【銀行業界の特徴・求める素養を踏まえた学生時代頑張ったことの作り方】内定者の回答5選付
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最終更新日:2024年11月15日
3大メガバンクをはじめとした銀行業界は、高学歴の学生を中心に毎年多くの学生が応募する人気業界です。2018年3月の3大メガバンクの新卒採用社数3割減の報告を受け、2019卒では大幅に人気を落としましたが、それでも併願する学生は多いように感じます。
そんな銀行業界ですが、各社のES(エントリーシート)でほぼ確実に学生時代頑張ったこと、所謂ガクチカが問われています。
ガクチカはES選考のみならずその後の面接選考における深掘りのインデックスとして非常に重要な項目である一方、「学生時代に大した経験をしていない」「どのように評価されているかわからない」とガクチカ作成に悩んでいる就活生も多いのが現状です。
そのため本記事では、ガクチカの基本的な書き方を押さえつつ、「銀行業界の求める人材」を明らかにしながら、銀行業界で評価されるガクチカの書き方について徹底解説していきます。
記事最後に、先輩内定者の回答例とそのフィードバックも掲載していますので、是非参考にしてみて下さい。
基本的な学生時代頑張ったことの書き方
まず初めに、unistyle上の記事のガクチカの書き方とは-6ステップで書けるESテンプレを基に解説-を元に基本的なガクチカの書き方についてここで解説していきます。
学生側にとって不透明なガクチカの評価基準は①実績自体のインパクト②書いてある内容から思考力・考えの深さ・人柄を示すことができているか(伝え方)③企業で活かせる学びを得ているかの3点あると考えられます。
やはり実績自体のインパクトも評価基準に含まれ、これといった実績がない学生は戸惑うかと思いますが、②と③の内容次第で内定するガクチカを書くことは可能です。いまさら変えることのできない①をあれこれ悩むよりも②③の内容のブラッシュアップを試みた方が効果的でしょう。
そのため以下から、②③の項目で評価されるためのポイントについて解説します。
【1】フレームワークを用いて伝わりやすい論理的な内容にする
志望動機や自己PRにも論理的に伝える手段としてフレームワークがあったように、ガクチカにおいてもフレームワークがあり、それを用いることで、考えの深さや人柄が面接官に伝わりやすくなります。
結論:何に取り組んだのか?
↓
動機:なぜ取り組んだのか?
↓
目標と困難:どんな目標を掲げ、その際の困難はなんだったのか?
↓
取組みと結果:どのように取り組んだのか?取り組みの結果はどうだったのか?
↓
人柄:活動の中であなたのどのような人柄が活かされたのか?
↓
学び:取り組みを通じて何を学んだのか?またそれを企業でどのように活かすのか?
特にフレームワークの中の②動機⑤人柄⑥学びの部分について深掘りできておらず、より良い実績を持っているのに伝わり辛くなっているケースが非常に多いです。
裏返せばこの部分をしっかりと伝えることで平凡な経験でも他の就活生と差別化をする事が可能ということができますので、是非意識してみてください。
【2】企業の求める素養を知り、経験からの学びとマッチさせる
企業は必ずしもその経験の実績ばかりを重視するのではなく、その学生が入社後に活躍できるかどうかのポテンシャル(伸びしろ)をみています。そのため、その経験から次に活かせる学びを得ていることを示す事が非常に重要になってきます。
また、企業には企業ごとに求める素養があり、その素養と学びをマッチさせる事ができればさらに良いでしょう。直接的に同じ表現を使う必要はありませんが、求める素養を経験から得ていることが伝わるような表現であれば良いと思われます。
ここまで述べてきたガクチカ作成の方法論については以下の記事で徹底解説していますのでもっと詳しく知りたい方は以下記事を参考にしてみてください。
→ガクチカの作成方法の完全版の記事です。内定者ESやそのフィードバックも掲載しています。
それでは、銀行業界において評価されるガクチカを書くために銀行業界において求められる素養について次から明らかにしていきたいと思います。
銀行業界で求められる素養とは
銀行業界は3大メガバンク含む都市銀行・信託銀行・地方銀行などが存在する約22兆円、15万人が働く大規模な業界です。
