三菱地所社員が語る不動産ディベロッパーとテレビ業界の意外な共通点

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最終更新日:2023年10月25日

三菱地所社員が語る不動産ディベロッパーとテレビ業界の意外な共通点

17年卒の就活生です。

不動産業界とテレビ業界は高学歴の学生から非常に人気ですが、両者を併願する学生は少ないように感じます。

不動産ディベロッパーというと街づくりをイメージしますが、不動産とテレビの仕事にはどのような共通点があるのでしょうか。

本選考とインターンの締め切り情報

OB訪問させていただいた方(三菱地所・10年目・男性)

実際に私がOB訪問させていただいた三菱地所の社員にお話を伺いました。

今回は都市開発に携わった後に、現在は物流事業施設を担当している社員にOB訪問しました。物流事業施設とは、倉庫を作る仕事のようでまだできたばかりの部署のようです。都市開発の仕事では、主要都市周辺の街並み形成に携わり、建物の配置などを考えていたそうです。

余談ですが、不動産業界のOBのお話を聞くと、「自分で街を歩いて各ディベロッパー企業が関わった土地を体感しなさい」と言われることがあります。会社ごとの社風や雰囲気は街そのものにもかなり表れているのかもしれません。

また、不動産業界を志望する学生の多くは、シムシティというコンピューターゲームの経験者が多く、ゲームを通じて街づくりへの理解を深めていた学生も多いようです。

これはコラムのテーマとは逸れますが、私が会ったOBは30代半ばだったのですが、OBの就活生時代の話を聞くと日本一の高家賃地帯である丸の内を保有する三菱地所は「何もしなくても収入源がある」イメージであった一方、三井不動産は「何が何でも新しくて面白いものを作ってやる」という気概に溢れたアグレッシブな印象をもっていたそうです。

私自身も、他業界のOBの話を伺った際に三井不動産の方が体育会らしさがあると聞きました。また、三菱地所は女性総合職の採用人数が多く、男性と同じもしくはそれ以上です。女性でディベロッパー志望の学生は狙い目かもしれません。

大手不動産社員に聞いた不動産ディベロッパーの併願先

OBの就活生時代の併願先を聞いたところ、私にとっては意外だったのですが、不動産のほか、テレビ業界を志望していたそうです。というのも、不動産とテレビ局の仕事には大きな共通点があるからだそうです。以下に業界の簡単な仕事内容を記載しました。

ディベロッパー

街づくりのプロデューサーの役割。設計会社、ゼネコン、テナント等の様々な価値観を持つ関係者を統括して建造物を造り、土地を持つディベロッパーが最終的な決定権を持つ仕事。多様な価値観がある中でリーダーシップを発揮して物事を成功に導いた経験が活きる。

テレビ局総合職

番組制作のプロデューサー、ディレクターの役割。俳優、番組セット、スポンサー等の様々な関係者を統括し、番組を制作するテレビ局が最終的な決定権を持つ仕事。上記同様、多様な価値観がある中でリーダーシップを発揮して物事を成功に導いた経験が活きる。

以上のように、双方ともに他業界の多様な人材を束ねるという仕事内容であり、少数精鋭の採用方針であるという点で共通しています。共に志望する学生数が多く、採用されるには難しい業界ですが、併願してみてもいいかもしれません。

また話は戻りますが、そのOBは何もないところから新しいものを生み出す仕事がしたいという軸で、総合商社と広告代理店も併願していたようです。

広告代理店・総合商社との共通点

このOBは広告、商社も併願したそうですが、ただのミーハーで志望していたわけではなく、広告も総合商社も上記の共通点同様に、何もないところから価値あるものを生み出すという意味ではプロデューサーとして働く仕事だと語っていました。

以下に広告、商社業界の簡単な仕事内容を記載しました。

広告

広告プロモーションのプロデューサー、ディレクターの役割。広告を受注した上で、テレビ、ネット、新聞などどの媒体でどんなプロモーションを行うのがよいのかを考えて、各関係者と一から顧客に合った斬新な広告をチームで考え出してチームを統括し、采配を行う仕事。

