ドイツ銀行のES対策!求める人材を理解して採用レベルの志望動機・ガクチカへ
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最終更新日:2021年01月05日
ドイツ銀行は高学歴層の学生から特に人気を集めている外資系投資銀行のうちの一つです。
業績不振・金利の低下に加え、住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐる罰金72億ドル(約7995億6000万円)の支払いという三重苦の中にいたドイツ銀行ではありますが、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)とレイノルズ・アメリカの大型買収の主幹事を務めるなど、その経営再建の期待が高まっています。
一方で、身近な企業であるとは言えないことから、強みのアピールの仕方について戸惑ってしまう学生も多いかと思います。
それでは、事業内容・採用HP・ESの3つについて見ていくことで、ドイツ銀行はどのような人材を求めているのかを考えていきたいと思います。
事業内容と採用HPから考えるドイツ銀行の求める人材
新卒として外貨債券営業部に配属されて以来、外国国債を運用商品として金融機関の方々に推奨する仕事をしています。海外情勢や市場の動きに対して常にアンテナを張り、迅速に情報を顧客に伝える事で投資判断に役立ててもらうのが目的で、新卒1年目から数百億単位の取引をする顧客を任せられ、大きな責任感とともに、毎日着実に成長している事が感じられるとても魅力的な職場です。
また外貨債券営業部は東京オフィスの中で最も国際色豊かな職場で、トレーダーのほとんどが外国人。部の朝会は英語で行われ、会社のレポートも英語で書かれているため、自分で日本語に要約してから顧客に送ります。また、海外からアナリストやトレーダーが来日した際にも顧客訪問に同行し、必要があれば同時通訳を行います。
入社3年目の2015年6月からは希望が通り、現在ニューヨーク/ウォール街のオフィスで働いています。米国国債や米国株のマザーマーケットなため、肌で生きたマーケットを感じることができるばかりか、世界的なファンドを担当している外国人の同僚と日々情報を交換したりなどとても刺激的な毎日を送っています。
外資系企業は転職者が多いイメージですが、ドイツ銀行グループでは新卒に対しても積極的にチャンスを与える文化が根付いていると強く実感しています。
参考:社員紹介
私は現在、グローバル・マーケッツ統括本部に所属しており、金利スワップという商品のトレーディングを担当しています。日々の仕事は、国内および海外の投資家からのリクエストに対してプライスを提示することでマーケットメイクを行うこと、またそのリスク管理をすることで会社に収益を上げることです。マーケットは全く同じ動きをすることがないため、それに常に対応していくことが、面白くもあり、また一番チャレンジングな部分でもあります。
また、ドイツ銀行グループは世界中でビジネスを行っているため、日常生活では関わることのなかったであろう人々と関わることができ、世界とのつながりを感じられるところもこの仕事の醍醐味です。特に、入社1年目に参加する海外研修では、世界中のオフィスから同期が集まり、グローバルなネットワークを作ることができました。
そのときに知り合った同期とは、いまだにお互いの見ているマーケットについて情報交換をすることがあるのですが、長期間研修を一緒に受けた仲なので聞きやすく、研修の時に築いたネットワークは仕事をする上で役立っていると日々感じています。
参考:社員紹介
上記はドイツ銀行採用HPの社員紹介です。それぞれの職場での役割について述べられています。
前者の記述の中で、「新卒1年目から数百億単位の取引をする顧客を任せられ、大きな責任感とともに、毎日着実に成長している事が感じられるとても魅力的な職場です」や「外資系企業は転職者が多いイメージですが、ドイツ銀行グループでは新卒に対しても積極的にチャンスを与える文化が根付いていると強く実感しています。」とあり、ドイツ銀行では若手のうちから大きな仕事を任せられる環境であり、大きな責任の中で遂行し、達成できる能力が必要であると考えられます。ですので、強い責任感を持って行動できるリーダーシップが求められていることがわかります。
