クレジットカード業界比較|三井住友カード・JCB・三菱UFJニコスの強みや社風の違いとは
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最終更新日:2024年11月08日
急速なキャッシュレス化の浸透に伴い、大きな変革の時期を迎えるクレジットカード業界。今回はその中でも、ひときわ大きな存在感を誇る、三井住友カード(SMCC)・ジェーシービー(JCB)・三菱UFJニコスの企業研究を行います。
クレジットカード業界とは
クレジットカード業界は、クレジットカードを主として様々な決済サービスを提供しています。まずは、以下で説明している業界の仕組み・ビジネスモデルや市場動向を押さえて業界全体のイメージを掴みましょう。
クレジットカード業界の仕組みやビジネスモデル
クレジットカード会社の数ある事業のなかでも、代表的な「クレジットカード事業」を例としてビジネスモデルを紹介します。
クレジットカードビジネスは利用者、加盟店、クレジットカード会社の信用に基づき成り立っており、決済に関わるすべての人に付加価値を与えてる構造を持っています。
消費者にとっては「現金を持たずに買い物ができる」、「ポイント・割り引きを受ける」など、加盟店にとっては「販売機会を逃さない」、「購買単価の増加」などのメリットを享受することができます。そしてカード会社は当事業を通して手数料収入を得ることができます。
このような事業を行うクレジットカード会社は、主に以下のような部門で構成されているようです。
そもそもクレジットカード会社は何をしているのか?
クレジットカード会社の特徴的な業務は、大きく「営業部門」、「信用管理部門」、「事務部門」、「システム部門」に分類され、取り組まれている。
「営業部門」は、カードの発行、新規加盟店の開拓、決済事業のパートナーシップ開拓のほか、商品・サービスの開発、カード利用者の問い合わせに対応するコールセンター業務も担う。
「信用管理部門」では会員のカード利用代金の支払いの管理や不正利用のモニタリング、法人取引時の審査などリスク管理が図られている。
「事務部門」はカード発行にあたっての審査や、売上・請求・精算に関する業務を行っている。
「システム部門」は装置産業の代表とも言われるクレジットカード会社のインフラの新規開発、運用、保守を担当し、お客様の安心・安全・便利を支える存在だ。
クレジットカード業界の市場動向
近年、キャッシュレス市場は急速に拡大しています。以下は、日本国内の民間消費支出に占めるキャッシュレス決済比率の推移です。
※「中間整理を踏まえ、令和3年度検討会で議論いただきたい点」経済産業省商務・サービスグループキャッシュレス推進室を参考にunistyleが作成
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、キャッシュレス決済比率は29.7%(前年比2.9%)と大きく上昇しています。内訳で見るとクレジットカード決済が25.8%(前年比1.8%)と、キャッシュレス決済比率の中で最も大きな割合を占めています。
日本政府が「2025年時点でキャッシュレス決済比率40%」という目標を掲げるなど、国をあげてキャッシュレス決済の普及を推し進めていることもあり、クレジットカード業界はここ数年で大きく発展しているようです。
業績比較によるクレジットカード業界大手3社の企業分析
ここからはクレジットカード業界大手3社の三井住友カード・ジェーシービー(JCB)・三菱UFJニコスが公開している「決算資料」を用いながら業績比較を行い、各社の特徴を分析していきたいと思います。
比較する際に必要な語句やIRの読み方については、「【企業研究に役立つIR情報の見方を解説】絶対に見るべき3つの資料とは」を参考にしてください。
以下のグラフでは、三井住友カード・ジェーシービー(JCB)・三菱UFJニコスの営業収益と当期純利益を示しています。
※三井住友カードはSMBCファイナンスサービスとの合算
※三井住友カードはSMBCファイナンスサービスとの合算
※三井住友カードの2019年3月期当期純利益のマイナスは完全子会社化に伴う課税影響
※三菱UFJニコスの2019年3月期当期純利益のマイナスは利息返還損失引当金の追加繰入、システム統合関連資産の減損によるもの
