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三菱商事の事業・選考・社風・内定者の自己PRと志望動機解説【unistyle企業研究】

掲載開始日:2016年08月04日
最終更新日:2017年01月06日

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「三菱・三井・住友・伊藤忠・丸紅5大総合商社の事業・社風・選考比較」で紹介した通り、多くの上位校生が志望するのが総合商社業界です。

今回は、そんな総合商社業界の中でも、「Unistyle就職活動意識調査結果概要」において、第一志望企業人気ランキングで堂々の一位に輝いた三菱商事に焦点を当ててみたいと思います。資源価格下落に伴い、2015年度は創業後初の業績赤字を計上、長年守り続けてきた総合商社トップの座を伊藤忠商事に譲りましたが、今後も同社は業界内で大きな存在感を示していくと思われます。この記事では、そんな三菱商事の得意事業や社風、そして求められる人材に至るまで幅広く考察していくことにします。

 

 

セグメント別収益と事業内容

早速ですが、2014年度と2015年度の三菱商事、セグメント別収益を見ていきましょう。
(単位(億円))

◆セグメント別利益      
    2014年度 2015年度
資源分野 エネルギー事業(資源) 778 ▲214
  金属(資源) ▲13 ▲3,588
非資源分野 地球環境・インフラ事業 204 325
  新産業金融事業 401 403
  機械 913 622
  化学品 314 305
  生活産業 1,205 735
  エネルギー事業(非資源) 45 116
  金属(非資源分野) 152 ▲19
その他および修正消去   7 ▲179
合計   4,006 ▲1,494


この表から15年度は、資源分野だけで3800億円もの赤字を計上していることが読み取れます。(14年度は約760億円の黒字。)特に金属分野では、市況価格の下落に伴い、チリの銅山事業で2800億円の減損を計上しました。銅の価格は2016年6月現在で4641ドル/MTとなっており、同社が2015年度決算発表で公表した2015年度の実績値である5215ドル/MTを大きく下回っています。またエネルギー分野では、オーストラリアのブラウズLNG事業で、開発計画の見直しに伴い400億円の損失を計上したことが大きく響き、エネルギー事業全体で約680億円の減損を出しました。一方、非資源分野は14年度に続いて好調を維持しており、15年度は非資源分野だけで2500億円の純利益を計上しています。生活産業事業を中心に各事業でバランスよく稼いでいることから、今後の同社の業績を安定的に下支えしていくものと思われます。

 

次に各セグメントの代表的なプロジェクトを、実際にピックアップしながら見ていきたいと思います。総合商社の事業内容がどれだけ多岐にわたっているのかを実感していただけるのではないでしょうか。

 

資源分野

①エネルギー事業

総合商社を志望する就活生の中には、事業規模の大きいエネルギー事業に携わってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。三菱商事は2014年、ロイヤル・ダッチ・シェル社をはじめとする大手3社と、カナダで推進している液化天然ガス輸出プラントの共同開発計画「LNGカナダ」に関する合弁事業契約を締結し、LNGプラントの設計から操業を手掛ける事業会社を設立しました。今事業を通じ、同国のエネルギー需要を支えるとともに、日本へのエネルギー安定供給を目指していきます。

 

②金属事業

スマホやパソコンから自動車、船舶に至るまで、私たちの身の回りにあるモノの多くには、原料として金属が使われています。三菱商事はこうした金属の分野でも、世界中でビジネスを展開しています。例えば南米のチリでは、同国最大の鉄鉱石生産会社であるCMP社への出資や、年間100万トン超の銅を産出する世界最大の銅鉱山を保有しており、メタルワンなどの専門商社を介して、日本の造船メーカーや家電メーカーに対する、銅や鉄鋼の安定供給に努めています。

参考:金属グループ

参考:Creative Power at Work

参考:OUR BUSINESS

 

非資源分野

①地球環境・インフラ事業

ボランティアや海外インターンシップの経験から、インフラ事業への関心を持つ商社志望者は多くいるように感じられます。ここで紹介するのは、1997年、フィリピンの首都マニラで水事業が民営化されたことに伴い、三菱商事が参画したプロジェクトです。同社が中心となって、ODA資金を利用した設備投資や労働者に対するマネジメント改善に積極的に取り組み、民営化当時は63%だった無吸水率を24%まで劇的に改善することに成功。国民に対する水の安定供給実現化に大きく貢献しました。

