森ビルのES対策!求める人材を理解して採用レベルの志望動機・ガクチカへ
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最終更新日:2024年05月17日
就活生から高い人気を誇る業界のひとつに、不動産業界があります。
その中でも2014年6月、東京都港区に開業した超高層ビル、虎ノ門ヒルズの開発に大きく携わったのが、今回紹介する「森ビル」です。
同社はその他にも、表参道ヒルズや六本木ヒルズ、ラフォーレ原宿など、誰もが知っているような建物の開発に参画しており、業界内でも非常に大きな存在感を誇っているといえるでしょう。今回はそのような森ビルの求める人材について考察していきたいと思います。
【森ビルの企業研究】
→本選考・インターンESおよびレポートを提示しています。
森ビルの求める人材
ここでは、同社の採用HPや事業内容と「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照して、森ビルに求められる人材像を共に考えていきましょう。
長尾は、計画段階から10年以上の長期に渡ってプロジェクトを牽引してきた立役者のひとりだ。企画開発部は、プロジェクト全体のマネジメント役を務める。社内では関わる全ての部署をまとめ、社外においては権利者や行政機関に働き掛けながら開発を進めていく。
虎ノ門ヒルズのプロジェクト名は「環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業III街区」。《中略》
計画の問題点を解決するためには建物を1棟に集約することが必要だった。しかし、道路の上に超高層タワーを建築するという計画は前例がない。最終決定者である東京都に計画変更を認めてもらうことはそう簡単ではなかった。
《中略》
「将来を見通した景観づくりや安全性はもちろんのこと、事業性や商品力など、計画変更が与える影響を事細かに検証しました。これを、東京都のあらゆる関係部署や地元の会合で何度も議論して、理解を求めていったんです。」
《中略》
長尾は、このプロジェクトを起爆剤に街を大きく変えていきたいと意気込む。「これから虎ノ門ヒルズがどんどん拡がっていくようなイメージなんです」。
周辺にも大きなプロジェクトを抱えている森ビルが目指していくのは、ビジネス街としてだけではなく、暮らす人や遊びに来る人にとっても魅力のある「磁力」を持った街だ。
「都市開発のやりがいは、とにかく多くの人が関与していくところ」。プロジェクトに関わる幅広い関係者が同じ方向を向いていけるようひとつひとつ課題を解決していくことには大変な労力を要するが、だからこそ、出来た時の喜びは言葉では言い表せないという。
引用:森ビル新卒採用HP「虎ノ門ヒルズ開発STORY」
不動産業界の使命は、「街の未来を創る」ということです。
実際に上記社員の声でも、森ビルが目指す姿として「ビジネス街としてだけではなく、暮らす人や遊びに来る人にとっても魅力のある「磁力」を持った街」が挙げられており、そこに関わる人々の生活スタイルを変えうるという責任感を持って、慎重に仕事を行うことが必要になります。
実際の業務内容として、まずは「用地の取得」を行いますが、土地の所有者から異論の声があがることも多々あります。
その際には、建物を新たに造る意図を丁寧に説明したり、彼らの生活設計に寄り添った意見交換を行ったりすることで、地権者の方々のニーズを引き出し、信頼関係を構築していくことが非常に大切になります。
また用地取得の完了後には、条例や建築基準法に関して都道府県や地域の行政機関と協議を重ねて理解を求め、さらにゼネコン各社への受注を通じて、限られた工期内での建造を目指していきます。
同時に、ビルや商業施設の建設時には、その建物に入居してもらえるよう、住民やテナントの誘致活動も必要になります。
すなわち上記社員の表現を借りるならば、不動産業界で働く上では、行政やゼネコン、テナントなど立場の異なる「関係者が同じ方向を向いていけるようひとつひとつ課題を解決していく」力が強く求められると言えるでしょう。
以上を踏まえると、森ビルで働く人材には、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」や「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」、「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」といった素質が求められると考えられます。
森ビル本選考設問
以下、森ビルの設問となります。
設問1 森ビルは、あなたのことについて知りたいと思っています。あなたを知る上で欠かせない、これまでの経験や具体的なエピソードを教えてください。
◆タイトル(30文字以内)
◆経験や具体的なエピソード(800文字以内)
設問2 あなたについてもっと知りたいと思いますので、さらに、2つの経験や具体的なエピソードを教えてください。設問1、2-1、2-2のうち、1つは学業のことを中心にお書きください。
◆2-1 タイトル(30文字以内)
◆2-1 経験や具体的なエピソード(300文字以内)
◆2-2 タイトル(30文字以内)
◆2-2 経験や具体的なエピソード(300文字以内)
設問3 当社を志望する理由を教えてください。
◆志望理由(400文字以内)
設問(1)「森ビルは、あなたのことについて知りたいと思っています。あなたを知る上で欠かせない、これまでの経験や具体的なエピソードを教えてください。」について
