21卒は就活氷河期になるかも?経済学部がガチで調べてみました。

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最終更新日:2022年03月29日

21卒は就活氷河期になるかも?経済学部がガチで調べてみました。

こんにちは。就活中の慶應生です。最近、経済学を勉強していて景気循環があることを知りました。景気循環は一定のサイクルで回っており、そろそろ不況が来るかもしれないという予想が立っているらしいと聞きました。

そこで、景気が悪くなってしまうと新卒の採用状況にも影響してくるのではないかと不安になり、本当にそうなってしまうのか調べてみました。

結論から言うと、21卒の就活市場が悪化するかもしれません。就活市場が悪化する理由は、日本経済が不況になる可能性があるからです。

”どこに申し込んでも、選考が進まない、通らない・・・”と何社出しても最終面接まで行きつかず、内定が取りにくくなる時代が再び来るかもしれません。

不況になった場合、採用人数ってどうなるの?どれくらい危機的状況なの?本当に不況が来るの?今から対策できることって何?など21卒の皆さんが疑問になることを考察し、解決していきたいと思います。

不況になると新卒採用ってなぜ減るの?


皆さんに質問です。不況になると就活の状況がどのように変わると思いますか?

21卒の皆さんならば、なんとなく不況が来たら企業の採用人数も少なくなるのは感覚でもわかるのではないでしょうか?

少し考えてぱっと答えが出た人も、感覚では分かるけど詳しくは説明できない、と様々だと思います。

不況が来ると就活の状況がどうなるのか、詳しく説明していきたいと思います。まず、景気が悪化すると企業の業績が下がり利益が減ります。

そして、企業は赤字になるのを防ぐために、企業は余分なコストを削減し始めます。企業の経費の中でも大きく占めるのが人件費です。人件費を削減すると、新卒採用も縮小することになります。

求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移

実際に、上のグラフを見ていきましょう。

水色が求人総数です。直近一番大きな金融危機であるリーマンショックは2008年に起こりました。その後の2009年をピークに2014年まで、明らかに求人総数は減少していることが分かります。

このように、景気が悪くなると求人数も減り、新卒の採用人数も減ることが考えられます。

リーマンショック時の就活


では、世の中の景気が悪くなると、どのような状況になるのでしょうか。先ほど出てきた
リーマンショックを例に用いて解説していきたいと思います。

リーマンショックとは

皆さんは、リーマンショックをご存じでしょうか?

私たちが小学生の時にあった出来事です。”一回は聞いたことがある”という人も多いのではないでしょうか。

リーマンショックとは、2008年9月に起こり、アメリカのリーマン・ブラザーズが倒産したことによって引き起こされた、世界的金融危機のことです。

アメリカで起こった不況の影響は、日本にも到来しました。そして、日本経済は不況になり、就職活動にもマイナス影響をもたらしました。

私たちはまだ小学生だったこともあり、不況の影響は感じることが少なかったと思います。しかし、当時の日本経済はかなり低迷した時期でした。この低迷は給与のボーナスにも影響し、大幅にカットされていたようです。

自分が在籍していた企業では、リーマンショック以降賞与が3年間カットされていた。

引用:2008年のリーマンショックが日本経済に与えた影響

 元アメリカ大統領のバラク・オバマさんもリーマンショックの出来事をかなり深刻に捉えていたようです。2008年9月以降世界経済に大きな悪影響を及ぼしたことが分かります。

「1929年の)大恐慌以来、最も深刻な金融危機だ

引用:2008年9月15日 リーマンが破綻 破産法適用申請

リーマンショック以降、日本の就職活動も難しくなりました。

実際に、企業の経営も悪化し、内定が決まっていたのにも関わらず、内定取り消しを受けた学生も多くいたようです。 2008年度では2000人を超える就活生が内定取り消しになってしまいました。 
 

就活における言葉の定義

ここで、リーマンショックの時の就活状況を理解する前に、言葉の定義を理解していきましょう。

皆さんは就活市場での、売り手市場と買い手市場の定義は説明できるでしょうか?最近はよく、”売り手市場”という言葉をよく耳にすることが多いです。今一度、その意味を理解し、整理しておきましょう。

就職市場における「売り手」とは? 「買い手」とは? 「売り手」は、就職したい学生。買い手」は、採用したい企業。なぜ、このような表現になるのか? 雇用するにあたって、給与というお金を支払うのが企業だからと考えるとイメージしやすくなるでしょう。就職市場は、売り手が優位になったり、買い手が優位になったりと変動するものです。たとえば企業のトータルの求人数が少なければ、就職は狭き門となり、企業はじっくりと応募者を選考でき満足度を高めることができますが、一方で応募者である学生は苦労することになります。よって、企業側優位であり、このような場合は、「就職買い手(優位)市場」となるわけです。逆に、企業のトータル求人数が膨れあがったにもかかわらず、就職希望学生数が変わらなければ、就職は広き門となります。結果として、学生は就職先企業をじっくり選ぶことができ満足度を高められ、企業は優秀な入社予定者の確保に苦しむことになります。よって、「就職売り手(優位)市場」となるのです。

引用:就職売り手市場、買い手市場

最近よく言われている売り手市場は、「就職したい学生にとって優位な状況」です。一方で、リーマンショックの時の買い手市場は、「就職したい学生にとって不利な状況」なのです。

また、景気と就活の関係をよく表している指標の一つに有効求人倍率というものがあります。こちらの言葉も今一度確認してみましょう。

 有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値のことで、雇用状況から景気を知るための統計資料の一つです。経済指標としても重要で、厚生労働省が毎月公表しており、ニュースや新聞などでも報じられます。

 有効求人倍率は、求職者1人に対して、何人分の求人があったかを示すもので、求職者数よりも 求人数が多いとき=人手が不足しているときは、有効求人倍率が1を上回り、逆のとき=就職難のときは1を下回ります。有効求人数は、公共職業安定所を通じた求人・求職情報を利用するため、求人情報誌や転職情報サイトなどの求人情報は含まれていません。

引用: 有効求人倍率とは?

雇用状況から景気を知るための統計資料の一つということは、有効求人倍率が下がっていれば、景気も下がっているということです。

一方で、有効求人倍率が上がっていれば、景気は上がっています。つまり、景気と有効求人倍率には正の相関があります。

  • 【本記事上の定義】

    ・売り手市場…就職したい学生にとって優位な状況

    ・買い手市場…就職したい学生にとって不利な状況

    ・有効求人倍率…景気を知るための統計資料の一つ

リーマンショック時の就活状況

言葉の定義を理解したと思うので次に、リーマンショック時の就活状況を見てみましょう。

リーマンショック時の就活は、買い手市場でした。先ほども定義を見たように、買い手市場は「就職したい学生にとって不利な状況」です。

実際に、内定取り消しがかなりあった時代の就活市場は、学生にとって厳しいものでした。

売り手市場だった頃とは一転し、「御社が第一志望です」と言う学生が増えたり、数十社応募しても、面接でほぼ落とされる、内定一社取れれば良い方という状況が続きました。

就職活動がかなり困難を極めていたようで、卒業を取り消して留年扱いにする措置を取る大学まで現れたこともあったそうです。

売り手市場時代に生きる現役就活生からしたらイメージしにくいかと思いますが、当時は一人の応募企業が100~200社というのもザラであり、どんなに選考対策を行い数を追っていっても、なかなか実を結ばないという非常にシビアな就活風景でした。

引用: 不景気は就活に響く? 就活生はどう動くべきか

確かに、私たちはまだ売り手市場と言われている就活生で、イメージしにくいと思います。

しかし、買い手市場になるとかなりの数の企業に応募しないといけない状況になります。応募企業が多くなると、企業研究の量やOB訪問も必然的に増えていくでしょう。

数値的には、2009年の有効求人倍率は2.14倍と2008年と変わらなかったのですが、リーマンショックが起こった翌年の2010年には、大幅に有効求人倍率が1.62倍に下がっています。

そして、2011年から2014年にかけて有効求人倍率は低迷を続けていました。先ほども、景気と有効求人倍率の関係性を見たように、不況になると、その後数年間は有効求人倍率は低迷し続けることが分かります。

このような買い手市場になった場合も想定して、今後の就活を進めていきましょう。

本当に不況が来るのか?

