NECのES対策!求める人材を理解して採用レベルの志望動機・自己PR・ガクチカへ
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最終更新日:2023年09月26日
NECはパソコン・タブレットを初めとした機械メーカーとしての側面だけでなく、クラウド統合システムやネットワーク管理といったSIer企業としての性格を併せ持つ企業です。
メーカー×SIerというと同業では富士通が挙げられるでしょう。両社は共にメーカー系のSIerとして自社のハードウェアと組み合わせたワンストップのソリューション提案をしている点で共通していますが、富士通は主にITシステムの構築や設計を強みとしているのに対して、NECはネットワークソリューションに力を入れている企業となっています。最近では建設会社日揮と共同してプラント運転異常の予兆を検知するシステムの構築とサービスの提供に乗り出すなど、他業界との連携から創り出す事業も幅広く展開しているようです。
あらゆる業界・分野を顧客として案件を持つことができるだけでなく、社会をより豊かにしていく仕組みづくりにも携わることができるという点で、文理問わず魅力に感じている就活生も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなNECのESと採用HPからNECの求める人材について考察していきましょう。
事業内容と採用HPから考えるNECの求める人材
皆さんが普段利用しているスマートフォン。その急激な普及によってトラフィック(データの通信量)が大幅に増え、大量のサーバが必要になったわけですが、その構築を担当できたのもいい経験でした。当時は本当に大変で、そう感じる余裕もありませんでしたけどね。
通常の3分の2しか構築期間が取れず、準備に要する期間も短縮せざるを得ないという状態。規模を考えても従来のやり方では作業品質が落ちる恐れが生じたため、これまでの方法を変更しなければなりませんでした。
まず手間のかかる業務をピックアップし、設定ファイルの作成・チェック・比較を自動で行うツールを用意しました。このツールを活用することで人間が関わる業務を極力削り、作業時間の短縮できました。工程の調整も工夫して納期に間に合い、自信につながりましたね。
参考:NECの仲間たち
仕事上、私が大切にしていることは3つあります。
1つは、お客さまとの信頼関係の構築に努めること。問題が生じた際に、それを解決するためにお客さまの協力を得るには、日頃からの信頼関係の構築が欠かせないからです。
2つ目は、ともに働くチームメンバーとの、一体感の醸成です。最高の成果を得るためには、関わるすべてのメンバーが最大限に力を発揮してこそ。そのメンバーの力を引き出すことは、マネジメントを担う立場上、プロジェクト遂行のための私の大きな役目です。
3つ目は、社会に影響を与えるシステムに携わっていることを忘れずに、責任感を持って業務にあたること。人の生活に密接にかかわる重要なシステムを担当していることを忘れず、常に緊張感をもって業務にあたっています。
入社直後、プログラミング作業からスタートし、テスト、設計などを経験し、今ではリーダーとしてチームのマネジメントを任せてもらえるようになりました。仕事を任せてもらえる範囲が広がり、成長を実感できることが、大きなやりがいになっています。
参考:NECの仲間たち
上記2人の社員は所属している部門が異なります。それぞれの働き方から求める人材を導いていきましょう。
1人目の社員は、データ通信に必要なサーバー構築業務における取り組みについて述べています。以前もデータ通信の需要が高まったことから、従来よりも短時間で業務効率化をするため、新たなツールの活用により作業時間の短縮を成し遂げたようです。
このように変化の激しいSIerではこれまでの仕組みでは対応できない案件を受注することも多く、既存の仕組みや考え方に固執しているようではそれに沿った価値のある提案をすることは難しいといえるでしょう。そのため、変化に対応していくうえでの新たな仕組み作りをすることがビジネスを実現するうえで重要であると考えられます。
以上の理由から「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」のうち「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」素質を持った人材が求められていると導くことができます。
