【業界研究】信託銀行に就職したい学生必見!仕事内容や動向、ビジネスモデルなどを解説

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最終更新日:2024年11月11日

多くの就活生が受ける人気業界である金融業界のなかでも、「信託銀行」は私達の日常生活との関連が薄く、あまり業務内容がイメージできない業界だと思います。なかには、就職活動を通してその存在を知った方もいるかと思います。

リクルーター面談などを通して業界理解を深めていく方も多いと思いますが、リクルーター面談が実質的な選考の場であることを考慮すると、それ以前にある程度の仮説として自分で理解していくことは必須となってくるでしょう。

そこで本記事では、就活生がイメージし辛い信託銀行の業務内容を明らかにするため、信託銀行業界の概要やビジネスモデル、最新のトピックまで網羅して解説していきます。信託銀行を受けようと考えている就活生は是非一読してみて下さい。

また、金融業界全般の業界研究についての記事も用意していますので、こちらも参考にしてみて下さい。

参考:【業界研究】金融業界って何してるの?仕組みや仕事内容、動向を解説
→金融業界の各業態の詳細説明がなされた記事で、関連リンクも多く貼られていますのでまずはじめにお読み下さい。

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信託銀行業界の概要

信託銀行とは

信託銀行を一言で説明すると、一般的な銀行の業務である預金、融資、為替(銀行の3大業務)に加え、「信託業務」「併営業務」を営むことの出来る金融機関ということが出来ます。

「信託業務」とは、委託者(カスタマー)が受託者(信託銀行)に対して金銭や有価証券、不動産などといった財産を移転させ、受託者が委託者の意に沿うようにその財産を運用する業務を指します。一方「併営業務」とは、財産の管理・処分等に関連する業務で、不動産仲介や証券代行、相続関連業務などといったものを指します。

このように信託銀行は通常の銀行業務に加えて、以上のような数多くの業務があるため提案できるソリューションの幅が非常に広い業界と言え、これこそが都市銀行との最も大きな違いと言えるでしょう。

現在、国内の信託銀行業界を構成する主要企業は以下のようになっています(各リンクからunistyleの企業研究のページにジャンプすることが出来ます)。

業界内では、「ワンストップトータルソリューション」を掲げ、信託銀行という一つの窓口で融資から不動産投資や証券代行などまでの様々な業務を取り扱える三井住友信託銀行が売上高では首位につけ、その後に三菱UFJ信託、みずほ信託と続きます。

就職活動においては、売上トップ2である三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行を併願して受けるケースが多いでしょう。unistyleでは2社比較に関する記事も用意しています。

参考:三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行の違いとは?強みや特徴、社風を比較
→本記事では、売上高や社風・選考方法の比較のみならず、信託銀行業界の仕組みや求める人物像まで網羅した記事ですので是非参考にしてみて下さい。

信託銀行業界の仕組み

信託銀行業界のビジネスモデル

信託銀行業界のビジネスモデル

信託業界の仕組みについて説明する前に、ここで信託銀行業界における「信託(信じて託す)」の定義について確認したいと思います。

信託とは、委託者が、信託目的にしたがって、所有する金銭や土地などの財産を、自分自身や大切な人(受益者)のために、信頼する人または専門家(受託者)に託し、運用・管理を任せる法的な枠組みです。

参考:信託とは?|MUFG

この定義に基づいて、信託銀行業界のビジネスモデルを図化すると以下のようになります。

上記の図のように、信託によって委託者(カスタマー)は自身の大切な資産を専門知識を持つ受託者(信託銀行)に名義・所有権を移転させて、運用による信託利益を委託者本人もしくは受益者(委託者が指定した第3者)に還元することが出来ます(自益信託と他益信託)。このとき、受託者(信託銀行)は利益の一部を手数料として受け取り、この部分が信託銀行の収益源となります。

信託業務の対象となる財産は大きく分けると、以下の6つのように分けることが出来ます。

  • 金銭(退職年金、厚生年金基金信託等の年金信託、公益信託)
  • 有価証券(株式、国債など)
  • 金銭債権(貸付債権、リース・クレジット債券)
  • 動産(保有する設備や在庫、車両及びその他の輸送用設備、家畜など)
  • 不動産(不動産信託、土地信託など)
  • 知的財産権(特許権など)

このように、資産調達手段が非常に多岐にわたっている点も普通銀行にはない信託銀行ならではの特徴と言えるでしょう。それでは、以下から多様なソリューションを提供する信託銀行の業務について見ていきましょう。

信託銀行業界の業務

(1)リテール事業 
リテール事業は個人のお客様に向けて、専門知識を活かし投資信託・個人ローンなどに関する資産運用や不動産・相続に関する相談・コンサルティングを行います。

お客さまのニーズはその年齢層などによって多種多様であるため、顕在化した課題のみを解決することだけでは不十分であり、潜在的な課題を見つけ、その課題に対しての解決策を提案することまで求められている業務です。

(2)ホールセール事業 
ホールセール事業では事業法人である大企業をはじめ、中小企業、金融法人、外資系企業などといった法人のお客様に向けて与信、融資をしたり資産運用のコンサルティングを行います。

都市銀行が行う通常のファイナンス業務以外にも、不動産を証券化して資産の流動性を高めたり、証券代行機能を活用して上場支援をしたりなど、信託銀行ならではの機能を利用することで企業価値向上のための幅広いソリューションを提供しています。

