新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

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最終更新日:2023年10月25日

新卒採用HPの抽象的な”求める人材像”。「社長の発言を紐解けば企業研究できる説」を検証してみた。

 

企業研究の目的の一つとして、求める人材像を把握することが挙げられます。

それにあたり、多くの就活生は志望する企業の採用HPにて企業が掲げる「求める人材像」を探してみた経験があると思います。

そこでは、よく以下のような人材像が掲げられています。

求める人材像のよくある例

①「変化に柔軟な人」 

②「リーダーシップがある人」 

③「成長意欲がある人」

・・・etc


しかし、こういった情報を与えられても以下のように思える人が多いのではないでしょうか。
 

就活生の本音

①企業:変化に柔軟な人

→就活生: その業界、企業における"変化"って?

 

②企業:リーダーシップがある人

→就活生:どんな背景からリーダー候補を求めている? 

 

③企業:成長意欲がある人

→就活生:成長意欲が必要なのは当然では?

このように、就活生向けに抽象化された採用HPの情報では、自分は具体的にどのような人材を目指せばよいのか、選考過程でどのような素養をアピールすればよいのかが見えてこないことが多いように思います。

そこで、採用HPよりも色濃く「求める人材像」を反映する材料として、インタビューやスピーチでの社長の発言に注目しました。

社長はその企業を代表してメッセージを発信するため、社長の発言はその企業の総意と捉えることができるからです。

また、就活生へ向けたメッセージだけでなく、一般の人向けや自社社員向けの発言の中にも企業研究に繋がる情報が含まれているはずです。

本記事では、有名社長・柳井正氏の発言と直近で世間を賑わせた社長の発言を例として取り上げながら、社長の発言を紐解けば企業研究できる説を検証していきます。

本選考とインターンの締め切り情報

企業研究例① 起業家のカリスマ『柳井正社長』の発言から企業研究してみた

まず一例として、ユニクロやGUを子会社に持つファーストリテイリングを一代で築き上げたカリスマ社長『柳井正氏』の発言を抜粋し、企業研究に繋げていきます。

ここでは、以下の4つの発言に注目し、考察します。

  • 「日本にはビジネスチャンスは少ない」
  • 「人間のピークは25歳」
  • 「これからは情報産業とサービス業だけになる」
  • 「全員がリーダーになれ!」

 

「日本にはビジネスチャンスは少ない」

NHK NEWS WEBより


NHK NEWS WEBでのインタビューにて、日本の企業がグローバル化を目指さなければいけないという文脈での発言です。

海外でビジネスをしようと思うと、何も規制はない。日本は所得とか消費の問題もあるが、いちばんの問題は金利がゼロとかマイナスであること。これは裏を返していえば、日本にビジネスチャンスが少ないということ。 

日本は少子高齢化に加え、マイナスorゼロ金利。借り手が減り、その資金が海外へ流れています。そこで、柳井社長は「海外でビジネスを展開した方が良い。」と判断しました。

事実、2018年の決算では海外での売上が初めて国内での売上を上回っています。今後の海外展開については、以下のようにコメントしています。

東南アジアが一番だと思う。中国が大きく成長して、その次の成長は東南アジア、その次はたぶんインドだと。東南アジアからインドにかけてやっぱり出店していくし、そこで優秀な人材を採って、将来的な経営幹部を育成していく」「アジア40億の人々のうち、今だと10億人くらいがようやく中産階級になって、車とか家を買う前にまず服を買うでしょう。だから買ってもらえるような服をつくっていきたい。

柳井社長は「今の日本にはいらいらしますよ」と言うほど現代の日本に厳しい意見を持っています。

少子高齢化などに伴う市場規模の縮小により企業が海外への進出を目指すのは今や当たり前ですが、柳井社長はすでに海外をメインの市場と捉えており、そこで幹部候補になりえる人材を求めています。

小売業界やアパレル業界の志望者であれば海外勤務にあまり興味のない人、もしくは消極的な人も少なくないかもしれません。

しかし、今やどのアパレル企業もグローバル展開は避けて通れないでしょう。その中でも特に入社後海外勤務となる可能性が高いのがファーストリテイリングであるといえます。

そのため選考過程では、海外勤務やそこでの経営への意欲があるのを前提とし、それを積極的にアピールすること、またなぜ海外なのか、海外で何を成し遂げたいのかを語れるようにしておくことが大切です。
 

「人間のピークは25歳」

朝日新聞デジタルより

これはファーストリテイリング入社式にて以下の文脈で語れられた、新入社員を激励するための発言です。

人間のピークは25歳だと思っている。スポーツ選手でも科学者でも小説家でも。新入社員の皆さんはピークアウトが近いから、それ以降は経験と勉強。自分で学んで実行していく態度が必要だ

実力主義で知られる当社なだけに、「25歳をすぎれば切り捨てられるのでは!?」とネット上で波紋を呼ぶ発言となりましたが、柳井社長の真意は異なるようです。

直後に、

だから若いうちに、できたらピーク前に、『自分としてはこっちの方向に行きたいな』『こういう風になりたいな』という風に思わないと、決してうまく行かないと思う。

と続けており、若いうちから夢や目標を掲げることを求める趣旨であると考えられます。

事実、ファーストリテイリング傘下のユニクロは、新卒既卒といった区分をなくして通年で採用する仕組みを導入しており、これは全学年が対象で、国籍も問われません。

学部1年生であっても内々定が出る可能性があるということです。(ただし選考の過程では店舗でのインターンシップまたはアルバイトを経験することが求められています。)学年や年齢に関係なく、夢や目標をもった人材を積極的に採用していく姿勢がうかがえます。

年功序列などの日本的な風潮や安定志向を嫌う柳井社長。若いうちから実力主義に乗って這い上がっていく姿勢を持つ人材を求めています。

「何でもいいからとにかくファストリに入社したい!」という姿勢では評価されないので、入社後どういったことを実現したいのかを具体的に語れるようにしておく必要があります。ユニクロやGUでは最初の数年は店舗スタートなので、そこでの仕事内容に絡めて伝えられれば目標が具体的になるでしょう。
 

「これからは情報産業とサービス業だけになる」

日本経済新聞より


日本経済新聞のインタビューにて、小売業の今後を以下のように語った際の発言です。

これからは情報産業とサービス業だけになる。小売業もなくなる。すでに製造から小売りまで一体化したがそれでは足りない。デジタル化は消費者個々人の嗜好を生産に直結できる可能性を持つ。

かつてのアパレル業界では、製造業者が作り、卸売業者が買い集め、小売業者が販売するという分業体制が当たり前で、ユニクロも当初は小売業者でした。

しかし20年ほど前から自社企画商品を手がけはじめ、現在ではユニクロのビジネスモデルは「商品企画・生産・物流・販売までの自社一貫コントロールにより、高品質・低価格のカジュアルブランド『ユニクロ』を提供する製造小売業(SPA)」として知られています。

またそれだけでなく、デジタルを駆使して店頭での各商品の売れ行き情報を迅速に各部に行き渡らせ、効率的な生産・流通計画を可能にしています。自社内商品のみを扱っているからこその強みであると言えます。

それでも柳井社長は「それだけでは足りない。」と言い、デジタルがいずれ消費者の嗜好を生産に直結させうる(情報製造小売業)と予想しています。

つまり、小売業が電子商取引(EC)に融合され、消費者が望む商品がすぐに生産できて、その商品の詳細な情報が瞬時に手に入る、そんなビジネススタイルを目指しているようです。柳井社長はこれを「情報の商品化」と表現しています。

急速に進むデシタル化により、アパレルを取り巻く環境は大きく変化しています。「自宅で服が買える」ようになった現代、従来のアパレル業界のビジネスモデルでは生き残ることはできません。

「自分の志望業界はITや通信じゃなくてアパレルだから」といって世のデジタル化に無頓着であるのではなく、変容していくデジタルビジネスを理解、考察しようとする姿勢が大切です。

例えば同じくデジタルビジネスを駆使したAmazonやzozotwonとファーストリテイリングのビジネスモデルを比較してみても、それぞれ違った特徴があることがわかります。(ビッグデータのアマゾン、高度な物流システムのzozo、SPAのファストリ、、等)

このような視点は業界理解が深まるだけでなく、「なぜうちなのか」という問に説得力のある答えを示す志望動機の作成にも繋がります。
 

「全員がリーダーになれ!」

起業家倶楽部より


ファーストリテイリング社内コンベンションの中で、以下のような文脈で社員を鼓舞しました。

社員の方、アルバイトの方、パートの方、例え今日から加わった誰であろうと、全員に「経営者になれ」、「商売人になれ」、「リーダーになれ」とお願いしたい。

東南アジアでもそれぞれの国で1000億円売るようにしようと思うと、1つの会社を作って、そこで経営をやる人材を起用しなければいけない。だから、世界中で経営ができる人材の育成をやってみたい。


グローバル化を重要視している柳井社長は、今後世界中に店舗数を伸ばしていくにあたり、各地で経営を任せられる人材の育成に励んでいます。

柳井社長が考える世界中で経営ができる人材とは、語学力や学歴、資格といった要素を備えた人材というわけではなく、以下のようにもっと本質的なことを重要視しているようです。

「学歴や国籍は関係ない。不思議だが、大学であまり勉強していない人のほうがグローバル化に向いていると思う。最初、ことばはできなくても、海外へ行って必死で仕事をやっていたら、すぐにできるようになる。それよりも、人とコミュニケーションが可能かどうか、オープンマインドに自分ができるかどうか、相手の人間に対して、一緒に仕事をしようという態度で接することが可能かどうか、そういうことのほうが、より大事なことだ。」

繰り返しになりますが、柳井社長はグローバル化を重要視しており、今後さらなる海外出店を目指す上でリーダーとなる経営者の育成は不可欠のようです。

選考過程では、リーダーとしての資質組織の中心となった経験をアピールすることが重要でしょう。

事実、unistyleの選考レポートを見てみると、ファーストリテイリングには「グローバルリーダー」という採用枠が設けられ、選考の過程ではリーダーとしての経験や考え方が深く問われるようです。

ファーストリテイリング選考レポート(2020卒 男性)の一部抜粋

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このように、リーダーとしての経験や考え方についてかなり深堀りされています。

また、語学力よりマインド重視といっても決して語学力がどうでもいいというわけではありません。

グローバルマインドを備えた学生であれば結果として語学力の強化にも積極的なはずです。実際に面接にてTOEICを受けていない人がそこを突っ込まれたという選考レポートもあります。

ファーストリテイリングのES・選考レポート一覧はこちらから

このように、発言の趣旨やその背景を理解すると、ファーストリテイリング主要子会社であるユニクロやGUが採用HP中で掲げている求める人材像(「高い志」や「リーダーシップ」など)もより具体的にイメージできるのではないでしょうか。

ユニクロの採用HPはこちら
GUの採用HPはこちら

企業研究例② みずほ・トヨタの社長の発言から企業研究してみた

次に、直近で世間を賑わせた社長の発言2つを抜粋し、企業研究に繋げてみます。

「ゼネラリストに価値はない」(みずほFG 坂井辰史社長)

週刊東洋経済より

2019年8月、みずほファイナンシャルグループは2019年度から始まる中期経営計画の期間を従来の3年から5年に変えて、抜本的な改革を行うことを発表しました。

その際、同社社長である坂井辰史氏は週刊東洋経済のインタビューにて次のような発言を残しています。

極端な言い方をすれば、ゼネラリストというのは、社内のことをよく知っている人で、社会に出たときにバリューのない人だ。それぞれが『スペシャリスト』でなければいけない。

