二極化時代のキャリア戦略:「なぜ、東大卒のエリートは日系大企業を去るのか?」

29,576 views

最終更新日:2023年09月29日

二極化時代のキャリア戦略:「なぜ、東大卒のエリートは日系大企業を去るのか?」
本記事はコンコードエグゼクティブグループのPR記事になります。

本記事は、総合商社や外資系コンサルなどのハイクラス人材のキャリアコンサルティングを行っているコンコードエグゼクティブグループの代表渡辺氏による寄稿です。

日々多くの学生・社会人のキャリア相談に乗っている氏から見た、日本のキャリア観の変遷を伝えています。

◆コンコードエグゼクティブグループの19卒向け採用エントリーはこちらから

 

年収1800万円vs400万円の衝撃

先日、衝撃的なニュースが流れました。グーグルが人工知能の研究している東大院生をリクルーティングしているという話です。衝撃的なのは、そのオファー条件。新入社員に年収1800万円を提示したのです。ちなみに、名門大卒の学生が就職を熱望する丸の内界隈の大企業に入ると年収は約400万です。

しかも、そのような大企業に入社して、年収が1800万円に到達するのは、順調に行っても、多くの人は40代~50代で到達できるかどうかといったところです。場合によっては一生到達できないケースもあるでしょう。大企業に入社したからと言って、仕事が楽なわけではありません。それなのにこれほど大きな差がついてしまうのです。

長い間、日本社会は「横並び」だと言われてきました。しかし、そのような時代は終わり、キャリアによって圧倒的な差がつく「二極化」が既に始まっているのです。

名門大卒のエリートたちが、日系大企業を去る3つの理由

弊社のご相談者は、東大、京大などの旧七帝大、一橋、東工大、早大、慶大、有名海外大やMBAといった名門大卒の方が全体の約6割を占めます。また、相談者の多くが勤務するのは、財閥系の商社、メガバンク、トヨタやパナソニックなどの日本を代表するメーカー、財務省や経産省などの官庁、NTTグループやJRといった安定した超一流企業です。
なぜ、安定した大企業に勤めているエリートが、続々と転職を考えるようになっているのでしょうか?

理由①:収入があまり高くない

“年収1000万円”と聞くと、皆さんはどう感じますか?
メガバンクでは30代前半で到達し、大手メーカーでは40歳程度で到達する水準です。

講演で学生の皆さんに質問すると、「ビジネスエリートの証!」、「これだけもらえれば、もう十分です」といった反応が大半です。中には「使い切れない」という意見まで飛び出します(笑)。

しかし、現実の生活はそれほど楽ではないのです。例えば、あなたが男性で、奥さんと二人の子供を養い、自宅を自分で用意しなければならない場合を考えてみましょう。年収1000万円だと、税金等を引いた手取りは700~800万円。教育費や生活費を引くと、月々のローン返済可能額は20万円くらいでしょうか。家族4人で暮らすので、80㎡くらいの部屋が欲しいと思えば、都心のオフィスから離れたところに、6000万円程度のマンションを35年ローンで購入するといった生活設計になります。もちろん、定年まで仕事を辞めることは出来ません。

これが年収1000万円の現実です。
いかがでしょう?イメージしていたエリートの人生とちょっと違いますよね。

実際に社会人として生活をはじめ、家族を養いはじめると、思っていた以上にお金がかかることを実感します。ビジネスエリートの皆さんが、実力や努力に見合った収入が得られる道はないかと模索しはじめる理由の一つはここにあります。

理由②:仕事があまり面白くない

あなたが文系出身で、日系大手メーカーで内定を獲得したとします。入社後、どのような仕事をするでしょうか?営業でしょうか、経理でしょうか、あるいは人事でしょうか。

実は多くの日系大手企業が、新卒で応募する場合、何の仕事をするか分からないまま入社を決定しなければなりません。勿論、その後の配属先も、自分で決めることは出来ません。このような会社に入ってしまうと、自分でキャリアを選択することができず、運が悪ければ、苦手なことや嫌いなことを一生やっていかなければなりません。これはとても辛いことです。

 

また、下積み期間が長いことも大きな問題です。例えば、経営者を目指すのであれば、「現場を知るべきだ」という理由で、2、3年間も電話営業をしたり、銀行の支店で何年間も自転車に乗って営業したりすることに、それほど意味が無いことは容易に想像がつくでしょう。若いうちから経営戦略の立案や組織変革の経験を積んだ方が、効率が良いのは当然のことです。

目指すキャリアとのギャップがあまりに大きい環境であれば、「仕事内容が面白くない」、「自分の目指すキャリアへ近づくことができない」という理由で、エリートたちが会社を離れていくのは、決して単なるわがままではなく、むしろ自然なことだと言えます。

理由③:雇用があまり安定していない

かつては雇用安定神話があった日本の大企業も、現代ではその神話は大きく崩れています。

よく知られているように、日本を代表する大手メーカーでも、大規模なリストラを行うようになっています。直近の事例では、東芝も大きく経営基盤が揺らいでいます。

 

このような危機にさらされているのは、製造業だけではありません。ITやAI(人工知能)産業が既存業界に参入していくことで、市場そのものが消滅してしまうほどのインパクトを与えることはどの業界でも珍しくなくなりました。例えば、フィンテックによって、決済・送金・口座管理等のサービスを奪われることになれば、学生に人気があるメガバンクもその事業や雇用形態を大きく変更せざるを得ないでしょう。

また、所属する企業が吸収合併されることで、リストラをされないまでも、不利なキャリアとなることは、珍しい話ではありません。そもそもメガバンクも、約20年前までは13行も存在していた都市銀行が、合併を繰り返した組織です。合併時には多くの方が、外部にキャリアを求めて転職活動をしていました。

 

このように「日系大企業=安定」という方程式は既に成立しなくなっており、大企業へ入社した名門大卒の先輩たちは、将来に不安を抱えるようになっているのです。

「自分の好きなことで 社会にインパクトをもたらし、恵まれた収入も得る」若いビジネスパーソンが急増

一方で「自分の好きなことで、社会にインパクトをもたらし、恵まれた収入も得る」という充実したキャリアを歩むビジネスパーソンがいま急増しています。

 

情熱を持って取り組んできたテーマで起業する人、自分の好きなサービスを展開するグローバルカンパニーで経営幹部として活躍する人、コンサルティングファームやファンドの幹部として日本企業の支援に奮闘する人、さらには若くして資産を築いた後にその資金を元手に社会貢献事業を興す人など様々です。弊社のご相談者の皆さんも、培った経験やスキルを活用して、ご自身が好きな領域で大活躍されています。収入面でも恵まれており、20代や30代でこのような活躍をしながら、数千万円もの年収を得ている人が珍しくありません。経営者ともなれば、億単位の収入となっている方もいらっしゃいます。

 

