【東京海上日動(マリン)の特徴とは】業績や社風から見る就活対策・企業研究
53,712 views
最終更新日:2022年07月07日
東京海上日動はその企業のブランドや年収の高さから就活生の中でも人気の企業です。unistyleでも「東京海上日動火災保険のインターン面接は最高の自己分析ツール」などで紹介していることから、第1志望群とはいかなくても選考を受けてみたいと考える学生は多いのではないでしょうか。
今回は、「【3メガ損保比較】東京海上日動・三井住友海上・損保ジャパンの強みや社風、選考対策を解説」も参考にしつつ、東京海上日動の事業や社風、また選考についても掘り下げていきたいと思います。
事業別利益と海外売上保有率
単位:億円 | 2003年 | 2016年 |
国内損害保険事業 | 1,308(76%) | 1,652(45%) |
国内生命保険事業 | 327(19%) | 404(11%) |
海外保険事業 | 69(4%) | 1,578(43%) |
金融・一般事業 | 17(1%) | 37(1%) |
2016年度の会社説明会資料によると、東京海上グループでは、以前から国内損害保険事業・国内生命保険事業・海外保険事業を3本柱として、地理的・事業的にリスク分散の効いたポートフォリオの構築に取り組んでいる点が特徴です。
2003年度の事業別利益のデータをみると、全体の4分の3以上を国内損害保険事業が占めていましたが、2016年度にはグループ全体の利益を2倍以上に拡大したのとともに、国内外でバランスのとれた事業ポートフォリオの形成が進んでいるようです。
損保業界決算数値 | 東京海上日動HD | MS&ADインシュランス | 損保ジャパン日本興亜 |
正味収入保険料(億円) | 32,655 | 30,789 | 25,521 |
海外収入保険料(億円) | 13040 | 3,368 | 2,943 |
海外売上高比率 | 39.90% | 10.90% | 11.50% |
また「【3メガ損保比較】東京海上日動・三井住友海上・損保ジャパンの強みや社風、選考対策を解説」にも記載されている上の表を見ると、競合他社と比較して、海外売上高比率を高めているのが特徴ともいえます。
東京海上日動の求める人材
以下では、東京海上日動が求める人材について考察していきたいと思います。
当社が求めている学生は、一言で言うと「自ら考え、発信し、行動する個性豊かな学生」です。言い換えれば、常に問題意識を持ち、自ら考え、解決策を創り出せる人。そのためには、さまざまな事柄に「気づく力」が必要です。
自ら考えて、発信し、行動するから、責任ある仕事を任されるし、成功すれば嬉しいし、失敗すれば反省もする。そのなかで、多くの気づきを得て自分のものとし、それを積み重ねることにより成長につながっていきます。
また、東京海上グループは国内に留まらず、海外も含めた無限に拡がるマーケットで「世界トップクラスの保険グループ」を目指しています。さまざまな社会のニーズを汲み取り、実現していくためには人材の多様性が不可欠です。いろいろな個性が集まって初めて私たちのビジ ネスは成立するのです。
当社には「人に言われてやるのではなく、自分が考えてやらないとつまらない」という考え方が根付いています。そういったことから、学生時代に「自らが主体的に行動して、さまざまな経験をし、多くの人と出合い、多様な価値観を認めることができる人」の方が、人間力に厚 みがあると思っていますし、魅力を感じます。
多くの「自ら考え、発信し、行動する個性豊かな学生」の皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
上記述の会社HPの採用情報を参照すると「自ら課題を把握してそれに向けた行動をする主体性」を持った学生を求めていることが文章全体に一貫して書かれています。顧客が何を求めているのか・何を必要としているかを自らの働きかけで適切に汲み取って行動するというのは、ビジネスの核となる部分であり、保険業界限らずあらゆる業界で普遍的に求められる能力ともいえますが、東京海上日動では特に重視されていると読み取ることができます。
さらに、「いろいろな個性が集まって私たちのビジネスは成立する」「多様な価値観を認めることができる人」という記述から、東京海上日動自身が多様な人材を求めているだけでなく、そのような人たちとしっかりと協力して仕事ができるという、幅広いチームワークのもと協力関係を築けるかという点も重視されていると読み取ることができます。
