TOEICスコアがエントリーシートに間に合わない人が受けるべきテスト「CASEC」

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最終更新日:2023年10月27日

TOEICスコアがエントリーシートに間に合わない人が受けるべきテスト「CASEC」

企業研究

 
今や日本だけではビジネスが成り立たたない時代。企業側ももちろん国際感覚に優れ、語学が堪能な人材が欲しいはずでしょう。「現時点の語学力は関係ない」との人事の方の話もよく聞きますが、関係ないのであれば履歴書やESに書かせることはないはずですよね。実際、総合商社の内定者のTOEIC平均は800台後半とも言われ、世間一般の大学生からするとかなりのハイスコアであり、その能力は重視されていると言わざるを得ません。
多くの人は「語学はツールであって、重要なことは人間性や仕事のスキル」と言います。確かにそうです。語学が堪能であるからといって仕事ができるとは限りませんし、結局母国語でしっかりと思考し発信できるスキルや人間性がなければ語学力など全く生きてこないでしょう。

本選考とインターンの締め切り情報

採用・入社後にも問われる語学力

しかし、語学は今や社会人として避けて通ることができない必須の能力になりつつあります。例えば日本を代表する大企業TOYOTAは海外収益が全体収益の70%以上をしめています。さらにこの割合は上昇していくことでしょう。今後、より多くの社員が海外へ赴任し、社内外の交渉や商談に英語が用いられることは容易に推測できます。個人レベルにおいても、TOEIC公式サイトによると、約7割の企業が採用時にTOEICスコアを参考にすると回答しており、15.8%の企業で昇進や昇格の要件にTOEICスコアを利用しているそうです。具体的には、総合商社の丸紅は5年目までにTOEIC750の獲得を全社員に求めています。さらに、ネットサービス大手の楽天に至っては、入社時までに内定者全員にTOEIC800の獲得を義務付けています。内定ゲットだけでなく、内定後の自分のキャリアのためにも、堪能と言わないまでも意思疎通を図ることができるレベル(TOEIC800程度)の語学力は社会人として必須の条件になってくるかもしれません。
最近は採用の段階でもそういった面が重視されていると私は思います。
 

TOEICスコアが採用試験に間に合わないケース

ここまで読んで、冷や汗をかいている就活生の皆さん。もうTOEICスコアはエントリーシートに間に合いません。6月の試験であっても、スコアが返ってくるのは7月終わり。エントリーシートには書けません。
「じゃあ空欄で出せばいいじゃん」と思ったそこのあなた。甘い。某有名就活本にも載っていましたし、筆者も就職活動を通して感じましたが、昨今の採用では「スポーツだけ頑張りました」「アルバイトだけ頑張りました」「サークルだけ頑張りました」という人材は避けられる傾向が強いように思います。グローバル化が進み、企業もどんどんビジネスの領域を広げている中で、「一点特化型」より「バランス型」の人材に需要があるためなのではないかと考えています。

 

TOEICスコアでウソつくのはバレる可能性が高い!

「じゃあウソのスコアを書けばいいじゃん」と思ったそこのあなた。絶対にやめてください。TOEICスコアを虚偽記載をする学生が一部存在するらしいのですが、そういった学生への対処のため内定後ESに書いたTOEICスコアの公式証明書を提出するケースが最近増えています(16卒の就活ではキー局や総合商社など複数の企業で内定後、証明書の提出を求めることを宣言しています)。筆者自身は15卒ですが、内定後TOEICスコアの公式証明書の提出を求められました。仮に提出がなかったとしても、即TOEICテストを内定者全員に受けさせる企業は多く、ESの記載スコアと実際のスコアの開きが大きい場合、公式証明書の提出や人事からの呼び出しを受ける場合があります。「ウソ」は就活においてもビジネスマンとしても、そして人間としても信頼を失う行為です。もし虚偽記載が発覚したならば、内定取消しもありえると思います。軽い気持ちでついたウソで人生が台無しにならないように気をつけてください。
 
15卒の筆者の感覚ですと、大手有名企業に行きたいのであれば、学内学外活動の功績+TOEIC最低750以上は必要であると思います。
 
前置きはこのくらいにしましょう。では今TOEICスコアを持っていない人はどうするべきでしょうか。資格の欄は普通自動車免許とだけ書いて就職活動を乗り切れるのでしょうか。
 

TOEFLもあるが難易度が高すぎる?!

打開策として一番最初に頭に浮かぶのがTOEFLです。TOEFLは試験日程が多く、10日後には結果を知ることができます。しかし、TOEFLの問題点はその難易度にあります。皆さんもご存知のようにTOEFLはアメリカ等の大学に留学する際に用いられる試験であり、Reading、ListeningのみならずWriting、Speaking能力まで求められます。失礼ですが、今までTOEICさえ受けてこなかった人では、間違いなくTOEFLでアピールできるようなハイスコアはとれないでしょうし、逆に履歴書に書けないレベルの酷いスコアをとるのがオチでしょう。また、TOEFLは受験料が230ドルと高額であり、何回も受験できるものでもありません。

 

いつでも受けられてすぐに結果もでるCASEC !

