グループディスカッションの対策|個人での対策方法と面接への活かし方
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最終更新日:2024年06月13日
GD対策ではマナー対策や役割に対するアドバイスが大半を占めているように思いますが、どちらも本質的な議論ではないと感じています。
下記のコラムで書いたとおり、グループディスカッションで最も重要な力は一人で結論まで導くことのできる力です。
一人で結論まで導くことができる人が複数人集まることでよりよい結論を導くことができます。
以下コラムではグループディスカッションにおいて鍛えるべきたった一つの力について具体例を用いながら詳しく説明していますので是非参考にしてみてください。
参考:グループディスカッションを突破する上でまず最初に鍛えるべきたった一つの力
今回のテーマでは、グループディスカッションで出題されるテーマ・お題の具体例からこれらのテーマ・お題に対して、論理的に結論まで導くことのできる力を養うために必要な対策方法について説明したいと思います。
GD対策として「東大生が書いたケース問題ノート」は必読
結論から言えば、東大生が書いたケース問題ノートはGD対策に最も有効な本の一つであるといえます。
内容も大学生が書いただけあって身近な問題が多く考えやすい上に、実際にグループディスカッションのお題として出そうな問題について、どのように整理して考えればいいのかわかりやすく解説してくれています。
ケース問題の対策は外資系コンサルを志望する学生のみがやるものではありません。
先ほどの紹介した通り、様々な業界の企業のGDテーマを見ると、多くの企業が論理的思考能力を問うようなテーマをGDの設問にしています。つまり、ケース問題対策は直接的にGDの対策になるのです。例えば、「愛とは何か」や「出来る社員が持っている要素を三つあげろ」などの非常に抽象的なテーマについても、このケース問題ノートを理解すれば考え方を応用することができます。
多くの就活生は、GDに関してはマナーや議論の際の役割などの本質的ではない対策ばかりになる傾向があります。しかし、議論に参加する1人のメンバーとして「1人で結論を導く」ことは最も重要なことであり、まずそのスキルを身に付けてから議論におけるマナーや役割のことに意識を向けるべきです。
グループディスカッションは1人でも練習できる
上述した通り、多くの学生はGDや面接の対策として、「実践」を繰り返すことが多いです。とりあえずGDや面接は数をこなすことで場慣れしていくので、確かに緊張することなく会話できるようにはなるでしょう。
しかし、選考やインターンを繰り返しているものの、その間を結ぶ知識の訓練としてのケース問題対策はしてない学生がほとんどです。ここで『ケース問題ノート』を活用しましょう。この本をしっかり読み込むことで、GDやケース面接で出題されるような問題をシステマティックに処理することが出来るようになります。
以下のプロセスで実際に問題を処理する能力をしっかり鍛えましょう。
①本を用いて一人でケース問題をノートに書いて解いてみる
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②本の答えを見た上でもう一度、話の流れを自分で組み立ててみる
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③過去の選考で出題されたお題に対してノートに書いて解いてみる
①本を用いて一人でケース問題をノートに書いて解いてみる
当たり前のことですが、まず本を読み込みましょう。
本書では、様々なジャンルの問題が難易度別に紹介されているので非常に網羅性が高いです。本書に掲載されている問題には共通する「型」があり、その「型」に合った「基本動作」さえつかめればあとはシステマティックに問題を処理することができまう。
まずその基本動作を身につけるために本に詳しくなりましょう。
②本の答えを見た上でもう一度、話の流れを自分で組み立ててみる
一般的な学習方法と同じです。まず①のステップで実践演習を行い、そして②のステップで分からなかった、もしくは気づかなかった箇所を復習しましょう。これの繰り返しで問題を処理するプロセスを定着させていきましょう。
このプロセスを繰り返すことで、自分でケース問題を結論まで導く能力を身につけましょう。この力をしっかりと身につけてからGDを受けることで「実践」が生きてきます。
また、GDを実践的に練習する方法としては、選考に参加する以外にも以下のような方法が挙げられます。
③過去の選考で出題されたお題に対してノートに書いて解いてみる
次の段落では、過去に出題されたグループディスカッションのテーマ・お題を企業ごとに紹介しています。
自分自身が志望している業界で出題されたお題についてはケース問題ノートと同様に解いてみるとよいでしょう。最初のうちはケース問題に掲載されているフレームなどを使いながら解いてみて、徐々に慣れてきたら自分なりに新しいフレームや枠組みを考えるようにすると慣れてくるでしょう。