マイナス金利政策が経営に影響し、これまでの事業モデルでは立ちいかなくなっているメガバンク。

そんな非常事態での改革にあたって、みずほはさまざまな分野の担当者たちをまとめ上げられるような人材ではなく特定の分野において突出した知識や経験を持つ人材を求めていることがわかります。

「終身雇用限界」(トヨタ 豊田章男社長)

日経ビジネスより

2019年5月、トヨタ自動車社長豊田章男氏の以下の発言が世間に大きな衝撃を与えました。

雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。

ハードからソフトへのビズネスモデルの変化やビジネスの短サイクル化などが影響し、日本の大企業を支えてきたメンバーシップ雇用が限界を迎え、実力主義的なジョブ型雇用への移行意思が読み取れます。

日本的雇用の象徴的な存在であったトヨタですが、今後は「日系大手は入ってしまえば一生安泰」というイメージを持った安定・安心を求める就活生は評価されません。

上記のファーストリテイリング同様、入社後どういったことを実現したいかをはっきり示す必要があるでしょう。

社長の発言から企業研究する上で注目すべきポイント



それでは、社長の発言を考察する際に注目すべきポイントを紹介します。

①社長が目指しているその企業の成長の方向性

どの社長も自社を成長させたいと思っていることは共通ですが、その方向性は様々です。

既存の市場で既存の製品やサービスをさらに浸透させたいのか、新しい市場や新しい製品・サービスを目指すのか、またそれらは具体的にどの点が新しいのか、、などなど、その方向性に沿うような人材像を考察しましょう。

海外という新しい市場で、情報製造小売業という新しいサービスを展開しようとしているファーストリテイリングでは「グローバル化」と「デジタル化」が重要であるという先述の考察例のように、社長が目指す企業成長戦略から求められる素養が見えてきます。

