就活生が話しがちな志望動機「グローバルに働きたい」その理由や実情を考える

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最終更新日:2024年01月18日

就活生が話しがちな志望動機「グローバルに働きたい」その理由や実情を考える

本記事を通して、まず、就活生が面接で語りがちな「グローバル」などの抽象的な言葉が何故好ましくないのかを理解していただき、その上で皆さん自身が抽象的な言葉である「グローバル」に具体性を付け加えていっていただけたらと思います。

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就活生が陥りがちなグローバルに働きたい

・グローバル【global】
世界的な規模であるさま。国境を超えて、地球全体にかかわるさま。
出展:三省堂 大辞林

自分自身の海外生活経験や留学経験などから「グローバルに働きたい」という企業選びの軸を持つ学生は少なくありません。一方で、「グローバルに働く」ということについて、しっかりと定義まで考えている学生は少なく、何となくグローバルという言葉はかっこいいぐらいに使っているのではないかと思うことも多くあります。
参考:就活生が話しがちな志望動機「グローバルに働きたい」の3つの分類

こんにちは、20卒の内定者です。さて、最近24卒の皆さんのESの添削や相談を受けるようになりましたが、ある共通する疑問点が浮かぶようになりました。

「御社ならグローバルに働けると思い志望しました」「グローバルに働けるので〇〇業界を志望しています」

「主体性」「リーダーシップ」などの言葉と同じく「グローバル」という言葉は抽象度が非常に高い言葉です。「グローバル」という言葉を使うこと自体は悪いことではありませんが、「グローバル」を具体的な形にまで落とし込めている学生は非常に少ない印象です。

以前参加したとある企業の面接で次のようなやりとりがありました。

学生:「御社ではグローバルに活躍できる機会が若手からありますか?」
社員:「〇〇さんが考えるグローバルに働くとは何ですか?」
学生:「外国人の方と働くことです」
社員:「それはつまり…?」
学生:「英語を使えたらいいなと考えてます」
社員:「それなら毎日です(苦笑)」

この学生にとって「グローバル=英語を使うこと」だったようです。人によってグローバルの定義は異なると思うので彼女の考えが短絡的であるとは否定しませんが、それでも彼女とその後の選考や懇親会で会うことはありませんでした。

もっとも、「グローバルに働ける(英語を使いたい)から御社を志望します」では、企業側も納得はしないでしょう。彼女はガクチカでも語学の学習をしてきたこと、自分が英語を話せることをアピールし会社で役立てたいと語っていました。もし英語を使うことが本当に重要であるならば、語学学校などで英語の先生になるのがベターなのでは?と解釈しかねません。

彼女もまた極端な例であったと思いますが、「グローバルに働く」という言葉をどこかマジックワードのように考えている就活生は少なくありません。

マジックワードとは、
人をあたかも魔法のように思うように動かすことができるキーワード

主に意味が曖昧で、使う側の思想によって便利に扱うことが出来る言葉や幅広い意味を持つ呼称(特に蔑称)を指して呼ばれている。
参考:Hatena Keyword マジックワードとは

なお、自分が求める「グローバル」とは何なのかを言語化できない人や、自分の求めるグローバルな環境がある企業を知りたいという就活生には、就職エージェントneoの利用を検討してみるのも良いでしょう。

エージェントを利用することでアドバイザーから、就職活動において自分が求める「グローバル」とは何なのか、客観的にアドバイスがもらえる上、志向に合う企業を紹介してもらえる可能性もあります。

少しでも興味があるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。就職エージェントneo

就活で抽象的な言葉を使うということ

「主体的に取り組み…」「リーダーシップを発揮して周りを巻き込み…」「グローバルに働きたい…」「相手の立場に立って考える…」などの抽象的な言葉を就活生は好んで用いてる印象です。

テニスサークルの練習長として主体的に働きかけることで周りのメンバーを巻き込み校内戦まで導きました。この経験から主体的に働きかけることが私の強みであり、・・・
塾講師で、生徒の成績を向上させるために生徒目線に立つことを心がけました。結果、生徒の成績を向上させることができました。

よくあるESの解答例を元に作成してみました。一見、よく書けているとも考えられます。

ですが、「主体的に働きかけるって具体的には何をしたの?」「生徒目線に立つって具体的には何をしていたの?」といった疑問が残ります。もちろん、これらのESが選考を突破したとしても面接で上記のような質問がされるのは避けがたいでしょう。

こうした抽象的な言葉は一見説明できているように見えますが、実は何も説明できていないことと同義とも言えます。

ESを読んだり、面接をする社員のほとんどが学生に会ったことがない人たちです。そうした人たちにわかりやすく伝える為にも抽象的な言葉はなるべく避け、なるべく具体性を持ったESを書くことが好ましいでしょう。

