日用品・消費財メーカーの主要6職種の仕事内容を解説-営業・マーケティング・購買・コーポレート・研究開発・製造技術-

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最終更新日:2022年09月20日

本記事では就活生に人気な業界の1つである日用品・消費財メーカーの仕事内容を主要6職種の内容に沿って解説します。

事務系職種と技術系職種の両方を解説しているので日用品・消費財メーカーに興味がある就活生はもちろん、既に知識のある就活生も普段触れることの少ない職種について理解することで業界研究に繋げてください。

日用品・消費財メーカーとは

まず、日用品・消費財メーカーの事業内容について確認します。

消費財とは生活の中で消費するもの全般を指し、その中で洗剤やティッシュ、トイレットペーパー、シャンプーなど、食料品や衣料を含まない生活に用いられる品物を日用品と一般的に指します。

日用品・消費財メーカーは上記のような商材を開発、販売して利益を得ている企業のことをいいます。

日用品・消費財メーカーには技術面で開発や生産を支える技術系職種と、販売や会社の管理を担う事務系職種の大きく分けて2種類の分類があります。以下では仕事内容を職種ごとに解説します。

参考記事
以下の記事では日用品・消費財メーカーの特徴や動向について解説しています。
日用品・消費財メーカーとは-種類や業界の動向を解説-

日用品・消費財メーカーの仕事内容(事務系)

日用品・消費財メーカーの仕事内容(事務系)

ここでは日用品・消費財メーカーの仕事のうち、事務系職種に焦点を当てて仕事内容を解説します。

事務系職種は技術系職種と比べ、エントリーの際に必要な知識や技術が少なく、文系理系問わずエントリーできる職種のため、応募者も相対的に多い職種です。

以下では事務系職種をさらに細かく分類して解説します。なお、企業によって分類の仕方はそれぞれ異なるため、ここでの分類は便宜上のものであることをご理解ください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:営業職

自社の商品を消費者の手に届けるための販路をつくるのが日用品・消費財メーカーの営業職の仕事です。

営業職の仕事内容を理解するためにまず知らなくてはいけないのが、日用品・消費財メーカーの商品がどのように消費者の手に届くかという流れです。

上の図は日用品・消費財メーカーが製造した商品が私たち生活者に届くまでの流れを簡単に表したものです。

この図から分かるように、日用品・消費財メーカーの営業職は基本的に直接生活者に商品を販売することはなく、販売する商品を仕入れる卸店や、販売する小売店に対して自社商品を展開してもらえるように持ち掛けることで生活者に商品を届けています。

つまり、日用品・消費財メーカーの商品はBtoCだが、営業職の仕事はBtoBである、ということです。BtoCメーカーの仕事を志望する就活生の一部はこのことを理解しないまま選考に臨んでしまい、理解の祖語が生まれてしまいます。ここで理解しておきましょう。

具体的な営業職の仕事内容をイメージするために、日用品・消費財メーカーの1つであるエステーの社員の方の仕事内容を紹介します。

首都圏のスーパー担当として、卸店と協働して営業活動を行っています。具体的には、週2~3回ほど本部に足を運び、月々の販売促進のための企画提案や進捗確認、POS実績の報告などをしています。また、店舗へも週2~3回伺い、状況を確認しながら商品の陳列などの店頭作業を行っています。さらに、年2回、店舗のどの棚にどの商品を並べるのかが決まる重要な商談があったり、改装・新店舗オープンの際には商品陳列応援なども行います。提案した企画が売場に反映され、お客様に購入いただけることが一番のやりがいですが、結果がダイレクトに数字として表れる点が営業の醍醐味。成功すれば嬉しいのですが、思わしくない数字だったときは、改善点を探り、修正して再チャレンジの繰り返し。しかも、商品や販売店によって特性が異なるため、同じ取り組み方法はなく、毎回が新たなチャレンジです。この新たなチャレンジの連続にこそ、営業という仕事の面白さと奥深さがあると感じています。

引用:エステー株式会社|人を知る|営業

具体的な仕事内容、やりがいをイメージできたのではないでしょうか。

ただし、上記はあくまで一例であり、具体的な業務内容は企業によって異なります。

業務用商品と家庭用商品の担当にそれぞれ分かれている企業や、小売店のみに営業をする担当を設けている企業もあり、企業によって同じ営業職でも相手や働き方は様々なので、興味ある会社を是非調べてみてください。

