「総合商社、辞めました。」76人の商社マンの転職キャリアを追う

71,207 views

最終更新日:2023年10月17日

「総合商社、辞めました。」76人の商社マンの転職キャリアを追う

企業研究シートをプレゼント

2017年10月ごろ、unistyle創業者・樋口のツイートが話題になりました。

三菱商事・三井物産・伊藤忠商事の上位3社を中心に、「新卒就職人気ランキング」の類では上位を独占している総合商社。

近年は業界全体として好調をキープしており、2月初めにリリースされた2018年3月期・第3Q決算では、各社とも従来年度を大きく上回る純利益を稼ぎ出しています。

しかしその一方で、樋口のツイートにもあるとおり、一部の総合商社では20代の若手社員の離職率が高まっており、人材流出の加速が懸念されています。

本記事のテーマは、「総合商社を退職したあとの転職キャリア」


■ PE(プライベートエクイティ)ファンド
■ 戦略系コンサルティングファーム
■ VC(ベンチャーキャピタル)
■ ベンチャー企業(役員クラスのみ対象)
■ スタートアップ起業

以上の5つのキャリアへと転じた76名の「元・商社パーソン」を追うことで、「総合商社を退職した人材は、どこに転職しているのか」という論点を考察します。

【index】

■ 転職データのリサーチ(条件定義)

■ 総合商社の離職率が「高い」は誤り

■ 示唆①:年齢・実力次第で多様な転職キャリアがある

■ 示唆②:各総合商社ごとに、転職傾向が異なる

■ 最後に:総合商社の転職・離職をどう捉えるべきか

▼なお、総合商社からファンドへ転職するケースに絞って考察した以下の記事も、多くの方にご覧いただいています。

企業研究シートをプレゼント

転職データのリサーチ

unistyleでは「人気企業に新卒入社したあと、転職してたどり着くエリートキャリア」について理解を深めるため、

■ PE(プライベートエクイティ)ファンド
■ 戦略系コンサルティングファーム
■ VC(ベンチャーキャピタル)
■ 優良ベンチャー企業*

以上の4つの集団に対象を限定し、これに該当する1,332名のビジネスエリートのキャリアを独自に調査し、データベースを作成。「一流転職市場のリアル」に迫りました。

* 各ベンチャー企業のなかでも役員クラスのポジションのみ対象、起業したケースも含む。また、株式未上場の場合、直近5年以内に1億円以上の資金調達を行っていることが選定条件。

なお、全ての情報は有価証券報告書ないし企業HPから収集したものです。

前提として:総合商社の離職率が「高い」は誤り

本記事の冒頭でも述べたように、近年、一部の総合商社では若手の離職率が高まっており、各社の人事戦略上の懸念材料のひとつになりつつあるようです。

ただし、総合商社の若手離職率はあくまで「これまでの水準と比較すると相対的に高まっている」というのが現状であり、「総合商社の離職率が高い」わけではないということには留意しておきましょう。

そもそも、総合商社は離職率が低いことで知られる業界のひとつです。

『就職四季報』2019年度版で開示されている「入社3年目までの離職率」は、伊藤忠商事6.7%、三井物産6.5%、住友商事2.7%。

厚生労働省の統計によれば、新規大卒就職者の入社3年目までの離職率は平均32.2%ですから、これと比較すると総合商社の離職率が極めて低い水準にあることがわかります。

以上のことを前提としたうえで、以下では実際のデータをもとに総合商社からの転職ルートについて考察します。

示唆①:年齢・実力次第で多様な転職キャリアがある

unistyleがリサーチした5つのキャリア、
■ PE(プライベートエクイティ)ファンド
■ 戦略系コンサルティングファーム
■ VC(ベンチャーキャピタル)
■ ベンチャー企業(役員クラスのみ対象)
■ スタートアップ起業
のなかの総合商社出身者数*は、それぞれ以下のようになっています。

*主要6社(三菱商事・伊藤忠商事・三井物産・住友商事・丸紅・双日)の合計。ただし、双日は前身の日商岩井・ニチメンも含む。

5つのカテゴリすべてに一定数の「元・商社マン」が在籍していることが分かります。あくまで当人の実力次第ではあるものの、総合商社からほかの業界に転職する場合、それなりに幅広い選択肢が用意されていると言えそうです。

ただし、年次が上がれば上がるほど転職市場価値は失われていくのも事実のようです。

具体的には、新卒入社してから5年目(年齢では20代後半)前後までに決断しなければ、理想的なキャリアチェンジを実現するのは難しくなっていくと考えられます。

さまざまな業界への転職ルートが開かれているのは事実ですが、それもあくまで「当人の実力と年齢しだい」という条件付きだということには留意すべきでしょう。

また、以下の2点も興味深いポイントです。

(1) 総合商社からベンチャー役員への転職も多い

総合商社というブランド企業の名刺を捨て、ベンチャー企業へと転職していく層もかなり多いことが分かります。

給料やブランド、安定感などに見切りをつけ、裁量の大きさやスピード感、自分の興味などを優先した決断だと考えられます。

また、彼らの多くはCFO(Chief Financial Officer)などの専門的な知見が求められるポジションではなく、COO(Chief Operation Officer)や”ヒラ”の取締役・執行役員、あるいは海外拠点長など、特定の領域に特化していない「なんでも屋さん」的ポストに就いていることが多いようです。