間接金融と言われる銀行業界の収益源は以下のの3点で成り立っていると言われています。
- お金の貸付・返済のときに生じる「金利」
- 金融商品(投資信託など)の売買やATMの使用料などを含む「手数料」
- 円と外国通貨をトレードした際に手に入る「為替差益」
銀行員は個人・法人・海外の顧客に対し、融資や金融商品の販売などを営業を通じて行なっていますが、単なる営業ではなく、顧客の潜在的なニーズや課題を発見し、それに見合ったソリューションとなる金融商品を提案し、実際に実行して成果を出すまでやりきるというコンサルティング営業を求められています。
また、金融商品は差別化が難しく、また購入してもらうには、「個」の銀行員の信頼関係構築力が重要になってきています。
加えて、2016年から続く日本銀行のマイナス金利によって①の利ざや収益が下落したことや、貸付業務の「審査」「送金」などがAIやブロックチェーンに代替されていることを考えると、銀行員には対面の営業である②の分野での素養がますます重要になっています。
そのため、ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?に照らし合わせると銀行業界で求められる素養は以下の2点に集約されると言えるでしょう。
1.個人として努力し、成果をあげることができる
2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる
さらに銀行業界は現行の利ざやに依存した収益構造の改革に取り組んでおり、FinTechの技術を積極的に取り入れ、新たな仕組みの収益構造を作ることを目指しています。
例えば、みずほ銀行では、2017年9月にAIを導入した個人格付け新サービス「J.Score」を導入しており、現在ではスコア取得者30万人、貸付残高は約100億円に上るほどの成長を果たしているそうです。
そのため、リーダーシップをとって新たな仕組み・サービスを提案できる人材が重要となってくるでしょう。
以上のことから現在の銀行業界では、3.新しい仕組みを構想し、実現するリーダーシップ力(新技術を用いて新たな仕組みを作れる人材)も新たに求められてくると考えられます。
銀行業界志望者の学生時代頑張ったことの作り方
それでは、以上のような銀行業界の求める素養が把握できたところで、実際に銀行業界において評価されるガクチカの作り方をフレームワークに落とし込んで解説してみたいと思います。
また、今回は各フレームごとに19卒内定者の回答を紹介していますのでそちらも是非参考にしてみてください。
自分が経験したことがない環境で主体的に行動を起こす力を磨き、将来的に世界を舞台に活躍する準備をしたいと考え、この活動に取り組みました。その中で最も苦労したことは、既に出来上がっているチームに馴染むことでした。入部当初、どんなに呼び込んでも私には全くパスが来ませんでした。チームの中で完全に孤立していました。入部当初、学校の方針で留学生の私には公式戦への出場権がありませんでしたが、「プレー以外の道でチームの目標に貢献したい」と考えた私は、2週間程チームと行動を共にしたことで、試合の際の荷物管理や活動資金集めを担う影からのサポート役の不足に気が付きました。そこで私は状況を改善すべく、サッカー以外でのコミュニケーションがサッカーそのものに活きると考え、部員24名を数回に分けて食事に誘い、まずはサッカー以外の部分でお互いを知る機会を設けました。同時に、練習では些細なことでもひとつひとつ言葉にして、私からチームメイトに伝えるように心がけました。その結果、チームメイトからのパスが格段に増え、コミュニケーションも密になり、最終的には私の背番号が永久欠番になるまでの信頼を獲得できました。以降半年間、そのサポート役を率先して担うのと同時に、万が一、出場出来ることになった時に備え、日々の練習ではプレー面での能力を示すことと部員一人一人の特性の把握を継続しました。その結果、私のチームへの貢献度とプレーのパフォーマンスを評価したチームメイト24人が学校を説得し、私の公式戦出場が認められ全米大会に出場することができました。この経験から、異なる立場や価値観の人たちとゼロから信頼関係を築く際には「能動的に動き回り、まずは相手を知ること」が重要だと学びました。
【1】結論:何に取り組んだのか?
