三井化学の内定者ES解説!選考通過のエントリーシートの共通項
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最終更新日:2023年09月28日
三井化学をはじめとした化学メーカーの営業は単に製品を販売するだけでなく、自社の技術と顧客企業とを結び付けて新商品を生み出すといった企画・戦略策定といった面があり、大変面白い仕事であると言えます。
今回はこちらの三井化学内定者のエントリーシートについて解説していきます。
テーマたる「世界の中心で自分を試そう」に共感し、IMF世銀総会ボランティアに参加したこと。展示ブースでの企業の最先端技術の説明を通じ、日本の魅力を伝える活動を10名で行った。流暢な英語や第二外国語を操る他メンバーに負けたくない想いから、チームに誰よりも貢献するべく臨んだ。
当初のチームの応対は、単に展示の説明に終始したものであった。原因を把握すべく休憩時間を使っての来場者への聞き込みや会場観察を行った結果、来場者が移動する度説明者が変わり1対1の触れ合いが不足していたと考えた。そこでブース担当制を撤廃することを提案した。運営を大きく変える提案に反対があがるも、自分たちの目指す「おもてなし」とは何かを正面から訴えた。これを機にチームの運営が議論されるようになり、最終的に感謝状をもらうまで運営の質は向上した。真摯な態度をもって率先して行動することが、全体を1つの方向に動き出させるのだと実感した。
あなたの強みは何ですか?また弱みは何ですか? 200 文字以内
【長所】真摯な姿勢と粘り強い行動力を持って、周囲を巻き込んでいけることである。常に真っすぐな外交官である父を見て育ったこと。そして海外現地校への突然の転入を経験し、必死にもがいてきたことによって培われたものだと考える。
【短所】自分の説明不足や一部が納得し切れていない状態で物事を前に進め、誰かが不満を抱えてしまう時がある。物事に取り組む際に周囲に耳を傾け、互いが望む結果になるよう意識をしている。
これまでに一番苦労した経験について教えてください。またそれをどのように克服しましたか? 400 文字以内
高校時代にバレーボール部Bを創部したこと。腰を故障し当初所属していた部をやむなく引退するも、長年憧れていた日本の運動部を諦めきれなかった。その想いから自分も参加できるような、唯一の「気軽に体を動かせる部」の創部に踏み切った。
10年ぶりの創部、2000人を抱える学校だったことから、練習環境や顧問の確保のため教師陣と粘り強く交渉する必要があった。また部員の確保は困難で、道のりは険しく断念することも考えた。しかし、少数だが入部した部員を裏切れない。そこで改めて勧誘を行った。具体的には全54クラスを休み時間に周る泥臭い活動だったが、途中から他の部員も勧誘に加わっており、10名の部員の獲得に至った。交渉の末最後には応援してくれた教師陣。共に部を創り上げた仲間たち。周囲の信頼・協力なしには創部は成し遂げられなかった。真摯に取り組むことの大切さと、周囲と共に目標に向かう達成感を強く感じた。
入社〜中期間(5〜10年後)のキャリアイメージを教えてください。 200 文字以内
入社後の数年間で営業を経験し、提案型営業のノウハウと化学業界の理解を深めた後に、法務又は経理に携わりたいと考えている。法務で契約におけるポイントや急所に対する感覚を磨いたり、経理で全社的な目線でコスト意識を身につけたりすることで、再度営業に配属された際にそれらの経験を活かしたい。そして、ゆくゆくは目標である「日本の技術力をもって、強い日本を世界に発信する」ことができる営業マンになりたい。
あなたが就職活動において大切にしていることや、企業選びのポイントを教えてください。 200 文字以内
「日本の技術力をもって、強い日本を世界に発信する」ことができるかを軸としている。海外で育ちながらも日本を人一倍意識し、誇りに思うようになったこと。一方で現在の世界における日本の苦境に悔しさを覚えるようになったことから、日本人として世界を舞台に働きたいと考えている。そしてIMF世銀総会ボランティアでの企業の最先端技術の紹介を通し、日本の技術力は依然世界に通用すると強く実感し冒頭の想いを抱いていた。