ではどうすればいいでしょうか?
そこで出てくるのがCASEC(キャセック)です。皆さんご存知ですか?これは英検が基礎開発した、インターネット上でいつでもどこでも受けることができる英語テストです。大手のHISやソフトバンクグループ、鹿島建設なども社内で導入している、知る人ぞ知るテストなんです。試験はReadingとListeningのみで、難易度もそこまで高くありません(大学受験レベル)。
結果はテスト終了後、即プリントアウトでき、スコアシートにはCASECスコアのみならず、TOEICの換算スコアも表示されます。しかも、価格は1回3600円とリーズナブルであり、かつ試験自体も40〜50分で終わるという超便利ツールです。この価格であれば、スコアが低くても、何回も受け直すことができますよね。「そんなテスト認知度低いから評価されないでしょ?」とツッコミを入れる人もいるかもしれませんが、私の経験上、認知度が低い分、逆に「これはすごい資格ではないか」と面接官に思わせることもできますし、例えばCASEC700(TOEIC750相当)と書けばTOEIC信者の面接官にもアピールすることができます。とりあえず空欄よりはかなりマシだと思います。
ぜひ本格的な就職活動前に最後の「悪あがき」がしたい人には受験をおすすめします。
 

最後に

「別に資格なんかなくても大丈夫」と多くの人は言います。確かにそうです。ただ、あって損であるものではありません。そして、全く関係ないものを履歴書やESにわざわざ書かせないとは思いませんか?
体育会系やチャラチャラしている学生が大学での活動をしつこくアピールする際に、履歴書の片隅に語学資格があればその「ギャップ」に面接官はグっとくると私は思います。
新卒の就職活動は人生で一回きり。悔いが残らないように最後まで全力で「悪あがき」してほしいと思います。

