日本テレビが求める人材と日本テレビの今後の展開

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最終更新日:2023年11月01日

日本テレビが求める人材と日本テレビの今後の展開

本選考とインターンの締め切り情報

日本テレビをはじめとしたテレビ業界は、テレビ好きの学生からは高い人気を持つ一方で、最初から敬遠してしまっている学生も多くいるように感じています。採用広報の打ち出しもテレビ好き向けに寄っているためかもしれません。
 
それでも、国内の番組制作以外にもデジタル領域の強化や海外展開などにも今後力を入れていくテレビ業界は、従来のテレビ好きだけでなく、ビジネス志向の優秀な学生を求めていると言えます。
 
日本テレビではどのような事業を行いどのような展開をしていくのか、キャリアイベント「グローバルカンパニーのキャリアパスを知る」で日本テレビの採用担当者が話していたことをまとめつつ海外展開などについても触れていきます。

企業研究

日本テレビの仕事内容と求められる人材

はじめに、以下は2015年度の日本テレビの事業別収入内訳です。

単位:百万円 事業別収入 割合
放送収入 248,450 80.90%
番組販売収入 11,442 3.70%
事業収入 44,946 14.60%
(内、海外事業) (-1697) 0.60%
不動産賃貸収入 2,237 0.70%
合計 307,075  


デジタル分野などの新規領域に進出するといっても、現状の主な収益源は国内向けの放送収入となっています。そのため部署ごとの人数も、①ニュース記者などが所属する「報道局」、②カメラや音声といった番組制作の技術的業務を引き受ける「技術統括局」、③バラエティやドラマを制作する「制作局」の3部署が多くなっています。
 

 そうした背景もあり、まだまだテレビ好きやテレビに対する熱い思いのある人材は求められているようです。(日本テレビの採用担当者も、自社の番組で好きな番組を質問されると決めかねるほどのテレビ好きでした)
 
それでも、消費者としての好きと提供者としての好きはまったく性質が異なるため、単なる「ファン」は求められていない点には注意が必要です。日本テレビに限らず、企業が求めているのは自社のファンではなく、自社のファンを増やせる人材です。

 日本テレビの海外での仕事

報道や番組制作はドメスティックな仕事と捉えられていますが、海外で仕事をする機会も多くあります。
 
例えば海外ロケなどが挙げられ、「世界の果てまでイッテQ」「アナザースカイ」といった番組をイメージするとわかりやすいでしょう。人によってはロケのためにほとんど毎月くらいの頻度での海外出張もあるとのことで、普段旅行では行けない(行かない)ような場所に行く貴重な経験ができると採用担当者は話していました。
 
海外の支局でニュースを報道する仕事もあり、最近ではアメリカ大統領選のための取材などで飛び回っている人もいたようです。
以下は日本テレビの海外支局です。支局は主にヨーロッパ・アジア・アメリカなどが中心ですが、時には戦地周辺などの支局のない地域にも取材に行くことがあるようです。


 

テレビを取り巻く環境

日本テレビの売上自体はここ数年増加を続けているものの、少子高齢化の進行やインターネットが成長している今、テレビの地上波放送としては岐路に立たされていると言えます。
またこれからは、「決まった時間に決まった番組を見る」という現在のテレビのスタイルが変わってしまうことも考えられます。
 
上記のような状況も踏まえ、日本テレビは次の手を打っています。
例えば、日本テレビは動画配信サービス「Hulu」を2014年に買収し、自社で作成したコンテンツをHuluを通して手元のデバイスで場所や時間を問わずに視聴者に届けられるようになっています。このように、従来の放送事業だけに固執することなく、時代にあった形で事業展開していくことが今のテレビ業界に求められていると言えるでしょう。

放送以外の事業についても新たな「挑戦」を行っています。
アジアNo.1メディア企業を目指し、ビジネスの提携などを積極的に行っている海外事業、
動画配信会社「Hulu」を運営するインターネット事業などがその例です。
 
引用元:社長メッセージ|日テレ 採用サイト

 メインのテレビ業界志望者層であるテレビファンだけでなく、柔軟に新しいビジネスを生み出せる人材こそ、これからのテレビ業界に求められていると言えます。
 

最後に

インターネットの台頭や少子化で逆風と言われているテレビ業界ですが、日本テレビは今後10年間で新たなビジネスを成長させていこうとしています。提供者としてテレビに関わりたいと考えている方はもちろん、これまで敬遠していた商社・コンサル志望などのビジネス志向の方も就職先として目を向けていただければと思います。

