終身雇用ではない外資系、ベンチャー企業の評価報酬体系

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最終更新日:2023年10月31日

終身雇用ではない外資系、ベンチャー企業の評価報酬体系

大企業でもリストラの話があがるように、終身雇用に対する幻想は学生の皆さんの間でもだいぶ薄れてきており、外資系企業や新興ベンチャー企業を志望する学生も増えているように感じています。

今回は終身雇用の大企業とベンチャー企業の大きな違いの一つである評価・報酬体系について説明できればと思っています。

評価・報酬制度は口には出さないものの、企業を決める際の大きな指標になっているのは事実でしょう。それぞれのいい部分、悪い部分を参考にしてほしいと思います。

終身雇用の報酬体系について

いわゆる日系の大企業の報酬体系というのは、ある程度の年次までは大きな差がなく段階的に給与があがります。入社1年目ならいくら、入社2年目ならいくらといった形でベース給与が決まっており、ベース給与に加えて業績連動のボーナスがもらえるという仕組みになっています。業績が好調な企業はボーナスが年収に占める割合が大きくなりがちで、近年好業績の総合商社などにおいては、年収の3〜4割程度がボーナスということも少なくないようです。

こういった組織の多くはある程度の年次までは段階的に昇進し、給与が上がっていきます。組織によっては競争も少なく、成果をあげておらずともある程度の役職にまではなれるのが一般的で、下記のような記事がありました。

住友商事は大胆ともいえる仕掛けを編み出した。大きくハードとソフトに分かれるが、ハード面ではまず一般社員層の賃金・処遇体系を抜本的に変革。入社後10年間はプロの商社人になるための準備・教育期間と位置づけ、昇格のスピードに差を設けず同じ処遇とした。つまり入社後の月給は毎年同期の社員と同じ金額ずつ上がり、10年目の32歳までは格差をつけないというものだ。

出典:検証!住友商事の革新的「OJT育成法」

 

このように多くの企業5〜10年目程度までは年次とともに給与があがり格差がそこまでつかないのが終身雇用の多くの企業がとっている報酬体系です。また「終身雇用」という名前の通り、一度入社してしまえばよほどのことがない限り、クビになることはないと言えます。もちろんシャープの事例を持ち出すまでもなく、経営危機にある場合はリストラのリスクはあります。

終身雇用でも、5〜10年の横並びの期間の後は厳しい競争にさらされることになり、成果を出せなかったり評価が芳しくない場合は課長にもなれないケースが多く、その場合の給与格差はかなり激しくなるようです。総合商社の場合、課長職につけるのは全体の3割程度といった感じで、銀行の場合は支店長になれるかどうかが一つの大きな節目だと言われています。役職が変われば給与も変わるため、同期同士で給料の話はタブーという40代の人も多くいました。

終身雇用とは言ってもドラマの半沢直樹を見た人にはわかる通り、出世競争に破れてしまった場合は転籍という形で別会社の社員として、給与も転籍した企業の給与水準に合わせた形で大幅ダウンして雇用されるケースもありますので、最後まで同じ企業で給与が上がり続けるわけではないという点は注意しておいた方がよいかもしれません。

まとめると、

【メリット】
◆5〜10年目程度までは横並びで差がつきにくく、安定して給与アップが見込める
◆成果をあげることができなくても無理矢理クビにされる心配はほとんどない(当然、経営危機の場合はクビになる)

【デメリット】
◆出世競争に勝てるかどうかで給与は大きく変わるため、競争がないわけではない

◆能力や成果があったとしても年次があがらない限り、給与・待遇が改善されない

◆出世競争にあぶれて子会社や取引先に転籍となった場合、給与は大幅ダウン

ということになります。外資系やベンチャーなどに比べると緩やかなものの、確実に競争というものが存在しているようです。

参考:半沢直樹で誤解して欲しくない! 「出向」の現実と総合商社における 出向の具体例

 