10年来のお付き合いをしているあるご相談者の事例をご紹介します。この方は、新卒で財閥系大手企業に入社しました。しかし、経営者になることを目指し、一念発起して、20代半ばで戦略系コンサルティングファームへ転身しました。7年ほど活躍して、準パートナークラスとなりました。年収は、2000~3000万円程度となります。現在は念願が叶い、30代半ばという若さで、ある大手企業の経営幹部として、グローバル戦略をリードされています。このように、しっかりとしたキャリアを設計すると10年程度で大きく人生が変わるケースが数多く見られます。

 

なお、戦略系コンサルティングファームばかりが、特別に年収が高い訳ではありません。総合系コンサルと言われる採用枠も大きいコンサルティングファームでも、30代後半から40代前半でパートナークラスに就任し、年収が3000~5000万円程度となる方は珍しくありません。コンサル以外にも、外資系の製薬会社や大手IT企業でも、30代で2000万円台の年収となる方がたくさんいます。

日系大企業の中で悩むエリートの皆さんから見ると、びっくりするような話でしょう。現代は、キャリア設計次第で、このような生き方を選ぶことが出来るようになっているので、エリートの皆さんもわざわざ大企業にしがみつく必要はないと考えるようになっているのです。

人生を飛躍させる二つの方法

様々なキャリア設計法がありますが、代表的なものは以下の二つです。

 

一つ目は高度な専門性を持つ「専門家人材」になるという方法です。当然、ある仕事において、一流の人と二流の人では生み出す価値が違いますよね。その仕事について詳しい人や問題解決できる人は企業で高い評価を得られ、転職市場でも引く手あまたです。もし、所属している企業での待遇や仕事内容に納得がいかない場合は、良い条件を用意してくれる企業へ転職することが可能です。自分が選んだ専門領域の仕事を任されるので、日々の会社生活も充実したものになります。

 

二つ目は、「経営者人材」になるという方法です。経営者人材とは、企業や事業部の戦略や問題解決策を立案し、組織をリードする人材です。この人材の貢献によって、企業全体の収益が上下しまうので、非常に大きなインパクトがあります。そのため、企業は給料を高く払ってでも、優秀な人を採用する必要がある必要があります。特に、経営者人材の価値をよく理解しているグローバルカンパニーや成長企業などでは、数千万円から億単位の報酬を用意して、優秀な経営者人材をスカウトしようとしています。

 

このように、人生を大きく飛躍させるための手段として、「専門家人材」や「経営者人材」のキャリアを歩むことは大変有力です。
では、どのようにすれば、このようなキャリアを築くことができるのでしょうか?

専門家人材となるには、会計事務所のようなプロフェッショナルファームや職種別採用を行っている外資系企業を選択する方法があります。例えば、P&Gでは職種別に採用を行っており、人事職として採用されれば、人事のプロとして育てられます。経理や営業といった他職種にアサインされることはありません。このため、自分の専門能力を磨き上げることに安心して注力できます。

 

新卒で経営者人材を目指す方法としては、戦略コンサルタントとして経営戦略立案や組織変革等を経験した後に、事業会社の経営幹部を目指すというキャリアがよく知られています。最近では、インターネット系企業の経営企画部門などに入って、重要度が増すネットビジネスに精通した経営者を目指したり、起業家を目指したりするというキャリア設計も大変有力になっています。

このように、新卒でも専門家人材や経営者人材を目指すことは十分に可能です。むしろ、ポテンシャル採用をしてくれる新卒時の方が、よりスムーズに目指すことが可能だと言えます。

「キャリアの高速道路」を突っ走る

喩えるなら、ひと昔前のキャリアは「一般道」しかありませんでした。年功序列で詰まっている道を、上司・先輩の後について一歩、一歩進んでいく以外に選択肢がなかったのです。

しかし、現代では至る所に「キャリアの高速道路」が通っています。若くして経営者としての経験を積むことができる会社や実力に応じて高い報酬を用意する外資系企業など、名門大卒のエリートの皆さんにとって、魅力的な機会が急増しました。一般道を進む人を尻目にあっという間に、経営者や専門家になることができます。そういう生き方に関心がある人は、ぜひこのようなキャリアを活用してもらいたいと思います。

 

もちろん、日系大企業のキャリアも素晴らしいですし、そのような組織でしか成し遂げられないこともあります。特に規模の大きなビジネスに関わりたいと考える方にとっては、魅力的なキャリアであり続けるでしょう。しかし、前述のように雇用が不安定になってきているため、どのような会社にいる人でも、転職せざるを得なくなる可能性が高い時代になっています。そのため、 転職できるように備えておく ということは必要になります。

現代は、キャリア戦略次第でとても大きな差がつく 二極化時代 となっています。読者の皆さんには、このような時代の変化を踏まえて、就活に真剣に取り組み、ぜひ幸せなキャリアを手にして頂きたいと思います。

photo by Susanne Nilsson
photo by Roman Boed

【著者紹介】

渡辺 秀和(わたなべ ひでかず)

一橋大学商学部卒業。三和総合研究所(現 MURC) 戦略コンサルティング部門にて同社最年少マネージャーとして活躍。株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアで5年連続No.1キャリアコンサルタントとなる実績をあげ、2005年よりパートナーに就任。2008年、株式会社コンコードエグゼクティブグループを設立し、代表取締役社長CEOに就任。日本一のキャリアコンサルタントを決定する「日本ヘッドハンター大賞」の​​コンサルティング部門で​初代​MVPを受賞。コンサルティング業界、ファンド、事業会社幹部、起業家などへ1000人を越える相談者の転身を支援。
著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)
 

◆コンコードエグゼクティブグループの19卒採用エントリーはこちらから

 