photo by Jirka Matousek

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【商社・外銀・外コン・外資メーカー】就活を始めたばかりの上位校学生向けの「ざっくり業界研究」 【商社・外銀・外コン・外資メーカー】就活を始めたばかりの上位校学生向けの「ざっくり業界研究」 16卒で外資系メーカーの内定者です。インターンシップ選考も本選考も基本的に準備することに変わりはありませんが、その中で最も重要といっても過言ではないのが「業界研究」です。業界研究は自分が働きたいと思える場所を見つける上で、また自分の適性がどういった業界で活かせるのかを理解するためにも、きちんとしておくべきだといえます。しかし、就活を始めたばかりの段階では「業界研究」といっても、何をしたらいいのかわからない!という方も多いのではないでしょうか。そこで、本コラムでは(インターンシップの対策を含め)就職活動を始めたばかりだという上位校生のみなさんに向けて、業界研究の指針となるような「業界へのざっくりとしたイメージ」をお伝えしたいと思います。16卒の筆者が各業界について先輩や同期の内定者から聞いたことや自身が調べたこと、また(少々の)偏見も踏まえてご紹介します。特に今回の記事では、成長志向が強く行動派の就活生に大人気の「総合商社」「外資系投資銀行」「外資系コンサル」「外資系メーカー」「IT・ベンチャー」の5業界をまとめて業界研究してみます。総合商社特徴安定志向の学生からもエリート志向の学生からも人気を集め、現在就職人気ランキング不動のトップであるのが「総合商社業界」です。総合商社の業務や商材は多岐にわたるため、仕事のイメージというのはつきにくいかもしれません。それでも商社が担う仕事を簡潔にまとめるとすれば「トレード(モノを左から右へ流す役割)」と「投資(国内外の事業への出資)」に大きく分けられると言えます。例えばトレード分野なら、衣料品メーカーが衣類を生産して百貨店などに卸したいと考えた時、原料となる繊維を繊維メーカーから買い付け、衣料品メーカーに流す手続きを整えるのが商社の役割です。一方の投資分野では、海外の油田開発プロジェクトへ投資することで現地企業をサポートし、将来的には日本のエネルギー確保をスムーズにもするといった例などが挙げられるでしょう。総合商社はこうした数々の事業を世界各地のステークホルダーと関わりながら行うため、非常にスケールの大きい仕事ができる点が1つの魅力です。商社マンから話を聞いていると、実際はこうした華々しい業務の裏にかなり泥臭い努力があるのですが、就活生はどちらかというと商社の泥臭い部分よりも「グローバル」「投資から経営」などといった綺麗な言葉に飛びついている印象も受けます。また、「総合商社業界」は「広告代理店」「不動産ディベロッパー」と並ぶ三大ミーハー業界で、早慶レベルの安定・エリート志向の層がとりあえず第一志望にしたがる業界です。しかし人気業界ゆえに選考の倍率も非常に高く、多くの学生が3つの業界に全滅してしまうという厳しい現実もあります。【関連記事】対象企業三菱商事三井物産伊藤忠商事住友商事丸紅双日豊田通商※三菱商事から丸紅までの5社は"5大商社"、5大商社に双日と豊田通商を含めた7社は"7大商社"と呼ばれています。外資系投資銀行特徴「高給・激務」かつ「ネームバリュー」のある企業の代表ともいえる外資系投資銀行。「寝る間も惜しんで働く」とよく例えられるほどのハードな労働環境ですが、その分の大きなやりがいや日系企業では考えられないような額の報酬が得られるため「肉食系エリート就活生」に人気の業界です。投資銀行の役割は、顧客企業の資金調達を証券(株式や債券)の発行によってサポートし、合併や買収時には財務戦略のアドバイスを行うことで、主たる業務は以下の通りです。株式を「買いたい」/「売りたい」投資家を市場に繋ぐ仕事《M&Aアドバイザリー》証券会社自体が主体となって証券を売買する仕事《トレーディング》発行された株式を証券会社が引き受け(買取り)、それを投資家(個人・機関)に買ってもらう仕事《セールス》投資銀行のこうした「他の企業のビジネスを金融面から支える仕事」にはやりがいはもちろんのこと、さまざまな業界と関わり視野を広げるチャンスが多くあるように感じます。しかし一方で、冒頭でも述べたように激務がある意味当たり前のようになってしまっている業界でもあり、行員の過労死がニュースになったこともありました。最近は労働環境もかなり改善されてきてはいるようですが、リーマンショック以後は経営不振なども重なって、総合商社に人気が流れる風潮も見られています。また成果を重要視する外資系企業であるがゆえに、簡単にクビになってしまう可能性もあるようです。筆者の周りを見ると、外資系投資銀行に内定している学生は「頭脳明晰で論理的に物事が考えられるタイプ」かつ「激務を厭わずやりがいや報酬をより重視するタイプ」が多く、しかも最初から転職を視野に入れている人がほとんどという印象を受けます。【参考記事】ゴールドマン辞めれなかった若手バンカーの死-働き詰めの末投資銀行研究就活ノウハウ証券会社って何をする会社なの?man@bow対象企業ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーJ.P.モルガンメリルリンチドイツ銀行バークレイズUBS証券BNPパリバクレディスイス証券など外資系コンサルティングファーム特徴先に紹介した外資系投資銀行と並ぶ高級・激務で名高く、内定するのは優秀な学生が多いのが外資系コンサル業界です。外資系投資銀行に比べると若干報酬は低めですが、こちらも就活生から絶大な人気を誇り、サマーインターンなどから積極的に採用に乗り出している業界としても知られています。一口にコンサルといっても戦略・会計・ITなど様々な分野があり、各コンサルの業務をざっくりと比較すると以下のようになります。《戦略コンサル》クライアントの経営陣が抱える課題を共に考え、解決する《会計コンサル》企業の会計に関する課題を見出し、解決に導く《ITコンサル》企業への基幹システム(例えばPOSシステムなど)の導入をサポートする就活生の一番人気はやはり戦略コンサルでしょう。