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出版業界の仕組みと今後 〜業界の将来性を徹底分析〜

出版業界の仕組みと今後 〜業界の将来性を徹底分析〜

最終更新日:2020年12月18日

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就活生から高い人気を誇りながらも、年々市場規模が縮小し衰退が懸念されている出版業界。

皆さんの中にも、「出版業界に興味があるけど、斜陽業界と言われているので不安だ」という人も多いのではないでしょうか。

本記事ではそんな出版業界の今後を、業界の仕組みや課題と共に解説していきます。

出版業界の仕組み

それでは、出版業界の今後を考察するためにまずは出版業界の仕組みを解説していきます。

出版業界独特の流通形態

日本の出版業界では、出版社が企画・制作した本を取次会社が間に入って各書店へ流通させる仕組みが一般的となっています。

取次とは、出版社と書店をつなぐ流通業者のことで出版商社ともいわれ、日本では日販(日本出版販売)とトーハンが二大取次としてシェアの80%近くを占めています。

出版社だけで自社の本を全国の書店へ届けようとすれば膨大なコストと手間がかかるので、取次会社が間に入って流通させます。日本の出版物のうち、8~9割がこの流通形態によって書店に並んでいます。

この制度を「委託販売制度」といい、「再販売価格維持制度」と共に日本の出版業界特有の制度として知られています。

  • 委託販売制度
  • 再販売価格維持制度

では、この2つの制度の特徴について解説します。

委託販売制度について

委託販売制度とは、上記のように出版社が販売活動をせず取次と書店に委託する制度のことですが、書店は売れ残った本を取次を通して出版社へ返品できるという特徴があります。

もちろん返品された分は全て出版社の赤字となりますが、どうしてそのような制度をとるのでしょうか?

書店は、売れる本もしくは売れそうな本だけを店頭に並べる方が利益は上がります。しかし、「文化や教養のメディアである」という本の特性上、特定の本(売れる本)しか市場へ出ないという状態は文化的に望ましいとは言えません。

「多く売れる本ほど価値の高い本」というわけではありませんし、あまり売れない本でも一部の読者や学習者にとっては大きな価値を持つこともあります。

このため、売れる・売れないを気にすることなく書店が様々な分野の本を仕入れ、読者のもとへ届けられるよう、このような制度がとられているのです。

【委託販売制度のメリット】
・本の多様性が守られる

【委託販売制度のデメリット】
・売れ残れば全て出版社の損

この委託販売制度に対して、出版社から書店が本を直接仕入れる制度を買い切り制度といい、世界ではこちらの方が一般的となっています。この制度下では書店は売れ残った本を出版社へ返品できない分、むやみやたらに仕入れるわけにはいきません。

【買い切り制度のメリット】
・出版社は返品に悩まされない
・書店は売りたい本を売りたい分だけ仕入れられる

【買い切り制度のデメリット】
・需要が少なくても価値がある本の切り捨てにつながりかねない
・売れ残れば全て書店の損

再販売価格維持制度について

出版業界における再販売価格維持制度とは、簡単に言えば「書店やコンビニなどの小売業者は出版社が決定した価格でしか本を販売することができない(新品に限る)」と定めている制度です。

繰り返しになりますが、本は文化や教養のメディアとして位置づけられています。「それは全国どこでも平等に享受できるものでなければならず、価格競争や輸送費などの都合で地域・書店によって価格に差がでてはいけない」という視点から、出版物は公正取引委員会によって価格の統一が義務づけられているのです。

なお、共済組合や生活協同組合はこれを遵守する義務を負わず、大学生協書店などでは本を割引で販売している事例も見られます。

【再販売価格維持制度のメリット】
・価格が全国平等
・一定の利益が保証されている

【再販売価格維持制度のデメリット】
・小売業者間の競争が鈍化する

出版業界の現状と課題

このように特徴的な流通形態と制度で数十年間回ってきた出版業界ですが、近年この流通形態の課題が浮き彫りになってきています。

出版不況

この20年間、出版業界の紙媒体出版物の市場規模は縮小し続けています。

若者の活字離れや娯楽のデジタル化など様々な要因により、紙媒体の販売額も書店数も全盛期の半分近くになりつつあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【出版業界の市場規模と現状を解説した記事はこちら】
【業界研究】出版業界の2020年の市場規模と現状を徹底解説!

