JFEスチールの志望動機対策|事業内容の理解なくしてES通過なし

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最終更新日:2023年09月19日

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JFEスチールは新日鐵住金・神戸製鋼所と共に国内3大鉄鋼メーカーの一角を担う企業です。売上高こそは業界1位である新日鐵住金がやや差をつけてリードする現状になっていますが、営業利益や自己資本比率においては同社に匹敵しており、JFEホールディングスの繋がりを活かした事業などにより業界優位性の確保を図っています。

就職市場の場においては、海外売上比率が高いことから総合商社等と併願して受ける印象があります。しかし、素材メーカー・高炉メーカーと業界分類のされ方が複数あることから、特に「内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク」で言う④業界比較をどう書くべきなのか迷っていしまいやすい企業であると考えます。

また、そもそも「鉄」という商材に興味が沸かない(応用のされ方がわからない)・業界内のリーディングカンパニーである新日鐵住金との違いがわからない(同業比較が難しい)など、フレームワークの各項目で内容に困ってしまうということもあるでしょう。普段我々が直接目にしないような商材を扱っている分、製品についての知識への愛着を述べるアプローつではなく、正しいビジネスモデルの理解が志望動機を考えるうえで重要になってくるのではないでしょうか。

今回はそんなJFEスチールの事業内容を確認したうえで、適切な志望動機の書き方について考えていきたいと思います。

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JFEスチールのビジネスモデル

当然ではありますが、JFEスチールが扱う核となる商材は鉄であり、それを生産・販売することが鉄鋼メーカーの事業になります。鉄鉱石・石炭・石灰石の3つが鉄を作るうえでの原料となり、それらを調達したうえで鋼材を生産することになります。

鋼材は直接消費者に渡るというわけではなく、他社メーカーを主な取引先として供給をしています。この調達から供給までの一連の流れを進めていく中では、以下にあるように事務系・技術系共に多くの部門の社員が携わっており、それぞれがうまく調整していくことで事業を円滑に進めていくことができます。また、素材メーカーは全般として取引先のメーカーがあるからこそビジネスが実現するため、自社が生産した鋼材が取引先のビジネスのどう役に立てることができるかを考え、こちらとも連携を保っていく必要があるでしょう。すなわち、立場の異なった社内・社外の関係者との協力が重要であるとまとめることができます。

また、海外売上率が高いということはもちろんですが、質の高い製品をグルーバルに発信できる鉄鋼メーカーでは日本の技術力の高さを世界に伝えることができる環境であると言えます。トヨタ自動車のような直接消費者に製品が行き渡る企業の方がそのイメージしやすいという場合もあるでしょうが、鉄鋼メーカーではBtoCメーカーと比べ自社製品が使われる幅が広がるため、幅広い影響力を与えることができると考えることもできるでしょう。また、素材の質を高めることは最終製品の質を高めることに繋がるため、直接的ではないにせよ消費者が手に取って使うことに対して貢献することができます。

参考:職種紹介

実際にJFEスチールが携わった事例を見ていきます。

このたび、JFEスチール株式会社(以下、「JFEスチール」)は、日本インシュレーション株式会社(以下、「日本インシュレーション」)の技術協力のもと、建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(以下、「冷間ロールコラム」)の「JFEコラムBCR」を使用した鋼管柱に限り、耐火被覆材料であるけい酸カルシウム板の厚みを40%以上低減させ、国土交通大臣より耐火構造の認定を取得しました。

 

(中略)


さらに、今回の認定取得に加え、建物の外周部にある鋼管柱など、外壁を耐火被覆の一部として活用する合成耐火構造についても、鉄骨造建築物で使用頻度の高い外壁材であるALC板(※5)を対象に、「JFEコラムBCR」と「Jタイカ」の組み合わせで、2時間耐火の認定取得を3月中に見込んでいます。

 

JFEスチールグループおよび日本インシュレーションでは、今後もお客様のニーズに応じた建材商品の開発に努めてまいります。

 

参考:建築構造用冷間ロール成形角形鋼管との組み合わせによるけい酸カルシウム板耐火被覆厚の低減と認定取得について

こちらはJFEスチールが日本インシュレーションと提携して、耐火性を維持したまま厚みを低減させた耐火被覆材料製品の開発に成功したという内容の事例です。

BtoBメーカーでは取引先のニーズを的確に満たすような商品を提供することが重要になりますが、自社が製造した製品の応用可能性が高いぶん、今回のような建築分野を持つ企業など、様々な企業と提携したうえでニーズの引き出しの幅を広げることができます。実際、引用の最後に「今後もお客様のニーズに応じた建材商品の開発に努めてまいります」という形で述べられています。

以上より、JFEスチールの志望動機を考えてみると

「価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい」
「日本のプレゼンスを高める仕事がしたい」
「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」