ちなみに戦略コンサル業界最大手として挙げられるのは、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー、Strategy&(旧:ブーズ・アンド・カンパニー)、A.T.カーニーなどです。この業界には「ケース面接」と呼ばれ論理的思考力を評価するための独特の面接手法があり、選考ではひたすら論理的思考力を試される印象があります。そのためか、内定者も「理論的に物事を考えることのできる人」や「常に冷静な判断を下すことができ、自身の意見を理由とともにはっきりと主張できる人」が多いように感じます。こちらも外資系投資銀行と同様に激務かつ転職が一般的な業界なので、生涯ひとつの会社で働き続けようと考える人は少ないようです。【関連記事】対象企業マッキンゼー・アンド・カンパニーボストン・コンサルティング・グループベイン・アンド・カンパニーローランド・ベルガーStrategy&A.T.カーニーアーサー・D・リトルアクセンチュアデロイトトーマツコンサルティングPwCコンサルティングなど外資系メーカー特徴P&Gやユニリーバなどに代表される外資系メーカーは就活生にとって身近で知名度も高く、毎年非常に人気の高い業界の一つです。メーカーといっても企業によって扱う商材は様々ですが、特に消費財などのBtoC(最終消費者向け)製品を扱っている企業の方が、やっている仕事がイメージしやすく倍率が高くなる傾向があります。特に冒頭で挙げたP&Gは群を抜いて人気が高く、総合商社など他の人気業界から併願して受けている学生も多いようです。外資系メーカーを受ける学生の共通点としては、「成長意欲が高い」「留学や海外在住経験がありグローバル志向が強い」などといった特徴が挙げられます。日系メーカーと比較した外資系メーカーの特徴の一つとして「職種別採用を行っている企業が多い」という点が挙げられると思います。これは「総合職」として一括採用を行い、担当業務が入社後にころころと変わる日系メーカーと異なり、「マーケティング」「営業」「財務・経理」などとはじめから自分の希望業務をはっきりとさせ、入社以降はずっとその業種で働き続けるというシステムです。この「職種別採用」にはメリットもデメリットもあり、自分のやりたいことがはっきりとしているプロフェッショナル志向の学生にとっては都合の良いものですが、逆にいろいろな業務を経験したいと考える学生にとっては、可能性を狭めることになりかねません(外資系であっても職種別採用を行っていない企業ももちろんあります)。自分がどういった働き方をしたいのか、まずはよく考えた上で企業選びをすることが必要です。外資系に限らずメーカーは全体的に採用人数の少ない(特に文系)場合が多いため、選考を突破することはかなりの難関といえます。ただし他の外資系企業(コンサルや投資銀行)などと比較すると、激務はありませんが給与も桁違いに高いというわけではないようです。それでもやはり外資系企業特有の「年功序列ではなく比較的自由な風土」に惹かれて志望する学生は多いように思います。【関連記事】対象企業P&G日本ロレアルユニリーバネスレ日本ジョンソン・エンド・ジョンソンコカ・コーラスリーエムジャパンロッテルイ・ヴィトンボッシュ日本GEなどIT・ベンチャー特徴これまで上記で挙げてきたいわゆる"大企業"と対照をなすともいえるのが、ここで紹介する「IT・ベンチャー業界」です。近年目覚しい成長を遂げているIT関連企業や起業されたばかりで勢いのあるベンチャー企業など、とにかく変化が激しいことが特徴の業界です。こうした業界を目指す学生の特徴としては「変化の激しい環境で面白い仕事がしたい」「成長したい」「自分でサービスを作りたい」「人と違ったことをしてみたい」といった意識の強い点が挙げられると思います。一方でエリート志向の層からの志望も多く、中には外資系投資銀行や外資系コンサルを蹴って30人規模のベンチャーにいく人もいるようです。ベンチャー企業は比較的規模が小さいものが多く、そのカラーは企業によって大きく異なっています。例えば同じIT系ベンチャーであっても、サイバーエージェントは「青学のサークルのようなノリ」と言われることもあるようですが、DeNAに関しては創業者がマッキンゼー(外資コンサル)出身ということもあり、若干コンサル寄りなエリート志向学生が多いイメージのようです。いずれにせよ、この業界について総じていえるのは「会社の知名度や規模が経営の良さと比例していない」ということです。最近になって名の知れてきた企業こそ増えつつあるものの、依然として「知名度が低かったり規模が小さかったりしても優良な企業」が多くあるのです。そのためIT・ベンチャー業界に少しでも興味をもった場合は、自分から積極的に情報収集していく必要があるといえるでしょう。【関連記事】対象企業DeNAグリーYahooリクルートサイバーエージェントGoogleAmazonなどまとめいかがでしたでしょうか。今回はコラムをお読みのみなさんの業界研究のヒントとなるようなコンテンツを心がけましたが、業界研究そのものに終わりはないと思っています。まずはこのコラムを読んでそれぞれの業界が基本的に担っている役割を知り、自分の性格や適性がどの業界のどこにマッチするのかを考えてみてください。そうしたプロセスを進めるうちに、必ず本コラムでご紹介した内容よりもっと深く広い情報が必要になってくるはずですので、その際は必要だと思ったことをしっかりと調べてください。当たり前のことのように聞こえますが、意外とこれをきちんとできている就活生は少ないように思います。将来に自分が働いていく場所を決める上で、「己」を知り「相手(業界・企業)」を知ることは一番大切なことです。 37,015 views
