日本政策投資銀行のES対策!求める人材を理解して採用レベルの志望動機・自己PRへ
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最終更新日:2021年01月05日
DBJと呼ばれ、2008年に設立された日本政策投資銀行は旧日本開発銀行、旧北海道東北開発公庫、旧日本政策投資銀行の3つから成る政府全額出資の金融機関です。
市中銀行と大きく異なることは、国益、すなわち日本国が今後も発展していく上で抱える課題を解決することに重きを置いていることです。投融資一体型金融サービスという独自のサービスを通して日本産業の競争力強化を後押しし、日本の新たな成長を実現していくことを使命としています。
そのため、金融志望者にありがちな「人で勝負する仕事がしたい」「相手のニーズを把握して課題解決したい」といった軸だけでなく、「日本のプレゼンスを高める仕事がしたい」というビジョンを持つ就活生からも人気がある印象があります。
参考:「日本のプレゼンスを高める仕事がしたい」という企業選びの軸を持つ学生が絶対に受けるべき四つの業界
このようにメガバンクとは性質を異とする日本政策投資銀行ですが、どのような人材が求められているのか、考えていきましょう。
事業内容と採用HPから考える日本政策投資銀行の求める人材
DBJ東北支店は、先進的技術の事業化、地域資源を活用した産業振興、ゆとりと生きがいに満ちた社会形成のための都市圏整備や環境との共生などを通して魅力ある地域づくりに取り組む東北6県の企業を資金・情報面からサポートしています。
株式会社白謙蒲鉾店は宮城県・石巻市にある、創業100年を超える笹かまぼこの老舗です。東日本大震災では、6メートルを超える津波により本社と2つの工場の3拠点すべてが被災したものの、約1ヵ月でかまぼこの生産を再開。震災に負けず、県内売上順位を震災前の4位から1位に躍進させました。
(中略)
私は、お客様との信頼関係を深めるためにも、何度も工場に足を運んで話を聞き、笹かまぼこの歴史を紐解いたり、同業他社の製品との食べ比べをして各製品の特徴やこだわりも徹底的に理解したりした上で審査を行いました。「そこまで調べた銀行はDBJが初めて」と驚かれた時は嬉しかったものです。また、格付評価を担当する環境・CSR部の評価ヒアリングにも同行し、数字には表れない事業継続に対する様々な取り組みを確認できたことも審査の上では非常に有益でした。
(中略)
今回、企業の「事業継続性」を考えることを通じて、学生時代に勉強した社会の「持続可能性」の概念との共通性を認識するとともに、お客様に強い興味を持つことがお客様との距離を縮める第一歩と実感するなど、貴重な経験を積むことができました。この経験を活かし、震災からの復興と構造的課題に対応した新しい東北を実現するために、東北地域の持続可能な発展に取り組む企業を今後も支援していきたいと考えています。
参考: 総合職インタビュー
東京スカイツリータウン®
前例のないスキームで挑んだ、国家的プロジェクト。
2006年、本格的なデジタル放送を控え、墨田区の東武鉄道業平橋駅前操車場跡地にデジタル放送のための新タワーを建設することが決定した。そのプロジェクトを担う東武鉄道にとっては、地域の発展にも寄与する創業以来の一大事業となる。しかし、このプロジェクトの最大の課題は、膨大な開業資金をどのような形で調達するかであった。全額借入金で賄うとすると、負債の削減による財務基盤強化を推進していた東武鉄道の財務戦略と逆行することになる。一方、新株発行(資本)での調達は、リーマンショックの影響によるマーケット環境悪化の問題などもあり、困難な状況であった。そこで、これまでにない新たな資金調達手法を編み出そうと度重なる議論・協議が行われ、当時でも前例の少ないハイブリッドファイナンスが考案された。これは負債でありながら一定の資本性を持つという、いわば融資と出資の中間の特徴を持つ金融手法である。これにより、東武鉄道は財務体質の増強と円滑な資金調達の両立が図れ、2012年5月、東京スカイツリーは無事開業を迎えることができた。
参考:プロジェクトストーリー
上記から分かることは、DBJでは、クライアント企業の成長のために彼らの本質的なニーズや課題を見出すこと・企業が抱える一筋縄ではいかない様々な課題に対して満足度や納得度の高い解決策を提示できることの2点が重要であることでしょう。
