことは重要だと言うことができます。
企業選びの軸の定め方
企業選びの軸を定める方法は以下の3つがあります。
- 様々な人の軸を知る
- 自己分析から見つける
- 業界研究から知る
それぞれについて詳しく説明します。
様々な人の軸を知る
上記で大切なポイントは、友人から社会人まで幅広い年代・立場の人の考えを取り入れることです。特に自身と似た価値観を持っていたり、経験をしてきた人の軸を参考にすると自ずと自分自身の軸も定まってくると思います。
自己分析から見つける
これは自己分析を行うことで分かった「自身が何を成し遂げた際最もやりがいを感じたのか、最も活躍できる分野・フィールドは何なのか」などといった要素を元に軸を企業選びの軸を定める方法です。
その他にも、自分が所属してきた集団で何を重視してきたかなども企業を選ぶ際に重要なポイントとなります。
業界研究から知る
上記のポイントは視野を狭めずに様々な業界・企業を見るようにすることです。最初は軸に合致しないと思っていた業界が意外と自分にマッチしたり、そこから軸がまた変わる場合もあります。
上記で紹介した3つのうちどれか1つを行うのではなく、3つそれぞれを経験することで軸がはっきりすると考えていただければと思います。
まずはある程度どのような軸があるのか把握し、そして自己分析を通じてどのような軸を持つべきかを見つけ、実際のビジネスの場や業界の違いで軸がどう関わってくるのかを分析しなければ、自身が心から望み、かつ地に足の着いた軸を作るのは難しいでしょう。
企業選びの軸は大きく分けると以下の8つに分類することができます。
上記の画像に加え、以下の記事でも内定者の企業選びの軸などを紹介していますので、どのような軸があるのかチェックしてみてください。
同業他社の中でも志望企業を語る3つのアプローチ
上述したように企業選びの軸は様々なものが存在しますが、仕事内容が似ている同業の会社を比較する上では下記3つのアプローチが有効です。
- 業界内の特別なポジション・強みから語る
- 社風・企業理念から語る
- 企業で働く「人」から語る
それぞれ語る際にはメリットとデメリットがありますのでそれぞれ説明したいと思います。
【1】業界内の特別なポジションから説明する
例えば総合商社であれば、エネルギー事業に強いのは三菱商事と三井物産であるように、自分が志望している事業内容が業界の中でも強い場合は、業界内のポジションから説明することが可能です。通信業界で言えば、ソフトバンクであれば携帯事業だけでなく、インターネット事業に強みを持っていることを伝えることで説明できるでしょう。
自分の志望している事業内容とその企業が得意とする分野が一致していると志望動機としても伝えやすく、よく業界研究していると評価してもらえる可能性も高いと言えます。
【2】社風・企業理念から説明する
社風・企業理念は同業でも企業によって大きく異なり、働き方にも違いがあります。
一概には言えませんが、リーディングカンパニーはその地位を守るためにも組織力を高め安定性を目指すがゆえに、保守的であることが多く、一方の業界中位の企業では、リーディングカンパニーに負けないためにも自由闊達積極的がゆえに、経営的にも安定性に欠けることが多いです。
社風・企業理念が自分自身の性格やキャラクターと一致している場合は、ある程度のアピールになります。一方で、銀行など再編・合併を繰り返した企業においてはその企業独自の社風が薄いこともあり、まったく響かないことも多々あるため注意が必要です。
【3】企業で働く"人"から説明する
ここまで説明してき2つの手法は使える企業が限られていましたがた、今から説明するアプローチは全ての企業に使える手法になります。企業で働く人から説明するとは文字通り、その企業で働く人の魅力を全面に出して、第一志望であることを伝える手法です。
例えば、OB訪問や会社説明会、面接の場で出会った人が他社よりも魅力的だから第一志望であると説明する方法がこれです。
しかし「業界内の特別なポジション」や「社風・企業理念」で説明することほどのインパクトは与えることができない為、プラスを稼ぐというよりは、マイナスを減らすといった形での使用方法にならざるを得ません。
3つのアプローチを踏まえた大手企業内定者のES回答例文
ここまで、志望動機の伝え方や企業選びの軸の定め方のポイントについて解説してきました。続いては、大手企業内定者の実際の志望動機をチェックしていきたいと思います。
大手企業内定者がどんな企業選びの軸を定めていたのか、どのように志望企業を語っていたのかを理解し、自身のES作成に役立ててもらえればと思います。
第一生命内定者の回答
生命保険業界を選んだ理由と、その中で当社を選んだ理由を記載してください。 (300文字以内)
お客さまと密接に関わり、末永くお付き合いができる金融業界に関心をもち、その中でも公共性が高く、「万事の安心」を届けることのできる生命保険業界に魅力を感じました。業界の中でも貴社をするのは、飽くなき挑戦...場合によっては「成果なんて出したことがない!」と思う人もいるかもしれません。
シティグループ内定者の回答
◆シティグループ証券について、他社との比較も交えて説明してください。(400字以内)
貴社の強みは、長い歴史によって培われたグローバルネットワークだと考える。確かに国内の知名度は他の外資系投資銀行と比較して劣ることもあるかもしれない。しかし逆に知名度で劣っていることをチャレンジの機会...
