博報堂の内定者ES解説!選考通過のエントリーシートの共通項

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最終更新日:2022年03月29日

博報堂ES(エントリーシート)設問意図と内定者回答解説の通り、博報堂や電通、テレビ局などメディア関係のエントリーシートではクリエイティブを試されるような設問が多数されます。

こういった設問にも前向きに楽しんで考えられる人材が広告業界に向いているためだと思われます。またクリエイティブな設問にはセンスが必要だと感じる人が多いようですが、前回の解説でも触れた通り、センスというものよりも「知識」や「考え方」の方が重要だと思っています。「センスのもととなる知識を効率よく増やすコツ」について下記で紹介した本を参照してください。
なお、今回のエントリーシートは、こちらの内定者のエントリーシートです。

一つ目の設問

1. 学生時代に頑張ったこと/チャレンジしたことを2つ、具体的なエピソードを交えて説明してください。

【学生時代に頑張ったこと/チャレンジしたこと①】
大学生と専門学生の2足わらじ生活

【具体的説明】
若くして独立できる公認会計士に憧れ、大学と専門学校との2足わらじで会計士試験に挑戦した。専門学校は、それぞれが成績争いに凌ぎを削る殺伐とした雰囲気で、模試での不正も横行していた。

私はこのような空気では足の引っ張り合いであり、誰にとっても損であると悩んだ。そこで、授業後に飲み会を企画し、目標は本試験の合格で、模試ではないと説得したが、状況は変わらなかった。その時、所詮試験は個人戦であり、全員がライバルなのだから牽制し合ってしまうのは仕方がないと諦めかけた。

しかし、やはり息の詰まるような雰囲気に耐え切れず、なんとか切磋琢磨する環境を作れないか考えた結果、大手専門学校の簿記大会にチームで参加することを提案した。その結果、大会までの1カ月は早い解決を教え合って議論し、足りない力を補い合い、大会では優勝した。さらに、「他の専門学校には絶対負けない」という意識が芽生えた。私はこの経験から、周囲を動かすには、ただ直接的に意見を押し付けるのでなく、少し別の角度から訴えかけることが重要だと学んだ。

【学生時代に頑張ったこと/チャレンジしたこと②】
高校時代、自分が1年生時の後夜祭で経験した「全生徒の一体感」を下の代にも味あわせたい一心から、後夜祭を創り上げた。高校は生徒数が2000人超の男子校で、自由な校風の反面、まとまりがなかった。私はもっと一体感のある学校にしたいと思い、年に1度の後夜祭のため、丸1年かけて準備に取り組んだ。

直前には忙しさのあまり業者への100万円の納金を忘れ、開催が危ぶまれる事態に陥った。当初、私たちは責任のなすりつけ合いをしていたが、このままでは後夜祭を成功させることはできないという考えから、腹を割って意見をぶつけ合う場を設けた。それは一晩中続き、途中には殴り合いにもなったが、本気でぶつかった後には、「絶対に今までで一番の後夜祭を創ってやる」という目的が明確になった。

その結果、本番では最後に全生徒は肩を組み、体育館全体が一体となることができた。私は自分の創った後夜祭で涙を流している生徒を見た時、今までの苦労が一気に吹き飛び、最高の喜びを感じることができた。
一つ目の内容は、資格勉強関連の内容で、求められる人材としてのアピールが難しい題材と言われています。

一方でこの内定者が書いている通り、資格勉強という内容でも他者と協力した経験などは、こういった形でアピールしやすいように思います。

勉強していく上では一人で黙々と行う時間も重要ですが、誰か人と話しながら進めていくことも非常に重要です。

その部分を話せないか検討してみるのも一つでしょう。
高校時代の経験については書いてもいいのか悩んでいる就活生も多いのですが、特段ダメと書かれていなければ、この内定者の二つ目の内容のように書いてもまったく問題ありません。

二つ目の設問

2. あなたが博報堂/博報堂DYメディアパートナーズでチャレンジしたいことを教えてください。

博報堂DYMPで『演劇を映画に優るコンテンツにする』
私はこれまで高校や専門学校での経験から、「不意に人の気持ちを動かす作戦が成功したとき」に最高の喜びを感じる。

□必要なもの
・相手にとって「不意」である→直接的ではなく、工夫してアイデアを用いたアプローチ
・人の気持ちを動かす→強いメッセージ性

現在、テレビ等のメディアや本、音楽、映画といった様々なコンテンツが様々な方法で世の中にメッセージを発信している。そこで私は、最も定番なものを映画と捉え、『演劇を映画に優るコンテンツにしたい』

□Why?
・幼いころから演劇やミュージカルが大好きで数多く観てきた。生の舞台の「臨場感」や「強いメッセージ性」は他のコンテンツを寄せ付けない力がある。(メッセージ性№1)
・日本ではどうしても演劇は敷居が高いイメージがある。(新しい価値を生むチャンス)
・私にとって演劇はただの娯楽ではなく、辛い時の励ましとなった。(気持ちを動かす)

