頭脳集団かと思えば意外とイケイケ!?野村総合研究所内定者が内定者懇談会に行って感じたこと

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最終更新日:2023年10月23日

頭脳集団かと思えば意外とイケイケ!?野村総合研究所内定者が内定者懇談会に行って感じたこと

NRIから内定を頂いた17卒の就活生です。

日系企業年収ランキングでも毎年上位に顔を出しており、上位校学生からもNRIの知名度は高く、かつ人気は高いです。

実際に内定をもらうまでは同社に対して「硬派な頭脳集団」というイメージがありましたが、正直なところ内定して懇談会に参加するまでその実態はつかめませんでした。今回は内定後に開催された懇談会に行ってきたため、そこで自分が見て感じたNRIの実態について迫ってみようと思います。

内定者懇談会の様子

NRIの内定者は300人ほどおり、新宿の高級ホテルのホールを貸しきって内定者説明会+懇談会が行われました。内定者のうちコンサルタント採用は60人程度、そしてエンジニア採用は240人程度です。

内定者の男女比は男性:女性=7:3程度であり、雰囲気としては非常にフランクな懇談会でした。かなり年次が高い社員も参加しており、懇談会の途中では役員紹介や新卒採用チームの自己紹介も行われました。

壇上で自己紹介を行った社員の中に突然ギャグを放った人もいました。学生も普通に爆笑。

内定者の特徴

学生の雰囲気はみなそれぞれ個性派ぞろいだと感じましたが、内定者全員に共通して言えたことは「人を楽しませるのが上手く、気配りが出来る」ということです。

内定する前は「物静かであり、かつ冷静に物事を判断することが得意」な人が多いというイメージではあり、またそういったタイプの学生も実際チラホラいました。が、その印象とは異なるような、活発な雰囲気かつ話しやすい人が多かったことが印象的でした。

失礼な言い方ですが、見た目の印象もSIerエンジニアの内定者とは思えないようなイケイケな雰囲気があったようななかったような・・・。

学歴はMARCHから東大まで様々でしたが、平均的には早慶レベルの学生が多かったと思います。内定者の文理比もおよそ1:1程度であったため、企業側も多様性を重視して学生を選んでいることは間違いないと思われます。

内定者に備わっている強みとしては、多くの学生が「柔軟性や対応力、そして周りに気を配る力」に長けていると感じました。会話をしていて非常に人当たりがよく魅力的な学生が多かったです。

以前unistyleでも紹介した企業研究記事である「野村総合研究所(NRI)の特徴を解説|業績や社風から見る就活対策・企業研究」の記事においても事業内容からNRI社員に求められる強みを紹介しました。

具体的にいうと「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行まで行うことができる」や「4.価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」などが挙げられますが、実際にそういった強みが備わっている学生が多いと感じました。

社員の特徴

私は就職活動の段階で志望業界をITコンサルやシンクタンクに絞っていたため、競合他社であるアクセンチュア(ソリューションエンジニア採用)や日本総合研究所(ITソリューション)の内定者座談会などにも参加しましたが、コミュニケーション能力について同社は間違いなく業界の中でも高い人が多いという印象がありました。

また、エンジニア社員の働き方としては大きく分けて2つあるということも社員の方から伺いました。

1つめは、プロジェクトマネージャとしてマネジメントや対話スキルを活かすことでシステム開発をリードしたいタイプです。ある程度のITスキルとコミュニケーションを武器にするタイプになります。

もう1つは、ネットワークやデータベース、そしてビジネスアナリストなどの専門性が強く求められる分野におけるスペシャリストになることで社内で必要不可欠な人材として活躍するタイプです。

もちろん入社の段階でどのようなキャリアを歩みたいかを判断するのは難しいと思いますが、「仕事をこなしていくうちにやりたいことが見えてくるだろう」と社員の方も話していました。

飲み会などに関しては参加を強制したりすることは基本的にはありませんが、お酒好きの社員が多いため、なんだかんだでよく飲んでいるとのこと。また入社直後は合コンの誘いなどもそれなりにあるとかなんとかで、休日も積極的に外出して遊んでいる人が多いという印象でした。オンオフが得意な社員が多いという感じでしょうか。

また日系大企業ということもあり、働いている社員の多くは定年まで勤め上げる人が多いようです。中堅社員の方曰く、「NRI自体の給与水準が高いため他社に転職したとしても給与水準が上がる見込みはあまりないため、なんだかんだでみんな長く勤める」とのこと。

そういった点に関しては競合他社であり人材輩出企業として有名なアクセンチュアとは正反対の文化であると思われます。

まとめ

説明会などを通して社員のフランクな雰囲気、そして優秀さに憧れてNRIを志望していましたが、やはり内定者も非常に人当たりがよく魅力的な人物が多いと感じました。

しかし、SIer業界の中でも求められる仕事の質、そして量が多いことは学生の間でも有名であり、説明会においても「忙しいことは覚悟してほしい」と社員が釘を刺していました。社風としても「同じミスは基本的に許されない」、「顧客が満足するまで必ずやり遂げる」といった文化が浸透していると思われるので、合う人には合うが、合わない人は合わないだろうと思われます。

IT技術に強く関連する仕事がしたく、かつ厳しい環境で成長したい。そしてその見返りとして高い給与がほしいという学生にとっては同社は最もよい環境であると思われます。そういった思考の学生ならNRIはベストな選択肢だと思います。