海外勤務の形態

抽象的な言葉が就職活動では好ましくない点は理解いていただけたかと思います。ここからは本題である「グローバルに働く」に具体性を付け加えていきます。

3種類のグローバルに働く

一口にグローバルに働くといっても大きく3種類に分類できるとunistyleは考えています。その3種類は次のように分類されます。

海外出張

拠点を日本に置きながら、短期間の間海外の事業所で仕事をしたり、海外の顧客先に出向するケースが海外出張になります。

拠点を日本に置いている点が後述する海外駐在との大きな違いになります。海外駐在と異なり、短期間での仕事がメインのため、先週はアメリカ、来月はシンガポールと多国に行ける可能性も広がります。総合商社や各種メーカーでこのような働き方をしている社員が多いように思われます。

海外駐在がメイン

海外駐在の場合は拠点を海外の事業所に置くことになります。数年単位で海外に駐在し、親会社の現地法人で働くのが一般的なケースになります。一口に駐在と言っても、現地のチームをまとめる国際色豊かな場合もあれば、現地まで出向いて日本人と働くといったケースもあるようです。

日本で働くのではなく、海外に住みながら働くことになるのでいい意味でも悪い意味でもカルチャーギャップを経験することが多いようです。

チームのメンバーがグローバル

外資系企業の日本法人に多い特徴で、チームメンバーが多国籍であるという働き方があります。場合によっては日本人がチームの少数である場合もあるようで、チームの共通言語である英語をメインに使うことがあるようです。

例えば英語を社内公用語に設定している楽天では、そのチームでもっとも母国語にしている言語をチームの共通言語として用いています。

他にも、全世界のブレインが集まるMcKinsey & Companyでは英語について次のように言及しています。

採用の際に英語力が問われることはありませんので、留学や海外居住などの経験は必須ではありません。採用面接もすべて日本語で行います。但し、マッキンゼーでは、英語での高いビジネスコミュニケーション力を身に着けることが、今後ビジネスパーソンとしてキャリアを積んでいく上では欠かせないと考えております。例年、多くの新卒入社の社員の英会話力がまだビジネスレベルに達していない為、入社前個別英語レッスン、入社後の数ヵ月から半年程度の海外語学留学などの支援制度を提供しています。
参考:McKinsey & Company 採用情報

海外出張・駐在、多国籍なメンバーと仕事がしたいなら、どれを選択したとしても英語力は必要不可欠な様です。

自分はどの形態で働きたいのか

海外出張が多いのか、海外駐在が多いのか、海外に行くことは少ないが多国籍チームで日本で働く方がいいのか…etc、企業ごとにその形態も異なっています。

特に海外駐在となると、全ての業界・企業が行けるのかというとそうではなく、金融・総合商社・メーカーなど海外とビジネスをしている一部の業界に限られます。

日本を軸足にグローバルに働きたいのであるならば、海外出張・多国籍な人が集まる企業を志望するべきでしょうし、海外に完全に軸足を置きたいのならば海外駐在がメインの企業を受けてチャンスを増やすべきでしょう。

海外で働きたいから外資系・総合商社はどうなのか

ここまでで「グローバルに働く」ことへの入り口である、働き方の3形態への理解を深めていただけたと思います。ここでは、より具体的な例を提示しながらより「グローバルに働く」ことへのイメージを深めていただきたいと思います。

海外で働きたいから外資系・総合商社は合っているのか?

海外に行けるなら総合商社や外資系企業だとなんとなく考えてしまいがちですが、実際のところはどうでしょうか。次の図を参照してください(参考:東洋経済ONLINE)。

人数で見ると、トヨタ自動車・ソニー・デンソーなどのメーカーが多いことがわかります。ただ人数比の視点で見ると、総合商社4社での海外勤務の割合が20%を超えていて、5人に1人が海外勤務を経験していることがわかります。

割合に着目した場合、総合商社であれば海外勤務の機会は広がるといった考えは間違いではないと言えます。とはいえ、メーカーを志望する学生と総合商社を志望する学生ではそもそもの層が異なります。総合商社では、あらかじめ海外駐在を志望する数多くの社員達の中から選ばれなければいけないという観点を忘れてはいけません。

商社が海外勤務が多いことがわかりましたが、上位10社の中には外資系企業の名前は入っていませんでした。

外資系企業だと海外に行けないのか

総合商社や大手メーカーが海外勤務者の人数・比率が高いことには納得できる一方で、外資系企業も海外勤務者数が多いようにも思われます。それでも、先程の上位10社には外資系企業はランクインしていませんでした。このロジックを解くには、まず外資系企業とは何であるか、その根本を理解する必要があるでしょう。

外資系企業とは、外国法人又は外国人が一定程度以上の出資をする日本の企業をいう。
引用:Wikipedia外資系企業

もっと簡単に表現するのであるならば、外国企業が日本でビジネスをするために立てた(買収した)会社です。

より深く読み解くと、外資系企業は外国の企業が日本を含めたアジア圏でのビジネスチャンスを拡大するために設立されているとも言えます。

海外出張・赴任は企業にとっても費用の面で大きく負担がかかります。そのため、外資系企業は日本法人を設立することで現地の日本人を雇いコストを削減しているとも考えられます。可能性は0ではないと思われますが、海外展開を狙う日系企業と比較すると海外出張・赴任は少ないことは否めません。しかし外資系の場合、一部の優秀な人が本社に逆スカウトされる形で海外勤務になることもあるようです。