おすすめコラム 4 件

グローバルに活躍するコンサルティング集団、三井化学の仕事とは グローバルに活躍するコンサルティング集団、三井化学の仕事とは 本記事は三井化学のPR記事になります。三井化学をはじめとした化学メーカーは商材が目立たないこともあり、最終製品を扱うメーカーなどに比べると、特に文系学生からはまだまだ縁遠いと思われがちな業界だと感じています。以前実施したunistyle就職活動意識調査においても、上位校の文系学生約700名の中で三井化学を就職検討先として挙げている方は49名という結果でした。(ちなみにトヨタ自動車は125名となっています)しかしながら、化学メーカーは特定の素材の分野で世界的に大きなシェアを持ち、グローバル進出も盛んな優良企業が揃っています。三井化学も海外売上が全体の45%にのぼり、社員の3人に1人が海外に在籍しています。世界を舞台に活躍したいと考えている学生には、まず見て損のない企業だと思っています。この記事では三井化学を例にとり、化学メーカーの仕事や働き方を紹介いたします。こちらを読めばおおよその業界研究・企業研究ができるようなボリュームとなっていまして、皆さまのキャリア選択の幅を広げる一助となれば幸いです。化学メーカーの仕事と、三井化学における「事業部」の役割この段落では、三井化学の社員インタビューから、化学メーカーの仕事内容を見ていきます。事業部で若手に任される仕事は大きく分けて4つ。1つ目はお客様を訪問して価格や数量を交渉し、納入スケジュールなどを決める営業業務。2つ目は市場の需要や当社のマテリアルバランス(製品の生産状況)を勘案しながら行う生産計画の立案や生産管理。3つ目は年次・月次で実施される収益計画の策定や収益結果の管理(いわゆるアカウンティング)。そして4つ目は他社との提携による大型プロジェクトに製品担当として参画することです。プロジェクトでは工場や経営企画、法務、経理など各分野のスペシャリストからなるチームをまとめながら決断を下し、工程を進めていく、プロジェクトリーダーに近い役割を担います。(三井化学採用ホームページより)実は三井化学に「営業部」という部門は存在せず、文系職は「事業部」となっています。上記のインタビューにもある通り、事業部の社員は営業も行いますが、それは業務の一部に過ぎず、戦略立案、マーケティング、製造・販売の統括などその業務は多岐にわたります。日本国内のメーカーを担当している場合であっても、メーカーは世界中に生産拠点を構えて事業展開しており、例えばある地域の生産拠点が地震や洪水などに見舞われて製品の製造計画に変動が生じた際には、材料の供給もそこに合わせる必要があります。メーカーの生産ラインを高品質の材料を安定的に供給するためには、常に海外の動向にアンテナを張るグローバルな視座が求められます。また、製品開発については、クライアントのメーカーとともに「何を作るのか」という段階から企画して提案していくことが求められます。単に完成品を売るのではなく、自社の素材を用いてどのような製品が開発可能かをクライアントや自社の研究部門とやり取りしながら開発を進めるため、提案の幅も広くコンサルティング的な側面が多いと言えます。「1年目でも数億円規模のビジネスを担当」三井化学事業部社員の働き方三井化学の事業部社員の採用数は例年20名程度と少なく、若い年次であっても幅広い分野の大きな仕事を任されるため成長の機会に恵まれています。以下の社員の話からも、若手のうちに大規模なビジネスや海外との取引に関われることが読み取れます。・1年目から億円単位のデリバリーを担当PTA(高純度テレフタル酸)は、繊維やペットボトルなど幅広い製品の原料であるポリエステルのさらに上流に位置する基本原料。三井化学でも50年以上の歴史を持つ製品であり、世界中のポリエステルメーカーを顧客としてビジネスを展開しています。事業規模は社内でもトップでありながら、少人数のチームで運営しているため、一人一人が扱う量も金額も大スケール。私も1年目から国内外合わせて100万トン規模のデリバリーを任され、成約金額が数億円という案件もあるなど、エキサイティングな日々を送っています。(三井化学採用ホームページより)こちらの社員は数億円単位のバルクでの原料供給を任されたとのことです。また、クライアントからの値下げ要求への対応なども合わせて行うため、自社の利益と顧客との関係性とを考慮して妥結点を模索する交渉の前線に1年目から立たされることになります。・1年目から連続出張海外出張も多く、韓国・中国に1週間ずつ連続出張したこともあります。その間も国内案件を並行して進めなければならず、モバイルツールをフル活用してお客様や社内の関連部署と連絡をとり続けました。世界中どこにいても仕事ができる便利な時代だけに、忙しさもかなりのものですが、ダイナミックに仕事を進めていけるのが楽しさでもあります。(三井化学採用ホームページより)上記のインタビューの通り、海外と仕事をする機会も多く、1年目であっても現地とのやり取りや海外出張を任されます。「グローバルな働き方」をふわっとしたイメージで捉えている学生もいるように感じますが、おおよそ以下のように分類されると思っています。①日本国内から、海外の顧客や関係会社相手に電話やメールなどでコミュニケーションを取る仕事②勤務地は日本国内で、海外出張を繰り返して顧客と面談しながら進める仕事③海外に駐在して現地の関係者と一緒に取り組む仕事①と②については入社後早々に携われるのが三井化学の事業部社員だと言えるでしょう。また、経験を積んで評価されれば、③の海外赴任し現地で新規ビジネス開発に従事するなど、チャレンジの機会にも恵まれています。三井化学では、優秀な人材が集まるとともに上記のように成長環境が整っていることもあってか、中には同業の外資系化学メーカーや、それ以外にも外資系コンサルティングファームなどからのヘッドハンティングを受ける社員もいるようです。競合は総合商社・コンサルティングファーム。三井化学の求める人材ここまで説明した通り、三井化学の事業部社員は、自社の技術を用いてメーカーに開発提案を行い、新たな製品を生み出すビジネス創出が可能です。また、社会情勢、人口動態、法規制など様々な変数を考慮して自社素材の成長戦略を立案、商品提案、製造・販売の統括までを担います。上記に加えてグローバルに活躍できる機会も多いため、総合商社や外資系コンサルと合わせて志望する学生もいます。(逆に、商社、コンサル志望であれば化学メーカーも受けるべきだと思っています)三井化学では同業界の他企業に先駆けて「グローバル×コンサルティング」志向の学生を明確に採用ターゲットに据えており、インターンシップのコンテンツも、実際に社員が使用する膨大な資料をもとに自社素材のグローバル成長戦略を立案するというものになっています。また、自社の説明はほとんど行わないのも三井化学インターンの特徴の一つであり、純粋に学生のキャリア選択のためになるコンテンツを用意しています。老舗日系大手企業のインターンシップとは思えない内容ですが、現場の新卒採用担当者の発案で大幅な方針転換を行い、現在の形での実施に至ったとのことです。企業の未来を決める新卒採用において、現場担当者の意見を通して変革がなされたという事実から、うわべだけでない「風通しのよさ」を感じます。(もちろん、発案者が社内での十分な信頼を得ていないのであれば提案も通りづらいと思っていますが、それはどの企業においても共通していると言えるでしょう)三井化学を選んだ学生・選ばなかった学生ここで、実際に三井化学のインターンシップに参加した2017年卒の学生からのインタビューを紹介いたします。