留学生と就職活動<海外キャリアフォーラムに挑む前に必要なコト2つ>
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最終更新日:2024年10月23日
2019年1月1日時点で企業から内定を頂いたと回答している学生が4.7%という結果を就職情報大手のディスコが発表しました。
20卒の知り合いの中にも内定者が出始め、早い人では既に就職活動を終えた学生もチラホラ見かけます。そんな中で先日、19卒の内定者と話をする機会がありました。
彼らは1年間の交換留学を経験しており、交換留学生の就活事情について話を聞くことができました。ボストンキャリアフォーラム(以下ボスキャリ)や帰国後の秋採用など、たくさんの経験談の中でも『留学生=内定に圧倒的有利』な訳ではなかったというのが印象的でした。
本記事では、筆者が留学経験者からお聞きしたお話や、現在実際に留学中で海外で就職活動を行っている学生の体験談を基に、ボスキャリを始めとする海外キャリアフォーラムの実態、体験談、そしてこれからどのように行動していくべきなのか、その考察を深めます。
留学生の就活事情
日本の学生が3月から情報を解禁し6月から始まる面接などの就活ルールに基づいて動きだしている一方、留学生の大多数は日本国内で就職活動が本格化している時期に学校が通常運行であるようで、就職活動どころではないようです。
そのような留学生が就職活動においてデメリットを被らないように開催されているのが各種海外キャリアフォーラムです。キャリアフォーラム以外にも、海外企業にそのまま就職する選択肢を除くと、留学生の就職活動は以下の3つに分類できます。
①帰国後就職活動を実施する(秋採用・留学生向けの採用など)
②卒業を1年遅らせて就職活動を行う
③海外キャリアフォーラムで内定を得る
帰国後就職活動を実施する
少し前に東京大学が秋学期入学を実施すると宣言して話題を呼びましたが、留学生の新学期は殆どが9月から始まります。9月から12月にかけてが秋セメスター、2月から6月までが春セメスターとなっている大学が殆どで、留学生が帰国するのも春セメスターが終わる6月がピークな様です。
6月に面接、内定が解禁となっていますのでギリギリ就職活動に間に合いそうな気がしますが、既に内定者がチラホラ出ている日本の形骸化が進んでいる就活市場を顧みた時”絶対性”がなく、あまりオススメはできません。留学中は勉学に集中し、帰国後直ぐに就職活動本番を迎えるのはリスクが高いように思われます。
それでは、留学から帰ってきてからだと就活が不利になるのか?と言われたらそうとも限りません。留学生向けに秋採用を実施している企業も多くありますので、留学に行っていたからチャンスを逃すことも殆どないでしょう。それでも優秀な留学生同士の席の取り合いになるため厳しい戦いになるようです。
これらを顧みた時、帰国してから内定を獲得し、そのまま卒業するとなると『早めの準備が成否を分ける』と言っても過言ではないと思われます。
unistyleでは、内定を得るためのプロセスを上記の9つの段階に分類しています。
準備段階に該当する①〜⑤は留学中でも実施することができるので、帰国後に就職活動を行う予定でしたら、①〜⑤を優先的に抑えていくべきでしょう。どれも就職活動を行う上で大切なステップになるので、それぞれのステップの詳細を以下にまとめましたのでご参照ください。
・就職活動全体の流れを把握するなら
20卒就活スケジュール完全版!日系大手の内定を得る9つのステップ
・①詳細な自己分析を行うには
簡単にできる自己分析のやり方8選!-やり方別のメリット・デメリットをunistyleが独自調査-
・②詳細な業界分析・企業研究の実施
【最新版】業界研究のやり方やポイントをわかりやすく徹底解説
・③3つの論点(自己PR・ガクチカ・志望動機)の整理の仕方
【例文6選】エントリーシート(ES)の志望動機の書き方!独自調査を基に人気業界ごとに解説
・④評価されるESの作成の仕方とは
【設問別例文付】エントリーシートの書き方 頻出質問への回答方法を解説
・⑤効率的なテスト対策
【就活生必見!】17種類の適性検査まとめ、Webテストの種類と対策を知る
卒業を1年遅らせる