本選考とインターンの締め切り情報

外資系、ベンチャーの報酬体系

外資系やベンチャー系企業の報酬・評価体系はかなりシンプルで、たいてい以下の三つのレイヤーに分かれています。

◆現場担当者
 ・外資系コンサル(※1):年収400~800万円
 ・ベンチャー企業(※2):年収400~600万円

◆マネージャー
 ・外資系コンサル:年収800~1500万円
 ・ベンチャー企業:年収600~800万円

◆部長・執行役員
 ・外資系コンサル:年収1500〜2000万円
 ・ベンチャー企業:年収800~1200万円

◆上級役員・取締役
 ・外資系コンサル:2000万円〜
 ・ベンチャー企業:1200万円~

引用:
(※1)ワンキャリア 
(※2)飛級就職

もちろん企業によって異なりますが、大体上記のようなレンジで給与が決まります。但し、外資系投資銀行だけは別格で、新卒の現場担当者でも800~1500万円程度と破格の給与が得られるため就職人気が高いと言えます。

新卒で入社した場合は現場担当者として働くことになり、1〜3年程度で結果を残すことができ、評価されれば一つ上のレンジに上がり給与も大きく上がるという感じです。逆に結果を残すことができなければ、ずっと現場担当者で給与も上がらないのが辛いところです。また仕事ができない場合にはクビや退職勧告を受けることもあり、サイバーエージェントでも下記のような制度を導入しているようです。

ミスマッチ制度とは、
・下位5%をD評価とする。
・D評価1回でイエローカード、2回目でレッドカードとなり、2回目で部署異動または退職勧奨のいずれかを選択してもらいます。
・仕事のパフォーマンスだけでなく、価値観、文化の合わない人が対象となります。

出典:退職金とミスマッチ制度

 

このように仕事をして評価されないとリストラに合う可能性が終身雇用の大企業よりも遥かに高いのが外資系やベンチャー企業の特徴といえます。

一方で自分に自信があり、仕事を吸収して成果をあげるつもりがあれば、30代で1000万円以上の年収をもらうことも十分可能です。また転職の際には前職の給与や地位に基づき給与が決まることが多いため、一度マネージャークラスに昇進できれば、次の転職先でも同程度の待遇で転職することが可能です。そのため、報酬は変わらないままで、数年単位で働くフィールドや職場を自由に変えることができるのが、終身雇用の企業では得られない大きなメリットと言えます。知り合いでも、新卒で大手企業に入社し、転職してIT系ベンチャーに入社、2年でマネージャーになって、別のIT系ベンチャーに転職するなどしている人がいますが、自分のライフステージに合わせて働き方を選ぶことができるのはよいようです。

【メリット】
◆実力があり評価されれば若いうちから高い年収が望める
◆一度昇進すれば、その待遇で転職が可能なため、人生のライフステージに合わせて職場を柔軟に選ぶことができる

【デメリット】
◆仕事ができなければいつまでたっても年収300万円レベルから抜け出せない
◆仕事ができない場合、クビになるリスクがある

 

最後に

いかがでしたでしょうか、外資系やベンチャー企業はクビになるリスクもあるし怖いという学生も多いのですが、評価・報酬体系を見てみると、終身雇用の企業にも競争が存在し、リスクがあり、外資系やベンチャー企業は確かに厳しい部分はあるものの、ライフステージに合わせて働く場所や働き方を変更できるというメリットがあることがわかります。自分の力を信じることができれば、外資系やベンチャー系企業というのはかなり居心地よく、自分の人生を主体的に選ぶことができるという考え方もできるでしょう。終身雇用かベンチャー・外資の評価体系のどちらが自分の肌に合っているのかぜひ考えてみてください。