 

②新産業金融事業

貯金があまり無い反面、自由に使える時間が多い学生にとって、格安旅行に出かけるのは1つの大きな楽しみではないでしょうか。その際に、LCC(格安航空会社)を使って空の旅を楽しむ方も多いと思われます。2011年、三菱商事は、大手航空会社2社との共同出資でジェットスター・ジャパンを設立しました。これにより、現在では国内だけでなく、香港や台湾といったアジア諸国へも、数千円という格安での空の旅が実現しています。

 

③機械事業

「組織の三菱」と呼ばれるほど、企業間のつながりが強いと言われている三菱グループ。三菱商事は、グループのつながりを生かして、日本の主要産業である自動車を国外へ販売する事業にも携わっています。2015年、同社は急速な経済発展を遂げているミャンマーにおいて、三菱自動車が製造する車体を輸入・販売する合弁会社を設立し、同国における自動車事業の基盤拡充への挑戦を始めました。

 

④化学品事業

商社ビジネスの中でも、「化学品」は就活生にとってイメージすることが難しい事業の1つだと思われます。ここでは、自動車生産に使用される合成樹脂を例にとってみましょう。三菱商事は2013年、自動車生産台数が急増するメキシコで、大日精化工業との共同出資により新会社を設立しました。両社は、樹脂コンパウンドと呼ばれる、自動車生産に必須となる合成樹脂をスピーディーに現地メーカーに提供することで、同国における自動車産業を下支えしています。

 

⑤生活産業事業

今や外国人からも高い人気を誇る日本料理。そんな日本食の代表例がお寿司であり、数あるネタの中でもサーモンが好きな方は多いのではないでしょうか。世界中で増大するこうした水産需要に応えるため、三菱商事は2014年、ノルウェーの鮭鱒養殖事業会社セルマック社を完全子会社化し、良質なサーモンを安定的に供給する使命を果たしています。

参考:OUR BUSINESS

 

事業内容から考える三菱商事が求める人材

ここからは、三菱商事が就活生に求める素質について、「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」を参照しながら考えていきましょう。
 

「年間200~250万トンの生産計画で、LNG開発を合弁で行いたい」。1968年、ブルネイ沖に有望なガス田を発見した石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ(以下シェル)から三菱商事に対し、共同出資の提案がもたらされた。〈中略〉

三菱商事は、その当時日本では存在がほとんど知られていなかったLNGに早くから注目していた。その後生産規模は365万トンに拡大。総投資額は、1億~1億5000万ドルと見積もられた。ブルネイLNGは、まさに未曽有の大型プロジェクトだった。〈中略〉

三菱商事は、日本の需要家である東京電力・東京瓦斯・大阪瓦斯、および生産面を担当するシェルとの間に立って交渉に奔走。70年6月、供給量年間365万トン、供給期間20年に及ぶ超大型長期契約がついに成立した。〈中略〉

「失敗したら、三菱商事が三つつぶれる」とさえ言われた一大プロジェクトだけに、慎重な上にも慎重を期して検討が進められた。そして、三菱商事は最終的に1億2500万ドル(当時の為替レート換算で450億円)の出資を決定。当時の三菱商事の資本金をはるかに上回る額に、合弁契約にサインする藤野忠次郎社長(当時)の手は震えた。

それから一年後、世界経済を揺るがす事態が起こった。73年10月、第四次中東戦争(アラブ・イスラエル戦争)勃発をきっかけに、原油価格は一挙に4倍に高騰した。第一次オイルショックである。この大異変は、ブルネイLNGの価格にも影響を及ぼした。原油価格と連動してLNG価格も高騰、需要家の負担が増えるという予想外の事態を招いたのだ。〈中略〉

三菱商事は、LNG供給側の立場であると同時に日本の需要家からは、輸入代行契約を通じて、全面的な支援をする立場でもあった。この二つの立場の板挟みに苦しみながらも、三菱商事は仲介役として供給側・需要家間の度重なる交渉で双方を粘り強く取り持ち、76年8月、ようやく価格交渉の合意にこぎつけることができた。〈中略〉