ここまでで、
・海外出張・赴任→総合商社・メーカー(が多い)
・外資系企業≠海外勤務のチャンスが増える

と情報をもとに確認することができました。間違えてはいけないのが、100%全ての企業がこのケースに当てはまるのではなく、平均値を取った場合にこのような結果になると予想ができると言えるということです。

就活生の考える海外と働く海外

もう1点就活生と話をしていて気になった点がありました。「海外勤務と聞いてどこで働いているイメージがある?」と聞くとNY、ロンドン、シンガポール…etcとどうも有名都市の名前が上がり、海外旅行と同じ感覚で捉えている様に思われました。

仕事(ビジネス)であって旅行(遊び)ではない

至極まっとうな話ですが、海外勤務・駐在は仕事の一環であって旅行ではありません。「何を当たり前のことを?」と疑問を持つかと思いますが、この前提を落として考えている人が多い印象です。

例えば総合商社の勤務地と聞いてイメージが湧くでしょうか。総合商社勤務50人をランダムにピックアップし、勤務地の割合を出しているデータがあったので紹介します(参考:世界の常識に宣戦布告)。

サンプル数が50人と少ないために信頼性が高いとは一概には言えませんが、上記の様な結果になっています。50%近くがアジア圏に赴任していることが伺えます。

ロンドン・NYといった所謂人気都市が属する北米・ヨーロッパは10%にも達しません

このロジックはとても単純で、先程の海外勤務者が多いメーカー系の場合、工場をアジアに持っています。海外駐在する場合、工場の生産管理や現地での原材料調達などに出ることが多いようです。総合商社も同様で、エネルギー事業や食品事業などの場合は、商品を扱っているタイやインドなどアジア圏中心の赴任になるようです。

Facebookで見かける商社マンやメーカーで海外駐在している社員の近況報告も、どちらかといえばキラキラ海外主要都市で働いている様子よりかは、海外の地方都市で泥臭く働いている様子を多く見かけます。

とはいえ主要都市で働きたい

金融街と聞いて頭に浮かぶのはNYのウォール・ストリート、ロンドンのシティなどでしょうか。就活生が憧れる海外勤務地はおおよそこれらの地域に当てはまるのではないでしょうか。

これら主要都市には各国の企業の支社が集まる傾向があります。そうした支社は外国での本社機能も果たしているため、集まる人材も優秀層が多いようです。そのため、若手から積極的に配属される機会はあまり多くないと思われます。

金融業界のトレーダーや投資部門に就職することができれば早い段階からそのような主要都市に配属される可能性はあるかもしれませんが、決して多くはないでしょう。

まず、配属リスクです。

メーカーの場合、全国各地に工場がある場合がほとんどです。そのほとんどが、都会から離れた田舎にあると思います。

仮に海外勤務になったとしても、田舎の可能性はあります。
参考:大手メーカーのリアル〜メーカーの抱える問題点いついて僕が思うこと〜

狙った海外都市で働きたいという就活軸をお持ちの方ならば、わざわざ日本企業を通さずとも海外の現地法人を受検することが一番確実で早い方法とも言えます。

で、なんで日本じゃだめなの?

次に大前提になりますが、グローバル、グローバルって言うけど「なぜ日本ではダメなのか?」といった部分にフォーカスします。

海外で新規ビジネスを創造していきたいです
海外の教育関連分野に携わりたいです。ミャンマーの教育格差をなくしていきたいです!

上記は一例ですが、このような志望動機をよく目にします。志高く素晴らしい志望動機ですが、ひねくれ者の私や一部の面接官は「それ海外でやる必要ある?」と疑問を持ってしまいます。

新規ビジネスをなぜ海外でする必要があるのか、日本でビジネスを作ってはいけないのか?日本にも教育格差の問題はある。それなのになぜ日本よりも先に海外の教育格差なのか?

実際に海外でインターン経験があったり、海外教育関係のNPO法人に務めた経験がある人であるならば、自身の具体的な経験から志望動機を語ることができています。何も経験がないまま、いきなり「ミャンマーのビジネスを推進したい!」と語っても面接官はびっくりするだけです。

ガンジー就活生とは「世界平和に貢献したい」「皆の笑顔が私の原動力」などなど、聞いてる面接官も思わずうわっとなってしまいそうな綺麗事を話してしまう就活生のことです。企業理念にも敏感で、企業理念の素晴らしさを面接で語ってしまったりします。

参考:就活になると急増する「ガンジー就活生」からの脱却が内定への第一歩

なぜ「グローバル」なのかに限らず志望動機を語るさいなどにも自身の経験に紐つけることで説得力を増すことができるでしょう。

手段と目的

最後に手段と目的の部分に着目します。手段と目的が入れ替わってしまうことは多々あります。

こちらは元日本代表の陸上選手の言葉です。早く走る(目的)為にフォームの改善(手段)や筋力アップ(手段)が必要なのであって、気がついたらフォームの改善、筋力アップなどの手段が目的になっている。これと同じようなことが日常生活では多々あります。