総合商社

川上から川下までのビジネスを生み出す際のプロデューサー、ディレクターの役割。業界内の関係者や時には海外の政府関係者などと協力しながら、国内外で他の企業や政府のの関係者を巻き込み、新しくインフラを作り上げたり、新しいビジネスを輸出、輸入したりする仕事。

自分がプロデュースする建物を、顧客にとって魅力的なものに仕上げるプロセスに醍醐味があるという点で考えてみても、「面白い番組やCMを作る課程にやりがいを感じる」と考える人も多いテレビ局の番組制作、広告代理店のCM作成は、魅力的な建物を造り上げる不動産ディベロッパーに似てるといえるかもしれません。

それに加え、テレビ番組や不動産は一度成功すれば、一定の期間以上、番組や建物というように成果が目に見える形で残るという点も双方の魅力でもあります。実際に、大手テレビ局に勤務する社員は「愛されるテレビ番組は人々の記憶に長く残る」と語り、不動産OBの男性も「私たちの作る建物は地図に残る」と語っていました。

また、新しくモノを生み出した後にお金を稼ぎ出すためのビジネスモデルに関しては商社と類似しているとも言えます。商社では、一度権利を手に入れた商品が世の中で売れるとその内の数パーセントを利益として獲得できます。不動産ディベロッパーにおいても、一度建物が建ってしまうと、そこの人気さえ獲得できれば賃料で収入を得ることができます。

最後に

一見全く違う職種で、扱う仕事や取引相手も異なるので見落としがちですが、業務内容をマクロ的な視点で考察してみると意外にも類似している業界は数多くあります。

とはいえ、「その志望動機だと、~業界はだめなの?」という企業側の質問に答えるためにも志望業界毎の志望理由の差別化もしなければならないので、ミクロ的な視点での業界研究が必要な場面も出てくるかもしれません。