引用:ブルネイLNG

今回紹介した事業において、三菱商事は、LNGの供給源であるシェル社、需要者である国内の大手電力・ガス会社等、立場の異なる関係者の仲介役として尽力し、関係各社と信頼関係を築きながら、大型契約の成立に貢献しました。さらにその後、石油ショックという想定外の困難が起きた際も、事業成功に向けて粘り強く関係者と交渉し、最終的に価格交渉合意という目標を達成することに成功しました。

こういった点を踏まえると、三菱商事で働く上では、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」、「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」、「4.価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる」といった素質を備えていることが求められていると考えられます。

社風について

三菱は明治初期に土佐藩が設立した海運会社の経営を岩崎弥太郎が引き受けたのが出発点。鉱業や造船業などに手を広げ、官営事業の払い下げで拡大した分野が多い。4代目社長・岩崎小弥太は「われわれは、国から極めて重要な任務を任されているとも言える」と話した。「日本の15大財閥」(平凡社新書)の著者・菊地浩之氏は「戦前、三菱は造船や鉱業が中心、住友は素材産業が中心だった。どちらも製造業で、技術と社員教育を重視していた。三菱はスタンドプレーよりも、地道に着実に組織人に徹することを求めた。〈中略〉三菱では3代目社長・久弥が権限を銀行部、造船部、営業部などに委譲。大きな方向性だけを示して各論は部下に任せる手法を採り、これが「組織の三菱」の基盤となった。

引用:朝日学情ナビ

 

私は企業が永続的に成長するためには、コンプライアンスは勿論の事、社会との共生が不可欠であると確信しています。三菱商事は「三綱領」の理念の下、多様なステークホルダーの期待に応えるべく、事業を通じて、持続性のある経済価値・社会価値・環境価値を同時に実現していきます。

引用:社長メッセージ


ここからは、「三菱・三井・住友・伊藤忠・丸紅5大総合商社の事業・社風・選考比較【unistyle業界研究】」を参照しながら、三菱商事の社風について考えていきます。

まず、同社に関して「組織の三菱」というイメージを持つ方は非常に多いのではないでしょうか。実際に朝日学情ナビの記事を参照しても、「個」の成果ではなく、「組織」の利益に貢献できる人材を育成してきたことが読み取れます。「人の三井」と呼ばれ、「個」の力強さを第一に重んじる風土を持つ三井物産との大きな違いは、この観点から理解できます。またセグメント別事業内容でも紹介した通り、三菱自動車やメタルワンといったグループ企業と共同でビジネスを展開することも、三菱グループのつながりの深さを表していると考えられます。

三菱商事の社風を表すもう1つのキーワードに、「国益への貢献」があると感じられます。社長メッセージでも述べられている通り、同社は三菱グループに受け継がれてきた「三綱領」の理念の下、自社の利益だけでなく、国や社会に対する価値の提供も追求していることが伺えます。

 

内定者のES解説

ここまでは具体的なプロジェクトを通じて、三菱商事の事業内容や求める人材を考えてきました。以下では、実際に三菱商事に内定した学生がエントリーシートに記入した内容を参照しながら、同社が求める人材を改めて考えてみたいと思います。

 

①これまでの学生生活の中で挙げた実績や経験を教えてください。部活、サークル、趣味、ボランティア、インターンなど何でも結構です。(50文字以下で4つ)

②あなたが自身の経験の中で、周囲の人と信頼関係を築いたエピソードを教えてください。(400文字以下)。上記で回答した経験の中から説明してください。該当する実績・経験の番号を選択してください。

③あなたが主体的に取り組んだことの中で、最も困難だったことについて教えてください。 (400文字以下)上記で回答した経験の中から説明してください。

④あなたが三菱商事で挑戦したいこと、実現したい夢について教えてください。 その際、特に興味のある分野や事業があれば、具体的に触れて頂いても構いません。 (250文字以下)

参考:三菱商事エントリーシート

 

①では、50文字で簡潔に答えることが必要でしょう。

②では、三菱商事が就活生に求める能力の中で、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」素質があるかどうかを問うていると考えられます。

③では、就活生に「困難を解決する力」があるかどうかを聞いているといえるでしょう。上述した素質のうち、「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」、「4.価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる」人物であることをアピールする必要があると思われます。

