企業の方から申し込まれる就職活動もよいかも?「OfferBox」を使って内定をもらいました。

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最終更新日:2023年10月31日

企業の方から申し込まれる就職活動もよいかも?「OfferBox」を使って内定をもらいました。

本選考とインターンの締め切り情報

こんにちは、既に就活を終えた早慶学生です。

世の中には多くの就職活動関連サービスがありますが、今回は私が使い、実際に内定も得られた「OfferBox」を紹介します。

サービスのPR記事という位置付けではありますが、後輩の皆さんにとって有益な内容となるよう、私自身の失敗談も交えて、OfferBoxの情報だけでなく就職活動全般のアドバイスも提供できればと思っていますので参考にしていただけると嬉しいです。

▼以下のページからOfferBoxにご登録いただけます。

(※本コラムはOfferBoxのPR記事です)

ミーハーだった1年目の就職活動

実は私は一度就職留年を経験しています。まずその時のお話からさせてください。

いわゆる「高学歴」と言われる学生に割とありがちなことかもしれませんが、私は企業のブランドにこだわった就職活動を行っていました。また、業界も食品メーカーだけに絞って受けていました。

「知っている・憧れている企業だけ受ける」「採用人数の少ない業界に絞る」この二つが掛け合わさった、非常にリスクの高い就職活動だったと反省しています。

それでもなんとか大手食品メーカーから内定をいただき、入社するつもりで内定式にも出席しました。しかしその後、内定者として営業担当社員の仕事に同行する機会があり、自分がイメージしていた仕事像との乖離に気づき、悩みましたが内定辞退・就職留年を決めました。

「自分は学歴も高いし何となく有名企業に入れるだろう(というか入るべきだ)」

「業界を絞れば内定しやすくなるのではないか」

就職活動を終えてみて、このような考え方は危ないと改めて思います。

また、有名だからという理由だけで実際の働き方まで考えずに就職活動を行うと、たとえ内定を得られてもその後、イメージとのギャップに悩むことになると思います。これから就職活動を行う皆さんには、ぜひ早いうちから一人でも多くの社会人の話を聞いて、ある程度働き方を理解した上でキャリアを選ぶことをおすすめします。

視野を広げ、OfferBoxも活用できた2年目

2年目は前回の反省を生かして、メーカー全般、金融などを中心に幅広い業界を見ました。また、OfferBoxも効果的に活用できたと思っています。

OfferBoxのポイントは後ほどまとめて説明しますが、まず簡単に概要を伝えておくと、学生が登録した自己PRを企業が見て、良いと思った学生に対して選考のオファーを送ってくれるサービスです。男と女ではなく、企業と学生の出会い系サービスというとわかりやすいと思います。

倫理憲章を遵守する企業では、基本的に各社の内定出しが6月以降でしたが、私は2月に1社、5月にもう1社から共にOfferBox経由で内定をいただきました。

実は就職活動1年目にもOfferBoxを使ってはいたのですが、ミーハーだった私は多くの企業からのアプローチを断っていました。その反省から2年目は自分の知らない業界・企業からのオファーもほぼすべて受け、結果として思いもしなかった企業から評価されることもありました。

自分が何に向いているのか、どんな業界・企業で評価されるのかを自分で考えるのも一つですが、逆に、評価してくれる業界・企業に目を向けていくという姿勢も重要だと思います。自分を評価してくれる業界・企業を知れる点で、OfferBoxはよいサービスだと感じました。

すでに2社の内定を持っていたため、6月以降のOfferBox経由でない企業の一般選考も余裕をもって臨めました。最終的には5月にOfferBox経由で内定をいただいた企業への入社を決めたのですが、早めに内定を持っておくことは本当におすすめなので皆さんも早期選考には積極的に参加してみてください。