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【7大総合商社中間決算ランキング2019年最新版】三菱商事が首位陥落。勢力図に変化あり? 【7大総合商社中間決算ランキング2019年最新版】三菱商事が首位陥落。勢力図に変化あり? 総合商社業界完全攻略記事一覧1.【業界研究】今更聞けない総合商社とは?仕事・歴史・年収をわかりやすく解説2.【業界研究】総合商社の年収の全てが一目で丸わかり!3.【業界研究】理解している?総合商社と専門商社の違い4.【業界研究】五大総合商社比較5.【業界研究】就活に役立つ総合商社の歴史を解説6.【業界研究】総合商社とは?歴史・仕事内容・年収などを徹底比較|選考対策付き7.【業界研究】総合商社の最新動向まとめ例年、就活生から絶大な人気を集めている総合商社。11月に入り、各社の2019年度第2四半期決算が揃いました。昨年(2018年度)は7社中6社が過去最高の純利益を達成するなど好調だった総合商社業界ですが、今年の上半期は大きな変動のある期となりました。そこで今回は、各社の決算資料やIR情報をもとに、"7大総合商社各社の2019年度第2四半期決算"をまとめました。IR情報と聞くと、「なんだか難しそう」、「読んでも理解できない」と感じる就活生もいるかと思いますが、今回は会計知識の乏しい就活生でも理解できるように執筆してありますので、ぜひ最後までご覧ください。総合商社は各社ともビジネスモデルに大きな違いはないため、「各社の得意領域はどこなのか?、全体の利益はどのように構成されているのか?」という観点を理解することが"志望度のアピール"に繋がりますので、その観点も踏まえて読み進めていただればと思います。※本記事は決算に関する情報を取り扱っているため、専門的な用語を知らない方は以下で用語の意味を確認してから記事を読み進めてください。◆「純利益」とは→「売上金額からすべての費用を差し引いたあと、最終的に企業の手元に残るもうけ金」を指します。つまり、企業がその期間に稼ぎ出した「最終的な利益」のことです。◆「連結純利益」とは→「企業のグループ全体の純利益」を指します。すなわち、「親会社本体の純利益に、その企業の子会社・関連会社の純利益を加算(連結)したもの」のことです。◆「第2四半期決算」とは→1Q(4~6月)と2Q(7~9月)の決算を累計したものを指します。「中間(連結)決算・上半期決算」とも表記されますが、本記事では「第2四半期決算」で統一して表記しています。◆「通期決算」とは→1年間を通した企業の決算を指します。通期決算は途中で修正することもあり、「上方修正・下方修正」の2種類があります。※「純利益・決算」のより詳細な解説を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。本記事の構成昨年度(2018年度決算)の振り返り【2019年度第2四半期決算】7大総合商社各社の連結純利益【三菱商事】3年ぶりに首位陥落。原料炭価格下落と石油の不正取引による損失が大きく影響か?【伊藤忠商事】業界が不調の中、一人勝ち状態で首位を奪還。通期決算でも4年ぶりの首位を狙う!【三井物産】資源分野の強さを示し、増益を確保。中核分野の強化でさらなる増益を目指す!【住友商事】全体的に低調な結果の上半期。既存事業強化と新規ビジネス創出で今後の躍進を狙う!【丸紅】穀物分野の不調で大幅な減益に。3年連続通期決算最高益を目指して巻き返しを図る!【豊田通商】安定した業績で増益を確保。次の戦略はアフリカ分野の強みを活かしたシナジー創出!【双日】主力事業が軒並み不調で全体にも影響。成長の継続には下半期の業績が鍵となるか?まとめ総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介昨年度(2018年度決算)の振り返り今年度(2019年度)の決算を確認する前に、まずは7大総合商社の過去4カ年(2015年度~2018年度)の通期決算(連結純利益)を確認しておきます。上記のグラフを見ると、近年は業界全体として業績が好調に推移していることが読み取ることができると思います。また、2018年度に関しては三井物産を除く6社の最終利益が過去最高を更新しました。以下、2018年度の各社のトピックスと決算との関連性を簡単にまとめましたので、確認してみてください。三菱商事→千代田化工建設絡みの損失による影響が響いたが、2位の伊藤忠商事とは大きな差をつけた。2017年度に引き続き、2年連続の最高益達成。伊藤忠商事→ユニー・ファミリーマートホールディングスの子会社化による影響もあり、初めて5,000億円の大台突破。三井物産→7大総合商社の中で唯一、過去最高の最終利益を更新できず。米子会社の火災事故による損失計上などが響いた。住友商事→米国タイヤ事業関連の変化はあったが、2017年度に引き続き2年連続の最高益達成。丸紅→収益に関しては7大総合商社の中で唯一マイナスを計上。パルプ事業などが牽引し、最終利益に関しては過去最高を更新。豊田通商→自動車関連の事業が好調であり、2年連続で最高益を達成。双日→資源・エネルギー事業の好調が影響し、最高益を達成。ただ、同じ7大総合商社の豊田通商の連結純利益と比較すると、1/2程度の数値となっている。このデータを見れば、「今年度(2019年度)も好調に推移していくだろう」と考える方も多いのではないでしょうか。では実際はどうだったのか、2019年度第2四半期決算をみていきましょう。【2019年度第2四半期決算】7大総合商社各社の連結純利益上記のグラフは過去4カ年の第2四半期決算(連結純利益)になります。こちらに関しては参考程度に見ていただければと思いますが、"首位が入れ替わっていること"が読み取れると思います。そこで、今年(2019年度)だけにフォーカスしてみると以下のような結果となっています。三菱商事:2,424億円(前年同期比21%の減益)伊藤忠商事:2,891億円(前年同期比12%の増益)三井物産:2,342億円(前年同期比5%の増益)住友商事:1,524億円(前年同期比15%の減益)丸紅:1,118億円(前年同期比26%の減益)豊田通商:791億円(前年同期比1%の増益)双日:295億円(前年同期比21%の減益)上述した通り、三菱商事と入れ替わり伊藤忠商事が首位に躍り出たことが分かると思いますが、前年同期比を見ても伊藤忠商事が大幅に純利益を伸ばしていることが読み取れます。また、7社中4社が前年同期比で減益、それも4社とも二桁(パーセンテージ)の減益となっているように、業界全体としてかなり苦しんだ2019年上半期だったようです。7社合計の純利益に関しても約1兆1384億円となり、前年同期比で8%減という結果となりました。2019年度上半期の総合商社業界全体のトピックスに関しては以下のようになります。トピックス◆業界全体として不調傾向となった主な要因は以下の3点→アメリカと中国の貿易摩擦などを背景とした世界経済の減速→石炭などの資源価格の下落→自動車関連の分野や化学品の取り引きの減少それでは、ここからは7大総合商社各社の今年(2019年度)の第2四半期決算を順番に確認していきます。【三菱商事】3年ぶりに首位陥落。原料炭価格下落と石油の不正取引による損失が大きく影響か?三菱商事の2019年度第2四半期決算は、かなり苦しい結果となりました。2018年度第2四半期決算が3,093億円だったのに対し、今年度(2019年度第2四半期決算)は2,424億円と、前年同期比で"約21%の減益"という結果が出ています。その影響により、2019年度第2四半期決算では3年ぶりに伊藤忠商事に首位の座を明け渡し、3位の三井物産にも肉薄される状況となっています。"金属資源分野に強い三菱商事"というだけあり、全体の純利益の1/3以上を金属資源分野が稼いでいます。ただ、前年同期比と比較してみると、「1,312億円→896億円」と約32%の減益という結果になっています。この背景には、原料炭価格の下落や生産コストの上昇による影響があるのですが、この金属資源分野の不調が全体の純利益に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。また、昨年(2018年度第2四半期決算)は229億円の純利益を創出していた石油・化学分野が、今年は一転して221億円の損失となってしまいました。この背景には、「シンガポールの原油・石油製品トレーディング会社における原油デリバティブ取引関連の損失」が大きく影響しています。