英語が話せるようになるためにTOEICの勉強をしているのであって、気がついたらTOEICのスコアを上げることが目的になっている。。。

痩せることが目的でダイエットしているのに、ダイエットすることが目的となっている。。。

医者になるために医学部に行くのであって、気がついたら医学部に行くことが目的になっている。。。

グローバルの例も同じで、仕事を通して成し遂げたいこと(目的)の為にグローバルに働く(手段)のであって、グローバルに働くために会社を選んでいるわけではないと思います。グローバルに働くことは手段であって、目的ではないことを見落とさないようにするべきでしょう。

理解はしていても、手段と目的が入れ替わった君の名は。のような状態に就活生は陥りがちなので注意が必要です。

さいごに

グローバルに働くということに対して具体的なイメージを持つことができたでしょうか。グローバルに働くと一口に言ってもその形態は大きく3つあり、更にどこで働くかによって無限通りの組み合わせがあります。

「グローバルに働きたい」と口を揃えて就活生は語ります。特に留学の経験のある学生や語学系学部の学生がこのように強く語っている印象を受けます。自分が考えるグローバルを明確にしていく必要があるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、グローバルに働くのは手段であって目的ではないことを念頭に置き、本記事が改めて自身のキャリアについて考えるきっかけになっていったら幸いです。

