「ベンチャーで学歴は関係ない」はホント?スタートアップ役員の学歴を調査!

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最終更新日:2023年10月27日

「ベンチャーで学歴は関係ない」はホント?スタートアップ役員の学歴を調査!

企業研究

Unistyle創業者・樋口(Twitter @happytarou0228)のtweetです。

リンク先のTechCrunchのポスト「大学別スタートアップ数&調達額ランキング」では、アメリカ国内の大学別に「卒業生が立ち上げたスタートアップの数」とその「資金調達*額」の調査結果がまとめられています。

このランキングの上位は、スタンフォードやマサチューセッツ工科大(MIT)、ハーバードなど、グローバルに名の知れた名門大学ばかりで占められており、【スタートアップ・ベンチャーのフィールドでも、学歴と資金調達額のあいだには相関がある】というメッセージを読み取ることができます。

*資金調達:企業が事業を行うために必要な資金を外部から獲得すること。

この場合は特に、「スタートアップ企業がベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けること」を指します。「VCの投資審査をパスした」すなわち「専門家から一定の水準以上の成長性を見込まれた」という解釈ができるため、調達金額はスタートアップの企業価値を知るうえで参考になる指標の1つにもなります。

本記事では、この「学歴と資金調達額のあいだの相関」が日本国内のスタートアップでも観測できるかどうか、実際のデータを用いて検証したいと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

仮説検証のためのアプローチ

unistyleでは、トップキャリアを歩む全1,333名のビジネスパーソンの経歴を調査し、独自のデータベースとして保有しています。

ここでは上記データベースのなかから、【直近5年間に総額1億円以上の規模で資金調達を行った未上場スタートアップに勤務しており、そこで役員クラス以上の職位にある人物】という条件で絞り込みを行い、該当するスタートアップ役員310名をピックアップ。

公開されているプロフィール情報などを通じて彼らの学歴を調査し、それらを統計的にまとめ直すことで日本のスタートアップ・ベンチャー役員の学歴の傾向に迫りました。

日本のスタートアップ・ベンチャーの役員は高学歴か

上記の母集団の学歴調査から、各大学の出身者数をランキング形式にまとめ直してみると、その傾向がくっきりと見えてきました。

トップは、40名のスタートアップ役員を輩出している東京大学。
慶應・早稲田が僅差で続き、その次は14名の京都大学です。

学生の絶対数が少ない東京工業大学・一橋大学もそれぞれ5位・6位とするなど、冒頭で取り上げたアメリカ国内のケースと同様、一般的に高学歴とされる大学が上位を独占するかたちになっています。

また、今回の母集団全体の構成比率をみても、高学歴層がマジョリティを占めていることがわかります。

いわゆる東京一工(東大、京大、一橋、東工)と早稲田・慶應だけで半数近くを占めており、その他の旧帝大・上位国立大とMARCHまでを合算すると、一般的に高学歴とされる層が全体のちょうど60%を占める結果となりました。

また、大学院卒業者の多さも興味深いポイントのひとつです。


※ 文部科学省 学校基本調査(平成29年度)

対象母集団としている未上場スタートアップ役員のうち、実に30.1%にあたる96名が大学院修士以上(博士卒も含む)の学歴を保有していました。

文科省「学校基本調査」によれば、2017年春に大学(学部)を卒業したすべての大学生のうち、大学院へ進学するのは11.0%。スタートアップ役員は全国平均のおよそ3倍の水準ということになります。

結論として、やはり日本国内においても【スタートアップ・ベンチャーのフィールドにおいても、職務上の成果・ポジションと学歴とのあいだには相関がある】という傾向は指摘できそうです。

(なお、ベンチャー企業への就職を検討している方にとっては、以下のunistyle記事もヒントになるはずです。)

最後に

本記事では、実際のデータを用いながら「スタートアップ・ベンチャーのフィールドにおいて、学歴と成果のあいだに相関が認められるか」という点を検証しました。

結果はアメリカの場合と同様で、スタートアップ役員の大半が東京一工や早慶などいわゆる「高学歴」によって占められていること、さらにそのうち約30%は大学院修士まで卒業していることが判明しました。

近年盛り上がっている「大企業 or ベンチャー」という二項対立の議論。
「ベンチャーで学歴は関係ない」というイメージが語られることも多いように思いますが、果たしてこれは本当でしょうか。

そのような採用戦略をとっている企業があるのも事実でしょうが、これまで見てきたように【スタートアップ界隈で成果をあげた人材のうち、大半が高学歴であること】ことを考慮すれば、そこには再考の余地がありそうです。

次回の記事では、コンサルやPEファンド、ベンチャー・キャピタルなど各業界在籍者の学歴を調査することで、新卒での就職活動にあたって自分の学歴とどう向き合っていくべきか、より深く検討を重ねたいと思います。