④では、いわゆる志望動機を答える必要があります。商社を志望する就活生は、「入社後の志望部署がある程度決まっている者」と「商材に対するこだわりが無い者」の大きく2パターンに分けられると思いますが、どちらのパターンで答えるにしても、自分の経験を基に議論を展開すると説得力が増すでしょう。


ここからは②〜④の設問に関して、三菱商事に内定した就活生が書いた実際のESを2人ずつ紹介していきたいと思います。

まず②に関して、取り扱っていきます。

 

内定者A

日頃の小さな誠意の積み重ねと周囲との想いの共有が信頼関係を築く上で重要だと考える。 私は昨今の高校生が「目先の大学受験合格のための勉強」をしていることに疑問を感じていた。そこで私は大学受験後も彼らを継続して支援し、将来活躍するきっかけを作りたいと考えていた。私の任務は各校舎で働く方々の入学促進企画支援だったが、彼らも自身の仕事で多忙なため当初は軋轢が生じていた。私は「真に彼らが求めていることは何か」自問自答し、価値観の異なる両者間に信頼関係を築くため2つのことを行った。 

1)担当校舎全てを直接挨拶に回り、互いの想いを直接共有 

2)勤務時に毎日連絡を取り、相談してもらえる関係を構築 

募集活動の意義を納得してもらい、自身の熱意で共感を得たことで次第に彼らの自主的な協力や提案を引き出せた。 このような日頃の誠意の積み重ねが信頼を生み、担当校舎からの入学者数が前年比で倍増という成果に繋がったと考える。

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

上述した通り、総合商社で働く者には「関係者と信頼関係を構築する」力が求められます。この点において内定者Aは、実践した具体的施策を盛り込むことで、各校舎の方々と信頼関係を築いた経験を効果的に語ることができており、自身が商社の求めている人物像に一致していることをしっかりとアピールできています。また、「あなたの自己PRが嘘っぽく見えないために「方法論」は語るべき」でも紹介した通り、「方法論」がしっかりと語られている点にも着目してみましょう。つまり、「各校舎の方と協力して成果を残した」→「仕事でも生かしたい」ではなく、「各校舎の方と協力して成果を残した」→「この経験から日頃の誠意の積み重ねが大切だと学んだ」→「仕事でも生かしたい」と述べることで、入社後も活躍できる人材であることを伝えることができています。

 

内定者B

アメフト部の活動で、下級生との信頼関係を築いたエピソードだ。 我々のチームは人数が多く、試合出場が叶わない下級生のモチベーションが下がり、チームに貢献できていないという課題があった。 そこで、甲子園に出場した際に私は、部員同士が信頼関係を高め、一人一人がチームの為に各々の役割を果たす事が勝利に必要不可欠であるという経験をした為、それらの下級生の意識改革を行った。 具体的には、一人一人頻繁にコミュニケーションをとり、チームにどう貢献できるのかをアドバイスを交えながら一緒に考えていく事で少しずつ信頼関係を築いた。 徐々にだが理解してもらう事ができ、リーグ戦が始まる頃には各々が今自分は何をすべきかを主体的に考え、行動に移せるようになった。 試合中にサイドラインで各々の役割を果たす下級生やスタッフを見た時、信頼関係を築く事ができたと感じ、それが17年ぶりにxx大学に勝てた事に繋がったと考えている。

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

この内定者は、アメフト部で後輩と信頼関係を築いた時のことを取り上げています。後輩のモチベーション低下という課題に対し、積極的なコミュニケーションを通じて、彼らに存在意義を伝え、チームとしての団結力アップに貢献したようです。上述したブルネイLNGプロジェクトでも、三菱商事は生産者と消費者の仲介役として尽力し、大型契約の成立に貢献していましたが、その根底にあるのは関係各社との信頼関係です。そうした信頼関係構築力が備わっていることを、この内定者はしっかりと示すことができています。また、「一人一人頻繁にコミュニケーション」をとったという自身の経験を語ることで、商社マンになっても関係各社と信頼関係を築くポテンシャルがあると、面接官に感じさせることができていると思われます。

 