 

photo by Dick Thomas Johnson

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だそれらの共通項をエッセンスとしてインプットできるよう、研修内容は毎年見直しています。「体」に関しては、9時~18時の勤務時間に慣れたり、物事への取り組み姿勢を改めて見直すなどといった意図があります。特に取り組み姿勢は、前述の「目先の答えを急ぐのではなく、自分はどう思うのか?にまず目を向ける」など、考え方の姿勢についてもインプットを与えるようにしています。また、研修ではチームビルディング等もしてもらうのですが、その際に人事側からあれこれ指示することはなく、今やるべきことを新入社員自らで考えさせるようにし、各々に主体性を身に付けてもらうことも目指しています。拡げるフェーズと絞るフェーズを自ら考える!?新入社員が語る研修エピソード__半年間と長期間にわたる研修の中で特に印象に残っているエピソードはありますか?柳田:ビジネスシミュレーション研修が印象に残っています。これは約2週間にわたり、実際にとある会社に対してヒヤリングや提案をし、グループ間で競い合うという研修になります。ただ、いざやってみるとグループ内でうまく提案がまとまらなかったり、今まで関わりのなかったグループ会社の同期と協力しなければならないといった難しさがあり、紆余曲折がありました。ただ、研修を進める中でグループメンバー同士の仲が深まり、徐々に提案の質が高まった結果、私の所属していたグループが1位を獲得することができました。様々な苦労がありながらも研修後の達成感や得たものが非常に大きかったため、最も印象に残っている研修です。前田:私は、タイトなスケジュールの中で"拡げるフェーズ"と"絞るフェーズ"を自分たちで考えて取り組んだことが特に印象に残っています。拡げるフェーズというのは柔軟な発想を持ってアイディアを発散させること、絞るフェーズというのは発散したアイディアを論理的な判断で収束させて施策に落とし込むことを指します。川谷さんもおっしゃっていたように、研修では基本的に新入社員自らがあらゆる物事を決める必要があり、限られた期間の中で提案まで持っていくというのは難しさもありながら良い機会になりました。「出る杭を打たず、それを伸ばしてくれる風土がISIDにはある」、ISIDの根底にあるのはAHEADという行動指針__各々にお伺いしたいのですが、皆さんが思うISIDの魅力は何だと思いますか?「良い意味でおせっかいな人が多い」、ISIDは人のことが好きな集団である川谷:SIerという技術屋的な企業でありながら、人に興味のある人が多いのが魅力だと考えています。私自身、初期配属が会計という全く知見の無い分野への配属だったのですが、私から何も言っていないのに先輩社員の方が声を掛けてくださったり、私たち新入社員のために会計勉強会を企画してくださったことがあります。また、人事部に異動した後も前の部署の方々から定期的に連絡もあり、本当に周りの人に恵まれていると感じることが日頃からあります。そういった経験からも人が好き、また良い意味でおせっかいな社員が多いと思います。また、こういった弊社の特徴が顕著に表れているのが行動指針の「AHEAD」です。ISIDの行動指針「AHEAD」の詳細はこちらから弊社はこの行動指針を展開するため、1年の中でAHEADを体現し、会社に貢献した社員を表彰する社内表彰制度「AHEADAWARD」があります。こういった行動指針や表彰制度を含め、コロナ禍で直接的な繋がりが希薄化されながらも、しっかりと社員間での繋がりを作れるような文化を醸成しています。行動指針であるAHEADが根付き、各社員の面白さや特性を伸ばそうという意識が溢れている柳田:私も川谷さんと同じく、人の良さが弊社の魅力だと感じています。行動指針の「AHEAD」のHはHumor(人間魅力で超える)という意味なのですが、この指針が根付いているのが常日頃から感じますし、研修にも活かされていると実感します。特に私が考える人間魅力でいうと、各社員の面白さや特性を伸ばそうとする風土があるという点です。研修の中でも新入社員が考案した案に対して現場の先輩社員が否定することは絶対に無く、「その案面白いじゃん!」とその人の個性や特性を伸ばそうとする雰囲気をひしひしと感じました。また、私が就活生時に弊社の選考を受けたときの話ですが、その時の人事の方が「全ての人が幸せになる採用活動をしたい」と話されていたのが非常に印象に残っています。実際に入社して研修等を受ける中でその言葉は嘘ではなかったと実感しています。人の良さで入社を決めたのは間違いではなかった。ISIDには出る杭を打たず、それを伸ばしてくれる風土がある前田:私は既成概念に囚われず、柔軟な行動を取る点が魅力だと思います。例えば研修の一つのプログラムとして設けられているアート研修を例に出すと、人間の手を描くという一見するとマネジメントやプログラミングと無関係な作業に見えますが、フィードバックを頂きながらフェーズごとに分けて完成に持っていくという考え方は、開発業務に活きていると実感しておりますし、敢えて全く異なる分野からそのフローの大切さを身をもって知ることができたと感じております。