photo by Ttaaj

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になり、エジソンの1093件を抜き世界第1位とされている同氏。東京都知事選や衆議院、参議院選に挑戦し続ける同氏。実は三井物産の出身でした。奇抜な発明家として知られた事をきっかけにバラエティ番組での露出が増えたとの事です。選挙に出続ける理由として「元来、政治家は国のために働くもの。『国のため』という気概をどの程度が持っているかが重要なポイントだ」という発言をしていました。戸並誠(となみまこと、実業家、政治活動家)通称:マック赤坂1972年京都大学農学部を卒業後、伊藤忠商事に入社1997年レアメタル輸入販売会社「マックコーポレーション」設立2004年財団法人スマイルセラピー協会会長2006年日本スマイル党を結成し、政治活動を開始2007年港区議会議員選挙に出馬するも落選2009年政治団体の名称を現在のスマイル党に変更大学生ならば一度は見かけた事があると思います。選挙に何度も出馬し、独特な政見放送と選挙活動から知られているマック赤坂さんは伊藤忠商事出身でした。伊藤忠商事に勤務していたころ、アメリカへ行ってハンバーグを食べると、よく「ビッグマック」といわれたそうです。そして一番弟子にはマック赤坂見附さんがいるとの事です。最後に以上、総合商社出身の起業家を紹介しました。外資系コンサルや外資系投資銀行出身の起業家についてはイメージがあるけれど総合商社出身の起業家はイメージがないという方の参考になれば幸いです。今回はどのような想いで起業されたのかといった点にも焦点を当ててご紹介しましたので、今後のキャリアや就職活動の選択の参考にしてください。photobyKayKim 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日本でも急成長中?ベンチャーキャピタルの仕事内容と就職のための道しるべ 日本でも急成長中?ベンチャーキャピタルの仕事内容と就職のための道しるべ ハゲタカシリーズを読んだ方は、主人公の鷲津政彦に憧れて、外資系投資銀行や外資系コンサルティングなどのキャリアを踏んでから自らファンドを立ち上げたいと考えている方もいるのではないでしょうか。とは言っても国内で新卒採用を行っているベンチャーキャピタルは少なく就職活動生の目に触れる機会はあまり多いとは言えないかもしれません。今回はなかなか理解できていないものの、何となくかっこいいイメージのある「ファンド」ビジネスについて、そのビジネスモデルから著名なベンチャーキャピタルファンドの紹介、新卒で入社できるVCと新卒で入社できない場合にどのようなキャリアを歩むのかについて説明したいと思います。新装版ハゲタカ(上)(講談社文庫)本記事のコンテンツ・ベンチャーキャピタルのビジネスモデル・ベンチャーキャピタルの種類・著名なベンチャーキャピタルと投資実績・新卒採用をしているベンチャーキャピタル・総合商社などの事業投資との違い・最後にベンチャーキャピタルのビジネスモデルそもそもベンチャーキャピタルがどういった仕事をしてどうやって利益を得ているのか理解している人は大人でも少ないように思います。簡単に説明すると、「投資家からお金を募って企業に投資をして企業価値をあげる」というのが仕事内容で、「集めたお金の2%を運営費、集めたお金以上に儲かった部分(キャピタルゲイン)の20%を成功報酬」として収益計上する仕事になります。仕事内容の中でも企業価値をあげるというのがどういうことかイメージしにくいかもしれませんが、こちらのハフィントンポストの記事を読むと創業間もないベンチャーに投資をするベンチャーキャピタルの仕事がイメージしやすいかもしれません。渋谷のあるマンションに投資先をどんどん入居させてるんですけど、そのマンションは坪単価9000円くらいで激安なんです。すぐ近くにスーパーがあるので、みんなで買い出しに行きます。Facebookグループに投資先グループを作って、「今日は学生起業家向けマナー研修します」とかやり取りしてるんですけど、「いまから買い出しに行く人集まれ~」ってやっています。でもみんな、こんなのカッコいいわけないってわかっています。カッコ悪いことだけど、ちゃんと来る限りは死なないんですよ。出典:まるで相撲部屋?