複数内定の上で三井化学への入社を決めた学生と、結果として他社へ進む学生の両方からのインタビュー内容を掲載しているので、フラットな企業選びの参考にしていただければと思います。※なお、三井化学のインターンシップ説明会はunistyle経由で事前応募が可能です。◼︎三井化学:5daysインターンシップ事前体感ワークショップ付き説明会①三井化学に入社予定の学生【内定先】外資系コンサルティングファームなど【三井化学インターンシップ応募動機】昨年、ゼミの先輩が三井化学のインターンシップ「GlobalLeader」に参加していて勧められたため。また、アルバイト先の同期が応募しており興味を持った。【三井化学インターンシップでの学び】◼︎第1セッション:商材の成長戦略については、大きく2つの学びがあった。①FactFindingの難しさインターンシップ当日は膨大な資料が用意されており、馴染みのない化学業界(および対象事業)のビジネスモデルを理解するのに苦労した。また、Factをどのような形式で纏めるのかという点も工夫が必要であり、フレームワークやOAスキルの重要性を再実感した。②スケジュール管理チームメンバーは6名(内女性2名)で優秀な学生が多く、議論の方法や質に関しては苦労を感じることはなかった。しかし、議論が白熱すればするほど、検討項目が出てきて優先順位の設定が必須となり、それに伴うスケジュール管理に苦労した。まずは納期内に完成させることの大切さと、Factに基づくシナリオを事前に準備する必要性を学んだ。◼︎第2セッション:自己内省については以下の1点に尽きる。「キャリアはすべて自分次第で創りだすことが出来る」ということ。第2セッションは自己内省と現在の自分の位置づけを知るためのワークがメインであり、ワークの後に人事部社員から常に発信されたのが、「なりたい自分」をまず持つこと、そして「現在の自分」を知ること。なりたい自分を体現するにはActするしかなく、それを愚直に続けることが成功の近道であると改めて認識した。【なぜ外資コンサルではなく三井化学?】コンサルティングファームに興味を持った理由としては、色々な会社の戦略課題に触れることができて、それを解決することによって自己成長ができるのではないかと思った。しかし、ある企業にOB・OG訪問をした際、コンサルティングファームは結局部分的な問題解決しかできず、根本的な問題解決をすることは出来ないというコメントをいただき、その業界での働き方に懐疑的になった。一方、三井化学は製造業(素材)であり、製品(モノ)を基軸に社会課題を解決する業界である。また、三井化学の事業部での働き方は、製造・販売・研究を統括し、自分が担当するセグメント・地域の戦略立案から実行、マネジメントをすることができるということに魅力を感じて入社を決意した。この学生は、課題解決やそれに伴う自己成長を望んでコンサル業界を見ていたようですが、結局戦略コンサルでは一定期間しか課題と向き合えず、事業の当事者として結果責任を負うところまで関わりたいと考えたときに三井化学の方が魅力的だと感じたとのことです。上記の通り、コンサルはあくまでクライアントのサポートであり、実際の実行や最終的な課題解決まで手がけないのですが、一方で三井化学のような事業会社と比較すると①純粋にアイディアを評価される、②短期間のサイクルで多様な業界に携われる、といった特徴があります。自分がどちらにより興味があるのか、皆さまにも考えてみて欲しいと思います。②他社に入社予定の学生【入社予定企業】5大総合商社【三井化学インターンシップ応募動機】就活情報サイトのSNS投稿をきっかけに認知し、グローバルに影響を与えられる人材になりたいと考えていたために応募した。【三井化学インターンシップでの学び】◼︎第1セッション:商材の成長戦略については、「チームで合意形成を都度取り進めること」の重要性を学んだ。ワークの形式としては、800頁ほどの配布資料から現状分析を行い、次の打ち手を考える戦略立案というものであった。しかし、初日のPMから最終日(3日目)の15時までしか時間はなく、圧倒的に時間が足りない。議論を進めていく際に、やっぱりここはもう少し議論すべきでは等、戻って議論をするシーンが何度もあった。アウトプット向上のために振り返って議論することは重要であるが、それは時間にゆとりがある状態であり、まずはターゲットを絞った提案を完成させることが先決。余力があればそれを肉付けるための議論をすべきであった。その際、必要だったのが、都度合意形成を取り、定点毎に土台を固めて議論すること。その重要性をこの第1セッションでは学んだ。コンサルティングファームやベンチャー、総合商社等のインターンシップに多く参加したが、中でも三井化学は実資料や思考を凝らしたコンテンツが充実しており、難易度・満足度ともに最も高いと感じた。◼︎第2セッション:自己内省については、「自分自身と本気で向き合い・考える」重要性を学んだ。コンテンツとしてはグループワークを通しての自己内省および他者と比較した自分の理解、それから、キャリア形成の方法および考え方であった。今まで自己分析を行ったことが殆どなく、うわべだけでの回答で面接等は乗り切ってきた。しかし、グループワークのベース資料として、過去から現在に至るまでの原体験を赤裸々に語る必要があり、蓋をしたい自分の見たくない点にも向き合う必要があった。人事部社員から「まず自分を肯定することが大事で、そこからどう動くかが一番のポイント」という言葉に支えられ、自分自身と本気で向き合い・考える機会となり、その後、自信を持つことができた。【なぜ三井化学ではなく総合商社?】就職活動の軸として、自分が創り出す影響を最大化することで他者を幸福にすることを挙げていた。この軸であればどの業界・どの職種であっても可能だが、中でも総合商社を選択した理由としては2点ある。①モノを持たない代わりにどの顧客にどの供給者のモノを提供しても問題はなく、ニーズを有する顧客に最適なモノを提供するようコーディネートすることが可能である。自分のコーディネーション次第で最大の良い影響が与えることが可能である。②商社は今や投資銀行やファンドと変わらない「Invest」がメインになりつつある。しかし、商社の歴史は「Trading」であり、持つ者とそれを必要とする持たざる者を繋ぎ合わせることが本分である。就職予定の総合商社は同業界の他商社と比較して、最もTradingに重きを置いており、今後も生粋の商人であり続けるというポートフォリオを掲げている。上記より就職する企業を選択したが、その選択を後押ししてくれたのは三井化学の人事部社員である。企業人としてのしがらみ等に囚われることなく、一個人としての可能性を最大化してくれたこのインターンシップに参加して本当に良かった。こちらの学生の話の中では、まず第2セッションの自己内省についてのコメントを取り上げます。この回答者のように頭の回る学生であれば、表面的な回答を事前に用意しておけば面接でもある程度の評価を得ることは可能だと思っています。自分の弱みについても、強みの裏返しなどを無難に答えれば問題ないことも多いでしょう。しかしながら、社会に出ると自分の弱みを痛いほど実感するだけでなく、強みだと思っていた部分すら通用しないといった場面にも遭遇します。自己分析に長い時間をかけることはあまりおすすめしませんが、三井化学のインターンシップのような機会に一度深く自身と向き合ってみるのはよいことだと思います。独りで机に向かってシートを埋めて自己の内面を掘り下げたつもりにならず、掘り下げた内容を他者と共有するといったアウトプットと両面での自己分析を行ってみてください。