かつ、「海外情勢や市場の動きに対して常にアンテナを張り、迅速に情報を顧客に伝える事で投資判断に役立ててもらうのが目的で、」という記述であったり、後者では「マーケットは全く同じ動きをすることがないため、それに常に対応していくことが、面白くもあり、また一番チャレンジングな部分でもあります。」とあり、日々変動するマーケットを常に追いつづけ、顧客に正確かつ迅速に提供することが必須であり、個人としての日々の努力が成果を挙げるための前提条件であることが読み取れるでしょう。
以上からは、「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」における「1.個人として努力し、成果をあげることができる」「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」能力が求められていると導けます。
また、外資系企業ということもあり、「ドイツ銀行グループは世界中でビジネスを行っているため、日常生活では関わることのなかったであろう人々と関わることができ、世界とのつながりを感じられるところもこの仕事の醍醐味です。」「世界的なファンドを担当している外国人の同僚と日々情報を交換したりなどとても刺激的な毎日を送っています。」「外貨債券営業部は東京オフィスの中で最も国際色豊かな職場で、トレーダーのほとんどが外国人」といった記述からも、様々な人種の同僚や顧客とコミュニケーションをとる必要のある環境であることがわかります。
また、そういった様々な人種やバックグラウンドを持った同僚同士でマーケットの情報交換をしながら知識を増やし、それが成果や能力につながっているという記述からも、同僚同士でのコミュニケーションは非常に重要なツールとなっていると考えられます。
この点からは、先述の5つの強みにおける「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげる」ことができる人物が求められてると考えられます。
ドイツ銀行のES設問
(1)あなたの特徴・性格を教えてください。
(2)あなたの座右の銘は何ですか。
(3)志望部門で成し遂げたいこと。
(4)あなたという人間をワンフレーズで表現してください。またその理由やエピソードを教えてください。
(5)あなたは残り少ない学生生活を楽しむために、世界一周旅行に出かける事にしましたが、手持ちの資金が足りません。借金をしますか?資金が貯まるまで待ちますか?理由も述べてください。
(6)あなたが金融業界にまつわる映画を作成することになりました。その映画のタイトルとあらすじを書いてください。
(7)自分がこれだけは人に負けないと思っている事を書いてください。
設問(1)「あなたの特徴・性格を教えてください。」・設問(2)「あなたの座右の銘は何ですか。」・設問(4)「あなたという人間をワンフレーズで表現してください。またその理由やエピソードを教えてください。」・設問(7)「自分がこれだけは人に負けないと思っている事を書いてください。」について
こちらの設問は、自己PRに関連した設問です。あなたの強みを具体的なエピソードを持って説明できると良いでしょう。
強みに関しては、前項で述べたドイツ銀行の求める人材に該当する強みに該当させて回答すると良いと考えられます。中でもドイツ銀行では「チャレンジできる環境」といった表現があることや、業務ではドイツ銀行のビジネスモデル上、常に大きな責任感の中で個人で判断していく機会が多々あると考えられますので、特にチャレンジ精神・リーダーシップ・個人で努力し続けられる力といった点を重視していると考えられます。ですので、こちらの強みがアピールできる内容であると良いと言えるでしょう。
ここでは設問(7)の内定者の回答を見ていきましょう。
私は、他者に認められたいという気持ちでは誰にも負けません。これは、中高時代に100人超のサッカー部で、1年生時からレギュラー争いをしたことで培われました。
例えば、アメリカの美術館でインターンシップを行った際には、上司と顧客に認められるために、一番に出勤し、清掃をしたり、新たな仕事を覚えました。また、交換留学中も、同世代の現地人に認められるためにスラングの勉強を毎日行い、パーティーには必ず出席しました。
参考:【内定】エントリーシート
こちらでは、他者に認められたいという気持ちが行動の動機になり、モチベーションの源泉であるということをそれが形成された背景を中高時代の経験から納得できるように回答されています。かつ、そのことがアメリカでのインターシップ経験から個人で努力し続けることができるという能力につながっていることが理解できます。