ベンチャーキャピタルの仕事について佐俣アンリさんに聞いてみた投資先のメンバーと一緒に買い出しにいき、食事を提供することまで面倒をみるなど、かなり泥臭いところまで入り込みながら企業の状況をよくしていこうというのが重要なようです。もちろん企業の経営支援ということでこれまで投資を行い培ってきたノウハウを活かしながら営業活動のサポートや経営陣の採用・人事制度の導入などのサポートを行い企業価値を高める活動も同様に行います。VCファンディングの基礎fromReijiYamanaka報酬面については、例えば投資家30人から1億円ずつ集めて、30億円規模のファンドであれば、年間6000万円の運営収入が入ります。ここから人件費やオフィスなど会社運営に必要な費用がかかります。基本的には原価もかからない仕事のため、かかる費用のほとんどが人件費です。その上で、5年後に30億円集めたファンドが5倍の150億円で全て売却完了したとすると120億円の利益のうち20%である24億円がベンチャーキャピタルの利益になります。ベンチャーキャピタルの収益性については、投資した時期(詳しくは後述)により異なりますが、シードラウンドでの投資の場合は投資額を5〜10倍に出来ればいい感じだといえ、シリーズAやシリーズBでの投資の場合は3〜4倍でも評価されるようです。ファンドの大きさにもよるんですね。グロービスさんぐらいの100〜200億円のファンドだと、3〜4倍ですごいぞとなる。5億円を6〜7年で5倍にできれば、なかなかでしょう。僕のファンドだと10倍ぐらいだとイケてるねと言われるぐらい。でも、だいたいシードファンドは6年ぐらいで結果が出てくるので、500万円を預かって6年後にトータル10倍返せると、イケてるファンドなんじゃないかなあと思って頑張っています。出典:まるで相撲部屋?ベンチャーキャピタルの仕事について佐俣アンリさんに聞いてみたベンチャーキャピタルの種類ベンチャーキャピタルにはその時期により、プレーヤーが異なります。厳密には細かく分かれますが、ここではシード・アーリーステージに投資するベンチャーと、シリーズA、シリーズB、シリーズCのステージで投資するベンチャーに分けて解説したいと思います。シード・アーリー創業間もないベンチャー企業への投資を行う。投資額も数百万円から数千万円規模の企業が多い。主な企業としてはKDDI∞Labo、docomoInnovationVillageやANRIなどが挙げられる。シリーズABC事業スケールがかなり大きくなり、更なる資金調達により上場を狙えるような規模になろうとするベンチャー企業に対する投資。数億円規模の投資を行うことが多い。主な企業としては伊藤忠テクノロジーベンチャーズやグロービスキャピタル、ジャフコなどが挙げられる。著名なベンチャーキャピタルと投資実績日本には現在100弱のベンチャーキャピタルがあると言われていますが、著名なベンチャーキャピタルの投資実績についてご紹介します。皆さんがなじみのある企業やサービスに投資実績のあるベンチャーキャピタルも多いのではないでしょうか。①ジャフコ日本最大のベンチャーキャピタルとして有名で、東証一部上場。野村ホールディングスを筆頭に野村グループの中核企業が株主として名を連ねている。ベンチャーキャピタルとしては珍しく新卒採用を行っている。主な投資実績:Gunosy、データセクション、gumi、リクルートホールディングス、フリークアウト、じげん、ANAP、Twitter,Inc.など投資先参考URL:http://www.jafco.co.jp/ipo/②グロービスキャピタルパートナーズ企業成長のために必要となるヒト・カネ・チエを総合的に支援する日本初の本格的ハンズオン型ベンチャーキャピタルとして1996年に設立。MBAを学ぶ経営大学院を運営するグロービスが親会社。主な投資実績:オイシックス、オークファン、フォトクリエイト、ブイキューブ、スマートニュース、VASILY、ランサーズなど投資先参考URL:http://www.globiscapital.co.jp/portfolio/③みずほキャピタルみずほグループのベンチャーキャピタル。メガバンク系のVCは他にも三菱UFJキャピタルとSMBCベンチャーキャピタルが存在する。主な投資実績:カルビー、タマホーム、ANAP、取り貴族、イード、モバイルファクトリー、VOYAGEGROUP、テラスカイなど投資実績参考URL:http://www.mizuho-vc.co.jp/publicstock/results_2015.html④伊藤忠テクノロジーベンチャーズ伊藤忠グループのベンチャーキャピタル。