②社長が考えるその企業の強み  

自社の強みは社長にとって誇りであり、事業を展開していく上での武器です。

ファーストリテイリングがSPAという独自のビジネスモデルで小売不況を跳ねのけているように、こういった独自の強みは他社では語れないポイントです。

特に同業他社との強みの違いを意識することでその企業独自の志望動機の作成に繋がります。

③社長が考えるその業界の今後

めまぐるしく変化するビジネスにおいて、社長は常に生存戦略・成長戦略を練っています。

その道のプロでありビジネスのプロである社長の分析は、その業界の今後を考察する上で大変参考になります。

柳井社長が小売業の終焉を予想しこれからの情報産業の重要性を説いているように、業界の未来だけでなくそこで重要になってくるであろう素養やスキルも見えてきます。

このように、社長の分析によって自分自身の考えだけでは行き着かないような深い業界研究に繋がります。

最後に



志望する企業やその社長が有名であるほど、インタビューやスピーチも多いと思います。

本記事で示したような視点で紐解けば、その企業の境遇や求める人材像が色濃く見えてくることもあるので、企業研究・業界研究に役立てるのも一つの手法かもしれません。

もちろん、参考になるものもならないものもあるので、情報を自分なりに取捨選択し、本当に必要な部分だけを活かすことを意識していただければと思います。

最後に企業研究に役立つ記事と社長の発言に注目した記事を掲載しておきますので、こちらも併せてご覧ください。

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就活生の目線からシン・ゴジラを見てみた 就活生の目線からシン・ゴジラを見てみた 先日(2017年11月12日)シン・ゴジラが地上波で初放送されましたが、読者の皆様でも視聴された方が多いのではないでしょうか。ゴジラが都心を破壊し尽くす様子は圧巻の一言ですが、就職活動を始められている皆さんの中には、劇中で倒壊するビルの中に訪れたことのある建物があった人もいるでしょう。映画が大好きでもちろんシン・ゴジラを鑑賞していた私も、自分が選考のため訪れたことがあるビルがあっけなく倒壊するのを見ていましたが、映画を楽しみながらも「あの倒れたビルにはどの企業が入っているのだろうか」「もし企業があのような被害を受けたら、どのように機能を復旧し事業を継続するのだろうか」という疑問が湧いてきました。そこで今回は劇中でゴジラが破壊したビルに本社を置く企業を紹介して、もしゴジラによる被害を受けた場合に企業はどのような行動を取るのかを見ていきたいと思います。劇中で本社を破壊された企業ゴジラの進行ルートに基いて、本社ビルが被害にあった企業を紹介していきたいと思います。劇中では明らかに倒壊したと判明するビルは丸の内周辺のみであること、ゴジラの影響は超広範囲に渡ることから、東京駅周辺のエリアに特定して紹介していきます。倒壊の様子が明らかになっているビルは数棟ですが、東京駅前の様子から周辺のビルが崩壊していないとは考えにくいため、東京駅周辺のビルは全て倒壊していると考えます。特に丸の内エリアは三菱地所が開発に大きく関わったこともあり、三菱系の企業が集中しています。このエリアに本社を置いており、倒壊してしまったと思われる主な企業は以下のようになります。〜ゴジラによって破壊されたビル〜・三菱商事(三菱商事ビルディング)・東京海上日動火災保険(東京海上日動ビル)・三菱東京UFJ銀行(三菱東京UFJ銀行本店)・三井住友銀行(三井住友銀行本店ビルディング)・新日鐵住金(丸の内パークビルディング)・三菱電機(東京ビルディング)・メタルワン(JPタワー)以上がゴジラによって本社を破壊されてしまった企業になりますが、ゴジラを止めるために人類側によって倒壊させられたビルに本社を置く企業もあります。〜人類側によって破壊されたビル〜・JFEエンジニアリング(丸の内トラストタワー)・石油資源開発(サピアタワー)・大和証券(グラントウキョウノースタワー)これらが主な企業です。グラントウキョウサウスタワーはギリギリ倒壊を免れたようで、本社機能をこのビルに置いているリクルートは一安心といったところでしょうか。また、劇中には現在三菱地所がプロジェクトを進めている常磐橋エリアの未完成のビルも登場し、壊されてしまっています。縁起が悪い気もするので、よく企業が崩壊させることを許したなと思ってしまいます。ざっと丸の内を見ただけでも多くのビルが倒壊していることが劇中で確認でき、どのビルも日本や世界を代表する企業が入居しているため、日本経済の損失は大きく劇中の日本が元の立ち位置にまで戻るのはかなりの努力を要することになると思われます。東京駅周辺の企業で選考がある人は企業の本社の位置を覚えておいてからシン・ゴジラを見るとより楽しめるかもしれません。実際にゴジラが襲来したらどうなるのかこれらの日本を代表するような企業がビルごと焼き払われた後でも、企業は支社に本社機能を移し、企業活動を再開することになると考えられます。企業が事業を続行できなくなる事態は、ゴジラのみならず地震や火災、テロ行為によっても生じうるため、企業はこのような緊急事態でも速やかに事業を再開できるように日頃から準備をしています。各企業は自然災害、大火災、テロ行為などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限に止め、中核となる事業の継続、あるいは早期復旧を可能とするために事業継続計画(BCP:BusinessContinuityPlan)を策定しています。突然発生する緊急事態に対して、対処法を予め設定しておくことで、企業は有事の際にも落ち着いて効果的な行動をすることができます。そのため、事業継続計画が制定されている企業は有事の際に対応できるとして投資家からの評価が高くなる傾向にあります。例として劇中で大きな被害を受けたと思われる東京海上日動のBCPを見てみると、緊急事態時社員の行動原則として以下のように書かれています。1.社員の行動原則災害発生時において、企業および個人としての社会的責任を果たす観点も含め、社員の行動原則(行動の優先順位)を以下の通りとします。(1)生命の安全確保:社員、家族、来店されているお客様・代理店等の生命の安全確保を図ります。(2)地域社会の安全確保への協力:地域社会の安全確保に最大限の協力を行います。(3)重要業務の継続(事業継続):重要業務の継続に向けた対応を行います。(出典:東京海上日動災害に関する事業継続計画書(要約版))このように明確に行動の優先順位を付けることで、緊急時にも迅速に行動できるようにしています。東京海上日動の例だと、本店ビルにあるメインシステムセンターが一週間使えなくなるという想定の元で事業継続計画書は書かれており、本店の代替場所は多摩、新宿、横浜、大宮、幕張、立川とすることが記されているので、そこに本社機能を移し、本店災害対策本部が立ち上がり、重要業務と位置づけられている保険事故受付業務、保険金・満期返れい金等の支払い業務、保険契約締結業務を優先して行っていくことになります。同時に設備の復旧や他の地方から社員が応援に駆けつけ、次第に元のように円滑に業務ができるようになります。事業継続計画書には想定している被害状況や事業継続のための詳しい対応内容、復旧までの目標期間、事業が停止しないように現在取り組んでいる対策等も書かれていて、企業の緊急事態に対する意識を知ることができます。東日本大震災を経てBCPが見直されより重視されるようになっているので、企業研究の際は事業だけではなく事業継続計画も調べると、企業をより詳しく知ることが出来るうえ、自分が入社後にこのような事態に直面した時どのような行動を取ることになるのかを想像できると思います。また、企業は有事の際に自社の財産が破損して営業活動ができなくなったり、過失により他者に被害を与えてしまった時の賠償に備えて、損害保険に加入しています。この保険によって企業は有事の際に保険金を受け取り、事業再開のために投資することができますが、今回は「戦争による被害」という免責事項に当たる可能性がありそうですし、被害を受けた企業が多すぎて保険金が迅速に全額支払われないかもしれません。また、損害保険会社の視点で考えると、保険金の支払いが莫大な額になってしまい経営が厳しくなることが予想され、多額の保険金支払が同時に来ることに備えて他の損害保険会社に支払い責任を分散して担ってもらう「再保険」という仕組みを取っているため、保険金を支払う場合は被害を受けていない海外の損害保険会社も苦境に立たされるかもしれません。このように企業は有事の際にも事業を再開できるように日常から準備をしています。ゴジラが襲来してしまったら事業再開は厳しいかもしれませんが、多少の被害なら企業はすぐに元のように活動できるのです。最後に今回はシン・ゴジラが地上波で放送されたこと、それを受けて就活生や社会人がSNSで盛り上がっていたことから、劇中で本社が破壊されてしまった企業をまとめ、企業の緊急事態に対する対応方法を紹介してみました。シン・ゴジラでは就活生には馴染みの深い東京駅周辺が舞台となること、丸の内のビルが大規模に崩壊する映像のインパクトが大きいことから企業の存在を意識しやすいのだと思います。今回のシン・ゴジラを視聴すると「この企業が倒産したら経済や生活はどうなるんだろうか」という疑問が湧き、事業やその規模を調べるきっかけになるかもしれません。このように企業研究は映画やドラマが取っ掛かりになることもあると思います。普段の生活の中で気になることがあった時に調べるようにすると、様々な企業について詳しく知ることができるようになるのではないでしょうか。photobygalactic.supermarket 11,701 views
私のキャリア選択。|フェイスブック ジャパン 佐藤太泰 私のキャリア選択。|フェイスブック ジャパン 佐藤太泰 楽天、家業、海外MBA、P&G、そしてFacebook。華やかで確かな経歴を歩むフェイスブックジャパンの佐藤太泰氏に「キャリアの選択」について話を伺いました。これからファーストキャリアを選択する就活生にとって、意思決定基準や長期的なキャリア選択のヒントとなれば幸いです。公式Twitterアカウント:@uzms_310参考記事:資生堂ジャパンがInstagram×雑誌の成果を可視化リーチ補完と重複接触によるシナジー効果参考記事:「Instagramは、我々にとってのマスメディア」:BOTANISTのInstagramフル活用戦略本記事のアウトライン◆日系企業と外資系企業。両社での勤務経験から感じること。◆「海外MBA」という選択◆3度の意思決定。何を基準に選んだのか。◆理想追求者であれ。◆最後に:”転職を視野に入れた就職活動”をするなら日系企業と外資系企業。両社での勤務経験から感じること。___佐藤氏は新卒で楽天に入社し、次に家業の印刷会社に入社する。その後、外資系消費財メーカーP&G、”GAFA”の一角であるFacebookへ籍を移し、現在はInstagramを中心とした仕事に従事する。様々な企業や環境での就業経験を経て、今思うこととは。日系企業と外資系企業の違いとは何か?佐藤:今回、このような機会を頂いてありがとうございます。私の経験やキャリアへの考え方がどこまで学生の皆さんにとって役立つかわからないですが、出来るだけ率直にお話しできればと思います。今日はよろしくお願いします。それで、質問の答えですが大前提として、日系と外資について「どちらが良い、優れている」という意見は特に持っていません。その質問に対する答えは個々人によって、またはその個人がその時々に置かれた状況によって異なってくる、と考えているからです。ですので、ここでは両者の良さを実体験をベースに、個人的な意見として述べていきますね。まず、違いについて。一般的にも言われることがありますが、外資系企業は自由度が高い傾向にあると感じます。ここで言う「自由」とは、”自分で決めないといけない”という意味だと思ってもらえればいいかも知れません。”何でもできる”の裏には大きな責任が伴います。外資系企業はまずこのあたりが顕著だと思います。実際に今勤めているFacebookでも目標や目標達成までのプロセスは自分で作成し、それを上司や周囲の同僚と合意形成をしてから仕事を進めていきます。会社から、もしくは上司から一方的に「あれをやれ、これをやれ」ということは殆ど言われません。___なるほど。P&Gでも同じだったのでしょうか?佐藤:大まかには似たようなものだったと思います。特に私が在籍したマーケティングの組織でも会社の方向性をグローバルレベル、地域レベルで把握しながら、向かうべき大きな方向性を意識しながらゴールを設定し、上司から承認を得るプロセスでした。従って、当事者意識といいますか「一つのブランドやビジネスレベルでのプロジェクトを自分が担当していく、自分が市場を作り、消費者の方々に受け入れてもらうマーケティングプランをつくる」という自覚が芽生えました。例えて言うならば『事業責任者』というポジションを渡される感覚です。だから確かに自由度は高い、けれどそれだけ責任も大きく伴う、といったところですね。___日系企業だと”ひとつのセクションを任される”感覚が強いと思いますが、外資系企業だと”ひとつの事業を任される”という感覚でしょうか。極めて経営者に近い感覚でビジネスが行われているんだと推察します。佐藤:あとは、多様性についても外資系企業は進んでいると感じます。ただ、ここについては多くの日系企業の多様化も進展していると思っており、私の在籍した楽天も現在は非常に多種多様な人材がいて、日本でも、世界でもダイバーシティが進んでいると聞いています。___確かにエンジニアの外国人採用などは近頃盛んですし、多様性を高める意図の有無を問わず、外国人採用に力をいれている企業は年々増えていますね。日系企業が外資系企業よりも進んでいると感じることはありますか?