また、前項で東京海上日動が海外売上高比率を高めているという点から、「多様な人材」というのを職場で共に業務を行う社員同士だけでなく、グローバルな視点でみた多様性という点で解釈しつつ考えていくことも求められるでしょう。
以上の点を踏まえつつ「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」に基づいて考えると、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」資質を持った学生を東京海上日動は求めていると考えられます。
東京海上日動の社風について
入社時は、コマーシャル営業部門に配属され、大手情報通信企業を担当。当時担当していたクライアントが海外の企業に買収され、数千億円規模の「通信インフラ」のリスクをカバーする「保険プログラム」が海外の保険会社に切り替えられてしまったことがありました。当社にとっては大打撃、私も相当なショックを受けました。その後、諦めることなく、クライアントへのアテンドを繰り返し、クライアントの「事故データ」「事業実態」に則したソリューションを粘り強く、何度も提案。その結果、当社のプログラムが再評価され、結果として1年後に海外の保険会社からの切り替えに成功、以前より大規模な「保険プログラム」をクライアントに提供することになったのです。クライアントのオフィスから出た直後に上司から「よくやったな!」と熱い握手を求められた瞬間、これまで経験したことのない「達成感」がこみ上げてきたことを今も鮮明に覚えています。この経験が、海外のメジャー保険会社と対峙した最初の経験であり、私のビジネスの原点になっています。
引用:東京海上日動HP社員紹介
私たち損害サービス部門では、入社1年目から価値観や年齢の異なるさまざまなメンバーをマネジメントしていく役割が与えられます。現在、私は職場を統括する責任者の一人として、20名近いメンバーをマネジメントしていく立場にあります。組織の方針や施策を立案し、それらをメンバーに浸透させるとともに、メンバーの人材育成にも力を入れています。当初はメンバーに対し、とにかくあるべき業務の進め方やより多くの業務知識を習得してもらうことに専念していましたが、メンバーの力をうまく引き出すことがでませんでした。試行錯誤を繰り返す中で、徐々にわかってきたことは、マネジメントにおいて大切なのは業務上の指導や支援だけでなく、日常の何気ないやりとりも含めて「自分をさらけ出し、相手の想いを受け止め、相手に真正面からぶつかる」ということです。最近はメンバーの表情やモチベーションに変化が見られ、パフォーマンスも格段に上がってきました。新人の時から多様なメンバーのマネジメント経験を積む機会を得たからこそ、実感できたことだと思います。
引用:東京海上日動HP社員紹介
保険業界というと、「堅い」というイメージをもつ方が多いと思われます。しかし、当業界のなかでも東京海上日動は、上記の社員紹介から読み取れるように、若い時期から大きな案件を任せられる機会も与えられているようです。
そのため、挑戦的な姿勢も重視されていることが読み取れます。また、入社当初からあらゆる人材を受け入れてるというのも特徴的な社風の一つといえるでしょう。
書類通過者のES解説
ここまでは東京海上日動の事業内容と求める人材について紹介してきましたが。以下ではそれらを踏まえ、東京海上日動のESで書くべき内容について書類通過者のESを参照にしながら考察していきたいと思います。
※下記に掲載しているES設問は2016年卒本選考の情報をもとにしています。設問内容は年度によって変更される可能性もありますのが、ご了承ください。
(1)大学時代に力をいれて取り組んだことを3つ挙げてください。(150文字以内)
(2)上記(1)でお答えいただきました3つの取組みのうち、最も力をいれて取り組んだ取り組みを1つお答えください。
(3)上記(2)でお選びきただきました取り組みに関して、活動期間、役割、人数等具体的なイメージができるように内容を教えてください。(250文字以内)
(4)その取り組みの中で感じた課題や問題、および感じたきっかけ・背景について教えてください。また、その後どのような行動を取ったのかについても教えてください。(400文字以内)
(1)〜(4)まですべていわゆる学生時代頑張ったことについて取り組んだことについて問われています。しかし、ただ単に「学生時代に頑張ったことについてお聞かせください」といったような1つの質問ではなく、そのプロセスについて段階的に問われています。
