JT(日本たばこ産業)の志望動機対策|事業内容の理解なくしてES通過なし
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最終更新日:2023年09月22日
JTは国内トップの市場シェア6割・海外シェア3位とたばこ事業において存在感を誇る企業になっています。就職市場では参加することで報酬が出ることで有名なインターンで認識したという方もいるかもしれません。
たばこと聞いて最近の話題といえば、同業他社であるフィリップ・モリスが開発した加熱式たばこ「iQOS」が挙げられるでしょう。「煙のないたばこ」として同社が開発した製品ではありますが、JTもそれに追随するような形で今年から参入することが最近発表されました。国内の販売本数が減少していく中で、従来の紙巻きたばこだけに頼ることなく、以下の投資家向け情報にもあるように医薬・加工食品といった多角化も進めているようです。時代のニーズに沿った変化に対応して事業の拡大を図っている企業と言うことができるでしょう。
喫煙者でないと直接基盤となる商材に携わることもなく、そもそもたばこ自体に悪いイメージを抱き志望に至らないというケースも多いと考えられる企業であるJT。その選考で書くべき志望動機について考えていきたいと思います。
JTのビジネスモデル
JTは業界分類では食品メーカーにカテゴライズされ、基本的にはたばこというモノを作って売るというメーカー一般にあるビジネスモデルとなっています。そのモノの対象が近年ではたばこだけでなく医薬品・加工食品と増やされているということになります。
まずは主力事業であるたばこ事業について、事例を一つ見ていきます。
カフェでありながら、ケーキやパスタなどの食事メニューが充実している「イタリアン・トマトカフェジュニア」。フランチャイズ展開を行うこのレストラン・カフェの1店舗に新しいスタイルの分煙が導入されました。今回、分煙が行われたのは池袋西口店。同店では当初、喫煙席と非喫煙席が固定化されていました。
しかし、“ビジネスマンの多い朝は喫煙率が高い一方、女性客の多いランチ・タイムは喫煙率が低下する”というように、時間帯で顧客の属性が変化していたため、店内を全面的にリニューアルし、“顧客ニーズや利用実態によって空間構成を変えられる分煙”を試験的に導入しました。今回のリニューアルを機に、店内のイメージも落ち着きのある居住空間を重視したトーンに一新。店舗の利用者からは、“煙が以前より気にならない”と好評を得ています。
参考:飲食店の事例
JTでは飲食店・オフィスなどを対象に最適な分煙のシステムを提供する「分煙コンサルティング」という取り組みを行っています。
当然ではありますが、喫煙者は飲食店等でも一服したいと考え、非喫煙者は受動喫煙の影響を受けることなく快適に過ごしたいと考えることが多く、両者の思いを同時に解決する手段として分煙が存在しています。こちらの事例では、時間帯により喫煙者と非喫煙者の来店割合が変化することに注目し、両席を時間によって割り当てを変更するという新たな仕組みを提案したようです。
医薬品・加工食品といった新規事業への進出・積極的な投資案件から変化に対応した新規事業への姿勢が伺われるJTではありますが、既存事業であるたばこ事業についてもこの姿勢を感じることができます。限られた座席を有効的に活用することで回転率を高めるという店側のニーズをこちらから把握していき、「仕切りを流動化する」というそれまでになかった解決策を提案し、実際の実行の部分にまでフォローしていくということになります。このことを「『軸』に基づく業界比較」に照らし合わせてJTの志望動機を考えていくと、
・新たに事業や仕組みを生みだす仕事がしたい
・相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい
という軸が当てはまると考えられます。
JTのES通過者の志望動機解説
ここでは、実際に通過者がどのような軸から志望動機を述べているか解説していきます。
設問:JTに入社して、あなたが挑戦したいことは何ですか?理由を付して、お答えください。 (200文字以内)
私は貴社の営業として、異なる要素の掛け合わせで「たばこ」に新たな価値を生み出していきたい。具体的には、「たばこ」×「無臭」を掛け合わせ「匂いのないたばこ」や「たばこ」×「安全」で「火のないたばこ」などを生み出していきたい。根拠として私の父は家族唯一の喫煙者であり、いつも家族から「臭いから外で吸って」などと言われ輪の外にいた事が挙げられる。そいった人は社会に多くおりこの問題を解決したいと思っている。
「志望動機を述べてください」と直接尋ねるわけではなく「挑戦したいこと」について問われている志望動機です。「内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク」では①成し遂げたいこと・⑤取り組みたい仕事あたりが問われていると考えられます。多角化や積極的な投資案件にチャレンジしているJTらしい設問と言え、学生にそういった姿勢があるかどうか知りたいという企業側の意図が感じられる設問ではないでしょうか。
こちらの通過者は「たばこに新たな価値を生み出すこと」をベースに述べており、「たばこからは煙が出る」「たばこは火をつけてから吸う」という当たり前を壊していくという気概が感じられ、新たなたばこのイメージや価値を提供したいという思いが伝わってくるESになっています。先述の軸では「新たに事業や仕組みを生みだす仕事がしたい」という形で述べていると考えられるでしょう。
しかし現在では、iQOSの登場により、ある程度この方が述べているたばこというものが実現しつつあることは留意しておく必要があるでしょう。iQOSで圧倒的なシェアを誇るフィリップ・モリスではなく、なぜあえて後発であるJTを志望しているのかは考えておくべき内容でしょう。
もう一人のESを見ていきます。
設問:JTに入社して、あなたが挑戦したいことは何ですか?理由を付して、お答えください。 (200文字以内)
私は、営業をして多くの人々のニーズにあったタバコを届けたいと考えている。なぜなら、私の周りには、自分に合ったタバコが無いと言う者がいる。このような意見を持った人々は、世の中に沢山居るはずである。また、非喫煙者の私は、苦味がなければタバコを吸いたいと思う事もある。このようにタバコには様々なニーズが存在する。その為、最前線でお客様の生の声を聞き、その情報を共有する事で新商品の拡大に貢献する事が目標だ。
先ほどと同じ尋ねられ方の設問であり、営業職を志望しているという点でも共通点がある内容です。
この方は「多くの人々のニーズにあったタバコを届けたい」という成し遂げたいことから志望動機を述べていますが、事例の項目で述べた喫煙者と非喫煙者の要求の隔たりを解消したいという思いが感じられます。
先述の軸では「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」というアプローチから、誰にでも身近に感じられるたばこを作りたいという思いを述べています。新商品の開発はJTの事業方針としても注力したいと考えていることが推測されますので、成し遂げたいことの内容が企業のビジネスモデルに合致しているという点で評価ができます。
最後に
たばこというと近年の社会の動きから斜陽産業なのではないかと考えてしまいがちではありますが、iQOSの登場や政府の規制対象の決定により今後の動きが大きく変わると考えられる注目の業界の一つと考えることもできるでしょう。非喫煙者は商材に興味がないからといって業界の幅を狭めてしまうことはもったいないですし、喫煙者は「たばこが好きだから」という内容では評価されないものだと考えた方がいいでしょう。
今回挙げた軸の他にも当てはまる基準はあると思いますので、自身の経験と結びつけながらどのような業界が当てはまるかについて考察してみてください。
photo by Martin Thomas