【参考記事】【三菱商事HP】プレスルーム:当社海外連結子会社での損失発生について金属資源分野と石油・化学分野の不調とは逆に、前年から大きく利益を伸ばしたのが産業インフラ分野になります。昨年の326億円の損失に対し、今年は259億円の利益まで戻すことができています。金属資源分野と石油・化学分野の不調を、産業インフラ分野が穴埋めした格好ということができるでしょう。※ただ、昨年は千代田化工建設絡みの損失による影響が大きかったため、「産業インフラ分野が好調」とは一概には言えないかもしれません。【参考記事】朝日新聞デジタル:千代田化工が債務超過に三菱商事が1800億円支援第2四半期決算の不調を受け、2019年度通期決算の予想も5,200億円と下方修正されています。4年連続の通期決算首位の座を死守できるかは、下半期の動向に掛かっているでしょう。【参考】【三菱商事HP】2019年度第2四半期決算:IR資料【関連】【三菱商事HP】中期経営戦略2021三菱商事の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【伊藤忠商事】業界が不調の中、一人勝ち状態で首位を奪還。通期決算でも4年ぶりの首位を狙う!伊藤忠商事の2019年度第2四半期決算は、「7社の中で一人勝ち」とも言える結果となりました。7社中4社が前年同期比で減益しているのに対し、「2,580億円→2,891億円」と前年同期比"約12%の成長"を見せ、三菱商事を抜いて3年ぶりに首位(第2四半期決算)を奪還しました。上記のグラフを確認すると「金属分野」が最も大きな割合を占めていますが、この金属分野が前年同期比222億円の増益と好調だったのが、全体の純利益に大きな影響を及ぼしたと読み取ることができるでしょう。金属分野に関しては石炭価格の下落はあったものの、「鉄鉱石価格の上昇」などの恩恵を受けたことで大きな増益となったようです。また、"非資源分野に強い伊藤忠商事"と言われているだけあり、今年度の決算に関してもその強みは大きく発揮されたようです。業界が不調傾向にあった最も大きな要因が「世界的な景気の減速、それに伴う資源価格の下落」にあったのですが、伊藤忠商事の今年の決算における資源分野の割合は約22%と他社よりも低く、且つ国内事業にも強みを持っているため、他社に比べて影響を受けなかったといえるでしょう。また、元々強みを持っていた「食料や繊維分野」に関しては、今年の第2四半期決算でも引き続き強さを見せつけた格好となっています。2019年度第2四半期決算では首位に立った伊藤忠商事ですが、通期決算の予想は「5,000億円」と三菱商事を下回る予想となっています。ただ、上半期の調子を維持すれば通期決算でも伊藤忠商事が首位に立つ可能性は充分あり、熾烈な首位争いが繰り広げられることが予想されるでしょう。今後の方針に関しては、まずは"伊藤忠商事が強みを持っている既存事業への投資を優先し、次世代投資に関しては事業性を見極めながらポイントを絞って投資を進める"ことで、さらなる成長を目指していくようです。【参考】【伊藤忠商事HP】2019年度第2四半期決算:決算説明資料【伊藤忠商事HP】2019年度第2四半期決算:IR決算資料(補足資料)【関連】【伊藤忠商事HP】2019年度短期経営計画伊藤忠商事の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【三井物産】資源分野の強さを示し、増益を確保。中核分野の強化でさらなる増益を目指す!三井物産の2019年度第2四半期決算は前年同期比で増益となり、まずまずの結果と言えるでしょう。伊藤忠商事ほど増益幅は大きくないですが、「2,229億円→2,342億円」と"113億円の増益"を確保することができました。昨年(2018年度)の通期決算では7大総合商社の中で唯一減益となってしまった三井物産ですが、今年(2019年度)の巻き返しに期待を持てる結果となりました。"資源分野に強みを持っている三井物産"は、2019年度第2四半期決算を見ても、全体の純利益の70%以上を「金属資源・エネルギー分野」が占めています。そしてこの2つの分野がそれぞれ、前年同期比で大幅な増益を確保することに成功しました。増益の要因としては、「(1)鉄鉱石価格の堅調な推移(2)重油・LNGトレーディングの好調」などが大きく影響しているようです。※記事内で「資源分野が業界全体として不調」という説明がありますが、資源分野の中でも鉄鉱石は好調であり、原料炭・非鉄といった資源が不調となっています。一方で「化学品・鉄鋼製品・生活産業」といった分野は芳しくない業績となっています。この要因としては、「景気減速等に伴い、事業会社の収益が減少したこと」が大きく影響しているようです。今年(2019年度)の第2四半期決算に関しては、「非資源分野の減益を資源分野の増益でカバーした」という格好になっており、良くも悪くも"全体の純利益は資源分野の業績に掛かっている"と言えるでしょう。2019年度通期決算に関しては、当初の計画から据え置きの「4,500億円」となっています。今後のプランとしては、既存事業の基盤強化に加え、その周辺事業の拡大・横展開を通しさらなる成長を目指していくようです。【参考】【三井物産HP】2019年度第2四半期決算:参考資料【三井物産HP】2019年度第2四半期決算:プレゼンテーション資料【関連】【三井物産HP】中期経営計画の進捗三井物産の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【住友商事】全体的に低調な結果の上半期。既存事業強化と新規ビジネス創出で今後の躍進を狙う!住友商事の2019年度第2四半期決算は、かなり苦しい結果となりました。2018年度第2四半期決算が1,793億円だったのに対し、今年度(2019年度第2四半期決算)は1,524億円と、前年同期比で"約15%の減益"という結果が出ています。業界4位の座は引き続き確保している住友商事ですが、業界TOP3(三菱商事・伊藤忠商事・三井物産)とは差を広げられてしまった格好になっています。住友商事は他の総合商社に比べ、"(1)生活・不動産(2)メディア・デジタル分野"に強みを持っていると言われています。ただ、この2つの分野に限らず、ほとんどの分野が前年同期比で減益という結果になってしまいました。特に、昨年の第2四半期決算で最も大きな割合を占めていた「資源・化学品分野」が前年同期比132億円の減益となってしまったのが、全体の純利益に大きな影響を与えたようです。トピックスに目を向けてみると、「(1)北米で鋼管の需要回復が遅れたことによる化学品の取引の減少(2)石炭価格の下落(3)マダガスカルのニッケル鉱山の不振」などが減益の要因として挙げられます。【参考記事】ダイヤモンドオンライン:住商が特損、日本も資源バブル崩壊と無縁ではいられない一方で、減益にならなかったのは7分野中2分野だけであり、生活・不動産分野が前年同期比1億円の増益(微増)、インフラ分野が前年同期比167億円の増益(大幅増加)でした。第2四半期決算の不調を受け、2019年度通期決算の予想も「3,400億円→3,000億円」へと下方修正されています。ただ、住友商事は近年「新規事業(次世代新規ビジネスなど)向けの投資」を進めています。今後は"(1)テクノロジー×イノベーション(2)ヘルスケア(3)社会インフラ"といった成長分野に注力していくなど、この投資関連の事業が今後の躍進・業績拡大の一手となるかもしれません。【参考】【住友商事HP】2019年度第2四半期決算:決算発表プレゼンテーション【住友商事HP】2019年度第2四半期決算:決算説明会プレゼンテーション【関連】【住友商事HP】中期経営計画2020住友商事の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【丸紅】穀物分野の不調で大幅な減益に。3年連続通期決算最高益を目指して巻き返しを図る!丸紅の2019年度第2四半期決算は、かなり苦しい結果となりました。2018年度第2四半期決算が1,520億円だったのに対し、今年度(2019年度第2四半期決算)は1,118億円と、前年同期比で"約26%の減益"という結果が出ています。この26%の減益という結果は、7大総合商社の中で最も下がり幅の大きい数値となってしまいました。"電力・穀物・生活産業分野"に強みを持っていると言われている丸紅。