決して突飛なことをしている訳でないにしろ、既成概念に囚われずに思考力を鍛えることができるのは弊社の研修の特徴だと思います。また、研修を含め、出る杭を打たずに各自の個性を伸ばしてくれるような風土があるのも魅力だと思います。こういう部分が人間魅力の醸成に寄与すると思いますし、こういった風土があるからこそ様々な人に対して興味を持てるようになり、ひいては愛社精神に繋がると実感しています。先輩社員と話していても「この同期の人が今こんなことに取り組んでいて…」といった会話が日常的に聞こえますし、これだけの規模の会社でそういった話が日頃から出るのは社員全員が本当に人・会社のことを好きであることの裏返しだと思います。3名それぞれが伝えたい就活生へのメッセージ-先入観やバイアスを持たずに行動してほしい-SIerへの就職に必要なのは「技術を用いて人々の生活を豊かにしたいという想い」__貴社はSIerという業界に属すると思いますが、特に文系学生にとっては敷居が高いと感じる人も少なくないと思います。そんな不安を抱いている就活生に何かあればお願いします。川谷:過去の採用実績を見て頂ければ分かる通り、大前提弊社は文理問わず採用していますので、弊社に少しでも興味を持って頂けた就活生に関しては文理問わずエントリーしていただけますと幸いです。その上でSIerというものに敷居の高さを感じている就活生の方にお伝えさせて頂くのであれば、ITスキル等は入社後の研修や配属後も手厚くサポートしますので、その心配よりも技術を用いて人々の生活を豊かにしたいという想いを持っている方に是非入社して頂きたいです。弊社の採用ページに掲載している「先入観は置いていこう。」というメッセージにもあるように、「文系だからSIerはちょっと、、、」といったバイアスは知らず知らずのうちに自分の選択肢を狭めていることに是非気づいてほしいです。採用ページはこちらから実際に入社の段階では人への興味や上記の想いに共感できるかといった素養を重要視していますし、SIer業界に限らず、自らのバイアスで進路を狭めるのは非常にもったいないと思います。私も大学・大学院と専攻していたのは生物学で、SIerとは直接関係のない学問でした。ただ、自分が生物学に興味を持った理由が「人間に対する興味」であり、ISIDが掲げる「人間魅力」と非常にマッチしていることを就活生の頃に気づき、弊社に就職を決めました。あくまで個人的な感想ですが、実際に入社してその決断を後悔したことはありません。そういった情報のインプットに対するバイアス、自分の考えや判断に対するバイアス含め、自らを客観視して就職先を選んでほしいです。そしてその先に弊社があれば嬉しいですし、弊社を選んでくれた方には絶対に後悔させない環境が揃っていますので、そういった方のエントリーを心からお待ちしています。柳田:私自身も学生時代に機械工学を学んでおり、SIerという全く異なる業界に飛び込んだ立場としてお伝えさせて頂くと、技術面に関しては本当に不安を持たずにエントリーしてほしいと思います。実際に入社後は不安も多少ありましたが、研修を通じてそういった不安は解消され配属後の現場にも自信を持って出ることができますし、同期の中にも私と同じような立場の人は沢山おり、当初の不安は本当に杞憂だったと今になっては思います。また、そういった方が少なくないからこそこれだけ手厚い研修を用意して頂けているとも言えますので、少しでも弊社に興味を持っていただいた方はエントリーしてもらいたいです。就職活動は様々な業界・企業・人に出会える最初で最後の機会。だからこそ悔いのないようにチャレンジしてほしい!__新入社員のお二人は約1年前、実際に就職活動をご経験されたかと思います。そんなお二人からこれから就職活動を迎える就活生にメッセージをお願いします。前田:私自身、約1年前に就職活動を経験したばかりなのですが、就職活動は様々な業界や企業の社員の方から話を聞ける最初で最後の機会です。だからこそ後悔のないよう、貪欲かつ前向きに取り組んでほしいと思います。私も沢山の企業のインターンに参加したり、様々な企業の社員訪問を行い、最終的に私の個性や将来やりたいことを認めてくれるISIDという会社に出会うことができました。様々な業界や企業と出会い、将来やりたいこと・やりたくないことを精査した上で、最終的にISIDの魅力に気づいてエントリーしてくれると非常に嬉しく思いますので、限られた就職活動期間を就活生という特権を活かして自ら動いて情報をとりに行ってほしいです。柳田:前田さんと同じく、就職活動は正直辛いこともありますが、様々な業界や企業を見ることのできる最初で最後の機会だと思います。最終的には入社する1社を選ぶにしろ、様々な企業を見た上で決断した1社と何となくで決めた1社では納得感も段違いだと思いますので、そういった意味でも悔いのないように頑張ってほしいと思います。また、川谷さんもお話されていたように先入観で決めつけないことも是非心掛けてもらえればと思います。私自身が機械工学科出身ということで、もし先入観で決めつけて就職先を選んだ場合は周りの友人と同様にメーカーに進んでいたかと思いますが、今振り返って考えてみるとISIDというSIerに入社して本当に良かったと実感しています。