佐藤:会社へのロイヤリティをつくるのが上手と言いますか、チームビルディング力の優れている会社が多いのではないかと思っています。組織の結束が強いとも言えると思います。外資系企業は「プロフェッショナルな個人の集団」というイメージが強いかと思いますが、確かにそういう一面はあると思っていて、一枚岩になって取り組む、ということに関しては日系企業に巧者が多いと感じています。___いわゆる福利厚生面についてはどうでしょうか。一概に言えない部分は多々あると思いますが。佐藤:そうですね、企業によりけりなので一概には言えないですね。ただ一つ感じることとしては、外資系企業は、個のパフォーマンスの最大化という大義名分があれば支援を求めやすいと思うことはあります。制限されたリソースの中でがんばりなさい、というよりも「自分はこれがやりたい。会社のためにもやった方がいい。そのためには今のリソースでは不十分で新たに○○が必要です」ということが非常にオープンに言いやすいように感じます。前述の通りもちろん責任も伴うわけですが、個々人のパフォーマンス最大化のために企業側も最適化しようという意志が強い気がします。こう言ってしまうと、日系企業はそうではないのか?と思われそうですが、決してそんなことはなく。日系企業では「個人の成長」にコミットしてくれる会社がたくさんあると思っています。私が在籍した楽天でも、”自分という一人の人間”を見てくれてる、という有難さや、居心地の良さがありました。「限られたリソースの中でも一緒に頑張ろう。どう工夫できるか?を一緒に考えよう」というスタンスでサポートしてもらえたからこそ、制限された中でもとにかく行動して、結果を出す「実行力」を磨いてもらいました。若い時に先輩から厳しく、愛情を持って育ててもらえたのは私の人生において大きな財産となりました。「日系か外資系か」は結果論と傾向にすぎない。___冒頭でも仰ったように、一概には日系と外資系を語れないところはあると思いますが、それでも就活生は「日系か外資系か」という大きな2択で絞込みを行い、その上で企業選びをしている傾向はあると感じます。こちらについて何かアドバイスはありますか?佐藤:私も就活生の皆さんと話をさせてもらうことがあるのでわかるのですが、確かに「日系がいいのか外資系がいいのか」という切り口で選択をしようとしている学生は一定数いる気がしています。さきほども述べましたが、全体的な傾向がそこにあるだけで、日系がいいとか外資系がいいとかそういった議論をするのではなく、1社1社を見ていってその会社の内情をしっかりと知ることが大切になってくるでしょう。世間で言われるイメージ通りの自由闊達な外資系企業もあれば、旧態依然とした企業だってありますし、最近は日系企業でも本当に自由で、個々人が生き生きと自分で決断しながら働いている会社もたくさんあります。従って、強調すべきは「イメージに流されずに個社別に見ていくことが大切」ということだと思います。私自身も「日系か外資か」という切り口で取捨選択をすることはあまり推奨していません。「海外MBA」という選択___佐藤氏は家業の印刷会社に転職後、海外MBA取得に向けた準備を始める。周りの人間は「絶対に無理だ」と猛反対したそう。それでもMBA取得に向けて2年という時間を費やし、晴れてサンダーバード国際経営大学院に入学する。そこまでして佐藤氏を駆り立てたものとは。そして、そこまで佐藤氏を魅了した”海外MBA”とは。当時28歳。英語も話せない中、海外MBAへの挑戦を決意。___海外MBAに挑戦しようと思った理由を教えて下さい。佐藤:恥ずかしいですが、一言で言うならば、「憧れと好奇心」です。最初のきっかけは楽天時代。当時、私は広告の営業をしていました。そのときの1社がP&Gで、先方の担当者の方々に非常にお世話になったんです。その過程で一緒に仕事をする中で衝撃を受けることがたくさんありました。楽天にも勿論、素晴らしく優秀でお手本にしていた先輩はたくさんいました。しかしP&Gで新たにそれまで出会わなかったようなタイプの人とお仕事をさせてもらう中で、いつかはグローバルなP&Gのような会社で仕事がしたいな、と思うようになりました。二つ目は、当時の楽天はちょうど変革期でベンチャーから大企業への変貌を遂げようとしていました。そこで海外ビジネススクールを卒業したMBAホルダーを採用し始めたタイミングでした。運よくそのうちの一人の方とお仕事をさせてもらう中で、また多くの刺激を受けるんです。そこで、その人に色々話を聞いたら、どうやら海外MBAっていうものがあるらしいと。そこでは「経営を座学と実践の両方で学び、尚且つ英語で外国人と議論して日々自分のバリューは何か?を問われ続ける。その中でビジネス力と人間力の両方を磨けるチャンスがある。」ということを教えてもらいました。そこから興味を持って、社外のMBAホルダーを紹介してもらったり、調べたりする中で「憧れと好奇心」を強く持ちました。気づいたら、アメリカに渡ってて、現地の大学院を回って授業に飛び入り参加させてもらって、英語も全く話せないのに「もう自分の居場所はここだー」って勝手に結論づけていました。笑___憧れや好奇心だけで海外MBAを取得できるとはなかなか思えないのですが、苦労や挫折はなかったのでしょうか?佐藤:苦労や挫折しかなかったですよ。元々勉強は得意ではなかったですし、英語なんて一切話せない。なんなら、私は青山学院大学を卒業しているんですが1浪してなんとか入学できたレベルですし、大学時代もバンド活動とアルバイトばかりしていて全く勉強もしてなかったので、もう本当に大変でした。海外MBAの入試に合格するための勉強期間は2年ほど費やしましたし、その間は家業の印刷会社でリストラや新規事業の開発をしながらだったので、精神的にどうにかなりそうでした。苦笑MBAに合格する前の最後の半年は一人でアパートを借りて外部との連絡もシャットアウトしてひたすら勉強していました。余談ですが、追い込みのためにMBA予備校のすぐ近くにアパートを借りてたんですが、そこのアパートは騒音とかに厳しかったので英語のリスニングをするときは近くの公園でしてました。深夜の公園でひたすら英語を聴きながら、その英語を真似てブツブツつぶやく。何度か職務質問も受けました。笑___サンダーバード国際経営大学院での2年間はいかがでしたか?佐藤:受験勉強の2年間は大変でしたが、入学してからも大変で。細かな話は割愛しますが、英語がとにかく話せない状態で渡米したので、先生が話してることすら聞き取れませんでした。すると理解のフェーズにいくのは授業が終わってから。なので、授業が終わってからが勝負みたいなところがあり、四六時中勉強していました。ただ、最高の出会いと学びがあったことは間違いなく言えます。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、人生のステージがそこで変わったような気がしますね。視界が開けたと言いますか、MBAに行ったことで世界中の猛者と議論し、時には喧嘩もしてお互いを理解し合う、ビジネスプランを作る、発展途上国に行って現地企業をコンサルする、などの経験は本当に貴重なものでした。当時の仲間とは今でも頻繁に連絡を取り合っています。「MBA」は"キャリア"という料理に深みを持たせるスパイス___MBA取得後のキャリアはどう変わりましたか?佐藤:まず、運よく憧れていたP&Gに入社することができた、という結果だけを見ても非常にポジティブに働いたんじゃないかな、と思っています。ただ、「MBAがあったから」入社できたというわけでは一切なく、それまでの経験やそこから得たものなどを評価されての入社でした。よくMBAをキャリアにおける魔法のようなものだと思っている人がいますが、あくまでスパイスのようなものにしか過ぎません。当然ですが、MBAがあればスーパーマンになれる訳でもありません。残念ながら一部の経営者の方には「MBA卒の人は頭はいいんだけど、企業では使い物にならないんだよね、、、」という評価を受けていることも事実としてあるかと思います。もし今後、留学を検討している人がいればこのあたりは漠然としたイメージではなく、正しい認識を持って欲しいと考えています。MBAを取った後、何をしてどんなビジネスパーソンになるのか?どこでどんな風に活躍したいのか?その為には自分はどこのビジネススクールで何について勉強して、どんなネットワークを構築した上で卒業するのか?というビジョンがあると留学生活が活きてくると思います。とはいえ、僕自身が最初は「手段が目的化していた状態」で海外MBAに行くことを決めた節もあるので、よくわからない時は直感に従って”手段が目的化しててもいい”と自己認識して、やり抜けるのであればそれはそれで良いのではないかな、とも思っています。実を言うと僕の場合は楽天を辞める時に周囲に「僕は絶対にアメリカでMBAを取って帰ってきます。(当時の)TOEFLの合計点が120点中26点だけど、目標は達成してきます」と宣言しちゃってたので、後に引けなかっただけというのもありますが。笑3度の意思決定。何を基準に選んだのか。___新卒時の楽天入とMBA取得後のP&G、そして現職であるFacebook。それぞれの入社理由はどのようなものだったのか。どのような意思決定の元下されたのか。Goalに対して”今何が必要か”が意思決定をするベースになる佐藤:広義的には意思決定基準は新卒のときから変わらずで、「事業を創り、世界で勝負できる人」になるためには?が根底にあって、そのとき考えられるベストな選択を選んできたのだと考えています。楽天を選んだ理由は、「新卒として働く上で、圧倒的な成長ができる環境だと判断した」からです。私は大学3年生の時から楽天でアルバイトをさせてもらっていたのですが、もう社員さんの目つきとか勢いが他の会社のそれとは明らかに違いました。さらに、アルバイトなのに最前線における重要な仕事をバンバン任せてくれる。そこに対して先輩が真剣に指導してくれる、そんな環境がありました。将来的に事業を生み出し、伸ばしていくためには、まずは現場力を磨かないといけない、と考えて楽天に入りました。当時はライブドア事件などもあったりして、IT企業に対する世間の風も冷たいタイミングだったのですが、逆に先輩方や新卒同期でさえも「絶対に日本を代表する企業にしてみせる」と一丸になっていました。今考えたら「どんだけ熱い会社なんだ」と。笑家業の印刷会社への入社理由はシンプルで「経営側に入れる」からです。上述のように、営業職としての成長を実感する過程で「経営」の仕事にパッションを持ち始めていました。そこで、最初はベンチャー企業の経営企画室などの面接を受けたりしましたが、その時に父親から「経営がやりたいんだったらウチでやってみろ」とチャンスをもらいました。しかし、これは事業承継あるあるだと思うんですが、社長である父と衝突してしまうんです。当時は私も若かったですし、楽天という”時代の最先端をいく会社”にいたという気持ちの奢りがあり、尖ってたんだと思います。経営のトップである父と私の関係に亀裂が入ってしまい、これでは肝心の社員が路頭に迷ってしまい会社として成り立たないと考え、道半ばで退職を決意しました。完全に自分のミス、失敗でした。同時に「海外ビジネススクールに行き、成長して、いつか必ずこの失敗を乗り越えたい」というモチベーションがそこでまた形成されました。一気にスイッチが入った感覚があったのを覚えています。___楽天で現場を、ご両親の経営される印刷会社で経営を実践されて、その後サンダーバード国際経営大学院に入学されるわけですが、P&Gへの入社理由はいかがでしょうか?元々「憧れ」というバイアスが掛かっているとは思いますが、それだけではないと思いまして。佐藤:サンダーバードの授業の一貫で色んな国でプロジェクトをさせてもらいました。現地の企業や海外進出を目論む米国企業に変わって、アフリカや東南アジアの国々で事業開発をしてくる内容でした。そこで多くの海外の人、それも途上国の方々と接することができました。現地で感じたこととして、彼らは日本に対して高い期待感がありました。日本の文化、日本の製品やブランド、そして日本人に対して評価が高かった。そして「日本人にもっと進出してきて欲しい。日本人に雇われたい、と考えてる人は沢山いる」と教えてもらいました。一方で、日本にはグローバル展開できているブランドが大企業の一部に限られている。新興ブランドは皆、中国や台湾やアメリカから来る。その理由を色々調べていると、技術力ももちろんそうですが、マーケティングに課題があると考えました。要するに、素晴らしい技術や人材がいてもマーケティングで苦労している日本企業が多いんじゃないか、と。今後自分の力で事業を生み出し、世界展開させるにはマーケティングを学ばないといけないと考えていました。そこで、グローバルマーケティング企業として有名なP&Gがやはりベストなのではないかと考えました。___そこからFacebookにはどういった経緯で入社されたんですか?佐藤:まず、P&Gを辞めようと思った理由は、いよいよ自分で会社をやろうかな、と考えていた時にちょうどP&Gで尊敬していた元上司が卒業することになったからです。P&Gでは最高の学びを得ることができました。また、元上司からは幸運にも半年間毎日1時間ほどマーケティングについてみっちりと教えてもらいました。そして、多くの超優秀な人たちと現場での実践を通じてマーケティングの楽しさ、難しさを叩き込んでもらえました。ただ、辞めてから事業の立ち上げをしている時に正直不安なところがあって。そんなときにフェイスブックジャパンの代表を勤める長谷川に会い相談させてもらいました。そこで「もっと成長できる余地があるんじゃないか。Facebookにはそんな環境が整っているから一緒に大きなインパクトを残そう。」という言葉をもらうことになり。長谷川は、個々人のビジョンに寄り添ってくれて自分でも気づいていない「成長の機会」を一緒に探ってくれる、尊敬できるリーダーです。もう一度インターネットの世界に戻り、事業を興したいという私のビジョンとも合致し、お世話になることに決めました。