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日本郵船・商船三井・川崎汽船の事業・社風・選考比較【unistyle業界研究】

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掲載開始日:2016年07月29日
最終更新日:2016年12月09日
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近年、海運業界は中国の資源需要低下や、英国のEU離脱確定に伴う日本企業の株価の下落によって業績が芳しくないと言われることもありますが、島国である日本の経済を長きにわたって支えてきた根幹産業の一つです。

就職活動においては、その歴史と伝統、グローバル性などから総合商社と併願する学生も多い一方で、採用人数が総合商社と比べると非常に少ないため、難関企業の一つとして認識されています。今回は日本の海運大手三社に関して比較データなどを用いた比較をしながら、仕事内容や採用に関してご紹介したいと思います。

 

外航海運業界の事業内容、ビジネスモデル

四方を海に囲まれている日本にとって、不足する資源を海外から輸入するためには海運業は不可欠です。特に日本郵船をはじめとする大手三社は経営統合を繰り返しながら、日本開国から明治維新に至るまで外資に専有されていたシェアを奪い返し、会社創立から130年近くにもわたって日本の貿易業を支えてきました。

さて、海運業の果たしている役割に関して、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。

まず、「海運」というからには海を中心とするフィールドで船舶を使ってモノを運ぶ仕事です。特に日本の貿易では重量ベースで考えると、実に99.7%は海運業に依存しています。一般には飛行機で運べない重いモノを運ぶ印象があるかもしれませんが、空輸での取引はコストが高いので基本的に軽量且つ即時性の高いモノ(食品や精密品)以外の取引は少ないです。

また、海運業は主に荷主から預かる積荷を運搬するための運賃から収入を得ています。ちなみに、〜ドル/kgという単位で運賃を得るため、例えば一隻で数トンの積荷を運ぶ場合は莫大な資金が動きます。このように、自分の仕事ひとつで数千万、数億円もの資金を扱うことに働きがいを感じる社員も多いようです。

海運業界では多岐にわたる船の種類を船種(ふなだね)といいます。海運業の船種には大きく分けて、コンテナ船を代表とする定期船とバルク船を代表とする不定期船があります。

(参考)

定期船
一定の航路を公表されたスケジュールに従って運航する船。

不定期船
荷主の要望に応じてどの航路にでも随時就航する船。

中でも外航海運業界は国内市場を持たず、世界単一市場です。(これを「海運自由の原則」といいます)よって100%が国際取引であるため、市況の影響を大いに受けます。

海運自由の原則とは、海運活動は自由かつ公平な競争のもとに行うこととし,政府の介入は最小限にするということを原則としている。イギリスや日本などの先進海運国の海運政策の基本とされてきたが第三国の多くで自国の商業用船の振興を図るために海運活動への政府の介入が行われており,海運自由の原則に次第に修正が加えられつつある。

引用:貿易用語辞典

過去にもオイルショック、プラザ合意、リーマンショック、中国経済の傾きなどによって市況の良し悪しで業界の風向きが著しく変化してきました。したがって、時期によって調子の波が激しい市況を読み切れるかどうかが企業の利益を出すカギとなってくる業界と言えます。

需要に対して船の数が少ないと、儲けるべきポイントで利益を逃します。逆に船の供給過剰に陥ってしまうと、運賃価格が暴落してモノを運ぶだけで損益を出してしまうことになります。大体一隻の船の建造に3,4年要することから、「三年先の市況を見通す力」が求められていると言えます。3年先の船舶需要を読み切ることができれば、理論上は莫大な利益を出して最小限の損益で抑えることができる、というわけです。

その他の海運業の特徴としては、世界中の海を跨いでの海外産の原料・部品・製品の輸入、もしくは日本製品の輸出には必ずと言っていいほど関わる業界なので、ここから日本の中で「最もグローバルな業界」とも言えます。


事業内容から考える海運業界が求める人材

海運業は資源や製品を輸送することによって、世界中に存在する生産者と消費者の生活を繋ぎ、支える仕事です。

つまり、顧客が手塩にかけて造り上げた製品を預かり、それを必要としている消費者のもとに滞り無く責任を持って届けるということが主な仕事です。その際に最も重要な要素は、熱意・柔軟性・誠実性であると考えられます。自分の大切な品物は信頼に足る人物・企業に預けたいと思うのはごく自然な消費者の考え方です。

unistyleの記事で紹介した「企業に伝えるべき5つの強み」であれば、特に「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」(熱意・誠実性)「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」(熱意)「4.価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる」(柔軟性)ことが求められると言えるでしょう。以上の3つの強みをまとめると、