アーリーステージを中心にミドルからレイターまで、シードを除くラウンドにバランスよく投資を行う方針とのこと。主な投資実績:アドウェイズ、クラウドワークス、box、カブドットコム証券、イードなど投資実績参考URL:http://www.techv.co.jp/companies/⑤ANRI前述で紹介した記事にも出てくる佐俣アンリ氏が運営するファンド。独立系ベンチャーキャピタルを28歳という若さで立ち上げたことで注目される投資ファンド。主な投資実績:ペロリ、コイニー、クラウドワークス、ラクスル、スクー、U-NOTEなど新卒採用をしているベンチャーキャピタル残念ながら多くのベンチャーキャピタルは新卒採用をしておらず、外資系コンサルや外資系投資銀行、別のベンチャーキャピタルなどから中途採用をして成り立たせている企業がほとんどです。定期的に一定数、新卒採用をしているのはジャフコぐらいで、新卒で入社した企業をステップに中途採用で入社するのが一般的と言えます。株式会社ジャフコ:採用情報トップもしどうしても入社したい気持ちが強いのであれば、地道ではありますが各ベンチャーキャピタルの一覧から企業HPにアクセスし、お問い合わせフォームから問い合わせをするところから始めるとよいかもしれません。各ベンチャーキャピタルの一覧についてはこちらの記事を参考にしてください。参考:【ベンチャーキャピタル90選!】あなたも10億円の資金調達を実現しよう!総合商社などの事業投資との違い最後にunistyleを利用している学生の多くが総合商社を志望しているので、総合商社の事業投資との違いについて説明しておきたいと思います。端的に言ってしまえば「目的が違う」ということになるかと思います。ベンチャーキャピタルの投資は説明した通り、投資家からお金を募り、5〜7年といった期限を定めて投資額以上のキャピタルゲインを得ることが目的です。投資をした瞬間に上場するか他の企業に株式を売却するなどExitを前提に投資を行います。一方で総合商社の事業投資は、総合商社のグループ企業として中核を担い続けてもらうことが目的で、株式売却などのExitは前提ではなく投資したものの思ったよりもシナジーを生み出さない場合などの最後の手段として取られることが多いと言えます。最後にベンチャーキャピタルは新卒採用でなかなか見かけることがないため、就職活動生は知らないヒトが多い業界ですが、現在日本でも数多くのベンチャーキャピタルが立ち上がり、ベンチャー投資は盛り上がりを見せている成長産業です。仕事内容としても人気業界である「金融+経営コンサル」の両方の側面を持つ面白いものだと思います。今回の記事をきっかけに将来的なキャリアの選択肢の一つとしてベンチャーキャピタルという仕事を視野に入れてもらえれば幸いです。photobyDominicAlves 50,287 views
就職活動の結果に納得できない学生がやるべきこと 就職活動の結果に納得できない学生がやるべきこと はじめに初めまして。私は19卒で就活をし、現在は社会人として働いています。私は就活当時、複数の企業から内定は頂けたものの、第一志望の業界の内定を獲得することはできませんでした。現在の就職先に就職しても本当に良いのか、いつまで就職活動を続けるべきなのか、今後の自分自身のキャリアについて非常に悩んでいました。この記事では内定は獲得したものの、自分自身の就職活動にまだ納得のできていない学生が、①今すぐ考えるべきこと、②これから取りうる選択肢について整理しようと思います。あくまでも私の個人的な考えを述べたものなので、1つの意見としてご覧ください。自分と同じような悩みを抱える学生の方の参考となれば幸いです。なお、納得のいく就職先を見つけたいという就活生は、就職エージェントneoの利用も検討してみると良いと思います。アドバイザーが要望に合わせた企業の提案や自己分析、企業研究などをサポートしてくれ、客観的にアドバイスがもらえるため、希望に合った就職先に出会えるかもしれません。少しでも興味があるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。1.まずは「譲れない軸」を明確にすることまずは、企業に入社するにあたっての「譲れない軸」を明確化する必要があると思います。選考の場面で、最初から最後まで自分の本音を話すことができた就活生の方は少ないと思います。