一つ目の設問
テーマたる「世界の中心で自分を試そう」に共感し、IMF世銀総会ボランティアに参加したこと。展示ブースでの企業の最先端技術の説明を通じ、日本の魅力を伝える活動を10名で行った。流暢な英語や第二外国語を操る他メンバーに負けたくない想いから、チームに誰よりも貢献するべく臨んだ。
当初のチームの応対は、単に展示の説明に終始したものであった。原因を把握すべく休憩時間を使っての来場者への聞き込みや会場観察を行った結果、来場者が移動する度説明者が変わり1対1の触れ合いが不足していたと考えた。そこでブース担当制を撤廃することを提案した。運営を大きく変える提案に反対があがるも、自分たちの目指す「おもてなし」とは何かを正面から訴えた。これを機にチームの運営が議論されるようになり、最終的に感謝状をもらうまで運営の質は向上した。真摯な態度をもって率先して行動することが、全体を1つの方向に動き出させるのだと実感した。
非常に良い経験だと思います。
経験自体のレベルが高いことに加え、①課題設定→②解決施策を立案→③チーム内で協力を得る→④施策実行による改善という一連のプロセスは、まさに仕事に直結すると言えます。
「真摯な態度をもって率先して行動することが、全体を1つの方向に動き出させる」といった学びも仕事に生かせるものであり、採用担当者にも十分共感されたものと思います。
以下の記事では、学生時代に頑張ったことの書き方のポイントやフレームワークを解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
「学生時代にがんばったこと」の設問などではその経験から何を学んだかが重要視されます。取り組みにおける学びについての評価ポイントと回答事例を提示します。
二つ目の設問
【長所】真摯な姿勢と粘り強い行動力を持って、周囲を巻き込んでいけることである。常に真っすぐな外交官である父を見て育ったこと。そして海外現地校への突然の転入を経験し、必死にもがいてきたことによって培われたものだと考える。
【短所】自分の説明不足や一部が納得し切れていない状態で物事を前に進め、誰かが不満を抱えてしまう時がある。物事に取り組む際に周囲に耳を傾け、互いが望む結果になるよう意識をしている。
長所については一つ目の設問での回答もあり、説得力のある内容だと言えます。
また、家族や転入経験といった生い立ちも交えて語ることで、さらに納得感のあるものにしています。
自分の強みなどをPRする際、その強みが形成されたきっかけを語ることで納得感はますと思います。そのきっかけの一つとして「生い立ち」があると思います。本記事では「生い立ち」というアプローチを使った自己PRの解説を行います
参考:説得力のある自己PRをするには生い立ちを語れ!
短所についても単純な長所の裏返しではなく、自身を客観視できていることが伺えて好印象です。
就職活動においては完璧な人間を演じようとするあまり、短所と十分に向き合っていない学生が散見されます。
大事なのは採用側にとって共感できる内容かどうかですので、個人的には無理に背伸びをせず自身の短所を素直に語っていただければと思っています。
もちろん唯一の正解があるものでもないので、どうアプローチするのかは最終的には自身で決めてください。
「短所は?」という設問に対してのアプローチは2つあります。一つが長所の裏返し、もう一つが素直に短所をさらけ出す方法です。これらのアプローチ方法のメリット・デメリットを紹介します。
参考:短所は短所のままでいい?!面接で短所を聞かれた時の答え方
三つ目の設問
高校時代にバレーボール部Bを創部したこと。腰を故障し当初所属していた部をやむなく引退するも、長年憧れていた日本の運動部を諦めきれなかった。その想いから自分も参加できるような、唯一の「気軽に体を動かせる部」の創部に踏み切った。