だからこそ、これから就職活動を迎える皆さんにも先入観を持たず、色々とチャレンジしてほしいです。取材後記先進的な情報技術をベースに、アイディアとクリエーティビティを掛け合わせたユニークなIT専門家集団として成長を続けてきた株式会社電通国際情報サービス(ISID)。今回はそんなISIDで研修担当を務める川谷さん、そして2022年4月に同社に入社し実際に研修を受けて間もない柳田さんと前田さんの計3名の社員の方にお話を伺いました。実際に取材をしてみて思ったことですが、社員同士の雰囲気が非常に良く、人間魅力に溢れるISIDという特徴に嘘偽りはないと感じました。取材の中でも社員間で笑い合ったり冗談を言い合ったりする光景が何度も見られ、取材をする立場であるunistyle編集部の私もISIDの人の良さの虜になりました。そんな人間魅力に溢れ、国内でも有数のSIerとして成長を続けるISIDは現在24卒向けのエントリー募集を開始しています。IT業界やSIer業界に興味のある就活生に限らず、人の良さを就職活動の軸としている就活生や、将来は人々の生活を豊かにしたいという想いを持っている就活生にとって非常に魅力的な企業と言えます。本記事を通じて同社に興味を持った就活生は、下記の応募フォームから是非エントリーしてみてください。選考への応募はこちらから【関連記事】┗ISIDのキャリアステップや働き方について、若手女性社員3名にインタビューをした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伊藤忠商事の朝方勤務、KDDIの退社後11時間以内の出社禁止などユニークな勤務体系 伊藤忠商事の朝方勤務、KDDIの退社後11時間以内の出社禁止などユニークな勤務体系 企業において「労働環境改善」や「労働生産性向上」を目指した動きは、近年大きな広がりを見せています。最近では「ゆう活」という言葉もよく聞かれるようになりましたが、これは仕事を早めに始めて早めに終わり、その後の時間を自分の時間として有効活用するというものです。こうした言葉に見て取ることができるように、どの業界・企業においても、勤務体系はかなり多様化してきています。今回はその中でもユニークな勤務体系を採用している企業を具体的にご紹介したいと思います。参考:ゆう活はじめよう!夕方を楽しく活かす働き方-政府公報オンライン伊藤忠商事朝方勤務就活生に大人気の商社業界3番手につける伊藤忠商事は、岡藤現社長就任以降から導入された「朝方勤務」で有名です。内容は朝型勤務をする社員にインセンティブを与えるというもので、具体的には早朝勤務をした場合に割り増し残業代が支給されたり、朝ご飯が提供されたりするというものです。深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」。但し、やむを得ず20:00以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認める。早朝勤務時間(5:00-8:00)は、インセンティブとして、深夜勤務と同様の割増し賃金(時間管理対象者:150%/時間管理対象外:125%)を支給する。※7:50以前始業の場合、5:00-8:00の割増率を8:00-9:00にも適用。健康管理の観点から8:00前始業社員に対し、軽食を支給する。出典:朝方勤務制度の取組と効果伊藤忠商事株式会社KDDIの退社後11時間以内の出社禁止情報通信業界最大手のKDDIは今年7月からの「退社後11時間は出社禁止」というインターバル勤務の導入を発表しました。こうしたインターバル勤務については、すでに欧州連合(EU)が同様に11時間のインターバルを義務化していることが知られています。しかし、例えば22:00に退社した場合、翌日は9:00出社ということになるため「それほど効果がないのでは?」という意見もあるかもしれませんが、深夜まで残業をした翌日に9時から出社するという状況が避けられるので、労働環境改善につながることは間違いないでしょう。KDDIは全社員1万4000人を対象に、退社してから出社するまでの間隔を11時間以上あけることを求めるガイドラインを2015年7月から導入した。(中略)報道によると、11時間未満の日が月に11日以上となった社員には勤務状況の改善を指導し、残業が目立つ部署には是正を勧告する。出典:KDDI、退社後11時間未満の出社はダメ7月からガイドライン導入Googleの20%ルールGoogleでは「勤務時間の20%を自分の好きなプロジェクトに利用して良い」とする「20%ルール」と呼ばれるものが存在しています。これは社員の創造力を事業に活かすための取り組みで、GmailやGoogleMapsといった現在では多くの人々が利用するサービスもこの20%ルールの時間を使って開発されたものであるというから、その効果は抜群のようです。こうした「20%ルール」のような自主的に事業に取り組める時間は、特にGoogleに代表されるIT業界では積極的に導入されています。ちなみにこうしたルールを最初に取り入れた企業は外資系メーカーの3M(スリーエム)といわれていて、「15%カルチャー」と呼ばれる同社の取り組みからは、BtoC市場では主力製品の"Post-It(付箋)"などが生まれています。