また、企業選びのポイントについて、この学生はモノに縛られずに価値提供できる面がよいと感じて総合商社を志望したとのことです。三井化学のような化学メーカーは最終製品の手前の「素材」を扱っていることから、製品メーカーと比べるとモノに縛られる要素が少なく、その意味で製品メーカーと総合商社の中間のポジションと言えるかもしれません。一点、総合商社志望の方に向けて注意を付け加えるとすれば、「総合=なんでもやれる」と思いきや、いち個人目線では背番号制のために特定の業界にしか関われないことも多いと言えます。最後に三井グループ所属かつ創業100年超の老舗企業ということで旧態依然としたトップダウンの固いイメージを持たれがちな三井化学ですが、ここまで説明した通り、事業部社員一人ひとりの裁量も大きく、また、採用面でも優秀層の人材確保に向けてエッジの利いた取り組みを人事担当者発案で行うなど、ボトムアップの社風を持つ企業だと言えます。待遇も総合商社やコンサルに引けを取らないので、文系学生ももっと目を向けてみるべきだと思っています。なお、三井化学のインターンシップ説明会も現在先行申込を受け付けています。官公庁、商社、投資銀行、現地法人などを巻き込んだ三井化学のグローバルプロジェクトを体感できるコンテンツを用意しているので、今からお申し込みいただければと思います。◼︎三井化学:5daysインターンシップ事前体感ワークショップ付き説明会 22,197 views
先輩のESは絶対に参考にすべき!自己PR・志望動機における守破離とは 先輩のESは絶対に参考にすべき!自己PR・志望動機における守破離とは 自己PR・志望動機をパクることはよくないことだと思っている学生は多いかもしれません。流石に何も考えずに先輩のESをそのままパクっても落ちてしまうでしょうが、評価された通過者や内定者のESを参考に自分なりに考えて書くとより良いESになります。中には人のものを参考にしても、自分オリジナルの経験を伝えることはできないというアドバイスをする人もいますが、塾講師のアルバイトやスポーツサークルなど同じような組織に同じような立場で関わった先輩がどのようにESを書いたのかは非常に参考になります。日本の武道・茶道などの伝統文化においては「守破離」という考え方もあります。今回は「守破離」にも振れながら、先輩のESを参考にすることがなぜいいのか解説していきます。本記事のコンテンツ・「守破離」とは?・ESは「ビジネス文書」・最後に「守破離」とは?wikipediaによると「守破離」とは下記のような考え方になります。守破離(しゅはり)は、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つ。日本において左記の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想でもある。個人のスキル(作業遂行能力)を3段階のレベルで表している。まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。個人のスキル(作業遂行能力)をレベルで表しているため、茶道、武道、芸術等だけでなく、スポーツ、仕事、勉強、遊び等々、世の中の全ての作業において、以下のように当てはめることができる。守:支援のもとに作業を遂行できる(半人前)。~自律的に作業を遂行できる(1人前)。破:作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)。離:新たな知識(技術)を開発できる(創造者)。引用:wikipedia武道や芸術だけでなく、この考え方は仕事でもスポーツでも活かすことができます。①まずは指導者や前任者の言われたとおりに練習・作業を行い、ある程度できるようになる②その上で練習内容や作業を分析し、よりよい内容に改善する③新たな練習法や技術を開発し、人に伝えられるという三段階で成長します。エントリーシートに当てはめると、①フレームワークや先輩のESを参考にそれなりの内容の文章が書くことができる②フレームワークや先輩のESをアレンジして自分なりに改善する③新たなフレームワークや書き方を開発し人に伝えるの三段階が当てはまります。ESは「ビジネス文書」就活生の中にはESをエッセイや小説などと勘違いして、やけに情緒的な文章を書いてしまう人も少なくありません。感動的なストーリーにするために嘘を盛り込んでしまう人もいます。一方でESとは、自分の経歴や魅力を採用担当者に伝えるビジネス文書です。ビジネス文書は伝わりやすい構成や書き方というものが存在しており、ESにおいて伝わりやすい基本構成を示したのが自己PRと志望動機のフレームワークに当たります。下記の記事のフレームワークに自分自身の経験や思いを当てはめて、更に自分と境遇の近い内定者のESを参考に書くとかなりレベルの高い自己PR、志望動機を目指せます。その上で、フレームワークや経験を伝える際に自分なりにアレンジを加えて改善すると自信を持って自己PRや志望動機を話すことができるでしょう。参考:内定レベルの学生時代頑張ったことが10分で書ける学生時代頑張ったことのフレームワーク→学生時代頑張ったことに関する設問についての解説記事です。評価される内容の選び方や論理的な構成にするためのフレームワークなどの実践的なテクニックが載せてありますので、ESを書く際の参考にしてみて下さい。参考:内定レベルの自己PRが簡単に書ける自己PRのフレームワーク→就活で「ガクチカ」と並び最も聞かれると言っても過言ではない「自己PR」本記事では自己PRを論理的に分かりやすく伝えるためのフレームワークをご紹介します。参考:内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク→志望動機で伝えるべきは「その企業である理由」だけではありません。論理的な志望動機を構成する際のフレームワークをご紹介します。トリンプの元社長である吉越氏は、ビジネスで重要なことはTTP「徹底的にパクる」ことだと話されています。参考:元トリンプ日本法人代表・吉越浩一郎氏が提言する「勝てる会社の方程式」→ドイツ系女性下着メーカートリンプの元代表吉越氏が「合理的な仕事の進め方」に関してスピーチしたものをまとめた記事です。仕事術・経営術に関する著名も多い吉越氏の語る「勝てる会社」とは何でしょうか。ESにおいてもまずは、評価された先人たちがなぜ評価されたのかを参考にする中で学び、その上で自分なりのアレンジを加えてより良いものを志向するのが良い方法でしょう。最後に評価された先人たちがなぜ評価されたのか参考にする中で、自分なりのアレンジを加えてより良いものを志向してもらいたいと思います。そのためにunistyleでは今後も内定者のESの収集と、より個々人に合ったエントリーシートやコンテンツが表示されるように努力して参りますので、今後ともご利用いただければ幸いです。unistyleでは2016年10月より、全ての有名企業内定者のES1万枚以上が無料で読み放題となっています。また「塾講師」、「テニスサークル」などフリーワードでの検索も可能となっており、自分の境遇に近い内定者のESを探しやすいようにしております。(対象件数が多い場合エラーになってしまうことがありますが。)また、unistyleのような就職活動系の情報メディアが立ち上がるまでは、内定者のESを参考にする機会は少なく、今の学生は情報という面ではかなりオープンになっており恵まれているといえます。ぜひ活用して納得のいく自己PRや志望動機に昇華させた上で企業の選考を受けていただければと思います。参考:unistyleES一覧photobyvadym777 37,525 views