ただ、丸紅の強みである「穀物分野」に関し、傘下の米穀物大手ガビロンの不適切会計の処理(米国の穀物事業の採算が悪化)が響いたようです。また、紙パルプの市況が悪化したことも全体の純利益にマイナスの影響を及ぼしていると考えられます。一方で、前年同期比で大幅な増益となったのが「金属分野」になります。これは業界全体に共通することなのですが、「豪州鉄鉱石事業の好調による増益」が最も大きな要因とされています。2019年度第2四半期決算は減益となってしまいましたが、通期決算に関しては当初の計画から据え置きの「2,400億円」となっています。通期決算で3年連続(2017年度、2018年度と最高益を更新している)の最高益を達成するためには、下半期の巻き返しが鍵となると考えられます。また、「中期経営戦略(2019~2021年度)」を確認してみると"既存事業・領域の充実を優先させ、新たな領域・ビジネスに参入していく計画"という記載があったため、下半期はこのあたりの戦略にも注目ではないでしょうか。【参考】【丸紅HP】2019年度第2四半期決算:IR資料【丸紅HP】2019年度第2四半期決算:IR補足資料【関連】【丸紅HP】中期経営戦略GC2021丸紅の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【豊田通商】安定した業績で増益を確保。次の戦略はアフリカ分野の強みを活かしたシナジー創出!業界全体が不調傾向にあった中、2019年度第2四半期決算において豊田通商は安定した業績を収めました。前年同期比では「786億円→791億円」と、"僅かながら増益"という結果で上半期を終えることができました。豊田通商の特徴は、"アフリカ分野に強みを持っている(アフリカビジネスで先行している)"ことでしょう。(IR資料にもアフリカという分野が設けられています)その強みを持っているアフリカ分野ですが、前年同期比で収益は微増(64億円→68億円)となっています。豊田通商の今年(2019年度)の第2四半期決算で最も好調だったのが「機械・エネルギー・プラントプロジェクト分野」になり、前年同期比で「120億円→277億円」と200%以上の成長率を見せました。この背景には、「電力事業における関連会社株式売却益等による増益」があったようです。ただ一方で、金属分野は大幅な減益となっており、これには「金属資源事業における減損」が背景としてあるようです。そして2019年度通期決算に関しては、当初の計画から据え置きの「1,500億円」となっています。アフリカ分野はもちろんですが、今後は「ネクストモビリティー・再生可能エネルギー分野」にも注力していくと言われており、業界の中でも独自の立ち位置を築いていくのはないでしょうか。【参考】【豊田通商HP】2019年度第2四半期決算:IR資料【関連】【豊田通商HP】2022年3月期中期経営計画達成に向けて豊田通商の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【双日】主力事業が軒並み不調で全体にも影響。成長の継続には下半期の業績が鍵となるか?双日の2019年度第2四半期決算は、かなり苦しい結果となりました。2018年度第2四半期決算が371億円だったのに対し、今年度(2019年度第2四半期決算)は295億円と、前年同期比で"約21%の減益"という結果が出ています。日商岩井とニチメンが統合して誕生した双日は、"航空産業・自動車分野"に強みを持っていると言われています。ただ、この強みを持っている2分野が前年同期比で減益となっています。また、セグメント別の純利益で最も大きな割合を占めている「金属・資源分野」に関しても、前年同期比で「162億円→98億円」と減益となり、このあたりが全体の純利益に大きく影響したのではないかと読み取ることができます。この要因としては、「世界経済の減速・資源価格の下落」が大きいと考えられます。そして今年(2019年度)の通期決算に関してですが、当初の計画から据え置きの「720億円」となっています。上半期の減益をカバーし、通期決算720億円を達成するため、「徹底的なコストの見直し・実行済み投融資からの収益貢献」を中心に着実な成長に繋げていくようです。【参考】【双日HP】2019年度第2四半期決算:IR説明資料【双日HP】2019年度第2四半期決算:決算説明会資料【関連】【双日HP】中期経営計画2020~CommitmenttoGrowth~双日の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちらまとめ本記事では、各社の決算資料やIR情報をもとに、"7大総合商社各社の2019年度第2四半期決算"をまとめてみました。様々な変化・トピックスが見受けられた「総合商社業界の2019年度上半期」となりましたので、総合商社志望の就活生の方は、本記事に記載した情報・知識をしっかりと把握しておくことが望ましいでしょう。ただ、本記事で解説した内容はあくまでも「第2四半期決算という短期的な業績」に過ぎません。上述した過去4カ年の決算の推移を見ても分かる通り、各社の業績は年々変動がありますので、あくまでも参考程度に本記事の内容を理解していただければと思います。※また、本記事では「2019年度第2四半期決算」にフォーカスした内容となっています。今後の経営方針などを確認したい方は、各社の企業HP上で掲載している「中期経営計画」をご覧ください。決算・IR情報に関する記事はこちら総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。下記には、総合商社の業界・企業研究の記事を記載しております。是非ご活用ください。総合商社の業界研究に関する記事はこちら7大総合商社各社の企業研究ページはこちら◆三菱商事◆伊藤忠商事◆三井物産◆住友商事◆丸紅◆豊田通商◆双日 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【大手自動車メーカー中間決算分析2019】100年に一度の変革期に各社はどう立ち向かっていくのか!? 【大手自動車メーカー中間決算分析2019】100年に一度の変革期に各社はどう立ち向かっていくのか!? 就活生の皆さんは、"各社の決算"に目を向けたことはあるでしょうか。unistyleでは以前、決算に関して以下のような記事を執筆致しました。上記の「7大総合商社の決算に関する記事」への反響が大きく、それならば異なる業界の決算も分析してみようと考え、本記事では"大手自動車メーカー7社の2020年3月期第2四半期決算"を分析していこうと思います。言わずと知れた日本を代表する企業である「トヨタ自動車」を始め、自動車業界は国内産業の中でも大きな影響力を持っており、就活生からの人気も高い業界になります。IR情報と聞くと、「なんだか難しそう」、「読んでも理解できない」と感じる就活生もいるかと思いますが、今回は会計知識の乏しい就活生でも理解できるように執筆してありますので、ぜひ最後までご覧ください。また、決算の分析に加え、本記事では「各社の特徴・業界内での立ち位置」なども解説しています。「各社はどの地域に力を入れているのか?、今後の経営計画に違いはあるのか?」などの観点を理解することが"志望度のアピール"にも繋がりますので、その観点も踏まえて読み進めていただければと思います。※本記事は決算に関する情報を取り扱っているため、専門的な用語を知らない方は以下で用語の意味を確認してから記事を読み進めてください。◆「売上高」とは→企業が商品を販売したりサービスを提供することにより、得られた売上の合計額を指します。つまり、「企業が主たる営業活動によって得た金額の総額」のことです。◆「営業利益」とは→企業が本業で稼いだ利益を指します。「売上総利益から販売費および一般管理費(販管費)を差し引いたもの」のことです。◆「売上高営業利益率」とは→営業利益の売上高に対する割合を指します。つまり、「営業利益÷売上高×100(%)」で計算することができ、本業でどのくらい効率的に儲けたかを知ることができます。◆「第2四半期決算」とは→1Q(4~6月)と2Q(7~9月)の決算を累計したものを指します。「中間(連結)決算・上半期決算」とも表記されますが、本記事では「第2四半期決算」で統一して表記しています。◆「通期決算」とは→1年間を通した企業の決算を指します。通期決算は途中で修正することもあり、「上方修正・下方修正」の2種類があります。