トヨタ自動車の志望動機対策|事業内容の理解なくしてES通過なし
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最終更新日:2023年09月27日
トヨタ自動車は愛知県豊田市に本社を構える超大手自動車メーカーです。
愛知県豊田市は以前挙母市という名称でしたが全国有数の「クルマの街」となったなどの理由で市名が変わったほど、地元におけるトヨタの影響力は大きいようです。
また、トヨタの販売するクルマにはプリウス、ランドクルーザー、アクアなどがあり、それらの車種はかなりの人気を誇っています。他にも燃料電池車開発を手がけており、世界初のセダン型燃料電池車MIRAIがトヨタ自動車から発売されました。
現在は若者の自動車離れ、環境問題が叫ばれており、それらの問題にトヨタ自動車がどのように対応していくのかは注目されるところでしょう。
以下の記事はunistyleで以前書かれたトヨタ自動車に関する記事です。是非参考にしてください。
参考:トヨタ自動車の求める人材や内定者ES・面接設問についてはunistyle上に記事がありますのでそちらも併せて御覧ください。
トヨタ自動車のビジネスモデル
トヨタ自動車のビジネスモデルは簡単にいうと自動車を開発し、それを売って利益を出すというビジネスモデルです。
しかし、自動車を開発する際にはマーケティングを行い現在顧客が何を求めているのか、どのような機能がほしいのか等を調査して開発に繋げています。
また、自動車の部品を供給している工場に価格交渉をしたり、生産技術を開発したりと様々なことを行い一つの製品を作り上げていきます。
では実際どのようなことをトヨタ自動車は行っているでしょうか。見ていきましょう。
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、駐車場内での衝突事故被害軽減に寄与する「インテリジェントクリアランスソナー」を搭載している3車種(アルファード、ヴェルファイア、プリウス)について、2015年1月から2016年6月までの18カ月の間に駐車場で発生した事故を調査した。
当該車種約6万台分を契約している保険会社による約2500件の事故データを調査した結果、踏み間違い(ブレーキとアクセルの踏み間違い)事故件数は約7割減少し、後退時事故件数については約4割減少という結果を得ることができた。
これはトヨタ自動車が開発した衝突事故被害軽減装置に関する記事です。自動車が原因になり事故が起こっていることは自動車が開発されて以来の問題になっています。
これを解決するために以前から運転者側の交通安全対策などは行われていきましたが、近年の技術向上により自動車側の安全対策ができるようになってきました。
今回は自動車につけられた装置によって事故が減少したという記事ですが、事故がなくなってほしいというのは社会全体の願いともいえます。この大きな問題をトヨタ自動車は解決しようとしています。
MIRAIは、将来の有力なエネルギーである水素を空気中の酸素と化学反応させて自らが発電して走り、優れた環境性能はもとより、利便性や走る楽しさもあわせ持つ、モビリティの新しい幕開けを告げるクルマである。
MIRAIは、自社開発の新型トヨタFCスタックや高圧水素タンクなどで構成する燃料電池技術とハイブリッド技術を融合した「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を採用。内燃機関に比べてエネルギー効率が高く、加えて、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能を実現するとともに、3分程度の水素の充填で充分な走行距離を得られるなど、ガソリンエンジン車と同等の利便性を備えている。
また、一目でMIRAIとわかるデザイン、全車速域モーター走行による優れた加速性能と圧倒的な静粛性や低重心化などにより操縦安定性を高めた走りの楽しさ、停電や災害などの非常時に使える大容量外部電源供給システム、より安心・安全・快適にお乗りいただくための専用通信サービスの設定など次世代車にふさわしい価値を提供している。
水素は、様々な一次エネルギーや下水の汚泥からの製造に加え、太陽光や風力などの自然エネルギーを活用して水からの生成も可能。
さらに、電気に比べてエネルギー密度が高く、貯蔵や輸送も容易であり、家庭や自動車用の燃料のみならず、発電への活用も期待されるなど、幅広い用途への利用が可能な将来の有力なエネルギーの一つである。水素を燃料として自ら発電して走るFCVは、将来の水素社会の一翼を担い、エネルギー多様化への対応をさらに加速させるものと期待されている。
これはトヨタが手がけている燃料電池車のMIRAIの記事です。燃料電池車とは燃料電池を搭載して走る車で、従来のガソリン車とは違い環境負荷が少ない車です。
現在、地球温暖化問題が積極的に叫ばれているなか環境負荷の高いような車は一般に好まれません。ただ、このような従来とは異なった車を開発することは今までの仕組みを変え開発するということなので困難が伴うと言えます。
新しい開発を行う際には技術者、工場の関係者、部品の調達を担当する人等様々な価値観を持った人々と協力していかなければなりません。ですから、様々な価値観を持った人々と協力して仕事をしたいという人は向いていると言えるでしょう。
また、燃料電池車を代表としてトヨタ自動車は様々な車を開発しています。これらの車はMade in Japanの代表的製品であり日本の存在感を世界で示すものと言えるでしょう。
以上のことを踏まえ、『「軸」に基づく業界比較』に基づいてトヨタ自動車の志望動機を考えると、
・価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい
・日本のプレゼンスを高める仕事がしたい
といった軸を持った学生には向いている会社と言えるでしょう。
では内定者はどのような志望動機を挙げていたのでしょうか。実際のESを見てみましょう。
トヨタ自動車のES通過者の志望動機解説
以下は実際のトヨタ自動車の内定者の志望動機です。ひとつずつ見ていきましょう。
向上心を持って挑戦し続けられるフィールドで、仲間と共に社会に貢献できる、誇れる仕事をしたいと考え、貴社を志望しました。