【総合商社からの転職】商社マンの転職市場価値とは」でも触れたように、総合商社の出身者の多くは一人で幅広い業務を担ってきたゼネラリストであるため、転職後も「なんでも屋さん」としての立ち回りを期待されていると考えられます。

(2) 総合商社から起業するケースも一定数見られる

今回の調査対象(上場済みベンチャー+1億円以上の資金調達を経験したベンチャー)のうち、7社が総合商社出身者によって起業されたスタートアップでした。

そもそも総合商社の業務の本質は「ビジネスをつくる」ということにあり、過去には総合商社発の社内ベンチャーが成功した事例もあります。

Soup Stock Tokyo(三菱商事)やe Guarantee(伊藤忠商事)などが好例でしょう。

また、三井物産も社内スタートアップ制度を新設するなど、「起業家精神」の喚起に努めているように見えます。

とはいえ、こうした成功事例はいまだレアケースであり、総合商社は必ずしも「自分の思い描くビジネスを意のままにカタチにできる環境」ではありません。

組織的な制約を受けずに自分自身のビジネスを展開すべく、独立・起業という選択肢を選ぶケースが見られるのは、いわば当然のことです。

以下、今回の調査対象(1,332名のキャリア)のなかから、総合商社出身者が起業した事例を2つピックアップしておきます。

【起業例】sansan・寺田 親弘 氏(三井物産出身)

名刺管理サービス「sansan」「eight」を運営するsansan社は、三井物産出身の寺田氏によって立ち上げられました。

三井物産・情報産業部門で経験を積んだのち、入社8年目にあたる2007年に同社を退職、sansan社を設立されています。

1999年 3月    慶應義塾大学 環境情報学部 卒業

1999年 4月    三井物産株式会社入社 情報産業部門に配属

2007年 6月    Sansan株式会社 代表取締役就任


参考:役員紹介 sansan

【起業例】reblue・岡田 英之 氏(伊藤忠商事出身)

サーフィン動画を配信するサービス「NobodySurf」を運営するreblue社。

2018年1月、約2.3億円の資金調達を実施したことが報じられた同社は、元・伊藤忠商事の岡田氏によって創業されました。

前職の伊藤忠商事では情報産業部隊に所属し、うち6年間はポータルサイトを運営するexciteへ出向。そこでスマートフォンアプリ事業に従事したのち、2014年にはreblue社の立ち上げを決断されたようです。

ご自身の趣味でもあるサーフィンを、伊藤忠商事での業務経験と結びつけて事業化している点で、非常に興味深い(そして、ロマンのある)ケースだと言えます。

慶應義塾大学 環境情報学部 卒業

2001年 伊藤忠商事入社

2009年 エキサイト(excite)へ出向

2014年 reblue設立


参考:

世界中のクールなサーフィン動画を集めたアプリ「NobodySurf」、運営のreblueが2.3億円の調達(TechCrunch)

 

Passion×Tech」ビジネスの最前線(COMPASS)

なお、総合商社を退職して起業したケースについては、以下の記事も参考にしてください。

また、以下の記事では、伊藤忠商事を退職して当サイトunistyleを立ち上げた樋口のストーリーが綴られています。

示唆②:各総合商社ごとに、転職傾向が異なる

また、上述の転職データを各総合商社ごとに見てみると、主要5社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)にもそれぞれ転職傾向の違いが見えます。


以下、このデータについて、2つのポイントに言及します。

(1) 業界上位のほうがエリート人材輩出数も多い

今回の調査対象である5つの業界での在籍人数を各総合商社ごとに合計すると、三菱商事(25名)がトップ、これに三井物産(14名)、伊藤忠商事(14名)と続いており、住友商事(9名)、丸紅(3名)はそれぞれ少なくなっています。

お気づきのとおり、この序列は現在の純利益ベースでの業界順位とピタリと一致しています。

もちろん一概には言えませんが、この事実によって「業界上位の総合商社ほど、多くのエリート人材を輩出している」という仮説が説得力をもつことになるでしょう。

(2) 三菱商事はPE・VCへの転職に強い

三菱商事は、PE(11名)とVC(5名)にひときわ多くの転職者を出しており、投資ファンドへの転職実績においては三井物産・伊藤忠商事と一線を画していると言えます。

この点については、以下の記事にて詳細に考察しています。ぜひこちらも併せてご覧ください。

最後に:総合商社からの転職・離職をどう捉えるべきか

本記事では、unistyleが独自に実施した転職リサーチの結果をもとに、以下の2つのポイントについて考察しました。

① 総合商社には、年齢・実力次第で多様な転職キャリアがある
総合商社は、調査対象とした5つの業界にそれぞれ一定の転職者を輩出しており、転職にあたっては比較的幅広い選択肢が用意されていると考えられる。
ただし、転職市場での価値はあくまで各個人の実力・年齢によって大きく変動しうる。


② 各総合商社ごとに、転職傾向が異なる
5つの対象業界への転職者数は各総合商社ごとに異なっており、その輩出人数の序列は現在の業界順位と一致している。
また、「三菱商事が投資ファンドへの転職に強い」等、各総合商社ごとに転職傾向がやや異なっている。

