ネット業界で上を目指すなら古い業界に就職すべきという経営者の話
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最終更新日:2022年03月29日
先日、ネット系企業の経営者と話した際に、ネット業界を志望しているような学生は新卒でピカピカのネット業界に入社するのではなく、一度古い業界に転職してそこのノウハウを得てからネット業界に就職する方がよいのではと話していました。今日は彼が話したことについて紐解いていきたいと思います。
ネット業界の成長を支えるもの
インターネット業界は変化が凄まじく、めまぐるしく新しいサービスや技術が起こってきています。スマートフォンが普及したことにより、ほぼ全ての人が手元からインターネットにアクセスすることができるようになりました。これまではネット人口の伸びおよびネット上の技術革新に伴い成長してきた側面がありますが、今後は古い産業を取り込みながら成長していくと彼は話をしていました。ネット業界に長くつかってネットに詳しくなることよりも、ネット業界の人が知らないことややりたくても手が届かなかったことについて、古くからある業界に就職して知識があることが差別化につながるとのことです。
今後は特にネットにそこまで本腰を入れて取り組んでこなかった業界に、ネットが入り込むことでもう一段成長するのではないかと話していました。
経営者の彼が就職したら面白いと言っていた業界
ここからは経営者の彼が、ネット業界に興味のある学生が就職したら面白いのではと語っていた業界について紹介したいと思います。
■テレビ・雑誌・新聞
元LINEでネット上の動画メディアを立ち上げた森川社長は筑波大学卒業後、日本テレビで10年間働き、その後ソニーからハンゲームジャパン(のちのLINE)へ転職したという経歴の持ち主です。
またunistyleでも就活生がダウンロードしておきたいアプリで紹介しているNewsPicksの編集長も、東洋経済出身の佐々木氏が務めています。
またアメリカ発祥のメディアBuzzFeedジャパンの創刊編集長は朝日新聞出身の古田氏です。
このように新しいネットメディアを牽引しているのはネット業界に長く勤めた人ではなく、ネット業界の外のノウハウを持った人が担っているケースが少なくありません。これは既存のテレビ、雑誌、新聞の影響力が低下し、ネットに置き換わっており、これまでのテレビ・雑誌・新聞の知見がいかしやすいネットメディアに転身する人が増えているためと思われます。ネットメディアはこれまでは、独自で取材を行うというよりも新聞やテレビで特集された物事について、センセーショナルな見出しをつけた記事を発信することをメインに行ってきましたが、今後テレビ、新聞、雑誌など独自の取材に基づいたコンテンツ制作ノウハウを持った人が流入することによりオリジナルコンテンツで勝負する流れがくると考えられます。
■電気・機械メーカー
シャープ、東芝などの企業が苦境に立たされている一方で、IoT(Internet of Things)という言葉が産業界でもてはやされています。IoTとはネットに接続したハードのことで、自動車メーカーも積極的に扱っている自動運転も広義のIoTに含まれるでしょう。電力の使用量がすぐにわかるスマートメーターや、自身の健康状況までわかるスマートウォッチなどクラウド上にデータをアップした上で、簡単に参照できるツールが様々開発されています。こういったIoTに関してはネットの技術だけで完結するものではなく、ハードウェア開発に関する知見が不可欠です。
IoTに関するベンチャー企業が増え、コロプラなどの企業はVR(バーチャルリアリティ)技術を用いたゲーム開発を行うとも話をしており、ハードに関する知識を持った人材の需要は高まることが予想されます。
■金融
2015年、16年はフィンテック元年と呼ばれるほどに、金融×ITの話題が多かった年でもあります。家計簿の自動化や簿記がわからなくても会計管理が行えるサービス、最近では複数の質問に答えるだけでオススメの投資商品に基づいたポートフォリオを構築できるサービスなど様々な金融サービスがインターネット上に出てきました。こういったサービスを考える上でも、インターネット技術だけではなく、金融に対するある程度の専門知識が必要になります。
3年早くネット業界に入社して身につくスキルや知識はすぐに追い越せる
経営者の彼の話では、3年程度別業界に入社した後に、ネット業界に転身したとしてもキャッチアップはそこまで難しくないのではと話をしていました。もちろん日系大企業にどっぷりでマインドセット的にも仕事をもらわないと動けないようでは困りますが、入社前から将来的にネット業界で働くことを前提に他業界に就職するような人材であれば何の問題もないと話をしていました。どんな分野でも追いつこうと思ったその日からしっかりと学べば3年程度ビハインドしていたとしても追いつくのは難しくなく、一方で他業界で学んだ知見やノウハウはネット業界だけで働いていては絶対に身につかないものであり、ネット業界の中の人にとってはその知見・ノウハウは非常に貴重とのことでした。
上記で紹介したような業界で、ネット業界の人が持たない知識とビジョンを持っている人の需要は今後ますます高まると話をしていました。もちろんそうした人材になる上では、自分なりに考えて情報収集を行い、不確定の未来に対する予測をある程度たてた上で、柔軟に行動することが求められます。自分の目論見と外れるようなことがあっても、動じずにセカンドプランを実行できる強さが必要になります。
最後に
キャリアにおけるスキルは単独で考えるのではなく掛け算のスキルセットで考えるというのはよく言われていることです。英語が話せる人は1%、プログラミングができる人も同様に1%だとしても、英語もプログラミングも両方できる人は1%よりもかなり少ない数字になります。終身雇用の大企業で入社したら終わりだと考えるのではなく、どんなスキルセットを身につけて、どう活躍したいのか何となく考えることも大事かもしれません。ネット業界を志望している人だけでなく、他の業界を検討している人も参考にどんなスキルを身につけることが今後の仕事人生を豊かにするか、少し考えてもらえればと思います。
photo by Martin Thomas