___意思決定をするに際しての軸となるものは変わらないが、その時々において必要と思うものを確実に手中に収めていらっしゃるように思いました。佐藤:そんなことはなくて、実際は毎日必死ですが、思うことは最終的な目標に対して、今何が必要なのかを明確にすることが大事だと思います。柔軟に、でも目標をしっかり立てて逆算する。その目標はしっかりと自分に中でクリアしていく、ということが大切なことだと思っています。ロジックだけでは決められない___ここまで非常に合理的な判断の元、意思決定をされてきている印象があります。佐藤:もちろん合理的な判断だったとは思っています。ただ、実は、最後の最後は”直感”で決めるようにしていて。ここまでの話を覆すようなこと言うようですが。私の考えですが、直感には”根拠”があると思っています。どういうことかと言うと、直感というのは親や友人、仲間とこれまでの人生を過ごす中で育んできたもので、そこには必ず「本質」が含まれているのではないかと。言葉にはできないけど、自分的に「ピンと来る」「ピンと来ない」という感覚は実は非常に大切だと思っています。余談ですが、私が尊敬するマーケターや経営者の方もロジックと感性の融合が非常に上手というか、それらを含めたビジネスセンスが抜きん出ている人が多いように感じています。大前提として、ロジックは有能です。有能ではありますが、あくまで一つの判断材料に過ぎないので、そこに頼りすぎるのはリスクだと思っています。理想追求者であれ。____輝かしいキャリアを歩んできた佐藤氏。ここまでのキャリアを通じて佐藤氏が思うこととは。理想の高さは自己投資規模に繋がる___佐藤さんの経歴を見て、憧れを持つ学生は多いと思います。ここまでのキャリアを築けることができた最たる理由は何でしょうか?佐藤:大前提として、「理想を高く掲げてきたこと」がすべてのはじまりだと思っています。自分の身の丈に合わない理想を常に持っていた、というのがスタートポイントです。そして2番目は行動すること、チャレンジすることだと思います。なぜなら、理想が高く、しっかりと行動すると必ず挫折や失敗が付いて回ります。その挫折や失敗することが成長のエンジンになる。なぜできなかったのか、どうすればできるようになるのかを考える。その課題に向き合って、そして自己投資をして、スキルを磨いていくことが非常に重要で。「理想の高さ」=「どれだけ自分に投資するか」ということに繋がると思っており、その投資に対してのリターンを実績やキャリアとして得ていくイメージです。念の為ですが、自己投資とはお金をかけるだけではなく、勉強する、できなかったことを出来るようにするイメージです。失敗してヘコんでる時に、友達と居酒屋で飲みたい気持ちをちょっとだけ押さえて、図書館に行って読書する、など。結局はその積み重ねなんじゃないかなと考えています。___なるほど。理想を高く掲げる上で大事にしたいことなどはありますか?佐藤:「理想を高く掲げる」ことで柔軟さを失うケースがあると思っています。「○○をやる」と決めてしまったが故に、その最短距離だけを選ぼうとしてしまうこともあります。これ自体は否定しませんが、急がば回れという言葉もあるように、ときには遠回りをしてみたり、寄り道をしてみるということも大事なんじゃないかと思っています。「理想を実現する」というゴールに対してのルートや選択肢は複数持ってもいいと思います。直線を選んだり曲線を選んだりする中で、また違った経験がきっとあるはずで、それすらも楽しんでいけたらいいなって思っています。最後に:”転職を視野に入れた就職活動”をするなら___常にハイレベルな環境で活躍されてきた佐藤氏。業界や職種は違えど、ここまで活躍できたその背景にあるスキルとは。1社目で身に付けたい、3つのスキル___就活段階で既に「転職」を視野に入れた活動をする学生が一定数増えてきていると思います。「転職を前提とした」就活生にアドバイスをするならば、どういうお話をされますか?佐藤:どんな会社に行ったとしても、3つのスキルを身に着けて欲しいなと思います。それは、コミュニケーションスキル/ストラテジック・シンキング/リーダーシップです。コミュニケーションスキルというと非常に曖昧だと思いますが、要は対人折衝力を培って欲しいと思います。当たり前ですが、どんな会社でどんな仕事をするにも人と人のやりとりは必ず生じますし、これなくして物事は進まないので、今一度大事にしてほしいなと思っています。特に大事なことは「相手が何を考えているのか?何を意図してその発言をしているのか?何を想っているのか?」に耳を傾け、しっかりと理解することです。ストラテジック・シンキング、つまり戦略的思考についてはシンプルにお伝えすると「どうすればうまくいくのか?」という思考を絶やさずに持ってほしいなと思います。フレームワークなども多々ありますが、まずはそういったものに頼るのではなく、自分の頭でしっかりと思考すること。思考の奥行きや幅を広げるには論理とアートの両方から物事の本質を思考し続けるしかなく、フレームワークはあくまでそのプロセスを助けてくれる一つのオプションでしかないと思っています。リーダーシップは、部下に対してという狭小的な意味ではなく、上司や先輩をも動かせる能力を身に着けて欲しいという意味合いで考えています。ビジネスシーンでは自分がリーダーのプロジェクトに先輩や上司がそのプロジェクトメンバーとしている、ということもよくあります。社会の構造が複雑化し、ダイバーシティも拡大し続けるこれから先の社会ではこのリーダーシップ力が益々大切になってくるので、ぜひ皆さんにはこのスキルを磨いて欲しいと思っています。これらは専門的なスキルではなく、いわゆるジェネラルスキルなので、どこにいっても活用できます。専門性の下地になるスキルだからこそ、若い時にしっかりと向き合ってみてほしいです。 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藤沢数希氏の恋愛工学を就職活動に応用してみる:『ぼくは愛を証明しようと思う。』の書評 藤沢数希氏の恋愛工学を就職活動に応用してみる:『ぼくは愛を証明しようと思う。』の書評 藤沢数希氏は海外の大学院を卒業後、外資系投資銀行でトレーディング業務に従事しその後作家として独立しています。Twitterのフォロワー数は10万を超えているため、就活生の方でもフォローしている方がいるのではないでしょうか。今回は6/24に発売された藤沢氏の新作『ぼくは愛を証明しようと思う。』で紹介されている恋愛理論の中から就職活動にも繋がる考え方をいくつか紹介したいと思います。ぼくは愛を証明しようと思う。『ぼくは愛を証明しようと思う。』の概要この本は、藤沢氏が有料メルマガ内で提唱している「恋愛工学」という恋愛理論を紹介している小説です。誠実で真面目なことだけが取り柄の主人公が恋愛工学と出会うことで見違えるようにモテるようになるというストーリーになっています。「非モテコミット」、「フレンドシップ戦略」など氏が考案した恋愛理論を軸にストーリーが展開されていきます。女性が読んだらちょっと首をかしげたくなるような内容になっていますが、理系出身の藤沢氏らしく恋愛を理論的かつコミカルに書いており楽しく読めると思います。今回はそんな恋愛工学の理論の中で就職活動にも繋がるものをいくつかご紹介いたします。非モテコミットとフレンドシップ戦略非モテコミットというのは、お前みたいな欲求不満の男が、ちょっとやさしくしてくれた女を簡単に好きになり、もうこの女しかいないと思いつめて、その女のことばかり考え、その女に好かれようと必死にアプローチすることだ出典:『ぼくは愛を証明しようと思う。』P50非モテコミットとは、上記の通り一人の女性に対して思い入れ、必死に一人の女性にアプローチすることだそうです。そしてフレンドシップ戦略とは「非モテコミットしてしまった女性に対して、まずは友達としての親密度をどんどん深めていき、最後に告白したりして彼女になってもらおうとする戦略」のことらしいです。非モテコミットもフレンドシップ戦略も、モテない男性がとってしまう愚かな手段だとして、恋愛工学では一蹴されてしまっています。フレンドシップ戦略をとり、女性と友達関係になったとしても友達フォルダに一旦入れられてしまった男性はずっと「いいお友達」として彼氏に昇格することが逆に難しくなってしまうというのがその理由だそうです。就職活動で例えると第一志望企業に盲目的に恋をしてしまい、その企業に気に入られるために説明会は全て参加して、OB訪問も精力的にこなし、たとえ受けていたとしても他業界を受けているなんてことは面接では絶対に見せず、「御社がダメなら就職留年します」という覚悟で受けてしまう学生が思い浮かびます。企業に対して忠誠心を見せることが、何のスキルもない学生が唯一できることだとばかりにどうすれば意中の第一志望企業に気に入ってもらえるのか考えて自己PR・志望動機を練り上げようとしてしまう学生は少なくありません。一方で企業側としては忠誠心があるのは悪いことではないが仕事が出来ないのでは困ってしまうので、しっかりと第一志望の理由を語れないのであれば、第一志望じゃないと素直に言ってくれる学生を好むようです。参考:「御社が第一志望かはわかりません!」面接で嘘をつかずに正直に答えたら通過した。スタティスティカル・アービトラージ戦略統計学的なアプローチであるスタティスティカル・アービトラージ戦略の素晴らしいところは、これだけたくさんの女に同時にアプローチすれば、少なくともひとりとうまくいく確率は、かなりあるということだ出典:『ぼくは愛を証明しようと思う。』P170スタティスティカル・アービトラージ戦略とは、モテの方程式である「成功=ヒットレシオ×試行回数」に基づく統計学的アプローチのことだそうです。簡単に言えば、成功確率は0ではないので、試行回数に比例して成功する回数が増えるという考え方のことです。そのため女性と数多く出会い、何度も口説くことを繰り返していれば必ず女性と近づくことができるというものです。就職活動で例えると就職活動でも同様に、「内定=ヒットレシオ×エントリー数」ということが言えそうです。下記のエントリーではもう少し詳しく書いていますが、基本的にはヒットレシオを高めて、エントリー数を増やすことが内定するための近道であると言えそうです。参考:内定を得るまでのプロセス就職活動では「業界を絞って、しっかりと業界研究をして受けるべき」というもっともらしいアドバイスがありますが、半分本当で半分はウソだろうと思っています。企業選びの軸や企業を選ぶ際の自分なりの観点がはっきりしているのであれば当てはまる業界をどんどん受ける方が様々な選択肢の中から自分に合った仕事を選ぶことができるように思います。ある程度受ける数を増やすことで自分自身に合った企業をより選びやすくなると言えるでしょう。企業選びの軸とどのような業界が当てはまるのか、それぞれの業界のメリット・デメリットは何かについては下記で詳しく説明しているので参考にしてみてください。参考:unistyle業界研究モテスパイラル現象イケメンや金持ちより、単に他の女にモテている男がモテる、という恐ろしい事実だ。これがモテスパイラル現象と言われているものだ出典:『ぼくは愛を証明しようと思う。』P168モテスパイラル現象とは、「イケメンや金持ちより、単に他の女にモテている男がモテる」という現象のことだそうです。非モテコミットにもつながりますが、僕にはあなたしかいないんだ、みたいな一途な想いや行動は全て裏目に出てしまうと氏は主張しています。結婚した途端に独身時代よりもモテるようになるという現象に近いものかもしれません。就職活動で例えると新卒採用担当の方の話を聞くと、外資系コンサルや外資系投資銀行の内定を持っているような優秀な学生が欲しいということをよく聞きます。このように他業界で評価された人材であれば優秀なはずとして、内定があることをさりげなく伝えると高く評価されることがあります。結局、三菱商事が欲しい人材は、電通もトヨタも欲しいなど、業界を問わずに内定を得られるものです。もちろん一つ内定があることで、自分に自信を持って面接に臨めるなどプラスの効果があるといった理由もあるでしょう。最後に就職活動は恋愛に例えられることがあるなど、両者には多くの共通点があり、だからこそ本書の恋愛工学の多くの理論が就職活動にもあてはまるのかもしれません。どっぷり恋愛工学にハマってしまうのもどうかと思いますが、一つの面白い考え方として知っておく分には害はないでしょう。ちなみに藤沢氏は過去に、下記のような本を書いており外資系投資銀行の業務について書かれているので、外資系投資銀行に興味がある人は読んでみてはいかがでしょうか。外資系金融の終わりphotobyDominiqueGodbout 28,867 views