総合商社から転職すること、そしてその転職者が増加傾向にあることを、私たちはどう考えるべきでしょうか。

「総合商社の業務が、若手社員にとって魅力的でなくなっている」「配属リスクなどの組織体質が、不満の要因になっている」などとネガティヴに解釈することもできる一方、「総合商社はチャレンジングかつ優秀な学生を採用できている」「雇用の流動性が高まり、各個人が自分なりの幸福なキャリアを追求できている」などとも捉えることができます。

いずれにせよ、皆さんが「新卒カード」を使えるのはたった一度きり。

目先の承認欲求や憧れだけで就職活動を進めるのではなく、長期的なキャリアビジョンやライフプランをしっかりと見据えたうえで、あなた自身が本当に納得のいく(≒将来、あなた自信が幸福になれる)ファーストキャリアを選びましょう。

総合商社業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介

商社 オープンチャット

unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。

実際に総合商社志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。

下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。


▼ 総合商社のコラム記事はこちらから

▼ 総合商社の選考対策はこちらから

おすすめコラム 4 件

OB訪問の流れ・メリット・2回目に繋げてもらうための方法を解説! OB訪問の流れ・メリット・2回目に繋げてもらうための方法を解説! 就職活動となると、OB訪問は誰もが通る道です。実際に仕事に携わる社会人の話を伺って自分の将来をイメージすることは、志望動機を考える上で非常に重要なファクターです。今回は、OB訪問でも特に同じ人に複数回OB訪問をすることによって、自己PRや志望動機をブラッシュアップするメリットや効果について説明したいと思います。本記事のコンテンツ・OB訪問の方法・やり方・アポイントの取り方・日程の決め方・当日の準備・OB訪問での質問事項・年代別に対応を変えるべきか・OB訪問の際の御礼のメール・次回のOB訪問に繋げていく・OB訪問は選考に影響するかどうか・最後にOB訪問の方法・やり方まず、OB訪問する相手について考えてみます。大きく分けて、OB訪問の相手は以下の5つの場合に分けて考えられます。①部活動・サークルの先輩②ゼミの先輩③親戚の紹介④大学のOB名簿⑤友人・先輩の紹介①部活動・サークルの先輩体育会気質であればあるほど、活動時の苦楽など共有する点が多く、親しみが湧きます。したがってOBとしても、現役に会いたい気持ちも少なからずあるはずです。特に、ラグビー・ボート・野球など合宿所生活で学生生活のほぼ全てを捧げるような部活動に取り組んでいる学生はOBとの結びつきが非常に強いです。過去の有名企業内定者の話を聞いていると、練習の合間にOBにきめ細かい指導をお願いし、内定が近づいたという話もありました。OB側としても、同じ部活動・サークルに所属していた学生と一緒に働いたり、お酒を飲みたいと思うことは当然でもあるので、積極的にアプローチしてみるといいかもしれません。②ゼミの先輩同じ先生から少人数で教わるため、共通点が多いです。また、ゼミのOB会などが開催されればそこもOB訪問のきっかけになります。同じゼミの門下生は同ゼミに入るという時点で、「〇〇を勉強してみたい!」というある程度同じ志を持って入会するなど、考え方に多少の共通点を持っています。就活の企業選びに関しても、その軸や原体験が被ることもしばしばあるので、その辺りについて伺ってみると良いかもしれません。ゼミの繋がりが強いという場合には、部活動やサークルの先輩と同様に細かくみていただけることも良くあります。③親戚の紹介親戚の紹介で、共通点も特にない場合は、自分が家族を代表して会いに行くことになりますので、それなりの覚悟が必要です。OB側としても、「〇〇の頼みとあれば、やります!(一肌脱ぐか!)」という基本スタンスなので、相手がどのような学生か知らないにも拘らず、求められるハードルは高いです。多くの場合、人は「しっかりしている」と判断し、太鼓判を押したからこそ企業の社員を紹介します。ですので、紹介される社員側は「当然しっかりしているだろう」「礼儀正しい子だろう」「うちに入りたいんだろう」という先入観を持っています。この先入観を上回れば、そこで初めて非常に高い評価を得られるというわけです。ここで評価を得ることができれば、元々の親戚の繋がりもあるので、「やはりいい子だったし、会ってよかった」と思われ、ますます別の社員等を紹介していただけて就活状況が好転する可能性も大いに考えられます。④大学のOB名簿大学OBという大きな枠の中の繋がりなので、平たく言うと赤の他人です。失言等によって誰かの名誉・威信を傷つけることはありませんが、会話が続かずに実のない訪問になってしまうと、企業のOB側からも「時間を無駄にした」と思われかねません。この場合は、OB訪問へのハードルは低いですが、実際に評価されて次に繋げることが難しいです。共通の話題もいちから探さねばならず、「しっかりしている」という先入観が手助けしてくれるわけでもありません。その上、名簿を伝って訪問に来る学生は星の数ほどいるので、その中で印象に残るためには並大抵のことをしていては困難です。例えば、簡単な例だと「その場を会話によって盛り上げたのち、もう一度お話を聞くお願いをする」「別の人を紹介していただく流れにもっていく」などするのが良いでしょう。このような流れに持っていく方法論は下で別途紹介させていただきます。