取り組み内容は結論ファーストで話の冒頭に持ってくることで面接官に全体像をイメージさせやすくなります。面接官が「何についての話か」を頭の中でイメージできるように端的かつわかりやすく述べるようにしましょう。以上で紹介した銀行業界において求められる素養が学びとして現れているエピソードをここで選択しましょう。
以下の内定者は取り組みのみならず「永久欠番」という四字熟語を使い簡潔でわかりやすい表現で面接官の印象に残りやすい伝え方をしています。
留学先の大学で体育会サッカー部に所属し、西海岸大会及び全米大会に出場したこと。そして、私の着けていた背番号が永久欠番になったこと。
【2】動機:なぜ取り組んだのか?
多くの就活生が抜けがちになっている項目ですが、企業側にモチベーションの源泉は何であるのか?を示すためにも非常に重要であると考えられます。
この部分からその学生独自の価値観や人柄なども見ることができ、「うちの社風にマッチしているか」「一緒に働きたいと思えるか」がわかります。
特に銀行業界は従業員数が多いため、ES選考、1次面接では人事ではなく、若手の社員が面接官として担当することが多く、「一緒に後輩として働きたいかどうか」と思わせることは非常に効果があると言えるでしょう。
自分が経験したことがない環境で主体的に行動を起こす力を磨き、将来的に世界を舞台に活躍する準備をしたいと考え、この活動に取り組みました。
【3】目標と困難:どんな目標を掲げ、その際の困難はなんだったのか?
取組の際に何を目標にし、そこにどのような困難があったのかを述べる項目です。当然ながら目標や困難のレベルが高ければ高いほどインパクトは強く高評価になると考えられます。
なぜそれを目標に掲げたのか?なぜ困難に感じたのか?については、文字数の都合によりますが、これらを自分の言葉で説明できるようにしておけば、面接時の深掘りにも対応ができるでしょう。
その中で最も苦労したことは、既に出来上がっているチームに馴染むことでした。入部当初、どんなに呼び込んでも私には全くパスが来ませんでした。チームの中で完全に孤立していました。
入部当初、学校の方針で留学生の私には公式戦への出場権がありませんでしたが、「プレー以外の道でチームの目標に貢献したい」と考えた私は、2週間程チームと行動を共にしたことで、試合の際の荷物管理や活動資金集めを担う影からのサポート役の不足に気が付きました。
【4】取組みと結果:どのように取り組んだのか?取り組みの結果はどうだったのか?
ここでは、目標達成や困難を乗り越えるためにどのように取り組んだのか、という内容を記述する必要があります。結果に関しては必ずしも、成功や達成でなくても問題はありませんが、どのようなアプローチをとったか、そこからどのような学びを得たか?について次の項目に繋げる必要があるでしょう。
単なる経験描写のみではなく、「どのように現状分析をしたのか?→困難の根本原因は何か?→それに見合う最適な施策は何か?」という形で具体的に述べることで説得力を担保していくと良いでしょう。
特に銀行業界では、支店ごとにノルマという形で目標が課され、その達成のために困難を乗り越えていくことが新卒銀行員には必要となってくるため、取組に再現性を担保することは効果的と言えるでしょう。
→目標や困難に対する姿勢を見ることでその人がどんな人なのかが分かるため、採用担当者は「目標や困難に対してどのように取り組み、またどのような結果が得られましたか」という趣旨の質問を往々にして繰り出してきます。本記事では「どのように取り組んだのか」という質問における面接官の意図と、評価される回答例について詳しく説明しています。
そこで私は状況を改善すべく、サッカー以外でのコミュニケーションがサッカーそのものに活きると考え、部員24名を数回に分けて食事に誘い、まずはサッカー以外の部分でお互いを知る機会を設けました。同時に、練習では些細なことでもひとつひとつ言葉にして、私からチームメイトに伝えるように心がけました。その結果、チームメイトからのパスが格段に増え、コミュニケーションも密になり、最終的には私の背番号が永久欠番になるまでの信頼を獲得できました。
以降半年間、そのサポート役を率先して担うのと同時に、万が一、出場出来ることになった時に備え、日々の練習ではプレー面での能力を示すことと部員一人一人の特性の把握を継続しました。その結果、私のチームへの貢献度とプレーのパフォーマンスを評価したチームメイト24人が学校を説得し、私の公式戦出場が認められ全米大会に出場することができました。
【5】人柄:活動の中であなたのどのような人柄が活かされたのか?