減少する総合商社の若手の仕事、成長を阻害される若手社員とは 減少する総合商社の若手の仕事、成長を阻害される若手社員とは 近年、総合商社に対する就職人気は非常に高まっており、特に上位校を中心とする学生の間では最も就職したい業界の一つとして挙げられることも少なくありません。グローバルな職場環境、投資と経営を通じた企業価値の向上といった仕事内容の魅力もあれば、平均年収が1000万円を大きく超える会社も多いなど待遇面の魅力もあるでしょう。一方で、総合商社の中堅からベテランの方に話を伺うと、ここ3、4年で入社した若手にとって総合商社の職場は必ずしもいい環境ではないと話す人が少なくありません。若手の成長について心配するベテラン社員も多く、今回はその真意について噛み砕いて説明したいと思います。若手の数が多すぎる今の好調な経営環境から想像するのは難しいかもしれませんが、90年代後半から00年代初頭まで厳しい経営環境だったため、90年代後半〜05年ごろに入社した人は数十名から100名に満たない程度でした。そのため、06年頃〜10年までに入社した若手にとっては直近の先輩社員が少ない分、1人当たりにこなさないといけない仕事は非常に多かったそうです。新入社員のうちから決算資料の作成、事業会社管理と同時に受け渡しの担当も行い、幅広い業務を担っていました。一方で10年以後に入社した新人は、06〜10年までに大量に採用したこともあり、若手が多く、業務内容が分散されてしまいます。06年〜10年に入社した新入社員が1人でやっていた仕事を3人〜4人で担当することも出てきていると聞きます。ワークライフバランス重視の流れ近年、日本企業においてはワークライフバランス重視の流れが鮮明で、伊藤忠商事においては朝方勤務を推進し、業務効率を高めて残業時間の削減に努めています。参考:伊藤忠商事の朝方勤務、KDDIの退社後11時間以内の出社禁止などユニークな勤務体系全体の流れからも、以前のように夜遅くまで、時には徹夜も問わずに仕事をするという風潮は急速に後退しており、ある意味働きやすい環境が整ってきています。一方でワークライフバランスが整い、働きやすい環境が整うということは仕事時間が減少するとともに成長機会が少なくなっているということでもあります。特に若いうちは仕事も遅く、吸収すべきことがたくさんあるのですが、上記の通りそもそもの業務量も少なく、仕事時間が短くなるとどうしても一人前になるまでに長い期間を必要としてしまうでしょう。トレードから投資の流れで現場の仕事が減っているこれは部署によるといえますが、「現場の仕事が減っている」と感じているベテラン・中堅社員の人は多いようです。総合商社を志望して就職活動をある程度進めると、「トレードから事業投資へ」という話は聞くことになると思います。総合商社は元々は貿易業として、顧客企業の輸出入を担当していましたが、顧客企業の海外進出に伴い、徐々に総合商社の存在意義に疑問を感じる会社が増え、口銭の減少した結果、新たな事業モデルとして事業投資に移り変わっていきました。元々、トレードの仕事をしていた時は本社にも顧客企業と直接触れながら、貿易実務をこなしていましたが、近年では顧客企業とふれあう貿易実務部分を子会社に移管して、本社ではその子会社の事業管理がメインになっている部署もあります。また近年、総合商社各社が進出し始めているベンチャー投資や金融関連産業分野においてはトレードが存在せず、事業会社管理のみの部署も存在しているでしょう。実際にトレードを通じて顧客企業、扱う製品に対する知識や業界内のパワーバランスなどを、身を以って体感する機会が失われていることを危惧している中堅、ベテラン社員も多くいます。高いとはいえない総合商社の転職市場価値下記のコラムに詳しく書いていますが、元々総合商社の社員の転職市場価値はそこまで高いとはいえません。そもそもがプロフェッショナルというより何でも屋さんであり、成長に対する圧力はそこまで強くない環境です。総合商社からの転職で評価されているのはその業務内容というよりも、ブランドのある総合商社に入社できた地頭・リーダーシップなど、総合商社特有のスキルというよりは汎用的なスキルの部分だったりします。参考:意外に低い総合商社人材の転職市場価値そのような状況の中で、上記のように若手の業務量が減り、成長がさらに阻害されてしまうと、今後ますます総合商社の人材の転職市場価値は下がってしまうかもしれません。最後にもちろんこのような事態は総合商社各社の部長、役員も把握しており、今後、対策をしていくものと思われますが、人余りに加えて、ワークライフバランス重視の大きな流れの中で劇的に改善するのは難しいかもしれません。もし既に総合商社に入社した、入社を決めているという人は、こういった事態を理解した上で自分でどうするか考えてほしいと思います。業務以外の時間で自己研鑚に努めることが今まで以上に、自分のキャリアを充実させる上で重要になるかもしれません。総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。 20,780 views
企業が奨学金を免除!?背景と注意点、導入企業を解説 企業が奨学金を免除!?背景と注意点、導入企業を解説 本記事では奨学金を利用して大学に通う学生が社会に出てから困ることがないよう、耳寄りな情報をお伝えします。本記事の構成奨学金について奨学金返済の支援が注目されている背景(学生側視点)奨学金返済の支援が注目されている背景(企業側視点)「奨学金返済支援制度」利用の際の注意点「奨学金返済支援制度」導入企業一覧(一部抜粋)さいごに奨学金について自分自身、もしくは周りの友達で奨学金を利用している学生はいませんか?独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)による調査では、大学(昼間部)に通う学生のうち、49.6%が奨学金を利用しています。しかし、それに伴い奨学金の返済に苦しんでいる人が多く出てくるようになりました。こうした中で、奨学金を肩代わりする企業が増えてきていることを知っていましたか?例えば、誰もが知っているトヨタグループでは、奨学金を実質無利息で支援する制度もあります。奨学金とは、国や地域、民間の団体が金銭面からサポートしてくれる仕組みです。奨学金には、大きく分けて2つの種類があります。返済義務のない給付型と、返済が必要となる貸与型です。本来、奨学金とは返済の必要のない給付型の援助のことです。しかし、現在は国の政策により、多くの奨学金の制度は貸与型となっています。