このように、OB訪問の相手と知り合うプロセスは主に5つほどありますが、その中で高い評価を得て、次回に繋げるにはどのようにしたらいいのでしょうか。OB訪問では、お話する際の内容のみならず、メールや会うまでのアプローチにも気を配ってみると好印象かもしれません。アポイントの取り方・日程の決め方やはり、メールが基本でしょう。社会人は勤務中は基本的に仕事で忙しいです。電話でアポを取ろうとした際、相手方が忙しい場合や、手際よく自分が日程提示できないと心象がよくありません。メールを送る際には、宛名(〇〇様)と署名を忘れないようにしましょう。この際、敬語の使い方には細心の注意を払わなければなりません。尊敬語・謙譲語・丁寧語のマスターは必須条件です。もちろん、社会人の人とメールする際には、ccの使い方や件名入力など知っておいた方が良い点がいくつかあるので、併せて調べてみると良いかもしれません。また、もし一度メールを送っても返信が来ない場合は、頃合いを見計らってから再送したり催促のメールを送ってみても良いかもしれません。ただ気づいていないだけというケースも良くありますし、複数回メールすることによって自分の強い熱意が伝わることもあります。(メールが丁寧という前提があってこそです。)参考:→OB訪問への依頼やお礼の際のメールについて、具体的な文面の例を紹介しています。当日の準備基本的にはリクルートスーツに就活カバンで行く場合が一般的です。筆記用具、メモ帳、携帯電話は必須アイテムです。それに加え、清潔感を出すために男性ならワックス、女性なら髪を束ねるなどして、髪を纏めておいてもいいかもしれません。また、相手に貴重な時間を割いて会っていただくという立場なので、遅刻は絶対に厳禁です。何があっても(電車の遅延等)遅刻しないために、集合時間の30分前にはオフィスの最寄りに到着するようにしましょう。(どんな理由であっても遅刻は人からの信頼を失います。)また、集合の際などにはわかりやすいように、電話番号を先方と教え合う場合が多々あります。待ち合わせ時間に電話が来た際には、すぐ出られるように準備すること・元気よく応対することが非常に大事です。もし自分がOB訪問を受ける社会人の立場であれば、元気の無い学生よりは元気のある学生と話してみたいと思うはずです。直接対話の前の電話やメールの時点で、相手に印象を植え付けるチャンスはあるので、心してとりかかりましょう。参考:OB訪問での質問事項さて、実際にOB訪問本番でどうすればよいのでしょうか。ここを知りたい学生がほとんどだと思います。するべき質問について考えてみたいと思います。話を聞いていると、インターネットで調べた質問のテンプレをそのままOB訪問に活用する学生が多いです。それらには以下のような例があります。①今まで仕事をしてきて最もやりがいを感じたのは、どんな瞬間ですか?②御社で活躍している人材に共通する特徴はありますか?③平均的な1日の仕事のスケジュールを教えて下さい話の流れの中でこういった質問を出すのはまだしも、何の流れもないところから、「やりがいは何ですか?」「社員に共通するポイントは何ですか?」などと質問しても、OB側は「また、こういう学生がきたか…」という思いを抱いてしまい、他の学生との差別化を図ることが困難です。「こういう学生」というのは、コミュニケーション能力に不足がある学生のことを指しています。仕事の話を伺う中で、「〜の仕事〜という場面では何に苦労したのでしょうか?私も似たような経験があって…」などと、流れの中で上手く会話が出来ると、相手方も「実際の仕事となると、〜という場面があって…」と話が続いていくはずです。以下は、就活生が実際に経験した総合商社OB訪問のいち場面です。就活生:総合商社の水事業ではどんな仕事をするのでしょうか。社員:水道が未発達な国に出向いてそこの人と話を進めながら…(以下省略)就活生:実際にホームページで拝見した仕事内容からイメージするに、日本の上下水道整備の技術者を海外に派遣してみればいいのでは?と思うのですが…いかがでしょう。社員:いやいや、実際に水事業のポイント・大変な点は日々のメンテナンスであって…このようなイメージで、聞きたい内容を意識しながらも会話の流れの中で自分の求める話を引き出せるようにしてみるといいかもしれません。会話の流れを作って、その中でテンプレの質問を活用するというのが、あるべきOB訪問の質問事項です。何も考えずにOB訪問をして、テンプレ通りの質問をしていては、自分にも相手にも何も得るものはありません。コミュニケーションを上手く取れない学生を採用したいと思う企業は存在しないうえ、そのような学生と話をしたい社会人もいません。互いに聞くこと、話すことがなくなり始めたらOB訪問も潮時なので、その時間が早く来すぎると互いに退屈してしまいます。ちなみに大体の場合は、12:00〜12:50くらいの時間で昼休みを使ってOB訪問を受ける社員が多いです。こうした社会人とのコミュニケーションの中で、自分が好感触を持った相手に対して、複数回にわたってESの添削や自己PRを見ていただくなどしてみるといいかもしれません。また、下記参考では、OB訪問での質問を作成することに関した記事がありますので、そちらも併せて是非ご参考ください。年代別に対応を変えるべきかまた、若手社員には就活時代のノウハウや研修のこと・中堅社員やベテラン社員には仕事のことを聞くと良いと言われてみますが実際のところはどうなのでしょうか。若手比較的就活を終えてからまだ時間が経っていないため、就活時のOB訪問・ES・面接の際に気をつけていたことなども聞いてみるといいかもしれません。また、自分(相手方の社員)が採用されたとき、どこを評価されたかなどを聞いてみると意外な答えや新たな発見もあるでしょう。