今回紹介しているESをはじめ、多くの就活生が触れていない内容である一方、言及しなくても内定レベルのガクチカを作成できているという事実から必要条件では内容に感じます。
ただ、面接官はその学生の人柄をガクチカから探ろうとしており、面接時での印象との整合性を取ろうとしています。慣れない面接で誤った印象を与えてしまうくらいなら、言葉で人柄を説明してしまう方が効果的でしょう。
ガクチカでこの部分が深掘られなくても、「周囲の人からの評価は?」など、自身の人柄について質問されることは容易に想定できるため、必ず自分の言葉で説明できるようにしておく必要があるでしょう。
【6】学び:取り組みを通じて何を学んだのか?またそれを企業でどのように活かすのか?
経験からの学びを述べていく必要がありますが、ここでは社会、とりわけ銀行業界において活かされる学びを述べることができると良いでしょう。
そのために、上記で紹介した銀行業界に求められる素養を参考にすると良いかと思います。以下の内定者の回答例は「異なる立場の人と信頼関係を気づくためには、能動的に動き相手を知る」という求められる素養②に近しいものをアピールしており、金融商品の営業などで活かされる素養だということができるのではないでしょうか。
この経験から、異なる立場や価値観の人たちとゼロから信頼関係を築く際には「能動的に動き回り、まずは相手を知ること」が重要だと学びました。
最後に
ここまで銀行業界において評価されるガクチカの書き方について紹介してきました。
ガクチカはほぼ全ての銀行のES設問で課される上に、早い段階の面接で必ず聞かれる内容となっていますので、フレームワークを使って各項目について自分で深掘りを進めていくことは大きな面接対策にもなるのではないでしょうか。
ガクチカに関しては「実績の大小」で評価が決定すると考える就活生が多いですが、求める素養を理解し、適切な伝え方をすれば十分内定できる回答を作ることができるということをunistyle上の内定者ESが証明しています。
この記事で銀行業界に対して理解を深め、内定の第一歩の一助となり得たなら幸いです。
最後に大手5行の内定者ESを掲載していますので、こちらもあわせてご確認ください。
【参考】三井住友銀行内定者のES
あなたの「自分ならでは」を教えてください。(チャレンジしたこと・価値観等)(100文字以内)
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【参考】三菱UFJ銀行内定者のES
①学生生活の中で力を入れて取り組んだ内容を記載してください。(20文字)
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【参考】みずほフィナンシャルグループ内定者のES
これまでにリーダーシップを発揮したエピソードを入力してください。(400文字以下)
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【参考】三井住友信託銀行内定者のES
大学時代に最も力を入れて取り組んだことについて教えてください。(選択式)→その内容について教えてください。(400文字)
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【参考】横浜銀行内定者のES
これまでであなたが困難に直面しながらも「成し遂げたこと」は何ですか?また、困難を乗り越えるために何をしましたか? 具体的なエピソードを400字以内で記述してください。
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