EYストラテジー・アンド・コンサルティングの強みを解説|事業内容や社風から見る就活対策・企業研究
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最終更新日:2024年01月22日
「【BIG4比較】デロイト・PwC・KPMG・EY+アクセンチュアの強みや特徴、社風の違いとは?」でも紹介した外資系総合コンサルティングファームの中でも会計系コンサルファーム(BIG4)の一つであるEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(EYACC)に焦点を当てていきます。
▶EYアドバイザリーの事業内容
▶EYアドバイザリーの社風
▶EYアドバイザリーの求める人材
▶EYアドバイザリー内定者のES解説
▶EYアドバイザリーの選考について
▶最後に
その前に、コンサルティング業界のビジネスモデル・総合系ファーム各社の違いについて理解したい方はこちらの記事を読んでみてください。
コンサルティングファームの志望動機の作り方について解説した記事です。前提としてコンサルティング業界のビジネスモデルや求められる素養についても説明してあるので、業界研究にも役立ちできます。コンサルティング業界のイメージがまだできていない学生は、まずはこちらの記事から読んでみましょう。
就活生に人気の総合系コンサルティングファームの社風・業務内容・企業理念に着目し、各社の違いについて説明した記事です。BIG4やアクセンチュアのような総合系ファームでは戦略系ファームと比較して、志望動機を重視する傾向にあります。この記事を読んで各社の特徴を把握し、志望動機作りに役立ててみてください。
EYアドバイザリーの事業内容
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは”Advisory CONNECTED” というスローガンの下で、これまでEY Japanグループ内で別々の組織が提供してきたアドバイザリー事業を統合することで、2017年に新たに設立されたコンサルティングファームです。
他の総合コンサルティングファームと同様に、EYACCも「業界」と「提供サービス」の2軸のマトリクスから構成された様々なサービスを提供しています。今回はEYACCが手掛けるプロジェクトの中から、代表的なものをいくつか紹介していきます。
とはいえい総合系ファームが提供するサービスの幅は非常に広いため、今回紹介したプロジェクトが全てではないことには留意してください。
RPAの導入によるビジネスの効率化
EYACCは、SMBCのRPA導入プロジェクトに対し、プロジェクト検討段階である2016年度下期の、RPAの技術検証や推進体制立ち上げ時から現在に至るまで継続して支援業務を提供しています。
現在、SMBCリテール部門を中心とした本店主要8部署、13業務でRPAによるオペレーション自動化が完了し、実際の業務で運用されています。
加えて、行員が自律的にRPAの開発ができるように独自のRPAトレーニング体系構築と人材育成の全社展開を推進しております。
引用:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング、三井住友銀行にRPAの導入を加速させる統合的コンサルティングサービスを提供
RPAとは "Robotic Process Automation"の略称であり、これまで従業員が行ってきた単純作業をPC上のロボットに代替させること、およびその技術を指します。RPAの導入により定型的な業務が自動化されることにより、企業はより付加価値の高い領域に資金と人員を注力させることが可能になります。
EYACCではこれから会社が注力していく領域である「フォーカスイシュー」の1つとしてRPAを位置づけており、今後もRPA関連のコンサルティング案件は増加していくものと思われます。
今後、国内のビジネスコンサルティングの約半分をデジタル関連の案件が占めるようになることが予測されています。この記事では、コンサルティング業界における存在感を高めつつあるデジタルコンサルタントの具体的な仕事・求められる素質について説明していきます。
AI/IoTを活用した新規ビジネスの創出
B社はAIを使ったビジネスディベロップメントの早期立上げを志向し、尖ったAI技術を有するスタートアップを探していました。
そのため、深層学習をはじめとするAIのテクノロジーに精通し、グローバルのテクノロジー系スタートアップに広範なネットワークを有するコンサルティングファームの支援が必要であると考え、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(以下、EYACC)のイノベーションチームが起用されました。
(中略)
膨大な数のAIスタートアップをいかに評価し、絞り込むか、選定後のB社との座組交渉をいかにスムーズに進めるか、がプロジェクトの大きなポイントでした。そこで、EYACCはショートリストに残ったスタートアップの差別化要因の発現メカニズムを分析し、具体的には「ヒト」「カネ」「モノ」「コト」の4つの視点を組み合わせてメカニズムを分析する独自手法を使い、評価・選定をしました。
この分析手法は、シリコンバレーで起業経験のあるベンチャーキャピタリストたちとのディスカッションを通じて、生まれたものです。また、座組みについては、EYグローバルが過去の類似プロジェクトで得た大企業とテクノロジー系スタートアップとの交渉戦術をアレンジし、活用しました。
引用:AIスタートアップとのアライアンスによるビジネスディベロップメント