OfferBoxの良い点と注意点

ここでは私がOfferBoxを使う中で感じた良い点や注意点をお伝えします。

【良い点】自己PRのブラッシュアップの場として使える

先ほど書いたように、OfferBoxは企業が学生の自己PRを見て、よいと感じたらオファーをくれるシステムになっています。そのため、自分が書いた自己PRがどの程度評価されるのかを常に確認することができます。

志望企業にESを出して通過・落選の一喜一憂をする前に、OfferBoxでどこまでオファーを集められるのか試してみてもよいと思います。

【良い点】早期内定獲得のチャンスや、社会人と話し慣れることもできる

OfferBoxには、倫理憲章に関係なくよい学生と繋がりたいと考えている企業も多数登録しているようです。

実際に私も6月の面接解禁前に2社から内定をいただいています。本命企業が他にあるという場合であっても、OfferBoxなどで早期内定を得ておくとその後の選考での精神的な余裕が段違いだと思います。

また、OfferBox経由で招待される説明会は、社員1名に対して学生1〜2名ほどの規模のものも多く、非常に近い距離で話ができました。企業からのオファーなので当然志望動機などは求められず、「御社の仕事ってどんなものでしょうか?」という社会人訪問のようなスタンスで臨むことができます。

大学生のうちは基本的に社会人と話す機会が少ないので、意識して社会人と話す場を持つべきだと思います。自分にとってはそれがOfferBoxでした。

【良い点】面倒な電話やメールが来づらいシステム

世の中の就職活動サービスの中には、頻繁に電話やメールが来るようなものも多くあるように思います。有益な情報をもらえることもあるのでしょうが、正直勘弁して欲しいです。

OfferBoxの場合は、自分が企業のオファーを受けない限りは、その企業に自分のメールアドレスや電話番号が知られることはないため、よくわからない連絡に悩まされることがありません。

【注意点】ミーハー思考を引きずっているとうまく使えない

就職活動1年目の私のように、せっかくオファーをもらっても興味のない企業だからと断わり続けていてはOfferBoxを使うメリットが薄れると思います。「興味ないのではなく、知らないだけ」という考え方を大事にして、積極的に色々な業界企業について知っていこうというくらいのスタンスでいることをおすすめします。

また、OfferBoxのサービスのトップページには有名企業が利用している旨の記載がありますが、あれはおそらく学生に登録を促したいというOfferBox運営側の目論みによるものだと思っています。確かにそれらの企業からオファーが来ることもあります(実際に私もオファーをいただきました)が、それだけを目当てに登録するのはもったいないなと思います。

繰り返しになりますが、来るもの拒まずの姿勢でいた方がより多くの機会を得られます。

【注意点】視野狭窄に気をつけるべき

一応、OfferBoxで企業からアプローチを受けて舞い上がってしまって「運命の出会いだ!」となってその後の視野が狭まることには気をつけるべきかもしれません。

私は内定をいただいてからも就職活動を継続し、色々な企業を見た上で最終的にOfferBoxで知り合った企業への就職を決めました。

最後に

注意点を書かせていただいたものの、基本的にOfferBoxを使っていてデメリットを感じることはなく、ESを1枚書き上げるつもりで自己PRを埋めれば勝手に企業からアプローチされるのに逆になぜ使わないの?くらいに思っています。

基本的に自分から企業にアプローチしていくのが「普通の就活」かもしれませんが、逆に企業からアプローチされるのもなかなか嬉しいものです。興味が湧いたらぜひ使ってみてください。

