良い志望動機の書き方をダメな例から学ぶ -悪い例文から考える志望動機の要点-
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最終更新日:2024年05月17日
本記事では、ESや面接など選考で必ず問われる「志望動機」を作成するにあたって注意すべき点を過去ESの悪い例をもとに見ていきたいと思います。
レベルの高いESを作成するためには、過去の「良い」ESに沢山目を通すことが重要となりますが、それと同様に「悪い」ESに目を通すことも重要です。
どのように書けば企業から評価されるのかを学ぶだけでなく、どのような書き方は評価されにくいのかを知ることで、より精度の高いESを作成することができるでしょう。
今回は、「悪い例」という普段アプローチしないであろう観点から志望動機の書き方について考えていきます。
- 本記事の構成
- 志望動機を問う目的
- 志望動機の書き方
- 「悪い例」から考える志望動機の要点
・悪い例(1):その会社に入社したい理由が順序立てて落とし込まれていない
・悪い例(2):IR情報や昨今のニュースなど客観的な情報のみを列挙する
・悪い例(3):自分の思いだけが先行している
・悪い例(4):消費者としての視点しか持ち合わせていない - 最後に
志望動機を問う目的
企業が志望動機を問う目的は、大きく以下の2点であるといえます。
(2)業務内容に対する適性を知るため
志望動機の目的が(1)自社への志望度を測るためにあることは、ほとんどの方が既にお分かりかと思います。
しかし、(2)業務内容に対する適性を知るためという点に関しては、正しく理解できていない学生が散見されます。企業は、志望動機の背景にある企業選びの軸がその会社の業務や社風に合っているかもチェックしています。志望動機は、むやみにその会社への志望度を示せば良いというものではなく、自身の経験に基づく業務適正についても記述する必要があるのです。
これら2点の目的を押さえた上で、志望動機の書き方について見ていきましょう。
→本記事では企業が知りたい6つのチェックポイントから、ロジカルな構成で選考官から一目置かれる志望動機の作り方を提示します。
志望動機の書き方
unistyleでは、志望動機作成のために以下のフレームワークを提示しています。
上記のフレームワークをもとにすることで、論理性を担保しつつ企業ごとに志望動機を考える労力を削減することも可能です。
初期段階では、多くの学生が⑥の「業界の中でもなぜこの会社なのか?」という点に重きを置いて考えがちですが、それでは納得感のある志望動機を作成することはできません。
自分が成し遂げたいことは何なのかという自身の考えの根幹からスタートすることで論理的な志望動機を作成することができます。
→志望動機はある意味適当でよく、ポイントだけ押さえればサクサク書けるものです。今回は多くの学生に当てはまるであろう5つのテンプレートを用意したので、自分に当てはめながらアレンジしてみてください。
「悪い例」から考える志望動機の要点
悪い例(1):その会社に入社したい理由が順序立てて落とし込まれていない
下記は、実際にとあるディベロッパーに提出された志望動機となります。
貴社は虎ノ門ヒルズに隣接する複合ビル施設の建設やパナソニック社との暑さ対策の共同実証試験など2020年に向けた「時代の要請に応えながら、遥か先を見据えた都市づくり」をされて挑戦されている。
一方で私は国籍・出身地・学籍・価値観の異なる在籍300人超の学生寮「和敬塾」の広報部長として、寮のPR活動を通して、自ら動き、寮生を巻き込むことで、新たな価値を創造し、寮生を支え続けてきた。寮生を支えているという気概は、同時に私のモチベーションを上げる原動力となった。
寮での経験を活かし、貴社ではタウンマネジメント事業部で都市開発に携わりたい。街全体のニーズを引き出し、そして、社内外のリソースをうまく使いイベントや街づくりの提案を行うことでクライアントの価値、そして都市全体のブランドのさらなる向上に挑戦し続けたい。
このESでは、自分の過去の経験をもとに貴社で働きたい旨が述べられており、流れ自体は分かりやすいものとなっています。
しかし、突然貴社でなければならない理由が述べられており、企業選びの軸や業界比較については一切言及がありません。そのため、なぜディベロッパーという仕事に興味を持ったのかが読み手には伝わらず、説得性に欠けるものとなっています。
この学生は、「寮での経験を活かし、貴社ではタウンマネジメント事業部で都市開発に携わりたい」と述べていますが、「寮生を巻き込むことで、新たな価値を創造」するという寮での経験は必ずしもディベロッパーでなければ活きないようなものではないと思います。
なぜその経験をディベロッパーで、中でも貴社で活かしたいと考えたのかについて順序立てて説明する必要があるでしょう。
→志望動機を語る上では、志望業界に対する憧れを羅列するだけでなく、「他業界ではダメな理由」も語れる必要があります。
悪い例(2):IR情報や昨今のニュースなど客観的な情報のみを列挙する
しかし、これから先AIなどの技術の発展により、ライバルは自動車メーカーだけではなく、電機メーカー、IT企業、さらにはベンチャー企業と戦っていかなければならない時代が来るかもしれません。
