鹿島建設のES対策!求める人材を理解して採用レベルの志望動機・ガクチカへ
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最終更新日:2023年10月17日
日本で2番目に大きな市場を誇る建設業界。その中でも鹿島建設は「100年を作る会社」として業界をリードしてきました。
文系でもトップクラスの学生が目指すデベロッパーと比べると人気は落ちてしまうものの、採用人数が少なく高倍率になっています。また建設業界でも昨今は不動産開発を行う部署もあります。
東京オリンピックや大阪万博の影響、昨今の海外展開も考えると、さらなる成長余地のある業界と言えるでしょう。
本日は鹿島建設の採用HP・エントリーシートから求められる人材に迫っていきたいと思います。
鹿島建設の業務内容
鹿島建設の事務職(文系職)の採用では「現場事務」「企画管理」「営業」「開発」の4つの業務のいずれかの配属になります。
入社後はまず「現場事務」の配属になり、その後ジョブローテーションを行いながら、それぞれのキャリアを歩んでいくようです。
それでは各業務について解説していきます。解説は下記の記事にも記載されているので、こちらもご確認していただけると幸いです。
現場事務
作業現場の事務を全て担当する業務です。つまり現場での施工以外の全ての業務を行います。
現場の労務管理・決算や近隣住民の対応など、幅広い業務を担当します。現場の「ヒト」「モノ」「カネ」をマネジメントする重要な業務です。
企画管理
支店・本部で管理業務を行う業務になります。
法務・総務・人事・経営企画・広報などのいわゆるバックオフィス業務を担当します。
営業
受注型と呼ばれる営業を行っています。この受注型営業というのは顧客からの受注を受けて、初めて商品を作り納品するという形の営業になります。
営業の大まかな流れとしては、デベロッパーや公官庁などのクライアントが発注した案件に対して、コンペティション形式で他社と競合しながら受注を目指します。受注できた場合、提案した建築物を施工し、納品します。
営業では、コンペティションで受注するために、クライアントを訪問にニーズを探ります。その情報をもとに、社内をとりまとめクライアントが求める提案を行うことが業務になります。
開発
ゼネコンは基本的にはクライアントから受注した建築物を施工します。ですが、ゼネコンが主体となり不動産開発を行う事業も多く存在しています。ニュータウン開発や複合施設開発など数多くの実績があります。
事務職ではその企画、リスクマネジメントなどを担当します。
鹿島建設の求める人材
以下は採用HPから抜粋した社員の方の声です。
私の所属する営業本部は、原則として本社を東京に置き、海外を含め全国に事業展開する企業を対象とする営業部門。営業本部に所属している社員の数は約200名に上ります。
私が現在、担当顧客として受け持っているのは商社や電鉄会社、自動車メーカー、石油会社、セメント会社の大手企業5社。建設投資を所管する部署などを定期的に訪問しながら、新たな建設投資などの情報を収集。
またお客様からの問合せに対し、過去の事例や鹿島が保有する技術をアピールしています。私たちがお客様から任される仕事は、お客様にとって社運をかけた大事業。そのため、当社の営業担当者はお客様との信頼関係を深めることが何にもまして大切です。
お客様の社運をかけた大事業のパートナーとして、最初に思い出していただける存在であり続けることこそが私たちの仕事です。
(中略)
現在進行中の仕事の一つに、担当している大手商社を含む計5社が共同で発注者となり、神保町に延べ床面積約1万6,000坪のオフィスビルを建設している計画があります。
こうしたプロジェクトを受注した後、営業は施工部門に任せ切りにするのではなく、会議に参加したり、現場にも足を運び、建物の完成まで、また建物完成後もその建物がある限り責任を持ちます。鹿島の社業は建物を建てることですが、お客様との契約なしに仕事をすることはできません。建築という形のない商品を買っていただくために何よりも大切なのは、鹿島になら信頼してこの仕事を任せられるというお客様からの信頼なのです。
(鹿島建設HP 新卒採用情報より)
建設業界の仕事内容としては、クライアントの要望を建物という形で提案するという仕事です。営業職は、クライアントからヒアリングをし、その要望を社内の技術者等と話し合いまとめることで、提案をするのが主な仕事と考えていいようです。
提案をする上で、コスト競争、納期競争などになりがちのようですが、クライアントがどのような構想を持っていて、今後10年、20年、どういう風になりたいがために、どのような建物をそこに建てるのか、ということをヒアリングし、それを実際の形にできるという点が、建設業界の醍醐味でしょう。
