農林中央金庫の志望動機対策|事業内容の理解なくしてES通過なし
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最終更新日:2023年09月22日
農林中央金庫は海外では80兆円近くの金額を運用する日本最大のヘッジファンドとして知られる企業です。運用資金はJA(農協)、JF(漁協)、JForest(森組)などからの出資で成り立っておりその資金を第一次産業を中心に貸付を行っています。
このように就活生に人気とされるメガバンクなどとは性質を異とする農林中央金庫ですが、どのような志望動機がふさわしいのでしょうか。実際の事業をもとに考えていきましょう。
また、unistyleには他にも農林中央金庫に関する記事があるので参考にしてみてください。
参考:農林中央金庫の求める人材や内定者ES・面接設問についてはunistyle上に記事がありますのでそちらも併せて御覧ください。
農林中央金庫のビジネスモデル
農林中央金庫のビジネスモデルはJA、JF、JForestなどから出資された資金を債権購入、株式運用、手形取引などを行ったり、会員、農林水産業者、農林水産業に関わっている会社に出資をしたりして利益を挙げています。
また、農林水産業者に対する事業や生活面での指導を行う「指導事業」というものや農林水産物の販売や生産資材などの購買を行う「経済事業」などもありいわゆる銀行の仕事だけでなく幅広い事業を手がけています。
では実際はどのような仕事を行っているのでしょうか。見ていきましょう。
佐賀県ならびに、国立大学法人佐賀大学、佐賀県有明漁業協同組合、農林中央金庫、株式会社NTTドコモ、株式会社オプティムは、佐賀有明海域の海苔養殖におけるIoT機器や、AIの活用により、海苔養殖の品質及び収量の向上、病害対策等の課題解決に貢献することを目的として、6者連携協定を締結致しました。
本連携協定では、今後、佐賀有明海域において実証実験を進め、海苔の病害や赤潮に対しての発生予測や対応策の検討により、海苔養殖における生産性向上や、品質の安定化を図ることを目的としています。
当金庫は平成28年度より開始した「食農ビジネス」の取組みにおいて、非金融面からの農林水産業者の経営力強化支援、産業界と農林水産業界の架け橋としての役割発揮を掲げていますが、本案件は、農林中央金庫福岡支店のコーディネイトにより、関係者のマッチングを通じて実現した連携協定となります。
農林中央金庫は、本連携協定に基づき、系統組織を通じた漁業金融機能の提供を検討し、ビジネスマッチングを通じた企業と生産者の連携強化に向けたサポートを行います。また、連携協定6者のノウハウを最大限に活用し、佐賀県の漁業振興に寄与していく所存です。
こちらは農林中央金庫、NTTドコモなど6社が協力して海苔の品質、収穫量の課題を解決するための連携を行ったという記事です。
ここに挙げられているNTTドコモ、オプティムというのはIoT、AIを活用するような会社であり、それらを使いより良い生産環境を構築するための施策を打つようです。ここで中心として活躍しているのが農林中央金庫です。以前から食農ビジネスという取り組みにより支援を行っていたようですが、今回は連携のサポート、金融面での支援等を行いこの連携がうまく進むように動いているようです。
この連携というのは専門領域の異なった各社が協力して行っている事業です。そのため、各社のまとめ役となるようなことを行いたい、様々な専門領域を持った人々ともに一つの目標に向かって動いて行きたいという方には向いている会社だといえるでしょう。
そしてこれは課題解決を行っている事業だともいえます。これは農林中央金庫のビジネスモデルであげた指導事業にあたるものですが、相手の課題を自身の持っている知見、他社との協力関係を用いて解決を図れるというのは農林中央金庫ならではのものであるとは思います。
漁業新規就業支援事業の創設について
このたび、JF マリンバンクでは、3 親等以内の親族の元で新規就業する者を研修生として受入れる漁業者に対して、研修費用を助成する事業を創設しました。
当事業の助成は、農林中央金庫が 3 年で総額 5 億円を拠出いたします。
日本国内の漁業新規就業者数は、年間約 1,800 人から 2,000 人と一定数を確保しているものの、国内漁業者総数は減少傾向にあり、平成 27 年度時点では 16.7 万人となっています。国内漁業者数維持のため、漁業新規就業者数の確保は必須の課題であります。