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「終身雇用守るの難しい」とトヨタ社長が”限界発言”~メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変わることで具体的に何が変わるのか考察してみた。~ 「終身雇用守るの難しい」とトヨタ社長が”限界発言”~メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変わることで具体的に何が変わるのか考察してみた。~ 「終身雇用を守るのが難しい」この言葉は5月13日(月)にトヨタ自動車社長の豊田社長が発したものです。国内トップ企業であるトヨタ自動車社長のこの発言は、現在大企業に務めている社会人、そして今後就職活動を行うであろう大学生に大きな衝撃を与えました。この発言は、日本型雇用システムである「終身雇用、年功序列、企業別組合」の一つが崩壊しているとも読み取れるものです。では皆さん、この従来の日本型雇用システムが変化することによってどのような影響があるか分かりますか?「終身雇用がなくなる」ということは、単純に"定年まで雇用され続けることがなくなる"というわけではありません。つまり今回の豊田社長の発言は、皆さんの今後のキャリアにとって"一つのターニングポイントにもなり得る"ものなのです。そこで本記事では、この豊田社長の発言を契機にこれらの内容について考察、紹介していきたいと思います。【本記事の構成】●ニュース記事の考察●メンバーシップ型雇用の特徴とメリット・デメリット●ジョブ型雇用の特徴とメリット・デメリット●日本国内における2つの雇用システムの背景と現状●現状からの考察●ジョブ型雇用に移行した具体的な企業例●メッセージ:このような中、就活生はどのように行動すれば良いのか?ニュース記事の考察以下は、5月13日(月)のトヨタ自動車社長の豊田さんの発言を一部抜粋したものです。●雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。●今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない。さらにその豊田社長の発言に付随し、経団連の中西宏明会長も以下のように述べています。(一部抜粋)●終身雇用を前提とすること自体が限界になる。●だめになりそうな事業を、雇用を維持するために残すということをすると、雇用されている方にとって一番不幸。ここから読み取れることとしては、長年日本の経済発展を支えてきた雇用システムが変革期に突入したということではないでしょうか。また、ここでいう「雇用を続ける企業へのインセンティブ」とは、"従来の日本型雇用システムのメリット"と言い換えることができます。つまり、「自社で長年働いてもらうことによって独自の文化を形成する」「OJTや社内研修によって自社内で社員を育成する」などが具体例として挙げられます。【参考】日経ビジネス記事:「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くかFNNPRIME:「終身雇用難しい」発言相次ぐ経済団体やトヨタ社長そしてこれまでの日本の経済発展、企業成長を支えてきたものは「終身雇用、年功序列、企業別組合」を特徴とした日本型雇用システムと呼ばれるものでした。また、この雇用形態のことをメンバーシップ型とも呼びます。現在も当システムは多くの大企業で用いられており、いくら企業規模が拡大したり事業領域が増加したとしても、このシステムを変えることはありませんでした。では一方で、欧米などの主要諸国はどうなっているのでしょうか?欧米などの主要諸国では、日本の雇用形態であるメンバーシップ型雇用は用いられていません。基本的にはジョブ型雇用という形式が用いられています。ジョブ型雇用の概要に関しては後ほど詳しく説明しますが、日本企業の中でも特にベンチャー企業などにおいてはジョブ型採用を用いている企業も多く、徐々に国内においても浸透してきている雇用形態になります。そして今回のトヨタ自動車社長の発言を契機に、ジョブ型雇用が国内の大企業にも用いられることはそう遠くない未来であると考えています。そこで今回の記事では、この「メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用」の違いを紹介し、その上で自身の今後のキャリアを考える機会を提供していきたいと思います。