私自身の就職活動を振り返ってみても、「ありのままの姿」で面接に臨もうと意識しながらも、選考の通過率を上げるために、どうしても志望動機を企業に寄せてしまう場面が何度もありました。こうした経験を繰り返すうちに、就職活動において自分が「本当に大切にしたいもの」を見失いそうになることも多々ありました。そこで私は、自分自身の企業選択における条件を明確化することを目的に、自己分析のやり直しを始めました。企業から評価されることを意識せずに、「自分はどのような存在になりたいのか」「そのために必要なものは何か」といったことについて、自分の思ったことをまとめています。私の場合は、「変化する環境の中でも安定したキャリアを歩みたい」との思いから、「汎用性の高いスキルを身につけられること」「ある程度の年収が保証されていること」を軸としていました。第一志望であった総合商社の内定を頂くことはできませんでしたが、内定を頂いたコンサルティング企業やIT企業でもこの条件は満たしているかもしれないと思うようになりました。私の場合は、先ほどの企業選びの軸をより細分化させて、以下のような表を作成しました。このような表を埋めながら、本命だった企業・内定を獲得した企業が、1つ1つの条件をどれだけ満たしていたのかについて整理していきました。実際に自分で作成する場合には、「何歳までに企業の経営に携わりたいのか」「初任給はいくら欲しいのか」といったより詳細な条件を設定していくことをオススメします。また、この表における「成長機会の多さ」は個人の適性・仕事に対する態度によっても変化するものであることは念頭に置かなければなりません。加えて、上記の表の◎・○・△の評価は、あくまでも私の主観に基づいたものに過ぎません。捉え方は人によって異なるでしょう。上記の表を踏まえて、とりあえず内定先の企業から自分にとっての最善な選択肢がどこであるかを考えてみました。この選択の難しい部分は、個人によってそれぞれの条件の重みが異なることです。単純に◎・○・△の記号の数を点数化して最も点数の高い企業を選べば良いというものではありません。どの内定先にも一長一短があることが難しいところです。私の場合は「経営に関わる機会」を最重要視する一方で、「もしもの場合に備えて一定の給与も欲しい」と思っていたため、この中であればコンサルティング企業A社に入社しようと考えていました。以下の記事にもある通り、自己分析は企業から内定を獲得するための手段として活用されることが多いです。それ自体は間違いではないのですが、自己分析の本質は「納得の行くキャリア選択のために自分自身の傾向を把握すること」にあり、内定獲得後も継続して行うべきものであると考えています。就職活動が落ち着いてきた段階で改めて自己分析を行なうことで、自分の考え方の変化に気が付くことがあるかもしれません。参考:2.これから取りうる選択肢について考える自己分析を行った結果、現在の内定先の企業では「譲れない軸」を満たせないことを確信した方もいると思います。また、現在の内定先でも条件はある程度満たしているものの、条件をより満たした他の企業に惹かれている方もいると思います。そんな時に私たちが取りうる選択肢としては、以下の3つがあると考えられます。A:現在の内定先に入社してみるB:就職活動を継続するC:既卒として就職活動を仕切り直す現在の内定先に入社してみる1つ目の選択肢は、現在の内定先に入社することです。就業経験のない学生の立場と、実際に企業で働く社員の方の立場では、仕事に対する捉え方は多かれ少なかれ異なってくるでしょう。そのため、内定先の企業に入社して、実際に働いてみることで、今の仕事の楽しさを見つけられる可能性があります。現在の内定先の業務に対して面白みを感じる部分があるのであれば、入社してみるのも選択肢の1つでしょう。また近年では終身雇用・年功序列を前提とした従来の雇用制度が限界を迎えたことにより、転職が以前よりも一般的なものになっています。厚生労働省が実施した労働力調査によると、2013年度には287万人だった転職者数が2017年度には311万人にまで増加しています。内定先の企業でスキルや経験を身につけてから、転職によるキャリアアップを目指すという選択肢も考えてみても良いかもしれません。しかしながら、業界・業種によって転職の求人数や難易度が大きく異なることには注意する必要があります。