顧客から事業を進める上での課題や悩みを話してもらうには信頼を勝ち取る必要があります。そのためには、1つ目の引用にあるように足繁く顧客のもとに通い詰めることで距離を縮め、自身でもその産業や事業について深く学び顧客と対等に話をできるようになることが大切なようです。これは、「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」における「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」人材が求められていると読み取ることができます。
2つ目の引用記事においては、クライアントとマーケットの間で発生していたジレンマを解決するために前例の少ないハイブリッドファイナンスを実行しているようです。そのためには、取引先との信頼関係の構築だけでなく、先述のような事業についての学習といった地道な努力により、交渉を円滑に進めていくための糧となるような行動を意識してとっていく必要があるでしょう。すなわち、先ほどの5つの強みのうち「1.個人として努力し、成果をあげることができる」人材も同時に求められているといえるでしょう。
日本政策投資銀行のES設問
(1)あなたが考える日本の課題や問題について触れつつ、日本政策投資銀行で何を実現したいか、教えてください。
(2)あなたが最も自分を理解していると思う人物に対し、日本政策投資銀行への推薦を依頼するとします。 あなた自身がその依頼を受けた人物であると仮定し、あなたの長所および課題の双方に触れつつ推薦してください。
(3)あなたがこれまでの人生において、特に力を入れたことや困難と感じた出来事を3つ挙げ、そのうち1つを選び、その時自らがどのように考え行動したかを述べてください。
設問(1)「あなたが考える日本の課題や問題について触れつつ、日本政策投資銀行で何を実現したいか、教えてください。」について
国益のために事業を行っているDBJならではの志望動機と言えるでしょう。「内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク」における①成し遂げたいことを②きっかけとなる経験を踏まえて書くことが重要です。
現状または未来の日本のどんな部分にあなたが問題意識を持っていてDBJでどうやってそれを解決したいのかを聞くことで、あなたがどういう考え方で仕事をしていくのかをDBJは知りたがっています。自分が述べた課題が日本政策投資銀行のビジネスモデルで解決する内容として適切であることがその前提となるでしょう。
設問(2)「あなたが最も自分を理解していると思う人物に対し、日本政策投資銀行への推薦を依頼するとします。 あなた自身がその依頼を受けた人物であると仮定し、あなたの長所および課題の双方に触れつつ推薦してください。」について
自己PRに関する設問です。第三者視点で記述しなければいけない点と、「推薦」という言葉から導けるような自分がDBJにおいてどのように活躍できるのかという点を明確に記述することに気をつけましょう。
「内定レベルの自己PRが簡単に書ける自己PRのフレームワーク」に基づき、社会課題を解決する上で自身のどんな強みがDBJでどう活きるのかを書きましょう。
設問(3)「あなたがこれまでの人生において、特に力を入れたことや困難と感じた出来事3つ挙げ、そのうち1つを選び、その時自らがどのように考え行動したかを述べてください。」について
基本的には「内定レベルの学生時代頑張ったことが10分で書ける学生時代頑張ったことのフレームワーク」に基づいて学生時代に頑張ったことを記述すれば良いですが、特に③目標と困難④取組みと結果の部分についてDBJは知りたがっています。
先述した「事業内容と採用HPから考える日本政策投資銀行の求める人材」にもあるように、DBJの仕事は金融サービスを通して企業の課題解決をすることです。決まった答えのない課題に対してあなたがどう貢献しようと考えているのかをしっかりと伝えましょう。
また、今回は3つのうち1つを挙げて記述するよう求められていますが、その他2つについても面接の場では問われる可能性がありますので、ESと同様にフレームワークに沿ってエピソードを整理していく準備をしておいた方が無難でしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。これまで見てきたように、DBJでは社会課題に対して自分なりに答えを導き出す課題解決能力が強く求められていると言えますね。採用人数が少なく狭き門ではありますが日本の産業育成に携わりたいという就活生の方は是非受けてみると良いでしょう。
photo by Images Money