このような軸が適切であると導けるでしょう。

JFEスチールのES通過者の志望動機解説

こちらの項目では、実際にJFEスチールの書類選考に通過したESを見て解説を加えていきます。

大学で学んだ材料系の学問を活かし、スケールが大きく、生活になくてはならないモノを作る仕事がしたいと考えていました。その上でインターンシップや工場見学を経験して、「鉄」の社会的影響力の大きさ、素材としての無限の可能性に魅力を感じたことから貴社を志望しています。

 

参考:【内定】エントリーシート

こちらの内定者は「スケールが大きく、生活になくてはならないモノを作る仕事がしたい」という軸から志望動機を導いており、鉄という商材を扱う企業の志望動機としては適切であると言えます。

また、大学で学んだ自身の研究内容が鉄に直結する内容のため、実体験に基づいている志望動機であると言うことができます。面接の場では鉄鋼メーカーの中でもなぜJFEスチールか(特になぜ新日鐵住金ではないのか)、どのような研究をしてきたのかにまで言及する必要があるでしょう。

では続いて、もう1人の志望動機を見ていきましょう。

「技術によって世界における日本の存在感を高める」という私の夢の実現のためです。社会を広く支える鉄という素材の進歩は、直接最終製品の進歩に繋がると考えています。様々な製品において非常に高い技術力を誇る貴社の営業として事業に携わり、日本のモノづくりメーカーに最適な鉄を提案するだけでなく、貴社の製品自体を海外に向けて積極的に発信することで私の夢に近づくことができると確信し志望いたしました。

 

参考:エントリーシート(事務系総合職)

こちらは冒頭部分から「日本のプレゼンスを高める仕事がしたい」という軸で述べている志望動機であると読み取れます。「社会を広く支える」という記述から鉄という素材が扱われている領域の幅広さを示すことで、面接でも尋ねられる質問であろう「なぜ最終製品を扱うメーカーでないのか」という点も意識した回答にまとめられています。

「鉄という素材の進歩は、直接最終製品の進歩に繋がる」という点も先述の内容に合致していて妥当な理解であると言えます。

しかし、そもそもなぜ「日本のプレゼンスを高める」という夢を持っているかの理由が示されておらず、経験に基づく記述がないことから説得力に欠ける内容になってしまっており、うわべだけの志望動機ではないかと読み取られてしまうことが考えられる点は問題でしょう。

さらに1人の志望動機について見ていきましょう。

鉄鋼への興味から志望する。鉄鋼は社会の基盤を支えるモノであり、規模の大きい仕事に関われる可能性が高い。しかしその一方でエネルギーなどとは違い、自分の関わったモノが目に見えるというやりがいも感じることができると考える。私は営業職に就き、お客様のニーズに応えながら仕事をしたい。加えて新規の販路開拓、新しい鉄の開発などに関わり鉄の可能性を広げていきたい。

 

参考:エントリーシート

こちらの通過者が述べている「相手の要求に柔軟に対応することで社会に大きな影響を与えることができる」というのは、先述した取引先のメーカーを始めとした他社のニーズを的確に把握する必要がある鉄鋼メーカーでは重要な素質であり、「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」という軸から述べられている志望動機であると考えられるでしょう。

商材が直接消費者に伝わるわけではないという中で、エネルギーと比較しながら可視化できることについて触れることで、BtoBメーカーの働き方にもやりがいを感じることができることを示されています。しかしこちらのESも、その思いを持ったきっかけとなる経験について示されていない点は評価されないでしょう。

最後にもう1人の内容を見ていきたいと思います。

日本のモノづくりを支える鉄に携わる仕事をすることで、社会に広く貢献したいと考えたからです。製鉄所を見学した経験があるのですが、その際にスケールの大きさに圧倒されました。

 

そして、鉄鋼というモノづくりの原点から社会を支えられたら、やりがいがありそうだと感じ、応募するに至りました。従事してみたい業務は生産管理です。需給状況を見ながら臨機応変に対応していくことで、鉄の生産を支える仕事に、魅力を感じました。

参考:エントリーシート

こちらの通過者も既にあったように、「社会に与える影響力の広さ」「素材の段階からモノづくりに携わりたい」といった形で鉄鋼メーカーの志望動機として妥当な内容に仕上げています。そのきっかけとなった経験として製鉄所の見学を挙げており、一見問題ないように見えますが、「製鉄所を見学したから社会に広く貢献できる仕事がしたい」というのはやや論理が飛躍しており、この点では評価されにくい志望動機であると言えるでしょう。

また、「スケールの大きさに圧倒された」という記述がレベルの低い感想である点も問題であると考えます。

最後に

JFEスチールの志望動機を考えるうえでは「なぜメーカー」「なぜ素材メーカー」「なぜ鉄鋼メーカー」「なぜJFEスチール」かというように「そうでない選択肢ではダメな理由」を段階ごとに考えていく必要があります。

ESを見てみても、志望動機の評価項目について十分な点・不十分な点がそれぞれあり、実際に書いていくうえで参考になるものも多かったと思います。今回挙げた軸は他の企業でも当てはまるような内容ですので、常に経験とリンクさせることを忘れることなく、納得感のある志望動機を完成させるヒントにしていただければと思います。

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photo by Martin Thomas

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