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「NTT、辞めました。」ー退職ブームに沸くNTTを中の人が考察してみたー 「NTT、辞めました。」ー退職ブームに沸くNTTを中の人が考察してみたー Webメディア上の記事・コンテンツは"エントリー"と言われ、中でも退職に関して述べたものを、"退職エントリー"と呼びます。日本を代表するような大企業から新興ベンチャー企業まで、様々な企業の退職者が自身の経験を発信していますが、中でも最近ブームと言っていい程退職エントリーが量産されているのが、ズバリ"NTTグループ"になります。参考:6年勤めたNTTを退職しました元々NTT関連の退職エントリーはいくつもあったのですが、上記のエントリーがバズって以来、NTTグループの退職エントリーが世間の注目を集めています。私自身も現在NTTグループの一角の大手企業に勤めており、こういった退職エントリーブームを中の人視点からしていろいろと思うことがあります(筆者は退職しているわけではなく現在も中の人です)。本記事では、そんなNTTの退職エントリーを紹介しながら、「NTT退職エントリーブームが示唆すること」について考察していきます。NTTに限らず、「安定した日系大企業」に共通する大手で働くメリット/デメリットが浮き彫りになりました。NTTに興味がある人もない人も、ぜひご覧ください。まず、"NTT"とは何か"NTT"という言葉自体をご存知ない方はいないと思います。「電話線を引いている会社?」「ドコモのこと?」「フレッツ光の会社?」世間一般では主にC向けの代表商品に紐づいたイメージが先行していると思われますが、NTTグループ自体は2017年度現在で連結子会社922社を要する日本最大級のグループ企業となっています。詳細については以下の二記事で異なった視点から述べていますので、こちらを参考にしていただければと思います。参考:内定者経験|NTT志望者がグループ他社の社員にもOB訪問をすべき理由NTT対策の総まとめ。ーインターン攻略から内定まで主要10社を完全網羅ー一般に、"NTT"と言われるとNTT東西・NTTドコモを始めとした個別企業を差すことも多いのですが、厳密にはNTTグループの純粋持ち株会社である日本電信電話のことをNTTと言います。(日本電信電話は純粋持ち株会社として設立されていますが、実際には自社で研究活動等を行い収益をあげているという点では事業持株会社の側面を持ちます。)最近ブームとなっているNTT退職エントリーの多くは、「〇年勤めたNTTを辞めました」といったように、「NTTグループうちのどの企業について書かれているか」については書かれていません。本来のNTTである日本電信電話の場合もあれば、孫会社と言われるような企業の退職エントリーである場合もあります。(ちなみに中で勤めていると、退職エントリーで書かれている内容がどの企業について書かれているものなのか何となくわかったりもします)「なぜ、辞めないのか」ーNTTで働くメリットー退職エントリーではもちろん「退職した理由」について書かれているわけですが、基本的には前職についての悪口だけをつらつらと述べるものではありません。「〇〇という良い点も確かにあったけど、最終的にデメリットの方が多いと考えて退職しました」という形で、自分の所属組織について良かった点/悪かった点を両軸で述べている印象があります。ここでは、退職理由の前にNTTで働くメリットについて、過去の退職エントリーや私自身の就業経験に基づいて紹介します。メリット1:いい人が多く、クビにならない総じてすげーいい人が多いです。コミュ力重視の採用を長年続けていることもあり、日本語が適切に通じて、かつ人もいい人が多い気がします。良く言えば草食男子、悪く言えばキレが無い、ガツガツしていないという感じでしょうか。私が新卒の時は、ザ・パワハラ上司みたいな人たちもたまに見ましたが、今では絶滅種でほとんど良い人しか見当たりません。出典:【退職エントリ】10年以上勤めたが、いまさらNTTを辞めました。「一緒に働く人」を志望動機の一つとして語る就活生はそれなりにいますが、NTTのグループの退職エントリーでも"人"については魅力として語っているものは多かった印象があります。総じて穏やかな人が多く、理不尽な要求やそれこそパワハラといったものはほぼ無い傾向が各種エントリーから読み取ることができます(もちろん現場によりけりで、「絶対にありえない」とは言い切れないわけですが)。また、元々NTT一社時代から分社化して現在に至るNTTグループでは、高年層を中心に様々な経歴を持った社員が存在します。そのため、得意分野やスキルの異なる社員がよくわからない人員配置をされている気も個人的にはしています。・僕の成績は最低だったが、なぜかクビにならない。国家資格や社内資格に無理やり挑戦させられるも連戦連敗。パートのご婦人の方々に罵倒され、息も絶え絶えに徒然を過ごすなか、無駄に歳を積み重ねる。