※「売上高・営業利益・決算」のより詳細な解説を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。本記事の構成直近5カ年(2015年3月期~2019年3月期)の通期決算の推移今期(2020年3月期)の第2四半期決算の結果近年の自動車業界全体のトピックや動向【トヨタ自動車】売上高・営業利益ともに増益を達成。王者として独走態勢を築く!【ホンダ(本田技研工業)】停滞気味の上半期。インド市場の景気減速が響いたか?【日産自動車】昨今の様々な問題による影響を挽回できず。自動車メーカー御三家としての再建はいかに?【スズキ】低調な結果となった上半期。強みであるインド市場の回復が今後の鍵となるか?【マツダ】ほぼ全ての地域で業績が減速。効果的な投資戦略で回復を目指す!【SUBARU(旧:富士重工業)】売上高・販売台数ともに絶好調。米国の好調を維持してさらなる成長を目指す!【三菱自動車】営業利益が大幅な減益に。アセアン地域を核にした持続的な成長が今後の鍵となるか?まとめ自動車業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介直近5カ年(2015年3月期~2019年3月期)の通期決算の推移今期(2020年3月期/2019年度)の決算を確認する前に、まずは大手自動車メーカー7社の直近5カ年(2015年3月期~2019年3月期)の通期決算を確認しておきます。【期間の見方】2015年3月期:2014年4月1日~2015年3月31日2016年3月期:2015年4月1日~2016年3月31日2017年3月期:2016年4月1日~2017年3月31日2018年3月期:2017年4月1日~2018年3月31日2019年3月期:2018年4月1日~2019年3月31日直近5カ年の通期決算:連結売上高グラフを見てみると、直近5カ年では大きな変化はないことが読み取れます。「スズキ・マツダ・SUBARU(旧:富士重工業)」の3社は、年度によって順位が入れ替わったりはしていますが、それ以外は特筆すべきところはありません。また、2019年3月期の通期決算にて、トヨタ自動車の年間売上高が30兆円を突破しましたが、これは日本企業として初めてのことです。最新の日本企業全体の売上高ランキングを見ても、「トヨタ自動車が1位、ホンダ(本田技研工業)が3位、日産自動車が7位」ですので、国内企業における自動車メーカーの影響力を改めて実感することができます。【日本経済新聞】売上高ランキング※なお、上述した売上高ランキングは現時点(2019年12月27日時点)での結果となっています。ランキングは随時更新されていきますので、参考程度にご覧ください直近5カ年の通期決算:連結営業利益大きな変化の見られなかった売上高と異なり、営業利益に関しては一点気になる点が見れらます。それは「2017年3月期決算にて三菱自動車が大幅な減益となっている」ことです。この点に関しては"燃費不正問題"が大きく影響しているようです。三菱自動車は、2015年11月に発覚した燃費不正問題関連の費用を、特別損失として約1600億円を計上しました。そのため、業績不振による損失というよりは一過性のものという見方をして問題ないでしょう。(翌年の決算で982億円の営業利益を挙げていることからも、業績が不調という訳ではないことが読み取ることができると思います)【財経新聞】三菱自動車が約2000億円の赤字決算を発表、燃費不正の影響直近5カ年の通期決算:売上高営業利益率売上高営業利益率に関しては、「他社に比べてSUBARUの営業利益率が高いこと」が特徴と言えるでしょう。その理由としては主に以下の4点の理由が挙げられます。SUBARUの営業利益率が高い要因◆軽自動車など、儲けの少ない車を製造・販売しない方向へシフトしたから◆販売地域が、比較的儲けやすい北米地域が中心となっているから◆販売促進費用を抑えるなど、他社に比べて販売コストを節約しているから◆車種の数を抑えて派生車種で品揃えを整えることで、効率性が優れるように構造化しているから上記のような要因があるため、SUBARUの利益率は他社に比べて高いという結果となっています。より詳細な内容に関しては、以下に掲載した参考リンクから確認していただければと思います。SUBARUは競合他社との差別化を明確にすることができており、大手自動車メーカーの中でも"少し異色の存在"とも言えるでしょう。【参考】ベストカーWeb:スバルに”台数”は必要なし!?スバルの利益率が国内ナンバーワンの理由ベストカーWeb:スバルの利益率はなぜ高いのか?【日本の自動車メーカーでは異例の10%超の常連】直近5カ年の通期決算の推移を確認したところで、本記事の主題である"今期(2020年3月期)の第2四半期決算"を見ていきます。今期(2020年3月期)の第2四半期決算の結果各社の決算短信をもとに、大手自動車メーカー7社の今期(2020年3月期)の第2四半期決算をまとめました。直近5カ年の推移と同様、「売上高・営業利益・売上高営業利益率」の3つの観点から前年同期比も併せて紹介しています。【期間の見方】2019年3月期第2四半期決算:2018年4月1日~2018年9月30日2020年3月期第2四半期決算:2019年4月1日~2019年9月30日第2四半期決算:連結売上高昨期(2019年3月期)と今期(2020年3月期)で順位に変動はありませんでしたが、業績の調子には各社濃淡が見られます。7社中トヨタ自動車とSUBARUの2社だけが前年同期比で増益、ホンダと日産自動車が10%近くの大幅な減益という結果になりました。業界全体の動向や各社のトピックに関しては後ほど解説するため、ここでは割愛させていただきますが、「企業間で業績に濃淡が見られる」ということを覚えておいていただければと思います。第2四半期決算:連結営業利益先ほど紹介した売上高と上記の営業利益の数値を見比べてみると、やはりトヨタ自動車とSUBARUの業績が好調であることが読み取れます。一方で、先ほど紹介した売上高に比べ、営業利益の方が企業間での数値の差が大きいことが分かるでしょう。一例として取り上げると、「日産自動車が前年同期比で85.0%の減益、三菱自動車が前年同期比で82.1%の減益、SUBARUが前年同期比で68.1%の増益」となっています。順位が大きく入れ替わっていることももちろんですが、売上高が一桁(パーセンテージ)の変化しかなかったのに比べ、営業利益は大幅に数値が変化しています。第2四半期決算:売上高営業利益率売上高営業利益率に関しては、上記のグラフの通りとなっています。先ほど紹介した売上高・営業利益と紐付いているため、詳細な解説などは割愛させていただきますが、「各社の業績の調子」を見る際の参考にしていただければと思います。この変化の要因を分析するため、続いては「近年の自動車業界全体のトピックや動向」を探っていきます。近年の自動車業界全体のトピックや動向各社の今期決算(2020年3月期第2四半期決算)を確認する前に、"近年の自動車業界全体のトピックや動向"に軽く触れておきます。近年の自動車業界に関し、触れておく必要がある内容としては以下の2点が挙げられます。(なお、本記事は決算の分析が主題となりますので、業界全体のトピックや動向に関しては詳細には解説しません。ご了承ください。)100年に一度の変革期CASE100年に一度の変革期「自動車業界は100年に一度の変革期にある」という文言は、トヨタ自動車の豊田章男社長が提言したものになりますが、近年の各社の取り組みや施策と照らし合わせてみてもその片鱗は見て取れます。"CASEやモビリティ化"など、トヨタ自動車に限らず各社が「自動車を開発・製造・販売するだけのメーカーからの脱皮」を推し進めているようです。【参考】プレジデントオンライン:小さな自動車会社が生き残るのはもう無理か?自動車業界"100年に一度の変革期"CASECASEとは、「Connected:コネクティッド化」「Autonomous:自動運転化」「Shared/Service:シェア/サービス化」「Electric:電動化」の4つの頭文字をとったものです。このCASEという言葉は、2016年のパリモーターショーにて、独ダイムラーのディエター・チェッチェCEOが発表した中長期戦略の中で用いたのが始まりです。CASEに関しては、unistyleの以下の記事で詳細に解説していますので、こちらをご確認いただければと思います。【関連】【参考】日経ビジネス:クルマを一変させる「CASE」って何だ?