メンバーシップ型雇用の特徴とメリット・デメリットまずは「メンバーシップ型雇用」の定義を説明していきます。メンバーシップ型雇用とは日本企業に多く見られる雇用契約の一つであり、日本特有の年功序列や終身雇用を前提にした職務や勤務地を限定しない正社員のことを指します。メンバーシップ型雇用では新卒一括採用で大量に人材を獲得し、OJTや社内研修で教育を行いながら職務に必要な知識と経験を積ませます。主に上場している大企業に多い日本的雇用であり、総合職に多く見られる雇用形態でもあります。最近では、ジョブ型雇用の反対の働き方として頻繁に議論されています。【参考】BizHint:ジョブ型・メンバーシップ型以上の定義を見てもらえば分かる通り、多くの方が実際に働いている雇用形態、もしくはイメージしている働き方ではないでしょうか?しかしこの定義を確認しただけでは中々イメージしにくいかもしれないため、メンバーシップ型雇用のメリットとデメリットも紹介します。メンバーシップ型雇用のメリット企業側●自社の都合に応じて、社員の異動や転籍を含む配置転換を行い易い。●辞めないという前提によって時間をかけて社内教育を施すことができ、知的財産が蓄積されやすくなる。労働者側●会社の辞令に従わなければいけない反面、重大な契約違反などのよほどのことがない限り雇用関係を守ってもらうことができる。●研修や制度の活用など、会社が社員を教育する意欲や環境が用意されている。●年功序列のため、勤続年数が増えるほど社内でのキャリアアップがし易い。つまり、会社側としては社員を比較的自由に管理することができ、また労働者側にとってはいつまでも会社側に守ってもらえるという双方のメリットがあるということです。メンバーシップ型雇用のデメリット企業側●客観的且つ合理的な、よほどの理由がなければ従業員を解雇することができない。●基本的に能力よりも年齢で給与が決まるため、若手社員のモチベーションが低下する恐れがある。●新卒一括採用が一般的なため、急な増員やピンポイントでの人員補充が難しい。労働者側●実績を積めないまま出世競争に敗れると、40代や50代で役職定年に追い込まれたりリストラの候補になってしまう可能性がある。●年功序列のため、勤続年数が少ないと高い成果を出しても出世や給料に反映されにくい。●基本的に会社の都合に応じる必要があるため、自身の事情を考慮しない転勤などがある。●トップダウンで物事が進むため、部下の仕事へのモチベーションが落ちやすくなる可能性がある。つまり、企業側としては雇用時の素養の見極めが非常に重要になってくる、また労働者側にとってはその恵まれた環境に甘え続けてしまうというデメリットがあるのです。【参考】Fledge:欧米のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用の違いってなに?ジョブ型雇用の特徴とメリット・デメリット続いては「ジョブ型雇用」の定義を説明していきます。ジョブ型雇用とは諸外国が主に採用している雇用契約であり、自分自身の専門スキルを活かして職務や勤務場所を絞り込むことができる労働者を指します。企業は専門性の高い優秀な労働者を確保でき、一方で労働者は自らの職務を提示することができるなど、ライフワークバランスが取りやすい傾向にあります。しかし明確に職務と勤務場所が定められていることから、労働者にとっては景気の動向によっては失業するリスクがあります。現在の日本ではメンバーシップ型雇用が主流ですが、急速にグローバル化する世界経済に対応するための雇用契約として注目を集めているものになっています。【参考】BizHint:ジョブ型・メンバーシップ型日本で働いている多くの方にとってはあまり馴染みのない雇用契約であるかもしれませんが、「メンバーシップ型雇用」とは全く正反対の雇用契約であることが分かるのではないかと思います。続いて「ジョブ型雇用のメリット・デメリット」を確認していきますが、ジョブ型雇用と聞くと、「非正規社員や限定正社員」のことをイメージする方も多いかと思います。しかし今回は「メンバーシップ型雇用」と比較して照らし合わせるために、正社員に絞ってメリットとデメリットを確認します。ジョブ型雇用のメリット企業側●欠員が出たり補充したいポジションに応じて、優秀な人材を確保し易い。●他企業から人を採用することが多いため、新鮮な経験や考え方を取り入れることができる。