ロレアル日本法人採用責任者に聞く「外資系メーカーの営業として新卒で入社するってどうなんですか?」 ロレアル日本法人採用責任者に聞く「外資系メーカーの営業として新卒で入社するってどうなんですか?」 本記事は日本ロレアルのPR記事になります。こちらの記事は、日本ロレアル新卒採用責任者の岩﨑麻由氏に、日本ロレアルで営業担当者として働くことについて伺う内容です。ロレアルという企業について、また、外資系企業や消費財メーカーで働くということについて学びのある内容になっていると嬉しく思います。【日本ロレアル企業概要】世界を日本へ。日本を世界へ。世界150ヵ国で34のブランドを展開する世界No.1のロレアルグループ。100年以上に渡り人々が日常的に使用する化粧品を通し、老若男女問わず「美」を届けることをミッションとしてきました。多様に存在する「美」のニーズに応えるべく、化粧品が流通するすべての販売経路(ドラッグストア、百貨店、サロン、皮膚科・調剤薬局、eコマース等)に事業を展開していることも強みの一つです。移り変わりの早い化粧品市場で、常に新しい価値が提供できるようイノベーションを追い求めています。▶︎2020年卒向けの日本ロレアル採用エントリーはこちらから※セールス職締め切り:2018年12月25日(火)15:00※サプライチェーン職・R&I(研究開発)職・マニュファクチュアリング職締め切り:2019年2月募集予定———本日はよろしくお願いいたします。岩﨑:よろしくお願いいたします。この記事をunistyleさんに掲載するにあたって社内の営業担当者複数名にインタビューをし、私自身改めて営業という仕事の奥深さを感じました。それをこの記事を読んでいる就職活動生の皆さんにもお伝えできればと思います。日系同業他社のベテラン社員と渡り合う———ロレアルは学生から見て「外資系」という括りになると思いますが、現場社員の働き方でわかりやすく日系と異なる部分ではどういったことが挙げられますか?岩﨑:「任される」ことのスピード感だと考えています。実際、2年目で某国内トップクラスのドラッグストアチェーンを担当することになったロレアル社員がいるのですが、そのお取引先に出入りしている日系メーカー担当者は軒並み20年目くらいのベテランだったと聞いています。———大手のクライアントを担当するとなると、普通は経験豊富なベテランを当てて切られるリスクを減らすでしょうね。岩﨑:私は日系企業で働いたことはありませんが、そうだと思います。ロレアルも当然「切られてもいい」と考えているわけではなく、この社員ならいけると踏んで任せますし、社内でサポートも行います。若手に任せる、チャレンジさせる文化があるのは確かですね。同じ消費財メーカーなので働き方が大きく変わるとは思いませんが、任されるタイミングは全体的に早めかなと。また、少し話は変わりますが、新たな取り組みへの賭け方が大胆な会社だと働いていて感じます。たとえば近年めまぐるしい成長をみせているeコマースビジネスに、ロレアルはいち早く参入しました。オンラインで製品を買う消費者のニーズに合わせ、我々も多くのブランドのeコマースの立ち上げに注力し、今ではグループの売上高の7%を占めるまでになりました。大企業でありながらベンチャースピリットをもって新たな取り組みに挑戦する点が働いていて面白いと感じています。自由と責任はセット、途中式に縛られず最終成果に責任を持つことにやりがいがある———他にも外資系というとフレックスなどの「自由な働き方」がフィーチャーされることが多いように感じますが、ロレアルではその辺りはどうでしょうか?岩﨑:自分の責任をしっかり全うしていれば、働き方は自由に任される特徴があります。制度としてもフレックス勤務や、年次有給休暇に加え夏期休暇などがあります。また、最近ニュースで話題にもなっているプレミアムフライデーが始まる前から、ロレアルでは「ハッピーフライデー」という夏期期間中、月に一度15時に退社することを推奨する制度等を積極的に取り入れています。営業職の社員からは直行直帰で働けるところも自由度があって良い、という声を耳にします。ただ一方で、当然自由と責任はセットになっています。営業であれば目標予算という責任がセットで、成果を上げるための施策も自由度高く営業担当者個々人に任されています。———ロレアル含め大手企業というと、成果を上げるための仕組みや方程式がある程度確立されていて、その中で仕事をするイメージがありますが。岩﨑:ロレアルでは特にマニュアルはなく、担当者が成果を出すために最も良い方法を自ら見出すことを社員に期待しています。例えば、取引先のニーズを汲み取り、その担当企業専用のプロモーションや、販促物を提供できるよう社内の関係部署と連携、実行に移す等が良い例かもしれません。自らの提案力でお取引様の売上を最大化できるよう我々の営業は尽力し、社内の同意を得られれば実現することができます。それが結果的にその人の成果にもつながるわけです。ただ、ここで勘違いをしていただきたくないのが、成功方程式が有るか、無いかで会社の良し悪しが決まるわけではないということです。人によっては、方程式がある方が成果を出せる、モチベーションが上がるという人もいれば、自らその方程式をつくっていくことにやりがいを感じる人もいるわけです。自分がどっちなのかを見極めることをおすすめします。———確かに、「自由度高く働きたい」と話す就活生は結構いますが、実際仕組みという制限がある中の方がやりやすいという人も多い気がしますね。岩﨑:そうかもしれません。ロレアルで活躍いただける方は自由を楽しめる方で、そこをしっかり考えた上で入社していただきたいと考えています。ただ、新卒で入社した方をそのまま放り出すということはもちろんなく、ロレアルでは一人ひとりテイラーメイド型の入社後研修である「ペピニエ研修」という制度を用意しています。我々は新卒者を全員「幹部候補生」として採用しています。将来会社の経営に携わることを期待して採用していますので、それぞれに合わせた内容で研修をデザインしています。また、職種別採用を行っていますので、最終的に配属される職種に対して必要とされる経験、知識、ネットワーキングが得られるよう工夫をしているのも特徴です。———なるほど、いきなり放り出してやってこいではなく、企業としても成果を出せるような状態になっておいてもらわないと困りますからね。他部門との交流も活発、唯一顧客との接点を持つ重要部門———外資系メーカーというと、営業部門の社内プレゼンスが相対的に低いといった話もたまに聞かれますが、その辺りを伺ってもよいでしょうか?岩﨑:そういう話もあるようですが、社として営業部門のプレゼンスが低いということはありません。マーケティング戦略を立てる際にも現場の顧客からの声は非常に重要であり、それを吸い上げるのは営業部門です。社内で唯一営業だけが顧客と直接相対するため、そこで得られる知見は上流の戦略立案に必ず必要になります。私自身人事の前にマーケティング部門に在籍していましたが、常に現場の意見を聞くようにしていました。新製品や施策に対する取引先の期待値や反応はどうなのか、もっとこの企業にはこういった取り組みの方がいいのではないか等、現場でしか得られない情報は非常に貴重な情報源でした。———ありがとうございます。現場の知見を用いない戦略は上滑りしてしまうでしょうし、そのお話には納得感があります。