出典:10年勤めたNTTを退職しました(無能編)こちらの方が生々しく語っている通り、NTTグループでは非常に解雇規制が強く、会社を辞めさせられるという事態はまず起こり得ません。特に成果を上げなくても、会社にいるだけでそれなりに役職が上がったりもします。企業に所属してその対価として得る給与を生活の糧としている人がまだまだ大多数である現代社会において、雇用の安定性が確保されていることはメリットの一つとして挙げていいことだと考えます。メリット2:「ホワイト企業」の代名詞就職活動の場で"NTT"と言われると、ホワイト企業のイメージをまず真っ先に抱く方も多いと思います。『「裁量が大きい」「風通しのいい」会社とは何か?就活界の5つのマジックワードを徹底解説』でも述べた通り、「ホワイト企業」という言葉の定義は個人の価値観によって異なりますが、ここでは便宜上残業が少ない・休暇日数が多いという労働時間に紐づく一般的な定義を扱います。そのためどちらかというと、ホワイトというよりは徹底した労務管理と法令順守意識と言った方が適切かもしれません。・生産性を犠牲にしてでも守る。サービス残業なんてやると逆に上司に鬼のように怒られる。・有給消化率は部署にもよるがほぼ100%。・退職後は非常に手厚い保証。嘱託社員のおじいちゃんによく自慢された。出典:7年勤めたNTT系列を退職して2年半が経過しました(ノンキャリア編)NTTグループがホワイト企業とイメージされる要因の一つが労働組合の強さにあります。若者の過労死や働き方改革などでこの手の話は近年注目を集めるトピックの一つにはなりますが、NTTグループの多くではサービス残業や不当な長時間労働なんてのはもってのほか。法令に違反するような労務管理をしたら最後、組合からお叱りや説明の場を設けられることになります。勤務時間については、PCの使用時間・オフィスの入退出時間・入居ビルの入退出時間までが管理され、どう頑張ってもサービス残業が出来ないような体制が整っているグループ企業も存在しています。また、よくある話で私自身も実感しているところとして、毎年有給休暇の期限切れ直前となる9月には休暇を取得する人が続出し、夏季休暇も相まって人手不足で仕事がなかなか進まないということが往々にして発生します。仕事を進めることよりも、有給休暇を使い切ることを優先する。それが、NTTグループなのです。メリット3:世間で言う安定性は抜群(と思われる)「ホワイト企業」と並んで就活生が話題に挙げる話として、その企業の安定性、すなわち潰れにくいかを気にするケースは多い印象です。元々は三公社の一つの国策企業として発足したNTT。長年日本の通信インフラを支えてきた組織として安定性をイメージする方は多いと思われます。NTTの全体像をちゃんと把握している人はおそらく(私を含めて)少ない数しかいないはずです。とてつもなく大きい企業グループで、本当にいろいろなことをやって日本を下支えしています。国や公共団体の情報通信分野において利用や政策をリードしているのは間違いなくNTTで、私はNTTが終わるようなら日本も終わると思っています。出典:次々出てくる退職エントリー、それでもNTTはすごいよこちらの退職エントリーが指摘する通り、端的に言って今でもNTTグループが日本の通信インフラを支えていることは事実でしょう。MVNOや海外の有名IT企業等が参入する現在においても、結局はNTTのプラットフォームが用いられて多くの事業は行われており、NTTグループが丸ごと潰れるといったことはまず考えられないと言っていいでしょう。もちろん、「10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった」でも指摘した通り、今や「~~社に入っておけば絶対将来も安泰」といった絶対的な安定というものは存在しません。とは言え、大企業やこういった社会基盤を支える企業がそうでない企業と比較して相対的に安定していることも事実であり、「NTTが安定している企業か」と言われればYesと回答せざるを得ない面も少なからずあると思っています。あれだけ株価が下がり世間的なイメージも悪くした東京電力が、潰れるどころかむしろ数年後にあっさりと過去最高益を記録した話は記憶に新しいことかと思います。「なぜ、辞めるのか」ーNTTで働くデメリットーこのように、NTTで働くうえでは様々なメリットがある一方で、当然これだけの退職エントリーが出ている分デメリットも存在します。デメリット1:効率性・スピード感の欠如NTTの社内システムは非常に使いづらい印象を受けます。末端までセキュリティ施策を推し進めるのは結構ですが、全体最適化のために推し進められた施策が個々の部署の生産性を大きく押し下げているケースが多々あります。