それでは、「近年の自動車業界全体のトピックや動向」を軽く紹介したところで、"各社の今期(2020年3月期)の第2四半期決算の結果"を見ていきましょう。単純に自身の志望企業の解説だけを見るのではなく、他社との違いを見比べながら読み進めていただければと思います。なお、各社の紹介する順番に関しては「2019年3月期通期決算の連結売上高が高い順」となっています。【トヨタ自動車】売上高・営業利益ともに増益を達成。王者として独走態勢を築く!トヨタ自動車の今期の第2四半期決算は"好調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で増益となり、業界1位の座を不動のものにしていることは間違いないでしょう。地域別販売台数割合上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。総販売台数に関しては「442万台→464万台」と前年同期比+5.0%となっています。地域別の販売台数を確認してみても、グラフに記載されている5つの地域全てが前年同期比で増加しており、それゆえに販売台数割合に関しても大きな変化は見られません。2019年度上半期(2019年4月1日~9月30日)のトピックとしては、「(1)8月にスズキと資本提携に関する合意書を締結(2)9月に米国テキサス工場への4億ドルの投資を発表(3)9月にSUBARUと新たな業務資本提携に合意」などがありました。トヨタ自動車は業界のリーディングカンパニーとして、競争力強化に向けた取り組みを進めています。今期の通期決算の見通しに関しては、「売上高:29兆5,000億円」、「営業利益:2兆4,000億円」と修正はありませんでした。ただ、売上高・営業利益ともに前年同期比で微減という見通しになっています。【参考】トヨタ自動車:2020年3月期第2四半期決算報告プレゼンテーション資料今後の経営計画・取り組みに関してトヨタ自動車は、「自動車をつくる会社」から、「モビリティカンパニー」へのモデルチェンジを進めています。そして、その先にある「モビリティ社会の実現」に向け、自動車業界を引っ張っていくことを目指しています。それに付随し、2018年8月に「Uberとの協業拡大」を発表、さらに同年「ソフトバンクと新たなモビリティサービスの構築に向けた新会社MONETTechnologies(モネテクノロジーズ)を設立し、2018年度内をめどに共同事業を開始する」と発表しました。また、直近の取り組みとしては、電動車普及に向けたチャレンジを進めていくようです。アニュアルレポート2018によると、「2020年からEV(ElectricVehicle:電気自動車)を本格的に展開→2030年に販売台数の内のEV比率を50%以上→2050年に新車CO2ゼロチャレンジを実現」というマイルストーンを設定しています。トヨタ自動車は国内に限らず、世界中でも絶大な影響力を持っているがゆえに、今後もその施策や発表の一挙手一投足に注目が集まります。【参考】トヨタ自動車:アニュアルレポート2018トヨタ自動車の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【ホンダ(本田技研工業)】停滞気味の上半期。インド市場の景気減速が響いたか?ホンダの今期の第2四半期決算は"やや不調"と言えます。業界2位の座はキープしていますが、売上高・営業利益ともに前年同期比で減益となり、増益を果たした1位トヨタ自動車に差を広げられる形となりました。地域別販売台数割合:二輪事業地域別販売台数割合:四輪事業地域別販売台数割合:ライフクリエーション事業上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。ホンダは、「(1)二輪事業(2)四輪事業(3)ライフクリエーション事業」の3事業でそれぞれ販売台数が記載されていたため、グラフも分類させていただきました。ライフクリエーション事業とは→農機用汎用エンジンを皮切りに、耕うん機、発電機、除雪機、船外機、芝刈機など、世界中の人々の手助けやライフラインとなる製品を生み出し続けてきた事業【参考】Honda新卒採用サイト:事業領域販売台数の前年同期比は、二輪事業が「1,067万台→1,002万台」で-6.1%、四輪事業が「255万台→256万台」で+0.4%、ライフクリエーション事業が「260万台→244万台」で-6.5%となっており、四輪事業の健闘が見られる結果となっています。また、二輪事業の販売台数が前年同期比で約65万台も減少しているのですが、アジア地域だけで約71万台も減少しています。全体の89%を占めるアジア地域の不振が二輪事業の販売台数全体にも大きな影響を及ぼしたと読み取ることができるでしょう。そして、その最大の要因は「インド市場の減速影響を受けたこと(融資引き締め継続・景気悪化による個人消費の減速)」にあるようです。ただ、この影響は自動車業界全体にも及ぼすものであるため、ホンダに限った事象ではないことを理解していただければと思います。今期の通期決算の見通しに関しては、主要3事業全ての販売台数が下方修正されています。販売台数の影響もあり、売上高と営業利益に関しても下方修正がなされており、「売上高:15兆500億円(昨期は15兆8,886億円)」、「営業利益6,900億円(昨期は7,263億円)」となっており、双方とも昨期を下回る見通しとなっています。【参考】ホンダ:2019年度第2四半期決算説明会資料今後の経営計画・取り組みに関して2017年3月期のアニュアルレポート(現時点での最新版)にて、ホンダは"2030年ビジョン"を掲げています。2030年ビジョン【ビジョンステートメント】すべての人に"生活の可能性が拡がる喜び"を提供する【企業姿勢】質の追求による成長【ビジョン実現に向けた取り組みの方向性】喜びの創造:「移動」と「暮らし」の価値創造喜びの拡大:多様な社会・個人への対応喜びを次世代へ:クリーンで安全・安心な社会へ【成長の為の事業基盤強化】経営資源の有効活用「自動車業界は100年に一度の変革期にある」と言われている現代、国内・世界の自動車産業界で大きな影響力を及ぼしているホンダも、新たな取り組みを続々と進めていくようです。「(1)二輪車・四輪車・パワープロダクツという多岐に渡るモノづくりの力(2)世界中の顧客・市場基盤」とい既存の強みに、「コトづくりを含むソリューション創出力」を加え、新たなシナジーを生み出していくのではないでしょうか。【参考】ホンダ:アニュアルレポート2017ホンダ(本田技研工業)の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【日産自動車】昨今の様々な問題による影響を挽回できず。自動車メーカー御三家としての再建はいかに?日産自動車の今期の第2四半期決算は"不調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で減益となり、特に営業利益に関しては「2,103億円→316億円」と前年同期比-85.0%という結果になっています。地域別販売台数割合上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。総販売台数に関しては「268万台→250万台」と前年同期比-6.8%となっています。地域別の販売台数を見てみても、上記グラフで取り上げている5つの地域全てがマイナスとなっており、特に欧州が「33万台→27万台(前年同期比-19.7%)」とかなり数字が落ち込みました。この欧州での不振を受け、「英国とスペインにある2工場の売却を検討している」というニュースも報道されてしまうという事態にもなっています。【参考】産経ニュース:日産、欧州2工場売却と報道販売不振で今期の通期決算の見通しに関しては、総販売台数が「554万台→524万台」と下方修正されています。それに付随し、売上高と営業利益に関しても下方修正がなされており、「売上高:10兆6,000億円(昨期は11兆5,742億円)」、「営業利益1,500億円(昨期は3,182億円)」となっており、双方とも昨期を下回る見通しとなっています。【参考】日産自動車:2019年度上期決算プレゼンテーション資料2017年の不正検査問題や2018年のカルロス・ゴーン元会長の逮捕など、近年様々な問題に揺れた日産自動車ではありますが、自動車業界に限らず日本を代表する企業であることは間違いありません。