テレビ業界の今後はどうなる?最新動向、ニュースや課題を踏まえて解説
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最終更新日:2024年11月15日
本記事では、テレビ業界の現状や課題、今後についてニュースを交えて紹介していきます。
テレビ業界の動向
※テレビは「地上波テレビ」と「衛星メディア関連」の合計です。
まずは現在のテレビ業界の動向から見ていきます。
テレビ広告費の推移から見る業界の現状
2020年度の地上波テレビ広告費は1兆5,386億円(前年比88.7%)でした。前年に比べて減少しており、新型コロナウイルス拡大に伴う広告費削減などの影響を受けたことが主な理由です。
番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」、「FIFAワールドカップカタール2022・アジア二次予選」などの開催延期、プロ野球開幕延期、プロゴルフトーナメント中止・無観客での開催など、大型スポーツイベントの延期・中止と広告主の業績不調による固定費削減の影響によって減少する結果となりました。
スポット広告費は、緊急事態宣言の影響から経済活動が減少してしまったため、「官公庁・団体」を除くほぼすべての業種で大幅に減少しました。
対するインターネット広告費は2兆2,290億円(前年比105.9%)と成長を続けており、テレビ業界の低迷が伺えます。
電通「日本の広告費2020」
テレビ広告費が減少している背景
広告費からも、インターネットの普及によってテレビの広告費が減少していることがわかりました。
その背景には、インターネットで動画を楽しむ人が増え、その分テレビを見る人が減少してしまった結果、各スポンサーがテレビからネット広告に出資するようになったという理由が大きいとされています。
ネット動画は、テレビにはまだ追いつかないが、男女とも10代、20代はテレビに迫る勢いだ。5年後の2025年調査では、おそらく逆転しているだろう。動画を除く趣味・娯楽・教養のネット利用では男性20代、30代、女性20代ですでにテレビより多くの人がネットを利用している。
この調査結果から明らかになったのは、「10代から30代の若い人たちはテレビを見なくなりネット動画を見るようになっている。地上波テレビ放送に執着しているのは60代以上の老人ばかり」という現実だ。その60代以上の高齢者でさえ、ネットを使い始めている。
テレビ業界では現在、若者のテレビ離れが深刻です。
特にスマートフォンでのインターネットを楽しむことが多い10代から30代の若い人々はテレビを見なくなり、代わりにインターネットで動画を楽しむようになっているようです。
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テレビ業界の課題
業界の勢いが低迷してしまっているテレビ業界ですが、さらに課題も複数存在しているようです。
テレビ業界の課題について、以下では詳細に解説していきます。
制作会社の賃金問題
テレビ番組を制作しているのは、テレビ局のスタッフだけではありません。そのため、従来であればテレビ局のスタッフと番組制作会社のスタッフが協力しあって一つの番組を作り上げる必要があります。
筆者は1990年代半ばから25年近くにわたってノンフィクション系の番組制作に携わってきているが、民放各局のニュース・ドキュメンタリー番組の制作現場は、番組制作会社やフリーランスのテレビマンたちのおかげで成り立っているといっても過言ではない。
人員の数でいっても局員の比率はさほど高くないし、ましてや仕事の経験値的には、優秀な外部のスタッフ抜きでは番組を制作するのは不可能だと思う。
しかし、現状のテレビ業界ではテレビの局のスタッフと制作会社のスタッフ間に賃金面や待遇面での差が激しく、パワハラなども日常的に行われているといった事例も報告されているようです。
両者の格差が大きいことが問題になり、制作会社のスタッフがストライキを起こすまでに深刻な状況になってしまっっているケースもあります。
もちろんテレビ業界全体が上記のような事例に該当する訳ではありませんが、そういった事例が少なからずあることは事実のようです。
業界の旧態依然とした体質
かつて日本の文化をけん引したメディアとして「黄金時代」を築いたテレビ業界は、長時間労働・暴力・ハラスメントが当たり前という昭和の体制からいまだに脱却できずにいるという印象が少なからずあります。
