【ケース】ネットオークションの売上規模推定と2倍にする施策【ドリームインキュベータ面接過去問】
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最終更新日:2023年09月28日
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今回はドリームインキュベーターの面接にて出題された「ネットオークションの売上規模の推定とそれを二倍にする施策」について詳しく説明したいと思います。
1.前提条件の確認とアプローチ方法の選定
【前提条件】
ネットオークションの売上は会費と手数料の二つと考えます。
会費及び手数料ともに、購入者にはかからず、出品者に対して課金するものとして計算します。
手数料については購入単価×手数料率として、出品者に対して課金されるものとして計算します。
【アプローチ方法】
「年間市場規模=ユーザー数×会費+出品数×購入率×購入平均単価×手数料率」で求められるものとして、それぞれの要素について求めていきます。その上で、売上規模を二倍にするためにどの要素を引き上げればよいのか考えた上で施策を立案したいと思います。
2.実際の計算
◆年間市場規模推定
「年間市場規模=①ユーザー数×②会費+③出品数×④購入率×⑤購入平均単価×⑥手数料率」として①〜⑥の要素についてそれぞれ考えていきます。
①ユーザー数
ユーザー数については各年代ごとのネットオークション利用率を求めることで、計算したいと思います。ネットオークションについては男女の利用率に大きな違いが見られないと考えて、純粋に人口ベースで計算するものとします。
人口ベースで計算すると、合計615万人となります。
11〜20歳: 15万人
21〜30歳:150万人
31〜40歳:225万人
41〜50歳:150万人
51〜60歳: 75万人
合計:615万人
②会費
会費については月額制で350円と仮定する。
③出品数
出品数についても各年代ごとにどの程度出品するのかをベースに求めていきます。
合計9,075万品となります。
11〜20歳:15万人×5品/年=75万品
21〜30歳:150万人×10品/年=1,500万品
31〜40歳:225万人×25品/年=5,625万品
41〜50歳:150万人×10品/年=1,500万品
51〜60歳:75万人×5品/年=375万品
合計:9,075万品
④購入率
購入率については、出品数の約半数が購入されるものと考え、50%とします
⑤購入平均単価
購入平均単価についてはざっくりと5,000円とします。
⑥手数料率
手数料率については、個人的な感覚としても消費税より高い手数料率が課された場合、利用しないと考え、5%とします。
◆年間市場規模算出
上記①〜⑥より
年間市場規模=615万人×350円+9,075万品×50%×5,000円×5%=約370億円
年間市場規模は370億円と推定されます。
3.検証
ネットオークション最大手のyahoo!のデータより、上記の試算を検証したいと思います。
①コンシューマー事業(ヤフオク+ヤフーショッピング)売上高:約1,000億円
上記売上高については、ショップ側のテナント出展料なども含む値のため、純粋なオークションによる売上高については、ずっと少ないと考えられるため、上記試算の370億円はそこまで遠い数字ではないことが予想されます。
②ヤフーオークションのビジネスモデル
手数料については下記URLの通り、落札金額の5.25%と上記設定の5%とほぼ同じ金額となっています。
会費については、実際には出品手数料として、出品した段階で、出品したものの種類等に応じて課金される仕組みのようです。
③ヤフーオークションの利用者数
利用者数の明確なデータはありませんでしたが、IR資料によると、年間のユニークブラウザ数が37百万ブラウザとのことです。一人のユーザーがPCブラウザ2つ、携帯ブラウザ1つの平均3つからアクセスしているとなると、ユーザー数は37百万ブラウザ÷3ブラウザ=12百万ユーザーとなります。12百万ユーザーの中には、出品せずにオークションを落札するだけのユーザーも半数いると考えると、出品ユーザーは6百万ユーザーとなりユーザー数615万人はそこまで遠い数字ではないことが予想されます。
上記より大きく外れた想定ではないことが考えられます。今回のケースのように明確なデータはないものの、企業が発表している決算説明会資料や決算短信を利用することで、それぞれの数値を検証できることが多々あります。外資系金融、外資系コンサルティング、総合商社、その他企業の経営企画部に入社した場合、このようなデータを扱うことも多いので、今のうちから企業の決算資料に慣れておくことは将来の仕事のためにもなります。是非この機会に積極的に触れて、苦手意識を克服しておくようにしましょう。
4.年間市場規模を2倍にするための施策
◆アイディア考察
①のユーザーについては上記では個人しか検討していませんでしたが、実際には法人もユーザーとしてカウントすることができそうです。今までは個人のみを対象にしていましたが、法人もユーザーとして考慮することで、①ユーザー数の増加だけでなく、⑤購入平均単価の上昇も見込めそうです。
ここでオークションという販売形態が適しており、比較的単価の高い製品と考えると下記などが考えられます。
・絵画
・不動産
・車
・権利(ビルゲイツとの食事券)
上記の中で法人が積極的にオークションで売買を行っているものと考えると、不動産取引、中でも「裁判所が行う不動産競売」については多くの法人が参加しています。不動産競売を行う裁判所が各都道府県に5つあると仮定すると、日本中で不動産競売を行う裁判所の数は約240カ所あることになります。不動産競売の年間件数を各裁判所ごとで年間50件と仮定すると、240カ所×50件=1,200件となります。
不動産競売の平均単価が5,000万円と仮定すると、落札による手数料は5,000万円×1,200件×5%=250億円となります。
また各都道府県の不動産競売に参加している法人数を各県20社と仮定すると、不動産競売の参加法人数は940社となります。各法人よりネットオークションの利用料を10万円徴収すると考えると94億円となります。上記落札手数料及び、法人利用料を合わせると344億円となり、現在の年間市場規模370億円とほぼ同じだけの売上アップ効果を見込むことができます。
5.施策に対する検証
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