労働者側●給与が担当する職務の評価で算出されるため、自身の能力と連動した待遇を受けることができる。●職種別採用が一般的であるため、職務内容や勤務地を限定する選択が比較的し易い。●年齢や勤続年数ではなく能力や成果で給与が決まるため、仕事へのモチベーションが上がり易い。つまり企業側、労働者側双方にとって合理的な雇用契約であると言えます。また、双方にとって比較的融通の利きやすい環境ではないでしょうか。ジョブ型雇用のデメリット企業側●雇用契約前に職務と勤務地を明確にするため、会社都合による転籍や異動を簡単に行うことができない。●終身雇用ではなく転職が前提の雇用になるため、時間をかけて育成しても意味がなくなる可能性がある。労働者側●会社の方針転換により、事業所の閉鎖や担当の職務が必要となくなった場合、転籍や異動はされずに契約終了になる可能性がある。●社内教育や充実した研修制度が用意されておらず、社外などで自主的に能力を高める必要がある。これらをまとめると、「企業側の都合に捉われず、自身の専門業務に取り組み続ける」と言えるのではないでしょうか。また、「自社内でのキャリアアップ」というよりも「転職を通じたキャリアアップ」という側面が強いとも読み取れます。【参考】Fledge:欧米のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用の違いってなに?日本国内における2つの雇用システムの背景と現状これまでの説明で「メンバーシップ型雇用・ジョブ型雇用」それぞれの特徴を紹介してきました。ではなぜここに来て「日本の大企業における雇用システム」が大きく変化してきているのでしょうか?この変化に関しては、企業内における組織の在り方が大きく変わってきていることが起因していると考えられます。日本における産業構造の変遷戦後である1950,60年代から、日本は急速な経済発展を遂げてきました。その際に国内産業の中心となったのが、第二次産業である製造業でした。しかしそれから半世紀以上経った現在、国内GDPの内訳を確認してみると、第三次産業であるサービス業が全体の3/4程度を占めています。つまり、ビジネスにおける主流がハードからソフトへ変化してきているのです。【参考】平成28年度国民経済計算年次推計生産(産業別GDP等)また、ハード側である製造業の国内No.1と言っても過言ではない「トヨタ自動車」も、純粋な自動車会社からモビリティーカンパニーへの変革を進めるなど、製造業自体のソフト化というものも進んでいます。【参考】カーナリズム記事:トヨタが提唱「モビリティサービス・プラットフォーム」(MSPF)とは?ハードとソフトを製造している企業のビジネスモデルの違いビジネスモデルの紹介をする前に、まずは「ハード」と「ソフト」それぞれの説明をします。ハードとは「施設・設備・機器」といった形ある要素のことを指す言葉であり、これに対しソフトは「技術・情報」といった無形の要素のことを言います。PCを例に挙げてみると、ハード面が「PC本体」、ソフト面が「アプリ」となります。そしてハードとソフトを製造している企業のビジネスモデルは、それぞれ以下のようになっています。ハード開発から販売までのプロセスが明確化され、上流工程から下流工程という流れで順に進んでいく。そのため、開発と製造などの異なる部門間での繋がりはほとんどない。PCであれば「PC本体の製造工程」のことを指し、「画面やキーボードそれぞれで製造する人が完全に異なる」といったように、部門間での連携はほとんどない。ソフト開発から販売までの各部門が一体となり、相互で連携しながら展開される。そのため、異なる部門間での繋がりも頻繁にある。PCであれば「アプリの開発工程」のことを指し、「プロダクトマネージャーとエンジニアが密に連携しながら開発する」といったように、部門間での繋がりが強い。これらをまとめると、ハードとソフトでの一番の違いは"異なる部門間での連携の有無"と言えます。また近年、ビジネスにおける環境変化のスピードは日に日に速さを増しており、ビジネスの短サイクル化という現象が起こっています。ビジネスの短サイクル化とは、"ビジネスにおける環境変化のスピードが日に日に早まっているということ"です。かつては一度ヒットした商品がその後何年間も売れ続けるということは頻繁にありましたが、現在ではヒットした商品でもその翌年には全く売れなくなってしまうなど、「ビジネスの短サイクル化」は進んでいると言えます。例えば、スマートフォンなどはその傾向が顕著だと思います。