現在、給付型は一部に限られ、9割が返済が必要な貸与型となっています。貸与型の場合、就職後の返済が条件となっており、学生は就職後、数年あるいは数十年かけて返済していかなければなりません。奨学金返済の支援が注目されている背景(学生側視点)最近、奨学金の返済への支援が学生と企業双方に注目されています。この支援が注目されている背景には様々な要素があります。その背景を学生側からお伝えします。学生側視点においては3つの要素があります。奨学金利用者の増加9割が返済必要な貸与型返済困難な実情奨学金利用者の増加奨学金返済支援が注目されている背景の一つに、年々、奨学金利用者が増えていることが挙げられます。奨学金利用者推移1996年5%↓2014年20%↓2016年50%1996年の奨学金利用者は大学生の5%でしたが、2016年には約50%にまで増加しています。つまり、大学生の2人に1人は奨学金を利用しているということになります。奨学金利用者が増えている理由として、中間層の所得が減少し、家計基準などの奨学金を利用する際の制限が緩やかになっているため、奨学金が身近なものになっていることが考えられます。9割が返済必要な貸与型奨学金利用者が増えていますが、一方で、返済が必須となる奨学金が増えているという現状があります。奨学金にはそもそも、大きく分けて2つの種類があります。返済義務のない給付型と、返済が必要となる貸与型です。本来、奨学金とは返済の必要のない給付型の援助のことです。しかし、現在は国の政策により、多くの奨学金の制度は貸与型となっています。現在、給付型は一部に限られ、9割が返済が必要な貸与型となっています。貸与型の場合、就職後の返済が条件となっており、学生は就職後、数年あるいは数十年かけて返済していかなければなりません。返済例Aさんの場合・貸与総額:384万円(月8万円で貸与)・貸与期間:2018年4月~2022年3月(48カ月)・貸与利率:0.23%→総額:393万円・返済期間:2022年10月~2042年9月(20年間)・返済額(月払いの場合):1万6千円/月計240回上記のような返済のイメージができていましたか?例えば初任給20万円で、手取りが17万円だった場合、家賃や光熱費で9万円、食費、通信費、日用消耗品費で約6万円、つまり月に使える自由なお金は2万円となります。2万円のうち、1万6千円が奨学金返済に使うとなると、恐ろしいですよね。参考:【初任給20万円の一人暮らしガイド】目安にすべき家賃の平均・必要経費・自由に使えるお金を徹底紹介もし、返済が滞ると滞納金の5%が遅延金として上乗せされ、3カ月滞納が続くとブラックリストに登録されてしまいます。ブラックリストに登録されると、返済後5年間はリストに名前が残り、ローンが組めない、クレジットカードが作れないなど、社会生活に支障をきたすため注意が必要です。返済困難な実情奨学金利用者が増え、返済必須の貸与型奨学金が増えていることと同時に、奨学金の返済に苦しむ若者が増えています。奨学金を借りている大学生は今や2人に1人。しかし、奨学金を借りても返せない人が増加、自己破産にまで追い込まれるケースが累計1万件以上にのぼっている。引用:“奨学金破産”の連鎖で一家破産!?上記の記事のように、奨学金返済に苦しみ、自己破産にまで陥っているケースも出てきています。返済が困難な若者が増えている理由として、学費の高騰と、無利子奨学金から有利子奨学金の激増の2つ挙げられます。まず、学費の高騰です。私立大学の授業料(平均)は1990年57万円から2016年81万円と約7割の上昇となっています。また、国立大学の授業料(平均)は、1990年の34万円から2016年54万円へと約6割上昇しています。国立大学でさえも、このように大きく学費が上がっており、安い学費で進学するのは不可能となってきています。参考:国立大学と私立大学の授業料等の推移文部科学省2つ目に、有利子奨学金の激増です。先ほど述べたように、貸与型の奨学金が9割を占めるようになっています。そして貸与型奨学金の中でも、無利子奨学金と有利子奨学金があります。以前は無利子奨学金が当たり前でしたが、国の政策によって有利子奨学金が激増し、2003年には有利子奨学金を借りる学生の人数が無利子奨学金を逆転しました。では、無利子奨学金と有利子奨学金の返済額の違いはどのくらいあるのでしょうか。例えば、貸与総額144万円の場合、有利子奨学金の返還総額は176万円(利子3%)となり、30万円以上返済額の差が生まれます。有利子奨学金は、年間約2万5千円多く払うこととなります。このように学費の高騰や、有利子奨学金の激増により、返済に対する負担が大きくなっていることで、返済が困難になっている若者が多くなっています。参考奨学金返済を肩代わりします…企業が人材確保へアピール奨学金を受けている学生の割合はどれくらい?第17回税制調査会奨学金が地獄と化しているのは昔の奨学金とは違うから大学・返還例ーJASSO奨学金返済の支援が注目されている背景(企業側視点)奨学金返済への支援が学生側で注目されている背景は多くありましたが、企業側もこの支援に関して注目しています。その背景として、大きく2つの要素があります。売り手市場による学生の集客難奨学金返済の支援に企業が注目する背景の1つ目に売り手市場が挙げられます。そのため、多くの企業は学生を集めることが困難となっています。そういった状況の中で、奨学金を肩代わりする制度によって学生を集められるようになっている企業が出てきています。例えば、株式会社クロスキャットが「奨学金返済支援制度」を今年発表しました。その結果、会社説明会の様子が一変したようです。「去年は回によっては10人も来ない日があり、しかも無連絡欠席もそれなりにありましたし。しかし、今年は満席表示が続いていますし、無連絡欠席は数人程度しか出ていません」引用:「奨学金返済」肩代わりする企業残高100万円まで出すところも今まで売り手市場により学生の集客が難しかった企業が、奨学金を肩代わりする制度によって、大きく変化することが分かります。転職率増加に伴う離職率増加への懸念売り手市場とともに奨学金返済の支援が注目されている背景に、転職率増加があります。