photo by Sebastiaan ter Burg

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「NTT、辞めました。」ー退職ブームに沸くNTTを中の人が考察してみたー 「NTT、辞めました。」ー退職ブームに沸くNTTを中の人が考察してみたー Webメディア上の記事・コンテンツは"エントリー"と言われ、中でも退職に関して述べたものを、"退職エントリー"と呼びます。日本を代表するような大企業から新興ベンチャー企業まで、様々な企業の退職者が自身の経験を発信していますが、中でも最近ブームと言っていい程退職エントリーが量産されているのが、ズバリ"NTTグループ"になります。参考:6年勤めたNTTを退職しました元々NTT関連の退職エントリーはいくつもあったのですが、上記のエントリーがバズって以来、NTTグループの退職エントリーが世間の注目を集めています。私自身も現在NTTグループの一角の大手企業に勤めており、こういった退職エントリーブームを中の人視点からしていろいろと思うことがあります(筆者は退職しているわけではなく現在も中の人です)。本記事では、そんなNTTの退職エントリーを紹介しながら、「NTT退職エントリーブームが示唆すること」について考察していきます。NTTに限らず、「安定した日系大企業」に共通する大手で働くメリット/デメリットが浮き彫りになりました。NTTに興味がある人もない人も、ぜひご覧ください。まず、"NTT"とは何か"NTT"という言葉自体をご存知ない方はいないと思います。「電話線を引いている会社?」「ドコモのこと?」「フレッツ光の会社?」世間一般では主にC向けの代表商品に紐づいたイメージが先行していると思われますが、NTTグループ自体は2017年度現在で連結子会社922社を要する日本最大級のグループ企業となっています。詳細については以下の二記事で異なった視点から述べていますので、こちらを参考にしていただければと思います。参考:内定者経験|NTT志望者がグループ他社の社員にもOB訪問をすべき理由NTT対策の総まとめ。ーインターン攻略から内定まで主要10社を完全網羅ー一般に、"NTT"と言われるとNTT東西・NTTドコモを始めとした個別企業を差すことも多いのですが、厳密にはNTTグループの純粋持ち株会社である日本電信電話のことをNTTと言います。(日本電信電話は純粋持ち株会社として設立されていますが、実際には自社で研究活動等を行い収益をあげているという点では事業持株会社の側面を持ちます。)最近ブームとなっているNTT退職エントリーの多くは、「〇年勤めたNTTを辞めました」といったように、「NTTグループうちのどの企業について書かれているか」については書かれていません。本来のNTTである日本電信電話の場合もあれば、孫会社と言われるような企業の退職エントリーである場合もあります。(ちなみに中で勤めていると、退職エントリーで書かれている内容がどの企業について書かれているものなのか何となくわかったりもします)「なぜ、辞めないのか」ーNTTで働くメリットー退職エントリーではもちろん「退職した理由」について書かれているわけですが、基本的には前職についての悪口だけをつらつらと述べるものではありません。「〇〇という良い点も確かにあったけど、最終的にデメリットの方が多いと考えて退職しました」という形で、自分の所属組織について良かった点/悪かった点を両軸で述べている印象があります。ここでは、退職理由の前にNTTで働くメリットについて、過去の退職エントリーや私自身の就業経験に基づいて紹介します。メリット1:いい人が多く、クビにならない総じてすげーいい人が多いです。コミュ力重視の採用を長年続けていることもあり、日本語が適切に通じて、かつ人もいい人が多い気がします。良く言えば草食男子、悪く言えばキレが無い、ガツガツしていないという感じでしょうか。私が新卒の時は、ザ・パワハラ上司みたいな人たちもたまに見ましたが、今では絶滅種でほとんど良い人しか見当たりません。出典:【退職エントリ】10年以上勤めたが、いまさらNTTを辞めました。「一緒に働く人」を志望動機の一つとして語る就活生はそれなりにいますが、NTTのグループの退職エントリーでも"人"については魅力として語っているものは多かった印象があります。総じて穏やかな人が多く、理不尽な要求やそれこそパワハラといったものはほぼ無い傾向が各種エントリーから読み取ることができます(もちろん現場によりけりで、「絶対にありえない」とは言い切れないわけですが)。また、元々NTT一社時代から分社化して現在に至るNTTグループでは、高年層を中心に様々な経歴を持った社員が存在します。そのため、得意分野やスキルの異なる社員がよくわからない人員配置をされている気も個人的にはしています。・僕の成績は最低だったが、なぜかクビにならない。国家資格や社内資格に無理やり挑戦させられるも連戦連敗。パートのご婦人の方々に罵倒され、息も絶え絶えに徒然を過ごすなか、無駄に歳を積み重ねる。出典:10年勤めたNTTを退職しました(無能編)こちらの方が生々しく語っている通り、NTTグループでは非常に解雇規制が強く、会社を辞めさせられるという事態はまず起こり得ません。特に成果を上げなくても、会社にいるだけでそれなりに役職が上がったりもします。企業に所属してその対価として得る給与を生活の糧としている人がまだまだ大多数である現代社会において、雇用の安定性が確保されていることはメリットの一つとして挙げていいことだと考えます。メリット2:「ホワイト企業」の代名詞就職活動の場で"NTT"と言われると、ホワイト企業のイメージをまず真っ先に抱く方も多いと思います。『「裁量が大きい」「風通しのいい」会社とは何か?就活界の5つのマジックワードを徹底解説』でも述べた通り、「ホワイト企業」という言葉の定義は個人の価値観によって異なりますが、ここでは便宜上残業が少ない・休暇日数が多いという労働時間に紐づく一般的な定義を扱います。そのためどちらかというと、ホワイトというよりは徹底した労務管理と法令順守意識と言った方が適切かもしれません。・生産性を犠牲にしてでも守る。サービス残業なんてやると逆に上司に鬼のように怒られる。・有給消化率は部署にもよるがほぼ100%。・退職後は非常に手厚い保証。嘱託社員のおじいちゃんによく自慢された。出典:7年勤めたNTT系列を退職して2年半が経過しました(ノンキャリア編)NTTグループがホワイト企業とイメージされる要因の一つが労働組合の強さにあります。若者の過労死や働き方改革などでこの手の話は近年注目を集めるトピックの一つにはなりますが、NTTグループの多くではサービス残業や不当な長時間労働なんてのはもってのほか。法令に違反するような労務管理をしたら最後、組合からお叱りや説明の場を設けられることになります。勤務時間については、PCの使用時間・オフィスの入退出時間・入居ビルの入退出時間までが管理され、どう頑張ってもサービス残業が出来ないような体制が整っているグループ企業も存在しています。