リーマンショック後、就職活動を行った世代はかなり過酷な状況を強いられたことが分かりました。次に、不況が来るのか調べてみました。

結論から言うと、不況が来るかもしれません。その理由を述べていきたいと思います。

景気循環

皆さんは「景気循環」という言葉を知っているでしょうか?今後、不況が起こる可能性を調べていったときにこのワードは知っておいてもいいと思いました。

景気は就職活動にも影響を及ぼすものなので、ある程度の知識を持っておいてもいいかもしれません。一度、図も含めて理解していきましょう。

資本主義経済の経済活動は、図表19-1のように時間を通じて上下変動をすることが実証されており、この変動を規則的な循環運動として捉えたものを景気循環とよぶ。

景気の山から山まで(または谷から谷まで)を一循環(一周期) とよび、景気 の山から経済活動が低下し始めた状態を後退、後退が進み谷に至るまでを不況、景気の谷から経済活動が上昇し始めた状態を回復、回復が進み山に至るまでを好況という。

P259
引用:第19章 経済変動

図からも分かるように、景気は循環していて、一定のサイクルであることが分かります。景気が後退していき、不況になり、回復し、好況に戻っていきます。

今の景気の状況を知ることも、世の中を知る上で大切かもしれませんが、大きな文脈で見ることも一つの手だと思います。

では次に、今までにどのような景気循環の流れがあったのか見ていきたいと思います。

信用危機の再来に警戒感が強まっている。2018年はリーマンショックから数えて10年の信用サイクルの節目に当たるからだ。

リーマンショックのような金融危機は好景気の下で信用供与が膨張していたところで、何らかのきっかけで債務不履行が発生し、リスクを減らすための資金回収に個々の投資家が走る結果、資金不足による倒産が連鎖して起こる。1987年に起きたブラックマンデーに始まり、1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックとほぼ10年の周期で金融危機が発生してきた。

引用:リーマンショック10年、危機は再び来るのか

1987年のブラックマンデー➡1997年アジア通貨危機➡2008年リーマンショックと約10年ごとの景気循環があることが分かります。

上記の引用でも提示されていますが、2008年のリーマンショックから10年ほど過ぎ、もうそろそろ不況、金融危機が来るのではないかという予測は立てられます。

もしかすると、今年か来年あたりにリーマンショックのような状況になるかもしれません。

また、次のように景気について予測しているものもあります。

Bridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、
現在を「景気サイクルの終わりから1-2年前」の時点と明言した。

〔中略〕

同氏はサブプライム/リーマン危機を的確に言い当てた1人としても有名だ。

引用:レイ・ダリオ:景気サイクル終盤で起こること

この証言は、2018年だったので、2019~2020年にかけて不況が来るかもしれないということを言っています。このレイ・ダリオさんはリーマンショックの予想を当てた方でもあるので、この証言はかなり有力であることが分かります。

調べていく中で、そろそろ不況が来るのではないかと予想が多くありました。就活にも関わってくることなので、今後の景気の動向が気になる一方です。

求める人材像が変わる

「人材ビジネスを支えるキャリアアドバイザー」の写真[モデル:朽木誠一郎 さとうゆい]
ここまで読んでくださった21卒のあなたは、「もしリーマンショックのような危機的な状況になるのならば、何を対策していけばいいのか?」と思うでしょう。

その答えは、これからの時代において求められる人材になることです。

では、皆さんはこれからの時代において求められる人材とはなんだと思いますか?論理的に考えることができる左脳型の人材でしょうか?それとも、共感ができ全体を把握できる右脳型の人材でしょうか?

答えは、半分正解で、半分間違っています。

つまり、右脳と左脳思考のどちらもバランスの取れた人材が今後求められる人材になります。確かに、論理的な思考が求められるのは正解です。しかし、それだけでは今後求められる人材にはなれません。

今や、事務作業や簡単な処理はAIやコンピューターに代替されてきている時代になっています。そのように時代が変わってきているということは、「求められる人材」も変わってくるのではないでしょうか?

「これから求められる人材」を考えるポイントについてヒントになる本を紹介したいと思います。社会評論やビジネス関連の書籍を多く執筆しているダニエル・ピンク氏の著書『ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』です。

過去150年ほどの大きな流れを見てみると、大量生産の工場で働く強靭な肉体と精神を持ち合わせた労働者たちの「工業の時代」から、論理的で分析思考の得意な左脳型であるナレッジワーカーたちの「情報の時代」になりました。

ナレッジワーカーの言葉の意味は以下の通りです。

ナレッジワーカーとは、ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を組み合わせた造語です。企業に対して、知識による新たな付加価値を生み出す労働者、「知識労働者」のことを指します。

肉体労働やモノづくりのための単純労働に対する概念で、形のない知的生産物を生み出す労働者と定義されています。

20世紀に活躍した社会学者・経済学者として知られるピーター・ドラッカーが、1960年の著書『新しい現実』の中で提唱しました。

引用:「ナレッジワーカー」とは?仕事内容や求められる能力、育成事例

ナレッジワーカーがこれまでの時代を牽引してきたのは間違いない事実です。しかし、これからの時代は大きく分けて三つの要因によって知識労働者であるナレッジワーカーのような左脳型人間は活躍が難しくなってくると言われています。

三つの要因

①先進国の生活が豊かになった

②より低賃金なアジアに仕事を委託できるようになった

③AIやロボットなどのテクノロジーの発展により、仕事が代替されるようになった。

上記の世界の動向を踏まえれば、左脳型の思考をしているだけでは今後の求められる人材に合わなくなってしまいます。

もちろん、「左脳型の思考が必要ない」ということではないということです。左脳型の思考も必要であるという前提で右脳思考も大事になってくるのです。

また、「今後求められる人材像」について、リクルートワークス研究所副所長の中尾隆一郎氏は下記のように述べています。

【2つのタイプ】

・広範な知識と経験に基づく調整力にたけたゼネラリスト以上に、社内外のさまざまな人々を結び付けて収益を生み出す力を有しているのがプロデューサー

・限られた職域で定型的な業務に注力するスペシャリストよりも、さらに専門性が高くしごとに必要なテクノロジーを使いこなすことができるのがテクノロジスト

引用:日本企業が求める人材像、2030年にはこの2タイプに!?

特に前半部分の「社内外のさまざまな人々を結び付けて収益を生み出す力を有しているのがプロデューサー」は、これから特に大事になってくるものです。

先ほども紹介した、「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」でも、”個別よりも『全体の調和(シンフォニー)』”が求められると述べています。ダニエル・ピンク氏は、この「調和(シンフォニー)」を次のように定義しています。

今日、最も重視されるのは、分析力ではなく総活力、つまり全体像を描き、バラバラなものをつなぎ合わせて印象的で新しい全体観を築き上げる能力である。

〔中略〕

たとえば、パターンを認識すること、境界を外して考え、隠された関連性を見つけ出すこと、イマジネーションを大胆に飛躍させることなどだ。

引用:ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

情報に簡単にアクセスできる時代になり、とても便利な時代になったと思っている人は多くいるでしょう。

その一方で情報過多により、選択肢が無限にある今日では「全体的に捉える能力、バラバラの断片をつなぎ合わせる能力、統合する能力」がより一層求められるようになっています。言い換えると、右脳の重要性が高まっているということです。

まとめると、今後は右脳と左脳の両方を持ち合わせた人材が求められます。当然ながら右脳はすぐに鍛えられるものではありません。

本章で伝えたかった内容としては、「自分は高学歴だから内定がもらえるだろう。」と楽観視せずに、不況に備えて、今からできる就活対策を粛々と進めることが何よりも大切だということです。

就活生はどう向き合っていくか

本記事を読んで、21卒のみなさんはどう感じましたか?