携帯会社が年に何回も新機種を発売し、次々と新しい機能が追加されていくなど、全く同じ商品が長期的にヒットすることはまずありません。そしてハードのビジネスにおいては、環境変化が小さいためメンバーを固定しながら活動してもさほど問題はないのですが、ソフトのビジネスはそういうわけにはいきません。ソフトのビジネスでは環境変化が大きいため、その変化に対応することができるように、時にメンバーを入れ替えながら活動する必要があるのです。【参考】THETEAM5つの法則(NewsPicksBook)現状からの考察これまでの説明から分かる通り、日本の多くの企業は長らく「新卒一括採用・終身雇用」などのシステムを取り入れてきました。しかしそれは日本人の国民性に合致していたからなどというわけではなく、当時の日本の経済発展を支えたのが、トヨタ自動車やSONYなどのメーカーに代表されるような製造業だったからなのです。つまり、トヨタ生産方式などに代表される当時の製造業の生産システムにおいては、"メンバーシップ型雇用"の方が適切なシステムだったというわけです。しかし現在は、国内の企業の3/4がサービス業と言われているように、無形商材を取り扱うようなサービス業が増加しました。また、IT社会と言われているようにソフトウェアをビジネスにしている企業が主流となってきており、これまでと同様の雇用システムが最も適切なものとは言えなくなりました。さらに日本より早い段階からサービス業を国の主要産業とし、且つIT社会の進行が早かった欧米諸国では、その変化に併せて雇用システムを構築したため、現在のように"ジョブ型雇用"というものが一般化しました。もちろん国内の企業全てがすぐに「ジョブ型雇用」に移行するとは思いませんが、今回の「トヨタ自動車社長の発言(終身雇用を守っていくのは難しい)」を通して分かる通り、今後国内の大企業が「ジョブ型雇用」に移行していくことは避けられない事態であると思います。つまり、「安定しているし、終身雇用で定年まで働けるからとりあえず大企業を志望しよう。」という時代は終篇を迎えようとしているのです。ジョブ型雇用に移行した実例日立製作所2013年から2014年にかけ、管理職に限ってポストの重要性を格付けする"グローバル・グレード制度"とそれに基づく処遇を導入した。組織の大きさや影響力、仕事の複雑さといった尺度で「部長」などのポストに点数を付ける。さらに、ポストで決まった金額に"経営計画にどの程度貢献したかのという評価を組み合わせて"個人の報酬額が決まる。それに応じ、資格に基づき経験に応じて昇給する職能給は管理職で廃止した。【参考】日経ビジネス記事:「世界に打って出る」日立給与を変えないと無理だった国内でも有数のメーカーである「日立製作所」の取り組みは、当時かなり話題になりました。しかし今や国内にとどまらず、積極的な海外展開を通じてさらなる事業展開を進めている当社にとって、この取り組みは必然であるとも読み取ることができます。もちろん発表当時は少なからず批判的な意見もありましたが、現在の日立製作所の経営状況を見れば分かる通り、この取り組みは少なからず効果があったのではないかと思います。ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用を組み合わせた実例サイバーエージェントジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用を組み合わせるという「独自の雇用システム」を用いている、サイバーエージェントの事例も紹介します。サイバーエージェントは企業方針として、実力主義型終身雇用と謳っています。これは、ジョブ型雇用の特徴である「実力主義」、メンバーシップ型雇用の特徴である「終身雇用」の両面をかけ合わせたものになります。つまり、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の"ハイブリット"と言えるでしょう。実際に会社のミッションステートメントでも"有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現"と掲げており、そのミッション・ステートメントを実現するために独自の雇用システムを用いているのではと考えられます。こういった新たな取り組みをしている企業はまだ多くはありませんが、今後他社も同様の取り組みを推進していくのではないでしょうか?