自動車メーカーの御三家(トヨタ自動車・ホンダ・日産自動車)として、今後はどのような取り組み・改革を進めていくのか、以下で紹介します。今後の経営計画・取り組みに関して日産自動車は、2017年度に6か年計画(中期計画)「NissanM.O.V.E.to2022」を発表しています。その計画によると、「技術の日産」と呼ばれるその技術力を活かし、"自動車産業の技術・ビジネスの進化をリードしていくこと"を目指していくようです。具体例としては、「電気自動車、自動運転、コネクテッド・カー、新たなモビリティ・サービス」などが挙げられ、"今後の自動車産業の核となるであろう分野での競争優位性の獲得"に取り組んでいくと見られています。ただ、近年の業績不振を受け、この計画に関する目標の一部が2019年5月に見直されています。カルロス・ゴーン退任後の「仏ルノーとの協力関係」、「ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合」なども先行きが不透明な部分もあるため、この計画通りに進むどうかは今後の動向を注視するべきでしょう。【参考】日産自動車:中期計画朝日新聞デジタル:日産、中期計画を下方修正へゴーン氏去って戦略見直し日本経済新聞:ゴーン後の日産・ルノー、静かに進む提携解消【関連】日産自動車:アニュアルレポート2019日産自動車の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【スズキ】低調な結果となった上半期。強みであるインド市場の回復が今後の鍵となるか?スズキの今期の第2四半期決算は"不調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で減益となり、特に営業利益に関しては「1,985億円→1,186億円」と前年同期比-40.3%という結果になっています。地域別販売台数割合:四輪車地域別販売台数割合:ニ輪車上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。スズキは、「(1)四輪車(2)二輪車」でそれぞれ販売台数が記載されていたため、グラフも分類させていただきました。販売台数の前年同期比は、四輪車が「170万台→141万台」で-17.2%、二輪車が「86万台→88万台」で+2.1%となっており、四輪車の不振が「売上高・営業利益の減益」に影響したのではないかと読み取ることができます。四輪車に関しては、「日本・インド」の販売台数が大幅に前年割れしてしまったことが影響しているようです。スズキの四輪車は、インドと日本で全体の販売台数割合の70%を占めており(上記グラフを参照)、この主要地域の不振はかなり痛手だったと考えられます。二輪車に関しては、四輪車とは異なる状況となっています。上記グラフの通り、スズキの二輪車販売台数割合の80%以上をアジア地域が占めているのですが、そのアジア地域の50%近くがインド市場になります。(つまり、全体の約40%がインド市場となります)そのインドでの販売台数が前年同期比+15%となっているため、全体でも増益という結果を得られたと読み取ることができます。スズキは四輪車・二輪車ともにインドの占める割合が高く、そのインド市場の調子が今期の好不調にダイレクトに影響しました。現時点では、良くも悪くも"全体の業績はインド市場の動向に掛かっている"と言うことができるでしょう。今期の通期決算の見通しに関しては、四輪車・二輪車ともに販売台数が下方修正されています。販売台数の影響もあり、売上高と営業利益に関しても下方修正がなされており、「売上高:3兆5,000億円(昨期は3兆8,715億円)」、「営業利益2,000億円(昨期は3,244億円)」となっており、双方とも昨期を下回る見通しとなっています。【参考】スズキ:2020年3月期第2四半期決算説明会資料今後の経営計画・取り組みに関して上記でも少し触れましたが、スズキの強みは"インドで圧倒的なシェア率を誇っていること"です。そのシェア率はなんと50%と言われています。インドの市場規模は今後も拡大することが予想されており、現状のシェア率を保持し続ければ、スズキは今後の大きな成長を見込むことができるでしょう。そのため、まずはインド市場を充実させることに注力し、その上で世界中の地域へ展開・拡大させていくのではないかと予想されています。【参考】スズキ:アニュアルレポート2019また、スズキは2015年6月に「新中期経営計画(2015~2019年度)SUZUKINEXT100」を発表しています。(2015年に発表した計画ですが、現時点での最新のものになります)資料には様々な情報が記載されているのですが、その中でも以下の2つを気になる点としてピックアップしました。二輪事業の赤字体質からの脱却日本、インドに次ぐ柱の育成今期は2019年度であり、上記の中期経営計画の最終年度に該当します。この中期経営計画と実際の動向を比較してしまうと長くなってしまうため、本記事では割愛させていただきますが、興味のある就活生の方は下記のリンクから確認していていただければと思います。また、来期には新たな中期経営計画が発表されるかと思いますので、発表され次第そちらも確認していただくのが望ましいかと思います。【参考】スズキ:新中期経営計画(2015~2019年度)SUZUKINEXT100スズキの「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【マツダ】ほぼ全ての地域で業績が減速。効果的な投資戦略で回復を目指す!マツダの今期の第2四半期決算は"やや不調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で減益となり、特に営業利益に関しては「298億円→258億円」と前年同期比-13.4%という結果になっています。地域別販売台数割合上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。総販売台数に関しては「80万台→73万台」と前年同期比-8.0%となっています。そして、その中でも特に下がり幅の大きかった地域が中国になります。「13万台→11万台(前年同期比-18.0%)」となり、販売台数・パーセンテージともに最も下がり幅が大きい地域となっています。とはいえ、欧州以外の地域は全て前年同期比でマイナスとなっているため、全体を通じて苦しい上半期だったと言えるでしょう。今期の通期決算の見通しに関しては、総販売台数が「162万台→155万台」と下方修正されています。それに付随し、売上高と営業利益に関しても下方修正がなされており、「売上高:3兆5,000億円(昨期は3兆5,642億円)」、「営業利益600億円(昨期は823億円)」となっており、双方とも昨期を下回る見通しとなっています。【参考】マツダ:2020年3月期第2四半期決算プレゼンテーション資料今後の経営計画・取り組みに関してマツダは2019年11月1日に中期経営計画を発表しています。その資料の中身を要約すると、以下のようになります。中期経営計画【中期経営方針】◆独自の商品・顧客体験への投資→ブランド価値向上への投資◆ブランド価値を低下させる支出の抑制(1)変動・固定販促費面の抑制(2)品質面の抑制◆遅れている領域への投資(1)インフラへの投資(2)仲間づくりへの投資(3)環境・安全への投資上記は、今後5カ年(2020年3月期~2025年3月期)の経営計画の要点をまとめたものになります。まずは重点的に経営資源の配分を行い、その上で上記の「取り組むべき3つの領域」に注力していくようです。また、中期経営計画内の「市場別販売比率」を確認してみたところ、現時点でも最も大きい割合を占めている"北米地域"の比率をさらに高めていくようです。「米国新工場の立ち上げによる現地生産開始と、販売ネットワーク強化の確実な遂行の両輪でさらなる成長を目指す」との記載があったため、北米地域を基盤として事業を進めていくのではないでしょうか。【参考】マツダ:中期経営計画【関連】マツダ:アニュアルレポート2019マツダの「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【SUBARU(旧:富士重工業)】売上高・販売台数ともに絶好調。米国の好調を維持してさらなる成長を目指す!SUBARUの今期の第2四半期決算は"絶好調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で増益となっており、その上がり幅も全7社で最も大きくなっています。