帰国のタイミングが遅かったなどの理由やじっくり就職活動に取り組みたい人の中には卒業のタイミングを半年から1年遅らせる方もいるようです。
大学にもう1年在学することとなるので学費などの費用面での心配は残りますが、じっくりと腰を据えて就職活動を行うといった点ではプラスに働くように思われます。
ただ、帰国してからどのような事に取り組んできたのか、何故卒業を遅らせようと思ったのかなどの質問にしっかりと答えられる為に準備をしておくべきでしょう。
海外キャリアフォーラムとは
先程の留学生の就職活動で取る選択肢③として海外キャリアフォーラムを挙げました。では 、そもそも海外キャリアフォーラムとはどのようなものでしょうか。
海外キャリアフォーラムとは
海外で開催されるキャリアフォーラムは主にCFN主催のものになります(CareerForum.Net 株式会社ディスコによるバイリンガルの為の就職活動支援サービスです)。
・CFN(株式会社ディスコの海外採用サービス)主催
・ロンドン、ボストン(最大級)、上海、東京など主要都市で開催
・海外大学在学中、交換留学生対象(日英バイリンガル向け)
・企業によっては内定が得られる
・日系大手、外資系企業も参加(フォーラムによる)
参考:CareeerForum.Net
大きな特徴は海外大学在学者、交換留学生向けであり、内定が得られる点でしょう。英語が話せることが前提で進められるフォーラムである点も特徴的でしょう。
どこからがバイリンガルなのか等ざっくりとした表現になっていますが、キャリアフォーラムへの参加条件は以下のように定められています。
キャリアフォーラムへの参加は次の条件を満たしていれば大丈夫です:
1. バイリンガル、日本語・英語両方でビジネスを行えるだけの語学力を身につけている方
2. 海外の大学・大学院を卒業予定の方、また既に卒業された方
3. 日本の大学に在籍し、交換留学中の方
4. 職務経験をお持ちの方
引用:キャリアフォーラム実施講座 よくある質問
フォーラムによって参加企業にばらつきがあるようですが、東京開催のものやボストン開催のものだと参加企業が200社を上回っています。
参加費用・参加予約・コスト・その他
幕張開催の説明会に参加する為に横浜から海浜幕張に出向く・・・のは電車賃だけの心配をすればいいですが、海外キャリアフォーラムは開催国が限られています。
後述しますが、筆者の友人はフランスに滞在中でしたので、ボストンまで飛行機で移動し、連日ホテルに宿泊していたそうです。他にもカナダ・アメリカ国内等々ボストンまで移動しホテル滞在を行ったため(フォーラム自体は3日間開催など)、費用として10万円近く必要だったようです。
移動や滞在などの面で高い費用がかかるからでしょうが、フォーラム自体は入退場無料で事前予約が必要など日本の説明会とあまり違いは見られません。また、キャリアフォーラム参加のためのホテルや交通アクセスのサポートも行ってくれています(ロンドンキャリアフォーラム 交通・宿泊のご案内)。
また、事前にレジュメを作成する必要があります。日本企業にESを提出する際は日本語が殆どですが、海外フォーラムでは英語でのレジュメの提出を要求してくる企業もあるようなので事前の準備は早めにしておく事が吉だそうです。
海外キャリアフォーラム体験記
ここからは実際にボスキャリに参加した友人の体験談を記載します。
・大学:早慶、MARCHの5名
・留学先:フランス、カナダ、米国
<質問内容>
①滞在日数と費用
②受けた企業の数
③就活フローはどのように進んだか
④周囲の学生の様子
⑤事前準備はどれくらいしていたのか
⑥振り返ってみての感想
Q①:滞在日数と費用
A:3日間〜4日間、滞在費用と航空券で5~10万円(渡航先による)
ボスキャリが3日間開催の為、前日に現地入りしている方々が殆どということでした。宿泊費を抑えるために友人と一緒にホテルに泊まったり、Airbnbなどのサービスを活用したというケースも見られました。また、場所によっては距離が離れているため、思わぬ時差ボケに悩まされた方もいたようです。
遠方からの参加の場合、フォーラム参加を決意したら、早めの航空券・ホテルの確保がベターなようです。
Q②:受けた企業の数
A:1社〜7社