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書評:『新卒採用基準: 面接官はここを見ている』 書評:『新卒採用基準: 面接官はここを見ている』 今回紹介するこちらの書籍では、タイトルの通り、企業の新卒採用基準について解説しています。373ページというボリュームのある本であり、その分採用側の視点を詳細に知ることができます。本書の著者である廣瀬氏はリクルート→一部上場企業人事責任者→独立しリンクアンドモチベーションの講師として10,000名以上の社会人に教育研修を担当→就活コーチとして1,000人以上の学生の就活支援を行うというキャリアを歩んでおり、企業の採用活動と人材育成、就活生の就職活動支援の三方の経験を持っています。そんな著者が感じた「企業が求めるもの」と「学生が求められていると思っているもの」とのギャップについても触れており、多くの就活生にとって有用な情報だと感じました。『新卒採用基準』本書の内容本書では、企業が採用の際に注目する「5つの基準」についてそれぞれ説明しています。就活の早い時期はもちろん、志望企業の選定やES提出、テストや面接試験などのどのフェーズであっても有益な情報が書かれているものと思います。筆者が挙げる「5つの基準」は下記となります。①人間性本書では評価される人間性を「自己肯定感が高く、他者軽視感の低い【自尊型】の人材」として語っています。企業が求める人材の代表的なものとしてunistyleで挙げている「リーダーシップのある人材」は、筆者の言う自尊型の人材と近いものと思います。また、一言にリーダーと言っても、先頭に立って高いカリスマ性でチームを引っ張るタイプのリーダーもいれば、各メンバーを十分にケアし信頼を得ていくタイプのリーダーもいます。大きな方向性としては自尊型の人間性を持った上で、その中でもそれぞれの人柄・キャラクターが垣間見えた時に面接官は共感を覚えてくれるのかもしれません。参考:「リーダーシップ」を挙げた自己PRパターン②仕事力新卒採用は基本的には長期雇用が前提であり、1人採用すれば未来に渡って数億円の金額を支払うことになります。そのため、企業が欲しいのはその数億円に見合うだけの「自社に利益をもたらせる人材=仕事ができる人材」だと言えます。本書の中でも、仕事の目的や目標について詳しく語られています。学生時代の経験から「仕事ができそう」だと思われるには、仕事においても活かせる学び・方法論を採用側に伝えることが重要です。「頑張ったから結果が出ました」ではなく、「結果を出す上ではメンバーの士気を高めることが重要→士気を高める上で大切なことは◯◯」といった方法論まで語れると評価されると言えます。参考:あなたの自己PRが嘘っぽく見えないために「方法論」は語るべき③表現力筆者は、いわゆるコミュニケーション能力に加えて、声や姿勢、表情などの要素を含めて「表現力」と定義しています。相手の自分に対する印象をコントロールする力とも言えると思います。仕事においても、相手から見た自分の印象をコントロールすることは常に求められます。本書では「ビジュアル」「ボイス」「バーバル」という3つの表現要素について細かく説明しており、「話す内容」に加えて「話し方」の重要性を伝えています。話す内容も練りつつ、相手に良い印象を与える話し方を習得することは面接通過率を高める上で有効だと感じます。しかしながら、話し方などの技術を覚えた際に、実際の面接でそれらを活かせるかどうかは「慣れ」による部分も大きいと感じています。実際、最終的にトップ企業に内定するような学生でも面接慣れしていないうちは多くの企業でバンバン落ちます。社会人から評価されながら話すのは、友人とのおしゃべりとはまったく異なりますので是非色々な機会を活用して、面接慣れして欲しいと思います。参考:ぶっつけ本番で本命企業面接を受けるというリスク、インターン選考・スカウト系イベント活用のすすめ④就活スキル業界選定や、エントリーシート・面接・グループディスカッションなど各選考段階を通過するためのスキルであり、unistyleで主に伝えている事柄です。本書の中でも自己分析から役員面接まで幅広い選考段階で評価されるための技術を説明しています。unistyleでも「内定数=①エントリー数×②筆記試験通過率×③グループディスカッション通過率×④エントリーシート・面接通過率」と定義しており、就活に向けた準備をしている際にもこの式のどの変数を高めているのかを常に意識して欲しいと思います。また、闇雲に自己分析をするのではなく、まずは一人でも多くの社会人の話を聞いて、多くの業界の働き方を知るべきだと感じます。なお、話を聞く際には自己PRなどの添削もどんどん受けて欲しいと思っています。unistyleの企業選考対策では、各業界の働き方に基づいた求められる人材を考察しているので是非ご一読ください。⑤+α(プラスアルファ)上記の4つの基準に加えて、学歴などのスペックや、ニュースや書籍に触れている頻度がこの+αとなります。スペックについては高いに越したことはないので高める努力も必要ですが、学歴などのどうしようもない部分についてはある程度割り切って考えて欲しいと思っています。また、偏差値上位校であっても「自社で成果を上げられる人材」でなければ採用はされないため油断は禁物だと筆者は述べていますが、まさにその通りだと言えます。学歴などはあくまで「スクリーニング基準」であり、内定の有無を左右するのはその企業ごとの「採用基準」を満たしているかどうかだということをしっかり認識して欲しいと思います。参考:「スクリーニング基準」と「採用基準」の違い「企業が求める能力」と「学生が”企業から求められていると思っている"能力」は異なる企業が注目する「5つの基準」を語る上で、そもそも企業が学生に求めるものについて、多くの就活生が思い違いをしていると著者は述べています。企業は学生に対し、「主体性」「粘り強さ」「コミュニケーション力」といった能力が不足していると感じているのがわかります。(中略)一方、学生は、自分自身について「語学力」「業界に関する専門知識」「簿記」といった、「知識」が不足していると考えています。※『新卒採用基準』より抜粋企業が求めるのは仕事で成果を上げる「能力」である一方で、学生が自身に足りないと感じているのは「知識」という傾向があるようです。