国が行う漁業新規就業者への支援事業は、家族承継する漁家子弟の新規就業者については支援対象外となっており、JF マリンバンクによる当事業にて補完することを目的にしております。漁業者の高齢化が進展するなか、将来の国内漁業における担い手として期待される漁業新規就業者の確保を図り、漁業基盤の維持、ひいては浜の活力再生を支援いたします。
農林中央金庫では、今後とも系統組織の一員として、これまで以上に我が国漁業の成長産業化に向けて取り組んでまいります。
これは農林中央金庫が新規就業する漁業者に対しての研修費用の助成を行うという記事です。日本において、農業とともに漁業も高齢化、人口減少の波にさらされています。その上、国が行う支援事業は農林中央金庫が対象としている人々は対象と出来ていないそうです。この新たな事業により漁業就労のインセンティブを高められ、漁業の発展を金銭面から支えられそうです。
以上のことを踏まえ、「「軸」に基づく業界比較」」に基づいて農林中央金庫の志望動機を考えると、
・相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい
・価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい
・新たに事業や仕組みを生みだす仕事がしたい
といった志望動機が適当だと考えられるでしょう。
では実際に内定者はどのような志望動機をESで書いているのでしょうか。見ていきましょう。
農林中央金庫のES通過者の志望動機解説
こちらが農林中央金庫の内定者のESになります。
生まれ育った北海道での農業経験、そして高校、大学での林業に関する課外活動と、人生で第1次産業と関わることが多かった中で、農林水産業の発展を金融面から支えている貴庫に関心を持った。
農業生産者の強化、6次産業の市場規模拡大、農産物・食品の輸出拡大などのテーマを貴庫で取り組みたい。
具体的には、第一に企業による農業参入が増加する中、農地や物流網の確保についての情報提供や、資金面で新規参入企業を支援したい。第二に、農業技術の開発や農業法人の大規模化が進む中、新技術の拡大支援やM&A資金の支援を行いたい。このように貴庫でアグリビジネスに携わり、貴庫における融資拡大と日本の農林水産業の安定的な発展に貢献したい。
また、地元・北海道産の「食」のニーズを更に喚起できると感じたように、潜在的な販売力を持つ農産物の販路拡大を、日本国内や世界でのビジネスマッチングの機会を増やすことで達成したい。
この方は、「農業生産者の強化、6次産業の市場規模拡大、農産物・食品の輸出拡大などのテーマを貴庫で取り組みたい」ということを挙げられています。新規企業参入を支援したい、新技術拡大の支援をしたいということが具体的にありますがこれは相手の抱えている課題を農林中央金庫の一員として解決するということと近いものがあると思います。
なので「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」というのと近しい志望動機があると思います。
また、自身の経験である農業経験、課外活動等ののことを挙げられていますが、なぜその経験によって金融面から支えたいという思考に至ったのかは聞かれることだと思うので準備しておいたほうが良いと思います。
ただ、将来やりたいと考えているものはビジネスモデルと照らし合わせても整合性が取れているのでその点は評価できると思います。
貴庫に関心を抱いた理由は、金融業務を中心とした農林水産業への貢献を通して人々の生活を支えている点を魅力的に感じたからだ。学生時代は、子どもと遊ぶボランティア団体で様々な企画を通して、子ども達の笑顔を見ることにやりがいを感じていた。そしてこれからは、自分の知識を活かした提案によって、より大きな規模で人々を幸せにしたいと考えている。そんな私にとって、全国民の生活の根幹である農林水産業の発展に寄与し、人々の最も身近な幸せを支える貴庫は理想的である。
入庫後には、日本の農林水産業者の海外進出を支えたいと考えている。留学した際に、健康志向が強まっている海外では枝豆やしらたきや豆腐などのヘルシーな日本の食物の需要が高まっていて、日本の食物に高い潜在性があることを実感した。六次産業化や海外への販路拡大のサポートを通して、日本の農林水産業の潜在性を最大限に引き出して、日本経済を活性化させていきたいと思う。