少ない人だと1社だけ、多い人で7社ほど受験したようです。3日間の中でフローが進んでいくので、一度にたくさんの企業を受けるのは負担になってしまい、結果として中途半端になってしまうことにもなりかねません。事前にどこが参加するのか、どこを受ける予定なのか明確にしておくべきでしょう。
Q③:就活フローはどのように進んだのか
A:(2ヶ月前くらい)Webエントリー(ES、Webテスト)→(企業によっては)事前Skype→当日の面接
ボスキャリの流れとして以下の2タイプ存在します。
①事前にES・テスト→当日面接のみ
②フォーラム当日に直撃→面接(ウォークインと呼ぶそうです)
渡航前や渡航して直ぐにESの作成やウェブテストを実施するパターンの企業が多く、バタバタしている時期に準備をしなければいけなかったのが大変だったとの感想もありました。企業によっては当日面接予約を実施していない場合もあるため、ここからも事前準備が成否を分けるといっても過言ではないでしょう。
Q④:周囲の学生の様子
A:交換留学生よりも正規留学(長期留学)の学生が多かった。事前準備をした学生としていない学生の差が大きい
事前に準備をした学生と全く準備をしていない学生との差が大きかったとの声が多数でした。「皆が行くから自分も行く」という受け身の姿勢よりも、目的意識を持って行動をするべきなのは日本の就職活動と何も変わりません。
他にも日本人で海外の大学に在学している学生の割合も大きかったようです。参加者の中にはダブルディグリープログラム(日本と海外の学位を同時に取得するシステム)の方もいらっしゃいましたが、それでも企業側は正規留学生の方をより欲しがっていた印象であったようです。
Q⑤:事前準備はどれくらいしたのか
A:1〜2ヶ月前
ほとんどがキャリアフォーラムがスタートする数ヶ月前からスタートしていたようです。渡航前に先述したレジュメの作成やWebテストを行うことはあったようですが、本腰を入れてスタートしたのは数ヶ月前からが多数派でした。
印象的だったのは「留学してバタバタしていて1ヶ月前から準備したけど遅すぎた」との回答でした。フォーラムが留学して直ぐに開催の為、あまり準備をする時間がなく、なんとかなるであろう精神でぶっつけ本番で挑むことになってしまった学生が一定数いたことも頷けます。
Q⑥:振り返ってみての感想
最後に協力者の皆様から全体を振り返ってみての感想を抜粋して掲載します。
人気の企業はだいたい正規留学生を欲している印象がありました。実際周りの人を見ても内定取れている人は正規留学生が多かったです。
しかし、入念に準備していた人は交換留学でも内定を貰えていたので、準備にどれだけ時間をかけたかで決まる印象です。留学で忙しく準備に時間を割けない人は多いですが、勝負は当日よりも事前準備で決まります。ボスキャリ行く人は事前準備を頑張るといいと思います。
Aさん(米国留学):
留学と就職活動を同時に行うのは大変でしたが、日本にいる大学生より就職活動時期が早いため、企業からのサポートが十分得られたと思います。
しかし、短期留学生にとって就職活動を勉学と同様に進めることは難しいと思います。私は2年の留学で正規生扱でしたが、それでも大変でした。余裕を持って、行動することが大切だと思います。
納得のいく留学・就活を送るために
冒頭での先輩の体験談にもありましたが、「留学≠就活有利」であることは改めて実感していただけたかと思います。
特に1年以上の長期留学経験では語学力のみならず、多様な価値観に対する理解力やコミュニケーション能力の向上も期待できます。こうしたさまざまな能力が企業側に評価された結果なのではないでしょうか。
しかし一方で、長期留学を経験した人の中にも「就職活動では苦労した」という話をちらほら耳にします。主に「なかなか内定を得られず就活が長期化してしまっている」「内定を得たものの、自分が納得のいく企業ではない」などというケースです。
こうした状況を考えると、留学経験は必ずしも就職活動の武器になるとは限らないようです。
【失敗する特徴5つ】
①語学力自慢だけ
②海外では〜◯◯なんだよね(自分の主張なし)
③単に長く滞在しただけ
④現地での取り組みを言語化できない
⑤変に自身を持っている
引用:無内定の長期留学経験者にありがちな5つの特徴