そんな時代が来たときに、大きな自動車メーカーの強みはそれまで武器にしてきた品質と、資金力だと考えています。研究は何が成功するかわからず、様々な研究を行わなければなりませんが、資金がなくてはたくさんの研究を行うことは出来ません。
そんな中で、世界一の自動車メーカーとして研究に多くの投資を行っている貴社を非常に魅力的に感じています。
このESを書いた学生含め、客観的な情報を羅列しただけの志望動機を書く学生は少なくありません。
ただその会社の強みを述べて、だから貴社に魅力を感じましたというような志望動機が就職活動において評価されることはまずないでしょう。あなたはその会社の株主になるわけではありません。客観的な情報を列挙したところで、企業側からすると自社の情報について説明されているだけに過ぎず、その学生の思いや考えは一切伝わりません。そのような場合、当然ながら選考を通過することはできないでしょう。
もっとも、IRや昨今のニュース情報を絡めながら志望動機を書くことを悪いとは思いません。むしろ、よく調べていることが企業側に伝わり、間接的に志望度を伝えることができるでしょう。
すなわち、そのような情報に終始することなく、自分がなぜ貴社で働きたいのか、そこで何を成し遂げたいのかといった”思い”に関しても伝えることが重要だということです。
悪い例(3):自分の思いだけが先行している
私は仕事を通して「日本全国民の感謝に携わる」という目標を達成したいと考えており、その為に様々なフィールドにおいて営業としてお客様と最前線で接し、成長することで自身の価値を高めていきたいと考えている。
その中で貴社は直接金融を通してお客様の課題を解決するとともに、グループ全体の連携力を活かして多くのお客様のニーズに応えることができる。これによってよりお客様に寄り添った提案が可能になるだけでなく、自分も業務やお客様との折衝を通してより多くの知識や経験を身に付けて成長できると考えている。
貴社において挑戦心を忘れずに様々な事に取り組んで成長し、たくさんのお客様の想いを実現していきたいと考えている。
この志望動機は、企業で何を実現したいかということを中心に構成されています。
その企業で何を成し遂げたいのかをESの中で述べることは、その学生の志望度や本気度が読み手に伝わるため、志望動機を作成する上で、重要な視点の一つです。
もっとも、自分が成し遂げたいことをつらつらと書くだけでは、それは独りよがりな志望動機というほかありません。なぜなら、企業側のメリットが見えないため、企業があなたを採用する理由がないからです。
就職活動はマッチングといわれるように、お互いの思いや利害が一致してはじめて採用に至ります。つまり、自分の思いだけが先行した一方通行の志望動機は評価されないということです。
したがって、志望動機では企業に対して一方的な思いを伝えるのではなく、相手にどのようなメリットがあるかを示すことが重要です。
悪い例(4):消費者としての視点しか持ち合わせていない
以下は、食品メーカーに提出された志望動機です。
私は幼少期に食物アレルギーで食事に制限があったため、野菜を通して栄養バランスの良い食生活を心掛け、栄養不足を感じた時は貴社のトマトジュースで栄養を補うなど、私の健康を支えているのは貴社の製品であると実感しています。
このように、不足しがちな野菜を、貴社の製品を通じ多くの人に供給することで、健康寿命の延伸に貢献できるよう取り組みます。
この学生は、実体験をもとに志望動機を作成しています。自分がその企業の製品を利用した経験から、より多くの人に製品を供給していきたいという思いが綴られています。
一見、よく書けているように見えるこの志望動機ですが、一点重要な視点が抜け落ちています。それは、入社した際、社員としてどのような貢献ができるのかという点です。
この学生の志望動機はあくまで消費者としての視点から書かれたものにすぎません。言ってしまえば、「貴社の製品のファンなので、貴社で働きたいです」と言っているようなものです。
これでは、ただの一ファンの意見に過ぎず、評価されるとは考えにくいです。自分がなぜその企業で働きたいのかだけを書くのではなく、企業においてどのような貢献ができるかという視点も忘れずに持っておく必要があります。
ここで言いたいのは、自身の実体験を書くことが悪いということではありません。むしろ、実体験に根差した志望動機は読み手の納得感も高まることでしょう。
ただし、そこで思考を止めるのではなく、どうすればその企業の製品をより世に広めることができるのかといったビジネス的な観点にまで言及する必要があります。採用活動において企業が求めているのは、顧客ではなく共に働く社員です。
つまり、ファンとしての意見を述べるのではなく、ビジネス的な観点からその企業への共感を示すことが重要です。
最後に
本記事では、「悪い例」をもとにして志望動機を書く際の注意点を見てきました。
志望動機は、ESにおける核と言えるほど重要な設問です。また、ESだけでなく面接においても問われることは間違いありません。
まずは、志望動機の目的とフレームワークを押さえて、実際に志望動機を作成してみましょう。その後、この記事で挙げた悪い例に該当していないかを見直してみましょう。
また、面接における志望動機の答え方、インターンや本選考に合格した内定者の例文など、志望動機対策により一層努めたい就活生は下記の記事も参考にしてみてください。