グループディスカッションの能力を高めるには
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最終更新日:2024年08月06日
前回、グループディスカッションの評価基準と評価方法について説明しましたので、今回は実際にグループディスカッションを通過する為の能力をいかにして高めるかという視点で説明したいと思います。
そのためにはグループディスカッションとは実際にはどのような選考であり、どのようなテーマが課されるのかを理解することが必要であり、その上で選考上必要な能力と高める方法について説明したいと思います。
1.グループディスカッションとはどのような選考か
グループディスカッションとは、提示されたテーマに対し、グループで話し合い、時間内に成果を作り上げる形式の選考であり、仕事における会議・ミーティングに当たります。
選考形式はまちまちであり、グループの人数も4〜10名程度、選考時間も短い場合は20分程度、長い場合には2時間程度と多岐にわたります。
当然提示されるテーマも多岐に渡りますが、代表的なテーマを下記致します。
・売上アップ系
⇒ラーメン店の売上を増やすには、空港の利用者を増やすには、マクドナルドの売上を増やすにはなど
・問題解決系
⇒少子高齢化を防ぐには、交通事故の死亡者数を減らすには、花粉被害を防ぐにはなど
・結論なし系
⇒子供に携帯電話を持たせる是非について、働くとは何か、魅力的な人材とはどういった人材かなど
2.問題解決のアプローチを知る
上記1で説明したテーマを見てもらえばわかりますが、多くが「現状の問題の解決策を提示する」というものであることがわかります。そのため問題解決の一般的なアプローチを知ることは選考において非常に有利に進めることができるようになるにも関わらず、多くの学生がエントリーシートや面接ほど対策をしていないために差が出やすい選考となっています。
問題解決の一般的なアプローチを知るためには、外資系コンサルタントが出している問題解決関係の本を読むことが非常に有効です。私自身、転職活動のために問題解決の本を手に取りましたが実際の業務でも活きる非常によい経験をしたと思っています。
外資系コンサルティングは受けないという学生も下記の本は簡単で読みやすいので、グループディスカッション対策として手に取り、読むことをお勧めします。
ケース問題おすすめ本
過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策
東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート―50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」!
3.問題解決のアプローチに基づくグループディスカッションのポイント
それでは実際にグループディスカッションにおいて注意すべきポイントとは何でしょうか。
問題解決のアプローチでは、議論のアウトラインの作成⇒目的の明確化⇒問題の全体像の把握⇒課題の特定⇒打ち手の立案というフェーズに分けられ、それぞれのフェーズについて順を追って説明します。
①議論のアウトライン作成
議論のアウトラインとは、いつまでに何の話をするのかということを予め決めておくということです。
つまり②以降で話をする目的の明確化⇒問題の全体像の把握⇒課題の特定⇒打ち手の立案というそれぞれのフェーズにかける時間を決めるということです。限られた時間内にある程度の結論を出す必要があるグループディスカッションにおいてはこのアウトラインの作成が極めて重要です。
いきなり議論に入るようなことがあれば、制止してでも最初にアウトラインを決めるように提案してもよいでしょう。
②目的の明確化
目的を決めずに議論をし始めると、議論があらぬ方向にそれて結論にまったく関係のない話を延々としてしまうということがよくあります。
例えば、「さびれた温泉街を復活させるには」というテーマに対してであれば、「温泉街への旅行客の増加」や「温泉街全体としての売上アップ」といった具体的な目標に落とし込むべきでしょう。
目的を明確にしないと、「温泉街に地方自治体として資金を入れるべきか否か」などトンチンカンな方向に議論が向いてしまう可能性があります。目的を明確にして、グループ内で共有することが効果的なディスカッションの大前提になります。
③問題の全体像の把握
問題の全体像を把握せずに、いきなり「さびれた温泉街を復活させるためにテレビに取り上げてもらおう!」というのでは効果的かつ論理的な提案とは言えません。まずは問題の全体像を把握し、課題を明確にした上で対策を考えるべきでしょう。
「さびれた温泉街を復活させるためには」というテーマであれば、そもそも経済不況によりレジャーに行く人が減少したのかもしれませんし、激安海外旅行や温泉以外の国内旅行に需要を取られている可能性もあります。また昔ながらの温泉街ではなく、秘湯めぐりや都内であれば大江戸温泉物語などの新たな温泉に需要を取られている可能性もありますし、他の温泉街に需要を取られている可能性もあります。海外旅行や国内旅行からお客を奪うのと、他の温泉街からお客を奪うのでは対策も大きく異なっています。
以上のようにまずは問題の全体像を把握し、問題を特定した上で対策を立案することを心がけましょう。
④課題の特定
問題の全体像が把握できれば、取り組むべき課題を特定するのみです。選考でのグループディスカッションの場合、詳細な資料がないことがほとんどですからメンバーそれぞれが根拠を持って議論を展開し、課題を特定していくことが重要です。
上記の例で言えば、「全体の経済不況に対して取れる施策については話が大きくなりすぎるからここで話すべき話ではないだろう」や「秘湯めぐりなど温泉需要が減っているようには感じられない、温泉に魅力はあるが温泉街に魅力がないことが一番の課題だ」など様々な意見を出し合う中で、立案すべき課題を絞りましょう。
もちろん一つでなくとも構いませんが、時間は限られていますので、多くとも三つ程度にするべきというのが個人的な感覚です。
⑤打ち手の立案
問題の全体像を把握し、課題を特定して初めて打ち手を立案します。「他の温泉街に需要を奪われていること」を課題として挙げたのであれば、価格設定の見直し、設備への投資、サービスの向上が打ち手として考えられ、さらに細かくそれぞれの打ち手を考えることができます。くれぐれも全体像を把握している時なのに、価格を下げようなどの具体的な打ち手を提案することのないようにしてください。
以上が一般的な問題解決のアプローチに沿ったグループディスカッションのポイントになります。実際にグループディスカッションを経験すると感じますが、思った以上に時間が足りません。少ない時間で最高の結果を出す為にもまずは上記の基本的アプローチに基づき議論を展開してみてください。
参考:グループディスカッション(GD)の進め方とは?6つのコツとテーマごとの進め方をわかりやすく解説
https://unistyleinc.com/topics/26055
https://unistyleinc.com/topics/26715
今回のまとめ
・多くの学生がほとんど対策をしないため、対策の効果が差にでやすい
・問題解決策の提示のプロであるコンサルタントのアプローチを知ることが非常に有効、本を読むべし