東京海上日動・メガバンク社員が語る「金融業界が理系人材を欲しがる理由」

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最終更新日:2023年10月27日

東京海上日動・メガバンク社員が語る「金融業界が理系人材を欲しがる理由」

はじめまして。
現在、理系学部卒として金融業界の東京海上日動やメガバンク3行を見ている17卒の就活生です。

一部の理系学生は参加されたかも知れませんが、このような企業では理系の学部生、大学院生を対象にした「理系セミナー」というものが開催されていました。私も実際にこのセミナーに参加し、現場で活躍している理系社員や人事担当の方から、「理系のどのような強みが金融業界で発揮できるのか、そしてどのような働き方が出来るのか」についての話を深く聞くことが出来ました。

このセミナーを通して金融業界の志望度が上がったので、実際に社員から聞いた話についてまとめてみました。金融に興味がある、また金融に今まで興味がなかった理系学生もぜひこの記事を参考にしていただけたらと思います。

本選考とインターンの締め切り情報

理系の素養が活きるのはアクチュアリーやクオンツだけではない

理系学生が研究や勉強を通して培った数理能力などを活かせる職種として、クオンツやアクチュアリー、そしてモデル開発やトレーダーなどが有名です。この背景としては、金融業界におけるテクノロジーの高度化が原因として挙げられるようです。その具体例の一つとして、損保のビジネスではグローバル化やITの進化による「リスクの複雑さ」を処理するために、より定量的に物事を捉えられるような人材が必要であるとのことです。

実際に、いわゆる理系専門職といわれる「アクチュアリー」や「クオンツ」などの職業は、数理系を専攻した大学院生が内定者の多くを占めるとも言われております。しかし、理系学生の強みはこのような専門職だけではなく、中小・大企業営業などの「文系がやるイメージ」がある仕事でも活きてくるようです。

実際の営業においては、まずお客様の財務状況の分析や役員からのヒアリングを通して「お客様を知る」ことから始めます。そして、実際に得た情報からお客様が抱えるような「問題点やニーズの洗い出し」を行い、そこから導き出した仮説をもとに「事業戦略の立案」を行うのです。そして、専門的知識がないような人でも理解できるような提案方法を考え、お客様にその内容を伝えることが一連の流れとなっております。

このプロセスは、実は理系学生が行う研究と非常に似ているところがあります。

「お客様を知る」という行動は、研究で行う「文献調査」や「情報収集」などの作業に該当し、また「問題点やニーズの洗い出し」は「得た知識を整理しそこから問題提起を行う」ことに一致しているでしょう。そして、実際の仕事ではその後に「事業戦略の立案」を行いますが、これは実験における「仮説に対する検証を行い、その結果から導き出される結論をまとめる」ステップと同じです。そして最後には、専門知識がない人でも理解できるように「プレゼンテーション」を行うのです。

このように、非常に類似性が高いことが分かるのではないでしょうか?実際に緑メガバンクの若手社員は、「学校時代の研究で身につけた結論を導く能力は、現場での営業でも役に立った」とおっしゃっていました。

金融業界において理系の社員は未だに少ないので、自分の希望する部署に異動できる可能性が高い

金融業界の仕事は多岐に渡るのですが、そのうちの営業職を含む多くの職種が「数字」に対するセンスや「分析」を丁寧に行えるような素質が求められます。しかし、未だに金融業界で活躍する理系社員の数は、文系出身の社員と比べて圧倒的に少ないのが現状です。よって、文系学生に比べると、理系学生は培ってきた「数理能力」などや「分析力」の強みを存分に活かせることが出来るでしょう。

これに加えて、特筆できる理系がSMBCや東京海上などの大手金融で働く上でのメリットは、「希望する専門性の高い部署に異動できる、もしくは初期配属される可能性が高い」とのことです。

実際に私が参加した社員座談会などでは、多くの理系社員から「理系は人数が少ないので、希望した職種に就けることが多い」という話を聞けました。これは、金融業界ではしばしば議論にあがる「配属リスク」の観点から考えると、非常に重要なメリットだと思われます。

さいごに

正直な話、私も今回紹介したような話を聞く前は、金融業界に対して「つまらない営業や事務作業をずっとやらされるのではないか」と思っており、それが理由でこの業界を第一志望にすることを少しためらっていました。しかし、参加した理系セミナーや、現場で活躍する理系出身の魅力ある社員を知ることで、大きく業界における仕事の印象が変わり、志望度が上がりました。

この記事を読んでいただいた理系学生も、ぜひ「自分の強みが活きるようなフィールド」として金融業界を選択肢の一つとして考えてみたらどうでしょうか?