仮に、金融危機が起こってしまった場合、就活市場に大きく影響を及ぼしていきます。リーマンショックの二の舞にならぬよう、就活の対策はぬかりなくやっていきましょう。また時代が変化していくと、これから求められる人材の流れも変わってきます。これらのことを頭の片隅に入れながら、21卒の皆さんは就活の対策をしていきましょう。

就活は、自己分析、ES、グループディスカッション、面接など対策するべきことはたくさんあります。「売り手市場」という言葉に踊らされずに今からできること、「本選考に向けて早めの対策」をしっかりしていきましょう。油断は大敵です。

また、unistyleには就活の対策記事がたくさんあります。ぜひたくさん活用して、納得した就活にしていきましょう。また以下の参考記事が、今の就活の状況を見つめ直す機会になれば幸いです。

【~対策記事一覧~】

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簡単にできる自己分析のやり方8選!-やり方別のメリット・デメリットをunistyleが独自調査-
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【最新版】業界研究のやり方やポイントをわかりやすく徹底解説
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参加倍率20倍の人気インターン 外資系コンサル・投資銀行、総合商社で活躍するための登竜門『GROw』とは 参加倍率20倍の人気インターン 外資系コンサル・投資銀行、総合商社で活躍するための登竜門『GROw』とは 本記事はフロムスクラッチのPR記事になります。16年卒の学生達が本格的に就職活動を行っていますが、既に17年卒の学生向けサマーインターンシップも募集が始まっています。16年卒の学生のインターンシップの参加率は50%を超え、17年卒の学生についてもさらに参加率は上昇する傾向にあると言われています。業種業界問わず多くの企業がインターンシップに力を注いでおり、学生はその中で本当に参加すべきインターンシップを見極めることが必要となりました。インターンシップに参加する理由としては「内定獲得」や「企業研究」、「人脈構築」など様々な理由が考えられます。その中でも今回は2015年の夏、同期に比べて『圧倒的に成長したい』と願う学生が参加すべきフロムスクラッチ主催のインターンシップ『GROw』の魅力について去年実際に参加した16年卒の内定者から紹介をします。会社TOPも登壇!選考なしで自分の実力を試すことが出来る『1DayJob』フロムスクラッチのインターンシップGROwは選考のファーストステップが1DayJobとなっています。多くの企業がインターンシップの入り口をエントリーシートやウェブテストとしている中で、GROwの場合は選考なしで1DayJobに参加することができます。なぜ選考がないかというと、それはどこの大学のどんな学生であっても『圧倒的成長』を経験してほしいというフロムスクラッチの考えがある為です。1DayJobでは会社経営を疑似体験できるグループワークをコンテンツの中心に据え、ビジネスに必要な能力を試す、習得することができます。来年3月の就活解禁の1年近く前という早い時期からチームでの成果を求められるグループワークに参加することで、今後他社のインターンシップや本選考に参加する際にも活きる、貴重な経験を積むことができます。特に選考が日系企業に比べると早い外資系企業やベンチャー企業ではインターンシップなどでどれだけ実際のビジネスに近い経験を積み、成長してきたかが重視される傾向にあります。GROwはまさに外資系企業やベンチャー企業等の成長できる環境に進みたい学生向けのインターンと言えるでしょう。また、当日はフロムスクラッチの創業者でありCEOを務める安部の講演が予定されています。将来起業をしたいと考えている学生だけでなく、キャリアを迷っている学生にとって、創業5年で億単位の資金調達を実現し、メディア・マーケットからの注目が集まる起業家・会社経営者の生の声を聴くことが出来るのは貴重な経験となると思います。是非この機会に急成長中のベンチャー企業の経営者の講演を聴き、価値観と視野をグッと広げて欲しいと思います。高難易度ワークと豪華なアドバイザーが参加!!『GROwFinal』1DayJobを通過した学生はInterview(面接)に進むことができ、さらに通過した学生だけがGROwFinalという1泊2日の合宿形式のインターンシップに参加することができます。例年外資系コンサルティングファームや外資系投資銀行、日系大手企業などの内定を獲得するハイレベルな参加者と共に、『圧倒的成長』を約束する超高難易度のグループワークに挑戦できます。グループワークを通じて、ハイレベルなビジネスパーソンとして活躍するために必要となる思考力やコミュニケーション能力、プレゼンテーションのスキル等を身につけると同時に、マーケティング領域を事業ドメインとするフロムスクラッチだからこそ伝えられる「マーケティングの本質」を体感できる2日間となっています。また、GROwFinalでは参加学生のアウトプットに対して弊社CEOの安部を始め、弊社経営陣による直接のフィードバックを予定しております。ベンチャー企業のインターンシップで豪華なフィードバック謳うものが多いですが、中でもGROwでは過去の参加者が参加して良かったポイントとしてフィードバック陣の真剣さ・厳しいフィードバックから得られた学びを上げており、群を抜いたクオリティのものとなっています。難関企業・大手企業の内定辞退者多数!フロムスクラッチの魅力とは?ここまでインターンシップ・GROwについての説明をしましたが、「フロムスクラッチ」という聞き慣れないであろう会社の紹介を少しだけします。フロムスクラッチは2010年に現CEOの安部によって設立された今年で6年目の非常に若いベンチャー企業です。現在の主力事業は独自のコンサルティングフレーム「5S-BOX」やプライベートマーケティングプラットフォーム「B→Dash」を用いたマーケティング戦略立案・実行支援です。「B→Dash」というIT製品が高く評価され、5月には約3億円の資金調達を実施するなど、マーケットからの注目度も急上昇中の会社です。そんなフロムスクラッチの16年卒内定者は難関企業・大手企業からの内定を断り入社を決意した者がほとんどです。筆者自身も大手金融機関の内定を持っておりその企業も自分に合っていると感じていたため、フロムスクラッチと迷い、なかなか決めきれずにいました。そういった状態の中で、最終的にフロムスクラッチ入社の決め手となったのはフロムスクラッチには仕事に対する絶対的に高い基準があったことです。「成長したい」という思いで様々なサマーインターンに参加し、「自己成長」という軸で企業を見ていた私にとって、その「仕事に対する基準の高さ」は必要不可欠なものでした。私はその基準を去年参加したGROwのフィードバックにおいて肌で感じました。もちろん入社理由には様々あり私の体験は一例に過ぎませんが、この夏で成長したいと考えている学生にとっては『GROw』に参加し、最高峰の基準に触れることは非常に貴重な体験になると思います。以上でフロムスクラッチのインターンシップ『GROw』と簡単な会社の紹介を終わります。以下がGROwの開催日程です。【GROw開催概要】◆GROwFinal開催日8/22(土)~8/23(日)8/29(土)~8/30(日)9/12(土)~9/13(日)※1泊2日の合宿形式・東京開催(遠方の学生には交通費支給)◆GROw1DayJob開催日程7月4日(土)13:00~7月5日(日)13:00~7月11日(土)13:00~※関西開催7月18日(土)13:00~※5時間程度の開催となります▼『GROw』エントリーはこちらから※現在はエントリーは締め切りましたphotobyMaxandDeeBernt 33,387 views