【参考】サイバーエージェント:採用関連記事メッセージ:このような中、就活生はどのように行動すれば良いのか?皆さんは今回の「トヨタ自動車社長の発言」を聞いてどのように感じましたでしょうか?「え?大企業に入社したからって安定しているわけではないの?」、「入社後に雇用システムが変わったら困るなあ。」など、不安を感じた人も少なくないとは思います。しかし今回のトヨタ自動車の事例のように、"従来の日本型雇用システムからジョブ型雇用への変化"は避けては通れません。つまり、今後就職活動に直面する皆さんにおいては、"メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の双方のメリット・デメリットを理解し、その上で自分自身にとって最適なキャリアを見つけていく"必要性があります。また、この雇用システムの変化によって、"入社してしまえば定年まで一生安泰"という環境はなくなることが予想されます。それゆえに、"いつ・どんなときにでも会社・社会から必要とされるスキル"は身につけておくべきでしょう。もちろんそのスキルは「企業・個々人」によって様々です。そしてそれは"市場価値"とも言い換えることができます。もちろん「市場価値の測り方」には「年齢、経験、資格」などの様々な要素が関連しますが、"このスキルはどの業界で求められるのか?・この業界での市場価値を高めるためにはこういった経験が必要"という風に、多面的に考えることが大切になります。例えば、「IT企業のエンジニア職に就職したければ、プログラミングのスキルが必要」など、企業から求められるスキルと自身のスキルをしっかりと対応させることが重要になるのではないでしょうか?ぜひ本記事で紹介したような「国内企業の雇用システムの変化」をしっかりと考慮した上で、自分なりの判断軸にもとづいてファーストキャリアを選択していただければと思います。【参考記事】●● 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元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(前編) 元社員が語る「楽天の営業」とは〜ブラックと言われる企業に勤めて〜(前編) 本記事では、楽天の元社員である私が楽天の「ECコンサルタント」という職種、労働環境や仕事、給与や福利厚生について説明します。本記事のコンテンツ・ECコンサルタントとは・労働環境と仕事・給与と福利厚生楽天のECコンサルタントとはこんにちは。私は新卒で楽天株式会社に入社後、三年間ECコンサルタントとして働き、退社後今は別業界で人事として働いている者です。今回は、IT企業の中でも有名な「楽天」という中でも何かと噂の多いECコンサルタントという職種を経験した身として、実情はどうなのかという点をお伝えできればと思います。ちなみに私が在籍していたのは2010~2012年の間ですので、現在とは状況が異なる点もあることをご了承下さい。ECC(ECコンサルタントの略称)という仕事は、簡単に言えば楽天に出店している店舗を一人当たり100店舗程担当し、電話や往訪などを行いながら売上増大の為のアドバイスを行うという仕事です。名目上はコンサルタントなのですが、ECCには3つの指標(広告目標、流通目標、講座販売目標)が常に課されており、その中でも広告販売の目標のウェイトが高いため、顧客へのアドバイスが広告営業に偏りがちになってしまうという現状があります。また、3つの指標を達成するために業務量はどうしても多くなり勤務時間が長くなる傾向があるため、ブラックであると言われがちです。楽天という企業では目標は絶対達成しなくてはいけないので(他企業も基本は絶対達成だと思いますが、間違いなく他企業よりも達成に対するプレッシャーが大きいと思います)、仕事がきついと感じる人が多く、ECCに配属された人は一年経たず辞めてしまう人も多いのです。では、楽天の営業として働くということはどのようなものなのか、実際噂通りブラックなのか、体験を踏まえて下記に述べたいと思います。楽天の労働環境と仕事「楽天ECC」というワードで検索すると、様々な恐ろしい情報が出てきます。「過酷な労働環境」「新卒がどんどん辞める」「肌荒れ、膀胱炎は当たり前←笑」など、楽天を告発するような文章や、就活生に向けて避けるように呼びかける言葉もあります。実際私も入社後半年位から残業時間が月100時間近くなり、終電を逃すことも度々ありました。そして確かに肌荒れも膀胱炎も経験済です。