この本を1冊自分自身でやり切ることができればグループディスカッションの対策はほぼ完成したようなものです。自分自身でグループディスカッションにおけるゴールまでの道筋が見えていれば、グループで話し合いをすることになっても自信を持ってのぞむことができるでしょう。
参考:【グループディスカッション練習11選】一人でも複数人でも出来る完全対策
本選考で出題されるグループディスカッションのテーマ・お題例
ここからは実際に本選考で出題されたグループディスカッションのテーマやお題についてみていきます。
グループディスカッションでは、提示されたテーマに対し、グループで話し合い、時間内に成果を作り上げる形式の選考であり、仕事における会議・ミーティングに近い形を取ります。選考形式はまちまちであり、グループの人数も4〜10名程度、選考時間も短い場合は20分程度、長い場合には2時間程度と多岐にわたります。当然提示されるテーマも多岐に渡りますが、代表的なテーマを下記致します。
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売上アップ系
⇒ラーメン店の売上を増やすには、空港の利用者を増やすには、マクドナルドの売上を増やすにはなど -
問題解決系
⇒少子高齢化を防ぐには、交通事故の死亡者数を減らすには、花粉被害を防ぐにはなど -
結論なし系
⇒子供に携帯電話を持たせる是非について、働くとは何か、魅力的な人材とはどういった人材かなど
上記のテーマが実際に出題されることが多いです。では、具体的にグループディスカッションの対策について話をする前に、どのようなお題が出題されているのかを確認してみましょう。
以下記事で、実際に人気企業で出題されたGDのテーマについて取り上げてみました。確認してみてください。
参考:グループディスカッションで実際に出されたお題16選
実際の企業選考で出題されたグループディスカッションお題実例
ここからは、過去に企業の選考で出題されたグループディスカッションテーマを紹介します。
「ラッシュ時間の電車混雑を緩和するにはどうすればよいか」
参考:アクセンチュア 本選考情報(ビジネスコンサルタント)
これは「問題解決型」のなかでも非常にオーソドックスな問題になっているので有名でしょう。
まずはラッシュ時間がいつであるか、そして具体的にラッシュという状態は電車がどのような状況であるかを定義する必要があります。その上で議論を進めると上手く結論を導くことができるのではないでしょうか。戦略コンサルのテーマでは売り上げアップの施策を考える問題が頻出ですが、このような問題解決型の問題も出題されるので注意しましょう。
「総合百貨店の戦略を複数の選択肢の中から選択せよ」
参考:NTTコミュニケーションズ 本選考情報
この問題はあらかじめ企業側から用意された複数の戦略から1つを選択するような問題です。
このように、情報通信業界大手のNTTコミュニケーションズでも売上アップ施策を考えさせる問題が出題されています。
しかし、一般的なGDとは異なり、「事前に分かっている選択肢から1つの戦略を絞る」必要があるので、戦略コンサルなどで出題されるような漠然とした問題に比べるととっつきやすい問題だと考えられます。
「今後、社会課題を解決するために日立が経営資源を投入すべき地域を2つ選び理由を述べなさい」
参考:日立製作所 本選考情報
こちらは売上アップというより「問題解決型」に近いタイプのお題でしょう。
注意したい点として、「社会問題を解決するために日立が行うべきこと」を考えるのではなく、「社会問題を解決するために日立が経営資源を投入すべき地域を選ぶ」必要があるということです。議論する上で、日立が強みとしている事業があり、そして今後どのような展望を描いているかを知っていることが重要だと考えられます。
「消費財メーカーの新商品開発に際して、与えられた資料を基に新商品案3つの中から妥当なものを選びなさい」
参考:日本航空(JAL) 本選考情報
こちらはNTTコミュニケーションズと少し類似していますね。
与えられた資料を基に新商品案を選ぶという問題です。具体的な選択肢を評価する方法としては「実現可能性」と「影響力」の2つの尺度があり、これのうちどちらを重要視するかはグループで議論する必要があるポイントであり、非常に難しいところではあります。
場合によっては、企業のほうから事前に「実現可能性には多少目を瞑って、案の斬新さや影響力について重きを置いてください」と説明される場合もありますので、その場合は企業の指示に従いましょう。
「コンビニエンスストアを出展する都道府県を選んで理由を述べよ」
参考:伊藤忠商事 本選考情報
総合商社でもやはりケース問題は出題されています。
事業投資をビジネスの1つの柱としている総合商社にとって、このような問題のシチュエーションは大いに考えられます。
「小学校の教育で必要な3科目を既存の科目から選定せよ。更に必要な1科目を新たに作れ。」
参考:シグマクシス 本選考情報
少しとっつきづらいですね。
このような問題は、「誰が小学校教育の科目について問題を抱えているのか」をしっかり考える必要があります。この問題の依頼者として、考えられるのは「保護者」や「小学校」、もしくは「政府」の可能性が考えられます。