上場企業のメリットとは?時価総額ランキングや有名企業一覧など解説 上場企業のメリットとは?時価総額ランキングや有名企業一覧など解説 就活生の皆さんは「東証一部上場企業」や「東証プライム市場」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。実際に「とりあえず東証一部上場企業、プライム市場の企業に行ければ安心でしょ」という考えで上場企業を軸に就職先の企業を選ぶ就活生も少なくないかと思います。しかし上場企業とは何なのかを完璧に理解している就活生は多くないと思われます。そこで本記事では、そもそも上場とは何なのか、上場するメリットやデメリットなどを解説します。記事の後半では上場企業の時価総額ランキングや非上場の有名企業一覧も紹介します。本記事の構成上場とは​​​​​​東証の上場区分と上場するための条件とは∟プライム市場∟スタンダード市場∟グロース市場企業が上場するメリットとは∟ネームバリュー・社会的信用が高まる∟資金調達・人材の確保が容易になる∟健全な経営体制になる企業が上場するデメリットとは∟上場するためのコストがかかる∟経営の自由度が低下する∟買収のリスクが高まる企業の評価に直結?上場企業の時価総額ランキングあの有名企業も!?非上場の大手企業一覧を紹介最後に上場とはまず上場とはどのようなものなのかを解説します。上場とは日本取引所グループの定める審査基準を通過し、証券取引所で自社の株式を売買できるようにすることです。株式とは株式会社が事業を興すための資金集めとして発行するものが株式です。株主は株式と引き換えに資金を提供することで、会社が利益を上げたときに利益の一部を配当金として受け取ることができます。こうした株式の売買を行っている場所を証券取引所といいます。企業が上場するためには、株式の取引をしても良い信頼のおける会社であると証券会社に認めてもらう必要があり、厳しい審査基準をクリアしなければなりません。日本には証券取引所がいくつかありますが、本記事では東京証券取引所(以下:東証)の上場区分や上場企業について解説します。東証の上場区分と上場する条件とは上記では上場とはどのようなものか解説しました。次に東証の上場区分と上場するための条件を解説します。以前まで東証の上場区分は「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「ジャスダック(JASDAQ)」となっていましたが、2022年の4月に上場区分が再編され以下の3つの上場区分となりました。東証の上場区分(1)プライム市場東証の上場区分(2)スタンダード市場東証の上場区分(3)グロース市場ここからは上記の3つの市場について特徴や上場するための条件を解説します。プライム市場プライム市場は東証が運営する市場の中で最上位に位置しており、再編前の東証一部市場に相当します。プライム市場は信託銀行や信用金庫など機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額や流動性があり、公正な企業経営を行うための高水準な仕組みが整っている企業が多いです。また投資家との持続的なコミュニケーションを重視し、持続的な成長、中長期的な企業価値の向上に努める企業向けの市場となっています。プライム市場に上場する条件は以下のようになっています。※上記表は東京証券取引所『プライム市場の上場条件』を参照としてunistyleが独自に作成スタンダード市場次にスタンダード市場を解説します。スタンダード市場は再編前の東証一部、東証二部、更にはジャスダック(JASDAQ)を集約したものという位置づけに当たります。投資家が取引できるような一定の時価総額や一般的な流動性を持ち、上場企業として最低限の公開性、仕組みがある企業が多く上場しています。経営方針などの観点から自社に最適な市場区分であると判断し、プライム市場ではなくあえてスタンダード市場を選択するケースもあります。また反対に、再編時にプライム市場の要件を満たせずスタンダード市場となった企業もありました。スタンダード市場に上場する条件は以下のようになっています。※上記表は東京証券取引所『スタンダード市場の上場条件』を参照としてunistyleが独自に作成グロース市場上場区分の最後はグロース市場です。グロース市場は再編前の東証マザーズとジャスダック(JASDAQ)を集約した位置づけに当たります。グロース市場は高い成長可能性が期待される市場で、ベンチャー企業や創業から間もない企業が対象となることが多いです。プライム市場やスタンダード市場と事業実績を比較すると、リスクの高い企業が多いため上場後は事業計画と進捗の適時、適切な開示が求められます。グロース市場への上場の条件は以下のようになっています。※上記表は東京証券取引所『グロース市場の上場条件』を参照としてunistyleが独自に作成企業が上場するメリットとはここまでで上場とは何なのか、また上場の区分が理解できたかと思います。ここからは企業が上場するメリットを解説します。就職活動を進めるうえで漠然と上場企業に就職したいと考えている就活生も多いのではないでしょうか。納得のいく就職活動にできるよう、本記事を参考に上場企業のメリットを押さえてみてください。本記事では上場企業のメリットとして以下の3つを紹介します。上場企業のメリット(1)ネームバリュー・社会的信用が高まる上場企業のメリット(2)資金調達・人材の確保が容易になる上場企業のメリット(3)健全な経営体制になるネームバリュー・社会的信用が高まる企業が上場するメリット1つ目は「ネームバリュー・社会的信用が高まる」ことです。総務省によると2021年時点での日本の企業数は約367万4千社となっており、その中で上場している企業は3869社と限られていることが分かります。(2022年12月29日時点)そのため一定の基準を持たし上場企業となると知名度やネームバリューは向上すると考えられます。また各市場に上場することでそれだけの時価総額があることを証明でき社会的信用も高まるでしょう。【参照】日本取引所グループ『上場会社数・上場株式数』総務省統計局『調査の結果』資金調達・人材の確保が容易になる上場することで企業は市場から様々な形で資金調達ができるようになります。更に上場することで社会的な信頼も高まるため銀行や投資家からの融資も比較的受けやすくなると考えられるでしょう。また就活生にとって上場しているかどうかは就職先を決める重要なポイントになることも多いと考えられます。知名度が上がればそれだけ就職希望者が増える可能性も高まるため優秀な人材を確保しやすくなるのではないでしょうか。健全な経営体制になる企業が上場するメリット3つ目は「健全な経営体制になる」です企業は上場する過程で法令順守や内部統制、コーポレート・ガバナンスといったリスク面を考慮して不正を防ぐ仕組みなど、健全な経営体制を築くことが求められます。また上場後も情報開示をすることを前提に社内のコンプライアンスなどを統制しないといけないため健全な経営体制を継続する必要があります。企業が上場するデメリットとはここまでで上場企業のメリットは押さえられたと思います。しかし上場企業にはメリットばかりあるわけではなくデメリットも存在します。闇雲に上場企業を志望するのではなく、企業が上場する際のデメリットも押さえ納得できる就職先を見つけられるようにしましょう。本記事では上場企業のデメリットとして以下の3つを解説します。上場企業のデメリット(1)上場するためのコストがかかる上場企業のデメリット(2)経営の自由度が低下する上場企業のデメリット(3)買収のリスクが高まる上場するためのコストがかかる上場企業のデメリットとして上場するためのコストがかかることが挙げられます。資金が必要となるのはもちろんですが、人的コストや時間的なコストもかかります。具体的には監査法人などへの監査報酬や上場するための人員の確保、コンサルティングを雇う場合はコンサルティングへの報酬も必要となります。上記は必要となるコストの一部であり、上場後も年間上場料など上場を継続するためのコストや、そもそも上場するために3年ほどの期間を要するなど時間的コストもかかるためデメリットと考えられるでしょう。経営の自由度が低下する経営の自由度が低下することも上場企業のデメリットの一つです。上場することによって多数の株主と関わりを持つようになります。