また、よくある話で私自身も実感しているところとして、毎年有給休暇の期限切れ直前となる9月には休暇を取得する人が続出し、夏季休暇も相まって人手不足で仕事がなかなか進まないということが往々にして発生します。仕事を進めることよりも、有給休暇を使い切ることを優先する。それが、NTTグループなのです。メリット3:世間で言う安定性は抜群(と思われる)「ホワイト企業」と並んで就活生が話題に挙げる話として、その企業の安定性、すなわち潰れにくいかを気にするケースは多い印象です。元々は三公社の一つの国策企業として発足したNTT。長年日本の通信インフラを支えてきた組織として安定性をイメージする方は多いと思われます。NTTの全体像をちゃんと把握している人はおそらく(私を含めて)少ない数しかいないはずです。とてつもなく大きい企業グループで、本当にいろいろなことをやって日本を下支えしています。国や公共団体の情報通信分野において利用や政策をリードしているのは間違いなくNTTで、私はNTTが終わるようなら日本も終わると思っています。出典:次々出てくる退職エントリー、それでもNTTはすごいよこちらの退職エントリーが指摘する通り、端的に言って今でもNTTグループが日本の通信インフラを支えていることは事実でしょう。MVNOや海外の有名IT企業等が参入する現在においても、結局はNTTのプラットフォームが用いられて多くの事業は行われており、NTTグループが丸ごと潰れるといったことはまず考えられないと言っていいでしょう。もちろん、「10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった」でも指摘した通り、今や「~~社に入っておけば絶対将来も安泰」といった絶対的な安定というものは存在しません。とは言え、大企業やこういった社会基盤を支える企業がそうでない企業と比較して相対的に安定していることも事実であり、「NTTが安定している企業か」と言われればYesと回答せざるを得ない面も少なからずあると思っています。あれだけ株価が下がり世間的なイメージも悪くした東京電力が、潰れるどころかむしろ数年後にあっさりと過去最高益を記録した話は記憶に新しいことかと思います。「なぜ、辞めるのか」ーNTTで働くデメリットーこのように、NTTで働くうえでは様々なメリットがある一方で、当然これだけの退職エントリーが出ている分デメリットも存在します。デメリット1:効率性・スピード感の欠如NTTの社内システムは非常に使いづらい印象を受けます。末端までセキュリティ施策を推し進めるのは結構ですが、全体最適化のために推し進められた施策が個々の部署の生産性を大きく押し下げているケースが多々あります。参考:10年勤めたNTTを退職しました(無能編)こちらについては以前unstyle内の記事「NTT東日本のイメージが変わる?OB訪問でわかった実態」でも少し触れましたが、NTTグループ全体の傾向として、リスクに対する慎重な姿勢や非効率な業務運営がなされているケースは多いという指摘が広くなされています。意思決定の遅さというのも、「スピード感に欠ける」という指摘を受ける一要素でしょう。やはり日本の通信インフラを支えている企業らしく、セキュリティーには敏感な性格は強いと言えます。コーディング規約や社内で閲覧できるWebサイトに大幅な制約があるなど、業務を進めるにあたってあらゆる制約がかかっており、結果的に効率性を欠いている面があります。その例として上記のような社内システムの使い勝手の悪さは個人的にも実感しています。情報通信分野のリーディングカンパニーである割には、会議室の予約システムや勤怠管理システムなど、効率的とは言えない面が随所に見受けられます。デメリット2:給与には満足していない社員も一定数いる就職活動におけるNTTグループの代名詞として挙げられるのが、「まったり高給」という言葉。しかし、「NTTコミュニケーションズの社員が伝えたい6つの真実」でも触れた通り、「まったり高給」とは「まったりの割には給料がそれなりに貰える」という意味合いの方が近く、いわゆる「高給取り」と呼ぶには物足りないと感じる人は多いようです。入社7年目のサラリーマンの給料(ボーナスや家賃補助など全部込み)として、僕の年収653万円という数字は先に書いたように年代平均よりは良いしこの数字を貶すのは気が引ける。その一方でここからモリモリ上がるかというと管理職昇格という狭き門を通り抜けない限り良くて800万円になるかどうかというラインを生涯さまよい続ける事になる。出典:6年勤めたNTTを退職しました四十の管理職で650万らしい。ゆ、夢がない。出典:7年勤めたNTT系列を退職して2年半が経過しました(ノンキャリア編)また、役職についても各社上詰まり感が否めない傾向はあるようで、年齢を重ねれば半自動的に課長ぐらいまでは到達できるという時代でも無くなってきているようです。現に、定年が近づいていても、いつまで経っても平社員でいる人はそれなりに見受けられます(そういった人たちが特段スキルが低いようには内部で働いていて感じないのですが...)。その昇進も、いわゆる社内政治といった業務遂行とは直接関係のない分野や、社内システムの仕様といった他企業では通用できない狭い世界のスキルで決まっている面は少なからずある印象です。NTTグループは単純に給与として受け取れる絶対値が高いというよりは、扶養手当・住宅手当といった福利厚生に関する各種手当や、休暇の多さ・残業時間の少なさなど、総合的に加味したうえで待遇の良さが語られるべきだと思っています。一般的な生活をする分には十分な給与がある程度のゆとりをもって得られる一方、若くしてがっつり稼ぎたいという方には物足りない金額なのかもしれません。デメリット3:夢ある仕事?でも実際は...貴社がこれまでに築いたネットワーク技術や膨大な顧客基盤を活かして、今よりも人のつながりが強い社会を実現したい。私の強みである【組織の足りない部分に気づく力とそれを埋めるための行動力】を活かして、隠れたニーズを顧客から引出し、多くの社内外のスペシャリストを巻き込みながら、社会に変革を与える事業に取り組みたいと考える。また多くの分野の仕事に関わるなかで、ゼネラリストを超えたスペシャリストを目指したい。参考:【内定】NTT東日本エントリーシート(総合職)NTTグループの主要事業である情報通信の分野における志望動機のよくある例として、「社会をよりよくする」というビジョンを書くケースは非常に多い印象です。「NTT東日本の新卒採用HP」にも書かれた「つながる」というキーワードから想起されるように、「○○と××を繋げて社会をよりよくしたい」といったものがその代表例です。情報化社会という言葉が誕生してからしばらく経ちますが、今や通信やITが無くては事業活動や我々の日常生活は成り立たないものとなっています。それだけ活用可能性が高い分野であれば、通信やITを用いてあらゆる分野で社会をより良くするというビジョンを掲げ、企業に入社してくるという方はそれなりに多いことでしょう。