併せて比較的若めであるならば、大学時代に所属していた部活動やサークルなどについて伺ってみても話の幅が拡がるかもしれません。中堅基本的な業務に慣れ、日系企業ではいよいよ大きな仕事を任される位のイメージです。若手のころの仕事の話から、その会社ではどのくらいの忙しさ・フィールドの大きさで・どのような人と働くのか伺ってみるといいかもしれません。もしかすると、企業によっては一次面接を担当するような人もいると思うので、面接の話を伺ってみても良いかもしれません。社員の紹介をお願いするのであれば、この年代以上の方にするのが良いでしょう。(5〜10年目くらい)また、バリバリのベテラン社員と若手の中間点にいるこれらの年齢層の社員は、学生の相談にも親身になってくれることがあるので面倒をみていただいているという学生もいました。ベテラン自分の分野における業務(ジョブローテがある場合は包括的な範囲で)に関しては、色々な経験を積んでいる社員です。このレベルの社員にお話を伺うのであれば、その分野で仕事に携わることを希望しており、簡単な知識がある状態でOB訪問するのが理想です。OB訪問の中でも、ベテラン社員が相手だと「どうして〇〇分野に興味があるのか(もしくはどの分野に興味があるのか)」という質問は絶対にされます。どの年齢層の社員にも尋ねられる確率は高いですが、ベテラン社員に訊かれた際にしっかり受け答えができないと、「こいつはたいしたことないな」と思われてしまいます。下で改めて述べますが、OB訪問での評価が選考に繋がるとすると、しっかり受け答えできるに越したことはありません。ベテラン社員と呼ばれる層の社員は面接でもよく登場するので、本番の面接と思ってOB訪問に臨むといかもしれません。OB訪問の際の御礼のメール御礼のメールでは、ご馳走いただいた食事への御礼の言葉(カフェの場合は飲み物)、その日の話で印象に残った点と自分の感想、自分の課題などを改めて丁寧に述べておくと良いでしょう。また、OB訪問した際に別の社員を紹介していただく約束を取り付けていれば、メールで改めてそのことに言及しても良いかもしれません。ただし、直接やりとりしていない場合にメールでお願いごとをすると心象が悪いので、紹介のお願いをするならば直接しましょう。直接会った際にすればいいお願い事を、後でメールでされると誰しも面倒に思うものです。それに加え、その日のOB訪問で感じた、自分の課題の整理をできると良いでしょう。OB訪問時に質問する中で、自分の知らないトピックや内容が出てきた際には、それらを取捨選択して自分のESや面接で話す内容に盛り込む必要性があります。時間が経たないうちにこれを実践できれば良いと思います。具体的には、OB訪問の御礼メールは一時間以内に打つべきです。社会人は常にやるべきことがあり、次々にとりかからねばならない仕事があるので、「鉄は熱いうちに打て」というわけではありませんが、早めにメールしておくのが得策でしょう。参考:これから総合商社のOB訪問を行う人が持つべき心構え次回のOB訪問に繋げていく別の社員紹介であれ、同じ社員に再度伺うのであれ、聞きたいことを整理してブラッシュアップする必要があります。同企業で、二回目以降にOB訪問するパターンには以下の二種類があります。①同じ社員に再びOB訪問する②紹介していただいた別の社員にOB訪問する①同じ社員に再びOB訪問するこの方法でOB訪問する学生は非常に少ないように思われますが、私の実体験からも、この方法でのOB訪問が最も有意義な時間となりました。「沢山の社会人から色々な話を聞くことによって見聞を広めなさい」「自分の興味がある仕事を見つけて、そこに携わる社員を紹介してもらいなさい」という類のアドバイスをもらう就活生は非常に多いように思いますが、これは半分正解で半分は間違いです。今回は、この方法でOB訪問を行うメリット・効果についても言及したいと思います。前提初めて会ってせいぜい一時間の、どこの馬の骨とも知らぬ大学生に対して、わざわざ丁寧に話を聞いて的確なアドバイスをしようと思う、お人好しな社会人はほとんどいません。(いないと思って臨みましょう。)自分のことをわかっていただいた上で、親身なアドバイスを頂くためには、何回も足を運んで信頼関係を醸成することが必要不可欠です。効果何度も時間を作って下さるのは、「この学生になら時間を割いてもいいな」と思われているからこそです。そういう気持ちに応えるためにも、自分のその会社での仕事への熱意を示すためにも、心身ともに本気でOB訪問に取り組むようになります。社会人側としても、いち学生に多くの時間を割くからには頑張って欲しいという想いが生まれて、懇切丁寧にご指導下さるケースも多いです。メリット具体的には、学生時代頑張ったことの説明の仕方や志望動機の練り方などを細かくみていただくことによって、面接での受け答えにキレを出すことができます。現場で仕事に携わる人が持つ仕事観と自分のイメージを擦り合わせることが出来るので、実際の面接でも面接官を納得させられるようなことを話せる可能性が上がります。もし社会人の方に、自己PRや志望動機に関してきめ細かく指導してもらいたいという気持ちがあれば、勇気を出して、同一の社会人に複数回OB訪問してみるといい結果が出るかもしれません。②紹介していただいた別の社員にOB訪問する多くの人はOB訪問というとこちらのパターンをイメージするかと思います。一回のOB訪問ののち、興味のある分野に携わる別の社員を紹介していいただくというパターンです。注意したいポイント一人の社員にOB訪問したからといって必ず別社員を紹介してもらえるかと言うと、それは大きな間違いです。社員の側からすると、学生を別社員に紹介するというのはそれなりにハードルが高いです。例えば、自分が上司や同僚に紹介した学生の評価が低いとすると、彼らは「〇〇に紹介された学生に時間を潰された」と思い、今度はそういう学生を紹介した自分の評価を下げてしまうことに繋がるかもしれないからです。