Googleが実践している「20%ルール」。これは勤務時間の20%を自分の考えのために用いることで、従来の勤務体系内では思いつけないような斬新なアイデアを生み出そうという考えから生まれたもの。その20%ルールから生まれたのがGmailやアドセンスなど。また創業者のラリー・ペイジは下記のように語っている。“「通常、会社が大きく成長すると、革新的な小プロジェクトは進めにくくなる。私たちもしばらくはこうした問題を抱えていたので、新しいコンセプトが必要だぞ、ということになった。つまりこれは、グーグルで働くかぎり勤務時間の20%は自分で最善と思うことに使うことができる、という考え方だ」”出典:Googleが実践している“20%ルール”-社内に導入することで得られるメリットとは?番外編:ゴールドマンサックスの取り組み日本でも外資系金融業界はハードな労働環境であることがよく知られていますが、アメリカではウォール街のインターン生が過労死したニュースが報じられるほど、その問題は深刻化しています。金融最大手のゴールドマン・サックスも例外ではなく、つい先月に同社は「インターンの徹夜禁止」と「0:00退社、7:00以前の出社禁止」を発表しました。それにしても、労働環境を改善しようとしてこの程度の規制なので、普段から相当な激務であるということが見て取れます。参考:ゴールドマンの過労死対策、「勤務は午前0時まで」番外編:カルビーの席替えルール(フリーアドレス)個人の座席を決めず、毎日自由に席を選ぶことができる"フリーアドレスオフィス"という取り組みは、1990年代後半から外資系企業やIT企業を中心に導入されてきました。こうした施策の目的は「外出の多い社員の座席を他の社員が使えるようにすることでスペース効率を良くすること」と言われてきましたが、カルビーは別の観点からフリーアドレスを導入しています。それは「社員同士の交流を増やすことで、イノベーションの創出を促進する」といことです。カルビーのオフィスは、個人の座席を決めないフリーアドレス制。社員は後述する仕組みを使って、毎朝自分の座席を決める。同じ席に座れるのは最大4時間。期限が来ると、再び同じ仕組みを使って新たに座席を決め、ノートパソコンとPHSを持って移動する。近くに座る社員はそのたびに変わる。ほとんどが違う部署の社員だ。隣で交わされる会話は自然に耳に入ってくる。「面白そうなお話ですね。よかったらちょっと教えてくれませんか」。そんな一言から始まる会話が、新しい仕事のアイデアや、部門の壁を越えたコラボにつながることも少なくない。そこから新しい取り組みが生まれる。「ポテトチップス」や「じゃがりこ」などの主力商品は、季節や地域ごとに味を変えた新商品のラインアップを拡充。2011年には直営店「カルビープラス」の出店も開始した。出典:フリーアドレス定着大作戦風通し120%職場、秘密の仕掛け最後に本コラムでは「働き方」という観点から、工夫を凝らした取り組みを行っている企業をピックアップしました。働き方については自分なりにある程度強い意志をもっていないと、就職してから会社の要望に流されてしまいがちです。メリハリの付け方、仕事に対する情熱の注ぎ方については入社前に考えておいた方がよいかもしれませんね。 18,031 views
What is an MBA? ーMBA留学でキャリアを磨こうー What is an MBA? ーMBA留学でキャリアを磨こうー 今回で第7回のunistyle転職シリーズ。unistyleが調査した1,333名の転職者データをベースに、総合商社や外資系コンサル、リクルートなど人気企業の転職事情を考察してきました。#1転職で総合商社を比較する#2転職で見る電通/博報堂#3銀行員の転職に見る、日系大企業の栄枯盛衰#4外資系戦略コンサルの転職を斬る!#5PEファンドへの転職をねらえ#6ベンチャー役員を目指すなら、最適解はリクルートだ第7回のテーマは「MBA」。特定の業界に関する転職事情からは一旦離れ、「MBA」という切り口からキャリアを考えましょう。まずMBAに関する基礎知識をまとめたうえで、unistyleの転職者データベースから実際のMBAホルダーを洗い出して彼らのキャリアを分析することで・MBAとは何か・MBAの意義とは何かこうした問いに答えを出しましょう。MBAとは何か?「MBA」、皆さんも就活で耳にする言葉ではないでしょうか?「よくわかんないけど凄そう」くらいの認識でいる方も多いかもしれません。「MBA」とは“MasterofBusinessAdministration”の略称。日本語で言ってよ!という声にお答えするならば「経営学修士」、つまり「経営学の大学院修士課程を修了すると得られる学位」を指します。「大学院修士」と言っても学部卒業後にそのままMBA進学するケースは極めて稀で、社会人経験を積んだあとでMBAプログラムを学ぶのが一般的です。MBAプログラムは通常1〜2年間のカリキュラムが定められており、仕事を退職/休職する、社内のMBA派遣制度を利用する、仕事を続けながら週末・夜間で通学する等、様々なスタイルで取得することができます。