グループディスカッション(GD)完全対策!企業の意図・役割・議論の進め方まで
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最終更新日:2024年08月20日
本記事では、グループディスカッション(GD)の企業の評価基準や進め方、グループディスカッション(GD)の能力を高める方法について解説します。ぜひ選考の前に一度と言わず二度三度読んで役立ててみてください。
- 本記事のコンテンツ
- グループディスカッション(GD)で企業は何を評価しているのか
- グループディスカッション(GD)の役割にはどんなものがある?
- グループディスカッション(GD)の進め方
- グループディスカッション(GD)テーマの代表的なパターンと議論のポイント
- グループディスカッション(GD)の能力を高める方法
- 最後に
この記事の監修者
横山慶一さん
1級キャリアコンサルティング技能士
インテグラルキャリア研究所所属
VUCA時代の今日、ロールモデルを見つけることが難しくなっています。自ら正確な情報を入手し、主体性を持って臨機応変に行動する力を身につけることが就活だけでなく社会人として日々成長する原動力となります。プロフィール詳細はこちら
グループディスカッション(GD)で企業は何を評価しているのか
グループディスカッション(GD)に限らず、企業は数々の選考フローを通して学生を
「一緒に働きたいと思えるか」「ビジネスの素養が高いか」
という2つの基準で評価しています。
この2つの基準を根底で持ちつつ、グループディスカッション(GD)においては
①議論に臨む基本姿勢
②議論のテーマや流れへの理解力
③自身の意見の主張力
④議論を統率するリーダーシップ
と、大きくこれら4点を評価しています。順番に説明していきます。
グループディスカッション(GD)の評価ポイント①:議論に臨む基本姿勢
こちらでは「ビジネスパーソンとしての基本的なマナーが備わっているか」を企業側は見ています。
具体的には、以下の3つが基本姿勢に該当します。
- 人の意見を遮らずに聞けるか
- 自分と異なる意見でも筋が通っているものであれば尊重できるか
- 他者に発言を促すといった気配りができるか
例えば「発言するときは必ず人の目を見て話す」といった細かいマナーを過度にテクニック化して気にする必要はないものの、いずれも基本的なスキルであり、ここができていないと企業から大きく評価を落とされることになってしまいます。
グループディスカッション(GD)の評価ポイント②:議論のテーマや流れへの理解力
こちらでは「議論が今どの段階にあって、何について話すべきかを適切に見極められるか」を見ています。
具体的には、以下の2つが理解力に該当します。
- 議論の流れに沿って話せるか
- 議論の最終的な目的を踏まえて話を展開できるか
実際にビジネスの場の会議においても急に筋違いな発言をする人はいるもので、そういった人はこの理解力が欠けていると言えます。
また、「理解」と言われると「話を聞いて頭の中で整理する」というインプットの性質が強いものと思われがちですが、その力は「発言」で示すことしかできないため、他項目と合算して企業から評価されやすい評価要素とも言えるでしょう。
グループディスカッション(GD)の評価ポイント③:自身の意見の主張力
こちらでは「しっかりと自身の意見を他者に伝え、アウトプットによい影響を与えられるか」を見ています。
具体的には、以下の3つが主張力に該当します。
- 根拠に基づき主張を展開できるか
- 簡潔にわかりやすい主張ができるか
- トピックへの深い理解に基づき自分ならではの鋭い・ユニークな主張ができるか
「声の大きい/口数の多い人=主張力の強い人」と思われがちですがそうではなく、意見を論理立ててきっちり伝えることができれば、言葉数が少なくても十分に意見を通せるはずです。
グループディスカッション(GD)の評価ポイント④:議論を統率するリーダーシップ
こちらでは「自らグループの意見を統率して牽引する動きができるか」を見ています。
具体的には、以下の3つがリーダーシップに該当します。
- 問題を的確に理解し、議論の方向性を決められるか
- 横道にそれた議論を修正できるか
- 時間内に結論を出すべく議論を進行できるか
「リーダー」と言われると「真っ先に話し始める声の大きな人」としてグループで1名の司会役のように思われがちかもしれませんが、グループ内に議論を統率できるリーダー的な人が多くいれば多くいるほどよい議論になります。
「リーダー=議論をよい方向に導く人」という意味では、誰か一人の役割的なものではなく、グループの誰もがリーダーであるべきです。
「リーダーシップ」という言葉の意味から考えると、主体的に議論をよい方向に導こうとする当事者意識を見られている、と言い換えられるかもしれません。
以下記事では企業が求めるリーダーシップの意味において説明すると共に、内定者の回答事例も紹介していますので是非参考にしてみて下さい。
参考:自己PRでリーダーシップをアピールするポイントは3つ!‐ES例文5選付‐
以下の記事ではグループディスカッション(GD)のそれぞれの役割で意識すべきポイントやそれぞれの役割に向いている人について解説しているので参考にしてみてください。
グループディスカッション(GD)の役割にはどんなものがある?