株主の多くは配当や株式売却の利益を重要視しているため、株主も納得がいく形で利益を維持しなければなりません。また株主総会などでは株主からの意見を受ける場合もあり、上場以前のように企業の経営者だけで経営方針などを判断することは難しくなります。買収のリスクが高まる上場企業のデメリット3つ目は「買収のリスクが高まる」ことです。上場すると不特定多数の投資家が自由に企業の株式を買うことができます。そのため個人投資家のみならず競合他社からの買占めに注意する必要があります。株式は過半数を買い占められると経営権が奪われてしまいます。そのため敵対的買収など唐突に買収を仕掛けられた際には、経営陣が既存株主の株式を買い取るなどして防衛策を講じる必要があり予期せぬコストがかかることもあります。企業の評価に直結?上場企業の時価総額ランキングここまでで上場とは何なのか、上場企業のメリットやデメリットを理解できたかと思います。ここでは上場企業の時価総額ランキングを紹介します。時価総額は企業の価値や規模を表す際の指標で、業績のみならず将来への期待も含まれた数値になっています。上場企業の中でもどのような企業が特に評価されているのかを押さえ就職先を決める際の参考にしてみてください。上場企業の時価総額ランキングTOP10は以下の通りです。上場企業の時価総額ランキング1位トヨタ約29兆7749億円2位日本電信電話(NTT)約13兆5499億円3位ソニーグループ約13兆4116億円4位キーエンス約12兆5276億円5位三菱UFJフィナンシャル・グループ約11兆6076億円6位ソフトバンクグループ約10兆207億円7位KDDI約9兆1832億円8位ファーストリテイリング約8兆4360億円9位第一三共約7兆9147億円10位リクルート約7兆3588億円※2023年1月時点での情報を掲載しています【参照】日本経済新聞『時価総額上位ランキング』トヨタ自動車(TOYOTA)の企業研究ページはこちら日本電信電話(NTT)の企業研究ページはこちらソニーグループの企業研究ページはこちらキーエンスの企業研究ページはこちら三菱UFJフィナンシャル・グループの企業研究ページはこちらソフトバンクの企業研究ページはこちらKDDIの企業研究ページはこちらファーストリテイリングの企業研究ページはこちら第一三共の企業研究ページはこちらリクルートの企業研究ページはこちらあの有名企業も!?非上場の大手企業一覧を紹介本記事では主に上場企業について解説してきました。企業は上場することで社会的信頼が高まるなどのメリットがあり、実際に就活生の皆さんが聞いたことのある企業の多くは上場していると考えられます。しかし上場企業にもいくつかのデメリットはあるため様々な理由からあえて上場していない企業も存在します。そこでここでは非上場の大手企業一覧を紹介します。非上場の大手企業一覧様々な理由から上場していない大手企業の一例として以下のような企業が挙げられます。上場していない大手企業一覧・サントリーホールディングス・読売新聞社・竹中工務店・NTTドコモ・ADK・森ビルサントリーホールディングスの企業研究ページはこちら読売新聞東京本社の企業研究ページはこちら竹中工務店の企業研究ページはこちらNTTドコモの企業研究ページはこちらADKの企業研究ページはこちら森ビルの企業研究ページはこちら上記の6社は上場していない大手企業の一例ですが、就活生の皆さんも聞いたことがある企業が多いのではないでしょうか。大手企業が上場できる規模がありながらも上場しない理由は様々です。以下では大手企業でも上場していない理由をいくつか紹介します。■サントリーホールディングス大手飲料メーカーのサントリーホールディングスは創業者である鳥居信治郎のモットーである「やってみなはれ」を企業理念に掲げ、株主の意見に左右されないチャレンジ精神を大切にしていると思われます。実際にサントリーホールディングスの副会長は「上場した場合、企業理念を追求する経営が崩れてしまうかもしれない」と話しており、チャレンジを尊重する柔軟な経営体制を守るために上場していないと考えられるのではないでしょうか。【参照】サントリーホールディングス『採用情報』日経ビジネス『サントリーが動いた』■読売新聞社日本の新聞社である読売新聞社も上場していない大手企業の一つです。読売新聞社に限らず日本の出版社の多くは非上場となっています。読売新聞社やその他の出版社が上場しない理由としては報道の正確性を守るためと考えられます。実際に読売新聞社の代表取締役社長は「厳格な事実確認に基づいた正確な情報、穏健で落ち着きのある表現、公正中立な言論が強く求められています。」と述べており情報の正確性を重要視していると考えられます。また日本では新聞における言論の自由や報道の正確性を保持するために「日刊新聞法」が定められており、この法律に基づいて上場しない出版社が多いと考えられます。【参照】読売新聞社『TOPMESSAGE』■竹中工務店竹中工務店は大手総合建設会社で上場していない大手企業の1社として挙げられます。竹中工務店は「特定の利害関係者だけでなく、社会を構成するあらゆる人にとっての最良となる作品を追求する姿勢を貫くため」非上場で経営を行っています。上場しないことで株主などに配慮した経営をする必要がなくなり、一人一人のお客様に合わせた最良の作品を提供できていると考えられます。【参照】竹中工務店『竹中工務店の特徴』最後に本記事では上場とはどのようなものなのか、上場企業のメリットやデメリット、時価総額ランキングなどを解説しました。上場は時価総額などの条件をクリアしている企業であるというステータスになっていますが、あくまで1つの指標にすぎません。就職活動においては上場企業だけを企業選びの軸にするのではなく、自分がやりたいこと、どういう環境で仕事をしたいのかを考えることが重要です。企業選びの際には「上場企業だから選んだ」ではなく「これがやりたいからこの企業を選んだ」と言えるようになりましょう。企業選びの軸の決め方を詳しく知りたい方は以下の関連記事をご覧ください。関連記事 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新卒に1000万円、急激な人材市場の変化に就活生はどう向きあえばいいのか。 新卒に1000万円、急激な人材市場の変化に就活生はどう向きあえばいいのか。 NECは、新卒であっても学生時代に著名な学会での論文発表などの実績があれば1000万円を超える報酬を支給する報酬制度を発表しました。その背景としてNEC社長の新野隆氏はこう語っています。「グローバルでの競争を戦うには、国内の制度を変えていく必要がある」この発言は、人工知能(AI)などに精通した優秀な人材の獲得を巡る世界的な競争に対する危機感を表しています。参考:日本経済新聞|NEC新野社長「新卒年収1000万円、世界では必然」世界的に加熱する人材の獲得競争の波は日本にも波及し、NECをはじめとした日本企業の給与体制に大きな影響を与えています。そこで本記事では、NECのように給与水準の引き上げを行なった日本企業の年収や求められるスキルなどを具体的に紹介していきます。また米国など海外との比較を通じて、日本の給与制度や雇用制度の問題点を解説するとともに、このような環境の変化に対して就活生がどう向き合っていけば良いのかを考察します。本記事の構成新卒年収1000万の背景新卒年収引き上げを発表した企業例└ソニー└ヤフー└ファーストリテイリング└くら寿司IT人材の年収、日本はアメリカの半分以下就活生はどう向き合うべきか新卒年収1000万円の背景新卒年収1000万円の背景として、既存の人事制度への問題意識をNEC社長の新野隆氏は指摘してます。世界との競争に勝ち抜くためには優秀な人材の確保が欠かせません。しかしながら、日本社会の根底にある「終身雇用と年功序列」の制度では、十分に優秀な人材を確保ができない現状があります。海外では一般社員に対して給与の上限は設けられておらず、本人のスキルや実力によって給与が上下する実力主義の給与体制が一般的です。そのため優秀であればあるほどその人材は日本企業よりもいい待遇を海外企業で得ることできます。こうした背景から、優秀な人材が国外に流出してしまうと考えられます。