企業研究

photo by Quinn Dombrowski

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の面接で選考官が前日にインプラント治療を受けたばかりでちょうど話が盛り上がったという話も聞いたことがあります。特に初期の面接では、面接官が若手社員ということが多く、「この人と一緒に働きたいか」という基準で選定していることが多いと言われています。程度こそあれ、面接官が資格について興味を持って話が盛り上がったのであれば、いい意味で印象に残りあなた自身の評価は高まるでしょう。それでもし面接時間の多くが潰れたとしたら、面接官からすればあなたを「落とす理由」が少なくなります。もちろん、選考が進むと「本当にこの会社に来てくれるか」といった資格では示しにくい評価基準も出てきますので、資格を持っていることそれ自体のアピールに終始することないよう、全体のバランスを考えていくべきでしょう。メリット3:"あなたらしさ"+正直な印象?こちらについては以下の記事内容と近しいメリットになります。筆者はこれだけでなく、就職活動で使うエピソードは顧みずとも日常生活で常に生み出されているのではないかと考えています。朝起きて大学に行き授業に出席する・休みの日に友人と遊びにいくといった何気ない行動の積み重ねにこそ、「あなたらしさ」と呼ばれるようなものは存在しており、企業側も学生のそういった面を知りたいと考えているという見方もできるのではと考えています。参考:この記事では、就活で述べる経験・エピソードは、就活用に作らなくても日常生活から導くことができるという考えが述べられています。資格についてもこれに近く、例えば会計学と関連のない学問を専攻していた学生が簿記の資格をアピールしても、あまりに取ろうとする学生が多いため、「就活用にとりあえず所得したのではないか」と何となくマイナスにとらえられてしまうかもしれません。一方、一般に就活で「使えない」とされる資格を取得していた場合、それをわざわざ取得したのはその分野に対する興味・関心の表れであり、学生の素の部分を見ることができたと考えてもらいやすいのかもしれません。採用側は「就活用に作られた長所だらけのあなた」を見たいのではありません。特に自社に「合う」人材かを重視することが多い日系企業の場合は、学生の素の部分を見たいと考える企業が多いと言われています。(たとえ本当は就活のネタ作りとして取得したとしても)素の部分を資格という事実項目から伝えられるのであれば、今からでもそれを取りに行くことは有効なのではないでしょうか。世の中には完全無欠な人間なんて存在しません。どんな偉人にも欠点があります。就職活動の時ばかり、急に聖人君子のような言動をし始めるのは見ていてもいい気分がしないものです。参考:メリット4:ギャップウケが狙える?こちらもメリット3と関連する内容ですが、取得した資格により意外性を感じ取ってもらえることもメリットの一つだと思います。よくある例としては、「ゴリゴリ体育会系に見える学生の趣味が可愛らしいお菓子作り」「研究室に閉じこもる頭脳派の印象の院生がフルマラソン2時間台で走る高速ランナー」などがあると思います。こういった一般的なイメージとの"ギャップ"は面接官からに限らず基本人からのウケがいいものだと思っています。筆者にも「高校時代茶道部でぱっと見文化系に見えるのに実はめちゃくちゃ足が速い」という大学で一番の友人がいるのですが、個人的にはその彼のギャップを魅力に感じ仲良くなった節があると思っています(本人もその高校から大学への自分の変化をうまく活用して就活を進めていたとのことです)。このギャップは趣味・特技として述べるよりも、「取得」という事実が残る資格で示した方が説得力は高まるでしょう。例えば、上記のゴリゴリ体育会系学生の場合、「お菓子作りが趣味です!」と述べるよりも「お菓子作りが好きでスイーツコンシェルジュ検定ベーシックまで取得してしまいました!」と述べた方が格段にインパクトが強まると思います。別に面接官を"落とす"わけでも友達になるわけでもないのですが、こういったギャップ狙いで資格を取りに行くことは個人的にはアリだと思っています。体育会系やチャラチャラしている学生が大学での活動をしつこくアピールする際に、履歴書の片隅に語学資格があればその「ギャップ」に面接官はグっとくると私は思います。参考:資格マニアの私がオススメする資格3選ではここで、筆者が実際に在学中に取得したおもしろ資格について取り上げ紹介したいと思います。おもしろ資格例1:取れば男女共にモテモテ!?『夜景鑑賞士検定』夜景鑑賞士検定とは、夜景に関連した人材の育成を目的に発祥された、おもしろ資格の中では比較的メジャーな資格です。