グループディスカッション(GD)の役割には主に以下の3つがあります。
●司会
●タイムキーパー
●書記
それぞれの役割でどのようにチームに貢献するべきなのか、また向いている人はどのような人なのか、以下で解説していきます。
グループディスカッション(GD)の役割①:司会
グループディスカッション(GD)における司会の重要な役割は、グループのメンバーの意見を引き出し、議論を活性化させることです。発言できていない人に発言の機会を与えたり、出ている意見を整理しながら、短い時間で効率よく議論を進行することが求められます。
司会に向いている人は以下のような人だと言えます。
- 論理的思考力がある人
- 傾聴力がある人
- 理解力がある人
- リーダーシップがある人
グループディスカッション(GD)の役割②:タイムキーパー
グループディスカッション(GD)におけるタイムキーパーの役割は、議論の時間を管理することです。グループディスカッション(GD)を時間配分通りに進めるということは非常に重要です。そのため、タイムキーパーは司会と連携を取りながら議論を進める必要があります。
タイムキーパーに向いている人は以下のような人だと言えます。
- 状況把握力がある人
- 逆算して行動できる人
グループディスカッション(GD)の役割③:書記
グループディスカッションにおける書記の役割は、チーム内で出た意見をメモに残すことです。ただメモに残すだけではなく、メモを見ながら議論の方向性を修正したり、アイデアの共通点をまとめておくことが大切です。
書記に向いている人は以下のような人だと言えます。
- 文章力がある人
- 傾聴力がある人
- 全体を俯瞰できる人
また、グループディスカッション(GD)の役割についての詳しい内容は以下の記事で解説していますので、そちらも参考にしてください。
グループディスカッション(GD)の進め方
グループディスカッション(GD)では様々なテーマが課され、それぞれ議論の詳細は変わってくるものの、大まかな議論の進め方は共通していると思っています。
具体的には、
①役割の決定
②アウトライン作成
③立場・目的の明確化
④全体像の把握
⑤課題の特定
⑥打ち手の立案
という順序で進めるとスムーズに質の高い議論が展開できます。
グループディスカッション(GD)の進め方①:役割の決定
グループディスカッション(GD)では短時間で効率よく議論をまとめる必要があります。そのため、必ず議論を始める前に役割分担をするようにしましょう。
前に述べた通り「司会」「タイムキーパー」「書記」は必須ですが、人数によっては「発表者」なども割り振るようにしましょう。まず司会を決めてから他の役割を決めるとスムーズに役割決めを行うことができるはずです。
グループディスカッション(GD)の進め方②:議論のアウトライン作成
いつまでに何の話をどういった順序で進めていくのかを決めるということで、議論の根幹をなす重要なフェーズです。グループディスカッション(GD)の選考で時間内に論理立てた議論を進めるには、このアウトラインの作成が欠かせません。
「決めるべきことを決める」段階であり、ここがしっかり固められればその後の議論がよいものになる可能性は非常に高くなります。
逆に、ここをおざなりにしていきなりブレイン・ストーミングによるアイデア出しなど細かい議論に入っていきそうな場合には、強く制止してでもアウトラインの作成を提案すべきです。
グループディスカッション(GD)の進め方③:議論の立場と最終的な目的の明確化
「どの立場で」「何を目的に」議論を進めるのかを決めずに議論していくと、話があらぬ方向にそれたり発散しすぎて収拾がつかないといった状況になりかねません。
例えば、以下のような課題が出された場合、何を考慮して議論を進めていくべきでしょうか。
「地方大学の生き残りの戦略を立案せよ」
まず「立場」については、文部科学省の役人を想定するのか・地方大学の運営に直接携わる役員を想定するのかで議論の方向性や打ち手はまったく異なります。
一方「目的」についても、「生き残り」の定義を「学生数の増加」とするのか「全体的な収益アップ」とするのかといったところまで具体化して話を進めるべきでしょう。
これらを明確にしないでいると、ある時は大学役員の立場で「学生数を増やすためにテレビCMを打とう」、またある時は政府役人の立場で「国として地方大学に資金を入れよう」といった議論の的が定まらない発言が乱立したまま制限時間が終わってしまうかもしれません。