10年ぶりの創部、2000人を抱える学校だったことから、練習環境や顧問の確保のため教師陣と粘り強く交渉する必要があった。また部員の確保は困難で、道のりは険しく断念することも考えた。しかし、少数だが入部した部員を裏切れない。そこで改めて勧誘を行った。具体的には全54クラスを休み時間に周る泥臭い活動だったが、途中から他の部員も勧誘に加わっており、10名の部員の獲得に至った。交渉の末最後には応援してくれた教師陣。共に部を創り上げた仲間たち。周囲の信頼・協力なしには創部は成し遂げられなかった。真摯に取り組むことの大切さと、周囲と共に目標に向かう達成感を強く感じた。
こちらも非常によい経験をしていると思います。
一つ目の設問でもそうでしたが、この内定者は周囲からの反対に真摯に向き合い、自分の思いをしっかり伝えることで協力を引き出せる芯の強い人物だと一貫して伝えられているように感じます。
また、この内定者のように高校時代のエピソードを元に自己PRするのもまったく問題ありません。
「大学時代の経験で語れることが1つしかない」と悩んでいる方は、大学入学前のエピソードで使えるものがないか振り返ってみていただければと思います。
自己PRでは一つの経験からその強みを導くのでは納得感が薄いでしょう。本記事では複数のエピソードから自己PRの納得感を高める方法をお伝えします。
参考:自己PRに複数のエピソード・強みを用意すべき?理由から対処法まで徹底解説
四つ目の設問
入社後の数年間で営業を経験し、提案型営業のノウハウと化学業界の理解を深めた後に、法務又は経理に携わりたいと考えている。法務で契約におけるポイントや急所に対する感覚を磨いたり、経理で全社的な目線でコスト意識を身につけたりすることで、再度営業に配属された際にそれらの経験を活かしたい。そして、ゆくゆくは目標である「日本の技術力をもって、強い日本を世界に発信する」ことができる営業マンになりたい。
会社の収益の源泉は「作る人間(開発)」と「それを売る人間(営業)」であり、この内定者は文系であるため営業に焦点を当てて語っている点が評価できると感じます。
バックオフィスでの経験も、すべては営業でさらに上の段階に進むための手段として語られており、採用側も安心して読めたのではないかと思います。
もちろん絶対の正解は無いのですが、特に文系職種の場合、こうした設問ではこの内定者のように営業職を絡めて語るのが無難だと感じます。
入社後の配属先も、まずは営業に携わる人の割合が高いでしょう。
五つ目の設問
「日本の技術力をもって、強い日本を世界に発信する」ことができるかを軸としている。 海外で育ちながらも日本を人一倍意識し、誇りに思うようになったこと。一方で現在の世界における日本の苦境に悔しさを覚えるようになったことから、日本人として世界を舞台に働きたいと考えている。そしてIMF世銀総会ボランティアでの企業の最先端技術の紹介を通し、日本の技術力は依然世界に通用すると強く実感し冒頭の想いを抱いていた。
自身の海外経験に深く根ざした志望動機であり、十分に説得力のある内容だと感じます。
三井化学はグローバルに活躍できる機会の多い企業ですが、ただの憧れだけで「海外で働きたいから志望しています」と伝えても空虚な志望動機になってしまいます。
この内定者のように、自身の生い立ちや経験に基づいた企業選びの軸を考えてみてください。
志望動機において、読み手の納得感は重要です。納得感のない志望動機は評価されづらいと思います。本記事では納得感のある志望動機を書く方法をお伝えします。
参考:あなたの志望動機が共感されないのは自分の経験に根ざしていないから?
最後に
今回取り上げた学生は非常に高いレベルの経験をしていましたが、同時に「伝え方」の部分も優れており、是非皆さんにはこの伝え方の方を参考にしていただきたいと思っています。
海外経験や体育会出身など、純粋なスペックや過去の経験の凄さだけでは決まらないのが就職活動です。
特別な経験が無くとも、自身の考え方や人柄を魅力的に伝えられればスペックの差をひっくり返すことも十分に可能だということを忘れずに、今後の就職活動に臨んでいただければと思います。
photo by Martin Thomas