上記引用記事でも触れられていましたが、年々留学生の数は上昇しており決して珍しくなく、留学生だからといって市場価値が高まる訳ではありません。失敗する留学生の共通する特徴の5つを踏まえ、改めて留学と就職活動を成功させるためには以下の2つが鍵となると考えています。
目的意識を持った留学を
失敗する5パターンの学生の1つとして挙がっていましたが、「語学力強化」の為の留学としてアピールすることはおすすめできません。
上位校のTOEICの点数は(TOEICが英語力の全てではないですが便宜上)800点以上と言われています。
「私は留学していたので、TOEIC◯◯◯点で英語は話せます!」とアピールしてもそれほど響きはしないでしょう。逆に「留学していたのにこれだけしか点数取れないの?」などのマイナスに働いていしまう可能性も考えられます。留学をしていないだけでTOEIC900点や英検1級、トリリンガルの人は上位校には沢山います。
たとえ語学力をアピールするにしても、「私は将来世界を舞台に営業を行っていきたいと考えています。そこでこれまで英語力を伸ばすために試行錯誤し学習に力を入れてきましたが、限界を感じました。目標であったTOEIC950点を達成するには、環境を変えて挑戦するしかないと思い留学を決意しました。留学中は〇〇や☓☓を積極的に行い、□□という困難もありましたが、△△することで目標を達成することができました。」のようにロジックをしっかりと通す必要があるでしょう(この場合も何故英語力としてTOEICを選んだのかなど疑問は尽きませんが)。
留学経験は就職活動では間違いなく聞かれると思われます。
「何故留学をしようと思ったのか?日本ではできなかったのか?何を現地で学んだのか?それをどのように企業で活かすことができるのか?」。
目的意識を持った留学でない限り(就活において)絶対的にプラスの影響を与えるとは限りません。
事前に入念な準備を
インタビュワーの皆様が約2ヶ月ほど準備期間に充てたと回答してくださりましたが、準備不足だったと認識するのも無理もないでしょう。
<引用:20卒就活スケジュール完全版!日系大手の内定を得る9つのステップ>
unistyleでは、面接・内定が解禁される前年の6月から翌年6月までの1年スパンでの就職活動を計画しています。もちろん人によってペースは違いますし、自己分析などは常にブラッシュアップしていく必要があります。ボスキャリが始まる11月までに一通り準備を終わらせようと思うと、非留学生よりも半年近く早く取り組み始める必要があるように思われます。
冒頭でも述べましたが、上記プロセスの内、留学中の為インターンやOB訪問の実施まで手が回らないにしても
・自己分析→テスト対策
は最低限優先して実施しておくべきでしょう。下地が全くないなかで面接に挑むことは難しいですが、土台をしっかりと組み立てた上での実践は難しくはないと思われます。
先程の学生の中には、ボスキャリでは内定が貰えなかったけれども、1月より留学先で就職活動を初めて帰国後9月に第一志望企業より内定を貰っている方もいます。
まとめ
いかがだったでしょうか。全体を通して留学生は就職が大変だという印象を与えてしまいましたが、決してそのような訳ではありません。
自分の今の生活から飛び出し、家族も友人もおらず言葉も通じない世界に一人で飛び込んでいく姿勢は、誰にでもできることではなく、そのような勇気ある資質を企業は必要としていると思われます。
ただ、貴重な機会である留学を、就職活動に左右されることなく過ごしていただきたいと思いこのような記事を執筆致しました。
以下が本記事のまとめになります。
・留学≠就職活動で有利
・留学生の就職活動は大きく3種類(海外フォーラム・帰国後就活・卒業を1年遅らせ就職活動を行う)
・海外フォーラムで満足の行く結果を残すには
→目的を持った留学をする
→事前の入念な準備を心がける
・【内定者ES例文付】ガクチカで留学経験をアピールする書き方とは?
・【留学経験のアピール方法】志望動機の書き方30選(外資・日系)
・無内定の長期留学経験者にありがちな5つの特徴
・上位校の平均点は789点!TOEICの点数アピールは人気企業では通用しないかもしれない
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外国人採用・雇用のことなら「