ですから社会人に別の社員を紹介していただくためには、自分がまず高い評価を得なければならないということです。また、一度紹介してもらえると芋づる式に紹介されるという話もよく言われることですが、これは採用広報解禁後の場合が多いです。先陣を切って年末から年始めにOB訪問をする場合は、OB訪問をする学生の母数も少なく、企業側も本腰を入れていません。3月以前(現在の体制では)にOB訪問をして別の社員を紹介していただけなかったからといって、大して気にする必要はないでしょう。OB訪問は選考に影響するかどうかOB訪問をせずとも内定を獲得できる学生は数多くいます。ですが、単刀直入に申し上げて、OB訪問は必ず選考に影響すると言えます。多くの大企業では、OB訪問を受けた社員は学生のプロフィールと評価を纏めたものを人事に提出していると言われています。企業側から考えると、優秀な学生でかつ自社を志望してくれる学生がいれば、早めにマークしておきたいと思うのはごく自然なことです。実際に、いくつかの企業にOB訪問をしていた日系大手の内定者は、普通の学生と選考ルートが違ったと述べていました。実際にこのような例は日系大手企業でよくあることで、下に学生が述べていた就活におけるケースを記載しておきます。三菱商事・・・一次面接が会議室(通常はブース)住友商事・・・一次面接を免除伊藤忠商事・・・OB訪問人数・印象を質問三井不動産・・・特別選考イベントに招待東京海上・・・最終前にOB訪問の有無を確認トヨタ・・・説明会なしでリクルーターがつく逆に、先程も述べたとおり、OB訪問は全くしていないという内定者が数多くいるのも事実です。大手広告代理店や、総合商社のようにOB訪問が必須と言われる業界にもOB訪問をせずに内定している学生は数多くいます。結局のところ、優秀であれば内定は獲得できるのかもしれませんが、「OB訪問をして自己分析・企業研究をしっかりしていれば…」というような悔いを残すことが絶対にないよう、志望度の高い企業には一通りOB訪問しておくことを強くお薦めします。特に、複数回のOB訪問を同一の社会人相手に繰り返すことで、志望度の高さを示すとともに、毎度のブラッシュアップで企業側に自分の成長を見せておくというのも一つの戦略として良いかもしれません。最後にいかがでしたか。今回は、就活生の第一関門であるOB訪問にまつわる話について述べさせて頂きました。特に、インターンシップなどには中々参加できない層の学生にとっては、OB訪問が命です。社会人との接点であるOB訪問においては、学生の独りよがりにならずに、上手くコミュニケーションを取って信頼関係を築けていけるかどうかがカギになってきそうです。photobyVilmosVincze 47,194 views
新卒でなれる20代で最も年収が高い職種の一つである「データサイエンティスト」って知っていますか? 新卒でなれる20代で最も年収が高い職種の一つである「データサイエンティスト」って知っていますか? パーソルキャリアの転職サービス「doda」のデータに基づく「平均年収ランキング2018」によると、データサイエンティストの2018年の20代の平均年収が404万円という発表がありました。20代の職種別でみるとかなりの最高水準の年収になっています。まだまだ希少価値が高い職種のため、企業によっては年収1,000万~1,200万円を提示するケースもあります。実際に就活生が思い浮かべる代表的な職種といえば、「営業・マーケティング・エンジニア」などが中心であり、逆にデータサイエンティストという仕事はあまり聞いたことがないと思います。また、データサイエンティストの理解を深めようと思うとかなり奥が深くなり、専門用語も多く難しく感じてしまう方も多いことでしょう。そこで本記事を通じ、「データサイエンティストを詳しくは知らない就活生」が興味を持つきっかけになっていただければと思います。データサイエンティストとは?結論から述べると、データサイエンティストとはその名の通り、データをサイエンス(科学)する仕事です。どういうことなのか。まず、データサイエンティストの前に、ビッグデータについて解説します。就活生の皆さんもビッグデータという言葉自体はよく耳にしていると思います。IT用語辞典では、ビッグデータについて下記のような説明がなされています。ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。明確な定義があるわけではなく、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。引用:IT用語辞典つまり、「様々な形をした、様々な性格を持った、様々な種類のデータのこと」を指します。データは分析・解析されてこそ企業としての価値があります。そこで、データサイエンティストの出番です。さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートをすることにより、企業の事業成長に貢献するのが仕事となります。例えば、企業が新規事業開発や商品を企画するためには、顧客(消費者)が何を欲しているかを知る必要があります。データサイエンティストが扱うビッグデータは、実際の顧客(消費者)の行動に即したデータのため、これを分析することで現状分析をすることができ、その分析を生かして、本当に顧客(消費者)が求める事業や商品を開発することができます。このように、テクノロジーの進歩により、他社との競争に勝つために、企業にとってデータは大きな価値となっています。