商材の消費者であることと提供者であることは全く別、ビジネスセンスやコミュニケーションの巧拙によって営業適性は決まる———ここからはもう少し「営業」自体にフォーカスを当てた話ができればと思います。ロレアルのような化粧品メーカーの営業は、男性から敬遠されやすいように思いますがその辺りはいかがでしょうか?岩﨑:その通りで、「化粧品」という商材の消費者ではない男性の中には、ロレアルを縁遠いと感じてしまっている方もいるように感じます。商材の消費者かどうかは営業の適性に関係はないと考えていて、商材を見て反射的に受けないと決めてしまうのはもったいないように思います。———ユーザー自身よりも深くユーザーのことを理解できる人が提供者たり得る、といったことでしょうか。岩﨑:はい。変な話かもしれませんが、例えば女性用下着の営業において素晴らしい成果を上げている男性もいると思うんです。自分がユーザーではないからこそ、消費者自身が気づけていない客観的視点をもって商材を扱うことができると考えます。営業の適性はあくまでお取引様のニーズをいかに汲み取り、信頼されるコミュニケーションを取ることができるかであり、そこに性別などのバックグラウンドは関係ないと考えています。———おっしゃる通りだと思います。消費者というと「御社の製品が好きだから受けました」という方も例年一定数いると思いますが、その辺りはいかがでしょうか?岩﨑:いらっしゃいますね。好きであること自体はありがたいのですが、先ほど話した通り、消費者であることとよき提供者の適性があることは別の話だと考えているので、「好き」それ自体はプラスにもマイナスにもなりません。なので、「好き」であることに加えて、+αの何かが必要です。これはロレアルに限らずどこのメーカーにも言えることだと思います。営業のよさは自分がやったことの「明確さ」———ロレアルの営業担当の皆さんは、営業のどんなところが好きだと話していましたか?岩﨑:色々話は上がりましたが、よく聞かれたのは、「この仕事は自分がやった」というのが明確にわかるのがよい、という話でした。営業のように、相対する顧客から信頼を得て、それが自分の数字として明確にわかることにやりがいを感じられる方はご活躍いただけると思います。あと、これはある営業社員に言われた言葉なのですが、非常に興味深かったので共有させてください。「“愛されること”と“信頼されること”という、似て非なるものが両立できる“社内外に敵がいない状態”が営業において最強」という言葉です。———なるほど。愛されるのは人柄、信頼されるのは成果によるものでしょうか。岩﨑:そういうことになると思います。この話をしていた社員はかなりのハイパフォーマーで、彼くらいの状態になると仕事が楽しくて仕方ないようでした!最後に———ここまでありがとうございました。多くの就活生にこの記事を読んでもらって、説明会でのイマイチな逆質問を事前に防げるといいなと思っています笑岩﨑:笑、でも、色々興味を持っていただけるのはありがたいと思っていますよ!———最後に本選考の告知もいっておきましょう!岩﨑:そうですね!2月28日(水)15:00に本エントリーを締め切り予定です。本記事を読み少しでもロレアルの営業職に興味をもっていただけたのであれば幸いです!———この記事にあった通り、男性でも適性ある方はウェルカムとのことなので、ぜひチャレンジしてみてください。岩﨑:我々の選考はフィードバックを通し、皆様にとっても学びのある場になるよう心掛けています。ご自身をより深く知るきっかけになれば幸いです。皆様のご応募お待ちしております!【日本ロレアル2019卒本採用選考概要】・本エントリー締切:2018年2月28日(水)15:00まで・注意事項:エントリーシート提出後、ウェブテストを受験いただき本エントリー完了となりますのでご注意ください。・募集職種:セールス職、サプライチェーン職、R&I(研究開発)職、マニュファクチュアリング職▶︎マイページ登録はこちらから 26,958 views
入社二年目社員が語る全国紙新聞社社員の本音 入社二年目社員が語る全国紙新聞社社員の本音 皆さん、初めまして。某全国紙の2年目の記者をしています、Aと申します。今回は、新聞社の実情を知って頂き、就活の参考にして頂ければ幸いです。どうしても就職活動の最初の時期は、「かっこいい」や「楽しそう」など表面的なことに目が行きがちです。僕自身もそうでした。是非就活される際は、イメージにとらわれず、その仕事の「本質」まで見抜き、10年後のイメージをふくらませ、仕事を選んで下さい。会社で何がしたいか、会社で自分は何ができるか、会社を通して、社会にどう貢献できるかなど、会社を「道具」としてイメージするとちょっと分かりやすいかもしれません。では、乱筆ながら、新聞記者の仕事を紹介させて頂きます。業務内容「記者=文書を書く人。特に新聞・雑誌などの記事を書き、または編集する人。」と、広辞苑を引くと出てきます。基本その通りです。皆さんの思い描いているものと変わりません。人に話を聞き、原稿に載せる。これが仕事です。原稿は、短いものだと、200文字。長いものだと、800字ほどです。これを1日2〜3本取材し、原稿にします。ただ、分野によって、書く内容、量、取材をする相手は変わってきます。少し分野の紹介をすると、首相などに取材する政治部、スポーツ選手などに取材する運動部、海外の取材をする国際部、企業などの経済部など分野は複数にわたります。僕は現在「社会部」に所属しています。新聞の1番裏のページですね。事件事故、災害、街のちょっとした話、人物紹介、スポーツなど、幅広く取り扱います。僕は、政令指定都市の警察担当をやっております。では、警察担当の話を少し紹介させて頂きます。警察担当とは?警察担当は、警察が発表する情報や事件事故を紙面に載せることが仕事です。その情報が、他社(朝日、毎日、NHK、他民放など)にのってなかったら「特ダネ」になります。警察の組織は、公務員ですから、内部情報を外に漏らしたら、解雇なり、何らかの処罰がでます。周囲に知られることなく、取材し、紙面に載せるか。これが仕事の大半です。普段の日常は、警察署の施策もの(分かりやすくいうと、有名人の1日警察署長の取材などです)や、警察署から出る広報文(交通事故の発生、殺人事件の発生など)を取材し、原稿にします。皆さんが見られているニュースの事故や事件は警察の発表で、僕らマスコミが取材し、原稿を作っています。普段警察という組織がマスコミの対応をしてくれるのは、刑事1課次席、あるいは、●●署の副署長などのおよそ50歳以上の方です。広報文や施策モノの取材も同じです。ただ、次席、副署長は、マスコミ対応として、各社平等に扱います。平等に話してくれる人だけに取材しても、「特ダネ」は書けませんから、他の警察官の取材に行きます。たとえば、刑事管理官など。本来であれば、マスコミと接してはダメです。他社と違う取材相手と信頼関係を築くことが大事になります。関係を築くためにすることが、よく言われる「夜討ち朝駆け」です。自宅に行ったり、帰り道を一緒に帰ったり、相手の趣味を一緒にしたりするなどです。昼間警察署で接することはできないためです。周囲に話していることが分かったら、その人の人生を狂わすことになりますから。その人に家族などがいたらなおさらです。そう簡単にはいきません。帰りを待つため、真冬に5時間外で待つなんてことはざらにありました。僕は、途中でトイレにいくと自宅に帰られ、接触できない可能性があるので、1日なるべく水を飲まないようにしていました。特ダネとは?