このギャップに気付かないままいると、企業の売上や利益に関する知識収集や、資格取得ばかりに躍起になる就活マニア・資格マニアになってしまい、しかも企業からはあまり評価されないという不幸な事態に陥ってしまうため注意が必要です。unistyleでも、業界研究で重要なのはOB訪問などを通して現場社員の「働き方」を知り、自身の経験や価値観と照らして適性の有無を考えることだと伝えています。売上・利益・投資基準などの表面的な企業情報の収集に終始してしまう学生が多いのは非常にもったいないと感じます。参考:こんな志望動機は嫌われる!評価されない志望動機の実例最後に:他者の話を鵜呑みにしてはいけない本書の中でも語られていますが、就活本の情報でも先輩の話でも、結局他者の考えをそのまま鵜呑みにするのは危険だと言えます。先輩やOB・OGに面接について聞いても、「就活では、根ほり葉ほり聞かれたけど、学生生活を充実させていれば大丈夫だよ」程度のことしか語ってくれない人が多いといいます。(中略)たとえ人がうらやむような人気企業に受かった先輩でも、自分がなぜ受かったのか、きちんと把握している人はほとんどいません。※『新卒採用基準』より抜粋就職活動は多くの人にとって一度きりの経験であり、その成功失敗も再現性のある考え方に基づいたものかはわかりません。何が良くて何が悪いのかは、自身で判断して情報の取捨選択を行う必要があります。この考え方の範囲を広げると、例えば企業説明会での「若手にどんどん仕事を任せる会社」といった情報も、裏を返せば、若手に仕事を押し付けてオーバーワークさせがちな会社である可能性もあります。さらに言うとunistyleに掲載している情報や考え方についても最終的にどう判断するかは皆さん次第ですし、今回紹介した『新卒採用基準』の中でも、読み手それぞれにとって重要度の高い情報とそうでない情報とが混在していると思っています。色々な考え方の裏にある「なぜ?」を意識し、情報を適宜取捨選択しながら今後の就職活動を進めていって欲しいと思います。『新卒採用基準』photobyRobertCouse-Baker 26,874 views
「ベンチャー企業なら大手よりも成長できる」は本当か? 「ベンチャー企業なら大手よりも成長できる」は本当か? ベンチャー企業への就職を支援するサービスもかなり出てきたこともあり、新卒でベンチャーか大手かというのは考える人が増えてきたように思います。一方で新卒で大手かベンチャーかという議論の多くは個人の主観が入りがちでなかなか建設的な議論が出来ていない印象を受けます。今回はベンチャー企業就職にまつわる様々な考えについてじっくりと考えてみますので、新卒でベンチャーに行くか大手に行くか悩んでいる方は参考にしてみてください。「ベンチャーなら成長できる」は本当か?ベンチャー企業というと「裁量権が大きく、若いうちから仕事を任せてもらえるため成長できる」というのが多くの就活生が持つイメージではないでしょうか。一方で大企業は「福利厚生や給与などは充実しているものの、仕事を任せてもらえず成長が遅い」というイメージを持っている人が多いかと思います。何となくのイメージとして確かにベンチャー企業は猛烈に働いてプレッシャーが強く、会社自体も小さいため裁量権が大きく成長できそうな気がします。しかし、本当に裁量権が大きいのか、本当に成長できるのかという点を考えるためには、「裁量権」や「成長」という言葉の定義が曖昧すぎて議論にならないでしょう。言葉の定義が曖昧なままだと個人それぞれの主観で「裁量権」や「成長」という言葉を定義してどちらがいいかのポジショントークを展開するだけになってしまいます。大きな案件を任されるという意味では大手企業の方が裁量権がある?そんなポジショントークの一例として、大企業の方が裁量権があるという例があります。裁量権という言葉を、「金額的に大きな案件を任される」と定義すると大企業はベンチャー企業以上に裁量があるケースが多いと言えます。例えば証券会社であれば1億円規模の投資信託商品を販売するのはざらにあることですし、銀行でも数億円の融資を若手社員が一人で進めることは結構あります。商社でも数千万円規模の取引を若手にトレードの練習として任せるなんてこともあります。大企業ほど企業体力があるため若手が失敗してもいい金額が大きく、大きい案件を任されるケースが多くあるでしょう。このように「裁量権」という言葉の定義を、「案件の金額の大きさ」と定義すると大企業はかなり大きな案件を若手に任せていると言えます。ベンチャーの一番の魅力はマネジメント層までの早ささて上記のように裁量権を定義して、大企業を推してみましたがしっくりこない方もいるでしょう。では大企業になくベンチャー企業特有の「裁量権」と言えば何があるでしょうか。その中の一つに「部下を持つマネジメント層になるスピード」があります。この点においては、ベンチャー企業は大企業に比べて圧倒的に有利であると言えます。大企業では課長などの役職がつくのに最短でも10年、商社などでは課長になるのに20年ぐらいかかるケースも稀ではありません。それに比べるとベンチャー企業の多くでは、早いと2年目に部下を持つマネージャーに、4年目でマネージャーになれていないと遅いなんてケースもざらにあります。サイバーエージェントでは「新卒社長」を半ば制度化しており、新卒で入社した社員に小さな会社を任せています。参考:新卒社長が目指す未来少し古い話になりますが、DeNAが2012年にLINEの対抗アプリとしてリリースしてテレビCMも大々的に行ったcommも、新卒1〜3年目が中心に開発を行い、責任者も入社3年目が担当したとニュースで話題になっていました。参考:DeNAの無料通話「comm」は新卒1~3年目が開発テレビCMで攻勢このように多くのベンチャー企業ではマネジメントに関わるスピードが大企業に比べて圧倒的に早いと言えます。上記の例は既に大企業の仲間入りを果たしたと言えるメガベンチャーですが、それでも例の通り若手に部下を持たせる抜擢を行っています。早く人を使うマネジメントを経験したいのであれば大企業よりもベンチャー企業が合っていると言えます。ベンチャーのリスクは結果が出なければマネジメントに上がれないこと上記のようにベンチャーは部下を持つまでのスピードが速いことを示しましたが、残念ながら全ての人がマネジメントに上がれるわけではなく、中途採用の社員、新卒社員の競争に勝ち、優秀だと認められた人しか上がることはできません。