以下の記事では営業職の志望動機について解説しているので是非参考にしてください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:マーケティング・企画職

日用品・消費財メーカーのマーケティング・企画職の仕事は端的に言えば、消費者のニーズを分析し、商品の企画、販売、ブランドづくりの舵取りをする仕事です。

以下ではマーケティング職の仕事を商品が消費者に届くまでの流れに沿って解説します。

マーケティングの流れ

市場分析

商品企画

プロモーション

市場分析

マーケティングの仕事において消費者のニーズは基盤となる要素です。

消費者が自社商品をなぜ買っていて、なぜ買っていないのか。どんな商品をどう売れば消費者のニーズに刺さるのか。マーケティング職はデータからこうした消費者のニーズを分析し、企画に繋げます。

モニターに対する調査や政府が出す統計データなどの定量的なデータだけでなく、消費者による座談会や直接インタビューなどによる定性的なデータも集めることでより精度の高い分析を目指します。

商品企画

分析結果をもとに商品のコンセプトや商品設計を企画します。

メーカーの場合商品が実現可能かどうかが重要なため、企業によっては技術職が商品の開発から実現までを担うこともあります。

プロモーション

商品を消費者の手に届けるための店頭プロモーションや広告を考えます。

キャンペーンの企画や特典の付与など、どうやったら売れるかを営業職と共に考える工程です。

また、CMの制作や近年一般的になっているバズマーケティングなど広報活動の舵取りをすることで消費者の目に留まる施策を練ります。

企業によっては社内の広報・宣伝担当が単独で設置され、広報活動を担う場合もあります。

以下は外資系消費財メーカーの1つP&Gで「SK-II」のブランドマーケティングを行っている社員の方の仕事内容です。

今私が携わっている仕事は、今後数年間で発売する製品の戦略策定や提案、製品を発売するうえでのコンセプトやストーリー作り、そして数か月先の新製品発売キャンペーン戦略と設計、またそれに伴うテレビCMやデジタル広告の作成です。研究開発や生産統括、ファイナンスなど多岐にわたるチームメンバーと議論しながらプランを練り、また広告に関しては広告代理店のチームと一緒になって、世の中に驚きとわくわくを与えられるようなキャンペーンにできるよう、日々奮闘しています。日本だけではなく、SK-IIを販売しているすべての国がスコープに入るので、全世界的なSK-IIのブランドイメージに大きく影響を与えることができ、非常に大きなやりがいを感じています。

引用:P&G採用サイト|先輩社員のストーリー

商品、ひいては企業の方向性を考えられるマーケティング職の魅力が理解できたのではないでしょうか。

上記のP&Gのように商品ブランドそれぞれに担当を設けてマーケティングを行う会社もあれば、マーケティングの領域を細分化して営業企画や広報などの部署に分散している企業もあります。

同じ日用品・消費財メーカーのマーケティング職でも携わる領域は企業ごとに異なるため、企業研究によって自分が携われる領域を理解しましょう。

以下の記事ではマーケティング職の志望動機について解説しています。是非参考にしてください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:購買職

購買職の仕事は商品をつくるための原料や機材などを仕入れることでメーカーのものづくりをサポートする仕事です。

就活生にはあまり馴染みのない仕事かもしれませんが、多くの日用品・消費財メーカーにある職種です。

ここでも日用品・消費財メーカーの一つである花王で購買の仕事をしている社員の方の仕事内容を見て仕事内容の理解を深めましょう。

購買部門ではよきモノづくりに必要な製品の原料、包装材料、生産設備などの機材、販促物などの間接材を、どのサプライヤー様から購入するかの決定や、供給責任の追及、コストの最適化等を行っています。私は包材部の化粧品事業担当として、ソフィーナ商品やカネボウ商品の口紅容器やボトル、箱などの包装材料の調達先の選定、取引先への見積もり依頼、価格交渉などの日々の業務に加え、ESG視点での容器調達を遂行するための情報収集等も行っています。例えば、一つのボトルを購入するときにも、どのサプライヤー様から購入すれば品質が担保されるのか、コストメリットがあるのか、安定的に供給を受けられるのか、環境に配慮できるのか、検討すべき項目は山ほどあります。今の市場がどのような状態なのか、花王としてはどのような商材が求められているのか、常にアンテナを高くはり、世の中の動きを自分事としてとらえることを心掛けなければなりません。特に環境問題が叫ばれる今、購買の私としては何ができるのか、毎日試行錯誤の日々です。花王としての利益と社会に対する責任とを果たせるような人財になれるよう、今後も経験を積んでいきたいと考えています。