良くも悪くも、受託開発のSIerの血は根強いです。お客様に言われた仕様のシステムを確実に作って納品する。旧来型のビジネスモデルをアイデンティティにしているため、今現在も全てはお客様ありきです。つまりは、会社は私たちに、プロフェッショナル御用聞きに徹することを望んでいるのです。当社に入社した社員のほとんどは、ITを使って社会に新しい価値を提供したい、社会を変えたいというモチベーションで入社したことでしょう。しかし、全てとは言いませんが、当社の大部分の仕事は、目の前の顧客だけをみた近視眼的な仕事がほとんどです。出典:【退職エントリ】10年以上勤めたが、いまさらNTTを辞めました。しかし、現実問題として、NTTグループの事業のメインは、技術力を活かして社会に新たな価値をもたらすことではなく、お客に要求された仕様通りにシステムを作り上げることだったりもします。もちろん全社方針として海外展開や新規事業へ手を出すといった話を時おり耳にすることはありますが、この方が指摘するように、まだまだ国内の受託開発のSIerとしての性格は根強い印象です。あれだけ海外展開のイメージが強いNTTデータでさえ、国内の売上高が過半数を占めているというのが現状です。インターンシップでよくあるような、「新規事業立案」みたいなものに携われるケースはほんの一握りでしょう。「通信・ITの力で社会をよりよくする」という気概を持って入社する一方、実際に入ってみると「要求された仕様条件を満たす」ことに必死で、ほとんどの社員が自らの仕事の社会的意義のようなものには目を向けず目先の業務に注力しているというのが現実ではないでしょうか。私自身は元々そういったビジョンがあって入社したわけではありませんが、それでもやはり今の仕事をすることで誰が喜ぶのか・社会の発展にどう寄与しているのかといった実感は正直得られないまま日々を過ごしているのは否めない気もしています。こういったミスマッチが、退職者を生み出す一つの要因となっていることが想定されます。優秀な人が日系大企業を抜けているのは、何もNTTに限った話ではないこれまでの内容から、「安定した日系大企業」の典型例とも言えるNTTグループにも、実際に働くとなると様々なメリット/デメリットがあることは認識していただけたかと思います。しかし、NTT退職エントリーブームである現在では、あたかもNTTグループだけで人材流出が加速しているかのように思われるかもしれませんが、このことは日本社会全体にある程度共通している傾向だと考えています。参考:「総合商社、辞めました。」76人の商社マンの転職キャリアを追うこの記事のように、現在新卒就活の最人気業界と言ってもいい総合商社でさえ、優秀な若手の離職率増加に危機感を覚えているということです。先ほど「解雇規制が強く、会社に所属しているだけでそれなりに役職が上がったりする→相対的に雇用が安定していて良い」といった話をしましたが、裏を返せばこれは優秀な若手にとって画一化された報酬・雇用体系による大きな機会損失となる可能性を含んでいると考えることもできるでしょう。新卒一括採用・終身雇用といった日本型雇用慣行が徐々に薄れていく現代において、優秀な若手社員にも雇用の流動化の波が少しずつ押し寄せてきているように感じます。ある意味日系企業の縮図とも言えるNTTグループでそれが顕在化するというのも不思議な話ではなく、今回はたまたまNTTグループで退職エントリーとして連続したからブームのように語られているだけだと考えています。意思決定の遅さ・非効率性・解雇規制といった先述した話の多くは多くの日系大企業にも当てはまるものでしょう。NTTを特に志望していない方でも、現代のキャリア論のある種一つの象徴として今回の一件を捉えていただければと思います。退職エントリーを読む際に注意すべきことさて、今回のような退職エントリーブームとなると、何だかNTTグループ(もしくはそれに代表されるような大企業全般)は辞めることこそが正義であり、残る側の人間=能力が無く企業にしがみつくことしかできない人のような見方をする方も中にはいるかもしれません。しかし、特に就活生の皆さんにとっては、このような考え方については注意が必要です。注意点1:退職しない人は退職エントリーは書かない至極当たり前ですが、案外見落としがちな観点だと思います。退職せずに企業に残る人は、退職エントリーに限らずわざわざ自身のキャリアについてWeb上であれこれ語る割合がぐんと下がります。世界史の分野でも「歴史上のほとんどは成功者の体験により出来ている」といった指摘がありますが、Web上の世界では「大企業を辞めた人」の方が自身のキャリアについて語る割合は高いと言えます。「ひとまず大企業に就職して長期間勤め上げる」というキャリアがまだまだ一般的なモデルケースとしてみなされている現在では、"普通ではない"(と多くの人に思われている)キャリアを歩む人の声が多く発信されるのは自然なことだと考えています。また、実際にNTTグループ・大企業を退職した人の中でも、退職したことに後悔している人が退職エントリーを書くケースは稀だと考えられます。就活生の皆さんには、退職エントリーには生存者バイアスだけでなく、"退職者バイアス"のようなものがかかっていることをくれぐれも忘れないでいただきたいと思います。もちろん、この方のように「残った側の人間」が情報発信をするケースはゼロではないのですが...。参考:5年強勤めたNTTを退職する気はありません(無能編)注意点2:そもそも、NTTグループ各企業を"NTT"と一括りにして考えることが間違っている巷で出回るNTTグループの退職エントリーですが、そのほとんどは辞めた先を"NTT"と表記するだけで、NTTグループのどの企業を辞めたか明記されていないケースは多い印象です。もちろん、NTT本体(=日本電信電話)について述べた退職エントリーもありますし、中の人からすればどの企業について言っているかほぼ特定できるものも存在します。しかし一方で、先述したメリット/デメリットはNTTグループの全体的な傾向ではあるでしょうが、結局は各個別企業ごとに、更にはその中の部署ごとによって実態は異なります。私自身、先述したメリット/デメリットは6つ全て基本的に共感できる内容ですが、隣の部署の同期は連日残業続き・向かいの部署の同期は短い期間で案件を回すスピード感のある(ありそうな)事業に従事といったように、結局は行き先次第で待遇や仕事内容は大きく異なります。そのため、900社超の企業を含むNTTグループを一括りにして「NTTの退職ブーム」とされるのは個人的には若干の疑問が残ります。注意点3:「大企業に勤める=スキルが身につかない=自身の市場価値が下がる」とは思って欲しくない先ほど「他企業では通用できない狭い世界のスキルが評価される」と述べたように、NTTグループの企業に勤めていると社内でしか通用しない知識で評価されるケースも多く、その後のキャリアの選択肢を広げるには適切とは言えない環境に遭遇する確率が高いのは事実だと思っています。こういった話をすると、「スキルが身につかないような上から降ってくる仕事をただただこなすだけだから大企業はダメなんだ。