MBAのスタイルMBA取得を検討するにあたって、仕事を離れるか/両立するか、国内で取得するか/海外留学するか、この2点は特に留意すべきポイントでしょう。現在は国内でも定時制MBAや通信制MBAが普及しつつあり、仕事を続けながらMBA取得を目指すという選択肢も考えられるようになりました。フルタイムMBAを履修するのであれば、必然的に何らかのかたちで現在の仕事を離れることになります。現在の仕事を退職してMBAを取得するケースでは勿論、一時的な休職や社費MBA派遣(後述)を選ぶケースにおいても、「自分のキャリアを一時中断すること」に伴うリスクは念頭におくべきでしょう。また、海外MBA留学になるとカリキュラムは全てinEnglishになるため、MBA取得と同時に英語力向上も見込まれます(勿論、それまで留学や海外駐在の経験が乏しい方にとっては、それ相応の負荷もかかることは言うまでもありませんが)。また、海外MBAには世界各国から優秀な人材が集まってきており、彼らと同級生として学べること自体も、海外MBA留学のメリットのひとつであると言えます。社費MBA派遣制度退職/休職を経て私費でMBA取得に漕ぎ着ける方法もありますが、学生さんのなかでは「社費MBA派遣制度」を利用するほうに興味を持たれる方が多いように思います。外資系コンサルや総合商社などの大手企業の多くは、希望社員を社費でMBA留学に送り出す社内制度を整えています。例:マッキンゼー・アンド・カンパニーマッキンゼーはビジネスアナリストの海外MBA留学支援制度を整えています。派遣人数には定員を設けておらず、「『留学が将来のキャリアアップに有用で、本人がそれを希望している』、そして『仕事において高い成果をあげてきた』ことが認められるビジネスアナリスト全員」が、海外MBA留学支援の恩恵を受けられるとしています。参考:マッキンゼー・アンド・カンパニーコンサルタントとして働くこと海外MBA留学となると、留学経費は合計2,000万円ほどにのぼる場合もあり、このコストに対して支援を受けられることは魅力的でしょう。また、MBA取得後は(基本的に)派遣元企業に戻ることになるため、MBA取得後のキャリアが一定程度保証されていることもメリットかもしれません。一方、日系企業の一部ではMBA取得後の転職に縛りを設ける企業(MBA取得後x年間は勤続しなければいけない等)もあり、その後のキャリア形成に制約がかかるリスクも生じ得ます。また、元マッキンゼー・アンド・カンパニーの伊賀泰代氏が著書で主張しているように「社費MBA留学派遣制度は撤廃すべき」という議論もあり、「なぜ自分はMBA留学に行きたいのか」という点は深く突き詰める必要があると言えるでしょう。参考:伊賀泰代『採用基準』(ダイヤモンド社)MBAの意義では、MBAを取得することの意義、メリットとは何でしょうか。日本で最も著名なビジネスパーソンの1人、大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学院)の定義付けを拝借すれば、MBAを取得する最大のメリットは「自ら考え判断する力」の獲得にあると結論できます。BBT大学院は、ビジネスを取りまく環境が複雑化している昨今、MBAで培った「自ら考え判断する力」は”正しい答えを出すのが難しい局面に対峙したとき、より正しい経営判断に導いてくれる”としています。参考:MBAを学ぶ理由(BBT大学大学院)また、MBA取得によって「キャリアに箔がつく」ことも見逃せない事実です。近年はMBAという選択肢が一般的になりつつあり、それに伴う反動として「MBAのカリキュラムでは実際の業務に活きるスキル、ノウハウは身につかない」といった議論もしばしば見られます。しかし、それでもなお「転職市場において、”MBAホルダー”という看板は強い訴求力を持つ」というのは、かなり妥当な仮説だと言えるでしょう(あえて卑近な表現を選べば、「履歴書の見栄えが良くなる」ことです)。総合商社やメーカー、銀行などの日系企業から戦略コンサルや外資系投資銀行などへの転職を志す場合、そのまえに海外MBA留学を経由して転職市場価値の向上を狙うことは、一般的なキャリア戦略のひとつになっています。ただし上記の2点、すなわち「自ら考え判断する力」と「MBAブランド」に関する考察はあくまで一般的な言説に過ぎず、実際の転職市場においてMBAがどれだけの価値を持つかを測るのは難しいのが実情です。以下では実際の転職者データを用い、MBAの価値を定量的に分析することを目指します。MBAの意義を検証するこれまでのシリーズでもご紹介している通り、unistyleでは①PEファンド②ベンチャーキャピタル(VC)③戦略コンサルティングファーム④優良ベンチャー企業の役員クラス以上4つの集団に対象を限定し、各企業の有価証券報告書およびホームページをもとに、全1,333名のエリート転職者のキャリアを独自にリサーチしました。以下ではこの転職者データベースからMBAホルダーを抽出することで、MBA取得がキャリア形成のうえでどんなファンクションを発揮するかを検証します。業界別・MBA保有率の比較まず、上記4つの転職者集団ごとにMBAホルダーの割合を比較してみましょう。