参考:10年勤めたNTTを退職しました(無能編)こちらについては以前unstyle内の記事「NTT東日本のイメージが変わる?OB訪問でわかった実態」でも少し触れましたが、NTTグループ全体の傾向として、リスクに対する慎重な姿勢や非効率な業務運営がなされているケースは多いという指摘が広くなされています。意思決定の遅さというのも、「スピード感に欠ける」という指摘を受ける一要素でしょう。やはり日本の通信インフラを支えている企業らしく、セキュリティーには敏感な性格は強いと言えます。コーディング規約や社内で閲覧できるWebサイトに大幅な制約があるなど、業務を進めるにあたってあらゆる制約がかかっており、結果的に効率性を欠いている面があります。その例として上記のような社内システムの使い勝手の悪さは個人的にも実感しています。情報通信分野のリーディングカンパニーである割には、会議室の予約システムや勤怠管理システムなど、効率的とは言えない面が随所に見受けられます。デメリット2:給与には満足していない社員も一定数いる就職活動におけるNTTグループの代名詞として挙げられるのが、「まったり高給」という言葉。しかし、「NTTコミュニケーションズの社員が伝えたい6つの真実」でも触れた通り、「まったり高給」とは「まったりの割には給料がそれなりに貰える」という意味合いの方が近く、いわゆる「高給取り」と呼ぶには物足りないと感じる人は多いようです。入社7年目のサラリーマンの給料(ボーナスや家賃補助など全部込み)として、僕の年収653万円という数字は先に書いたように年代平均よりは良いしこの数字を貶すのは気が引ける。その一方でここからモリモリ上がるかというと管理職昇格という狭き門を通り抜けない限り良くて800万円になるかどうかというラインを生涯さまよい続ける事になる。出典:6年勤めたNTTを退職しました四十の管理職で650万らしい。ゆ、夢がない。出典:7年勤めたNTT系列を退職して2年半が経過しました(ノンキャリア編)また、役職についても各社上詰まり感が否めない傾向はあるようで、年齢を重ねれば半自動的に課長ぐらいまでは到達できるという時代でも無くなってきているようです。現に、定年が近づいていても、いつまで経っても平社員でいる人はそれなりに見受けられます(そういった人たちが特段スキルが低いようには内部で働いていて感じないのですが...)。その昇進も、いわゆる社内政治といった業務遂行とは直接関係のない分野や、社内システムの仕様といった他企業では通用できない狭い世界のスキルで決まっている面は少なからずある印象です。NTTグループは単純に給与として受け取れる絶対値が高いというよりは、扶養手当・住宅手当といった福利厚生に関する各種手当や、休暇の多さ・残業時間の少なさなど、総合的に加味したうえで待遇の良さが語られるべきだと思っています。一般的な生活をする分には十分な給与がある程度のゆとりをもって得られる一方、若くしてがっつり稼ぎたいという方には物足りない金額なのかもしれません。デメリット3:夢ある仕事?でも実際は...貴社がこれまでに築いたネットワーク技術や膨大な顧客基盤を活かして、今よりも人のつながりが強い社会を実現したい。私の強みである【組織の足りない部分に気づく力とそれを埋めるための行動力】を活かして、隠れたニーズを顧客から引出し、多くの社内外のスペシャリストを巻き込みながら、社会に変革を与える事業に取り組みたいと考える。また多くの分野の仕事に関わるなかで、ゼネラリストを超えたスペシャリストを目指したい。参考:【内定】NTT東日本エントリーシート(総合職)NTTグループの主要事業である情報通信の分野における志望動機のよくある例として、「社会をよりよくする」というビジョンを書くケースは非常に多い印象です。「NTT東日本の新卒採用HP」にも書かれた「つながる」というキーワードから想起されるように、「○○と××を繋げて社会をよりよくしたい」といったものがその代表例です。情報化社会という言葉が誕生してからしばらく経ちますが、今や通信やITが無くては事業活動や我々の日常生活は成り立たないものとなっています。それだけ活用可能性が高い分野であれば、通信やITを用いてあらゆる分野で社会をより良くするというビジョンを掲げ、企業に入社してくるという方はそれなりに多いことでしょう。良くも悪くも、受託開発のSIerの血は根強いです。お客様に言われた仕様のシステムを確実に作って納品する。旧来型のビジネスモデルをアイデンティティにしているため、今現在も全てはお客様ありきです。つまりは、会社は私たちに、プロフェッショナル御用聞きに徹することを望んでいるのです。当社に入社した社員のほとんどは、ITを使って社会に新しい価値を提供したい、社会を変えたいというモチベーションで入社したことでしょう。しかし、全てとは言いませんが、当社の大部分の仕事は、目の前の顧客だけをみた近視眼的な仕事がほとんどです。出典:【退職エントリ】10年以上勤めたが、いまさらNTTを辞めました。しかし、現実問題として、NTTグループの事業のメインは、技術力を活かして社会に新たな価値をもたらすことではなく、お客に要求された仕様通りにシステムを作り上げることだったりもします。