いわゆる「学生時代頑張ったこと」がこの質問に当たります。
字数が非常に多いですが、自身が入社後に活躍できる人材であることをアピールするために、「方法論」まで記述することを欠かさずに行いましょう。
ここでは、実際のESを参照してみましょう。
私は個人経営の塾でアルバイト講師として働いていました。
その塾は生徒数が少なく、あまり経営がうまくいっているとはお世辞にも言えないような状態でした。ある日、塾長に『今年いっぱいで塾を閉鎖しなければならないかもしれない』と伝えられました。私はお世話になった塾を閉鎖したくないと思い、今までは自分がすべきことだけをやってきましたが、そうした固定概念を捨て、自分にできる最大限のことをすべて考えました。
以前の私は、よりよい授業を行うことだけを意識してきました。しかし、それだけでは倒産は免れないので、指導だけではなく、経営に関わる所を自分にもやらせてもらえないかと頼み、なんとか任せてもらえることになりました。
まず自分なりに現状打開への課題を洗い出しました。
その課題は、
①個人経営ということによる知名度の低さを解決すること。
②授業の質が講師によって差があることでした。
それらを解決するために、
①まず近所の小中学校の前でビラを配り、無料で授業を受けてもらうことにしました。また、塾のHPがなかったので、パソコンが得意な私がHPを作り、自前の授業料の安さをうりに宣伝しました。
②講師の差は定期的に講習を受けることや、他の講師を参考にするために授業の様子を撮影することを導入するように働きかけました。
その結果、生徒数が11人から最高57人まで増え、塾は閉鎖せずにすみました。また、報酬として30万円をいただくことができました。
この経験から、実際に自分の足を使って動くことで及ぼす影響力の大きさや、諦めなければ結果はついて来るということを学びました。
引用:森ビル エントリーシート
ここからは、以下記事や動画のフレームワークを参考に、この方の回答を考えていきましょう。
項目ごとに分解すると以下のようになるでしょう。
②動機:お世話になった塾を閉鎖させたくなかったから
③目標(と困難):知名度の低さ、授業の質の改善
④取り組みと結果:ビラ配り・HP作成、教師講習・授業風景撮影→生徒数の5倍化
⑤学び(方法論):自分の足を使うこと、諦めないことの大切さ
非常によくまとまったESですが、改善点を挙げるとすれば
1.文頭で結論をより簡潔に述べること
2.どういった困難があったのかを述べること
3.自身のどのような人柄が生きたのかを述べること
があるように思われます。
皆さんも上述のフレームワークを意識して、ESを作成するように意識しましょう。
設問(2)「あなたについてもっと知りたいと思いますので、さらに、2つの経験や具体的なエピソードを教えてください。設問1、2-1、2-2のうち、1つは学業のことを中心にお書きください。」について
基本的に問われていることは設問1と同じですが、字数が800字から300字へと短くなっているので、簡潔に述べることを意識しましょう。
人によるとは思いますが、字数の面を考慮すると、学生時代に注力したことの中でも一番頑張ったこと設問1、その次に頑張ったことを設問2で述べるといいのではないでしょうか。
また学業に関する記述も求められていますが、文系職種であることを考えると「専門性の有無」を問うているわけではなく、「専攻内容を知らない人にもわかりやすく説明できるか」を測ることで、就活生の地頭のよさを見極めているように思われます。
そのため、学業に関する記述をする際には、専門性の高さや経歴の良し悪しを自慢げにアピールするのではなく、親や友人など第三者が見ても理解してもらえるような平易な表現で書くことに留意しましょう。
参考:【ES例文22選付】学業で力を入れたことの書き方(ゼミ・研究・留学・資格など)
→「ガクチカ」に対する内定者回答事例を提示します。
設問(3)「当社を志望する理由を教えてください。」について
いわゆる志望動機が問われています。
森ビルは不動産業界ですので、「1.不動産業界を志望する理由」ならびに「2.業界内でも森ビルを志望する理由」の2点を記述すると、スムーズに志望理由を伝えることができるでしょう。
ここでは内定者のESを実際に紹介していきましょう。
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この方は、「過去の経験から人々に喜びや驚きを与えること」にやりがいを感じ、「街づくりによって人々に影響を大きな影響を与えることができる」不動産業界を志望するに至ったようです。これが先ほどの「1.不動産業界を志望する理由」に当たります。
次に、「長い時間を掛けてでも都市づくりに携わる姿勢」を、同社の志望理由として挙げています。これは「2.業界内でも森ビルを志望する理由」に当たり、以下の記事で述べられているように、OB・OG訪問や座談会で感じた「企業理念」や「ヒト」の面を上手に表現しているように思われます。
参考:【例文付】なぜその会社なの?志望動機の伝え方・企業選びの軸の定め方を解説
→その企業じゃないといけない理由を述べる上でのアプローチ法を提示します。
最後に
いかがだったでしょうか。今回は不動産業界で存在感を示している、森ビルを紹介させていただきました。
業界全体として採用人数は非常に少ないですが、企業研究やOB・OG訪問を繰り返すことで、自分の可能性を広げていくことができると思います。
自分の足を積極的に使った就活を心がけてみてください。
photo by Ricardo Liberato