引用:花王|People|購買

上記の仕事内容を踏まえると、購買の仕事は商品開発や販促などメーカーのものづくりにおける上流から下流まで関わることができる職種だということが分かります。

「営業やマーケティングの仕事しか知らなかった!」という就活生はこの機会にぜひ他の職種も調べてみてください。一見興味のない職種でも面白さを見出せたり、他の職種を知ることで企業全体のものづくりの流れを理解する機会になります。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:コーポレート職

コーポレート部門には、バックオフィスに該当する経営企画、経理、財務、人事、総務、法務などがあります。それぞれの仕事の内容、特徴について説明します。

経営企画は、経営戦略や事業戦略の企画・立案・実行などを担当しており、企業経営の中枢部にあたります。細かい業務内容は各社で大きく異なってきます。

経理・財務の仕事は、事業活動に関わる全ての数値を管理・分析することで経営状況を客観的に把握できる状態をつくることです。また経営判断をするための資料も作成や資金調達、投資なども行っています。

人事・労務の仕事は採用計画及び新卒・中卒者の採用、人事制度設計・人事評価、教育研究などを手がけています。

総務は事業活動全般を支援しています。庶務、法務、経営管理など一般事務を手掛けており、業務範囲が極めて広いです。

法務は契約書の作成およびチェックや、トラブルが生じた際の対応に加え、より重要視されているコンプライアンスへの対応などの業務を法的知識をもとに行います。

以下の記事ではコーポレート部門について職種内容や志望動機の書き方を解説しています。コーポレート部門に興味を持った就活生は是非参考にしてください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容(技術系)

日用品・消費財メーカーの仕事内容(技術系)

続いて技術系の職種を紹介します。日用品・消費財メーカーの技術系職種は大学での専攻内容によって応募できる人が限られている場合が多く、理系の就活生を中心に選考が行われる職種です。

以下では技術職の職種を研究職と生産技術職に分けて解説します。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:研究職

研究職は生活者に届ける製品を実現し、量産できるようにする仕事です。

日用品・消費財メーカーは消費の流れが早く、すぐに新しい商品が生まれます。

そのため、競合他社に劣らない、ひいては勝る品質の製品を開発し続けることは売り上げに直結する大事な要因であり、日用品・消費財メーカーに欠かせない要素です。

日用品・消費財メーカーの研究職の仕事は大きく分けて基礎研究、応用研究の2つに大別されます。

基礎研究

基礎研究は会社の新たな価値を模索する研究をします。

直接商品にするためではなく、今後のビジネスにつながるきっかけを生み出す仕事です。

以下は日用品・消費財メーカーのライオンの基盤研究部門の仕事内容です。

基盤研究部門では新素材の開発やメカニズム解析、香りや味覚の流行の変化を捉えた香料開発や最新の分析技術、安全性評価で日々の製品開発を支えるとともに、将来の新規事業につながるテーマ探索にも積極的に取り組んでいます。各分野の専門性を磨くために、日々の技術習得への努力はもちろん、国内外の大学や研究機関との共同研究も行い、最新技術の取り込みも進めています。

引用:ライオン|仕事ガイド|研究職

企業にとってすぐに利益に直結する内容ではなく、将来的な製品開発につながり、会社に新たな価値を提供できる仕事であるといえます。

身近な例では洗濯用洗剤が粉から液体になり、現在はジェル状の商品が市場に出回っているように、技術の進化によって業界を大きく変えるような商品が生まれる可能性があるのは大きなやりがいではないでしょうか。