2人目の社員は仕事において自らが大切にしていることから、自身の仕事上のやりがいに結びつけています。1つ目に大切にしていることには信頼関係の構築を挙げているようです。NECのようなシステムを請け負い開発する企業では、自社の開発力をもとに顧客のニーズを把握し解決まで実行することになります。
顧客にとっては、システム開発の案件は一般に受注額が大きくなります。商材の特質について目を向けてみても、システムというものは作って納品したらそれで終わりという一時的な取引ではなく、その後も保守運用を中心とした面で長期間の関わりを持つことがほとんどであるため、信頼関係の構築は不可欠であると言えるのではないでしょうか。
以上より先述の5つの強みのうち「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」人材も求められていると言えるでしょう。
また、SIer企業では一般に要件定義・営業・開発といったフェーズを含む流れの中でウォーターフォールと呼ばれる作業工程が存在し、一つの案件に取り組むうえでは複数の行程の間でしっかりとした連携を取ることが必要となっていきます。実際、2人目の社員の「チームメンバーとの一体感の醸成」という記述からも読み取れるように、自らが属する部門だけでなく、普段まったく異なった業務を行うような人とも協力関係を築き、全体として成果を出すための働きかけをしていくことが大切になってくるのではないでしょうか。
すなわち、5つの強みのうち「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」こともNECの求める人材を理解するうえで重要であると言えるでしょう。
NECのES設問
(1)人が豊かに生きるための新しい社会インフラを提供し、社会に貢献することがNECの使命です。あなたがNECで、ICTを活用してチャレンジしたいこと、成し遂げたいことは何ですか?(400文字以内)
(2)上記の「NECでチャレンジしたいこと、成し遂げたいこと」を実行するために、活かせるあなたの強みを記入してください。また、それぞれの強みを発揮した経験についてもお書きください。(各50文字以内)
(3)本コース(職種)を志望する理由をお書きください。(200文字以内)
(4)誰にも負けない、あるいは人とは違ったアピールポイント(実績、経験、知識、資格、語学等)がございましたら記入してください。
NECのES設問(1)「人が豊かに生きるための新しい社会インフラを提供し、社会に貢献することがNECの使命です。あなたがNECで、ICTを活用してチャレンジしたいこと、成し遂げたいことは何ですか?」について
志望動機についての設問です。
志望動機は成し遂げたいことが自らの経験に根付いたものであるかどうか、その内容が当該企業のビジネスモデルで達成できるかが重要となります。
「【例文6選】エントリーシート(ES)の志望動機の書き方!独自調査を基に人気業界ごとに解説」に照らし合わせてみると、今回は①成し遂げたいことを中心に問われています。400字とある程度しっかりとした内容が書ける字数が設定されていますので、成し遂げたい内容についてのみをひたすら述べるのではなく、なぜそれを成し遂げたいのか、なぜそれを実現するフィールドがなぜSIer業界・NECなのかというようにフレームワークに沿った内容にすると説得力のあるものにすることができるでしょう。
私は、挑戦したい人が挑戦できる環境を作ること、を成し遂げたいです。
この考えを持つきっかけはインドの田舎で仲良くなった子供が、近くに学校がないことを理由にパイロットという夢を諦めていたことでした。何事もまず挑戦してみることを大事にしてきた私は、自分の周りには環境が整っていたから挑戦できてきたと気付き、彼には何も言えなかったことがとても悔しく、この状況を変えていきたいと感じました。
そのため、貴社ではICTを使ってインドのような途上国の田舎でも良質な教育を受けられる環境を作りたいと考えています。例えば、都市部や海外の授業を配信し地方でも受けられるようにすることや、人々が各地域の良さを映像などでプレゼンするコンテストを行い、地域自体を活性化させる方法を考えています。
私は持ち前の行動力で海外も含めた他企業や自治体の下へ飛び込み、交渉し、あらゆる場所で人々が挑戦できる機会を得る環境を作っていきます。