もしも転職を見据えて企業に入社するのであれば、自分が本当に行きたかった業界には内定先の企業から転職することができるのか、自分の入社する企業からはどのような業界に転職する人が多いのか、事前に調べる必要があるでしょう。参照:労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果就職活動を継続する2つ目は、就職活動を継続することです。経団連に所属している多くの企業では、3月から採用活動を始め、6月から内定を出し始めます。しかし、中には6月の選考を受けることの出来なかった学生を対象に夏季選考を実施する企業や、IT企業・外資系企業を中心に通年採用を実施する企業も多数存在しています。6月の本選考に比べると求人数は減っており、狭き門であることに間違いはありません。とはいえ、就活スケジュールには個人差があるため、早く終えることが必ずしも良いことは限りません。少しでも興味のある企業があるのであれば、積極的に受けるべきでしょう。既卒として就職活動を仕切り直す3つ目は、既卒生として就職活動を仕切り直すことです。大学を留年して就職活動に再挑戦する方法(就職留年)と、大学を卒業してから就職活動に再挑戦する方法(就職浪人)が存在しています。また学業に真剣に取り組んできた方であれば、大学院に進学して2年後に就職活動に再挑戦する方法もあります。その人の就職活動に対する打ち込み具合にもよりますが、今年の経験を来年度の就職活動に生かすことができます。また、残された時間を実績作りのために活用することが可能です。その一方で、金銭面での負担が大きいというデメリットがあります。就職留年をするためには、大学の1年分の学費と生活費を合わせた費用が必要になります。また、就職活動をやり直したからといって、必ずしも本命企業の内定を獲得できるとは限りません。志望していた企業の内定を獲得できなかった理由をしっかりと洗い出し、しかるべき対策を立てなければ、昨年に内定を獲得した企業の選考にも落ちる可能性があります。また、現段階で卒業を伸ばすことに迷っている場合でも、本選考の解禁が早い企業であれば今年度内に内定を獲得することが可能なので、とりあえず受けてみても良いでしょう。最後に参考になりましたでしょうか。私の場合は、現在の就職先でも「当初の自分がやりたかったこと」はある程度実現できるため、当時、就職留年は考えてませんでした。また、社会人になってから自分の「やりたいこと」が変化する可能性もあるので、現在働いている企業に入社することに対しても前向きでした。その一方で、もっと自分の条件に適う企業があるのではないかと思うところもあり、その後も少し就職活動を続けました。私はこれまでに何度も「就職活動に正解はない」という言葉を聞いてきましたが、これは本当に間違っていないと考えています。慎重な性格の私の場合は、例えどの業界の内定を獲得していたとしても、何かしらの後悔が残っていたのだろうと考えています。だからこそ、自分の選んだ選択に対して「これが正解だ」と胸を張って言えるようになる必要があるのでしょう。つまり、「自分自身で納得のできる選択をすること」が大切だと考えています。そのためにも、どんな決断を下すとしても、「周囲の声に左右されずに自分で判断を下すこと」「悩んでいる時間があればとにかく行動すること」を大切にしたいものです。この記事が、自分と同じように就職活動の結果にしっくりこない学生の役に立てば幸いです。参考:就職留年を考える人に贈る5つのアドバイス本記事では、就職の結果に満足できず、就職留年をしようかと考えている人向けにアドバイスをまとめています。就職留年はもちろんデメリットもありますが、伸びしろがあればそのデメリットを取り除き、良い結果を得ることができます。参考:最初の勤め先で人生は決まらない〜納得のいく就職活動を行うために〜本記事では、最初の勤め先が人生を決めるわけではなく、その後の行動が重要だということを解説しています。自身が希望している企業に入れなくても、決して就活は失敗ではありません。参考:【締切日時順】6月からでもエントリー出来る大手企業一覧本記事では、6月からでもエントリー可能な大手企業を締め切り順にまとめています。まだ就活を続けようと考えている方は、こちらの記事に載っている企業にエントリーしてみるといいでしょう。 25,054 views

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