入社前にOB訪問で話は聞いていたのである程度覚悟していたとは言え、実際一日3~4時間睡眠の日が続くと日に日に思考力が低下するのを感じていました。また、私の部署では帰社時間を22時より遅く打刻することはできず、(できなくはないのですが、何工数もの承認作業が必要であり、申請の手間と時間を考えると実質不可能に近いものでした)上記のような、日々24時近くまでという拘束時間を会社に正しく把握してもらえていると思ったことはありませんでした。このような実情だけを見ると、労働環境が過酷なブラック企業であると感じる人も多いでしょう。しかし実際は、インターネット上にあるように、「ECCはひどい仕事だ!」「過酷で健康を損なう職場だ!」と感じている人ばかりではありませんでした。少なくとも当時の私は違い、「ブラック企業に勤めている」という意識はあまりありませんでした。なぜなら、拘束時間の長さなどの労働環境を除いても、自分に任せてもらえている仕事の規模の大きさに面白みを感じ、自主的に仕事と長く向き合っている面も大きかったからです。ITの知識とサービスというのはどんな業界業種に限らず必要なことであり、現代社会で避けて通ることはできません。楽天はそのサービスを他社へ提供し相互に企業成長していくことが使命なので、どんな業種の偉い人とも「IT」という分野に関しては対等に話をすることができたのです。経営を何も知らない一年目のペーペーでも、年商何億何十億という企業の社長と対等に話し提案することができるというのは本当に貴重な経験でした。毎回提案の時には吐きそうなほど緊張していましたが、必死にそれを見せないよう、新人に見られないよう、それでいて相手を軽んじる態度にならないよう、頭をフル回転させて話をするのが面白かったのを憶えています。結果提案が通っても通らなくても、日々自分の経験値の上昇を感じ、非常に充実していた毎日でした。このように業界に限らず様々な人と関わることができ、入社早くから責任のある仕事ができたという点では、今でも楽天という会社に非常に感謝しています。確かに労働時間は多い傾向にありますが、責任の大きな仕事をしている分学べることはとても多いです。労働時間を見てブラックであると言ってしまえばそれまでなのですが、業務内容によってはそう感じていない人も多くいるということを知ってほしいと思います。楽天の給与と福利厚生次に、給与と福利厚生についてです。私の新卒時の初任給は月給30万円で、他企業と比べるとかなり高かったと思います。そこだけで入社を決めたと言っていた同期もたくさんいました。ただ、どうしても就職活動時は初任給に目がいきがちですが、仕事を続けていくにあたり重要なのは初任給ではありません。昇給の仕方や福利厚生、残業代や賞与など、基本給以外の要素で収入は大きく変わります。楽天では当時基本給と通勤手当以外特に手当は無く、インセンティブ手当も他企業の営業と比べると少ないものでした。残業代も実際に働いた時間通りには入りませんし、退職金や住居手当、家族手当等福利厚生も一切無いため、基本給内でいかにやりくりして貯蓄していくかが重要でした。しかし、目標を大幅に達成したりした場合は別途インセンティブが支給されますし、優秀な働きをしている人は年齢や年次に関係なく昇格、昇給することができます。そのような点で言えば、きちんと自分の仕事に対する対価が給与として支払われているため、いわゆるブラックであるとは言えないでしょう。また、楽天に限らずIT企業はあまり年功序列が厳しくない企業が多いと思いますので、やりたいと思ったことに対して手を挙げやすくキャリアを自分の意志で積んでいきやすいという点はIT企業で働く大きなメリットであると言えます。就活生の方々は、初任給などの募集要項に書かれている数字だけで判断するのではなく、福利厚生や昇給基準など、長く続けるために自分に必要な要素をよく考え、自身の志望を決めていただければと思います。余談ですが、楽天では社内食堂が無料であることが福利厚生として大きくアピールされていましたが、営業で転勤になった場合は社食が無い場合が多く、普通に自分でランチ代を出さなくてはいけなかったため、転勤を命じられた時はその不公平さに泣きました。福利厚生なんてそんなものです。(後編はこちら)※後編では、筆者の感じる「ブラック企業だと思われてしまう楽天の弱さ」をお伝えします。 132,615 views

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