【20卒1浪1留慶應生失敗談】就活失敗から学んだ「絶対に就活で失敗しない方法」 【20卒1浪1留慶應生失敗談】就活失敗から学んだ「絶対に就活で失敗しない方法」 東京大学出身で、帰国子女で、体育会で、社会貢献のボランティア活動やってて、就活してみたら商社に内定しました、みたいな華々しい体験談を語っている就活支援サイトが多いこと、多いこと。確かにそういったサイトでの体験談も参考になることがたくさんあるかと思います。しかし、そうした方々のハイスペックぶりや戦略的な就活を真似できるかと言えば、それはだいぶ難しいと思います。恐らく、早慶上智GMARCHクラスの学歴で、帰国子女でもなく、テニスサークルに所属してウェイウェイしてて、3年生夏ぐらいから少しだけ意識して、冬ぐらいから本格的に就活を始める、みたいな就活生が多いかと思います。今回この記事を書いた私は、慶應という学歴だけで大して準備も対策もせずに大手企業の内定を取れると思い、大失敗の就活を経験しました。だからこそ、皆さんにとって本記事でお話させていただく私の失敗談は、ハイスペック戦略的就活ガチ勢の体験談よりも身近に感じることができるかもしれません。私の失敗談をぜひ読んでいただいて、反面教師にしてください。本記事の構成筆者のプロフィール失敗その①:「インターンとかめんどい!」(大学3年生・夏)失敗その②:「慶應生なら就活楽勝っしょ!」(大学3年生・冬)失敗その③:「とりあえず電通じゃね?自己分析とか意味わからん!」(大学3年生・冬)失敗その④:「業界研究とか、就活サイトと公式HP見れば一発っしょ!OBOG訪問とかめんどくね?」(大学4年生・春)失敗その⑤:「グルディスとか地頭でいけるべ!時計係とかマジウケるw」(大学4年生・春)失敗その⑥:「面接とかその場のノリでしょ!」(大学4年生・春)結果:失敗・NNT。なぜ就活で失敗したのか?「何も」考えていない。「二度目の」就活で「何を」考え・「どのように」行動したのか失敗から学んだ「就活で失敗しないために必要なこと」最後に筆者のプロフィール筆者のプロフィールは以下の通りです。◆性別:男性◆大学:慶應義塾大学法学部◆所属ゼミ:なしGPA:1.0未満(ほとんどC評価かD評価)◆サークル:学園祭の実行委員会(3・4年生で役職についていた)◆アルバイト:喫茶店・コールセンター◆性格:慢心・自信過剰・面倒くさがり・計画性皆無・その場しのぎが得意・テストは毎回一夜漬け◆志望業界19卒:広告・金融・不動産という謎の組み合わせ20卒:人材・ネット広告・IT系◆現在総合人材会社に2020年4月入社◆特徴浪人(半年仮面浪人・半年予備校浪人)・留年・フェニックス(慶應義塾大学法学部の復活制度で半期進級)・就職浪人かと思ったらシンプルに留年してた、という大学生が陥る失敗をすべて凝縮したような最強の反面教師。自分でも思うけど、マジでやばい経歴です。大学2年生まではアルバイトとサークル活動に専念しておりました。その活動の中での失敗はゼミ試験に落ちたことぐらいです。でも触れている小林良彰ゼミを受験しましたが、落ちました。このゼミを受験した理由は、「小林ゼミの就活実績がすごい」という話をよく聞いていたからです。ゼミ選びで少しだけ就活を意識してはいましたが、それ以外には行動に移したことなどは特別ありませんでした。自分の中では「大学1・2年生から就活してる人=意識高い系」という認識でした。(今思うとリスペクトです。)唯一の救いはサークル活動に専念していたので、結果的にガクチカとして話せる経験をたくさんできたことです。失敗その①:「インターンとかめんどい!」(大学3年生・夏)大学3年生になると就活を始めるらしい、そして夏休みに行われるインターンという儀式に参加すると後々イイコトがあるらしい、という噂は聞いていました。だったら、自分も一応インターンに行ってみようかなあと思い、なんとなくかっこいいからという理由で電通と、慶應だと有利らしいという理由で東京海上日動火災保険の2社のサマーインターンにエントリーしました。この2社を選んだ明確な理由なんて全くなかった、真剣に考えていなかったというのが本音です。電通の一次課題がアイデアで課題解決する系で、一次課題は通過しましたが調子に乗って自分の考えだけで挑んでしまい、当然のごとく二次課題で落ちました。普通ならインターン課題の対策や回答方針などは就活支援サイトを見たり、電通の内定者の先輩などからアドバイスを頂いて参考にするべきでした。もう一つの東京海上日動火災保険に関しては、ESの書き方を知らないくせに自分なりにタラタラとESを書いていましたし、面接に関しても「とりあえずサークルで役職についてること言えば通るっしょ!」っていう安易な考えだったために、面接であえなく撃沈しました。今になって思うと、サークルでの役職とかは全く選考に関係なくて、「何を」「どのように」考えたのか、という点で面接対策をするべきでした。また、業界や企業によって異なりますが、やはりインターン参加者の本選考での優遇というものは大いに存在していると考えています。慶應生の中では有名な話ですが、東京海上日動火災保険のサマーインターンに参加した慶應生にはインターン後の秋頃~冬頃にかなりの頻度で人事部から電話がかかってくるようです。インターン後にも、そうした人事部との関わりを持っておくことで本選考でかなり優位に進められる、という話をよく耳にします。二度の就活を終った後に感じたことは、「大学3年生のサマーインターンの重要性」でした。就活の早期化によって大企業が優秀な就活生を青田買いしている昨今の状況で、サマーインターンから囲い込みがあるのは当然かもしれません。さらに、早くから就活というものに慣れておき、就活の情報を収集しておくことで、スタートを早く切ることができたはずでした。私は結局、大学3年生のサマーインターンに参加できないことで、就活のスタートが遅れ、インターンからの人事による囲い込みもされませんでした。ただ、この時の私はサマーインターンはただ単に企業研究の一環ぐらいにしか考えていませんでしたし、「自分ならインターンなんて行かなくても本選考で余裕っしょ!」という慢心もありました。冷静に考えれば、本選考におけるインターン参加者の枠がある企業であれば、本選考からエントリーする就活生にとってはどんどん枠が狭くなり倍率が高くなってしまうのも分かるはずでしたが、その時の私はそうしたことを「何も」考えていませんでした。この大学3年生という大事な時期に、サマーインターンの重要性を認識し、ある程度業界を絞ったうえで戦略的な対策をしていれいば、という後悔は今でもあります。後述するさまざまな失敗がありますが、この失敗が私の就活の成否の分岐点だったと思います。失敗その②:「慶應生なら就活楽勝っしょ!」(大学3年生・冬)大学3年生の冬になると流石に就活を意識せざるを得ない状況になりました。前述したように大学3年生のサマーインターンに参加せずに就活のスタートが遅れていたにも関わらず、就活に対してなぜか焦りはありませんでした。その時の私の心中は、割としゃべりは得意だと自負していたし、自分のサークルでの経験話せばガクチカなんていくらでもあるし、なにより慶應だし就活なんて楽勝でしょ!っていう誰がどこからみても「慢心」していました。それだけでなく、元来根拠のない自信家のため、「なんなら就活無双できるんじゃね?」っていう慢心の境地にまで達していました。たしかに、慶應という学歴であれば学歴フィルターで日系企業で落とされることはまずないでしょう。しかし、慶應という学歴の使い道は学歴フィルター対策以外にはありませんでした。就活生の中に、私ほど慢心し、就活をなめ腐っている人はいないかもしれませんが、あえて言わせてもらうと、「慶應生≒就活強者」ではあるが、「慶應生=就活強者」ではない。学歴だけで就活の成否が決まるのならば大手企業は東京大学出身者だけ採用してればいいわけで、そういう企業が少ないということは、あくまで学歴はただの学歴であって、それ以外の基準もあるということです。一度目の就活時の私は、そういう自分に都合の悪いことには目を向けずに、自分の都合の良いように解釈していました。当たり前のことですが、慢心せずに、一つ一つの対策をしっかりと戦略的に計画的にすることがなによりも大事です。【参考】失敗その③:「とりあえず電通じゃね?自己分析とか意味わからん!」(大学3年生・冬)大学3年生の冬になると、本選考の志望業界や志望企業を決めるタイミングになりましたが、本当に「何も考えていなかった」というのが率直な本音です。一般的に言うと、最初は「この業界に興味あるなー、この企業に興味あるなー」っていう程度であっても、後からなぜ自分がこの業界・企業に興味があるのかを、「自己分析の結果と絡めて言語化していく」というのが、志望動機の作り方です。私の、「何となくかっこいいから、聞いたことあるから」という理由で電通に決めた後に、その言語化という作業を怠った、というのが失敗でした。もちろん、ESや面接で答えるために用意した志望動機はありましたが、それは上っ面だけの志望動機でした。面接で自己分析と絡めて志望動機を深掘りされたときに、回答に詰まることが多々ありました。「自分が何をしたくて、この業界なのか」、「他社と比較したときに、なぜこの企業なのか」。こうした質問に対して、しっかりとした志望動機を用意していたわけではないで、答えられるわけがありませんでした。悲しいことに就活というのは、「なぜ」という自問自答を繰り返す作業の繰り返しであり、特に自分の志望動機に「なぜ」と自問自答することが重要です。さらに、志望動機の根幹にある自己分析も大してしていませんでした。「自己分析」という作業をしなければいけないという話を勿論聞いてはいましたが、「自分のことだし分析なんてしなくても自分でわかっているでしょ!」という持ち前の自信過剰と面倒くさがりの性格が表れてしまいました。一般的に、「業界研究&自己分析→自分が将来どうなりたいのか?何をしたいのか?」をある程度明確にしたうえで、「→志望業界、志望企業を決める&志望動機も付随してくる。」っていうのが定石な流れです。しかし、自己分析も大してしていなかったために、自分が今後何をしたいのか明確ではありませんでした。自己分析を怠ったことで、自分が今まで何に対して「どう考えていたのか」、「将来何をしたいのか」というモノが、不透明なまま面接をうけていました。そのため、面接でよく聞かれる「この会社で何をしたいのか」「将来のキャリアプランについてどう考えているのか」、という質問に答えられないままでした。自己分析を怠ったせいで志望動機が不明確な上に、面接での「今後のキャリアプランはどう考えていますか?」といった質問には、いつもその場しのぎの回答しかできなかったです。自己分析と志望動機に対してひたすら「なぜ?」と自問自答する作業を怠ったために、自分のことが分からず、なぜこの企業を志望しているのかもわからないまま面接を受けることになりました。そんな就活生の話すことなんて論理立てされもせず、首尾一貫してもいない話で、そりゃあ初めて私に会う面接官からすれば、「なんだこの就活生は?何も考えてねーじゃん!(怒)」ってなるのも当然のことかもしれません。【関連記事】失敗その④:「業界研究とか、就活サイトと公式HP見れば一発っしょ!OBOG訪問とかめんどくね?」(大学4年生・春)3/1の情報解禁日を迎え、エントリーする業界・企業もなんとなく決めてから、説明会などに何度か参加してみました。説明会では、その業界の話やその企業が実際にやっている事業などの簡単に説明を聞いていくうちに何となーくの基本中の基本みたいな知識だけは得ることができて、業界研究・企業研究をしている気分になっていました。そういった説明会だけでなく、自らで業界研究・企業研究をしなければ面接で見抜かれるぞ!という話も聞いていましたので、とりあえずやってみるようとしましたが、業界研究・企業研究のやり方を全く知らなかったです。当時の私がやっていた業界研究・企業研究は以下の通りです。企業の採用ページを見て、その企業の事業領域・直近の売上高をノートにまとめる。その業界の全容や売上高ランキングとか、各社の特徴を適当に調べてノートにまとめる。就活支援サイトを見て、選考で聞かれる質問とその回答をノートにまとめる。この3ステップだけの企業研究で、一社を研究するのに1時間程で終わっていました。ビジネス全体でのニュースから、業界全体のビジネスモデル、企業ごとの特徴、得意な事業分野や中長期経営計画、求める人物像などやIR情報など、業界研究・企業研究のために必要な情報が圧倒的に不足していました。面接官からしたら、「なんでうちが何をやっているのか分かりもしないのに、うちに来たいと思えるんだろう?」って不思議に思うでしょう。実際にこの当時の私は、企業研究という作業を怠り、そこから自分自ら考えて、将来的にその業界で自分がどんな仕事をしたいのかという、ところまで考えが至らなかった。業界研究をするにあたっての一般的な流れは、「様々な業界の研究を網羅してから→興味のある業界を絞る&志望動機」だと後から学びました。つまり、業界研究もしていないのに、志望動機なんて書けるわけがない。さらに、業界研究の進捗具合が志望動機の完成度にも影響しています。ESでは字数制限の関係で志望動機の完成度に差異は生まれにくいかもしれませんが、実際に面と向かった面接ではそれが如実に表れます。だからこそ、業界研究をおろそかにしてはいけないのです。OBOG訪問業界研究・企業研究をするためにOBOG訪問という方法もありましたが、率直に言うと「面倒そうだからやんなくていいやー」って思っていました。わざわざ社員にアポとって、質問を考えて、粗相のないように受け答えして、訪問後に感謝のメールを送るというのは大変「面倒そう」。正直にいうと、二度の就活を通じて自発的なOBOG訪問は一度もやっていません。20卒での二回目の就活時には、リクルーターが社員との面談を複数回セッティングしてくれたので話をする機会を作ってもらっていました。自発的にOBOG訪問をするのは面倒そうだと思っていましたが、やはり19卒での就活時にはOBOG訪問をやっておけばなーと感じました。その理由としては以下の4点があります。①OBOG訪問が選考に影響する企業も少なからずある②企業研究・他社比較ができる③ES添削・面接対策・先輩社員の経験談を聞くことができる。④自分がその企業で働くイメージを膨らませる①OBOG訪問が選考に影響する企業も少なからずある定かではありませんが、OBOG訪問で来訪した就活生を採点する企業があるという噂をよく聞きます(東京海上日動とか)。ですが、とある慶應生で東京海上日動のOBOG50人に訪問した就活生が、選考で落とされたという話を聞いたことがあるので、訪問回数だけが選考結果に直結するわけでもなさそうです(そこまでやる必要があるのかは謎だが)。②企業研究・他社比較ができるOBOG訪問の最大の目的はこれでしょう。外部からの情報だけでなく、その企業で実際に働く社員からの情報はとても有益でしょう。企業の社員が内部から見た会社事情であったり、競合についての情報であったり、ネット上の就活支援サイトには転がっていない情報ばかりです。