クレジットカード業界の「営業収益」は、他業界における「売上高」に相当し、クレジットカード収益やファイナンス収益、信用保証収益などから構成されています(参考:三菱UFJニコス2021年3月期決算公告)。
2020年度は新型コロナの影響もあり、旅行をはじめとする外出型消費が低迷、さらに百貨店などにおける高額消費も停滞しました。巣篭もり需要の拡大に伴い、EC市場は伸びたものの収益減少を免れることはできませんでした。そのため、上のグラフを見ると、2021年3月期決算は3社揃って営業収益が減少しています。
2021年3月期決算では、営業収益と当期純利益ともに三井住友カードが業界トップとなっています。
業績の比較に加えて、三井住友カード(SMCC)・ジェーシービー(JCB)・三菱UFJニコスの企業研究を見ていきましょう。
クレジットカード業界:三井住友カード(SMCC)の強みや特徴、社風
三井住友カード(SMCC)は1967年に設立され、現在(2021年3月末時点)、2,601名の社員を擁するカード会社です。同社は、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の戦略的事業会社として、高いブランド力と総合的なカード事業の展開力を活かし、幅広いニーズに合った決済・ファイナンスサービスを提供しています。
三井住友カード(SMCC)の事業内容
三井住友カード(SMCC)は、設立翌年の1968年に日本のクレジットカード会社の中でいち早くVISAのライセンスを取得し、1980年には国内で初めてのVISAカードを発行しました。それ以来、銀行系カード会社のトップとして、またVISAブランドの盟主として業界を牽引しています。
長年培ってきたクレジットカード事業のノウハウをベースに現在は「会員事業」、「加盟店事業」および「受託事業」の3つを行っています。
まず会員事業では、あらゆる顧客のニーズに対応するために様々なカードを発行しています。特にクレジットカード関連の事業が主であり、そのほかにもデビットカードやプリペイドカード、ギフトカードなど多様な事業を展開しています。
次に加盟店事業では、店頭決済やインターネット決済、月々の利用料決済など様々なシーンでの決済方法を提供しています。加えて加盟店への振込み明細のWeb化や、販売促進活動を行い、加盟店の売上向上を支援します。
最後に受託事業では、同社が持つ決済・顧客管理システムの提供および各種カード関連業務の代行により、事業者のより低コストかつ高品質なカード事業展開を可能としています。
三井住友カード(SMCC)の最新動向とニュース
決済のパイオニアとして業界を牽引してきた三井住友カードは長年蓄積してきたノウハウを用いて、「三井住友カードWAON」や「PiTaPa」、「三井住友カードiD」など、様々な決済場面を創出しています。
また、近年ではキャッシュレス社会の浸透に伴って、個店向けモバイル決済端末「Square」や次世代決済プラットフォーム「stera」、データ分析支援サービス「Custella」など、消費者・事業者向けの新たな取り組みも行っています。
それぞれの取り組みについては以下の記事を参考にしてください。
三井住友カード(SMCC)の社風や組織風土
それでは、以下の採用サイト情報をもとに三井住友カード(SMCC)の社風・組織風土を見ていきましょう。
求める人物像と皆さんへの期待
SMBCグループにおける「決済のプロフェッショナル集団」を目指す当社では、現実的な視点を持ちつつ未来を切り開いていく人材を求めています。
キャッシュレス社会の実現に向け、若いうちから会社をリードするような存在になってほしい。当社はメガバンク系のクレジットカード会社ということで、ともすると「安定志向」「保守的」というイメージがありましたが、今はグループ内でも「どんどん暴れてほしい」という革命児的な役割を期待されています。
SMBCグループの安定的な基盤を活用しつつ、決済の分野においては「自分たちがグループをひっぱっていく」という意気込みで積極的に新しいことに取り組んでほしいと思っています。
近年様々な革新的な取り組みをしている。それを実現しているのは、社長メッセージにあるような「チャレンジを重んじる社風・組織風土」だと言えます。
業界のリーディングカンパニーとして、「Have a good Cashless」というビジョンのもと今後も挑戦的な社風を重視していくでしょう。
以上の内容より、三井住友カードの主な特徴・強みをまとめたので参考にしてみてください。