アメリカのビジネス雑誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HarvardBusinessReview)では、データサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」と紹介するくらい、今最も注目されている職種のうちのひとつになっています。参考:注目のデータサイエンティストとは?仕事内容や将来性を徹底解説なぜ、データサイエンティストの年収は高いのか?上述しているように、ビッグデータの価値が増している中、企業内でデータを分析・活用する動きは活発です。その中でデータ活用に携わるデータサイエンティストの需要は高まっています。日本のデータサイエンティストはアメリカよりも大幅に不足しています。アメリカでデータ分析スキルが見込める学生が年間2万人以上卒業するのに対し、日本では約4,000人とされています。そしてアメリカの調査会社ガートナーによると、日本では将来的に25万人ものデータサイエンティストが不足すると言われているのです。その結果として、データサイエンティストの市場価値が高まっています。参考:ビッグデータ分析に人材の壁、25万人不足見通しどんな人が向いているのか?データサイエンティストに興味が出てきましたか?興味を持ったとしたら、次に気になるのが、果たして自分に適性はあるのかどうかですよね。東京大学卒業後、データサイエンティストとして様々なビジネスデータ分析に携わっている「手を動かしながら学ぶビジネスに活かすデータマイニング」の著者でもある尾崎隆氏は、データサイエンティストに求められる素質についてブログで下記のように述べています。●データドリブンなメンタリティ「データに基づいて何かを解き明かし、意思決定する」ということに重きを置くというメンタリティ●データ分析を支える学術・技術への学習意欲努力を厭わず積極的に学び取りたいという学習意欲の持ち主であること●旺盛かつ根源的な知的好奇心データ分析の仕事は時代に追い付き続けられるようにいつでも新しい学術や技術を学び続けるため詳細はこちらから:データサイエンティストや機械学習エンジニアに求められる「素質」とは何かいかがでしょうか?もし、上記に当てはまる方は、データサイエンティストという職種を視野に入れて就活をしてもいいかもしれません。データサイエンティストを目指すなら企業の中でデータサイエンティストが職種として確立している企業に入社するのが一番良い方法だと思います。会社としてデータサイエンティストの職種が確立されていますから、スキルを学びながら経験を積んでいけます。例えば、リクルートホールディングスは実際に19年度入社を対象に、「データ解析コース」として、職種別採用を実施していました。初年度から年収例が427万円となっており、優秀なデータサイエンティスト候補の採用に注力しているのがわかります。参考までに募集要項を確認してみましょう。【応募必須条件】(スキル・経験・志向など)・数理統計学/解析/機械学習/自然言語処理/人工知能/画像解析など分析・解析手法に関する知識を有する方・Python、R、MATLAB、SAS、SPSSなどの統計解析言語やプログラミングの利用経験を有する方・上記などの専門知識や技術を活かして問題解決をしたいと考えている方【望ましい条件】・プログラミングまたは分析ツールを用いて、データ加工を行うスキル・構造化されたデータ(フラットファイル、RDB等)に関する理解引用:リクルート2019年新卒採用サイトあくまでもリクルートの応募条件のため、その他の企業に当てはまらない可能性がありますが、興味を持った方は今から勉強するのもありだと思います。職種別採用で注意すべきこと新卒からデータサイエンティストを目指す場合、入社する企業は精査する必要があります。今年、「今データサイエンティストを目指してる人の7割が5年後に年収350万にしかなれない」という記事が話題になりました。内容としては、データサイエンティストを採用したくてもできていない企業がこぞって、「データサイエンティスト募集!未経験応募可!」という求人を募集し、データサイエンティストの卵を採用するのですが、「育成するための土台が整っていない」「そもそものデータを集積できていない」という劣悪な状態のため、「こんなはずではなかった・・」と嘆く人が今後増える可能性があることを示唆しています。その結果として、一部の特別なスキルや実績のある人材だけが高待遇になり、キャリア選択をミスしてしまった人材の年収は上がらずといった、二極化になることが想定されます。そのため、就活生の皆さんも盲目的にならずに見極める必要があります。ポイントとしては、「その企業で既に組織としてデータサイエンティストの仕事が確立されているのか」や「OB訪問で働いている中の人に実態を聞いて見る」が有効な手段となります。参考:データサイエンティストを目指す就活生の皆さんに役立つかもしれない記事まとめデータサイエンティストになりたい学生の為の就職先の選び方最後にいかがだったでしょうか?データサイエンティストに興味を持ちましたか?データサイエンティストといっても決して仕事内容をひと括りにすることはできません。もし本記事をきっかけに、少しでも興味を持った方は、ぜひ色々調べてみてください。関連:IBMの【内定】エントリーシート(データサイエンティスト) 36,927 views