もちろん全社方針として海外展開や新規事業へ手を出すといった話を時おり耳にすることはありますが、この方が指摘するように、まだまだ国内の受託開発のSIerとしての性格は根強い印象です。あれだけ海外展開のイメージが強いNTTデータでさえ、国内の売上高が過半数を占めているというのが現状です。インターンシップでよくあるような、「新規事業立案」みたいなものに携われるケースはほんの一握りでしょう。「通信・ITの力で社会をよりよくする」という気概を持って入社する一方、実際に入ってみると「要求された仕様条件を満たす」ことに必死で、ほとんどの社員が自らの仕事の社会的意義のようなものには目を向けず目先の業務に注力しているというのが現実ではないでしょうか。私自身は元々そういったビジョンがあって入社したわけではありませんが、それでもやはり今の仕事をすることで誰が喜ぶのか・社会の発展にどう寄与しているのかといった実感は正直得られないまま日々を過ごしているのは否めない気もしています。こういったミスマッチが、退職者を生み出す一つの要因となっていることが想定されます。優秀な人が日系大企業を抜けているのは、何もNTTに限った話ではないこれまでの内容から、「安定した日系大企業」の典型例とも言えるNTTグループにも、実際に働くとなると様々なメリット/デメリットがあることは認識していただけたかと思います。しかし、NTT退職エントリーブームである現在では、あたかもNTTグループだけで人材流出が加速しているかのように思われるかもしれませんが、このことは日本社会全体にある程度共通している傾向だと考えています。参考:「総合商社、辞めました。」76人の商社マンの転職キャリアを追うこの記事のように、現在新卒就活の最人気業界と言ってもいい総合商社でさえ、優秀な若手の離職率増加に危機感を覚えているということです。先ほど「解雇規制が強く、会社に所属しているだけでそれなりに役職が上がったりする→相対的に雇用が安定していて良い」といった話をしましたが、裏を返せばこれは優秀な若手にとって画一化された報酬・雇用体系による大きな機会損失となる可能性を含んでいると考えることもできるでしょう。新卒一括採用・終身雇用といった日本型雇用慣行が徐々に薄れていく現代において、優秀な若手社員にも雇用の流動化の波が少しずつ押し寄せてきているように感じます。ある意味日系企業の縮図とも言えるNTTグループでそれが顕在化するというのも不思議な話ではなく、今回はたまたまNTTグループで退職エントリーとして連続したからブームのように語られているだけだと考えています。意思決定の遅さ・非効率性・解雇規制といった先述した話の多くは多くの日系大企業にも当てはまるものでしょう。NTTを特に志望していない方でも、現代のキャリア論のある種一つの象徴として今回の一件を捉えていただければと思います。退職エントリーを読む際に注意すべきことさて、今回のような退職エントリーブームとなると、何だかNTTグループ(もしくはそれに代表されるような大企業全般)は辞めることこそが正義であり、残る側の人間=能力が無く企業にしがみつくことしかできない人のような見方をする方も中にはいるかもしれません。しかし、特に就活生の皆さんにとっては、このような考え方については注意が必要です。注意点1:退職しない人は退職エントリーは書かない至極当たり前ですが、案外見落としがちな観点だと思います。退職せずに企業に残る人は、退職エントリーに限らずわざわざ自身のキャリアについてWeb上であれこれ語る割合がぐんと下がります。世界史の分野でも「歴史上のほとんどは成功者の体験により出来ている」といった指摘がありますが、Web上の世界では「大企業を辞めた人」の方が自身のキャリアについて語る割合は高いと言えます。「ひとまず大企業に就職して長期間勤め上げる」というキャリアがまだまだ一般的なモデルケースとしてみなされている現在では、"普通ではない"(と多くの人に思われている)キャリアを歩む人の声が多く発信されるのは自然なことだと考えています。また、実際にNTTグループ・大企業を退職した人の中でも、退職したことに後悔している人が退職エントリーを書くケースは稀だと考えられます。就活生の皆さんには、退職エントリーには生存者バイアスだけでなく、"退職者バイアス"のようなものがかかっていることをくれぐれも忘れないでいただきたいと思います。もちろん、この方のように「残った側の人間」が情報発信をするケースはゼロではないのですが...。参考:5年強勤めたNTTを退職する気はありません(無能編)注意点2:そもそも、NTTグループ各企業を"NTT"と一括りにして考えることが間違っている巷で出回るNTTグループの退職エントリーですが、そのほとんどは辞めた先を"NTT"と表記するだけで、NTTグループのどの企業を辞めたか明記されていないケースは多い印象です。