仕事や事業を意味する "Business" と、開発や発展を意味する "Development" の2語を結びつけたビジネスディベロップメント。日本語では「新規事業開発」と言い換えられることが多いです。より具体的に言えば、「顧客や市場などの企業の外部にある資源を活用して、長期的な価値を創出することを目指す」といったニュアンスで用いられます。
ちなみにEYでは毎年、新たな事業領域に挑戦する起業家を表彰するアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーを開催しています。
EYアドバイザリーの社風
ここからは実際のEYACCで働く社員の方の声を参考にしながら、EYACCの社風について解説していきます。
互いを尊重し、協力する文化
EYカルチャーを一言に要約すると、「authentic (嘘のない、真摯な)」であるということです。
お互いが接していく中で、真摯な態度は不可欠だと考えています。
引用:EYACC 代表取締役会長ビル・ファレル氏 インタビュー
こちらは、EYACC 代表取締役会長ビル・ファレル氏によるインタビュー中の発言です。
EYグループ全体の特徴として「チームワーク・協調性を重視する姿勢」を挙げることができます。専門性やバックグラウンドが異なる様々なメンバーと力を合わせながら、プロジェクトに取り組むことが求められるコンサルタントにとって、協調性は当然求められるものではありますが、EYACCでは特に「チームとして貢献する姿勢」が重視されています。
EYACCの本選考においても、競合他社に比べてグループディスカッションやジョブなどの、学生のチームの中でも働き方を見極める時間が多いという特徴があります。
以下のパートナーの発言からも、EYACCに「社員がチーム一丸となってプロジェクトに取り組める一体感を持った風土」があることが分かります。
「EY Japanの再編成によりEYACCが設立されたことで、そのカルチャーは強化されたと思います。コンサルティングファームとしてもう一度基本に立ち戻る契機になったと感じています。プロジェクトの組成の仕方、人材の育成方針、そうしたものを組織再編後に考えてみた時に、改めて自分たちの基本姿勢を確認できました。」
引用:EYACC パートナー 高見氏・羽柴氏インタビュー
こうした背景には、外資系コンサルティングファームでよく聞かれるUP or OUTのような厳しいリストラ制度が無いことや、部門間の協力が不可欠なクロスボーダー案件が多いこともあると考えられます。
グローバルとの連携強化
例えば、私が、抱えているプロジェクトの一つでは、アメリカのチームメンバーのうち、3人が日本に来て、日本のメンバーと一緒にプロジェクトを推進しています。他にも香港と日本の行き来があるプロジェクトもあります。このようなプロジェクトを増やし、日本のチームメンバーにも海外のプロジェクトにもっと経験させたいと考えています。そのようなグローバルな文化を醸成したいと思いますし、それこそが他社と差別化できる強みだと考えています。
引用:グローバル戦略「Advisory Connected」によるFinancial 領域の変革を実現
EYACCの特徴として、グローバルとの連携強化に取り組んでいることが挙げられます。
BIG4やアクセンチュアのようなグローバルファームは、各社とも世界中に拠点があり、多国籍企業をクライアントとして抱えていますが、業界の実態としては、各国のコンサルティング部門がそれぞれの地域でバラバラにビジネスを行っていたり、言語の壁やグローバル経験のなさから特定の社員しかグローバルなプロジェクトにアサインされていないことも多いです。
EYACCでは、2019年7月からのJapanエリアのAsia-Pacificエリアへの統合、海外の多数国間マーケットでの豊富な経験を積んだビジネスリーダーの代表取締役会長就任など、グローバルとの連携の強化に積極的に取り組んでいます。
こうした取り組みは、日本国内でのコンサルティングビジネスの進出が遅れたEYACCによる、他ファームとの差別化戦略であると考えられます。
EYアドバイザリーが求める人材
それではEYACCの求める人材について考察していきましょう。
コンサルタントの志望動機の作り方について解説した「【コンサル業界志望動機 10選】内定者回答をもとにES・面接での伝え方と例文を紹介」では、コンサルタントに求められる素養として以下の3点をあげています。これらの能力はEYACCにおいても共通して求められます。
客観的な視点から顧客の課題の本質を把握し、情報を整理しながら解決策を導き出せること。
【2】コミュニケーション能力
クライアントから人として信頼され、好かれること。
【3】粘り強さ
長時間の労働にも耐えうるだけの体力。
プレッシャーのかかった場面でも仕事を投げ出さないプロ意識。
詳細はこちらから:【コンサル業界志望動機 10選】内定者回答をもとにES・面接での伝え方と例文を紹介
その中でも、「Advisory Connected」をスローガンとして掲げており、チームワーク・協調性を重視するEYACCにおいては、コミュニケーション能力が他ファームよりも特に重視されているものと考えられます。
また、人気企業内定者がアピールしていた強みを5つにまとめた「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照にすると、以下の3点をアピールすることが選考においては効果的であると考えられます。
【2】リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することが出来る
【3】価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる
参考:ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?