|面白い資格|などで検索すると比較的上位のサイトで紹介されていると思います。こちら、夜景好きな筆者が大学に入って(大学の定期試験や運転免許の学科試験などと比べても)一番勉強したと自身を持って言える資格になります。この資格で圧倒的に多い深掘りのパターンは「オススメの夜景を紹介して」というものです。特に面接会場の周辺や面接官の出身地などに関連した質問が多かった気がします。2017年では12月に2級・3級の試験が実施され、結果も受験後すぐに表示されるため来年3月の解禁日に十分間に合います。また、就活云々関係なく、友人との旅行・彼氏/彼女とのデートなど要所でまあまあ使える資格だと思っているので、就活を終えた18卒の方にもオススメしたい資格です。参考:夜景鑑賞士検定公式HP参考:資格はあるに限る!"夜景検定"がどうビジネスに役立つのか、現役人事が分析してみたおもしろ資格例2:花より団子。肉より魚。『魚食スペシャリスト検定』魚食スペシャリスト検定とは、国内消費の減少・乱獲といった魚食に関する様々な問題に目的意識を向け、後世へ日本の伝統的な魚食文化を繋いでいくことを目的にスタートしたおもしろ資格です。筆者が受験した際は「シーフードスマート検定」という名称でした。この資格は特に、メリット1「すごそう」・メリット4「ギャップウケ」で評価を狙えると考えています。一般に「若者は肉の方が好き」という認識の方も多く、「魚が好き」というのは見た目の印象関係なく「ギャップ」を感じてもらえるかもしれません。「魚についての知見がある」という大学生はまずいないでしょうから、たとえ3級でも「すごそう」に感じてもらえると思います。ちなみに、夜景鑑賞士検定とは異なり、こちらは普段の大学生活で役に立つことはほとんどありませんでした(笑)。参考:一般社団法人シーフードスマート主催魚食スペシャリスト検定おもしろ資格例3:本選考解禁直前の最終手段!?『ヨーグルト検定』「ヨーグルト検定」と言われれば、上記2つに比べてどのような資格かはイメージ付きやすいかと思います。しかしこちら、厳密には正式な認定資格ではありません。下のリンク先を見ればわかるように、公式サイト上で受験すれば10分程度で合格が可能です。認定資格でないものをES・履歴書に書くのはどうなのかという意見もあるかとは思いますが、個人的には面接で触れられたときに正直にその旨を述べれば特に問題ないのではと考えています。"無資格"よりは"非認定資格"を持っていた方がまだマシでしょう。もちろん、面接でヨーグルトについて深掘りされる可能性は考えられますので、主要銘柄の成分・特徴などある程度の知識はインプットしておいた方が無難だと思います。筆者の場合も、面接官が便秘気味らしくその改善に役立つヨーグルトの紹介を求められたことがありました。参考:雪印メグミルク株式会社ヨーグルト検定最後にー自分の興味・関心あることに対して意欲的に行動できる力は大切かも?と、これまでいろいろと述べてきましたが、筆者は別に「おもしろ資格は絶対に取っておけ」と就活目的で取ることを強く推奨しているわけではありません。「自分が興味ある資格があれば取っておいてもいいかも」と、実際に取る/取らないは個人の好きにすればいいぐらいに軽い気持ちで考えています。とは言え、いずれにせよ「自分が興味・関心を持ったことに対して意欲的に行動すること」は、就活関係なくに社会に出てからも求められる重要な素質だと考えています。例えば、面接で必ず聞かれる志望動機は「興味・関心」だけがあれば評価されるわけではありませんが、それを前提に話を進めていると思います。自分が興味あることに対して自ら「試験勉強」という形で行動し、「取得」という形で成果を出す。たとえそれがインプットの性質が強いとしても、「自社に興味・関心を持っているのなら入社後もモチベーション高く働いてくれるかもしれない」と思われるきっかけぐらいにはなるのかもしれません。「好きなことで生きていく」ではありませんが、「好きなことはとことんやる」ことができる人は個人的にも魅力を感じます。それをサークル・研究など多くの大学生がアピールする場所で発揮してもいいでしょうが、"資格"という形に残る成果で示していくのも一つの手として考えておいてもいいのではないでしょうか。以上、おもしろ資格取得の魅力について、「『就活で』役に」立つからの先まで考えるきっかけとして、本記事が少しでも「『皆さんの』役に」立てば幸いです。photobywecometolearn 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資格を重視している企業はほぼない!