NECは、「研究者を除く社員には既存の制度を続けるが、ゆくゆくは世界の制度に寄っていくだろう」との考えを示しました。トヨタ自動車の豊田章男社長が「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べたように、日本の労働環境は変革期に入ってきているのではないでしょうか。その変革の1つとして、特にIT人材の不足からこの分野での給与水準が引き上げられたと考えられます。参考:日本経済新聞|NEC新野社長「新卒年収1000万円、世界では必然」関連:新卒年収引き上げを発表した企業例それでは、NEC以外に新卒の給与水準を引き上げた企業を紹介していきたいと思います。またそれぞれの企業は、どのような人材を求めているのでしょうか。ソニーソニーは、人工知能などの領域で高い能力を持つ新卒社員の給与を引き上げ最高で730万円と、現在の約560万円から3割程度給与を上げることを発表しました。デジタル分野での人材の獲得競争が世界的に激しくなっていることが背景にあるとしています。参考:朝日新聞|ソニー、初年度の年収最高で730万円へAI人材狙うヤフーヤフーは、エンジニアとして優れた実績を持つ人に、初年度から年収650万円以上を提示しています。入社時に18歳以上30歳以下で就業経験のない人が対象で、初年度の年収が650万円以上となるのは「エンジニアスペシャリストコース」で、以下のいずれかの条件を満たすと応募することができます。エンジニアリングに付随する起業経験技術書の執筆経験自身が開発したアプリのDL数100万以上Kaggleにおいて、単独参加でコンテストTOP10%入賞経験競技プログラミングレート保持者トップカンファレンスでの論文発表経験これらの条件を満たすのは難しく、逆にこのレベルの条件を満たし年収650万円は少ないという声もあるようです。参考:livedoorNEWS|ヤフーが優れたエンジニアに年収650万円以上を提示むしろ安いとの見方もファーストリテイリング「ユニクロ(UNIQLO)」などを展開するファーストリテイリングが、一部の職種の初任給を4万5千円引き上げると発表しました。対象となるのは国内外の転勤が含まれるグローバルリーダー職のみで、変更後の初任給は現在の21万円から25万5,000円となります。また優秀な若手を確保するために、入社後最短3年で子会社の幹部などに抜てきし、年収は1000万円を超え、欧米勤務では最大3000万円程度とする人事制度を発表しました。参考:FASHIONSNAP|ファーストリテイリングが初任給を4万5000円引き上げ、グローバルな人材確保へ参考:日本経済新聞|ファストリ、入社3年で年収3000万円も幹部に登用くら寿司くら寿司は2020年春の新卒採用で、入社1年目から年収1000万円の幹部候補生を募集しました。条件としては、26歳以下(就業経験者、卒業後に1年以上ブランクがある者は対象外)という年齢制限に加え、TOEIC800点以上、簿記3級以上といった資格が必要で募集人数は10名でした。参考:東洋経済ONLINE|くら寿司が「年収1000万円」で新卒募集するワケ実例を踏まえた考察上記の改革を踏まえて考察してみると、市場価値が向上している人材はIT関連の専門知識を備えた人材と語学力やマネジメント力に優れ、将来は管理職として期待されている人材の2つタイプに分けられると考えられます。就活生の立場から考えると、自身の市場価値を上げるためにこれらのスキルを身につけることが出来る環境で働く、という考え方も企業選択における1つの基準になり得ると思います。しかし、市場価値を高めて何がしたいのか・自分が成し遂げたいことは何か、まで掘り下げて企業を選択することができれば、心から納得のいく就職活動にすることができるのではないでしょうか。IT人材の年収、日本はアメリカの半分以下それでは、こうした日本企業の取り組みは海外企業と比べてどうなのでしょうか。日本企業の給与水準では、特にIT人材の評価がグローバルスタンダードに達していないとされています。経済産業省によると、IT人材とはAI、IoT、ビッグデータ等に携わる人材や情報セキュリティに精通した人材を指すようです。以下の表は経済産業省が発表した各国のIT人材の年収分布を示した表です。出典:「経済産業省」資料上記の表から、IT人材の年収が日本はアメリカの半分以下の水準であることがわかります。経産省によると、日本のIT人材は年収500万円前後が多いですが、米国では1000万円~2000万円が多いとされています。また、産業界で続く大型のIT関連投資や、情報セキュリティ等へのニーズ増大により、IT人材の不足が深刻な問題になっていくでしょう。人材不足は今後さらに深刻化し、2020年にはIT人材が29.3万人(うちAI人材は約4.7万人不足)する見込みです。さらに2030年には、約59万人程度まで人材が不足すると推計されています。以上のような背景から、日本企業はより優秀な人材や人手不足となるIT人材を確保することが困難になるでしょう。そしてその困難を乗り越えるためには、既存の「年功序列・終身雇用制度」の見直しが必要であり、優秀な人材に対する待遇の改善が進んでいくと思われます。就活生はどう向き合うべきか本記事を読んで就活生の皆さんはどう感じたでしょうか。年収1000万円を稼ぐために必要なスキルを身に付けようと奮起したでしょうか。はたまた、年収に重きを置くのではなく自分がやりがいを感じる仕事をしたいと思ったでしょうか。仕事は人生において大きな時間を占める重要な要素です。そして就活生の皆さんはその仕事を通じて、金銭、達成感、人間関係など得ることで人生を豊かにし「幸せになりたい」と考えていると思います。幸せとはなにかそれでは「幸せ」とはなんでしょうか。この問いに対する1つの答えを示す著書として「幸福の資本論」という著書があります。そしてその著書において、幸せとは「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3つの条件から成り立っているとあります。簡単に説明すると「お金・自己実現・人とのつながり」の3つから幸せは成り立っているという解釈です。もちろん、この3つ全ての要素を高いレベルで実現することが理想ですが、それぞれが絶妙なバランスで成り立っており、全てを高いレベルで実現することは相当難しいでしょう。ここで、私が皆さんに伝えたいことは「働いている自分をどれだけ具体的にイメージできているか」ということです。「自分のやりたいことで、年収1000万を稼ぎ、友人や家族との時間も大切にする。」このような理想をイメージしたのならば、なぜ年収1000万円必要なのか、その職種はプライベートの時間をしっかり確保出来るのか、どのように自分の成し遂げたいことにつながっているのか、をしっかり説明できるようになりましょう。また、現実的に年収1000万円を稼ぎつつプライベートの時間を確保することが難しいのであれば、理想年収を下げる、プライベートの時間を減らすなどの選択が必要です。年収は欠かせない要素の1つですが、逆に言えば1つの要素でしかありません。要はバランスが重要で、自分自身が理想とするバランスをどれだけ具体的にイメージすることができるかが重要です。そしてその理想は人それぞれ異なってあたりまえです。他者のわかりやすい理想に安易に迎合するのではなく、自分自身が考え抜いて理想の状態をイメージしましょう。そうすれば、面接で深掘りされた際にも筋道を立てて面接官が納得する回答をすることができるでしょう。また、より具体的に年収1000万円の生活水準を知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。参考:さらに、より自分自身のことを知り、理想の状況をどの企業で実現することができるのかを把握することが大切です。以下に自己分析や業界研究に関する関連記事を紹介していますのでぜひ活用し、この変化の時代を乗り越えていって欲しいと願っています。参考:日々刻々|幸福の資本論・自己分析記事まとめ・業界研究記事まとめ 18,091 views