もちろん、NTT本体(=日本電信電話)について述べた退職エントリーもありますし、中の人からすればどの企業について言っているかほぼ特定できるものも存在します。しかし一方で、先述したメリット/デメリットはNTTグループの全体的な傾向ではあるでしょうが、結局は各個別企業ごとに、更にはその中の部署ごとによって実態は異なります。私自身、先述したメリット/デメリットは6つ全て基本的に共感できる内容ですが、隣の部署の同期は連日残業続き・向かいの部署の同期は短い期間で案件を回すスピード感のある(ありそうな)事業に従事といったように、結局は行き先次第で待遇や仕事内容は大きく異なります。そのため、900社超の企業を含むNTTグループを一括りにして「NTTの退職ブーム」とされるのは個人的には若干の疑問が残ります。注意点3:「大企業に勤める=スキルが身につかない=自身の市場価値が下がる」とは思って欲しくない先ほど「他企業では通用できない狭い世界のスキルが評価される」と述べたように、NTTグループの企業に勤めていると社内でしか通用しない知識で評価されるケースも多く、その後のキャリアの選択肢を広げるには適切とは言えない環境に遭遇する確率が高いのは事実だと思っています。こういった話をすると、「スキルが身につかないような上から降ってくる仕事をただただこなすだけだから大企業はダメなんだ。やっぱり今の時代ベンチャーに就職すべき。」といった論調を時おり耳にしますが、就活生の皆さんは本件については慎重に考えるべきです。「大企業」や「ベンチャー」をそれぞれ一括りに語るべきではないというのは前提に、ではベンチャーだったら本当にスキルが身につく可能性が高いと言えるのでしょうか。例えば企業体力がないベンチャー企業では単純に一人当たりがこなすべき業務量が多く、目先の業務を終わらせることに集中してしまう一方、稼働に余裕がある大企業の方が手厚い研修や業務外の時間を活用したスキルアップの機会が多いという考え方もできるでしょう。また、大企業の場合は最悪身動きが取れなくなっても「居続ける」という選択肢が取れる可能性が高いことは現実問題として優位性の一つでしょう。特にNTTグループの場合はジョブチャレンジというグループ他社への転職という機会も設けられています。もちろん、転職市場では「年齢」というのも一つの重要な評価指標になりますので、数十年同じ企業に勤めた後でのキャリアチェンジは困難であることが多いのは事実です。一方で、伊藤忠商事を退職し起業という典型的な大企業を「辞めた側」の人間であるunistyle創業者の樋口も、新卒では大企業に就職したことが結果的に自身の市場価値を高めた一要素となったことを指摘しています。転職活動では日系大企業もいくつか受けて、起業して売却までたどり着いた経験ももちろん評価されたんだけど、同様に新卒で伊藤忠という大企業で3年半過ごしたことも評価されてるように感じた。大企業の組織、仕事の進め方に対するある程度の理解を求めているんだろうと思う。—KotaroHiguchi(@happytarou0228)2018年6月28日最後に:NTT退職エントリーブームが就活生に示唆しているものは何か長々と書いてきましたが、結局この記事で言いたいことは「NTT退職エントリーがブームだよ」といった事実報告や、大企業を退職することを肯定/否定する話ではありません。(今回のNTT退職エントリーのような)一過性のブームに踊らされず、自身が描きたいと考えるキャリアに真摯に向き合い、それに伴う就職活動をしていくべき。「自分のモノサシでキャリアを考えろ」という話は直近の記事で何度もしており、「またか」と思った方もいらっしゃるでしょうが、それだけ繰り返すほど今の時代では大切なことです。新卒の学生は大人が思っている以上に株価や直近の業績に敏感です。もちろん株価や業績が、説明会開催などの採用にかける費用に影響するためという考え方も出来ますが、世の中の「空気感」といったものを感じ取っているように思います。トヨタがリコールの対象になるといった話がでると反射的に人気ランキングが低下するといったことが起きています。世の中の空気に敏感というと聞こえはいいのですが、自分自身の企業選びやキャリアに対する考え方がしっかりしていないために世の中の流れに翻弄されてしまっているとも言えます。参考:10年前は東電・シャープに入社した人は勝ち組だった東京電力やシャープといった大企業でも大きく業績を下げた時期がありました。就活生の最人気業界である総合商社でさえ、「商社の冬の時代」と呼ばれる時期を乗り越え現在の地位まで上り詰めました。いつかは、NTTグループにもこういった苦しい時代が訪れるのかもしれません。人生一度しか使うことができない"新卒カード"。『あなたは』それをどのように使い、どのようなキャリアを歩んでいく将来を描きますか。関連記事: 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