やっぱり今の時代ベンチャーに就職すべき。」といった論調を時おり耳にしますが、就活生の皆さんは本件については慎重に考えるべきです。「大企業」や「ベンチャー」をそれぞれ一括りに語るべきではないというのは前提に、ではベンチャーだったら本当にスキルが身につく可能性が高いと言えるのでしょうか。例えば企業体力がないベンチャー企業では単純に一人当たりがこなすべき業務量が多く、目先の業務を終わらせることに集中してしまう一方、稼働に余裕がある大企業の方が手厚い研修や業務外の時間を活用したスキルアップの機会が多いという考え方もできるでしょう。また、大企業の場合は最悪身動きが取れなくなっても「居続ける」という選択肢が取れる可能性が高いことは現実問題として優位性の一つでしょう。特にNTTグループの場合はジョブチャレンジというグループ他社への転職という機会も設けられています。もちろん、転職市場では「年齢」というのも一つの重要な評価指標になりますので、数十年同じ企業に勤めた後でのキャリアチェンジは困難であることが多いのは事実です。一方で、伊藤忠商事を退職し起業という典型的な大企業を「辞めた側」の人間であるunistyle創業者の樋口も、新卒では大企業に就職したことが結果的に自身の市場価値を高めた一要素となったことを指摘しています。転職活動では日系大企業もいくつか受けて、起業して売却までたどり着いた経験ももちろん評価されたんだけど、同様に新卒で伊藤忠という大企業で3年半過ごしたことも評価されてるように感じた。大企業の組織、仕事の進め方に対するある程度の理解を求めているんだろうと思う。—KotaroHiguchi(@happytarou0228)2018年6月28日最後に:NTT退職エントリーブームが就活生に示唆しているものは何か長々と書いてきましたが、結局この記事で言いたいことは「NTT退職エントリーがブームだよ」といった事実報告や、大企業を退職することを肯定/否定する話ではありません。(今回のNTT退職エントリーのような)一過性のブームに踊らされず、自身が描きたいと考えるキャリアに真摯に向き合い、それに伴う就職活動をしていくべき。「自分のモノサシでキャリアを考えろ」という話は直近の記事で何度もしており、「またか」と思った方もいらっしゃるでしょうが、それだけ繰り返すほど今の時代では大切なことです。新卒の学生は大人が思っている以上に株価や直近の業績に敏感です。もちろん株価や業績が、説明会開催などの採用にかける費用に影響するためという考え方も出来ますが、世の中の「空気感」といったものを感じ取っているように思います。トヨタがリコールの対象になるといった話がでると反射的に人気ランキングが低下するといったことが起きています。世の中の空気に敏感というと聞こえはいいのですが、自分自身の企業選びやキャリアに対する考え方がしっかりしていないために世の中の流れに翻弄されてしまっているとも言えます。参考:10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった東京電力やシャープといった大企業でも大きく業績を下げた時期がありました。就活生の最人気業界である総合商社でさえ、「商社の冬の時代」と呼ばれる時期を乗り越え現在の地位まで上り詰めました。いつかは、NTTグループにもこういった苦しい時代が訪れるのかもしれません。人生一度しか使うことができない"新卒カード"。『あなたは』それをどのように使い、どのようなキャリアを歩んでいく将来を描きますか。関連記事: 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【インターン前に準備必須!】unistyle特製エントリー企業管理シート(スプレッドシート) 【インターン前に準備必須!】unistyle特製エントリー企業管理シート(スプレッドシート) 例年、大学3年生の4月辺りから外資系企業・ベンチャー企業を中心にインターンの募集が開始されます。日系企業に関しては6月を過ぎた頃からインターンの募集が開始され、翌年3月の本選考解禁までに数多くの企業がインターンを実施しています。就活を効率的に進めるため、皆さんの中にもインターンに参加したいと考えている方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、インターンに応募する際に必要な「マイページの管理」という作業の手間を少しでも省いていただくため、オススメの管理方法の解説、並びに実際に使うことの出来るシートの配布をしていきます。unistyle特製のエントリー企業管理シートを活用し、適切にスケジュール管理をしていただければと思います。※管理シートのダウンロードだけをご希望の方はこちらから該当箇所に遷移することができます。企業のマイページや選考状況はスプレッドシートで管理しようそもそも就職活動を始めたばかりの方は、「マイページって何?」と思うかもしれません。マイページとは各社ごとに用意されている応募者限定のページのことを指します。応募者の情報から企業の選考情報、エントリーシートの提出、面接・イベント日程の管理・予約まで幅広いことを一つのページでできるようにしたものです。では、「なぜマイページをスプレッドシート等で管理する必要があるのか?」と思う就活生もいるのではないでしょうか。その理由は大きく分けて以下の4点があげられます。ID・パスワードを紛失する心配がなくなるマイページに簡単にログインすることができるスマートフォンからもマイページが開きやすい選考状況を一元管理できる【1】ID・パスワードを紛失する心配がなくなる一つ目の理由は、ID・パスワードを紛失する心配がなくなることです。人によっては、インターンの時点で数十社に応募することも珍しくないでしょう。マイページは各社ごとにIDとパスワードが交付されるため、手帳やメモなどの紙で管理すると紛失する恐れがあります。また、メールでもIDとパスワードは届くのですが、就活を始めると膨大な量のメールが来るため、探すことがかなり大変です。スプレッドシートで管理しておけば、作成した企業管理シートをクラウド上で保存できるため、紛失するリスクがなくなります。【2】マイページに簡単にログインすることができる二つ目の理由は、マイページに簡単にログインすることができることです。スプレッドシートを活用することで、マイページの「URL・ID・パスワード」を一括で管理できるようになるため、毎回サイトに飛んでIDとパスワードを打ち込むという手間がなくなります。ちなみに、ID・パスワードはコピー&ペーストで入力可能です。GoogleChromeをお使いの方は、上記の写真のようにID・パスワード管理機能で入力の手間を省く事はできますが、基本的に各社のマイページは同じシステムを使っているため、毎回ID・パスワードを探さなくてはいけません。【3】スマートフォンからもマイページが開きやすい三つ目の理由は、スマートフォンからもマイページが開きやすいことです。