③に関しても、同様に2名分のESを取り上げていきます。

内定者C

ゲームキャプテンとして個人で上手いチームから組織で強いチームに変えていく取り組み。 組織で強いチームを作るためには、価値観・フットサルならではの戦い方を組織として共通のものにしながら、個々の選手の強みを出せる全体最適に持っていく必要がある。各選手は高校までのサッカーに対する価値観・プレースタイルを持っており、40名いる中それを集約していくことは非常に難しかった。そこで私が行ったことは、考え方・ボールの動かし方・体の動かし方を最低限決めること。そうすることで試合での意思疎通を円滑に進め、自分たちの持ち味である足元の技術や想像力を発揮する機会を増やす土台ができた。また、以前は個人のスキルを上げる一対一の練習が多かったので、組織での練習内容を増やし、お互いが共通認識を持ち組織として強固なチームになるよう努めた。その結果、試合での連携強化につながり滋賀県大会優勝・関西大会ベスト4を成し遂げた。

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

この設問では、「困難を解決する力」が問われていると言えるでしょう。内定者Cは、最低限のルールを定めることで、「個」の集まりであったメンバーに「組織」として成果を出すよう行動させることに成功しました。今回発揮されたようなリーダーシップは、商社マンとして異なる立場にある者をまとめ、商談を成功に導く上でも不可欠な能力であると考えられます。また立場が異なる者と議論し、1つの結論に向かう上で不可欠なのが、「認識の共有」です。この内定者は、フットサルというチームスポーツを通じて、お互いが「共通認識」を持つことの大切さを学んでいます。したがって、会社という「組織」で働く上での自身の適性を、存分にアピールできていると思われます。

内定者D

留学中のコミュニケーションギャップである。「世界中どこでも生きられる」ことを目標に、文化・言語面で日本と異なる地域で暮らすことを課題とし、エジプトを留学先に選んだ。エジプト人は、男性同士で手を組んで歩くと行った、日本人からみたらまるで恋人のようなコミュニケーションの仕方をする。当初、自分の価値観から慣れることが出来なかったが、ある日、自分が身に付けてきた日本式コミュニケーションをやめて、彼らのやり方に従ってみた。その時初めて彼らのコミュニケーションのツボや、何に気を付ければいいのかが理解できた。一度理解した後は、完全に彼らに合わせるのではなく、私自身も窮屈さを感じない関係のあり方を模索した。こうした経験を通じて、世界には多様な価値観があり、自分の偏見を押し付けるだけではうまく行かないことを学んだ。相手の意見に耳を傾け、お互いが譲歩し合うことこそが必要だと考えるようになった。

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

このESでは、カルチャーショックという問題に対する、内定者なりの解決策が述べられています。この方は、最初こそ苦労したものの、全く価値観の異なるエジプト人たちに合わせたコミュニケーション方法を実践し、彼らとの適切な距離感を掴むことに成功したようです。総合商社では、社内外問わず、国籍や文化の全く異なる者と成果を上げることが求められており、その点でこの内定者は、自身の「異文化適応力」を上手く表現できていると言えるでしょう。また、相手の価値観を否定するのではなく、それを認め合うことが相互理解とその後のビジネスの成功につながっている、と言えるため、この内定者が述べた「お互いの譲歩」は、商社マンになった後も活きる考え方であると言えるでしょう。

 

最後の④に関しても、確認していきましょう。

内定者E

「競争力ある日本の農業」を実現することが夢だ。それは■実家や親戚が農家であること、■農事組合法人での就業体験、■大学での「食と農」の授業を通じ、食の生産者としての苦労や想いをみてきたことで、その思いを強めた。総合商社はビジネスの主体となり、ビジネスを生み出している点が魅力である。夢を実現するために「儲かる農業」の仕組みづくりに挑戦したい。中でも貴社は、組織の三菱といわれるように協調性を大切にしていることをOB訪問で感じた。そして、社員様の人柄が一番魅力的だと感じ、貴社を第一志望としている。 

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

先ほど、総合商社を志望する者は、大きく「入社後の志望部署がある程度決まっている者」と「商材に対するこだわりが無い者」の2パターンに分けられるという話をしましたが、この内定者は、「農業」という切り口でESを書いている点で、前者に近いと言えるでしょう。自分の生い立ちや就業体験等、自身の経験を織り交ぜているため、志望動機に説得力と一貫性が見られます。反面、総合商社には、「自分の希望部署に行けるかわからない」という配属リスクが存在するため、そうした可能性も考慮して業界研究を進めましょう。以下に、自分の扱う商材に興味がない商社マンの例を挙げておきます。ぜひ、参考にしてみてください。