そうした自分から取りに行く情報を持っているかどうかが、自分の志望動機や今後のキャリアプランの完成度に影響を及ぼすことは間違いありませんし、面接官からみた就活生の志望度の高さを図る指標になっているのかもしれません。③ES添削・面接対策・先輩社員の経験談を聞くことができる。先輩社員たちは、その企業の選考を潜り抜けた経験者ですから、彼らの対策方法やESは、自分の独学のものより随分と価値があるはずです。ぶっちゃけ、OBOG訪問でES添削してもらえるっていうのは都市伝説だと思っていました。初めましての社会人に「僕のESを添削してください!!」っていうのは結構ハードルが高く感じます(人見知りなもので)。しかし、ESを添削をしてもらい、磨きをかけている就活生がいるというのも事実なわけです。そういう人に対し、添削してもらっていない自分のESが、どんどん差を付けられていくのは当然のことでしょう。添削が必ず必要だとは私は思いませんが、その企業の選考を突破した人にお墨付きをもらえるという意味では自信を付けられるのかもしれません。④自分がその企業で働くイメージを膨らませる私個人としては、これが大事なんじゃないかと考えます(まあ、やったことないんですけどね!)。「この企業で働きたい!」と夢見るだけでなく、その企業のリアルな声を聞いて現実を把握することが大事かと思います。就活の目的が内定を獲得するだけでなくその企業で働くことも目的であるのならば、入社後のギャップを少なくすることが必要になるはずです。社員の方に、内定を得るために必要な情報だけを聞くのではく、入社してみて実際にその会社はどうなのか?ということも知っておくべきでしょう。【関連記事】失敗その⑤:「グルディスとか地頭でいけるべ!時計係とかマジウケるw」(大学4年生・春)グループディスカッション(以下、GD)の対策方法・準備なんてなくね?というのが当時の私の率直な持論でしたが、そんなことはないことにだいぶ後になって気づかされました。持論ですが、GDを進めるにあたっての準備できることとしては以下のようなことがあります。①役割分担の確認②課題分析の方法論③お題として考えられるいくつのかパターンを予習④業界によってはある程度の知識を予習しておく「GDとか地頭勝負でしょ?俺なら余裕だべ!」というのが私の心持でして、実際にGDで落ちたことはほとんどないのですが、一度だけGDで落とされました。それが三菱地所の本選考でした。もうなんというか就活ガチ勢ofガチ勢みたいな、自分が自分があああ!!みたいな就活生ばかりで、眩暈がしました。GDの内容もだいぶ不動産がらみのお題で、はじめましてのワードと問題で絶句しました。GDの間は、適当にオウム返しして議論に参加しているようなふりをして、実際にはチームになんのプラスも与えられていない状況でした。ちょっとは悔しかったですけど、悔しがっていいほど努力もしていなかったので、悔しがってはいけないなと自戒しました。GDで落ちたのはこの三菱地所だけだったんですが、やはり感じたことは、「地頭だけでGDに勝負するのはだいぶ危険」、ということです。大手企業なら、慶應生のライバルになってくるのは東大・京大クラスです。地頭勝負に持ち込んでも相手も相当頭がいいのは分かりきっていることです。なら事前に準備できることは準備して最大限に自分の地頭力を引き出せるようにしておくことが得策かと思います。【関連記事】失敗その⑥:「面接とかその場のノリでしょ!」(大学4年生・春)就活において一番の難関ポイントである面接ですが、面倒くさがりの私がしていた面接対策は以下の通りです。①とりあえず就活支援サイトを見る。②そこに書いてある面接の質問内容を見る。③自分なりにその質問に対する回答を用意しておく。④それをただ暗記する。はい、今思うと、本当になめ腐った面接対策ですね。ていうか、「対策」というのが恥ずかしいくらいです。ではなぜ、こんな対策をしていたかというと、一言で言えば「慢心」です。自信過剰な性格が大いに出てしまいました。私は、サークルでの活動で数百人の前で自分の意見を述べたり、大学職員や消防などの外部の公的な大人と関わる場でのトークスキルを磨いてきたと勝手に思い込んでいました。そもそも、面接はトークスキルを競う場ではないのだから、そんな能力を誇示してもしょうがないのに、トークスキルだけで電通くらい簡単っしょ!っていう慢心の境地に達していました。こんな対策をして挑んだ面接は、なかなか悲惨な結果になりました。まあ、業界分析・企業分析・他社比較を怠ってきた筆者は、面接で様々なポイントでつまづくことになります。①「君がやりたいことってこの業界なの?」←志望動機が薄かった。②「実際にうちに入社してどの事業部でどんなことしたいの?」←企業研究が薄い、「これをしたい」というものが不透明③「入社から10年後までのキャリアプランってどう考えてるの?」←自己分析が甘い④「競合他社と比較してなんでうちなの?」←業界分析・他社比較が甘い。こうした質問に対して、その場しのぎの回答をして選考を通過できると考えていたのがあまりにも甘すぎました。さらに、大手損害保険会社である東京海上日動では、自己分析の深いところまで掘り下げる質問にも、その場で考える、ということが多かったです。⑤「〇〇くんの小学生時代ってどんな少年だったの?」⑥「〇〇くんのご両親ってどういう人なの?どういう教育方針で、それが今の自分にどのように影響しているのかな?」ぶっちゃけ、このような質問に意味があると思えなかった私ですが、今までの経歴や自分の考え方・人格が首尾一貫していないといけないという就活のやり方をとっている企業を受けている以上、そうした対策をしていなければ当然内定をとれるはずがありませんでした。【関連記事】結果:失敗・NNT。なぜ就活で失敗したのか?「何も」考えていない。結果的は大失敗・NNT(無い内定)です。大失敗・大惨敗です。ではなぜ就活で失敗したのか。ここまで読んでいただいた方はこう感じているのではないでしょうか。「いや、お前なんの準備もしてないのに随分自信過剰だな!」と。まさしくその通りです。それだけでなく様々な失敗をしてきたので、その失敗を分類してみたいと思います。①圧倒的慢心・自信過剰・自分への過大評価②圧倒的準備不足③圧倒的情報不足④圧倒的経験不足①圧倒的慢心・自信過剰・自分への過大評価私の性格の問題なのか、慶應というある程度の学歴のせいなのか、結果的にはその両方が原因で圧倒的慢心を引き起こしてしました。その慢心にも分類してみることにします。A「慶應なら就活余裕でしょ!」B「結構でかいサークルで役職ついてたし、ガクチカ余裕でしょ!」C「俺のトークスキルでいけるっしょ!」A「慶應なら就活余裕でしょ!」学歴だけである程度の企業は内定取れると思っていた(本気で)。上には東大・京大もいるのにも関わらず、私大でトップっていうだけで、慶應に入学した1年生のころから井の中の蛙を4年間やってきて、調子に乗り倒していたました。B「結構でかいサークルで役職ついてたし、ガクチカ余裕でしょ!」役職についていればガクチカはなんでも言えると思っていた。確かにガクチカとして話せることなんていくらでもありました。それは、こんな慢心男の唯一の救いでした。でも、サークルでの役職なんて就活において、社会人になるにあたって何の意味もなかったです。役職で就活の成否が決まるわけでなく、その組織の中で自分が「何を」「どのように」考えて行動したのかのほうが大事でした。そう考えてみても、私のサークルでの活動の中で、自分自ら問題意識を持って行動し周りを巻き込んで結果を出した経験なんて腐るほどあったのにもかかわらず、私は役職をアピールすることに注力していました。的外れもいいとことでした。C「おれのトークスキルでいけるっしょ!」面接はトークスキルを競う場ではなかった。「何をどのように考えるのか、そしてなぜそう考えたのか」というのが大事であって、それを「どのように伝えるか」は一部の能力だった。確かに、トークスキルを自分の特筆した能力としてアピールしてもいいかもしれませんが、それはゴリゴリの営業!みたいな企業でアピールするべきで、要点を外した自己アピールになっていました。②圧倒的準備不足私の元来の性格である、面倒くさがりが発揮された準備不足が如実に表れました。その準備不足についても3つに分類してみます。A:自己分析・志望動機B:業界研究・企業研究・他社比較C:GD・面接対策A:自己分析・志望動機「今後の将来で何をしたいのか」が定まっていなかった。就活生のほとんどが、「将来何をしたいか、なんて明確じゃないよおおお!」ってもがいているかと思います。私もその一人でした。ですが、就活において「君は将来何をしたいの?」という質問は絶対にされます。確かに、人の行動というものは何かしらのゴールを設定し、現在地からそのゴールまでに必要な過程を一つずつクリアしていくことが求められます。具体的な指標を定めたゴールでなくても、抽象的にでも「なりたい自分」を決める必要がありました。ゴールが決まっていないのに、その通過点である就活の目標が定まるわけもないし、自分の中で就活というものをどう捉えているのかが定まっていませんでした。【将来自分がどうなりたいのか】も決まっていないし、【過去の自分がどのように考えていたのか】も深く考えてこなかったです。今の私は、【過去の自分がなにをどのように考えてきたのか】を深掘りしてから、【今の自分が何をどのように考えているのか】を過去の要素から説明し、だから【将来の自分がこう考えるはず】というのが、自己分析だと考えています。過去の自分を深掘りする自己分析、現在の自分が何を考えているのかという志望動機、将来の自分が何をしたいのかというキャリアプランがすべて不明瞭だったために、「いったい俺は今後何をしたくて就活しているんだろう」ともやもやしたまま、面接官にもやもやとした回答しか言えませんでした。B:業界研究・企業研究・他社比較何をしている業界なのか、何を強みにしている企業なのかを知らない状況で、その業界・企業を志望するって冷静に意味分からないですよね。でもそんなことを平気でやっていたのが私自身で、そういう就活生も少なからずいるんじゃないかと思います。それがどれだけ危険なことか一度立ち止まってみればすぐに分かります。例えるなら、その人の性格をよく知らないけどめっちゃかわいい女性にアタックするようなもので、実際に付き合ってからその人と相性があうかどうかも分かっていない、という状況。私がしてきた面接では「私のどこが好きで告白してきたの?」と聞かれて、「うーん、ぶっちゃけ顔だけ!!性格も生い立ちも知らない!!」って答えるような回答しか言えなかったです。「当社への志望動機を教えてください」という質問に対し、「強みも知らんし、どういうマインドの人たちが働いているのかも知らんし、、、、でもめっちゃ有名企業やん!」っていう感じの答え方でした。実際には、建前上の志望動機を用意していましたが、すぐに業界研究・企業研究の粗さが露呈してしまいました。C:グルディス・面接対策今までやったことないGDとか面接に対して、対策をしなければ爆死するのは至極当然なこと。前述したように、GDに対して事前に準備できることはたくさんありますし、面接に対しても準備できることがたくさんあります。一番王道な面接対策としては、面接頻出質問に対して業界ごと・企業ごとの「求める人物像」に照らした回答を用意し、それと自己分析との関連性を認識しておく、ということがあります。その企業がどういう人物を求めているのか知らない状況で、面接に挑んでも的外れもいいとこです。私:「私の強みはリーダーシップうんたらかんたら」面接官:「へえ~そうなんだ~(別にリーダーシップとか新卒に求めてねええからああ!!)」っていう事故った面接を何度も経験してきました。「求める人物像」は往々にして採用ページに記載されている場合が多く、さらに人事の方に求める人物像をかみ砕いて説明してもらえる機会なんて死ぬほどあります。そういった、「求める人物像≒募集要項」の確認を起怠ったことが面接での失敗につながっています。③圧倒的情報不足「就活は情報戦」と言われているが、私としては「へえー、そうなんだー」ぐらいにしか認識がありませんでした。私がどれくらい就活情報に疎かったのかというと、「経団連ってなに?」「3月の情報解禁ってなに?6月はなにすんの?」「フェルミ?ケース?なにそれ?」「選考直結のインターンとかあったの、先に言ってくれよおお!」というのが、大学3年生~4年生の春まで実際に思っていたことです。「就活は情報戦」という言葉を全肯定するつもりはありませんが、「情報を持っていないと100%不利」というのは実際に実感したことです。特に、選考直結のインターンなどは、締切後に知ったとしても後の祭り、どうしようもないです。情報強者が就活において有利かどうかは分かりませんが、「情報弱者は絶対に就活で失敗します」。④圧倒的経験不足上記したようにGDや面接への対策が薄かったのは勿論のこと、その経験値が少なかったことも間違いないです。もし、戦略的な就活を進めるのなら、志望業界のみならず、練習のための企業もいくつか受けておくべきだったと感じています。分かりやすくいうと、「大学受験で東京大学が第一志望!だから私大を受ける必要なくね?」っていう尖りまくった受験生の状態です。(実際に私がそうでした。)何事も、練習せずにうまくいくわけがありません。なので、前もって何個か練習のための企業を受けてみることを私はおすすめします。「二度目の」就活で「何を」考え・「どのように」行動したのか?「二度目の」就活を迎えるにあたってやることは単純明快で、「一度目の就活の失敗の反省・改善点の抽出、二度目の就活でしっかりと内定を得ること」、これ以外にありませんでした。では、そのために実際に「何を」考え、「どのように」行動したのかを細分化しながら説明していきます。「時すでに遅し」なコト留年生・就職浪人のディスアドバンテージ圧倒的慢心を捨てる圧倒的準備不足・自己分析・志望動機・論理の穴を作らない業界研究・企業研究・他社比較・情報不足圧倒的経験不足を補う「時すでに遅し」なコト前述したように、大学3年生でのサマーインターンから本選考での優遇というのは間違いなく存在します。