就職活動は移動時間が多いため、パソコンよりもスマートフォンを使う機会の方が多いかと思います。そのため、クラウド上に管理されていれば、スマートフォンからでも簡単にIDやパスワードを参照することができます。また、面接やイベントは先着順となる場合もよくあるため、スケジュールを組みやすくするためには、早めに予約をとることが不可欠です。スマートフォンでマイページをすぐに開ければ早い段階で予約をすることができ、予定を組みやすくなります。スプレッドシートはスマートフォン向けのアプリもあるため、ぜひ今のうちにダウンロードしておきましょう。【4】選考状況を一元管理できる四つ目の理由は、選考状況を管理できることです。スプレッドシートを活用することで、ESの提出状況・webテストの受検状況・GDや面接の日程確認といった選考状況の管理が簡単に行えます。また、フィルターを使うことで締切日順や業界ごとに絞り込むことも可能です。「ESを出し忘れた...」、「面接日程を間違えた...」というミスを最小限にすることができるのではないでしょうか。【unistyle特製】エントリー企業管理シートのダウンロードはこちらここまでの説明で、スプレッドシートでマイページを管理することのメリットについて理解していただけたかと思いますが、「自分で作成するのは面倒くさい...」という就活生もいるかと思います。そこでunistyleでは、就活生の皆さんに向けて「unistyle特製のエントリー企業管理シート」を作成しました。ぜひご活用ください。▼▼▼▼▼ダウンロードはこちらから▼▼▼▼▼エントリー【unistyle特製】エントリー企業管理シートダウンロード方法1.Googleアカウントを作成するスプレッドシートを利用するためにはGoogleアカウントが必要になります。まだお持ちでない方はGoogleアカウントを作成し、ログインした上で上記のリンクをクリックしてください。2.スプレッドシートを保存する上記のリンクをクリックすると、閲覧用のスプレッドシートが開きます。ツールバーの[ファイル]→[コピーを作成]をクリックして、自分のアカウント上に保存してください。管理シートの特徴エントリーした企業のURL・ID・パスワードを一括管理することができる!→企業ごとにマイページのURLを調べずとも、簡単にログインすることができます。エントリーした企業の締切情報をまとめて管理することができる!→ESの提出・テストの受検を忘れるリスクを軽減できます。自分オリジナルのシートを作成することができる!→シートは自由にカスタマイズすることができますので、自分が最も使いやすいようなオリジナルのシートを作成してみてください。最後に本記事で配布した「エントリー企業管理シート」が皆さんの就職活動のお役に立てれば幸いです。※配布資料に不具合等がありましたら、こちらまでご連絡いただければと思います。また、unistyleでは、大手企業を中心にインターンの締切情報を掲載しています。情報は随時更新されておりますので、こちらからページに遷移していただき、エントリー企業を効率的に探してもらえればと思います。インターンへのエントリー・選考対策など、就職活動をしていくこれからの期間の過ごし方を考える際の参考として以下の記事も参考にしてみてください。参考:→日系大手から内定をもらうために必要な9ステップの作業を時期別に解説した記事です。日系企業を志望している方は本記事を読み、どのように行動すれば良いのかを把握しておくと良いでしょう。参考:→就職活動を始めたばかりの方に向け、志望企業の内定獲得に必要な12ステップを解説しています。ステップを一つずつクリアし、戦略的に就活を進めてもらえればと思います。 77,056 views
【20卒上智理工学部】デニナギくんの就活体験記|2018.7 interview 【20卒上智理工学部】デニナギくんの就活体験記|2018.7 interview 6月から大手就職サイトがインターンシップサイトという形でオープンされたことを皮切りに、20卒の皆さんも少しずつ「就職活動」をはじめているのではないでしょうか。今回は上智大学理工学部のデニナギくんに2018年7月にインタビューした内容を掲載します。本記事で同じ20卒の就活生が、今何をしていて、何に悩み、今後何をしようとしているのかが伝わり、少しでも皆さんの就活の役に立てればと思います。上智大学デニナギくんの履歴書デニナギくんの履歴書◆性別└男性◆大学└上智大学理工学部に現役入学。◆趣味└サッカー(小学4年から現在まで)。ポジションはボランチ。プレーするだけでなく観戦するのも好き。◆サークル└サッカーサークル。週3回の活動や大会合宿にも積極的に参加している。◆アルバイト└飲食チェーン店で大学1年生から働いている。主にホールを担当、たまに調理も行う。2018年2月からベンチャー企業のインターンをしている。◆留学└なし。海外経験もないが、海外で働くことに対して漠然とした憧れはある。◆資格└特になし。TOEICも受けたことがないが、今後受けようと考えている。◆就活をはじめた時期└2018年6月頃◆志望業界└現段階では定まっていない状況。何に興味があるかも分からないため、インターンを通して探そうと考えている。◆希望職種└こちらも明確に定まっていない。ただ、自身の適性を鑑みて、営業は向いていないと感じている。本インタビューはunistyle編集部のむたか(@mutaka_unistyle)とくらもん(@esquestion)にて行っております。大学入学までデニナギくんの高校生活「はじめまして。今回は密着型インタビュー企画に協力いただき、ありがとうございます。早速質問していこうと思うのですが、デニナギくんはどのような高校生活を送っていましたか?」「地元でも有数の偏差値の高い高校に入学したこともあって、高校1年生の頃から予備校に入って勉強はしていました。サッカー部に所属していたので、1、2年生の時は、そこでの活動に力を入れていました。仲の良い友達もサッカー部がメインでしたね。3年になって部活を引退すると、2つの予備校通って大学受験のために勉強に打ち込みました。」なぜ今の大学に入学したのか「大学受験に向けてかなり勉強を頑張ったみたいだけど、そもそもなぜ上智に入学しようと思ったの?」「上智に入った理由は他の大学に落ちたからという消極的な理由ですね。もともとは、東工大の機械系の学部が第一志望だったのですが、落ちてしまいました。他には早慶の理工学部と千葉大の後期を受けていたのですが、それらも落ちてしまったので現役で上智に行くことにしました。」・高校では、サッカーに打ち込む。勉強に関しても疎かにすることなく、全体の真ん中くらいの位置をキープ。・第一志望の東工大に落ち、一度は浪人を考えるも特段東工大に対するこだわりはなく、かつ浪人して私立には行きたくなかったため、安全策を取り上智大学を選ぶ。大学入学~これまで取り組んでいる学業「理系ということですが、大学ではどんなこと勉強してる?ゼミとか研究室には入ってるの?」「ゼミは4年から本格的に始まるので、今はまだですね。