また、この業界の特徴として「提案する時には手元に商品がない」ということがあげられます。ある意味オーダーメイド的に建築物を提案していく点、単価が非常に高い点を考えると、信頼関係の構築は非常に重要な要素のようです。
上記をまとめると「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」の記事の「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」という強みを求めているでしょう。
鹿島建設のES解説
設問(1) 志望動機をご記入ください (500文字以下)
私は「日本の長所を活かし、強い日本を世界に発信する」という夢を貴社で達成したいです。
私は2度のアメリカへの留学経験から自分が日本を好きであると実感し、日本の技術力は海外の一部で評価される一方で、実際には市民権を未だに得られていないと痛感しました。
そこで、留学中に出逢った東南アジア出身の友人が彼らの生活基盤を創った日本の「ものづくり」に感謝していたことから、高い技術力で世界中の人々の生活水準を向上させ、且つ商品やサービスを通じて先進国・新興国問わず認知してもらう機会が多い建築業界を志望しています。
その中でも、5年間で海外売上比率を8%伸ばし、「進取の精神」で川上から川下までトータル ソリューションを提案している貴社であれば、私の夢を達成できると感じました。
具体的には学校・工場・住宅等、生活の基盤となる建物の建設に携わりたいです。
私はスーパーのアルバイトでお客様のニーズを汲み取り「新鮮な野菜の見極め方を教示する」という売り方を提案した結果、「相手の目線に立った思考力を活かし、創意工夫する」という強みを培いました。
この強みを活か し、まずは国内で自ら主体的に行動し関係者を巻き込んでいきたいです。
設問(2) 学生時代に最も力を入れてきた事とそれによって得たもの (500文字以下)
【日本文化を紹介する国際交流イベントの運営】
私は留学中に初めてを持つ中国人と台湾人に出会い、日本人という理由だけで口を聞いてもらえませんでした。その悔しさから少しでも実際の日本を知って欲しいと思い、国際交流イベントのリーダーに立候補しました。
その原因は第3者からの印象操作だと 仮定し、実際の日本人を知ってもらうことを目標に掲げました。そこで、海外の接客から日本は世界一礼儀正しい国だと実感し、 日本独自の「おもてなし」の文化を発信しました。
また、ストッキング相撲や浴衣の試着体験等を行い、誰でも楽しめるように工夫しました。時にはメンバーとイベントに対する価値観の違いによって衝突しましたが、誰よりも一所懸命働き、また自分と相手 の方向を一致させ共通の価値観を作り出すことで解決しました。
メンバー全員で「日本の良さを絶対に伝える」という想いを共有した結果、彼らに「あなたのおかげで日本を好きになった」と言ってもらえました。
人を巻き込むには、方向性や計画の決定等の方針面と主体的な行動を促す等の精神面両方の環境を整え、粘り強く行動で訴えかけることが大切であると学び、実際に行えた経験を得ることが出来ました。
設問解説
企業は今後の成長戦略を見据えた上で採用を行っています。事務職で採用される場合「現場事務」「企画管理」「営業」「開発」から最終的な専門を決めるため、選考時にどの職務に向いていそうかということを見極め、採用を行っています。
志望動機からその見極めを行っていると考えられると思います。
ガクチカでは、鹿島建設が求める人材かどうかということに加え、志望している職務と一致した強みを持っていそうかということについても見られていると思います。
設問(1)「志望動機をご記入ください」について
私は「日本の長所を活かし、強い日本を世界に発信する」という夢を貴社で達成したいです。私は2度のアメリカへの留学経験から自分が日本を好きであると実感し、日本の技術力は海外の一部で評価される一方で、実際には市民権を未だに得られていないと痛感しました。
そこで、留学中に出逢った東南アジア出身の友人が彼らの生活基盤を創った日本の「ものづくり」に感謝していたことから、高い技術力で世界中の人々の生活水準を向上させ、且つ商品やサービスを通じて先進国・新興国問わず認知してもらう機会が多い建築業界を志望しています。
その中でも、5年間で海外売上比率を8%伸ばし、「進取の精神」で川上から川下までトータルソリューションを提案している貴社であれば、私の夢を達成できると感じました。具体的には学校・工場・住宅等、生活の基盤となる建物の建設に携わりたいです。
私はスーパーのアルバイトでお客様のニーズを汲み取り「新鮮な野菜の見極め方を教示する」という売り方を提案した結果、「相手の目線に立った思考力を活かし、創意工夫する」という強みを培いました。
この強みを活かし、まずは国内で自ら主体的に行動し関係者を巻き込んでいきたいです。