転職率増加に伴い、企業が懸念していることは離職率です。しかし、奨学金を肩代わりする制度により、離職率を低下させることが可能となっています。仮に、奨学金の返済で苦慮する若手職員がいるとするなら、一定期間、奨学金の返済をサポートすることで、生活の質を向上させられます。そして、若手職員は月々の奨学金の返済を考えず日常業務に専念できるようになり、モチベーションや帰属意識が高まります。例えば、株式会社ノバレーゼでは、奨学金の返済支援制度を導入すると、支援対象者から支援制度がモチベーションになっているという声があがっています。「会社がこれだけ自分たちの事を思って、この制度を作ってくれたのであれば、会社に対しても貢献していきたいなっていうのは思いましたし、とても自分自身のモチベーションにはなりました」引用:増える企業の奨学金返済支援そのメリット・デメリットとは?このように、奨学金を肩代わりする制度は社員のモチベーション向上につながり、転職率増加という時代の中で、離職率低下に貢献しているのです。「奨学金返済支援制度」利用の際の注意点奨学金返済の支援が注目されていることもあり、奨学金を利用している学生にとって、企業が奨学金を肩代わりする制度は、目が向く制度だと思います。しかし、注意してほしいことが2点あります。在籍の縛り企業が奨学金を肩代わりしてくれる分、数年間の在籍を求めてくる場合があります。在籍への記載や説明がない場合は、人事に確認を取りましょう。給料からの天引きもしかしたら、支援制度と言いつつ、給料から天引きされる場合もあるかもしれません。給料から天引きされないか、確認しましょう。上記の2点について注意しながら、各企業の制度について、ぜひ調べてみてください。参考:奨学金を肩代わりしてくれる企業『奨学金返済支援制度』を導入している会社一覧「奨学金返済支援制度」導入企業一覧(一部抜粋)ここまで、奨学金返済の支援が注目されている背景や、奨学金返済の制度における注意点をお伝えしました。そもそも、奨学金支援制度とは、奨学金返済の経済的・心理的負担を軽くし、安心して仕事に専念してもらうための制度です。ここでは、導入している企業についてお伝えします。以下は、奨学金を肩代わりしてくれる企業「奨学金返済支援制度」を導入している企業一覧です。※一部抜粋大和証券グループ(証券)UTテクノロジー(IT)クロスキャット(IT)トヨタグループ(製造)ニフコ(エンジニアリングプラスチック製品)オンデーズ(眼鏡、製造販売)イズミ(衣料品、住居関連品、食料品等販売)ゆで太郎システム(飲食)ノバレーゼ(ブライダル)遠鉄グループ(鉄道)コヤマドライビングスクール(自動車教習所運営)サザビーリーグ(衣食住ブランド運営)現在、上記の企業が奨学金返済の支援制度を導入しています。では、上記の企業はどのような支援制度をおこなっているのでしょうか。いくつか制度の詳細をお伝えします。大和証券グループ大和証券グループは奨学金の返済義務がある社員を対象に、返済資金を無利子で貸し付けする制度を導入しています。返済の開始は、入社6年目からとなり、中田誠司社長は、制度を通じて若手社員の負担を和らげることで、「集中して業務に取り組んでもらいたい」と述べています。参考:若手社員の奨学金、立て替え払い大和証券が新制度トヨタグループトヨタグループは、理系女子学生対象の奨学金制度として「トヨタ女性技術者育成基金」を創設しました。トヨタ自動車ほかグループ企業10社のいずれかに入社すると全額、他の製造業なら半額を同基金が肩代わりして返済しています。参考:奨学給付プログラム|トヨタ女性技術者育成基金ノバレーゼウエディングプロデュースやレストラン運営などのブライダル関連の事業を手がける、東証一部上場企業のノバレーゼ。奨学金返済制度は、奨学金残高のある勤続5年と10年の社員を対象に、それぞれの節目に最大100万円、計200万円を支給しています。参考:福利厚生|ノバレーゼ新卒採用情報このように、企業によって奨学金返済の支援制度の内容は様々です。企業選びの一つの指標として、ぜひ調べて比較してみてください。参考奨学金を肩代わりしてくれる企業『奨学金返済支援制度』を導入している会社一覧奨学金返済を肩代わりします…企業が人材確保へアピール「奨学金」肩代わりが増加中企業、自治体が人手不足解消に導入さいごに奨学金を利用している学生のみなさん。卒業後、奨学金の返済はすぐに迫ってきます。就職活動の時期から、返済を視野に入れていく必要もあるかもしれません。今後も奨学金を肩代わりする制度を導入する企業が増えることが予想されています。このような視点も含めて、ぜひ就職活動してみてください。なお、就職活動に不安があるという方には就職エージェントneoがおすすめです。アドバイザーからは、自分の就活の軸に合った企業選びを手伝ってもらえるだけでなく、その企業のエントリーシート・面接といった選考対策のサポートを受けることができます。少しでも興味のあるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。参考記事 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就職活動における「学歴」丨「スクリーニング基準」と「採用基準」 就職活動における「学歴」丨「スクリーニング基準」と「採用基準」 就活を進めていく上で、学歴に関する悩みはよく聞く話です。以前のunistyleコラム「「ベンチャーで学歴は関係ない」はホント?スタートアップ役員の学歴を調査!」では、国内の優良ベンチャー企業にて執行役員以上のポストにあるビジネスパーソン310名の学歴を調査し、ベンチャービジネスにおける学歴を探りました。今回は、戦略コンサルやファンドなどのエリート業界にも同様の調査を行い、業界ごとの学歴の傾向を比較し、その結果を踏まえ「学歴」との向き合い方を考察します。本記事のコンテンツ・エリート業界における学歴の実態・結局、就活生は「学歴」をどう考えるべきか・最後にエリート業界における学歴の実態まず、エリートキャリアの代表格として①PEファンド、②戦略コンサルの2業界をピックアップし、それぞれの業界で活躍するビジネスパーソンの出身大学を調査してみましょう。