グループディスカッション(GD)の進め方④:全体像の把握
先ほどの「地方大学の生き残りの戦略を立案せよ」というテーマを見てすぐに「知名度アップのためにテレビで取り上げてもらおう!」といったアイディア出しをスタートするといったことがグループディスカッション(GD)の議論の進め方としてよくありますが、これでは効果的な打ち手の議論にはなりません。
そもそも地方大学が生き残れなくなってきたのはなぜなのでしょうか。地方人口の減少によるものか、都心の大学の方が卒業後の雇用機会に溢れているためか、などの背景を含めた問題の全体像をグループの共通認識として把握しておくべきです。
グループディスカッション(GD)の進め方⑤:課題の特定
問題の全体像を把握できたら、次は解決するべき課題を特定します。
グループディスカッション(GD)においては詳細な資料が与えられていることは稀であり、グループの各人が根拠を持って論理的に課題を特定していくことが重要です。
先ほどの課題であれば、以下のような流れで解決するべき課題を特定していきましょう。
「そもそも少子化は日本全体に言えることでありここでこれ以上議論しても仕方ない」
▼
「であれば地方出身者の中で都心大学に行く学生の割合が高まり、地元の大学に進学する学生の割合が減少しているかもしれないのでそこを考えていこう」
▼
「戦略としては都心大学から学生のパイを奪う方向でーー」
課題は1つである必要はないものの、あまり多く出しすぎても時間内にそれぞれの課題に対する打ち手の立案ができないと思われるため、多くとも3つ以内におさめて、可能な限りクリティカルな課題を抽出するようにしましょう。
グループディスカッション(GD)の進め方⑥:打ち手の立案
さて、ここまで来て始めて具体的な施策について意見を出し合うことになります。
いきなりここのアイディア出しからスタートしてしまうのはダメなグループディスカッション(GD)の典型例であり、①〜④の内容がメンバーで共有されたうえで、この項目に移るべきです。
例えば「都心大学に学生を奪われていること」が課題であれば、学費設定の見直し・雇用機会を生み出せるようなエッジの効いた学部の設立(秋田県の国際教養大学などが実例です)・その他魅力的な設備への投資といった打ち手が考えられるでしょう。
参考:グループディスカッション(GD)の進め方とは?6つのコツとテーマごとの進め方をわかりやすく解説
グループディスカッション(GD)テーマの代表的なパターンと議論のポイント
ここではグループディスカッション(GD)のテーマの代表的なパターンと、それぞれの議論を進めて行く上でのポイントを説明していきます。
なお、より詳しくテーマを分けた記事もあるため、詳細はそちらをご覧いただければと思います。
以下記事では、よく出題される代表的な5つのパターンに対して回答方針などを紹介していますので是非参考にしてみて下さい。
参考:【グループディスカッション(GD)の頻出テーマ89例】業界別に過去の出題テーマも公開
グループディスカッション(GD)テーマ①:「売上アップ」系
実際に出題された事例
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いわゆるフェルミ推定の考え方をそのまま活かせる内容です。
細かい設定が異なったとしても、「売上=客数×1名あたり単価」という式は変わらないため、客数を増やすのか1名あたりの単価を高めるのかについて深く考えていくことが多いと言えます。
グループディスカッション(GD)テーマ②:「問題解決」系
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先ほどの問題解決の順序の段落で例に出した「地方大学の生き残り戦略の立案」もこちらに当てはまります。
「売上アップ」系のテーマであればテーマ=解決するべき課題になっていますが、こちらの「問題解決」系のテーマだと、誰の立場で具体的に何を目的に議論するのかをある程度きっちり決めておく必要があります。
自由度が高いテーマのため、自分たちの中で論理立てた仮説をベースにして議論するべきポイントを絞ることが重要となります。
グループディスカッション(GD)テーマ③:「正解なし、ポジションを決めて主張する」系
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グループディスカッション(GD)の能力を高める方法