貴社OB訪問で謙虚でありながらも、挑戦し続ける尽きることのない向上心に大変感銘を受けました。豊田喜一郎氏の言葉である「無限動力」、困難に挑む熱が絶えず受け継がれていることを肌で感じました。野球を通し、個々が最高のパフォーマンスを目指し、それが団結した時ものすごい力を生み出すことを学びました。
16年間で学び得た人生で大切にしたい価値観が、貴社と合致しました。貴社では、国産車で国を社会を人を笑顔にしたい、幸せを届けたいです。これを実現するため、常に小さな目標を掲げては達成するサイクルを積み重ねていきます。
お客様第一のトヨタ生産方式の真髄を体得し、次の世代に当たる私が新しいことにどんどん挑戦していきます。そして、これまでにない愛され、誇れるクルマ作りに全身全霊取り組みます。
参考:【内定】エントリーシート
この方は「向上心を持って挑戦し続けられるフィールドで、仲間と共に社会に貢献できる、誇れる仕事をしたい」ということを志望理由として挙げられていました。
これは先ほど紹介した「価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい」と共通するものがあると考えられます。
また、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎の言葉を引用したり、野球のエピソードを盛り込んだりしてかなり説得力を増すことができています。
私は、一人で成し得ない困難な目標をチームで努力して成し得ることの出来る仕事、世界という舞台で海外の大きなシェアを持った競合メーカー相手に日本の良さを生かしながら形ある自動車というモノで戦っていくことが出来る仕事、という2点から貴社を志望している。
私は学生時代関東1部リーグにおいて、経験者かつスポーツ推薦の多い他大学の強豪校を、競技初心者集団の東大が倒す、という困難な目標を達成するため日々練習し、そこにやりがいを感じてきた。貴社は困難な目標をチームで達成するという点で、私が身を置きたいと思っている環境が整っている企業であると考えている。
貴社では、海外において、部活で培った組織の中でリーダーシップを発揮するという強みを生かし、チームワークを重視して組織経営に関わり、その過程で、組織に日本人ならではの謙虚さ、勤勉さなどを文化として根付かせながら発展させていき日本の良さなどを現地の人々に伝えたい。
参考:【内定】エントリーシート
この方は「一人で成し得ない困難な目標をチームで努力して成し得ることの出来る仕事」、「世界という舞台で海外の大きなシェアを持った競合メーカー相手に日本の良さを生かしながら形ある自動車というモノで戦っていくことが出来る仕事」ができるという2点を志望動機として挙げられていました。
この志望動機も先ほどあげた「価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい」、「日本のプレゼンスを高める仕事がしたい」という軸に共通するものがあります。トヨタ自動車は世界を相手にして商売をしていることもあり日本の良さを伝えるには良い企業のうちの一つであると思います。
ただ、このESではなぜ日本の良さを伝えたいのかということ、なぜ色々ある商品の中でクルマを選んだのかということが書かれていないのでそれを面接で聞かれた際に答えられるようにしたほうが良いでしょう。
またこのESも自身のチームで達成した経験をもとにかかれているため説得力が持てます。
貴社を志望する理由は、OB訪問や工場見学を通して「現地現物」と「人とパートナーを育てる姿勢」に特に共感したからだ。なぜなら、強いチームとしてもっといいクルマづくりを行なう事ができ、転換期を乗り越えられると考えたからだ。
大学時代を通して私は、電気自動車の研究と海外インターンシップという実体験から、自動車産業は歴史的な転換期にある事を知った。例えば、新興国が主戦場となる地域軸、IoTや燃料電池車などの製品軸といった多面的な転換だ。その転換期をサプライヤーや同僚と一緒になって乗り越えた時、それが私の生きがいだと確信した。
特にやりたい仕事は、商品企画だ。なぜなら、NPOでのセミナー企画やゼミでの研究から、自らの想いやアイデアを仲間と共に形にして、志を実現する事に最大の達成感を感じたからだ。例えば、トヨタが注力すべき新興国事業に携わり、お客様がわくわくする「もっといいクルマづくり」を行ないたい。
この方は「OB訪問や工場見学を通して「現地現物」と「人とパートナーを育てる姿勢」に特に共感したから」というのを志望動機として挙げられています。
これは直接的に先程あげた志望動機の軸には当てはまってはいませんが「サプライヤーや同僚と一緒になって乗り越えた時、それが私の生きがいだと確信した」「自らの想いやアイデアを仲間と共に形にして、志を実現する事に最大の達成感を感じたから」といったものをやりたいこととして挙げておりこれは「価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい」といったものに近しいものとなっていると思います。
ただ、なぜ「転換期を乗り越えた時が生きがいだと確信した」というのを明確にしないといけないと思います。他の業種でも実際転換期を迎えているのは事実です。
例えば、新聞業界と言うのは大きな転換期を迎えているのではないのでしょうか。だから、なぜクルマか、なぜ転換期かというのは明確にしておいたほうが良いと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回はトヨタ自動車の事業内容から志望動機を考えていきました。メーカーというのは理系の方にとってはイメージのし易いものだとは思いますが、文系の方にはどのような仕事内容か最初はわからないことも多いと思います。
ですから、さきほど紹介したunistyleの記事や会社情報を参照にして早めの業界研究を行うことを推奨します。
また、今回内定者の志望動機をとりあげましたが単にトヨタ自動車が好きだから志望したという短絡的なものはなかったと思います。BtoCのメーカーでは製品が好きだからという志望動機を挙げてしまいたくなりますが『「好きだから」という志望動機の8割が評価されない理由』からも分かるようにあまり評価されないのが現状です。
志望動機を考える際は本記事に加え、『内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク』も参考にしていただければと思います。