「ダイバーシティ」という言葉の定義には就活生と企業に認識の相違がある? 「ダイバーシティ」という言葉の定義には就活生と企業に認識の相違がある? 日産自動車のゴーン会長の逮捕や日系平均株価の急落。昨年と比較するとそこまで大きなトピックは少なかった印象もありますが、日本企業を取り巻く不祥事や暗いニュースは2018年も一定の話題を集めました。昨年、日産自動車の無資格検査とほぼ同時期に問題が発覚したのが、神戸製鋼の品質データ改ざん問題です。そんな神戸製鋼は昨年まで以下のような新卒採用メッセージを掲げていました。バラバラの集まりこそが強いんだ一見「まとまりがない」といった意味で悪い言葉に見える「バラバラ」。しかし、神戸製鋼は多様な価値観・考え・バックグラウンドを持った集団。すなわち、ダイバーシティーに富んだ集団という意味で「バラバラ」という言葉を表現していました。(その後あのような不祥事が発覚したというのもある意味皮肉な気もしていますが...)今やダイバーシティーという言葉は一企業に限らず日本社会のトレンドのように語られており、全く言葉として聞いたことがないという方はほとんどいないでしょう。今回は、そんなダイバーシティーという言葉と就職活動の関係性について、具体的な事例や頻出の論点を網羅していきたいと思います。ダイバーシティーの語義と背景ご存知かとは思いますが、ダイバーシティーという言葉は英単語"diversity"に起因しており、最も一般的な日本語訳が"多様性"になっています。元々、一億総中流という言葉にあるような、「皆が同じように高校・大学を卒業し、同じように企業に就職し、同じように家庭を築き・一戸建てに住み、同じように定年まで勤め上げる」というような、皆が皆同じ方向を向き努力し続けていれば自然と経済は成長していくといったような考えの時代は過ぎ去りました。時を経て現在のキーワードは、一億総活躍社会。すなわち、20歳~60歳程の男性だけが社会に出て働く時代ではなく、女性・外国人・高齢者・障がい者など、様々な属性の人があらゆる環境で活躍する社会を目指すべきだと政府は方針として示しています。(実際には、一億総活躍社会という言葉には職場に限らず地域社会や家庭などもう少し広い環境を含みます)以上より、「皆がこうあるべき」という画一的なモデルケースは薄れ、「皆が皆自由度高く違う方向を向く社会を許容すべき」というのが、社会的な風潮をもとにしたダイバーシティーであると言えるでしょう。特に近年では、先述した女性・外国人・高齢者・障がい者やLGBTといった属性の方の雇用を中心として、働き方改革と紐づいた議論が多く交わされている印象があります。学生と企業のダイバーシティーの認識の相違さて、言葉自体は誰もが知るものであるダイバーシティーではありますが、その具体的な意味となると、雇用や働き方の分野に絞って考えても様々な回答が出てくることかと思います。採用HPや企業説明会などでもダイバーシティーを推進している旨をアピールする企業は増えてきている印象がありますが、その中でも学生がイメージするダイバーシティと企業で実際に推進されているダイバーシティーの間には乖離があると思っています。学生の認識:「誰が」「どのように」働くかがダイバーシティーもちろん個々人によって考え方は異なることにはなるでしょうが、多くの学生は職場で「どういった人が働くか」と「どういった働き方をするか」という点でダイバーシティーを認識している印象があります。もう少し具体化すると、「どういった人が働くか」・女性の役員登用や採用割合の増加・外国人労働者の積極的雇用・LGBTに寛容な環境の整備「どういった働き方をするか」・残業時間の削減・フレックス勤務・リモートワーク上記のような認識の方が多いのではないでしょうか。実際、企業が採用HPや企業説明会で示すダイバーシティーもこれに近しい意味で触れられることが多く、厚生労働省が発表している「くるみんマーク」・経済産業省が発表している「ダイバーシティ経営企業100選」辺りも近しい観点で選定されています。参考:厚生労働省くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて経済産業省ダイバーシティ経営企業100選ホームページこのように、国策や企業の広報活動でイメージ付けがなされていることも現状の学生の認識を生み出している一因なのだと考えられます。以下のような企業の取り組みを、どの企業でも少なからずやっているものだと考えている方もいるかもしれません。参考:企業の実態:学生が思うほどドラスティックなものではない一方、実際に企業の現場で推進されているダイバーシティは学生の認識と異なっている点が多い印象です。例えば近年認知度が向上しつつある"LGBT"について、先ほどは「寛容な環境の整備」という旨を述べましたが、実際は社内研修の座学で「LGBTの重要性」といったものを学んだり、「ダイバーシティ推進室」といったよう半名ばかり部署をとりあえず設置してみるぐらいで終わっている企業が存在しているケースもあります。ある日系有名企業に勤めている社員からは、研修で「『彼女と』クリスマスどこか行かれたんですか?」という言い方は(LGBT尊重の観点から)不適切な場合があるため、性別に影響しない『パートナー』という言葉を使えという内容のWeb研修を社員全員が受講したものの、実際はほぼ誰もそれを守っていないといった話も耳にしたことがあります。中でも直近で話題になったのは以下の記事でしょう。参考:本当にお前らダイバーシティが分かってないんだな。この方が指摘するように、多くの学生がイメージするような女性の管理職を増加・新卒採用の段階から外国人留学生の枠を広げるといったものは現実のダイバーシティーにはそれほど当てはまらないというのが実情です。それよりも、社会に出て働くのは男性が多い・多くの社会人はオフィスに出向いて9時5時近辺で働く、という社会の大多数の動きは残したうえで、その一部に(リモートワーク・フレックス勤務といった)働き方の変化を加えるというのが企業側が現実として取り組んでいるダイバーシティーだったりもします。この時点で、双方の認識の相違が何となくでもイメージできたかと思います。ダイバーシティーの取り組み事例ここまでの内容ですと、企業はダイバーシティーについて大した取り組みをしていないような印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、当然中には学生のイメージに合った/もしくはそれを超えたダイバーシティの推進の仕方をしている企業も存在しています。ここではその事例を2つピックアップしてご紹介します。事例1:日産自動車|ルノーとの提携を軸に女性の活躍を推進冒頭でも取り上げた渦中の日産自動車。同業界の中でも英語力やグローバルのイメージを持っている方も多いと思います。そんな日産自動車は1999年にフランスのルノーと業務提携したことで知られています。(ゴーン前会長は記事執筆現在ではルノーの会長を継続されています)その影響もあってか、日産自動車では特に「女性の活躍」をテーマに、技術職や管理職といったこれまで男性の割合が高いものとみなされてきた立場について、女性の割合を増加させることを目標に掲げているようです。具体的には、就活生に留まらず受験勉強を控えた高校生へ向けて技術職の女性社員が講演を開くことで、より早い段階からのキャリア意識の醸成(技術職として働くということを選択肢の一つとして意識させる)などといった取り組みが挙げられます。「女性の活躍」と言われると大体多くの企業が重要性自体は説いていたりするものですが、日産自動車では以下の記事にもあるように十数年連続で女性管理職率を増加させるなど名ばかりではなく実際に企業体制に変革を加えていることが読み取れます。参考:日産の取り組み事例2:カルビー|松本社長主導のドラスティックな働き方改革有名食品メーカーのカルビーですが、こちらは社長の松本晃氏の取り組みが有名になっています。「」でも述べたように、多くの日系企業に当てはまる特徴として意思決定の遅さや業務遂行上の非効率性が挙げられます。例えば何か問題が発生すると事あるごとに「とりあえず打ち合わせを行いましょう」という流れになり、肝心の打ち合わせの場ではだらだらと議論が発散していき、長時間かけた結果「決定事項なし」という何のために複数人の稼働をかけて行ったのかよくわからないもので終わってしまうなんてこともあったりします。