ここまでグループディスカッション(GD)の評価基準やパターン、あるべき目的意識について説明してきましたが、この段落ではグループディスカッション(GD)の能力を高めるための方法を説明していきます。理論がわかっていてもそれを実践で活かせなければ意味がないので、両者をバランス良く組み立てていってもらえればと思います。
より詳しい説明は以下の記事に記載しているため、そちらも参考にしてください。
一人で出来るGDの対策を5つまとめて紹介したものとなっていますのでぜひご覧ください。
参考:【グループディスカッション練習11選】一人でも複数人でも出来る完全対策
①まず『東大生が書いたケース問題ノート』は必読
グループディスカッション(GD)の選考対策においてこちらの本は必読です。
東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」
こちらの本では身近な話題であり、かつグループディスカッション(GD)のテーマで出題されそうなトピックについて、どのように考えていけばよいのかが書かれています。
「ケース問題」というと外資系企業やコンサル志望者以外には縁遠いと考えてしまう方もいるかもしれませんが、グループディスカッション(GD)のテーマについてもほぼすべてが論理的思考力を問うものであり、志望業界に関わらずケース問題対策はしておくべきです。
②実際にグループディスカッション(GD)による選考を受けるのが一番わかりやすく経験を積める
スポーツをしている方にはわかっていただきやすいかもしれませんが、本番に勝る練習はありません。それはグループディスカッション(GD)に関しても同様であり、実際にグループディスカッション(GD)選考を導入している企業の早期選考を受けてみることが一番よい練習の場になります。
机の上で本を広げるだけでなく、「足を運んで行動すること」はグループディスカッション(GD)に限らず就職活動では大切になるので、志望度に関わらず企業選考の場は積極的に活用できるといいでしょう。
③企業・団体主催の外部対策セミナーも有効
実際の企業選考に限らず、キャリア支援を行なっている企業や団体によるグループディスカッション(GD)対策講座や実践イベントなども有効な対策の一つです。
例えば、DEiBA Companyという企業が開催する「デアイバ」はグループディスカッション(GD)を通したスカウト型就活イベントとなっておりますが、実際に企業の人事からグループディスカッション(GD)の様子を評価されるため自身の能力を知ることができます。
また若干話はそれますが、こうした企業イベントに積極的に参加して、ともに就職活動を進める目線の高い仲間を見つけることもよいでしょう。
https://unistyleinc.com/topics/26055
https://unistyleinc.com/topics/26715
④一人で問題解決の訓練を行うのも立派な対策
グループディスカッション(GD)において大事なことで、「自分一人でもゴールまで順序立てて考えられること」が挙げられると思っており、そういった人が集まることでよりよい結論を導けるはずです。
そのため、「一緒に議論する人がいないから対策できない」のではなく、自分一人でグループディスカッション(GD)の能力を高めることは可能です。
先ほど紹介した『東大生が書いたケース問題ノート』に掲載されている問題にひと通り自分一人で取り組めば、個人単位でのグループディスカッション(GD)対策はほぼ完成といってよいでしょう。
最後に
就活本やWebサイト上でグループディスカッション(GD)に関して様々な言説が存在していますが、大枠の原理原則はこの記事に書いてあることがすべてです。企業側の評価ポイントを理解したうえで対策を行うことが重要です。
役割や過度なマナーに振り回されることなく、よい結論を導くというマインドを持って、そのための能力を磨き選考に臨んでいってください。
以下の記事でもグループディスカッション(GD)についてわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
1.【まず始めにこれを読もう!】GDとは?基礎知識を解説
2.GDの対策方法・コツ
3.GD頻出テーマと業界別の過去に出題されたテーマ
4.GDのテーマごとの進め方
5.GDの役割別(司会・書記・タイムキーパー)の対策方法
6.一人でも複数人でも出来るGD練習方法(11選)