こちらの内定者は、志望動機から察するに海外に向けた営業職を志望してるようです。
「【例文6選】エントリーシート(ES)の志望動機の書き方!独自調査を基に人気業界ごとに解説」のフレームワークに沿ってこちらの志望動機を整理していきましょう。
日本の長所を活かし、強い日本を世界に発信する
②きっかけ
アメリカに留学した経験
東南アジア出身の友人が彼らの生活基盤を創った日本の「ものづくり」に感謝していたこと
③企業選びの軸
高い技術力で世界中の人々の生活水準を向上
商品やサービスを通じて先進国・新興国問わず認知してもらう機会が多い
④業界比較
なし
⑤取り組みたい仕事
学校・工場・住宅等、生活の基盤となる建物の建設に携わりたい
⑥企業比較
「進取の精神」で川上から川下までトータルソリューションを提案している
順番は多少異なりますが、このようにまとめることができます。
企業比較の項目では、他のスーパーゼネコンと差別化が出来ていません。他の企業では「進取の精神」は掲げていませんが、トータルソリューションを提供している点では同じです。事業セグメントや社風なども鑑みながら、企業比較を行うことで論理的に企業比較を行うことが出来ると思います。
また、志望動機の最後に強みが述べられていますが、その強みの活かし方の抽象度が高いと感じます。営業を志望するのであれば、営業のどんなところで活かせるのか具体度を上げた回答をしたほうが評価につながるでしょう。
設問(2) 「学生時代に最も力を入れてきた事とそれによって得たもの」について
私は「日本の長所を活かし、強い日本を世界に発信する」という夢を貴社で達成したいです。
私は2度のアメリカへの留学経験から自分が日本を好きであると実感し、日本の技術力は海外の一部で評価される一方で、実際には市民権を未だに得られていないと痛感しました。
そこで、留学中に出逢った東南アジア出身の友人が彼らの生活基盤を創った日本の「ものづくり」に感謝していたことから、高い技術力で世界中の人々の生活水準を向上させ、且つ商品やサービスを通じて先進国・新興国問わず認知してもらう機会が多い建築業界を志望しています。
その中でも、5年間で海外売上比率を8%伸ばし、「進取の精神」で川上から川下までトータル ソリューションを提案している貴社であれば、私の夢を達成できると感じました。
具体的には学校・工場・住宅等、生活の基盤となる建物の建設に携わりたいです。
私はスーパーのアルバイトでお客様のニーズを汲み取り「新鮮な野菜の見極め方を教示する」という売り方を提案した結果、「相手の目線に立った思考力を活かし、創意工夫する」という強みを培いました。
この強みを活かし、まずは国内で自ら主体的に行動し関係者を巻き込んでいきたいです。
留学先での国際交流イベントの経験をもとに「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」の記事の「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」強みをアピールしています。
志望動機と同じように「ガクチカの書き方とは-6ステップで書けるESテンプレを基に解説-」のフレームワークにそって整理してみましょう。
①結論
日本文化を紹介する国際交流イベントの運営
②動機
留学先で日本人という理由だけで口を聞いてもらえなかった
少しでも実際の日本を知って欲しいと思った
③目標と困難
実際の日本人を知ってもらうこと
メンバーとイベントに対する価値観の違いによって衝突
④取組みと結果
日本独自の「おもてなし」の文化を発信
「あなたのおかげで日本を好きになった」と言ってもらえた
⑤人柄
誰よりも一所懸命働き、また自分と相手の方向を一致させ共通の価値観を作り出す
⑥学び
人を巻き込むには、方向性や計画の決定等の方針面と主体的な行動を促す等の精神面両方の環境を整え、粘り強く行動で訴えかけることが大切
上記の志望動機と一貫性のある強みを述べています。営業では「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」という強みは必要であるため、鹿島建設が求める人材であるということだけでなく、営業適性も示すことが出来ていると感じます。
内容自体にも納得感があり、評価されやすいガクチカになっていると思います。
最後に
本記事では鹿島建設の求める人材について考察してきました。
上述の通り、鹿島建設は「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」という強みを求めています。
これらの強みをアピールし、他の学生と差をつけましょう。
本記事が皆様の就職活動の一助となれば幸いです。
photo by Martin Thomas