 

内定者F

「多様な方と協働して、一つの価値を作り出す」これが私の夢だ。具体的には、国を跨ぐ事業の経営に挑戦したい。 高校生から主婦まで様々な方と共に、店舗の生産性を向上させたアルバイトの経験。シンガポールにて現地の方と共に、大規模なイベントを作り上げた経験。ここから、様々な経歴・文化背景を持つ方々と共に目標を達成する事に喜びとやりがいを感じた事が、私の夢の原動力である。 業界トップとして、他国・他社との信頼関係を基盤に、世界中のニーズを解決する貴社であれば、私の夢を実現するチャンスが多くあると考えている。

引用:三菱商事エントリーシート

【解説】

先ほど挙げた2パターンで言うと、内定者Fは後者の「商材に対するこだわりが無い」方であると考えられます。内定者Eの方と同様、アルバイトやシンガポールでの「経験」を述べることで、独自かつ説得力のあるESになっています。商材に対するこだわりが無いという点で、面接官に「どの部署に配属してもやってくれそうだな」という印象を与えられる反面、「この会社で何がしたいか?」という問いかけに対して曖昧な返事をしがちであるため、会社や事業に対する興味が薄い者と捉えられてしまう可能性もあります。商材へのこだわりを無理にアピールする必要はありませんが、その企業が実際にやっている事業を2、3個調べておくと、面接の際に安心かもしれません。


選考について

最後に、三菱商事の選考状況に関して、選考プロセスや特徴を見ていきます。参考にしてみてください。
 

-選考プロセス(総合職)-

エントリーシート&テストセンター→一次面接(個人)→二次面接(個人)→最終面接(個人)

参考:三菱商事 本選考情報

三菱商事に関しては、総合職と一般職で別々に採用を行っており、そのうち総合職は160名ほど採用しているようです。

同社の選考は、一貫して学生1人に対して面接官が複数人というスタイルで行われるようです。一次面接や最終面接では、オーソドックスな質問が多く、基本的には①学生時代頑張ったこと、②なぜ総合商社か、②なぜ三菱商事か、の3つの質問にしっかりと答えられるようにしておけば大丈夫なようです。

加えて、二次でのケース面接が特徴的であるといえるでしょう。「学生のバックグラウンドに関わる質問」と「時事的な質問」が1問ずつ投げかけられ、それぞれ1分で考え、2分程度で答えることが課せられているようです。

前者の学生のバックグラウンドに関わるケース問題としては、「主将としてチームを率いていたとする。メンバーの一人が自分の就活を優先させて大事な試合を欠席すると言い出した場合、メンバー・チーム、両者に対してどう対応するか。」や「現状ベスト4であるテニス部を来年優勝に導くためにできる施策を3つ挙げよ」 があったようです。後者の時事的な問題に比べて、出題範囲を予想しやすい問題だと思いますので、面接前に考えてみてはいかがでしょうか。

後者の時事的な問題に関しては、「インバウンド市場の現状とこれからについてどんな意見を持っているか。」、「少子高齢化という問題に対して日本ができる解決法を3つ挙げよ」といった質問が過去に出題されたようです。日頃から新聞やニュースで見聞きした内容に関して、自分なりに意見を持つ習慣を心がけると、本番の際も落ち着いて対応できるかもしれません。

いずれの問題でも、思考力および自分の意見と経験の合致について見られていると考えられます。

 

最後に

いかがだったでしょうか。
今回は就活生から根強い人気を誇る、三菱商事を取り上げさせていただきました。特にセグメント別紹介では、「三菱商事はこんなことまでやっているのか」と驚く事業内容もあったのではないでしょうか。そうした「気付き」を大切にしながら企業研究を進めていくと、総合商社業界の面白さに気付いたり、真に入りたいと思う企業に巡り合えたりすると思います。是非そうした視点を持ちつつ、就職活動、頑張ってみてください。

 

photo by Lisa Hallman

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