資格を評価されたいならこう語ろう 資格を重視している企業はほぼない!資格を評価されたいならこう語ろう 「資格って持ってる方が就活で有利になるの?」就活生なら誰もが一度は疑問に思ったことがあると思います。結論、大抵の資格は持っているだけでは有利にはなりません。しかし伝え方を工夫することによって十分なアピールポイントになります。では、資格をアピールしたい場合はどのように伝えるのが効果的なのでしょうか。本記事では、資格をアピールする際の注意点、就活に有利または入社後にとっておくべき資格を業界ごとに紹介します。就活で資格は本当に有利なのか資格を持っているからといって必ずしも就活で有利になるということはありません。なぜなら、日本の企業が採用時に新卒に求めているものは現段階での能力や専門知識ではなく、今後企業に貢献してくれる人材、つまり将来性を重視しているからです。それこそ企業にとって本当に必要な資格であれば、入社後に社員全員に取得させることが可能です。そのため、採用の時から資格を重視している企業は少ないと言えます。以下の図は企業が採用基準で重視する項目と学生が面接等でアピールする項目をまとめたものです。これを見ると企業が何を重視しているかがわかります。引用:就職白書2019上の図からもわかるように、資格を採用基準として重視している企業は9.5%しかありません。それに対し就活生は12.6%が資格をアピールしているということがわかります。反対に企業が最も重視しているものは「人柄」であり、92.2%の企業が採用基準としています。その他には「企業への熱意」「今後の可能性」などを多くの企業が重視しています。このことから企業は「人柄」「熱意」「今後の可能性」などを重視しており、資格はプラスαくらいの採用基準であると言えます。そのため資格をアピールするのがNGというわけではありませんが、資格を第一でアピールするのはやめた方が良いです。では、続いてはどのように資格をアピールすべきかについて解説していきます。資格をアピールする際のポイント資格はただ持っているだけではあまり意味がありません。資格をアピールすることで面接官に魅力を感じてもらうためには伝え方が非常に大切になります。では、どのように伝えれば良いか。基本的には自己PRのフレームワークと同じになります。以下はES作成における自己PRのフレームワークとなります。資格をアピールする際は以下のポイントに注意して伝えるようにしましょう。自分の志望する業界に合っている資格をアピールするその資格を取得しようと思ったきっかけ、動機を伝える資格を取得するための努力や工夫を伝えるその資格を仕事にどのように活かしていくかを伝えるそれぞれについて解説します。自分の志望する業界に合っている資格をアピールするせっかく資格を持っていても、その資格が志望している業界や企業と合っているものでなければ意味ありません。外資系企業を志望している就活生が、「日本語能力検定」などの資格をアピールしてもあまり面接官には響かないでしょう。例えば、英語を頻繁に話す必要がある外資系企業の場合は「TOEIC」や「実用英語技能検定」などをアピールする方がその業界が求めてる資質があることをアピールすることができます。人気業界における資格は本記事の最後に紹介しているので、参考にしてみてください。その他の業界についても調べれば出てくると思うので、企業研究や業界研究の際に見てみると良いでしょう。その資格を取得しようと思ったきっかけ、動機を伝える資格を就活でアピールする際は「〇〇の資格を持っています」だけではなく、なぜその資格を取得しようと思ったのかについても伝えるようにしましょう。資格を伝える過程において、この動機を伝える部分は非常に大切です。ただ闇雲に資格を取得したり、就活に有利そうだからという理由は全く評価されません。例えば、「外資系の企業で働き海外で活躍したいという夢があったので、TOEICの勉強に励みました」など、なぜその資格を取得しようと思ったのかについて伝えることで、より説得力のある自己PRにすることができます。資格を取得するための努力や工夫を伝える先程も説明しましたが、採用時に資格を重視している企業は9.5%しかいません。つまり、資格の内容自体はあまり気にしていない企業が多いということです。そのため、自己PRなどで資格のエピソードを語る際は、「資格を取得するためにどのような努力や工夫をしたのか」についてをメインで話すようにしましょう。そうすることで、資格だけでなく自分の長所も面接官にアピールすることができます。また努力や工夫を語る際は、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。