EYアドバイザリー内定者のES解説
ここまでは具体的なプロジェクトを通じて、EYACCの事業内容・社風・求める人材について考えてきました。
以下では、実際にEYACCの内定を獲得した学生が記入したESを参照しながら、同社が求める人材を改めて考えてみたいと思います。
①コンサルティング業界、またはEYに興味を持った理由について記述してください。
②大学 /大学院での専攻、及び過去の経験を元にEYACC(EYアドバイザリー&コンサルティング)でどのような貢献ができるか記述してください。
③選考に際し、あなたのアピールポイントについて記述してください。
参考:EYアドバイザリー 【内定】エントリーシート
それでは各設問について見ていきましょう。
①コンサルティング業界、またはEYに興味を持った理由について記述してください。
1問目は、学生の「志望動機」を問う設問です。自分自身の就職活動の軸と、EYACCが求める人物像がマッチしているかどうかを意識しながら記入しましょう。
①コンサルティング業界、またはEYに興味を持った理由について記述してください。
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②大学 /大学院での専攻、及び過去の経験を元にEYACC(EYアドバイザリー&コンサルティング)でどのような貢献ができるか記述してください。
2問目では、いわゆる「自己PR」に関する問題です。学生時代の経験から培った自らの強みが、EYACCでのコンサルタントとして仕事の中でどのように生かすことができるのかが問われています。
「あなたの自己PRが嘘っぽく見えないために「方法論」を語るべき」でも述べられている通り、自己PRを作成する際にはエピソードの「再現性」、つまり「入社した企業でも同様の強みを発揮することができる」ということを示す必要があります。そのためには経験から学んだ「方法論」、「強みを発揮する上で重要なこと・心掛けていること」についても言及できると良いでしょう。
②大学/大学院での専攻、及び過去の経験を元にEYACC(EYアドバイザリー&コンサルティング)でどのような貢献ができるか記述してください。
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③選考に際し、あなたのアピールポイントについて記述してください。
③の設問はかなり抽象的で、就活生によって記述する内容が異なってくると思われますが、就活生の強みやキャラクターを書くことで、EYACCに合っているかのマッチングを測る設問という印象を受けます。
ESが面接でも使われることを念頭に入れつつ、上手く自分のアピールに繋げたいです。
③選考に際し、あなたのアピールポイントについて記述してください。
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EYアドバイザリーの選考について
ここでは、EYACCの選考プロセスやその特徴について確認していきます。
もっとも選考のプロセスは採用年度や個人の評価によって変化する可能性もあるので、あくまでも参考としてご活用ください。
エントリーシート(2週間ほどで結果)→ウェブテスト(1週間ほどで結果)→1次選考(GD)→2次選考(面接・1:1)→3次選考(グループワーク)→電話面談(15分ほど)→最終面接(現場社員→人事)
参考:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング 本選考情報
こちらは2019年度の内定者による、EYACCの選考フローのレポートから引用した情報です。
EYACCの選考の特徴としては、選考においてグループワークが課される割合が高い点が挙げられます。多くの企業で志望者を絞り込むために1次選考で用いられることの多いグループディスカッションが、3次選考でも実施されています。
3次選考には個人ワークの時間もあり、当然、個人としての論理的思考力も評価項目には含まれてはいるものとは思いますが、EYACCが「チームとしての成果を最大化させるための姿勢」を重要視していることが分かります。「時間がない中で議論を通して意見を深めていく」というのは、実際のコンサルタントの仕事でも変わらないので、入社後に活躍できる人材かを見極めるのに適した採用方法といえます。
また、面接では雑談形式でオーソドックスな質問をされることが多いようです。内定者のレポートの中には、「ケース面接が課されることが無かった」という意見もありました。
面接では選考が終盤に近付くにつれて、「なぜ他社ではなくEYを志望するのか」「他に受けている企業を教えてください」「他のファームと比較したEYの印象を教えてください」など、「内定を出したらこの学生は本当に入社するのか」を見極めるための質問が増えてくるようです。
そのため「【BIG4比較】デロイト・PwC・KPMG・EY+アクセンチュアの強みや特徴、社風の違いとは?」を参考に各社の違いをおさえつつ、志望動機を固めておくことを勧めます。
最後に
今回は急成長中の会計系コンサルファームである、(EYACC)EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングを取り上げさせていただきました。
今後も採用人数を拡大し続けていくと見込まれる同社は、採用においては志望者のポテンシャルだけでなく、EYのカルチャーに馴染むかを特に重視しているように感じられます。
ご自身の就活の方向性を見つめなおし、EYACCの企業風土などをよく理解しておくと良いでしょう。その際に、この記事が助けになれば幸いです。
unistyle上にあるEYACCに関する記事や内定者のES・選考レポートなどを掲載しています。
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