大企業では良くも悪くも年功序列で、出来る人と出来ない人の差が小さく、ある程度のポジションであればそこまで出来ない人でも上がることが出来ます。もちろん年功序列神話が崩壊し、3割しか課長になれない時代が到来したと言われていますが…。7割は課長にもなれません部下を早めにもちたい、マネージャーに早くなりたいと思ってベンチャーに入ったとしても誰もがなれるわけではないため覚悟を持って入社する必要はあるでしょう。成長の定義は人それぞれ、人それぞれの部分を言語化して落とし込むのが大事ここまで来ると、「成長」という言葉の定義も人それぞれで、言語化して落とし込まないといけないでしょう。早くからマネジメントを学び経営層にいきたいのであればベンチャーという選択肢は悪くないと言えます。一方で「伝統的な大企業も含めて大きなプロジェクトを動かせる人材になりたい」となった場合には大企業の中で大企業の論理を学んでいくことも重要かもしれません。インフラの輸出や大企業向けの大規模融資など大企業でなくては関わることの出来ない大きなプロジェクトが存在しておりそうした方向に成長したいという考え方もありだと思います。多くの人が持つイメージだけで考えるのではなく、自分なりに曖昧な言葉の定義を落とし込んでいくのが大事です。そのためには様々な人の考え方に触れたり実際に働く人の話などを聞いて仕事に対する知識・考えを深める必要があるかもしれません。最後に仕事においても曖昧な言葉やイメージに対して一度立ち止まって考えることは非常に大事なことです。「裁量権」や「成長」など人によって定義が変わってしまう言葉については特に注意が必要です。就職は今後の人生の中でも重要な選択の一つと言えます。その選択を自分が納得したものにするためにも、ぜひ自分の足で情報を集めて、自分なりに考えて決断して欲しいと思います。【関連記事】 27,139 views
非・体育会系学生に送る、理系のガリ勉就活生が意識した「体育会系との差別化」 非・体育会系学生に送る、理系のガリ勉就活生が意識した「体育会系との差別化」 16卒の早慶理工学部の学生です。私は理系ですが、就職活動では文系就職を決め、結果銀行やメーカー、IT、航空、損保など様々な業界から内定を頂きました。ちなみに私は大学3年前期までは平日は授業で埋め尽くされていたような、典型的な理系のガリ勉学生です。理系にもかかわらず、文系学生の土俵で勝負する中で、理系の世界しか知らない筆者は「どうやら体育会系や有名な先生のゼミのタテの繋がりというのは優遇される」という所感を持ちました。「就職活動は入学時から始まっている?早慶所属コミュニティ別の就職活動」の通りだと感じています。就活で有利に駒を進められるような切り札を持っていない筆者が何を心がけていたのかについて、非体育会系学生向け・対体育会系学生用の筆者流メソッドを以下に紹介していきたいと思います。前提:就職活動を始めた時からできることは限られている内閣府の公表する「就職・採用活動開始時期変更に関する調査」では、企業の情報解禁日(16卒で言えば2015年3月1日)から就職活動を始める学生よりも、インターンが本格化するサマーインターンの時期(16卒で言えば2014年6月1日)から就職活動を始める学生の方が数で上回るようです。「どのレベルの企業に就職できるか知るために見ておきたい二つの指標」を参考にすると、2014年6月1日時点で学生のスペックはほとんど決まりつつあり、この時期からできることといっても限られますし、たかが知れています。筆者は理系であったこともあり、6月時点では院進学も考えていたため、就職活動を本格的に始めたのは2014年12月でした。大多数の学生と比較しても遅れをとっている筆者が、少ない時間で何に取り組んでいたのか以下に紹介したいと思います。事前準備:体育会系の特徴を整理するまずは同じ土俵で闘う体育会系を徹底的に分析しました。彼らがアピールする内容(=学生時代頑張ったことの内容)、メリット・デメリットをunistyleに掲載されているESやコラムから探りました。筆者なりの分析では、アピールの内容は以下の2種類に大別されると考えました。<アピール内容>①コミュニティ内部における運営・仕組みの改善アピール②圧倒的な努力による成果のアピールメリット・デメリットに関しては、実際の体育会系学生が書いたコラムを引用させて頂きます。<メリット>①面接官が持つプラスのイメージ②理解しやすい自己PR③OBの存在<デメリット>①時間が足りない②他の体育会学生との差別化が難しい参考:「総合商社に内定した体育会系学生が就職活動で意識した三つの差別化方法」これらを意識した上で、どのように就職活動を進めたか、以下に書いていきたいと思います。戦略①:アピール内容の選定面接官の持つプラスのイメージ:体育会系>サークル・アルバイトであるとすれば、サークル・アルバイト所属の私が努力を訴えたり、運営や仕組みの改善を訴えても、頑張りのレベルでは体育会系のアピールは上位互換として存在するため最終的に負けてしまうと考えました。経験そのもののレベルにおいても、「学生時代頑張ったことの結論における4つの評価項目」における「目標達成能力」と「リーダーシップ」では非・体育会系学生の筆者では分が悪いと考え、「インパクト」や「チャレンジ精神」を武器にすることを決めました。そこで、皆が行かないような国への留学経験やそこでの活動、一般に馴染みのないような業界でのアルバイトで勝負していました。戦略②:取り組みにおける工夫頑張りのレベルで体育会系の学生以上の納得や共感を得ることは難しそうなので、その取り組みにおける工夫で勝負していました。例えば体育会系の学生がコミュニティの異なる価値観を持つ人達をまとめ、率いるというアピールをする上では、その方法論として「リーダーとして一人ひとりと地道に向き合って説得していく」ということをアピールする人が多いように就職活動中は感じていましたし、unistyleの公開ESにおいてもそのようなアピールがいくつか見られました。一方で私は「一人ひとりに役割を持たせて当事者意識を持たせる」「コミュニティを更に分割した小コミュニティを作り、小コミュニティをまとめるリーダーとの関係性を強化する」といった工夫を押し出していました。