それを二度目の就活を迎えるにあたって、だいぶ後悔しました。しかし、悲観しても状況は改善しないので、しっかりと「二度目の」就活の準備をしようと考えました。これからサマーインターンを控える22卒の就活生は、「絶対に複数企業のインターンにエントリーすること」をお勧めします。自分が興味を持っている企業にエントリーするのもいいですが、低倍率で参加しやすい企業にエントリーすることをお勧めします。なぜなら、高倍率の企業しかエントリーしていない場合に、どこも参加できるインターンがなければ意味がないからです。人気企業のインターンでなくても、インターン参加企業0社と1社ではだいぶ違っていきます。それは、サマーインターンに参加できない場合に「就活をしっかりと意識し始めるタイミングが遅くなる」からです。就活は先手必勝、スタートが早ければそれに越したことはありません。大学3年生の夏というのが一般的なスタートという風潮になっているのならば、このタイミングでインターンに行けないということは、すでにスタートする前から差を付けられているということです。本記事を読んでいる22卒の就活生は、今すぐにでもエントリーしましょう。先述したように私の就活の成否の分岐点はここでした。大学3年生のサマーインターンに行くかどうかが、失敗するか、失敗しないか、の分かれ道です。留年・就職浪人のディスアドバンテージ【留年・就職浪人≒ディスアドバンテージ】【留年生・就職浪人≠アドバンテージ】留年や就職浪人が間違いなく不利になるか、と聞かれたらそれは分かりません。ですが、アドバンテージになることは絶っっっっ対にないです(筆者の持論)。私としては、留年・就職浪人ということをディスアドバンテージとして認識していたので、それをいかにカバーするか考えて行動しました。その①:「なんで留年・就職浪人したの?」という質問に対して、回答を用意する。これは、もう挨拶がてら聞かれる感じでした。というか絶対聞かれるのでアイスブレイクの自己紹介で自分から誘導していました。ここで、しっかりと返せないと面接の最初から躓いてしまうことになるので、ちゃんと用意した回答で対応していました。その②:「とにかく早く行動すること」いち早く行動することでしか「留年・就職浪人」をカバーする方法はありませんでした。留年・就職浪人云々の前に就活においては、すべてこれに尽きます。12月に自己分析・志望動機を終わらせ、志望業界を絞り、エントリーする企業のリストアップは年内に終わらせようとしていました。1月・2月に早期選考がある企業を調べ、とにかく早く内定を確保する、ということを目標に掲げていました。結果的には、現在勤めてい企業から2月中に内々定を頂き、早めに就活を終えることができました。確かに、留年・就職浪人が決まってから海外留学に行って海外経験とガクチカを強化する、などでカバーする方法もありましたが、私の場合4年生時のサークル活動があまりに忙しすぎてそれは叶いませんでした。だからこそ、「とにかく早く行動」し、「あらかじめ留年・就職浪人に関する質問に備えておく」、ということを徹底しました。圧倒的慢心を捨てる一度目の就活の大失敗の最大の要因がこの慢心でした。だから、この慢心を捨てるというのが最初のミッションでした。ここで1つ、ネックになったのが、「他の20卒と比べて、俺は19卒で一度本選考を経験しているんだ」というさらなる慢心が生まれかけたことです。しかし、この慢心は割とすぐに消え去りました。だって19卒で成功していなんですもの。失敗しかしていない就活の経験なんてなんの役にも立つわけもありません。例えば、50人の女性に告白して全員にフラれたのに、「俺は50人に告った経験あるから、次にあの美女を落とせる!」とか思い上がっている男性と同じです。それになんの根拠があんの?っていう話です。一度就活を失敗したことで、「夢見てんじゃねーよ!」って自分を客観的に見つめ直すことができました。圧倒的準備不足(自己分析・業界研究・企業研究・他社比較・志望動機)とにかく就活というものは、実際の面接時間30分に対して準備時間が何十時間もかかるものです。その何十時間もの準備をしっかりやってきたいるかどうかを、30分で効率よく見抜くために制度化されたものが面接だと私は考えました。だからこそ、「自己分析→業界研究→志望動機」という事前準備が何より大切なんだと気づかされました。A:自己分析・志望動機就活で一番大事だと実感したのが「自分の経験やいまの考え方、将来どうしたいから、今後どうしたいのか?」ということに対して、論理的に首尾一貫した自分というものをしっかりと確立することだと考えています。一度目の就活の時には、何となく「こんな感じ?」みたいな自分を決めて、それの裏付けとなる経験を何となく「これでいけんじゃね?」っていうものを肉付けしていました。しかし、それだと失敗するというのは身に染みて分かったいることなので、「何となく、、、」というのは一切やめようと思いました。自分に対して客観的に、批判的に厳しい目で見て、常に「なぜ?」と問い詰めることが必要だと考え、行動しました。私が実際に行っていた、自己分析は以下のようなものでした。自分史・モチベーショングラフを作成し、その中で「なぜ」過去の自分はそのように行動したのか、感じたのか、自問自答を繰り返す。例えば、私は小学生のときにサッカーを、中学で剣道を、高校でラグビーをやってきました。フェーズごとに、スポーツを転々としてきた理由を今までの人生であまり深く考えてこなかったです。しいて言うなら、その時々で「なんとなく面白そうだから」という理由しかなかったです。「なぜ過去の自分はそのような行動をしたのか?」自問してみると、「ぶっちゃけ今やっているスポーツにも飽きてきて、新しいことに挑戦したかった」という感情があったことを思い出し、そこから新たなことに挑戦したいタイプの人間性を持っていることにも気付けました。とくに、自己分析で役立ったのが、「なぜ私は学園祭の実行委員会をずっとやってきたのか?」という自問自答です。私は、中学・高校・大学と10年間ずっと学園祭の実行委員会をやり続けてきました。「なぜ?」を繰り返し自問自答する中で、結果的に「他者貢献を通じて、自分の存在価値を見出したい」という私の人間性に気づきました。ぶっちゃけると、ずっと続けてきた理由は「楽しかったから」というのが本音なのだが、その背景には、今までの自分が気づけなかった人間性を見つけることができました。その自分の人間性を認識したうえで志望業界を考えたときに、今現在私が身を置く人材業界に興味を持つようになりました。【関連記事】B:業界研究・企業研究もちろん各企業の公式HPを見るのは業界研究になるとは思います。しかし、ただ眺めるだけの公式HPにはなんの意味がないことに気づきました。それは、公式HPに書いてあることを暗記したところで意味はなく、その知識から自分がどのように考えるのか、そしてその企業でどうしたいのか、というところまで思考がめぐっていなかったからです。だから、業界研究・企業研究で知識をインプットし、自分の意見として言えるレベルにまで到達しようと考えました。実際に私が行った業界研究・企業研究は以下のようなものがあります。就活支援サイトで業界の大枠を調べ、かつ各企業の情報を収集する。各企業のIR情報を眺めて現在注力している事業領域や、中期経営計画を眺めて今後注力していきたい事業領域を調べる。それをノートにまとめ、自己分析の結果と照らし、自分の人間性がどのようにその企業で発揮できるか、という将来像をノートに書きだす。ほかにも業界研究・企業研究の方法OBOG訪問などたくさんあるかと思います。もちろん、unistyleを使うことで業界研究・企業研究をすることもできます。unistyleの最大の特徴は膨大なESを見ることができる点なのですが、私は個人的に戦略的な就活をするためのテクニック記事や業界研究記事がとても役立つと感じました。なぜなら、unistyleでは定量的な数値を用いて記事を書いており、どこかの企業に傾倒したような文調ではないため、「自分でしっかりと考える」ということができるからです。22卒の就活生の方にも是非unistyleを利用することをおすすめします。【関連記事】業界・企業研究に関する就活ノウハウ圧倒的経験不足を補う(GD・面接対策)GDや面接対策のために練習企業をいくつかリストアップし、志望企業の前に経験を積もうと考えました。180度違う業界に対して志望動機を用意するのは時間の無駄なので、同じ業界でも興味がなかった企業などを受けてみることにしました。私の「二度目の」就活の場合、人材業界・ネット広告業界を中心に見ていたので、その業界の中でもあまり興味がなかった企業を受けてみることでGDや面接練習にあてました。また、そういった練習企業の説明会でも業界全体の話を聞くことができるので、業界研究にも役立てることができました。【関連記事】失敗から学んだ「絶対に就活で失敗しない方法」就活において「絶対に成功する方法・必勝法」というのは存在しているかは分かりませんが、「絶対に就活で失敗しない方法」は存在していると私は考えています。「絶対に就活で失敗しない方法」は以下の通りです。どれも当たり前のことですが、これができない人(私)が慶應クラスでもゴロゴロいるのが現状です。以下のことを貫徹すれば、就活で失敗することはまずないでしょう。【就活で失敗しないために必要なコト】①「留年するな」②「慢心するな」③「早く行動しろ」④「準備を怠るな」⑤「情報弱者になるな」①「留年するな」留年生として就活を経験した私が言えることとして、留年しないことが絶対に就活で失敗しないためのファーストステップです。留年することに全く得はありません。しっかりと単位を取りましょう。②「慢心するな」私の失敗は、慢心と面倒くさがりが引き起こしました。unistyleのユーザーには、私と同じ慶應生も多いことでしょう。たしかに皆さんの周りの先輩方は就活で成功しているかもしれませんが、それは慶應生だから成功したわけではなく、その人たちがしっかりと準備・対策して挑んだからです。どれだけ高学歴であっても私のように驕り慢心することなかれ、さもなくば絶対に失敗します。③「早く行動しろ」就活は早く始めるほど間違いなく有利になります。多くの大学生は3年生のサマーインターンあたりから、とくに意識するようになるかと思います。私の場合、そのタイミングで何も行動を起こさなかったために、間違いなくスタートが遅れましたし、就活に必要な知識・情報・経験というのも周りの就活生に差をつけられてしまいました。スタートダッシュを早くすること、スタートダッシュが遅れたのならそれを取り戻すためにそこからの行動を早くしましょう。④「準備を怠るな」就活でやることはたくさんあります。ここまでやったら内定が取れる、という指標もありません。だからこそ、「内定を得るために必要な準備を戦略的に過不足なく行うこと」が重要です。確かに、就活には面倒なこともたくさんありますが、もしかしたら一生そこに勤めるかもしれない企業を選び対策しているわけですから、今後の人生40年を考えれば、一瞬で過ぎ去る就活の間に面倒な準備をやることは非常に重要です。私の持論にはなりますが、人生を左右するフェーズとして、高校3年間みっちり勉強しなければいけない大学受験と比べて、半年間準備する就活のほうがコスパがいいと思います。面倒だからと準備を怠りたい気持ちも十分わかりますが、一度立ち止まって考えてみれば、就活に対してしっかりと準備して臨むことのほうが良い選択肢であることが分かるはずです。(一度目の就活時の私には分かりませんでした!!)⑤「情報弱者になるな」先述したように、「情報弱者は絶対に就活で失敗します」。だからこそ、情報弱者になるな!と皆さんに言いたいですし、unistyleをはじめとする就活生向けの情報サイトがたくさんあります。そういった就活支援サイトを存分に活用するだけでなく、先輩や友人から得られる情報、何より自分自らで得られる情報など、世の中にはたくさんの情報が溢れています。なんでこんなに情報!情報!って私が言うのかといえば、それは就活で不利になるだけでなく、「視野が狭いままになってしまうから」でもあります。「絶対にこの業界!この企業が第一志望!」って熱いパッションで就活をしていくのは別に悪いとは思いませんが、他の業界・企業のことを知らないくせによくもまあそこまで意固地になれるよね、って私は思ってしまいます。もしかしたら、知らないだけでもっと自分にあった理想の業界・企業があるかもしれないのに。もしちゃんと幅広く情報を持っていたら今まで以上に広い視野を持って物事を見つめることができるようになります。だからこそ、幅広く情報を網羅することで、今まで見えていなかった自分の視野を広げることが大事だと私は考えています。なお、就職エージェントneoを利用した情報収集もおすすめです。アドバイザーから業界の情報や就職活動の進め方、失敗しないためのノウハウなどを客観的にアドバイスがもらえます。少しでも興味があるという方は、下記の画像をクリックしてサービスを利用してみてください。最後に就活に対する不安はたくさんあるかと思います。その中でも、「就活で失敗してどこも行ける企業がない=NNT」という不安を大きく感じている就活生も多くいるかと思います。そういった就活生の不安を解消すべく、「絶対に就活で失敗しない方法」を解説してきました。かく言う私は、皆さんが不安に思う「どこにも行ける企業がない=NNT」という状況に陥った経験があります。逆にそういう経験があるからこそ、「絶対に就活で失敗する方法」と「絶対に就活で失敗しない方法」を知っています。だからこそ、皆さんが「どこにも行ける企業がない=NNT」という状況に陥ってほしくないので、今回の記事を書きました。ぜひこの記事を参考に、私を反面教師にして、「失敗しない就活」を進めてください。【関連記事】 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