応用研究

次に応用研究を紹介します。

応用研究は基礎研究の結果発見、生み出されたものを商品として実用化できるように発展させる仕事です。

単に商品の開発だけでなく、使用用途の提案まで必要とされるため、市場ニーズを捉えた顧客起点・顧客視点での開発研究が求められます。

また、企業によっては応用研究を行う社員が商品開発を行う場合もあり、基礎研究と比較して消費者に対する洞察がより必要な職種であるといえます。

以下は上記でも紹介したライオンの製品開発研究職の仕事内容です。

ライオンの事業分野はオーラルケア、ビューティケア、ファブリックケア、リビングケアなどの日用品分野のほか、薬品分野、機能性食品分野があり、主に事業部と連携して製品開発を進めます。お客様のニーズの背景にある原因を科学者の視点で解明し、総合的な技術力で解決策を見出す仕事です。製品開発に関する専門技術に加え、関連分野の幅広い知識が求められます。

引用:ライオン|仕事ガイド|研究職

基礎研究との違いが仕事内容からも理解できたのではないでしょうか。

今回は便宜上基礎研究と応用研究の2つに分けて解説しましたが、研究職における棲み分けや行っている研究内容は企業によってそれぞれです。

気になる企業があれば採用HPなどを利用して是非調べてみてください。

また、以下の記事では研究・開発職の志望動機について解説しています。是非参考にしてください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容:生産技術職

生産技術職は商品を生産する工場などの製造現場にて商品を高効率、高品質、低コストで生産できるように設備の改善や工程の見直しをする仕事です。

日用品・消費財メーカーの製品を安心安全に生み出せるように支える仕事であるといえます。

以下は日用品・消費財メーカーの1つであるユニ・チャームの製造技術職の仕事内容です。

私の所属する保全グループの使命は、お客様に届ける商品を作る機械のメンテナンスや改造を行い、安定した品質と供給を保つことです。品質不良や機械の故障による商品の欠品を起こしてしまうと、会社全体はもちろんお客様にも大きな迷惑をかけてしまうため、常に安定稼働、品質安定を提供できる環境を築く必要があります。私は現在、既存設備の更新や可動率、出来高の向上のための改善をメインに担当しています。生産現場では、協力会社の方にも作業をしていただくので、誰もが安全に作業しやすい生産現場を構築していかなければならないため、実際に現場で働く作業者の方とも密に連携を取り、意見を聞きながら改善活動を行うようにしています。時には厳しい意見をいただくこともありますが、意見を反映し改善が成功したときや、生産性向上が数値として表れたときはとても嬉しく、仕事の糧になります。

引用:ユニ・チャーム|社員紹介|製造技術

製品が生まれ続けるために必要不可欠な仕事であることが理解できたかと思います。

今回便宜上研究職と生産技術職の2種類を解説しましたが、技術職の棲み分けは企業によってそれぞれの部分もあるため、以下の内容を参考に仕事内容をイメージした後は詳細を採用HPなどで調べてみてください。

以下の記事では生産技術職や製造技術職の志望動機について解説しています。是非参考にしてください。

日用品・消費財メーカーの仕事内容(番外編)‐安易にマーケティング職を志望するのは危険?-

日用品・消費財メーカーのマーケティング職を安易に志望するのは危険

ここまで日用品・消費財メーカーの働き方を職種別に紹介してきました。

そのなかでもマーケティング職に興味がある文系就活生の方は少なくないのではないでしょうか。

しかし、業務や配属リスクへの理解がないままマーケティングを志望し、日用品・消費財メーカーの選考に挑んでしまうと痛い目を見るかもしれません。

ここでは文系就活生から高い人気を誇るマーケティング職にフォーカスを当てて、漠然としたイメージのまま安易に志望することの危険性を解説します。

職種理解が浅いと危険‐「営業したくないからマーケ!」は甘い‐

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配属リスクを理解していないと危険‐いつ配属されていつまでいられるか分からない?‐

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さいごに

日用品・消費財メーカーの職種理解さいごに

本記事では日用品・消費財メーカーの働き方を職種毎に紹介しました。

本記事で日用品・消費財メーカーの仕事に興味を持った就活生は是非各企業のHPなどを参照し、企業ごとの仕事内容を比較検討してみてください。

Unistyleでは以下にも日用品・消費財メーカーに関する記事を掲載しております。こちらも参考にし今後の就職活動にお役立てください。

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