⑴営業収益・当期純利益ともに業界1位
2021年3月末時点で、営業収益4,370億円、営業利益559億円(SMBCファイナンスサービス含む)。高いブランド力と総合的なカード事業の展開力を活かし、幅広いニーズに合った決済・ファイナンスサービスを提供。
⑵SMBCグループの総合力
同社はSMBCグループのキャッシュレス決済戦略の中核を担う総合決済カンパニーである。SMBCグループ各社と連携しながら事業展開している。
⑶積極的な新規事業開発
個店向けモバイル決済端末「Square」や次世代決済プラットフォーム「stera」、データ分析支援サービス「Custella」など、消費者・事業者向けの新たな取り組みを積極推進している。
クレジットカード業界:ジェーシービー(JCB)の強みや特徴、社風
ジェーシービー(JCB)は1961年に設立され、現在(2021年3月末時点)、4,375名の社員を擁するカード会社です。同社は、1981年にアメリカ以外のカード会社で初めて海外展開を行い、「日本発唯一の国際カードブランド」となりました。
2020年9月末時点で、世界3,500万件以上の加盟店ネットワークを構築し、海外会員数は3,236万会員に達しています。
ジェーシービー(JCB)の事業内容
JCBは、高品質で付加価値の高いカードサービスを会員の方に提供するカード発行事業を行っています。
また、国内最大級の加盟店網の構築・運営を行う加盟店事業をはじめ、自社のインフラやリソースを活かし、他のカード会社や企業のクレジットカード運営にかかわる業務を受託するプロセシング事業も行っています。
日本国内外でJCBブランドのカードや加盟店を拡大する国際ブランド事業など、多様な事業を通じて世界中のお客様にさまざまなサービスや付加価値を提供しています。
ジェーシービー(JCB)の最新動向やニュース
ジェーシービー(JCB)は、最新テクノロジーとアイデアを融合し、明日の常識となるサービスや商品をつくること、すなわち「未来基準」を創造することを目標としています。
その理念に沿って、新たなバーコード決済スキームの「Smart Code」やビッグデータビジネスの「JCB消費NOW」、新コンセプトの「Jカード」など様々な商品・サービスを展開しています。
それぞれの取り組みについては以下の記事を参考にしてください。
ジェーシービー(JCB)の社風や組織風土
それでは、以下の採用サイト情報をもとにジェーシービー(JCB)の社風・組織風土を見ていきましょう。
一人ひとりの能力を最大限に活かし、多様な人材を育てる。
社会の変化が大きく、速くなっており、ビジネスの難易度も高まっています。それでも、これまでJCBが培ってきた「チャレンジ精神」は変わりません。失敗を恐れず、挑戦し続けること。それこそがJCBが大事にしているマインドです。
JCBが求める人材は、「すぐにできなくてもいい、自分で考え抜き、一歩でも二歩でも踏み出すことができる人」です。失敗しても臆することのない気概。成功したらさらなる成功へ。成功に奢らず、失敗に臆せず、粘り強く貪欲に前に進むことができる人。そんな人材を求めています。
加えて、「個の力を、組織力の最大化のために提供できる人」です。そのためには、仕事に対する「責任感」「真摯さ」が不可欠となります。こうした基本的な素養さえあれば、JCBの舞台で必ず活躍することができるでしょう。
採用メッセージにあるように、ジェーシービー(JCB)には失敗を恐れずに様々な事業に挑戦できる環境があり、社員一人ひとりの「個の力」を強く伸ばすことを重視していることがわかります。
また、挑戦的な姿勢に加えて、仕事に対する責任感や真摯さも求められる組織風土でしょう。
以上の内容より、ジェーシービー(JCB)の主な特徴・強みをまとめたので参考にしてみてください。
⑴日本発唯一の国際カードブランド
他の国内カード会社が海外の国際ブランドと提携を進めるなか、1981年、ジェーシービー(JCB)はアメリカ以外のカード会社で初の国際展開。
⑵事業の柔軟性
カードビジネスの3大機能「※1 Brand Holder(ブランドホルダー)」、「※2 Issuer(イシュアー)」、「※3 Acquirer(アクワイアラー)」を一手に担っており、自由度と質の高いサービスを提供している。
※1 世界中で利用できる決済システムを提供
※2 クレジットカードの発行
※3 加盟店の開拓、審査、管理
