NTTコムウェアの志望動機/事業内容から考える【内定ES有】
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最終更新日:2020年12月25日
NTTコムウェアはNTTグループ主要8社のうちの一角を担う企業であり、NTTデータと同様グループ内のSIer企業となっています。
いまや連結子会社900社超を誇るNTTグループですが、直近の話題では2020年東京オリンピックのゴールドパートナーに就任したことが挙げられるでしょう。
スマートスポーツに代表されるスポーツ×ICTや、外国人観光客をターゲットとした伝統芸能×ICTなど、これからの日本にタイムリーな事業をシステムの面から支えるということで、携わってみたい仕事が数多く浮かんでくるという方も多いかと思います。
そんなNTTコムウェアですが、グループ内のNTTデータと比較すると事業規模が大きくないということもあり、両者の違いやSIer業界のビジネスモデルについて理解が進まず、志望動機の構築に悩んでしまうという方も目立つ企業である印象があります。
今回はNTTコムウェアの事業内容を紹介したうえで、どのような志望動機を書くのが適切かについて考えていきたいと思います。
NTTコムウェアのビジネスモデル
SIer業界とはIT業界の中の一つを指し、社会のあらゆる場所で使われる仕組みを自社の開発力を基に構築しています。
この「仕組み」が「システム」であり、中でも情報サービスを扱うものをシステムインテグレーター、すなわちSIerと言うことになります。
既製品を販売するのではなく、それぞれの案件に沿った商材をカスタマイズして提供することが特徴になります。
最近では利便性の高いパッケージ化されたシステムを組み合わせて提供するということもあるようですが、それでも仕組みを「創り上げる」仕事はSIer業界の軸となっていると言うことができます。
このようにそれぞれの顧客に応じたオーダーメイドの提案をするうえでは、相手が何を求めているか、相手自身が気づいていない潜在ニースも含めて適切に把握し、それを形にしていく必要があると考えられます。
ここではプロジェクト事例を一つ見ていきましょう。
新システム検討の直接的なきっかけは、長年使用してきたハードウエアの更改時期が迫っていたこと。
それに合わせて、旧システム導入時点(2002年)以降のNTTグループをめぐる状況変化への対応も図ることとなった。
「ひとつには、内部統制を中心とするコンプライアンスの強化です。SOX法に対応した各種データを取得できるようにしました。
もう一点は、NTTグループ内でも正社員以外の雇用形態も増えており、そうした雇用形態の多様化にも対応する必要がありました」と、具体的なシステム変更点について小林氏は説明する。
(中略)
新システム「eHumanⅡ」の仕様等が決定し、システム構築がスタートしたのは2008年後半。
大規模なプロジェクトだけに、開発にかかわる協力会社もかなりの数に上り、プロジェクト関係者が非常に多かった。
そうした中で、品質を確保しつつ構築をスムーズに進めるためには、お客さまとの密なコミュニケーションが鍵となった。
「週に1回はNTTコムウェアのスタッフと進捗会議を持って、それまでの工程を振り返り、予定の遅延などに対してタイムリーに手を打つことができました。
疑問や問題があれば、事の大小にかかわらず必ずこちらの了解を得るように心がけていただけたのは、ありがたかったですね。
綿密なコミュニケーションによって信頼関係を固められたことが、今回のプロジェクトを円滑に進められた大きな理由だと思います」と、NTTビジネスアソシエの小林氏は振り返る。
この事例ではグループ他社であるNTTビジネスアソシエを顧客に、多数の従業員に対応した人事給与システムの導入を担当したプロジェクトについて書かれています。
「大規模なプロジェクトだけに、開発にかかわる協力会社もかなりの数に上り、プロジェクト関係者が非常に多かった」とあるように、一般にSIerの事業では一つのプロジェクトに多くの人員を割くことになります。
時には数年単位でプロジェクト計画を組むこともあります。
以下の職種紹介にあるように、システムを開発するだけでない企画や保守運用までスキルや考え方がそれぞれ異なる人が同時に携わるうえで、関わり方が異なるにせよ、各々がプロジェクトに対して自分たちのフェーズのアプローチから貢献していく必要があります。
それを実現するうえで、事例にも書かれているように、社内・社外と密なコミュニケーションを取ることが円滑な遂行においては重要となるようです。
以上より、NTTコムウェアの志望動機を考えると
・相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい
・新たに事業や仕組みを生みだす仕事がしたい
・価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい
といった軸が適当であると考えることができるでしょう。
NTTコムウェアのES通過者の志望動機解説
では続いて、実際にNTTコムウェアの書類選考を通過した人の志望動機について解説していきましょう。