実際の内定者のESを参照してみましょう。
この内定者の成し遂げたいことは「挑戦したい人が挑戦できる環境を作ること」のようです。それを成し遂げたいと感じたきっかけについてインドで会った子供とのエピソードを取り上げています。企業が欲しい人材はあくまで企業の利益に貢献できる人材であり、自ら積極的に動いた経験で仕事に繋がる経験であることが重要です。
そのため、例えば「インド(海外)に行ったことがあるので海外で仕事したいからグローバル企業で働きたい」といった単純動機に基づいた成し遂げたいことは評価されません。この内定者の場合、成し遂げたいことについて「何ごともまず挑戦してみること」という自らの価値観に基づいた内容が書けている点がポイントになっています。
さらに、具体的にそれを実現するうえでの事業展開を示すことで、事業理解が進んでいることをアピールして志望度の高さにつなげることができています。ちなみに、以下のようにNECは自社のICT技術を活用して学校教育にソリューションを提案している企業です。そのため、成し遂げたいことの内容がNECのビジネスモデルで実現するうえで妥当性があることも評価される点となるでしょう。
NECのES設問(2)「上記の『NECでチャレンジしたいこと、成し遂げたいこと』を実行するために、活かせるあなたの強みを記入してください。また、それぞれの強みを発揮した経験についてもお書きください。」について
自己PRの質問の一種です。
自己PRは自らの強みが当該企業の求める人材と合致しているかどうかが重要となります。企業が求める人材に沿った内容でない的外れなアピールをしないよう意識する必要があり、強みを発揮した経験により裏付けがとれているかも重要となってきます。
しかし、今回は設問分で「活かせるあなたの強み」「強みを発揮した経験」とその点について明確に示されています。「単なる自己PRをお書きください」といった文面ではなく、ESの設問でその意図を明らかにし丁寧に尋ねてくるNECは親切であるといえるでしょう。求める人材の項目で示した3つの強みに基づいた内容に近づけるよう心がけてください。
NECのES設問(3)「本コース(職種)を志望する理由をお書きください。」について
志望動機の中でも職種の志望動機について問われています。志望度を図るうえで、入社後に働くイメージがしっかりと持てているか知りたいという意図が込められています。志望する職種での仕事理解を示す必要があるため、先ほどのフレームワークでは⑤取り組みたい仕事に該当すると考えられます。
例えば多くの文系学生が配属される「営業」と述べるうえでも、「誰を対象とした営業か」「何を売り込んでいく営業か」など具体的に述べることで理解度の高さをアピールすることができます。そのうえで、自身の強みが志望職種だからこそより発揮できる理由についてまで述べることができると評価されるESに繋がるでしょう。
NECのES設問(4)「誰にも負けない、あるいは人とは違ったアピールポイント(実績、経験、知識、資格、語学等)がございましたら記入してください」について
学生時代頑張ったことについての質問です。
学生時代頑張ったことは自己PRと同様、その経験から導かれる学びや強みが当該企業で生かされる内容であるかが重要となります。「知識・資格・語学」については「個人としての努力」についてアピールする内容になりがちですが、「信頼関係構築力」や「協力して成果をあげる」といった強みを持った人材を求めているNECでは、組織の中での強みについてアピールした方が高評価につながると考えられます。
もちろん、個人として努力することも仕事のうえでは重要ですので、組織の中での強みをアピールする中で、個人としての強みについても触れる形にすればより評価されるのではないでしょうか。
最後に
SIer業界のビジネスの「顧客のニーズを把握し解決まで実行する」という部分は多くの業界に共通して言え、例えば上位学生を中心に人気の戦略コンサルティングもそれに該当する企業と言えるでしょう。
しかし中でも、実際に自ら開発したシステムで実際に顧客のニーズに対して解決できるという点はSIer業界の魅力であり、そのためにも先に挙げたような求める人材の能力は重要になってくるでしょう。そのうえで、この記事がNECの選考に臨む就活生の参考になれば幸いです。
photo by Martin Thomas