(3)マーケット事業 
マーケット事業は、市場環境の分析から市場リスクの計測を行い、そこで培ったノウハウを元にお客様の金利・為替などに関する運用・リスクマネジメントに対してソリューションの提供といった業務を担っています。

(4)受託事業 
受託事業は、企業年金制度の導入や設計の提案をする「年金関連業務」、国内外の機関投資家など法人のお客様を対象に資産運用・コンサルティングをする「資産運用業務」、さらには企業が保有する有価証券の保管・決済を行う「資産管理業務」の3つに分類することが出来ます。

受託事業の中核を担うのが「年金関連業務」であり、現在非常に多くの企業年金制度の導入・変更に貢献しています。

(5)不動産事業 
不動産事業は、オフィスやマンションなどの不動産の価格交渉、引き渡しにおける仲介業務や不動産の証券化などといった「併営業務」を行います。不動産業務を扱えるのは信託銀行のみであり、信託銀行は唯一銀行機能と不動産機能を両方を持つことができると言えます。

そのため、動産戦略に関するコンサルティングにとどまらず、その戦略を実現するために必要な資金面のサポートや、自社を受け皿とした不動産証券化の提案を行うなど、幅広いソリューションをトータルに提供することが出来るのが特徴的です。

(6)証券代行事業 
証券代行事業も「併営業務」に当たり、株式発行会社の委託を受けて、株主名簿の管理や株主総会の招集通知の封入・発送、配当金の支払いなどといった事務代行を行うほか、株主総会運営や組織再編、資本政策、買収防衛策導入など株式実務に関わる法務コンサルティングの提供などを行います。

信託銀行業界の現状のトピック

信託銀行の動向

世界的な資産運用ニーズの拡大と国内再編

国内のマイナス金利による利ざや収益の減少を受けて、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)を始めとする邦銀グループは、これまで法人融資を中心とした海外事業の拡大を続けてきました。

しかし、世界的に低金利が進み、かつ先進国での高齢化やアジア太平洋を中心とした新興国での中間層の台頭などによる世界的な資産運用ニーズの増加に伴い、法人融資よりも海外における資産運用事業を成長させるべく各企業は資産運用規模の拡大に努めています。

各国では資産運用会社の合従連衡により資産運用規模を拡大させている一方、日本でも三菱UFJ信託銀行が2018年10月オーストラリア最大手銀行、コモンウェルス銀行(CBA)傘下の資産運用会社を3000億円で買収しました。

三菱UFJ信託銀行は2017年度は3割だった海外割合を、2023年度は7割にまで高めて収益構成を大きく変えることを名言しており、今後競合他社も海外における資産運用ニーズの高まりに対応した戦略を取り、この流れに続いていくと考えられます。

一方、国内では低金利により国内資産運用会社は再編を進めています。三菱UFJ信託銀行は2018年4月に法人融資を三菱UFJ銀行に移管し、同グループ内での重複を避け、資産の運用・管理、証券代行など得意な事業に経営資源を集中する体制に変化させました。

また、三井住友信託銀行を擁する三井住友トラスト・ホールディングスやSMBC信託銀行を擁する三井住友フィナンシャルグループも傘下の系列資産運用会社を合併・再編し、資産運用会社のグループ化が進行していると言えるでしょう。

信託銀行の利益相反問題

信託銀行の「利益相反問題」とは、信託銀行が銀行としての「法人融資機能」と「信託機能」の両方を持つ故に、例えば債権者としての立場を利用し他の信託商品の購入を強要するなど、グループ内と顧客の利益関係が競合・対立する状況を言い、日本国内で長くくすぶっている問題です。

最も現在問題になっているのが、「融資部門」と「運用(信託)部門」が同じ会社内にあることによる「利益相反」問題のケースです。

信託銀行は株式を受託財産として保有するいわば「機関投資家」という立場になります。そのため、株主総会などで一定の議決権を持つのですが、その会社が融資関係のある付き合いの親密な会社だとすると、その会社に配慮し委託者の利益でなく自社の利益になるように議決に関して手加減するという、「利益相反」が起こってしまいます。

そのため、信託銀行各社は利益相反疑惑を払拭するため、議案に投じた賛否を個別開示して透明性を高めるという措置を取りました。

この長くくすぶる利益相反問題に対して金融庁はガバナンス向上を各社に要求し、各社は法人向け融資やM&A(合併・買収)に関連する部署から運用を担う部署への情報伝達や接触を禁じたり、人事異動に一定期間の制約を設けるなどの対応をとっています。

また、「融資部門」と「運用部門」を完全分離するため、グループ会社を再編・統合し、グループ子会社等に運用部門を全移管する措置も取っています。

最後に

信託銀行業界で評価される能力

いかかでしたでしょうか?

信託銀行業界はその業務内容がイメージし辛く、かつ非常に多岐にわたりますが、本記事でおおよその概形を掴み、リクルータ面談でイメージをさらに深めていくという形を取ると良いでしょう。

以上で述べたような働き方から「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは? 」の「1.個人として努力し、成果をあげることができる」「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」といった素養が評価されると考えられるため、積極的にアピールしていきましょう。

また、国内の低金利を考慮すると今後さらに海外での資産運用事業に注力していくことが予測されますので、海外志向の学生にもおすすめできる業界と言えます。

unistyle上でも信託銀行各社のESを始めとした選考対策記事を用意していますので信託銀行を受けようと考えている就活生は是非ご一読してみて下さい。

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