以上のような要素を日本郵船の社員インタビューでの言葉に照らし合わせて考えてみましょう。

入社後3年半はLNGグループに所属していました。ここで学んだことは、具体的なビジネススキルよりも、働き方、考え方だと感じています。3年半のうち2年半は営業を担当していましたが、同じチームの先輩方からはもちろん、お客様からも営業マンとしての心得を学ばせて頂きました。お客様と真摯に向きあうこと、チームで働くこと、そういったことの重要性を身をもって感じることができました。また、このときの上司から言われた「年次、職位、経験に関係なく、常に自分の意見を持ちなさい」という言葉は、その後自分が業務に携わる際の心得となっており、社会人としての礎を上司・先輩に温かく見守られながら築けたなと、今は感じています。

引用:課題を乗り越えながらビジネスを創り育てる力を学ぶ

自分の意見を熱意を持って誠実に伝え、そして柔軟性を持って相手を受け入れる事で、顧客の信頼を得る事ができるというプロセスはどの仕事でも重要な事ですが、海運業に臨む上でも非常に重要な要素です。

船会社では、船種ごとに少人数のチームで仕事をすることが非常に多いので「チームとして大きな目標に立ち向かったエピソード」、「その中で異なる意見を纏めて自分がリーダーシップを発揮した場面」を上手く伝えてアピールできると良いでしょう。


大手三社のセグメント別の売上高比較と分析

①定期船、不定期船の売上高の比較
そもそも定期船・不定期船とは、上で述べた通りで海運業における主要な船種です。

定期船に関しては、路線バスのように運行時間の時刻表や停車位置が決まっている船を意識していただけると分かりやすいかと思います。不定期船に関しては、タクシーと個人で長期契約を結んだ場合などをイメージすると分かりやすいかと思います。


定期船
一定の航路を公表されたスケジュールに沿って運航することで、不特定多数の荷主から多種類の貨物を引き受け、公表された運賃を得て輸送。

不定期船
基本的にばら積みの乾貨物を運送する船舶のこと。自動車船、タンカーも指す。バルク船では主に鉄鉱石、石炭、穀物を取り扱う。より参入自由な競争市場であるが、世界の粗鋼生産高、農作物の豊凶、石油価格変動による代替エネルギーの需給など、積荷と船腹需給関係によって市況が変動する。逆に、LNGなどの長期契約は一度契約してから定期的に稼げる。

各社ごとに定期船・不定期船の売上高を比較してみると以下のようになります。

単位:億円 日本郵船 商船三井 川崎汽船
不定期船売上 9,022 8,391 6,300
定期船売上 7,063 7,211 5,810
不動産・客船等その他 1,567 1,402 380


上の表を見て各社を比較すると、日本郵船の定期船売上の占める割合が低く、逆に安定収益を見込める不定期船の割合が高いことが見て取れます。このことからも海運事業ひとつをピックアップして考えてみても、リスクヘッジを考えて安定収益を見込めるポートフォリオを形成しています。他社に関しても、定期船の割合は低くはないものの、海運市況の暗転によって年々下がっているという現状です。


日本郵船:顧客の課題解決を目指し、陸海空の一貫した物流サービスを提供

陸海空に跨る物流事業に強みを持っている日本郵船。HPの企業理念にも、「陸・海・空にまたがるグローバルな総合物流企業グループとして、安全・確実なモノ運びを通じ、人々の生活を支えます」と記されているように、他二社と比較しても売上高に占める物流業の割合が高いです。倉庫やターミナルの運営を含めて陸海空で一貫したサービスを展開することによって、顧客に安心感を与えると同時に内陸輸送の手間を省きます。また、市況に左右されにくいよう事業ポートフォリオを形成することで世界中に散らばるグループ会社の収支安定化に努めています。

商船三井:世界最大規模の船隊を軸に、FSRUなど川上部門にも着手

特に資源に関する船種に強みを持つ商船三井は中長期的にはLNG船事業と海洋事業に力点を置いていくということを明言しています。中国の資源需要が爆発的であったリーマンショック以前、商船三井はドライバルク船を中心に莫大な利益を上げましたが、海運不況に伴うバルク船隊の縮小によって事業領域を幅広くとり、リスクヘッジを考える必要性に迫られました。ここで物流事業や、メタノール線などのニッチな船種、そして海洋事業に目をつけたというわけです。

このように総合海運企業として形を変えながら業界をリードしていけるというのが、商船三井の強みです。特に、2013年から本格的に参入したFSRU(Floating Storage and Regasification Unitの略称)事業では、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備を導入し、洋上でLNGを貯蔵し、気化して陸上パイプラインへ払い出す設備を世界で初めて単独での運営に乗り出しています。