抽象的ではなく、定量的に伝えることを意識してください。その資格を仕事にどのように活かしていくかを伝えるどんな資格を持っていても、その資格が入社後の仕事で活かせるものでなければあまり意味がありません。そのためアピールした資格を入社後どのように仕事で活かすかについて述べることが必要です。例えば「〇〇といったスキルを活かして、入社後は〇〇の場面で活かして行きたいと思います」のように、活かし方を提示することができれば仕事での再現性の高さも伝わり、活躍する姿をより具体的にアピールすることができると言えます。業界別の入社後活用できる資格ここでは持っていれば入社後に活用できると言われている資格を業界ごとに紹介していきます。自分が志望している業界はどのようなスキルが求められているのか見てみてください。商社資格TOEIC(750~)…商社マンは、海外の取引先とやり取りしたり、英語で契約書を交わすことも数多くあるため、ビジネスレベルで通用する英語力が必要とされています。通関士…海外との取引で輸出入を行う際は、一般的には通関業者に税関への輸出入申告を依頼します。通関に関する知識を持っていれば、通関業者への依頼や事前準備をスムーズに進めることができるため必要とされています。簿記検定…投資した会社の決算書類を見て、その会社の業績状況を判断するという業務があるため必要とされています。ビジネス実務法務検定…取引先と契約書を締結する際に法律知識が必要となるため、とっておくと便利です。金融資格FP(ファイナンシャル・プランナー)…個人や中小企業に対して資産設計のアドバイスやライフイベントに沿って資金計画を立てる際に必要な知識であるため、必要とされています。TOEIC(650~)・英検2級以上…外国企業への投資や、為替を管理する際に英語力は求められます。マイクロソフト認定資格(MOS、MCA)…業務でワード、エクセルなどの基本的ビジネスソフトの操作が必要とされているため、この資格を持っていると雇用の際に有利だと言われています。食品・飲料資格TOEIC(600~700)…海外配属された場合はもちろん英語で会話しなければならないため必要となります。簿記検定…食品業界の中でも事務や経理の仕事に興味がある場合は取得しておくと即戦力になると言われています。不動産・住宅資格宅地検定取引士…お客様は不動産に関する知識がないため、不当な契約を結ばないためにもお客様に重要事項を説明する必要があります。その際にこの資格は必要となります。不動産鑑定士…不動産業界で不動産を鑑定する独占業務を行う場合はこの資格を持っていないと行えないため、必要とされています。土地家屋調査士…建物や土地などの不動産は一つ一つ規模や形状が異なり、不動産として利用するためには具体的な大きさや規模、サイズなどが記された登記が必要となりその際に必要な知識となります。行政書士…農地を宅地にしたり、売買をする際に「農地転用許可」や「開発許可」が必要となります。他にも営業許可や届出など不動産に関する様々な許可を取得するには行政書士の資格が必要となるため、そのような業務に関わる際には必要とされています。コンサル資格MBA…他社の経営を改善させるための仕事であるため、経営学に精通している人物が求められます。TOEIC(800点~)…コンサルの中でも外資系のコンサルもあり、外資系ではグローバル案件も多いため、ビジネス英語を使える必要があります。簿記検定…公認会計士や中小企業診断士などは財務系の案件もあるため、財務諸表などを見ることができる人材は高く評価されると言われています。参考:業界・業種別目指したい資格最後に本記事では資格は就活で有利になるのかについて解説しました。結論、資格を持っているだけでは就活で有利にはなりませんが、その資格を取得するために努力や工夫をしたエピソードを語ることで、より説得力の強い自己PRを作ることができます。資格をアピールする際は本記事中で述べた「資格をアピールする際の注意点」を意識しながら、面接官に伝えてみてください。【関連記事】 15,749 views