再販売価格維持制度により出版業界は一定の利益が保証されているというメリットがありますが、本が売れにくい時代、書店が割引キャンペーンやサービスを施せないとさらに本離れが進むという悪循環に陥ってしまいます。

また、近年成長しているフリマアプリも脅威となる存在です。

二次流通の市場であるフリマアプリで売られる本は中古本であり(たとえ新品であっても「中古」として出品すれば中古扱いになってしまう)、価格決定権は基本的には一般人に委ねられます。

つまり、フリマアプリは消費者にとってディスカウントされた本を買える数少ない市場ということになります。加えて古本屋へ足を運ぶよりも手間が少ないことや手軽に売る側にも回れることなどのメリットもあり、「書店で気に入った本をメルカリで買う」、「読み終わった本をラクマで売る」などの選択肢は今後増えていくかもしれません。

高い返品率

上記で委託販売制度は出版社への返品が可能と解説しましたが、その返品率は30~40%と高いものとなっています。出版社はベストセラーなどの作品でこれらを補ってきましたが、近年の出版不況ではこの返品率が大きな負担となってきています。

返品率が高くなると、この赤字を埋めるために新刊をどんどん取次へ送って帳消しにし、その返品分の赤字をさらなる新刊の入金で埋めるという自転車操業のような状態に陥ってしまいます。

出版不況の中そのような状態では長く続かず、いずれ新刊による入金よりも返品による借金の方が多くなり倒産する出版社も少なくありません。

販売委託制度は低い返品率ありきで機能する制度なのです。

オンラインメディアでの課金システム構築の難しさ

紙の雑誌が売れない現代、出版社はオンラインメディアでの記事の配信に力を入れていますが、そこで立ちはだかる壁がいかに収益化するかという問題です。

新聞社などの電子版を除けば、オンラインでは「ネット記事=無料」という風潮が強く、出版社などが有料記事を設けるとPV数は激減します。このPV数が減るとメディアとしての規模や知名度が低下するだけでなく、広告収入も減少してしまいます。

かといって、広告収入に特化して全ての記事を無料化すれば当然ですが読者から得られる利益は0となります。PV数(つまり広告収入)と記事の有料化はトレードオフの関係にあるわけです。

ちなみに、無料コンテンツ主体で構成されたメディアを”オープンメディア”、有料コンテンツ主体で構成されたメディアを”クローズドメディア”と呼びます。マスコミ志望者であればぜひ覚えておきましょう。

【もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参照】
オンラインメディアの「オープン」と「クローズ」って何ですか?(文春オンライン)

出版業界の今後・将来性

上記のような課題に直面している出版業界。これまで紹介してきた諸制度を軸に、今後を分析していきます。

出版業界に大きな影響を与えるAmazon

2019年1月、Amazonが取次を通さず直接出版社から本を仕入れる「買い切り制度」を試験的に導入すると発表し、出版業界に激震が走りました。以下はAmazonの発表内容の一部です。

買い切る書籍について出版社と協議して決定。一定期間は出版社が設定した価格で販売するが、売れ残った場合は出版社と協議して値下げ販売などを検討する。(出典:毎日新聞)

これが実現した場合、最終的に価格を下げるのは出版社なので、Amazonがその価格に従って販売すれば再販売価格維持制度違反とはなりません。しかし協議(ないしは圧力)を通して実質的なAmazonによる値下げが実現する可能性があります。

つまり、「買い切り制度によって流通させたい本だけを仕入れたい分だけ仕入れ、売れなければ返品せずに値下げセールができる」というような完璧なビジネスモデルが完成します。

このように仕入れ方法や価格設定で出版社のビジネスモデルを変え、流通から発送までを掛け持ちすることで取次や書店の市場にも大きく影響を及ぼす力をAmazonは持っているのです。

そして2020年2月、ついにAmazonが動き始めました。以下、「アマゾン 書店向けに出版物を卸販売」(日本経済新聞)という記事の一部抜粋です。

アマゾンジャパン(東京・目黒)は書店向けに書籍などの出版物を卸販売するサービスを本格的に始める。法人向け電子商取引(EC)サイト「アマゾンビジネス」を通じて、書店に届ける仕組み。人手不足などに伴い、取次会社を通じた出版物流では本が希望通りに届かないケースも出ている。アマゾンが出版物を書店に送ることで地方の書店などが出版物を仕入れやすくなるという。(出典:日本経済新聞)

同社は昨年春に売れ残っても出版社に返品しない「買い切り」と呼ばれる手法を導入すると表明した。同社は1年が経過した導入状況について、「試験導入は始まっているが、参加企業数など具体的な状況を話すことは難しい」と述べるにとどめた。(出典:日本経済新聞)

今後この動きがますます活発になるのか、あるいは部分的な規模で留まるのか、注目が必要です。

委託販売制度・再販売価格維持制度時代の終焉!?