一方松本氏は、以下の記事にあるように「会議なんか辞めてしまえ」という大方針まで掲げ、「定時が来るまでダラダラと働く」という時間ベースで働く日系企業でありがちな働き方に対し、成果ベースで働き方や待遇を決定するという旨を述べています。参考:会議なし、資料なし、会社に来る必要なし!/カルビー松本会長「ダイバーシティーが嫌いな会社に未来はない」松本氏は前職で外資系医療メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンの社長を務めた経験もあることから、先ほどの日産自動車と同様、外資系企業出身のトップ就任がきっかけとなるケースというのはそれなりに多いのかもしれません。日系企業で社長の方針がここまでトップダウン的に現場まで行き届いている企業というのもそうそうないように思われます。(もちろん細かい部署単位で見ればこういった方針が実際に反映されているかどうかはわからないものですが)なぜ、今の時代にダイバーシティーが求められているのかさて、これら企業の取り組みのように、日本社会にも少しずつではありますがダイバーシティーの考え方が浸透していっている印象があります。冒頭でも少し触れましたが、「世のお父様方は汗水垂らしてモーレツに働くべき」「とにかく努力すれば必ずいい方向へ向かう」といった時代は去り、画一的な行動をしているばかりでは企業も個人も生き残れない時代へと移行していくことが指摘されています。「」でも述べた通り、これからの時代に市場価値を高めるための方法の一つに「ポジションを取る」ことが挙げられます。世の中の常識や「こうあるべき」という既成概念にとらわれているようでは市場で埋もれてしまう一方であり、これまでとは異なったモノの見方や考えが必要になっていっています。すなわち、「同質の集団からは同質のアウトプットしか生み出されない可能性が高い」ことが問題であり、この状況を脱却するための手段の一つとしてダイバーシティーがあると言えるのではないでしょうか。有名な話ですと、キリンの人気商品である「午後の紅茶」は、「午後のゆったりとした時間に紅茶を嗜む」という(少なくとも今の日本社会の多くでは)女性にしか経験できない発想から生まれたというものがあります。女性社員の考え方を取り入れることで紅茶界のポジションを獲得した好例だと言えるでしょう。女性を多く登用するのも、時間ベースの画一的な働き方を脱却するのも、あくまでそれは企業価値や個人の幸福度といったものを高めるための手段に過ぎません。つまり、ダイバーシティーのためのダイバーシティーは本質的ではなく、こういった時代背景や市場動向に対応していくために推進されているのだという位置づけは認識しておくべきでしょう。ダイバーシティーに着目する際に注意すべきこと近年注目度を高めるダイバーシティーについては、事例のようなものが紹介されると何だかそれだけで良い企業と感じてしまうようなことも起きがちです。ここでは、そんなダイバーシティーについて情報を得る際の注意点について指摘します。注意点1:企業の広報活動の一環として提示する情報であることを認識すること採用HP・ナビサイト・企業説明会など様々ですが、基本的にそれはどれも「エントリーしてもらうため・企業のイメージを良くするために提供する情報」であることは考慮しておくべきだと思います。参考:こちらの記事でも近しい指摘をしていますが、就職活動では、学生は内定を獲得するために行動する一方、企業側は自社の利益に貢献できる人材を獲得するための行動を取ることになります。そのため、企業側が提示する情報というのは、嘘ではないにせよ自社をよりよく見せようとする意図を含んでいることは認識しておくべきでしょう。ダイバーシティーもこれと同様に、「ダイバーシティーを推奨している」と言われて悪いイメージを抱く学生はまずいない状況下で、全社的な方針でなくとも一部で実施している取り組みをやたらと強調してアピールしているということも往々にして考えられます。ダイバーシティーの取り組みは魅力的に映ったりもするのですが、それが実際の現場でどこまで適用されているかについては慎重に判断していくことがミスマッチを避けるためにも無難な選択でしょう。注意点2:"まやかしの"ダイバーシティーに騙されないこと注意点1にも関連する内容にはなりますが、皆さんは、以下の記事を読んでどのような感想を抱きますでしょうか。参考:サイバーやメルカリも!女性躍進の最前線|働く女性を支える社内制度10選理容半休・失恋休暇・オシャレ手当・コンサート休暇...そんなことで会社を休んでいいのかと魅力的に感じた方も多いかもしれません。確かにこういった休暇制度や各種手当はそうそうあるものではないためインパクトが強いものにはなりますが、基本的にどの企業でも与えられているはずの年次有給休暇は、理由を問わずに会社を休むことが出来る休暇です。労働者は労働基準法上有給休暇取得の理由を周知する義務はありません。逆に言えば、理容休暇は理容目的でのみ取得が許される休暇であり、失恋休暇は失恋しないと取得できない休暇(のはず)です。こういったごく一部限定的な事由にのみ適用される休暇であったら、むしろ事由を問わず取得可能な労働者の権利である年次有給休暇の増加、もしくは消化の完全義務化といった取り組みをした方が(インパクトには欠けるかもしれませんが)よっぽど有意義だといった見方もあってもいいかと思います。※これらの取り組みをしている企業=まやかしのダイバーシティーで学生を騙している企業だと述べているわけではありませんのでその点ご理解ください一部魅力的に見えるダイバーシティーに関する制度があったとしても、肝心の給与や福利厚生・休暇制度等が満足いくものでなかったらそれは問題でしょう。目先のダイバーシティー制度だけに目を向けるのではなく、実際にそこで働くとなったときに自分が幸福度高く働ける環境であるか総合的に見る姿勢を忘れないでいただきたいと思います。注意点3:ダイバーシティーの"おかげ"かどうかは慎重に判断すること事例2で取り上げたカルビーは有名なダイバーシティーを推進している企業の一つですが、10期連続で過去最高益を更新するなど、好調な業績とダイバーシティーの推進はしばしば紐づけて語られることが多い印象があります。(ちなみに今季は大幅な業績予想の下方修正をするなど苦戦している姿が見受けられます)しかし、これを「女性を増やしたから利益が伸びた」のように結論づけてよいかは実際のところ正確にはわからないでしょう。企業の業績は複合的な要因が絡み合って決定していくものであり、どこまでダイバーシティーが利益に貢献したかを定量的にはかることは難しいでしょう。見方を変えれば、たまたまそれが食品業界のビジネスモデルやカルビーの企業風土に合致したからうまくいったという可能性も十分考えられます。多くの企業が学生のイメージほどダイバーシティーを推進できていない現状下で、今後各企業がどのようにして変革を加えていくかについては、就活生の皆さんにとっても注目すべき観点の一つだと考えています。単純に個々人の個性を頭ごなしに許容するようでは、結果的に組織のまとまりが欠き効率性も失われるという可能性も考えられるでしょう。くれぐれも、ダイバーシティーはやればやるほど良いものだといった単純な考え方は持ってほしくないと思っています。最後にダイバーシティーについてはこれまで述べたように学生のイメージ先行で動いていってしまっている面も多く、学生と企業の認識には隔たりがあるというのが現実です。とは言え、何もこれは学生の情報収集不足だけが問題なのではなく、企業側も発信する情報と現場での取り組みに大きく乖離がある場合など、認識の相違を生み出すきっかけを一部作っているものだと考えています。結局、どちらがいい/悪いといった話ではなく、まずはお互いが少しずつでも歩み寄っていく姿勢を見せることが肝心なのではないでしょうか。本記事が就活生の皆さんにとってダイバーシティーの意味を見返すきっかけとなれば幸いです。関連記事: 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