一般的にビジネスエリートと呼ばれるこれらの集団ですが、そのなかでも業界によってMBA保有率に差があることが分かります。人数・割合ともに最多となったPEファンドでは、ファンドメンバーの33.1%、実に約3人に1人がMBAを保有していることが分かりました。ベンチャーキャピタル(VC)も次いで多くのMBAホルダーを抱えており、それに戦略コンサル、ベンチャー役員が続く構図となっています。これらの数字から、以下2つの仮説が導かれます。仮説①ファンド業務にMBAが効く各種ファンド、とりわけPEファンドにおいては、MBA保有者の在籍比率で頭一つ抜けていることが分かります。複数業界に俯瞰的な視座からコミットし、新規出資やイグジットをめぐる意思決定を行うファンド業務に、MBAで培った「自ら考え判断する力」が大きく貢献することは想像に難くないでしょう。また、これらのファンドの多くでは「社外取締役の派遣などを通じて経営に参画することで、出資先企業のバリューアップ、ひいてはキャピタルゲインの最大化を実現する」というビジネスモデルが取られます。このような(完全な当事者ではない立場から)企業経営の意思決定に関与するシチュエーションにおいても、MBAで得た知見が活きると考えられます。一方、これらのファンドメンバーの多くは他業界で輝かしい実績を残したビジネスパーソンによって占められいるため、「そもそもファンド入りを果たすためにMBAブランドが有効」という側面も否定できません。なお、ファンドの業務内容については過去記事を参照して下さい。参考:PEファンドへの転職をねらえ参考:日本でも急成長中?ベンチャーキャピタルの仕事内容と就職のための道しるべ仮説②ベンチャー役員にとって、MBAは必ずしも有用ではない?一方、ベンチャー企業の役員ポストにおけるMBA保有者は5.6%を占めるのみで、他の3業界と比較すると少ないように思えます。当然、これには多数の要因が絡んでいると思われますが、とりわけ重要と思われるポイントを3点だけピックしておきます。第一に、スタートアップにとってMBAホルダー雇用は簡単ではないこと。とりわけ発展途上段階のベンチャー企業において、複数名のMBAホルダーを同時に雇用できるような企業ブランド、(主に給与面での)アセットを持ち合わせているケースは考えにくいと言えます。第二に、「MBAを取得するまえに事業アイデアがある」ケースが多いこと。今すぐにでも起業して事業化したいアイデアがあるとき、それを踏みとどまってMBA留学を選ぶ人間は少ないでしょう。第三に、そもそもMBAの知見を必要としないケースも多いこと。ひとたび雛形ができたビジネスをスケールしていく段階においては、地道な営業努力や業務改善がキーになることが多く、そこはMBAの知見が真価を発揮するフィールドではないのかもしれません。注目すべき事実:特定領域にMBA保有者が偏在している上記のチャートは業界ベースでMBA保有比率を比較したもので、特にファンドにMBA保有者が多いことがわかりました。しかし、これを各企業内ごと、更には企業内での役職にまで踏み込んで比較すると、また変わった風景が見えてきます。ファンドと比較してMBA保有率が低く見えた戦略コンサル、ベンチャー役員のなかでも、特定の領域には非常に多くのMBAホルダーが在籍しているようです。①外資系戦略コンサルのマネジャー以上の職位者優秀な人材が集う戦略コンサルのなかでも、外資系トップファーム4社のマネージャー以上の職位*(unistyleが調査できた社員107名)に対象を限定すると、MBA保有率は実に60.7%。MBA保有率21.7%であった戦略コンサル全体(ドリームインキュベータ等の日系ファームも含む)のおよそ3倍の割合でMBAホルダーが在籍していることが分かりました。この事実から、「MBA取得は外資系戦略コンサルで高い職位まで上り詰めるための重要な要件のひとつである」という仮説が説得力を増すことになるでしょう。*コンサルティング・ファームの多くは、個人の能力や経験値、果たすべき役割に応じて職位を定めています。参考:採用拡大中!新卒も中途も憧れの外資系戦略コンサルになるなら今がチャンス!②ベンチャー各社のCxOポジション先ほど考察した通り、ベンチャー企業役員・全742名のうちMBA保有者は41名、全体の5.6%で、ほかの業界に比べるとかなり低い値になっていました。しかし、このMBAホルダーの役員41名にさらにフォーカスしたところ、彼らの73.2%にあたる30名が各社で「CxO」ポジション*に就いていることが分かりました。言い換えるならば、ベンチャー企業に在籍するMBA保有者のうち、およそ3/4がCxOポストに就いて企業経営の最上流を担っているということになります。*CxOポジション:ChiefXOfficerの略称。企業のなかの特定の機能・部門の責任者を指す。以下が主要なCxOポスト。この事実は、「MBA取得は、スタートアップを創業したり、ベンチャー経営のトップ・オブ・トップを担ったりするうえで大きな価値をもつ」ことを示唆していると言えるでしょう。MBAプログラムの多くではスタートアップに関する講義も組み込まれており、ベンチャーのトップとして事業創造するうえでも恵まれた環境であることは間違いなさそうです。