特に営業利益に関しては「564億円→948億円」と前年同期比+68.1%という結果になっています。地域別販売台数割合上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。総販売台数に関しては「48万台→50万台」と前年同期比+4.1%となっています。上記のグラフを見て分かる通り、米国が総販売台数の約2/3を占めているのですが、今期はこの米国の販売台数が好調でした。「30.2万台→33.6万台(前年同期比+11.3%)」と大きな成長を見せており、この米国地域の好調が全体の販売台数に大きな影響を及ぼしたと読み取ることができます。この好調の要因としては、以下のような事柄が挙げられます。米国市場が好調である要因◆「フォレスター、クロストレック(日本名:スバルXV)」といった車種が高い人気を誇っていること◆「安全性と信頼性」を高く評価されていること◆2007年より開始した北米スバル独自の『LOVEキャンベーン』という広告展開が影響していること【参考】モーターファン:スバル、北米で好調を維持。クロストレック(SUBARUXV)は新記録達成東洋経済オンライン:スバル車がアメリカで売れ続ける「2つの要因」今回取り上げた7社の中で最も業績が好調だったSUBARUですが、今期の通期決算の総販売台数の見通しは当初から据え置きとなっています。また、売上高も据え置き、営業利益に至っては「2,600億円→2,200億円」と下方修正がされています。ただ、昨年同月比で見ると、売上高が「3兆1,562億円→3兆3,100億円」、営業利益が「1,817億円→2,200億円」と増益を見込んでいます。「自動車業界は100年に一度の変革期にある」と言われている中、比較的苦しんでいる企業が多いのですが、SUBARUはその逆風に立ち向かうことができていると言えるでしょう。【参考】SUBARU:2020年3月期第2四半期決算説明会資料今後の経営計画・取り組みに関してSUBARUは2018年7月に"新中期経営ビジョン「STEP」"を発表しています。この資料を確認したところ、大きな強みを持っている米国地域のさらなるシェア拡大を目指していくことを読み取ることができます。「まずは米国での成長を維持しつつ、その上で各市場(地域)の持続的な成長」に取り組んでいくようです。また、2019年9月には「トヨタ自動車とのアライアンスとして、新たな資本提携に合意した」と発表されました。この資本提携を受け、今後は「EV(ElectricVehicle:電気自動車)や自動運転といった新たな技術への積極的な取り組み」、「モビリティ社会全体の変革への対応」などを進めていくと考えられます。【参考】SUBARU:新中期経営ビジョン「STEP(2018-2025)」【関連】SUBARU:アニュアルレポート2019SUBARU(旧:富士重工業)の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちら【三菱自動車】営業利益が大幅な減益に。アセアン地域を核にした持続的な成長が今後の鍵となるか?三菱自動車の今期の第2四半期決算は"不調"と言えます。売上高・営業利益ともに前年同期比で減益となり、特に営業利益に関しては「569億円→102億円」と前年同期比-82.1%という結果になっています。この-82.1%という数値を見るからに、相当苦しんだ2019年度上半期だったと言えるでしょう。地域別販売台数割合上記は、業績に大きな影響を与える「販売台数の地域別割合」を示したグラフになります。総販売台数に関しては「59.4万台→59.2万台」と、前年同期比で微減という結果になっています。地域別の販売台数を確認してみても、グラフに記載されている全ての地域が「前年同期比-10.0%~+10.0%」の範囲内に収まっているため、それゆえに販売台数割合に関しても大きな変化は見られません。地域別販売台数割合に関する三菱自動車の特徴としては、「アセアン・欧州地域」に強みを持っていることが挙げられます。この特徴に関しては後述で再度説明しますが、「他社と異なる部分」として理解していただければと思います。今期の通期決算の見通しに関しては、総販売台数が「130.5万台→127.4万台」と下方修正されています。それに付随し、売上高と営業利益に関しても下方修正がなされており、「売上高:2兆4,500億円(昨期は2兆5,146億円)」、「営業利益300億円(昨期は1,118億円)」となっており、双方とも昨期を下回る見通しとなっています。ちなみに記事の冒頭で、今期の三菱自動車の売上高と営業利益が大幅な減益となったことを紹介しましたが、「販売台数は微減なのに、なぜ営業利益が82.1%もマイナスになっているの?」と疑問を持った方もいたのではないでしょうか。この要因としては、"(1)為替変動(2)例年に比べて研究開発費や間接員労務費が嵩んだ(かさんだ)こと"などが影響していると言われていますので、そのように認識していただければと思います。【参考】三菱自動車:2019年度第2四半期プレゼンテーション資料MONEYTIMES:三菱自動車が利益95%減!海外での販売台数も最大8%減!今後の経営計画・取り組みに関して三菱自動車は「アセアン地域」に大きな強みを持っていることが特徴です。全販売台数の1/4程度をアセアン市場が占めていることももちろんですが(上記グラフを参照)、生産能力に関しても約40%がアセアンに集中しているようです。アセアン地域の中でも、タイ事業を「三菱自動車を支える屋台骨として強化する」、ベトナム事業を「アセアン第四の拠点とする」との記載があるため、この2つの地域が特に重要な拠点になるのではないでしょうか。また、アニュアルレポート2019を確認したところ、三菱自動車のコンセプトである「SmallButBeautiful」のもと、"(1)強みを持つ地域に注力(2)強みに特化した商品の投入(3)身の丈にあった持続的成長に向けた基盤作り"を進めていくようです。三菱自動車は競合他社に比べて比較的規模が小さいため、何か革新的な施策に取り組むというよりも、「独自の強みを活かして現在の市場を拡大・成長させていく」という方針だと読み取ることができます。【参考】三菱自動車:アニュアルレポート2019中期経営計画に関しては、2017年10月に「DRIVEFORGROWTH」が発表されていますが、これは2017年度(2018年3月期)~2019年度(2020年3月期)の計画になります。来期には新たな中期経営計画が発表されるかと思いますので、発表され次第、新たな計画を確認していただくのが望ましいかと思います。【関連】三菱自動車:中期経営計画「DRIVEFORGROWTH」三菱自動車の「関連記事・選考通過者ES・選考レポート」を確認したい方はこちらまとめ本記事では、「各社の決算資料・IR情報・経営計画」をもとに"大手自動車メーカー7社の2020年3月期第2四半期決算"をまとめてみました。「自動車業界は100年に一度の変革期にある」と叫ばれている中、単純に「自動車の開発・製造・販売」をするだけでなく、各社とも様々な取り組みを行っています。そのため、業績(売上高・営業利益・販売台数)だけでなく、「各社は業界内でどのような強みを持っているのか?今後はどのような事業分野・地域に注力してくのか?」といった観点を理解しておくことも重要となります。また、本記事で解説した内容はあくまでも「今期の第2四半期決算という短期的な業績」に過ぎません。上述した直近5カ年の決算の推移を見ても分かる通り、各社の業績は年々変動がありますので、あくまでも参考程度に本記事の内容を理解していただければと思います。また、動画を通じて自動車業界を知りたいという方は下記の動画も参考にしてください。決算・IR情報に関する記事はこちら自動車メーカーの業界研究に関する記事はこちら大手自動車メーカー7社の企業研究ページはこちら◆トヨタ自動車の企業研究はこちら◆ホンダ(本田技研工業)の企業研究はこちら◆日産自動車の企業研究はこちら◆スズキの企業研究はこちら◆マツダの企業研究はこちら◆SUBARU(旧:富士重工業)の企業研究はこちら◆三菱自動車の企業研究はこちら自動車業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unist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