就職活動における運と相性 ー「人事を尽くして天命を待つ」の意味ー 就職活動における運と相性 ー「人事を尽くして天命を待つ」の意味ー 人事を尽くして天命を待つとは、人間の能力でできる限りのことをしたら、あとは焦らずに、その結果は天の意思に任せるということ。出典:故事ことわざ辞典人事を尽くして天命を待つ5月に入り、既に何社か内定を獲得している方、もしくは最終面接ぐらいまで選考が進んでいる方も多く出てきている頃だと思います。内定の取れる/取らないに一喜一憂したくなるこの時期ですが、その結果を決めるうえで重要な示唆を含むことわざがあります。それが、冒頭で挙げた「人事を尽くして天命を待つ」です。「自分でやれる最大限の努力をしたら後はその結果は天に任せる」という意味の何てことない普通のことわざですが、就職活動においてはこの意味は重要な概念を含むと考えています。今回は「人事を尽くして天命を待つ」をキーワードに、就職活動を語るうえで外せない「相性」について事例を交えながら深堀りしていきます。なぜ就職活動で"相性"が存在するのかunistyleではもはや念仏のように繰り返していますが、企業にとって就職活動とは自社の利益に貢献できる人材を採用するための活動です。「」でもお伝えしているように、これに加えて選考基準には「仲間とうまくやれそうか」という観点も含んでいます。仕事とは、企業という組織の中で複数人と関わり合って進めていくものである以上、どれだけ優秀な人材であっても自社の風土とかけ離れているようでは円滑な業務遂行に貢献することは困難です。一般に、就職活動で見られる相性とはこの「そこで働く人も含めた組織文化との相性」を指します。それが採用基準の一つである以上、面接を中心とした各フローで相性が見られることになるのは自然なことでしょう。「人事を尽くす」と「天命」はそれぞれ何を指すのかさて、冒頭で触れた「人事を尽くして天命を待つ」ですが、就職活動に当てはめると具体的にどのような意味になるのでしょうか。まず、「人事を尽くす」とは語義上は「自分が出来る最大限の努力をすること」を指します。就職活動では、「内定を獲得するうえで必要な選考フローを突破するための行動」とまとめられるでしょう。具体的には、ESの添削やり取り・Webテストの勉強・OB訪問などがそれに該当します。この「人事を尽くす」についてはあまり解釈の差は生まれ得ないと思います。一方、「天命」とは語義上は「天によって定められた人の宿命」を指します。ことわざの方でも「天の意思に任せる」という意味になっていることから、自分の力ではどうしようもない、運命論的に定められているものという解釈が一般的なものと思われます。就職活動で自分の力ではどうしようもないことと言えば、「面接当日に誰が面接官になるか」「就職市場全体の動向(いわゆる氷河期か・売り手市場か)」等がそれに該当します。「内定を獲得するための努力は出来る限りして、後は運を天に任せるだけだよね」というある意味当たり前の話になりそうですが、就職活動において「天命」とみなされるものとして代表的なのが「業界/企業との相性」になります。いわゆる就職偏差値のような内定獲得の難易度の高低は現実に存在しますが、個人から見れば相性次第でそれは難しくも簡単にも感じることがあります。「東大は余裕で受かるのに慶應は全然受からなかった」という学生は稀である一方で、「総合商社の志望動機はすらすら出てきて選考もうまくいったけど(それより偏差値の低い)広告代理店は苦戦した」というようなケースは就職活動ではいくらでもあるものだと思っています。参考:「天命」とは本当に「自分ではどうすることもできない」ものなのか?ことわざ上「天命」とは「天の意思」である以上、就職活動でも相性は自分の力ではどうすることができないものとして語られる風潮がある印象です。ここでは、そんな「天命」や「相性」の中でも、制御可能な側面に焦点を当てます。まずは相性の良し悪しを知ることから就職活動において、各業界/企業の持つ組織風土や面接官個人との相性によって選考結果が左右されることは事実です。一方、その業界/企業がどのようなビジネスモデルを構築しており、それに基づきどのような働き方が要求されるか・どのような素養が求められるかを考えることは業界研究を通してクリアにすべき点でしょう。また、いわゆる社風と呼ばれる組織風土も、先述したビジネスモデルや業界での立ち位置・沿革等調査可能な要因で決定される面があります。もちろん、特に大企業の場合いくらOB訪問を重ねたところで、面接官や将来の働き先との相性を完璧に理解するのは不可能でしょう。とは言え、「天命」である相性の良し悪しを知るには選考への参加を始めとした行動が必要であり、それがわからないことには「もしかしたら業界研究が甘かったかな」といったように原因分析→次の行動へ正しい方向に進めることは困難でしょう。unistyle創業者の樋口も、「相性を知る」ためには選考を受けることが必要であると以下のように述べています。結局、どんなに優秀な人でも就職活動において10割の打率は望めない。面接官との相性もあるから絶対に受かるってことはあり得ない。またどんなに業界研究して知識をつけても、経験・考え方がその業界に合ってない場合は評価されない。志望業界に合ってるかどうかは実際受けてみないとわからないし。