川崎汽船:「進取の気性」を武器にドリルシップ・オフショア支援船を配備

日本郵船とは打って変わって、川崎汽船では主な収入源である海運業において事業のリスクを減らして安定収入を増加させることを目指しています。具体的には、最新鋭の船を投入することによってコスト面・サービス面で他社との違いを生み出すと同時に、中長期契約で安定的な収益を見込める不定期船の運航を増やすことを目標としています。

また、日本で初めて自動車船・LNG船を導入した企業として、その「進取の気性」を売りにしています。2014年からドリルシップを使用した海底油田の掘削にも参画しており、原油価格が下がる時期は事業収入が安定しない時期もありますが、長期傭船契約によって収入の安定を目指しています。

各社の選考について

三社共に陸上職・海上職・技術職を別枠で採用しています。陸上職・海上職(自社養成)は学部を問わず採用されており、技術職は基本的に理系学生が採用されています。海運業界は受験する人数に対して採用人数が少ないと言われており、自社オリジナルのテストでは人数が大幅に削られると言われているので対策が必要です。また、日本郵船と川崎汽船はESが手書きのものなので丁寧に心を込めて記入することが大事です。人によっては原稿が出来てから、送付する一枚を仕上げるのに5時間ほどかかることもあるようです。

日本郵船・商船三井は自社オリジナルの筆記試験やウェブテストを出題した後に、面接の段階でSPIの結果提出も求められるので、そちらの対策も必須です。国語・数学・英語が主に出題されますが、内容は高校受験程度の問題と言われており、市販されている問題集で対策すれば問題ないでしょう。


①日本郵船

-選考プロセス-

エントリーシート(手書き)&テストセンター(オリジナル)→一次面接(集団2対3)→二次面接(集団2対2)→最終面接(個人1対3)

参考:日本郵船 本選考情報

海運業界に関しては、陸上職・海上職を別々で採用しています。その内、日本郵船の陸上職は30~40名の採用です。同社の採用面接の特徴としては、ESに記載されていることは最初に少し聞かれる程度で、学生の考え方を知ろうとする質問が多いです。準備していることを答えるというより、自分のありのままを出すことが良い評価に繋がるはずです。

②商船三井

-選考プロセス-

エントリーシート&webテスト(昨年までは筆記試験)→グループディスカッション→一次面接(個人1対1)→二次面接(個人1対2)→最終面接(個人1対4)

商船三井 本選考情報

商船三井に関しては、陸上事務職の採用人数が20〜30人と言われています。採用ホームページにも記載されている通り、「自律自責型の人材」を育成することを目指していることから採用の面接でも自分の意志を重視されます。例えば、学生時代の経験をとっても、自分の強い意志と目的を持って臨んだことを評価されるように感じたと過去の内定者が話していました。

 

上の「求められる人材」の項目で述べた通り、海運業界では消費者から商品を預けられるにたる、消費者や顧客と信頼関係を築くことができる、最後まで仕事をやりぬく事ができる人材が求められます。その中で、特に日本郵船・商船三井の違いを知るうえでは、以下の記事参考にしてみるといいかもしれません。

③川崎汽船

-選考プロセス-

エントリーシート&webテスト→一次面接(集団3対1)→二次面接(個人1対1)→最終面接(個人1対1)

川崎汽船 本選考情報


川崎汽船に関しては、ESにおける自己PR欄が非常に重要であると言われています。というのも、「自主独立」「自由闊達」「進取の気性」という言葉が標榜されている通り、多くの社員は活気に溢れており自分が主体的に個性を出していくということが求められています。ESの白紙自己PR欄は「如何に自分の魅力を伝えてそれを評価してもらうか」という最初の自己表現の場です。OB訪問などを重ねて社員にも確認していただくと良いかもしれません。また、面接の場では本当に川崎汽船に入社する心算があるのかということを再三にわたって聞かれるので、他社・他業界ではなくてなぜ川崎汽船なのかということを端的に、明確に答えられるように準備しておく必要があるでしょう。


海運業界の大手三社はいずれも採用人数が少ないので、学生時代の経験や志望動機以外にも、社内の人間とイメージが合致するかを問うためか、自分の人間性や考え方を問われるような質問が多く登場します。その際には自分の準備した内容というよりも思うままの回答をすることが内定への近道となるはずです。

まとめ

日本で海運業界というと、上記の大手三社を思い浮かべる人が多いと思います。今回は、「海運業とはどのような仕事なのか」ということを簡単に説明させていただき、そして海運業の中でも大手三社をセグメント別に数字や企業のデータ等を用いて比較させていただきました。

企業がどの部門での売上を伸ばしているか、力を入れているかということを知ることによって、企業の性質がわかることもあると思います。この記事が就職活動中の皆さまのお役に立てれば幸いです。

 

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