フジテレビ系列の岡山放送(岡山市)に勤務していた30歳代の男性社員が7月に自殺し、同社が「長時間労働が自殺の主な原因だった」として、遺族に経緯を報告していたことがわかった。同社は幹部社員らの処分を検討している。
同社や関係者によると、男性社員は7月、岡山市内で自殺。社内調査の結果、直前の6月14日~7月5日、100時間以上の時間外労働をしていたことがわかった。また、上司による過度な 叱責など、パワーハラスメントとみられる行為も確認された。
このように、現在でも旧態依然とした体制が残っているため、業界全体のイメージの悪化に繋がっています。とは言え、現在ではこの労働状況の改善のため、さまざまな取り組みが行われています。
具体的な取り組みに関しては後述していますので、気になる就活生はこのまま読み進めてもらえればと思います。
テレビ業界の今後
若者のテレビ離れや賃金問題、体制といった課題が多く、テレビ業界はこれらの問題をこれから解決していかなければなりません。
そこで、テレビ業界では今後どのような改革が行われていくかについて紹介していきます。
テレビ業界の今後(1)動画配信サービスの活性化
テレビを見る層は年々減少しているものの、映像コンテンツを見たい人は依然として多く存在します。そのような視聴者がYouTubeやNetflixなどに代表される、インターネット上の動画コンテンツを楽しんでいるのが現状です。
動画コンテンツを楽しみたい人が多いということは、やり方によってはテレビ局が制作するコンテンツが地上波に限らず視聴される機会はもっと増える可能性があるということになります。
民放テレビ局が連携した公式テレビポータルサイト「TVer(ティーバー)」。各局の好きな番組を、好きな時に、好きな場所で、好きなデバイスで!自由に視聴できるテレビの新しいスタイルです。
【引用】TVerとは
インターネットを利用して幅広い視聴者に届けることが今後のテレビ局にとっては非常に重要です。最近では上記のようなサービスが普及し、気軽にテレビコンテンツを楽しめるようになりました。
このように、テレビ局がインターネットを積極的に利用し、コンテンツを視聴者に提供することが出来れば、テレビ局は今後も企業としての成長が見込めるでしょう。
テレビ業界の今後(2)高齢化社会
若者のテレビ離れが深刻化している現代ですが、スマホが普及しているのは10代から30代までの若者層が圧倒的です。ですが、スマホの操作が不慣れな高齢者層には、未だテレビが最大のメディアとして扱われています。
まず若者に見られていない。メディアとして最大の欠陥だ。高齢化社会が進んでしまったのに、世帯視聴率を長らく指標としてきた。その結果、世帯数が圧倒的に多い高齢者に番組を向けてしまう“体質”になってしまった。
超高齢化社会の現在では、現在60代、70代の方々は今後もテレビを視聴し続けます。高齢者層向けのテレビ需要は今後も継続し続けると考えられます。
テレビ業界の今後(3)働き方改革
上述したように、テレビ業界の抱える大きな問題の一つに労働環境があります。
過労やパワハラ問題などで注目されることも多いテレビ業界ですが、現在では働き方改革が推進されています。
現在推進する経営計画「テレビ朝日360°」において、当社のすべての価値の源泉は“コンテンツ”にあると謳っています。その価値の創出を支えているのは従業員と関連するスタッフであり、当社が持続的に成長・発展を遂げていくために、従業員・スタッフの心身の健康を維持する労働環境の構築が最優先だと考えています。そのため当社では「テレビ朝日360°働き方改革」という施策をとりまとめ、様々な施策を展開しています。
【引用】働き方改革│テレビ朝日HP
例えばテレビ朝日では、働き方改革として、「(1)勤務時間の厳格な把握(2)人事評価への反映(3)休暇取得奨励策の推進(4)即戦力採用の実施(5)事務作業へのロボットの導入」を行い、テレビスタッフへの負担を軽減しています。
テレビスタッフの負担が解消されれば、同じ現場で働く制作スタッフに対する待遇も緩和されるため、格差解消につながる第一歩と考えることができます。
まとめ
本記事では、テレビ業界とは最新動向や今後、課題について紹介しました。
インターネットの普及に伴い、テレビは映像コンテンツの覇権をインターネットと競い合うようになりました。これからも変化が多いことが予想されるので、今後も注目し続けましょう。
テレビ業界の現状や動向を把握しておくことで、業界研究に役立ててください。
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