大学の授業も何かに特化して勉強するというよりは、C言語やJavaのプログラミングといった情報系の勉強や、通信系、数学、化学等々幅広く勉強しています。狭く深くというよりは広く浅く勉強しているので、専門性といった観点でいうとそこまでないかもしれません。4年次に何を専攻するかを決めてそこから深く勉強していくみたいです。」「文系と比較して、理系は授業だったりテストだったりが大変なイメージだけれど、そこらへんはどう?単位に関してもどんな感じかな?」「3年の今に関して言うと、週に4日学校に行って一日3コマ程度を受けているような感じです。授業も実験や必修が多いので出席だけするとかはあまり出来なくて、結構忙しいです。ただ後期になるとゼミと研究室だけになるので、学校に行くのも週に2、3回程度になりますね。課題についてはあんまり多くないので前日にちょっとやれば十分なんですが、テストが少し重めなのでしっかり勉強しないとヤバイかもしれません。単位に関してはあと40単位くらいなので余裕です。」「授業にもしっかり出てるってことだけど、就活との両立ってできそう?教授によってはあまり就活行かせてくれないみたいなことも耳にするけど。あと、4年になって研究室に入ると思うんだけど、院進とかは考えてないの?」「それは教授によりけりなのでなんとも言えませんね。院進に関しても考えたことはあるんですが、特にこれを勉強したいというものもないので積極的には考えていません。もし就職できないみたいなことがあれば考えるかもしれませんが。」サークル・部活動・アルバイト「所属しているサッカーサークルでは何か役職には付いてる?活動頻度やサークルの規模感についても教えてください。」「書類管理係のようなことはしているのですが、特にこれといった役職はありません。サークルの規模感については、70人くらいでそのうち25人程度が積極的に参加しているような感じです。活動頻度は週に3日で、年に4、5回大会合宿があります。僕自身サークルに関しては積極的に参加していますね。」「サークルの他にアルバイトも大学1年生からやっているみたいだけれど、そこではどんなことしてるの?」「飲食店のアルバイトでは、主にホールをやっています。ただそろそろやめようかなと考えていて、今はちょうどプログラミングのインターンを探している最中です。」「プログラミングっていうのは、やっぱり専攻が関係してるの?」「そうですね、学部の勉強を活かしたいというのが大きいですね。実際に授業でプログラミングをやってみて適性もあるかもしれないと感じています。将来的に専門性をつけられたらいいなというのもあるので、やってみようと考えています。・大学では、勉強の他に飲食店のアルバイトとサッカーサークルの活動に取り組んでおり、現段階ではこの2つがガクチカになるかと思われる。(ガクチカはサークルでサッカーを教えたエピソードを書いている。)・大学でサッカー部に入ることも一度は考えたが、アルバイトの時間や遊ぶ時間が取れないと思い断念。・今現在、志望業界ややりたいことは決まっていないものの、学部の勉強と関係のあるプログラミングのインターンを検討しており、自身の専門性を磨きつつ就活に臨もうとしていることが伺える。就活を意識しはじめた時期と出来事就活をはじめたキッカケ「就活に関して質問していきたいのですが、就活をはじめたキッカケはなんですか?時期だからというのもあると思うけど、それ以外に理由や背景があれば教えてください。」「時期が来たからというのが大きな理由ではあるのですが、それ以外だと親がうるさいっていうのもありますね。」「そうなんだ。親御さんはどういうことを言ってくるの?」「就活が早期化しているから早めに動いた方が良いってことはよく言われます。他には、インターンに言ったほうが良いとかそういうことですね。」「なるほど〜。就活が早期化しているのはよく新聞等でも言われているし、インターンが選考に直結していることも少なくないから、親御さんがそう言うのも分からなくはないなあ。ところで、周囲の友達は就活に対して意識高く動いてる?」「それはあまり感じませんね。みんな今インターンのESを出し始めたような感じです。なので周囲を見てても特に自分が遅れているという意識はありません。ただ、自分が何をやりたいのかが明確になっていないので、その点については少し焦りを感じています。」・自身で能動的に就活を始めたと言うよりも、親や友達等周囲の影響が大きい。・周りと比較して焦っているというより、今現在やりたいことがないことがないことに焦っている。デニナギくんの企業選びの軸「就活をしていく中で今後よく問われることになると思うけど、企業選びの軸ってある?」「それが全然イメージできてなくて、、、、。今自分が何をやりたいかも明確になっていないような状況です。正直なところ、何もやりたいことがないので、軸も何もという感じです。焦りは若干感じてます。」「なるほど。でも、就活を始める前からこれをやりたいっていうことがある人の方が少ないと思うし、それも当然なことのような気がするけどね。多くの人は自分がやりたいこととか興味を持てることを探すためにまず動いてみるという感じだと思うよ。だからデニナギくんの今の状況も全然ネガティブに捉える必要はないと個人的には思うけど。ただ、やりたいことがないにしても、漠然とでもいいから将来こうなりたいみたいなイメージは持ってる?」「本当にざっくりで恥ずかしいのですが、給料と人に関しては大切にしたいなと考えています。毎日ハーゲンダッツを食べられるくらい稼げれば良いなとは思ってます(笑)。」「ハーゲンダッツを毎日食べられるくらいね(笑)。給料と人に関してはそれぞれ具体的に何歳までにいくら欲しいとかこういう人と働きたいとかっていうのは固まってるのかな?」「給料は日常生活を不自由なく送ることができて、たまに贅沢ができれば良いと考えているので具体的な数字にまでは落とし込めていません。人よりちょっと多いくらいあればいいかなとは考えています。人に関しては、言い方はあれですが変な人がいないところが良いです(笑)。意識高い人が多い企業や営業バリバリやるぞみたいな人が多い企業は苦手だなと思ってます。」「聞いているとまだまだ具体的に落とし込んだり、言語化できていないような段階だね。今やりたいことを見つけたり、自分の軸を言語化したりするために何か意識的にやっていることとかはあるかな?」「やりたいことを見つけるために、長期のプログラミングのインターンを始めたり、企業の短期インターンに参加したりしようと考えています。自分一人で考えていても何も生まれなさそうなので、実際に行動してみようとは思っています。」・将来やりたいことは定まっておらず、同様に軸に関しても固まっていない。・漠然と将来こうなりたいというイメージはあるもののそれを本当に重視しているのかは疑問。給与に関してもそこまで強いこだわりがあるとの印象は受けなかった。・就活の軸を明確化させるためにもまずは動いてみるしかないと考えている。やり取りからも本人の焦りや不安というのが伝わってきた。7月現在、志望している業界や職種志望業界「これまでいろいろと話を聞く限り、志望業界に関してはまだまだ定まっていなさそうな印象を受けたんだけど、実際のところどんな感じかな?」