具体的経験を上手く活用し、ドイツ銀行の求める人材像に該当する強みを導き出せている点が評価できます。また、そもそも外資系投資銀行という大金が動く業務を遂行するためには、取引先から「認められる」ことは必須となります。「人には負けないこと」が「外資系投資銀行の求める素質」に繋がる内容としてアピールできている点も評価できると言えるでしょう。
設問(3)「志望部門で成し遂げたいこと」について
こちらの設問は志望動機に関する設問です。特に入社後の姿勢について問われています。
入社後に成し遂げたいことについては、「内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク」によると、①成し遂げたいこと⇒②きっかけとなる経験⇒③企業選びのポイント⇒④他に受けている業界とその業界ではダメな理由⇒⑤具体的に取り組みたい仕事⇒⑥業界の中でもその企業の理由といった順序で組み立てられるとされていますので、成し遂げたいことは志望動機の根幹であると理解できます。
成し遂げたいことは、ドイツ銀行の価値観やビジネスモデルとズレがないように、かつ、自身の具体的経験によって形成されたものであることが理解できるように記述しましょう。
設問(5)「あなたは残り少ない学生生活を楽しむために、世界一周旅行に出かける事にしましたが、手持ちの資金が足りません。借金をしますか?資金が貯まるまで待ちますか?理由も述べてください。」・設問(6)「あなたが金融業界にまつわる映画を作成することになりました。その映画のタイトルとあらすじを書いてください。」について
発想系に分類される質問であり、共に明確な正解がないような設問です。
つまり、結論よりもその理由においての洗練度が評価されていると考えられますので、理由についてはしっかりとロジック立てて回答できるようにしましょう。
ここでは設問(6)を取り上げ解説を加えていきます。
「The Power of Info」
人を疑うことを知らない主人公は、詐欺に引っかかってしまい、一億円の借金を背負ってしまう。ある日、悪者を対象にオカネを巻き取る、表の顔は金融マンの裏社会の男に出会う。
主人公の人柄に惹かれたこの男は詐欺を行った会社を潰すため、様々な情報を裏社会で流し、インサイダー取引などを行って、主人公を借金から解放しようとする。どん底から一気に逆転をしていく、カタルシスあふれるストーリー。
参考:【内定】エントリーシート
タイトル「挑戦」。
あらすじ、物語の始まりはある南国の島「沖縄」そこで暮らしていた少年がある日決断をする。「東京」に行くという決断だ。東京に出てきた少年は「金融業界」を知る。金融業界に入り「世界」へ飛び立って行く少年。
辛い事や自分の思い描いていた事を出来ない事も多い金融業界に最初は挫折や不満感を抱く少年だったが、仕事を通して得られる楽しみを知り金融業界での仕事にのめり込んで行く少年の物語。
参考:【内定】エントリーシート
こちらでは、金融業界をテーマにしていることと、映画というストーリーが必要であることの2点から、金融業界に対する考え方や思い、あなたの主観を引き出そうとしていると考えます。意図としては、金融業に対する興味や志望度の高さ、モチベーションの高さやあなた自身のセンスといったことをよりあなたの本心から引き出して評価したいという意図があると考えられます。
前者の回答では金融業に対してあらかたの知識があることがわかり、かつその表現やストーリー構成そのものからセンスが感じられる回答になっています。後者では、少年に自分自身を投影しているように理解できますし、その少年から金融業界へのめり込み活躍しようとする覚悟や熱意がわかります。
内定者の回答例からはセンスと金融業界に対する熱意の2点で評価されていると考えられます。
最後に
外資系投資銀行は、高学歴体育会系の学生から非常に人気の高い印象があります。中でもドイツ銀行では採用HPから特に人柄を重視しているような印象を受けました。また採用人数は毎年少数ですので、非常に倍率が高く、狭き門となっていますので、準備・対策を欠かさずに行うことが必須になります。
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photo by Martin Thomas