「ガクチカの書き方とは-6ステップで書けるESテンプレを基に解説-」に照らし合わせてみると、(1)(2)(3)が①結論およびその具体的内容・(4)が③目標と困難④取組みと結果にそれぞれあたります。②・⑤については直接的には尋ねられていませんが、自身の経験により説得力をもたせアピールするには盛り込んだほうがいいと思います。
このように、学生時代に頑張ったことについてのフレームワークにそった問いが小問として設定されていることで、基本の型にそったESを書くうえでのよい練習材料になるともいえる内容です。
では、上記の4つの質問について、実際の書類選考通過者の回答をみながら解説をしていきます。
(1)大学時代に力をいれて取り組んだことを3つ挙げてください。
1テニスサークルにて主将を務め、「チームリーダーに必要なことは何かを考え、実行してきたこと」
2短期留学やバックパックなどにより、「新しい環境に身を置くことで、自己成長をすること」
3ゼミナールにて、「日本はどのようにすれば他国と対等且つ安全に貿易できるのか」について研究していること
(2)上記(1)でお答えいただきました3つの取組みのうち、最も力をいれて取り組んだ取り組みを1つお答えください。
1
(3)上記(2)でお選びきただきました取り組みに関して、活動期間、役割、人数等具体的なイメージができるように内容を教えてください。
大学入学時より所属している「テニスクラブ」にて、大学二年の秋から一年間、主将を務めました。主将の主な役割は、大学内の16ものテニスサークルが出場する対抗団体戦での優勝に向けて、チームをマネジメントするというものです。具体的には、練習の運営、他サークルとの練習試合の調整などを行います。私が主将を務めた時には、全学年合わせて約200名が在籍しており、一人一人をマネジメントすることは困難でしたが、団体戦当日には約150名が応援に参加したことから、一体感を生み出すことが出来たと思います。
(4)その取り組みの中で感じた課題や問題、および感じたきっかけ・背景について教えてください。また、その後どのような行動を取ったのかについても教えてください。
主将になった私には、高校時代からの課題として「チームマネジメントから逃げてきた」という現状がありました。そこで、これを機に課題を克服することを決意し、同時に学内団体戦でチームを優勝に導くことを目標に掲げ、以下の取り組みを行いました。
一点目は、「喋る能力の向上」です。まず、最大の弱点であった「人に言葉で伝えること」を克服する取り組みとして、常日頃から「緊張しやすい場面で喋る」ことを心掛け、説明能力を身に付けました。
二点目は、「競争と共存を取り入れること」です。まず競争については、代表選手の選び方を話し合いから、部内戦による実力主義へと変更し、個々の力を最大化しました。次に共存については、月に一度全員で練習し、その都度「優勝する」という目標を共有することで、チームに一体感をもたらしました。
これらの結果、効果的なマネジメントを実現し、創部40年来初の優勝という成果を上げることが出来ました。
解説
(1)では学生時代頑張ったことの内容について3つ挙げるよう指定されていますが、(3)(4)では(2)で選択した1つの取り組みについて深掘りという形で回答していきます。なお、残り2つの取組みについても面接の場では深掘りされる可能性がありますので、それらも一度フレームワークにそって整理しておいたほうがいいでしょう。
この通過者は、大学時代のテニスクラブの経験から、多数の部員を率いるリーダーとして団体全体をまとめていったことについて述べられています。それにより生じたチームマネジメントという困難について乗り越えた取り組みについて(4)では述べられています。
その取り組みの、「一体感に欠けた多数の部員をまとめて一つの目標についてチームで取り組んでいく」という点は先述の東京海上日動の求める人材のうち「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげる」ことができる(一体感に欠ける→一体感をもたらす=価値観が異なる人に対するアプローチ、学内団体戦の優勝=成果を出す)にそれぞれ合致しています。