「金融業務を中心とした農林水産業への貢献を通して人々の生活を支えている点を魅力的に感じたから」ということをこの方は志望動機として挙げられています。そしてやりたいこととしては「自分の知識を活かした提案によって、より大きな規模で人々を幸せにしたい」と考えていることから自身の提案によって問題解決を図ることを仕事としてやっていきたいということを感じられました。
また、「日本の農林水産業の潜在性を最大限に引き出して、日本経済を活性化させていきたいと思う」ということからなかなか海外に目を向けたくても様々な障害によって断念している人々の役に立てるようなことを行いたいというのが考えられます。このように潜在的には行いたいと思っていることを把握し自身の提案でより人々に貢献したいということを考えれば「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」ということが言えると思います。
また、ボランティア団体での企画という経験から、自身の提案により幸せを増やしたい、そして中でも生活の根幹である農林水産業に関わって多くの人々を幸せにしたいと言うのは説得力があると思います。
そして、販拡、6次産業化は先程挙げたビジネスモデルのなかの指導業務と近しいものなので整合性は取れていると思います。
私の実家は農家を営んでいますが、現在日本の農業は元気がないと考えます。高度成長期から日本の経済を支え良き文化であった農業ですが、今や後継者不足・関税撤廃・所得格差などの問題が深刻化し、まさに苦境に立たされています。「日本の農業を支え、繁栄させたい」私のこの想いを実現できるのが、まさに貴金庫であります。
さらに貴金庫には私の先輩が働いており、優秀な方が多いと伺っています。そのような場で働くことで自分自身も高められ、優秀な仲間とより良いものが作り出せるのではないかと考えました。
また私は貴金庫で、「あなたのための6次産業の推進」に取り組みたいです。道の駅の事例など様々な成功例がありますが、私も農産物の新たな価値創造に大きな憧れがあります。地元の農家の人と真剣に向き合い全力でサポートすることで、結果的に農家のためになり地元の活性化につながる。
この好循環を生み出せるのが貴金庫ならではであると考えます。
参考:【内定】エントリーシート
「日本の農業を支え、繁栄させたい」というのがこの方の志望動機としてあげられていますが、農業を発展させるということは他の会社でもできることだと思います。どうして農業の支援を行うのが農林中央金庫でないとだめなのかと言ったはっきりとした理由があるとより説得力がますと思います。
また、優秀な仲間がいることを挙げられていますが「こんな志望動機は嫌われる!評価されない志望動機の実例」を参考にすると自分の希望だけを並べた志望動機という項目に近しい物となっているのであまり評価対象にならないと思います。
また、実際の経験に基づかないものが志望動機として挙げられているので説得力があまりないものとなっていると思います。
最後に
今回は農林中央金庫について取り上げました。事業内容から考えて志望動機としてふさわしいものは相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい、価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい、新たに事業や仕組みを生みだす仕事がしたいといった志望動機がふさわしいことがわかりました。
農林中央金庫は他の銀行ではあまり行っていないような指導事業、経済事業などを行っています。農業、漁業に関わりたい人、銀行の業務に興味がある人など様々な志向性を持った方に向いている組織だと思います。そして農産物の海外販売の支援をできることから海外志向を持った学生にも向いていると言えるでしょう。
メガバンクとはまた違った雰囲気を持っているので比較するためにも『三菱東京UFJ・三井住友・みずほの事業・社風・選考内容比較【unistyle業界研究】』の記事も参考にしてみてください。
最後に、基本的な志望動機の書き方に関しては、下記の記事一覧を参照してください。
企業が志望動機を聞く意図・就活生がアピールすべきポイント
ESにおける志望動機の書き方
面接で志望動機を適切に伝える方法
インターンでの志望動機の伝え方
業界別の志望動機の書き方
職種別の志望動機の書き方
志望動機の例文一覧(インターン)
志望動機の例文一覧(本選考)
photo by StateofIsrael