三井物産|解説付き!インターン合格者ES「どこでもドアの値決め」とは
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最終更新日:2021年01月05日
16卒では7大商社の内、三菱商事、三井物産、丸紅、双日の4社がインターンを行いました。
一方で17卒ではこの時点ですでに三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、双日の5社がインターンの開催を発表しており、インターンで学生に目星をつける競争が始まっています。
今回はその中でもアウトローなESで知られている三井物産のインターンESを分析し、解説を行いたいと思います。
三井物産のES設問
【共通】
ゼミ/研究室の研究内容についてお書きください。(200字)
【Program A】
「世の中にあるものやサービスを繋いで新たな価値を生み出し、
日本の人々の衣・食・住のいずれかを豊かにするアイディアを説明して下さい。」(800字)
【Program B】
「あなたは「どこでもドア」の開発に成功しました。いくらで販売しますか。値付けの理由も含めて説明してください。」(800字)
共通の設問への考え方
ゼミ/研究室の研究内容についてお書きください。(200字)
これはどこの会社でも見られる定番の設問です。
まだ時期的には大学3年生か修士1年生なので卒業論文や卒業研究には追われていないかもしれません。
なのでこれまでの研究内容に簡単に触れ、今後どのような方向性に持っていきたいかを書くのが良いでしょう。
どちらにしても面接で話すことを意識した内容にするのがよいと思われます。
自分自身の専門分野について、門外漢である面接官にわかりやすく説明できるようにするのは本選考の面接でも問われる内容になるので、なぜその分野について学ぼうと思ったのか、その分野の面白さは何かといった点について説明できるようにしておきましょう。
合格者の回答
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Program Aの設問
「世の中にあるものやサービスを繋いで新たな価値を生み出し、
日本の人々の衣・食・住のいずれかを豊かにするアイディアを説明して下さい。」(800字)
私たちが考えるInnovationには2つの意味があり、
1つは既に存在するビジネスを有機的に結び付け、無限の可能性を創り出すことです。
こちらはすでに存在するものの組み合わせでよりよい仕組みを作り出すという課題です。実際の総合商社のビジネスモデルに近いものがあると思います。
商社のビジネスは既存のプレーヤー同士を結びつけて新たな仕組みやビジネスを創出することにあると言われています。
この設問からはそうした視野の広さがあるのか、ビジネスに対する興味があるのかが問われているように感じられます。
同じ設問ではありませんが、過去の伊藤忠商事のインターンESでは伊藤忠が取り組むべき新規ビジネスや伊藤忠の商品の販売戦略といった内容が問われているので参考にしてみてください。
参考:伊藤忠商事ES一覧
アイディアを伝える上では800字と字数も多いので、自分がそのビジネスに着目した自分なりの経験や視座があると相手にもそのビジネスに対する本気度が伝わり、経験をさりげなく伝えることができるといえるでしょう。
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Program Bの設問
「あなたは「どこでもドア」の開発に成功しました。いくらで販売しますか。値付けの理由も含めて説明してください。」(800字)
そしてもう1つは、何もなかった状態から新たな価値を生み出す、いわばゼロから1を創出することです。
このインターンシップでは、IntegrationとCreationをテーマに新しい事業を創造することの意味を体感していただきます。
さてここからがタイトルの通り、多くの人が悩むであろうどこでもドアの値決めの問題です。
Program Bでは昨年に引き続き、価値をつけさせる問題が出ました。昨年度は自分自身の値段をつけて、その理由を説明させる設問でした。
インターン参加者の回答はまちまちで、0円と回答した人から高い金額をつけた人までいたようです。
ここも値付けの金額よりも理由付けが問われているものだと思われます。
ビジネスの世界では「値決めは経営」と呼ばれるほど重要な要素です。正しい値決めが会社の行く末を左右すると言われています。
今回もどこでもドアという今までにない画期的なサービスに対して、値決めすることが求められています。教科書的な値決めには下記の3パターンがあると言われています。
①製造原価ベースの値決め
製造原価がいくらかかったため、利益をいくら上乗せして価格を決めるというものです。
製造業では一般的に行われている値決めですが、今回は製造原価もまったく想像がつかないのでこの値決めは難しそうです。
②競争ベースの値決め
競合が存在する場合に、競合の価格を考慮に入れて値決めをするというものです。
これも一般的に行われていますが、今回は今までに例をみない画期的な商品のため競合すら存在していないと考えられるのでこの値決めも使えないと考えられます。
一方で、どこでもドアの競合を広義に捉えることで販売価格を設定することは可能かもしれません。
どこでもドアは強力な移動、運送手段といえます。その意味では航空産業、自動車産業なども広義の競合と捉えることができ、更には運輸業もその強豪と捉えることができそうです。
これらのサービス価格や市場規模からどこでもドアの値決めを考えるということは可能かもしれません。
③価値ベースの値決め
これは顧客に提供する価値をベースに価格を設定するというものです。
この価格であれば買い手がつくであろうという最大値の価格をつけるのですが、ターゲットを誰にするかによって価格も大きく変わります。
例えば今回の事例でいえば、個人に販売するのか、法人に販売するのか、それとももっと大きな枠組で国家に販売するのかによって値決めは大きく変わるでしょう。
どこでもドアを大量生産して個人に販売するのか、技術的なものも含めて国家にどかんと大きな金額で販売するのかによって値段は数万円単位から数兆円単位まで幅広くなるでしょう。
価値ベースについては設定の仕方によってかなり幅広く価格設定ができそうです。
最後に教科書的ではありませんが、④理念ベースでの値決めという考え方もあり、近年ではベンチャーやNPOなどでこのベースで値決めをするケースもあるように思います。
例えば庶民でも手がとどく価格で宇宙旅行を提供したいといったロケットベンチャーや忙しい女性のために育児やベビーシッターを格安で提供できるサービスなどがこの考え方にあたるといえます。
どこでもドアという誰もがうらやむ価値のある体験をこの金額で経験してほしいという考えから値決めをするというのも一つのアプローチであると考えられます。
大量生産できるのであれば販売価格を設定し、一つしかない前提であればどこでもドアを通じた経験をサービスとして販売価格を設定することになります。
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最後に
もちろんこのような世にないサービスであるために販売価格を設定することはできないというのも一つの答えかもしれません。
しかし、設問が「「あなたは「どこでもドア」の開発に成功しました。いくらで販売しますか。値付けの理由も含めて説明してください。」(800字)」とあるため、出題者の意図を考えると上記のように価格を設定して理由付けすることが求められていると考えられます。
冒頭で紹介した通り、「値決めは経営」であり、ビジネスの根幹となる部分といえます。ぜひ自分なりの言葉で説明できる値決めをしていただければと思います。
photo by Martin Thomas