クレジットカード業界:三菱UFJニコスの強みや特徴、社風
三菱UFJニコスは1951年に設立され、現在(2021年3月末現在)、3,463名の社員を擁するカード会社です。同社は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核企業であり、革新的な金融サービスを開発・提供することで「現金のいらない世の中」を創造することを目指しています。
三菱UFJニコスの事業内容
長年培ってきたクレジットカード事業のノウハウをベースに「クレジットカード事業」、「ソリューション事業」および「プロセッシング事業」の3つを行っています。
まずクレジットカード事業では、三菱UFJカードやJAカード、MUFGカード、DCカードやNICOSカードといった商品群で、広範にカード発行事業を展開しています。
続いてソリューション事業では、加盟店向けに「キャッシュレス決済の対応」や「販売スタイル最適化」、企業向けに「ガバナンス強化」、「コスト削減」、「プロセスの効率化」の支援を行っています。
最後にプロセッシング事業では、クレジットカード業務委託や加盟店業務委託、デビットカード業務委託を行っています。
三菱UFJニコスの最新動向やニュース
三菱UFJニコスは、セキュリティ、マーケティング、業務効率化など様々な分野において、常に最新技術の発掘・研究・導入に取り組み、キャッシュレス社会を推進しています。
近年の事例として、新たなペイメントプラットフォーム「GO-NET」や次世代の本人認証技術「ライフスタイル認証」、リクルート提供の「Airペイ」などがあります。
それぞれの取り組みについては以下の記事を参考にしてください。
三菱UFJニコスの社風や組織風土
それでは、以下の採用サイト情報をもとに三菱UFJニコスの社風・組織風土を見ていきましょう。
「会社の雰囲気を教えてください」
オフィスで感じたカジュアルで親しみやすい雰囲気は、いろんな部署が一つになって全員でビジネスを創り上げていくという大きな一体感から生まれるものだった。
実際に働く現場を知ることで得られるものはたくさんある。業界や仕事が同じでも文化や価値観は会社ごとに全く違う。
自分が仕事をするうえで大切にしたい価値観は何か考えることは改めて必要だと思った。
三菱グループの社風をイメージするようにと聞かれると、多くの人が「組織の三菱」という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか。同社においても個人の成功よりも組織における成果を重視する傾向にあるようです。
以上の内容より、三菱UFJニコスの主な特徴・強みをまとめたので参考にしてみてください。
⑴MUFGグループの総合力
同社はMUFGグループのキャッシュレス決済戦略の中核を担う総合決済カンパニーである。MUFGグループ各社と連携しながら事業展開している。
⑵先端技術を活用した取り組み
新たなペイメントプラットフォーム「GO-NET」や次世代の本人認証技術「ライフスタイル認証」、リクルート提供の「Airペイ」など、常に最新技術の発掘・研究・導入に取り組んでいる。
⑶自社の決済基盤を活かした業務受託事業
国内で築いてきた業務ネットワーク、三菱UFJ銀行や地方銀行、JAグループなどとの連携を基盤に、金融法人や新規参入企業に向けてクレジットカード業務受託やデビットカード業務受託、加盟店業務受託を行う。
クレジットカード業界大手3社の採用人数
こちらでは、クレジットカード業界大手3社(三井住友カード・JCB・三菱UFJニコス)の採用人数を紹介します。
三井住友カード(SMCC)の過去二年間の文理別採用人数は以下の通りです。
参考:就職四季報2023年版
ジェーシービー(JCB)の過去三年間の文理別採用人数は以下の通りです。
参考:就職四季報2023年版
三菱UFJニコスの過去三年間の文理別採用人数は以下の通りです。
参考:就職四季報2023年版
最後に
本記事では、クレジットカード業界大手3社(三井住友カード・JCB・三菱UFJニコス)の事業内容や業績、社風、採用人数などを紹介してきました。
3社の選考を突破するには、まずクレジットカード業界全体への企業理解を深めることが大切です。その上で、業界全体で求められる人物像と自分の強みをマッチさせるようにしましょう。
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