「その通りです。まだ志望業界に関してもまだ何も決まっていないような状況です。まず、業界に関しても知識不足だと感じているので、業界を知るところから始める必要があると感じています。」志望職種「じゃあ、志望職種に関してもまだ決まっていないと思うけど、どういう働き方をしたいとかそういうのは現段階である?」「転勤はしたくないですね。高校まで首都圏で暮らしてきたので、就職でも東京を離れたくはないです。職種に関して言うと、先程も申し上げたように営業はやりたくないし、適性もないと思ってます。大学での専門性を活かすことができるプログラミング系の仕事もいいなとは考えています。あと、転職とかも全く考えていないので、年功序列で定年まで安泰な企業に就職したいというのはあります。」・志望業界に関しても定まっていない。そもそもどのような業界があるのかについてもまだ把握できていない。・職種に関しても同様に決まっていないが、漠然とではあるが専門性を活かした働き方ができれば良いと考えている。7月にやろうと思っていること「7月には何をやろうと思ってる?聞いてきた限りだとインターン選考への参加が主な動きになってきそうだけれど。もしそうであれば、具体的にどんな企業を受けているのか選考状況も併せて教えてくれるかな?」「はい、インターンのES提出や面接がメインになってくると思います。インターンのESに関しては、現段階で6社提出しました。企業名を出すと、三菱電機、ソニー、NTTドコモ、NTTデータ、ADK(アサツーディ・ケイ)、野村総合研究所です。選考状況に関して言うと、三菱電機とソニーはES落ちしてしまいました。NTTドコモは次がGDで、その他はESの結果待ちというところです。あと、これから楽天、博報堂、キヤノンについてはESを出す予定です。」「あまり業界に一貫性を感じないけれど、どういう基準で提出してるのかな?」「幅広い業界を見るために業界に縛られることなく幅広くESは提出しています。正直なところ、知っている企業を締め切り順に出していっているような感じです。」・インターン提出企業は業界で絞るということはせずに幅広く提出しているが、とりあえず聞いたことのある企業に提出するという、業界研究という観点からするとやや非効率とも思えるやり方を取っている。・その企業に興味があって出しているというよりも、今やるべきことが定まっていないがためにとりあえずESを提出しているような状況。今就活で悩んでいること「これからインターン選考が本格化してくると思うけど、就活で何か悩んでいることはある?」「何に悩んでいるのかも分からないというのが今の状態です。何かしなければいけないという焦りがあるのですが、何から手をつければ良いか分からないといったところです。」「確かに、話を聞いていてそれは感じたな〜。時期が来たから就活を始めてはみたものの、何をやれば良いのか、自分が今どのような状況にあるのか等々、就活の全体感や自分の状況について理解できていないような状況だよね。」「はい。ガクチカは何をどのように書けば良いのか、業界研究のやり方はどうやるのか、面接やGDの対策の仕方等々就活に関しては分からないことだらけです。そもそも就活が今後どのようなスケジュールで進んでいくのかについても把握しきれていません。」・就活に際して何から手を付ければ良いのか分かっていない状況。若干の焦りは感じている。・今の悩みを解消するために、どのような媒体を使えば良いかや誰に聞けば良いか等々、そもそも問題解決の方法から把握できていない。unistyle編集部よりデニナギくんへのフィードバック就活に関しては、まだまだこれからとの印象を受けます。周囲に流されてとりあえず始めてはみたものの、今何をすべきなのか、就活がどのようなスケジュール感で進んでいくのか等々、全てにおいて未だ理解が不十分な状態であるといえるでしょう。志望業界や職種に関しても定まってはおらず、業界に関しては絞り込む前にそもそもどのような業界があるのかを知る必要があると言えます。業界を知らずして、受ける企業を決めていくのはまず不可能でしょう。デニナギくんは業界や企業に関する情報が欠如しているために、インターン提出企業についても自身の知っている企業、聞いたことのある企業にとりあえず片っ端から出していくというような形になってしまっています。このやり方が必ずしも悪いという訳ではありませんが、就活におけるゴールを「内定獲得」であると考えたときには、非効率的なやり方と言えるでしょう。この時期から動き出し、インターン選考に積極的に参加している点は良いと思いますが、本選考を見据えて戦略的に動くことができるとインターン参加もより意義のあるものとなるでしょう。そこで、まずデニナギくんには、以下のunistyleの記事に目を通すことを勧めたいと思います。「何から取り組めば良いかわからない」方が読むべき記事3選はこちら【1】【2】【3】何から始めれば良いか分からない方は、まずは就活全体のスケジュール感を掴むところから始めましょう。その上で、就活におけるゴールは何なのかを考えて、就活における目標設定をする必要があるでしょう。就活におけるゴールは内定獲得であったとしても、中長期的な視野で見たときに内定獲得はゴールではないと考えています。就活に臨むにあたっては、自分自身の経験と向き合い価値観や志向を明らかにした上で、後悔のない企業選びをすることが重要です。次回(8月)までになにをすべきかこのインタビューでは、デニナギくんが「自身の適性や志向を正しく理解・把握した上で志望企業を設定し、当該企業から内定を獲得すること」をゴールと置いています。彼が現段階で行うべきは以下の3つでしょう。◆次回までにすべきこと1.就活スケジュールの把握2.自己分析・業界研究・企業研究3.インターン選考への参加就活スケジュールの把握については上記でも述べました。2の自己分析、業界研究等についてはまずは大まかにやってみることが大事です。細かいところまでやり込もうとすると、途中で諦めてしまうことになりかねないので、始めはさらっと全体をさらうようなイメージで気負わずやってみてください。その上で、アウトプットの場としてインターン選考を利用しましょう。自分の自己分析や業界研究は十分だったのか、反対にそこまで時間をかける必要があったのか等々の振り返りをすることが大事です。夏のインターン選考では、ESや面接で落ちることも多々あるでしょう。ただ落ちることを怖がって、選考に参加しないということだけは控えましょう。何度も落ちて、自分自身を見つめ直したり、志望動機をブラッシュアップしたりということを繰り返していくことこそが、最終的に内定獲得に繋がります。インターン選考参加に当たっては完璧な準備をしようなどとは考えず、現状の力試しで受けてみるくらいの心持ちで良いかもしれません。●その他の20卒就活生のリアルタイム就活体験記は以下よりご覧いただけます。● 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