□作戦

「もっと手軽に演劇を楽しめる世の中にする」
例えばデートで映画より演劇に行くような

□How to?(ミュージカルの場合)
問題:チケットが高額なため観客が増えない
→ミュージカル専門のネットTVサイトを作り、まず作品に触れてもらう。それをきっかけに、PCの前で座っている視聴者を劇場へ呼び込む。*図略

□成功すれば

・大衆娯楽が増える。
・強いメッセージで不意に観客の気持ちを動かし、世の中にいい変化をもたらす。
「不意に人の気持ちを動かす作戦が成功したとき」に最高の喜びを感じる」という自分自身がどのような価値観を持っているのか示せている点は非常によいと思います。
一つ目の設問の内容と繋がっている点も評価できます。
このチャレンジしたい内容では相当具体的なビジネスプランを語っています。
このようなアプローチも一つの方法であり、メリットとしては相手が面白いと思ってもらえれば高い評価に繋がること、デメリットとしては、的外れな提案であった場合はまったく評価されないことおよび演劇を広めたいなら劇団四季でも入れば?といった形で、「他業界や他企業ではダメな理由」が突っ込まれやすくなることだと思います。また希望する部署に配属されずに、考えたようなビジネスができない場合はどうする?といった配属リスクに関する突っ込みもするどくなりがちです。
個人的には、志望度の高い業界であれば、OB訪問などをしてビジネスプランを一緒にねってもらい、話すというのは有効な手段だと思っています。

その際には、このビジネスを実現する上で、他業界ではなく広告代理店の理由、広告代理店の中でも志望企業の理由、他部署に配属された場合のリスクなど想定されうる質問の回答は準備しておきましょう。

 三つ目の設問

3. 今の生活者の特徴的な行動を踏まえた上で、世の中に新しい「流行り」を生み出すプランを書いてください。(写真・絵などを使っても構いません。ただし、写真等、添付されたものについては返却できませんのでご了承ください。)

【生活者の特徴的な行動】
スマートフォンの発達によって、どこにいても常にネット環境下にある。そのため以前にも増して「検索」の機会が確実に増えている。
検索対象はランチの店やGPSを用いたマップ、ATMの設置場所などにとどまらず、最寄のトイレの場所を探すアプリも人気がある。

【あなたが生み出す世の中の新しい「流行り」】
『エグゼクティブトイレでの優雅なひととき』

最近、駅構内に有料のトイレが設置されている。日本では少々珍しいが、入ってみるとホテルのトイレのように豪華でリラックスできる空間である。こんな“ちょっとリッチなトイレ”で用を足すという新しい価値を流行らせたい。

【流行りを生み出すプラン】
*図略
上図のように、駅に「エグゼクティブトイレ」を設置し、設置場所を検索できるアプリを広告会社が生活者へ提案する。日本人は男女共にトイレでのビデの使用率が高いところから、「100円くらい払ってでもキレイなトイレに入りたい」というニーズは十分期待できる。
また、「都内のエグゼクティブトイレを制覇しよう」などといったキャンペーンを実施し、達成者にはトイレ会社からトイレタリー商品のプレゼントを提供すれば、自然と利用者が増える。さらに、口コミ戦略を駆使して『エグゼクティブトイレで優雅なひととき』を流行らせることができる。
博報堂の内定者インタビューによると二次面接では、このプランに関する質問のみの面接があったようです。
大量にESを書く必要のある就職活動時期では、なんとなく受けて、書いた内容すら忘れてしまうということもよくあります。
その中で、特定の設問に対してのみ深堀りする形式では、必然的に志望度があらわれると言えます。
ここでもプランの内容が優れているかどうかも重要ですが、真剣にプランを考えたかどうか、自分の提案に対して自信をもち、説明することができるかどうかが重要でしょう。
こういったプランに関する設問も、仲のよい先輩やOBの方に見てもらい、完成度を高めておく必要があります。

こういった自分のプランをどれだけ語ることができるかは、入社してからのプレゼンや提案に直結するため、このような設問が設けられているものだと考えられます。

最後に

いかがでしたか。
広告代理店やマスコミを志望する人にとっては、一枚一枚のエントリーシートの負担が重いのですが、少しでもクオリティの高い内容にするためにも、内定者がどのレベルで書いたのかはぜひ参考にして欲しいと思います。
上記で書いた通り、こういった設問に対して真剣に考え、提案し、質問に自信を持って答えることが、入社後も求められる能力になります。

ぜひとも真剣に考えた内容のものを提出して、自分の提案内容で面接を盛り上げる気持ちで受けてほしいと思います。

photo by Christos Loufopoulos

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