また、学内団体戦の優勝という目標に対して、「喋る能力の向上」と「競争と共存の取り入れ」という2つの解決プロセスを引き出しそれに対して自ら主体的に行動したという点から、2つ目の「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」という点にもすり寄せた回答となっています。企業の求める人材を意識して書かれた評価のできるESといえるでしょう。
続いて、もう一つの例も見てみましょう。
(1)携帯電話全4社のモバイルを取り扱う代理店での契約販売のアルバイト、フランス留学での語学勉強、さらにフランス留学先でフランスチェーンレストランのキュイジニエのアルバイトに大学時代力を入れて取り組みました。
(2)携帯電話全4社のモバイルを取り扱う代理店での契約販売のアルバイト
(3)大学1年生の冬から約11か月間、携帯電話全4社のモバイルを扱う代理店で契約販売員として働きました。
4名の社員を含め毎日約7~9名のスタッフが常勤し、そのチームの中で私は接客販売と契約書手続き案内、開通作業を中心に、レジ、お渡し、在庫管理まで一連の作業に従事しました。
お客様とのヒアリングを通して全4社の中でどの携帯会社のどの契約がお客様のニーズに一番合うかを考え、見つけ出し提案する事がこの業務における一番のキーポイントでした。また週末の混雑時はチームで連携しお客様の満足度を高める事が求められました。
(4)お客様のニーズに最適な提案を見つけ出す事が一番の難点でした。
多種他社の契約内容や商品知識の予習、他店調査を通した売り込みポイントのサーチには余念は欠かしませんでした。契約が取れず悩む時期は客観的に自身の販売スタイルを見直すため先輩方の業務姿勢を観察し積極的にアドバイスを求めました。
予習した知識をただマニュアル通りにアウトプットするのではなく、いかにしてお客様とのヒアリングの中でその立場になって考える事が新たな発見と先見性の高い提案に繋がるという事を学びました。週末の混雑時はチームで連携し常にスタッフ同士で全体の状況を察知し、効率よく作業の分業化を指示し合う事でお客様の満足に繋がる環境作りができました。
神奈川店舗エリアで契約獲得数3位に成長でき、問題を解決するために自ら働きかける行動力と、お客様やチームのスタッフの立場になって考え、求められているニーズを察知する広い視野を養う事が叶いました。
解説
先ほどのESと同様、企業の求める人材の2要素を意識しながら回答できていますが、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」の方でより評価ができる内容です。
先程のESでは、一体感に欠けるという課題について個人で行動されていましたが、こちらでは「チームで連携しお客様の満足度を高める」「スタッフ同士で全体の状況を察知」など、チームワークを重視した行動について明記されています。また、「多様な価値観」の対象について、他社他店についての知識やお客とのヒアリングをするというより高度な内容で取り組んでいるという点でもより高く評価できるESであるということがいえます。
東京海上日動 本選考について
最後に、東京海上日動の選考方法についてみてきましょう。
※下記の選考プロセスは2017年卒のものになります。
◆選考プロセス(総合職)
エントリーシート(数週間後に電話にて結果報告)
→筆記試験(数週間後に電話連絡)
→一次面接(数日後に電話連絡)
→二次面接(数日後に電話連絡)
→三次面接(翌日に電話連絡)
→最終面接(翌日に電話連絡)
東京海上日動はグローバルコースとエリアコースに採用が分かれて、それぞれ200名程度、300名程度が採用数になっているようです。
エントリーシート提出後、通過者には東京海上日動が独自に作成した筆記試験が課されます。問題の内容はいわゆるSPIに近い内容なっているので、SPIの対策をしっかり行った上で筆記試験に臨みましょう。
また、東京海上日動の選考は「人物重視」であり、前項目をみればわかるようにESでは志望動機について問われません。二次選考以降では、大学時代だけでなく、自身の幼少期や家族について問われることもあるとのことですので、自分史を作成するなどして自分がどういった人間か・どういった価値観をもっているのかといったところまで徹底的な自己分析をして準備しておくことが要求されます。
最後に
いかがだったでしょうか?
多くの文系学生が受ける保険業界であるからこそ、他者との差別化をしっかりとはかって準備に取り掛かることが重要であると思います。
そのうえで、本記事が東京海上日動の選考に臨む多くの人にとって参考となれば幸いです。