○実際に学生時代に取り組んできたことや志望動機につながるきっかけとなった出来事
○どんなことをしたいのか、自分が入社することによって会社にとってどんな風に役に立つのか
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。志望動機は、HPに書いてあることや会社説明会で人事が言っていたことをただ言うのでは薄っぺらいですし なぜその業界、その中でもその会社、その職種なのかを答えられるようにしておきましょう。
○○会社訪問などであった印象的な出来事
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。
電通内定者の回答
電通を志望する理由をご記入ください。( 250文字以内)
理由は2つあります。まず言葉のプロとして、広告を見た人の心を動かしたいからです。昔から、手紙や日記に自分の気持ちを書いて来たので言葉にこだわりがあります。手紙を渡すと相手が喜んでくれるのが嬉しくて、こ...それに対して学生のほとんどは「いえいえ全然待ってません。」「私も55分に着いたので大丈夫です。(実際の面接開始の5分前)」、人事の人に気遣う人もいると思いますが、それは罠だと思っていただいて結構です。人事が予備に来た時から面接は始まっています。 大手企業になってくると面接の際、大きな部屋に何十人も待たされ、人事の方が呼びに来ることがあります。皆さんはどうしますか?
いきなり言われるので緊張のあまり、人事の人に気遣う人もいると思いますが、
三井物産内定者の回答
◆三井物産を志望した理由についてお書きください。(200文字以内)
世界という視点で社会のニーズに応えた事業を創出したい。部活動を通じて組織や自分の状況に応じた自身の果たすべき役割を考え、実行することで常に組織の中で価値ある存在でいることを大切にしてきた。商社は時代...
また私の個人的な意見としては報道だけでなく、実際に自分の足を使って社員と会い、社風や企業の方向性感じとっていくことが重要だということを述べておきたいと思います。 かつては総合商社を滑り止めにしてメガバンクを目指す学生が多かったように。
実際に自分の足を使って社員と会い、社風や企業の方向性感じとっていくことが重要だということを述べておきたいと思います。
伊藤忠商事内定者の回答
◆伊藤忠商事を志望する理由
私の夢は「自らの行動・アイデアを武器に、後世まで残る新たなビジネスを創りだすこと」だ。予備校での受験アドバイザー業務で校舎の「営業成績全国1位」を目指すために作った「仕組み」や、生徒支援のため新規企...
場合によっては「成果なんて出したことがない!」と思う人もいるかもしれません。
丸紅内定者の回答
◆あなたが仕事を通して成し遂げたい目標は何ですか。今までの経験やご自身の考えをふまえて、そのように考える理由と併せて教えてください。(250 文字以内)
私が仕事を通して成し遂げたい目標は、自らの行動・アイデアを武器に事業を創り出し、社会が抱える問題の解決に貢献することだ。このような目標を持つきっかけとなったのは、〇〇連盟の委員長として大会や普及事業...
○実際に学生時代に取り組んできたことや志望動機につながるきっかけとなった出来事
○どんなことをしたいのか、自分が入社することによって会社にとってどんな風に役に立つのか
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。志望動機は、HPに書いてあることや会社説明会で人事が言っていたことをただ言うのでは薄っぺらいですし なぜその業界、その中でもその会社、その職種なのかを答えられるようにしておきましょう。
○○会社訪問などであった印象的な出来事
上記に挙げたことを話せるようにセットで準備しておくといいかと思います。
最後に
ここまで、「なぜその会社なの?」という要素を踏まえた志望動機の伝え方・企業選びの軸の定め方を解説してきました。
本記事で紹介した3つのアプローチをするためにはOB訪問が非常に有効な手段となります。
事実、基本的にその会社の社員は同業他社を気にしています。なぜかというと、営業やマーケティングなど仕事をしていれば必ず同業他社の動向は嫌でも気にする必要があるためです。
そういった意味でもOB訪問で「なぜ多数ある同業から今働いている会社を選んだのですか?」といった質問に対する答えは、一番の情報源になります。
ネットや書籍で業界内の特別なポジションであったり、社風・企業理念を知ることには限界があります。ぜひチャンスを自ら作り、積極的に活動していただければ幸いです。