実は買い切り制度を導入すること自体は特別に珍しいことではありません。出版社によっては需要がつかみやすい一部のジャンルは買い切り制度をとることも少なくありませんし、岩波文庫は刊行する出版物全てを買い切り制度で流通させていることで知られています。

しかし、Amazonのような世界最大級のプラットフォーマーがもしも大規模な買い切り制度による流通を取り入れれば、業界に大きな影響を与えることは間違いありません。

ファッションなどと同じように「本も値引きが当たり前」という風潮が出版社にも消費者にも広がり、委託販売制度と再販売価格維持制度の形骸化へ繋がると考えられます。

また、一部の出版社や取次会社ではAIによる需要予測の導入も検討されています。この需要予測の精度が向上すれば「需要によって書店や取次が適切に出版社から本を買い切れる」時代がくるかもしれません。

つまり、買い切り制度の「需要の少ない本を切り捨てかねない」というデメリットを解消できるかもしれないのです。

AmazonやAIが出版業界にどれほどの影響を与えるのかハッキリと断言はできませんが、長年日本の出版業界を支えてきた2つの制度を変えようとする力が大きくなってきていることは間違いありません。

メガヒット現象

市場規模が縮小している中、特定の作品に売り上げが集中するメガヒット現象が頻発しています。

拡散性に優れたSNSの発達により、現代はひとたび話題を集めれば爆発的に知名度を上げることが可能です。これは出版物でも同じで、例えばテレビなどに露出があった書籍や漫画がTwitterで話題になり、大きなヒットに繋がるケースが見られたりします。

このように「流行を作る」という仕事は出版業界で働く上での醍醐味の一つと言えるでしょう。

出版業界の市場規模縮小に対する打ち手

実は以下の記事で解説している通り、売上ランキング上位の出版社は多くが昨年対比プラス成長を達成しています。

市場規模縮小はあくまで紙媒体や書店数の話であり、それを補うため出版社の事業はどんどん多角化しているのです。

では、これらの出版社は具体的にどういった取り組みで利益を上げているのでしょうか?代表的な3社を取り上げて解説していきます。

講談社

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KADOKAWA

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東洋経済新報社

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出版業界への就職

このような業界の変革に、就活生はどう向き合えば良いのでしょうか?

変革期を迎える中で変わること、今後求められる素養を考えてみましょう。

まず、出版業界の諸制度がどう変わろうと価値あるコンテンツを制作するという出版社の仕事は変わりません。コンテンツ制作に不可欠な企画力創造力は媒体や流通方法がどう変わろうと求められ続ける素養でしょう。

しかし、本を企画・制作さえすれば勝手に売れていた時代は終わってしまいました。出版不況の今、コンテンツの届け方を巡る競争が激化しているのです。

長い間続いてきた委託販売制度や再販売価格維持制度を変えようとする声が上がっているのも、各社が必死になって本の売り方を工夫しているからこそです。

もし本当にこの2つの制度が変われば出版業界におけるマーケティング競争はますます激化することになります。

出版業界志望の学生、中でも文学部の学生には「マーケティングやビジネス云々には興味がない。クリエイティブな仕事をしたい。」という人が少なくないかもしれませんが、これからの出版業界は「コンテンツをいかにお金にするか」という問題は避けて通れません。

編集系希望であったとしてもビジネスやIT・Web関連へも幅広くアンテナを張り、「おもしろさ」だけでなく「お金になるおもしろさ」を追求する姿勢がこれからの出版業界には不可欠でしょう。

出版業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

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unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

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下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。

以下に出版業界志望者向けの企業研究記事や選考対策記事を掲載しましたので、こちらも併せてご覧ください。

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