—KotaroHiguchi(@happytarou0228)2016年9月20日こういった意味では、「天命」にも「待つ」だけではなく尽くせる部分があるというのがまず一つ目の制御可能な側面になります。「天命」とは「天与の才能」ではないかという考え方先述の通り、「天命」とは「天によって定められた人の宿命」という語義である以上、生きていくうちに自然と決定していくものだという見方が一般的かと思います。一方、この語義から若干外れた解釈も存在しているようです。(ものすごく簡単に言ってしまえば、)“天命”とは、自分に与えられた“天与の才能”を活かすこと。出典:和楽の道“人事を尽くして天命を待つ”に隠された、もう1つの意味本エントリーを参照すると、「天命」とは端的に言えば「才能」を指し、それを活かすのに注力することが肝心だという考えが書かれています。すなわち、家庭環境・生まれた地域・通う学校といった、自分では選択できない先天的なものも天命として捉え、それをどう活用するかでその後の結果は変わってくるという見方になります。確かに自分では(今さら)どうしようもないという意味では、先天的素養と天命には共通項があるように見えます。遺伝子決定論と天命先ほど「通う学校」が先天的なものという記載をしましたが、小学校までならまだしも大学は受験結果に応じて入学先が変わるものなのだから「先天的」というのは間違っていると考えるのが普通だと思います。余談ですが、生物学には遺伝子決定論という見方があり、身体的・行動的特性は遺伝子によって決定される(=先天的だ)という考え方が存在します。極論、今晩終電を逃すか・その日に必要な勉強ができるか・課題の期限に間に合うかといった一見自分の意思や取り組みでコントロール出来そうなものも遺伝子により決定しており、大学合格の有無でさえも生まれたときから決まっているというポジショントークがあるようです。(もっと言えば、今この部分を読んで「なるほど。では努力してもあまり意味がないな」と捉えるか「そんな運命論的な話なんてくだらない。自分の道は自分で切り開くんだ」と捉えるのかも遺伝子によって決定されるという考え方です)いずれにせよ、通う大学や周囲の同級生というのは就職活動時から見れば基本的に変えることの出来ないものであるため、先天的でなくとも「天命」の要素はゼロではないという考え自体はあっていいと思っています。(あくまで「就職活動」という時期に限る話ですが)徹底的に「天命」を活かし続けたとある就活生「天命」を「天与の才能」と捉えていた実例として、私が見てきた就活生のうち「第一志望の内定者がサークルの直属の先輩にいる」という好環境に恵まれた方がいました。単純に考えて選考を優位に進められそうな環境ではあった中で、徹底的にESの添削を重ねる・選考に関する情報を自ら引き出すなど、今いる環境をとにかく有効活用していた印象があります。その方は見事第一志望の内定を獲得し現在もそこで働いています。近年、新規事業立案というような「無いものから新たな価値を生み出す」ことがトレンドになっており、そのような素養を伝える就活生は多く見てきていますが、「今ある環境を最大限有効活用する」という段階がそもそも出来ていない人というのはまだまだ多いと思っています。上記例でも「先輩にES添削をお願いしても忙しくて断られるかも」といった考えから行動に移せない方は多いですが、「自分の人生の重要な分岐点である就職活動のため」と考えれば今いる環境や天与の才能を活かさない理由はないでしょう。しつこくて多少先輩に嫌われようが、自身の内定獲得の可能性を高められるのであればそんな懸念は基本無視すべきです。(もちろんそのやり取りにも最低限守るべきマナーは存在しますが)参考:最後に:天命を活かすか、言い訳にするかはあなた次第就職活動おいて運や相性といった天命的要素によって合否が左右されるのは事実であり、いかなる取り組みをしたところで全社に絶対内定できるということはあり得ません。しかし、「天命だから仕方ないよね」と必要以上に言い訳するのもそれまた違う話であり、「天与の才能」という意味の天命は徹底的に活かし、尽くせる努力は尽くし切るということが結局大事なのだと考えます。ましてや、unistyleユーザーの皆さんには就職活動は運ゲーだから気楽にやろうなんて考えには至ってほしくないと思っています。就職活動で息詰まったとき、本当にそれは「運」や「相性」で片づけてよい「どうしようもないもの」と言えるのか。是非その際は今一度立ち止まって考え、本記事も参考に言い訳による機会損失を少しでも減らしていただければと思います。 12,681 views

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