「情報革命の進む未来でなくなると思われる仕事は何か」
参考:ソフトバンク 本選考情報(営業企画職)
この問題は通信事業を行っているソフトバンクならではですね。
この問題に対する切り口としては情報産業に関する時事知識が必要になってくると思われるので、しっかり新聞などを読む習慣をつけて抑えておきましょう(フィンテック、クラウドなど)。このようなトレンドをしっかり把握することで、近い将来になくなるような仕事を予測することが出来るようになると思われます。
「新入社員研修で1日休みを貰えるとして、親睦を深めるために1日をどのように過ごすか」
参考:NTTドコモ 本選考情報(技術系)
これは少し面白い問題ですね。
多くの企業が出すような「問題解決型」や「売上アップ型」とは少し異なります。少し特殊なタイプですが、このような問題を取り組む上でもしっかり根拠を持って議論することを意識したいですね。
「あるサービスエリアのフードコートの売り上げを上げるためにはどうすればいいか」
参考:西日本高速道路(NEXCO西日本)本選考情報
典型的な「売上アップ型」です。
売上アップ型の問題は出題頻度がかなり高いので、就職活動の早い段階で一人で結論まで導くことができるようにしましょう。どんなシチュエーションの売上アップ型問題においても共通することですが、売上=顧客単価×顧客数であり、この式を基にアプローチすることが多いです。
参考:【グループディスカッション(GD)の頻出テーマ89例】業界別に過去の出題テーマも公開
https://unistyleinc.com/topics/26055
https://unistyleinc.com/topics/26715
グループディスカッションでは何を目指すべきか
先に述べたように、GDを受ける就活生の多くは本来の目的を見失っていることが少なくなく、「いかに採用担当に自分がよく見せることが出来るかを」のみにしか目を向けられていない人が多いのが現状です。
その結果、最も優先するべき「議題に対する解決案」に対する意識が削がれ、ゴールを見失うことが多く、些細な役割分担や発言の際のマナー、発言回数の多さなどに注目してしまいがちです。
これは大きな間違いであり、本来GDのゴールというものは「チーム全員でよりよい結論を導く」ことであり、どんなに雰囲気良く議論しているところを採用担当に見せることが出来たとしても、仮に結論がイマイチであった場合はグループ全体の評価もイマイチになってしまう可能性があります。
つまり、チームの結論を良いものにできればできるほど、自分の選考率を上げることに直結する訳です。その上で、個人として「議論にどれだけ貢献したか」によってチーム内の優劣がつくことを念頭に置くべきでしょう。つまり、まず第一に最も優先すべきことは「グループとして最適な解を出すこと」です。
だからこそ、チーム全体の解をより良いものにするためにもケース問題を一人で結論まで導く能力は必須であると言えます。逆を言えば、ケース問題を解く力をしっかり持っていれば、グループにおいて重要な役割を担うことができるでしょう。
グループディスカッションの役割決めは必要ない
前述したとおり、グループディスカッションに参加する学生は「役割が何なのか」や「なるべく話す回数を多くする」など、本質的ではないことに意識が向きがちです。「グループの司会をするから選考を通過しやすい」や「書記をやると会話に参加しづらいため選考を通過しにくい」などは就活生の中ではよく噂されることですが、正しくないと言っていいでしょう。
何度かグループディスカッションに参加すると、「役割を決めましょう」とスタートと同時に言って仕事を割り当てようとする学生におそらく会うことがあると思います。もちろん役割を決めることで議論が崩壊するということはありえませんので、変に否定しすぎずにその学生の提案にのってあげるのも1つの手段かもしれません。本質的じゃない部分で争っても時間はもったいないといえます。
また、役割決めをした結果あなたが書記になり、「あまり人事にアピールできないんじゃないか…」と気にする必要はありません。先ほど紹介したグループディスカッションの基本的な流れに沿って議論を進めていけば、しっかり議論を促進させるための案出しや鋭い意見が言えるはずです。
書記という立場で貢献を考えるのであれば、全員に見やすいように適宜図示したり、自分の意見を加えながらまとめていくといつの間にか書記を超えてリーダーとしてグループ内でも信頼されるようになるでしょう。
最後に
実は、ケース問題対策はGDの通過率を上げるためだけのものではありません。面接においてもこのケース問題を解く力は大いに大事になってくるでしょう。
外資コンサルのような企業の個人面接では、GDで出題されるようなケース問題をそのまま聞いてくることがあります。もしあなたがしっかりとケース問題を1人で結論まで導く力があるのなら、その選考もきっと難なくパスすることが出来るでしょう。
ぜひ、「東大生が書いたケース問題ノート」とこの記事を利用して、効率的にGD対策をしていただければと思います。