記者の評価になる「特ダネ」を簡単ではありますが、少し紹介します。以下、ある全国紙の9月の記事です。(少し変えています東京都八王子市で2010年11月、ホストクラブ経営、土田正道さん(当時43歳)が失踪した事件で、警視庁は18日、土田さんの遺体を傷つけて遺棄した疑いが強まったとして、共同経営者ら男女5人を死体損壊と死体遺棄の両容疑で逮捕する方針を固めことが捜査関係者への取材で分かった。方針を固めたなんて、警視庁は発表しません。そのため、取材出来ていない社は紙面にせることはできません。その後も、各社競争は続きます。「遺体は薬品で溶かされたことが分かった」、「遺体を溶かし、下水で流したことが分かった」など、新聞、通信社、テレビ局と続報を流し続けます。続報は、公の発表では、分かりませんから、各社独自で取材し、流していることになります。このように、マスコミ同士日々競争が行われています。朝、自分が知らないことが他社に載っていることがあると、朝早くに会社から電話がなり、すぐに、その情報の裏を取り、原稿にします。これを「追っかけ」と言います。僕も何度か、電話がなり、追っかけをし、原稿にしました。すごく怒られたことを覚えています。では次に、1日の流れを紹介します。普段の生活基本は、朝9時から、夜10時くらいが拘束時間です。夜8時に翌日の朝刊の新聞の刷りが出来ます。日々仕事内容は異なります。基本は、取材し、原稿にすることがほとんどです。取材し、その日のうちに、紙面に載ることが普通です。そのため、取材し、すぐ原稿にする速さが求められます。取材は、上司から指示があったものや自分でしたいと思ったものなど様々です。大半は自分が興味あることの取材が多いような気がします。以下は、一年間を振り返って、1番しんどかった1日のスケジュールです。午前3時、火事が発生、寝ているところに会社から電話が鳴り、現場にタクシーで直行。現場に着くと、一軒家が燃えているため、カメラを撮り、周囲に聞き込み。高齢夫婦が、住んでいるが、連絡が取れないということが分かりました。朝になると、住宅から、2人の遺体が見つかったと消防署への取材で分かりました。火事で、亡くなられる人がいると、新聞に必要なのが、「がん首」と言われる、顔写真です。近所の人に写真を持ってないですか。と聞き回ります。これが辛いです。怒られるのは当たり前。殴られそうになることもありました。それでも、頭を下げながら、写真を探しました。その後は、警察署に移動、副署長に取材し、原稿を作り、出稿。夕刊に載せました。(夕刊の締め切りは、午後2時前くらいです。)火事の取材が終わると、昼食を取り、トライアスロンの国際大会に出場する高校生の取材。2時間ほど取材し、会社で原稿にし、出稿。夕方から警察官の帰りを待って、気になる事件の取材。終わったのが、7時半くらいでした。その日は泊まりだったので、会社に再度戻り、朝刊の校閲(記事が間違ってないか、ネットで検索をかけるなど、チェックします)が終わり、2時にベッドに入りました。(うちの社の泊まりは週に一度。事件の警戒、記事の校閲のためです。仮眠程度しかできません)とちょっとハードかもしれません。土日も新聞はありますので、休みが平日になったり、なかったりします。事件や事故が起こると、対応しないといけないので、決まったスケジュールというのはなかなかありません。何かがあると、家にいるときも、遊んでいるときも電話がなり、現場にいかなければなりませんでした。また、休みの日に自分の原稿が使われると、原稿の確認のため会社に行くこともありました。ディズニーランドで、パレードの中、パソコンを開いて原稿の確認をしたこともありました。(これは稀かも知れませんが。笑新聞社の良いところ「名刺一枚で誰とでも会えること」、「歴史の第一人者であること」と入社時、会社から説明を受けました。また、取材は自分で決めます。好きなことの取材が出来ます。もちろんしなければならないこともたくさんあります。警察担当と言っても、警察以外も取材ができます。僕は、スポーツや、福祉の話しが好きなので、日々その分野に時間を割いて取材しております。練習を見に入ったり、あるいは、リハビリを見に入ったりなどです。東京五輪も決まり、パラリンピック、車椅子バスケの出場を目標にしている、地元の高校生を現在取材しています新聞社の悪いところ休み、自分の時間がないところ。給料を時給に換算すると、悲惨です。これに尽きるのではないでしょうか。新聞社の評価良くも、悪くも結果次第です。特ダネ、独材をより多く書くか。数が多いと、評価されます。分かりやすいです。ある人事は、「人間的に薄っぺらでも、新聞社は、特ダネ記者が出世する」と話していました。と言っても、警察、役所などの特ダネだけではなく、人の紹介、街のちょっとした話などで読者の方に共感を得た記事ももちろん評価されます。いかに、警察、役所などの発表以外の原稿を多く出すか、これに尽きると思います。やりがい人に話しを聞き、記事にし、読者の方から、「面白かった」、「記事見たよ」など反響があるとうれしいです。それが1番のやりがいだと思います。以前自分がおいしいと思い紹介した「中華丼」の店に行くと、店長に「今日も新聞見て来たお客がいたよ」と言って頂きました。笑また、今年の8月は、甲子園への取材に参加し、抽選から決勝まで甲子園球場で過ごしました。目の前で見るプレーはもちろん、高校生の野球への思いなどを直接の取材は日々楽しかったです。高校野球の取材内容は、全て自分で決めます。そのため、準備が必要になります。大変でした。宿舎に行ったり、練習終わるのを待ち続けたり。選手だけでなく、監督、コーチ、父母会、マネジャーなどに取材をしていました。試合に負けた後の高校生は、涙が止まらず、なかなかしゃべってくれません。高校生につられ、自分も涙を流し、仕事にならないこともありました。もちろん、上司には怒られました。できる社員とは何か?あくまでも、個人的なできる社員像です。新聞記者で言うと、勉強し続けるということではないでしょうか。当局、取材相手は、1〜10まで教えてくれることはありません。自分が知らないことは質問できず、もちろん先方が話すこともありません。原稿にすることはできません。知識が重要だと思います。自分の知らないことは質問にすることもできません。警察への取材のときは、刑事訴訟法を勉強していきました。たとえば、殺人と傷害致死の差の根拠など、勉強しないと質問できません。取材相手にどれくらい寄り添えるかが大切だと思っています。また、「ニュース価値」をしっかり持っていることも重要だと思います。取材をし、「面白いかも」と思わず、聞き逃すと原稿にならず、終わってしまいます。どの話しが面白いか、聞き逃さない「ニュース価値」は大切だと思います。でもそれはセンスみたいな気もしています。最後に、訂正を出さないことも大事です。間違った内容の記事を載せると、訂正、おわびを翌日の新聞に出さなければなりません。最後に新聞社の仕事はハードと思われていますが、恐らくハードだと思います。その分他の業種では、味わえないやりがいも多い仕事ではないでしょうか。幅広いフィールドがあるので、きっと面白みを感じることができると思います。加えて、自分の思い、興味がある分野を追及できる仕事でもあります。このコラムを読み、多くの方に少しでも、この仕事に興味を持って頂ければ幸いです。最後に、多くの学生さんにとって納得いく就職活動となるよう願っております。photobyGeorgeHodan 82,612 views

現在ES掲載数

77,622

すべて見れる

上に戻る

会員登録・ログインして全てのコンテンツを見る

無料会員登録