参考:30歳までにベンチャー役員になれるキャリアを歩めば会社にしがみつく必要はないポストMBAキャリアのケーススタディ最後に、4人のビジネスパーソンの先例から、MBA取得後のキャリア形成の実態を学びましょう。例①長澤啓氏(メルカリ執行役員CFO/シカゴMBA)慶應義塾大学/総合政策学部卒シカゴ大学経営大学院/MBA・三菱商事(金属資源、エネルギー等)・ゴールドマン・サックス証券・株式会社メルカリ/執行役員CFO参考:INDUSTRYCO-CREATION2017年内にも上場が見込まれるユニコーンベンチャー、メルカリでCFO(最高財務責任者)を務める長澤氏は、米国の名門シカゴ大学でMBAを取得しています。新卒で入社した三菱商事在籍中にMBAを取得し、その後ゴールドマン・サックス証券を経てメルカリCFOのポストにたどり着いています。総合商社からMBAを取得し、その後のキャリア形成に活かした好例と言えるでしょう。例②藤井良太郎氏(PEファンド・ペルミラCEO/スタンフォードMBA)東京大学/法学部卒スタンフォード大学経営大学院/MBA・大蔵省(現・財務省)・ゴールドマン・サックス証券・KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)・ペルミラ/東京オフィス統括責任者参考:PERMIRATEAM回転寿司チェーン「スシロー」等への出資で知られる英国のPEファンド、ペルミラ・アドバイザーズにて代表取締役社長を務める藤井氏。大蔵官僚としてキャリアをスタートさせたのち、ゴールドマン・サックス証券、投資ファンドKKRにてキャリアを積んだ同氏は、スタンフォードMBAを取得されています。例③長谷川勝之氏(ベンチャーキャピタリスト/南カリフォルニア大MBA)南カリフォルニア大学/経済学部・物理学部卒南カリフォルニア大学経営大学院/MBA・伊藤忠商事・日系独立系VC・GoogleVentures・(現任)FMC/共同代表パートナー・(現任)電通ベンチャーズ/ジェネラルパートナー参考:DentsuVenturesTEAM電通ベンチャーズなどで活躍されている長谷川氏は、南カリフォルニア大学MBAを保有されており、VC業務のなかでその知見を活かしていると考えられます。同氏のキャリアはやや珍しく、伊藤忠商事の情報部隊に約10年間身を置いたあとにVCのフィールドに活躍の場を移されています。例④南場智子氏(DeNA創業者・代表取締役/ハーバードMBA)津田塾大学/英文科卒ハーバード・ビジネス・スクール/MBA・マッキンゼー・アンド・カンパニー/パートナー・DeNA創業/代表取締役社長参考:DeNA企業情報先日、キュレーションメディア「WELQ」問題を受けて代表取締役に復帰したDeNA創業者、南場智子氏はハーバードMBAを取得されています。マッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒入社したのち、1990年にハーバードMBAを取得。その後マッキンゼーに復職してパートナーにまで登りつめたのち、1999年にマッキンゼーを退職してDeNAを創業されました。(マッキンゼーでのご活躍、そしてDeNA創業にMBAが大いに活きたように見える一方、ご本人は以下インタビューにて「MBAは時代遅れ」とのコメントを出しています)参考:NewsPicks『MBAは時代遅れ。まずプログラミングの素養を(後編)』(有料記事)本記事のサマリー①なぜ自分にMBAが必要かをクリアにすべきMBA取得を目指す場合、なぜ自分にMBAが必要かを深く考えたうえで、それにマッチした形式のMBAを選択することが望ましい。②MBAは「自ら考え判断する力」と「キャリアの箔」をもたらすMBAを取得する課程で「自ら考え判断する力」を学び、MBA取得後にはMBAホルダーとしてのブランドを手に入れることが期待できる。③MBAはファンド、外コン、ベンチャーCxOへの転職やそこでの業務に活きるファンドには30%前後の割合でMBAホルダーが在籍している。また、外資系戦略コンサルのマネージャークラス以上では約60%がMBAを保有しており、ベンチャー企業でもMBAホルダーの70%以上がCxOポストに就いている。最後に周囲の学生と話していると、内定者や就活生の時点からすでに将来的なMBA取得を希望している学生も決して少なくないことに気がつきます。それだけMBAが一般的に広く知られ、またMBAホルダーの活躍が目立つようになってきているということでしょう。しかし、MBAはそれ自体が目的ではなく、あくまでよりよいキャリアを実現するための手段のひとつです。あくまで見据えるべきは自分のキャリアパス(究極的には、その先にある自分自身の幸福)であることを忘れずに、ファーストキャリアや転職、MBA取得などの問題に向き合いましょう。【unistyle転職シリーズ】#1転職で総合商社を比較する#2転職で見る電通/博報堂#3銀行員の転職に見る、日系大企業の栄枯盛衰#4外資系戦略コンサルの転職を斬る!#5PEファンドへの転職をねらえ#6ベンチャー役員を目指すなら、最適解はリクルートだphotobyHarrisWalker 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