戦略③:伝え方の工夫基本的には「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」の中のどれかをアピールすることになります。内定する実力のある志望者は5つのうちのどれか(または複数)をアピールしてくるので、内定を取るという点に焦点を当てた場合は「いかに面接官に自分の話を納得してもらい、共感してもらえるか」だと考えていました。戦略①で述べたように、筆者は「インパクト」や「チャレンジ精神」でアピールしていましたが、その内容や取り組む根拠が複雑だったので、伝え方を工夫しなければ面接官が消化不良に終わるという危険性もはらんでいました。そこで、ものの数分で万人が納得できるようなアピールにするべく、社会人やアルバイト・サークルのOBとの擬似面接を通して練習しました。「社会人(面接官)が突っ込みたくなるポイント」を事前に把握し、そこに誘導するようにアピールを展開することによって、彼らの納得や共感を得やすいように努めました。また、練習し過ぎたあまり、台本を読んでいる感が出てしまっていると社会人から指摘されたこともありました。わかりやすさだけではなく、アピールする際の表情や機微からも情熱や達成感が伝わり、それらを総合して評価がされることは念頭において頂きたいところです。この伝え方に関しては、以下の記事に詳しくまとめられておりますので、参考にして頂けると幸いです。余談ですが、私の周囲の友人は理系が大多数です。理系の特に技術職の最終面接では、自身の研究内容をホワイトボードや事前に作ったパワーポイントを持ち込んで発表することもあるようです。技術職採用では院生が多い傾向にある中、学部生で受けた友人はあえてパワーポイントでプレゼンするのではなく、Preziというプレゼンソフトを使って他の学生にはないアニメーションで面接官に感動を与え、内定を獲得していました。参考:「渾身のアピールが評価されるとは限らない!大手企業9社内定の学生が意識した「伝え方」」最後に就職活動を終えた今、自分の志望する企業の内定を取るためには、それ相応の入念な準備が必要だと感じます。素晴らしい経験を持っている非・体育会系学生も、実際は内定を取れる実力を持っているのに戦略を誤ったばかりに本来よりも低い評価をされるのはもったいないと思います。上記の戦略はほんの一例ですが、読者の皆様が就職活動を有利に進める上で参考になれば嬉しいです。 34,576 views
【IR情報(投資家情報)の読み解き方】就活生向けに分かりやすく解説 【IR情報(投資家情報)の読み解き方】就活生向けに分かりやすく解説 こんにちは。16卒の総合商社内定者です。日系企業のホームページに訪れると会社情報、採用情報、CSRと並んでIR情報(投資家情報)というゾーンがあると思います。ホームページでは会社情報、採用情報に目がいきがちで、IR情報に関しては見たことないという就活生も多いのではないのでしょうか。今回は総合商社のIR情報を用いてIR情報の見るべきポイントを紹介します。【参考】三井物産株式会社「投資家情報」「これは主に投資家に向けて書かれたものだから就活生が閲覧する必要はないのではないか?」と疑問に思う学生もいると思います。しかし、そこがポイントです。周りの就活生が手を出していない分野に進出して差をつけましょう。それではIR情報の見方に参りましょう。今回は私が実際に面接の準備に使用しており、実際に役に立ったものを4つほど紹介します。企業の今がわかる「決算短信ハイライト」決算短信とは企業が上場している証券取引所に提出するもので、開示義務があります。開示の時期が早いので投資家が真っ先に見る資料になっています。これ自体は数字と文章が並んでいて、就活にとっては読むのが苦です。そこでオススメするのが決算短信ハイライトです。【参考】三井物産株式会社「平成27年3月記連結決算及び平成28年3月記連結業績予想(IFRS)ハイライト」上記を見るとわかりますが、前年比較の全社的、セグメント別の利益の増減とその主な要因が1ページにまとめられています。就活生にとって必要な情報が多く書かれているので非常に読みやすい資料となっています。またその企業の規模感、セグメント別の純利益がわかります。例えば五大商社の年間純利益が1500億円〜4000億円の規模に密集していることがわかりますね。就活生は意外とこれを理解していません。企業の今がもっと詳しくわかる「決算説明会プレゼン資料」こちらは株主向けの決算説明会において社長またはCFOがプレゼンテーションを行う際に用いている資料で、決算短信に比べてカラフルな仕様になっており、視覚的に見ることが簡単になっています。【参考】三井物産株式会社「2016年3月期第1四半期決算説明会資料」決算説明会資料において観るべき項目については以下のコラムを参考にして下さい。【参考】企業の過去がわかる百科事典「アニュアルレポート」アニュアルレポートとは企業の財務情報をふんだんに盛り込んだ年次事業報告書のことで、主に外国人投資家やアナリストに向けて出されるものです。実は企業に開示義務はありません。百科事典という表現を使ったのは社長メッセージから各セグメントの説明に至るまでありとあらゆる要素が含まれている為です。自分の興味のあるセグメントに関してはくまなく見ておきましょう。企業の未来がわかる「中期経営計画」【参考】三井物産株式会社「新中期経営計画」企業の過去、現在がわかったら未来を知りたくなりますね。その未来にどうなるかをわかりやすく明示しているのが中期経営計画です。今年(2015年)の伊藤忠商事の会社説明会では人事社員が就活生に中期経営計画の縮小版を配布し、簡単な説明をしていました。就活生としても見やすい資料として作られている証拠ですね。中期経営計画の見るべきポイントに関しては以下のコラムをご覧下さい。【参考】他には上級編として有価証券報告書の閲覧を推奨します。有価証券報告書の見るべき項目は以下のコラムを参考にして下さい。【参考】IR情報は一見就活生に必要な情報が書かれていないように感じると思いますが、ポイントを絞って見てみると周りの就活生の一歩先にいけると思います。また説明会に参加するにあたって企業を見る視点が変わってくると思います。【関連記事】 35,224 views

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