周りの為に努力し、チームで課題解決する事にやりがいを感じています。
これは、アルバイトや研究室等で後輩を指導する際に実感しました。高度な技術を獲得し、様々な課題に対して最適な解決策を提案する事で自己の成長を図りたいと感じ、この想いを実現できるのはSIerだと考えています。その中で貴社を志望する理由は、次の3点です。
(①NTTグループ全体のシステムを支える技術力と実績を持っている点②マルチベンダーである為多様な顧客のニーズに柔軟に対応できる点③インターンで出会った社員の方々から誇りやビジョンを明確に感じられた点)貴社で強みである分析力を活かし、社会の潜在的なニーズに応えられる一員になりたいです。
こちらの通過者はアルバイトや研究室の経験からチームで課題解決することにモチベーションを感じているようです。
「価値観やスキルの異なるメンバーと一つの目標を実現したい」という軸から志望動機を導いていると考えられます。
モノやシステムといった何かを「つくる」企業においては、チームプレーは必ずといっていいほど必要となります。
その中でも「高度な技術を獲得し、様々な課題に対して最適な解決策を提案する」と述べ、課題ごとにアプローチの仕方を柔軟に対応して自社の開発力を基に課題を解決することに魅力を感じることを示すことで、チームプレーが求められる業界の中でもなぜSIer業界か(なぜメーカーではないのか)という理由付けが明確になっています。
同業比較にやや字数を割いて詳しく説明する形になっていますので、【例文6選】エントリーシート(ES)の志望動機の書き方!独自調査を基に人気業界ごとに解説の⑤取り組みたい仕事について述べることで、具体的に自身がどのようなシステムに携わって課題解決をしたいのかまで触れられるとより評価できる内容になりました。
続いて、もう1人の志望動機について見ていきましょう。
社会に大きな影響を与えたいという思いがあり、貴社では通信インフラの先端技術に触れながら日本全体へ大きな影響を及ぼすことが可能であり、便利な社会の実現へつながると考えたからだ。
貴社は日本のインフラを支えるNTTグループの基盤となるシステムを構築、運用、保守してきた確かな技術力を保有している。
中でもNTTグループ内のNGNに関する大規模なプロジェクトに関われることは、貴社の大きな特徴であり、魅力であると考えた。
また、自身のアルバイトの経験などから、顧客の要望や課題を根気強く拾い上げ、解決策を導き出し、そのニーズに合わせて柔軟にシステムを構築するという、一連のプロセスに魅力を感じたことも理由である。
こちらの通過者は「顧客の要望や課題を根気強く拾い上げ、解決策を導き出し、そのニーズに合わせて柔軟にシステムを構築する」点に魅力を感じたということから、先ほどの軸のうち「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」というアプローチから導いている志望動機であると考えられます。
また、「社会に大きな影響を与えたい」という①成し遂げたいことの内容についても、ICTが我々の生活に身近で幅広く関わっているという影響力の大きさを考えると妥当性があると言えます。
また、⑤取り組みたい仕事について、NTTグループ内向けのプロジェクトに携わりたいということから、グループ内のシステム開発に売上の8割近くを割くNTTコムウェアのビジネスモデルとして妥当性があると言えます。
近年はNTTコムウェアも外販に力を入れ始めてはいるとはいえ、NTTコムウェア→グループ内・NTTデータ→グループ外の事業が中心であり、以下の本選考情報にあるような「なぜデータではなくコムウェアなのか」ということも想定した内容に仕上げることができています。
一点、「社会に影響を与えたい」という①成し遂げたいことについて、②きっかけとなる経験が示されていないため、「なぜ社会に大きな影響を与えたいのか」「「大きな」影響とはどういうことか」にまで意識できているとさらに評価が高まる内容となりました。
リクルーティング面談自体は、よほどのことがなければ通過できる。今回会った社員の方が今後の電話などのやりとり(リクルーター)になる。
特に緊張することもなかったが、NTTデータとの違いについては明確にしよう、と言われた。
質問自体はそう多くなく、自己PRと志望動機の深堀りが続いたので、きちんと固めておかないと厳しいかなと感じた。
ここでもNTTデータとの違いというところが甘く、次までにはもう少し明確にしておいたほうがいいと言われた。
最後に
情報系の学生でない限り、SIer業界の志望動機を考えるのは難しく感じる方も多いかもしれません。
しかし、軸に基いて考えてみるとメーカーを始め他の企業にでも当てはまるようなアプローチから志望動機を考えていくことが可能であることが読み取れました。
特にNTTコムウェアは、文系の採用が3割近くを占めることもあり、文理問わず多くの仕組みづくりの関わり方ができる企業であると考えています。
過度に敬遠することなく、是非興味を持って選択肢の一つとして考えてみていただければと思います。
photo by SilentObserver