今回もunistyleが独自に調査した1,333名のエリート転職者データベースを用いて、PEファンド169名、戦略コンサル240名の学歴をまとめました。両業界ともトップは東京大学。とくに戦略コンサルにおいては2位・慶應義塾大学の2倍近い78名を輩出しており、実に業界全体のおよそ1/3を占めています。それに続くのは慶應義塾大学、京都大学、早稲田大学。とくに慶應義塾大学は早稲田大学の約2〜3倍の人数を輩出しており、ここでもその実業界での強さが顕著に現れています。また、ひと学年の学生数がそれぞれ1,000人前後しかおらず、卒業生の絶対数が少ない一橋大学、東京工業大学の出身者が相当数在籍していることも注目すべきポイントでしょう。一方、MARCHは5つの大学を合算してPEファンドに2名、戦略コンサルに5名となっており、上位大学と比較するとかなり小さい数値になっています。PEファンド、戦略コンサルともに、前回記事のスタートアップ・ベンチャー役員の調査結果とほぼ同じ構造、あるいはより極端に高学歴な集団であるといえるでしょう。結局のところ、【いわゆるビジネスエリートは、高学歴が大半を占める】はひとつの真実であるようです。結局、就活生は「学歴」をどう考えるべきかでは、就職活動において私たちは自分の「学歴」とどう向き合うべきでしょうか。「〇〇大学からでも総合商社に入れるのか」のような不安をどうコントロールすべきでしょうか。その答えは、以前からunistyleで紹介している通り、【「スクリーニング基準」と「採用基準」を分けて考える】というポイントに集約されます。伊賀泰代さん(元マッキンゼー採用担当)が著書『採用基準』で述べられているように、皆さんが企業の選考を突破するにあたってクリアすべき基準は2つあります。すなわち、「スクリーニング基準」と「採用基準」です。①「スクリーニング基準」殺到した大量の応募者を、個別に選考できる人数まで絞り込むための基準です。これは「選び取るため」ではなく「絞り込むため」の基準であり、システム上で処理できるような絶対的なフィルタリングのことを指します。このスクリーニング基準の代表格が「学歴」です。入試偏差値などを用いることで明確に序列化できるため、たとえばES選考の段階で「MARCH以上」のような具体的なラインを設定することで、このスクリーニング基準(学歴基準)に満たない応募者を切り捨てる(=個別に選考できる人数だけに絞り込む)ことができます。就職活動において、このスクリーニング基準に関して時間を費やす必要はありません。なぜなら、学生は自分の学歴をコントロールすることはできないからです。もし自分の学歴が企業の学歴水準を満たしていなかったとしても、それは今さら動かすことのできない普遍的な事実であり、何らかの手を講じることによって解決できるものではありません。自分にとってuncontrollableなことに時間を費やすのは、決して合理的とは言えないはずです。したがって、学歴基準を満たさなかった場合、就活生にできるのは「自分が学歴基準を満たす企業の選考を受ける」ことだけになります。(テストセンターやWebテストも「スクリーニング基準」のひとつですが、これらは言うまでもなく結果をコントロールすることができるので、早いうちから必要な対策を済ませておきましょう。)参考:「スクリーニング基準」と「採用基準」の違い参考:企業が学歴差別をする理由②「採用基準」ES通過したあと(=スクリーニング基準をクリアしたあと)、就活生はつぎに「採用基準」のフルイにかけられることになります。「採用基準」は各企業によってそれぞれ個別に設定される基準であり、要するに「自社の企業活動に貢献できそうか」という観点から各学生を見極めるための基準です。各企業は「(スクリーニング基準をクリアした学生のうち)自社が採用すべき学生は誰か」を総合的に判断しなければならないため、結果的に「採用基準」はスクリーニング基準よりも相対的・抽象的で複雑な基準になります。そして、就職活動において学生が時間を費やすべきなのは、こちらの「採用基準」をクリアするための活動です。たびたびunistyleでお伝えしているように、採用基準をクリアするためには①各企業の求める人材(=採用基準)を把握する②自分がその人物像に重なることを証明する③面接官に対して、上記の内容を的確に伝えることが必要になります(こうした取り組みを怠ったがゆえに「採用基準」を満たせないとき、一流大学の学生が内定を獲得できないケースが生じます)。したがって、面接やGDで落ちてしまった場合(=スクリーニング基準は満たしたが、採用基準を満たせなかった場合)は、・採用基準が自分にマッチする企業を探し、エントリーする・志望動機や自己PRの内容、伝え方をブラッシュアップするなどの打ち手を講じることで、就活生は現状の打開を図ることができます。この点はスクリーニング基準とは異なり、それゆえ就活生は「採用基準」をクリアするための活動にこそ時間を費やすべきであると言えます。参考:慶應生でも上場企業に入社できるのは半分もいないという事実最後に本記事のメッセージは至ってシンプルです。すなわち、“「スクリーニング基準」と「採用基準」の違いを意識して就活を進めるべきだ”ということです。本記事の前半のリサーチでは、ファンドや戦略コンサルなどのエリート業界が高学歴ばかりで占められていることを確認できました。しかし、その理由について「高学歴人材はビジネスでも優秀だから」とだけ結論付けるのではなく、「そうした業界のスクリーニング基準が高いから(=そもそも高学歴でないと選考の土俵に立てないから)」という側面も把握しておくべきでしょう。ひとたびスクリーニング基準を満たしたなら、あとは実力勝負。学歴や資格についてあれこれ憂慮するよりも、採用基準を満たすための取り組みに注力しましょう。【unistyle転職シリーズ】・「転職」で総合商社を比較する・外資系戦略コンサルの「転職」を斬る!・「ベンチャーで学歴は関係ない」はホント?PhotobyQuasic 23,209 views

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