21卒は就活氷河期になるかも?経済学部がガチで調べてみました。 21卒は就活氷河期になるかも?経済学部がガチで調べてみました。 こんにちは。就活中の慶應生です。最近、経済学を勉強していて景気循環があることを知りました。景気循環は一定のサイクルで回っており、そろそろ不況が来るかもしれないという予想が立っているらしいと聞きました。そこで、景気が悪くなってしまうと新卒の採用状況にも影響してくるのではないかと不安になり、本当にそうなってしまうのか調べてみました。結論から言うと、21卒の就活市場が悪化するかもしれません。就活市場が悪化する理由は、日本経済が不況になる可能性があるからです。”どこに申し込んでも、選考が進まない、通らない・・・”と何社出しても最終面接まで行きつかず、内定が取りにくくなる時代が再び来るかもしれません。不況になった場合、採用人数ってどうなるの?どれくらい危機的状況なの?本当に不況が来るの?今から対策できることって何?など21卒の皆さんが疑問になることを考察し、解決していきたいと思います。不況になると新卒採用ってなぜ減るの?皆さんに質問です。不況になると就活の状況がどのように変わると思いますか?21卒の皆さんならば、なんとなく不況が来たら企業の採用人数も少なくなるのは感覚でもわかるのではないでしょうか?少し考えてぱっと答えが出た人も、感覚では分かるけど詳しくは説明できない、と様々だと思います。不況が来ると就活の状況がどうなるのか、詳しく説明していきたいと思います。まず、景気が悪化すると企業の業績が下がり利益が減ります。そして、企業は赤字になるのを防ぐために、企業は余分なコストを削減し始めます。企業の経費の中でも大きく占めるのが人件費です。人件費を削減すると、新卒採用も縮小することになります。実際に、上のグラフを見ていきましょう。水色が求人総数です。直近一番大きな金融危機であるリーマンショックは2008年に起こりました。その後の2009年をピークに2014年まで、明らかに求人総数は減少していることが分かります。このように、景気が悪くなると求人数も減り、新卒の採用人数も減ることが考えられます。参考:第35回ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)リーマンショック時の就活では、世の中の景気が悪くなると、どのような状況になるのでしょうか。先ほど出てきたリーマンショックを例に用いて解説していきたいと思います。リーマンショックとは皆さんは、リーマンショックをご存じでしょうか?私たちが小学生の時にあった出来事です。”一回は聞いたことがある”という人も多いのではないでしょうか。リーマンショックとは、2008年9月に起こり、アメリカのリーマン・ブラザーズが倒産したことによって引き起こされた、世界的金融危機のことです。アメリカで起こった不況の影響は、日本にも到来しました。そして、日本経済は不況になり、就職活動にもマイナス影響をもたらしました。私たちはまだ小学生だったこともあり、不況の影響は感じることが少なかったと思います。しかし、当時の日本経済はかなり低迷した時期でした。この低迷は給与のボーナスにも影響し、大幅にカットされていたようです。自分が在籍していた企業では、リーマンショック以降賞与が3年間カットされていた。引用:2008年のリーマンショックが日本経済に与えた影響元アメリカ大統領のバラク・オバマさんもリーマンショックの出来事をかなり深刻に捉えていたようです。2008年9月以降世界経済に大きな悪影響を及ぼしたことが分かります。「1929年の)大恐慌以来、最も深刻な金融危機だ」引用:2008年9月15日リーマンが破綻破産法適用申請リーマンショック以降、日本の就職活動も難しくなりました。実際に、企業の経営も悪化し、内定が決まっていたのにも関わらず、内定取り消しを受けた学生も多くいたようです。2008年度では2000人を超える就活生が内定取り消しになってしまいました。参考:ルール廃止で増加懸念内定取り消し73人、今年も低水準関連:「え…こんなことで内定取り消し…?」あなたの身近にも潜んでいる内定取り消しの悲劇就活における言葉の定義ここで、リーマンショックの時の就活状況を理解する前に、言葉の定義を理解していきましょう。皆さんは就活市場での、売り手市場と買い手市場の定義は説明できるでしょうか?最近はよく、”売り手市場”という言葉をよく耳にすることが多いです。今一度、その意味を理解し、整理しておきましょう。就職市場における「売り手」とは?「買い手」とは?「売り手」は、就職したい学生。「買い手」は、採用したい企業。なぜ、このような表現になるのか?雇用するにあたって、給与というお金を支払うのが企業だからと考えるとイメージしやすくなるでしょう。就職市場は、売り手が優位になったり、買い手が優位になったりと変動するものです。たとえば企業のトータルの求人数が少なければ、就職は狭き門となり、企業はじっくりと応募者を選考でき満足度を高めることができますが、一方で応募者である学生は苦労することになります。よって、企業側優位であり、このような場合は、「就職買い手(優位)市場」となるわけです。逆に、企業のトータル求人数が膨れあがったにもかかわらず、就職希望学生数が変わらなければ、就職は広き門となります。結果として、学生は就職先企業をじっくり選ぶことができ満足度を高められ、企業は優秀な入社予定者の確保に苦しむことになります。よって、「就職売り手(優位)市場」となるのです。引用:就職売り手市場、買い手市場最近よく言われている売り手市場は、「就職したい学生にとって優位な状況」です。一方で、リーマンショックの時の買い手市場は、「就職したい学生にとって不利な状況」なのです。また、景気と就活の関係をよく表している指標の一つに有効求人倍率というものがあります。こちらの言葉も今一度確認してみましょう。有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値のことで、雇用状況から景気を知るための統計資料の一つです。経済指標としても重要で、厚生労働省が毎月公表しており、ニュースや新聞などでも報じられます。有効求人倍率は、求職者1人に対して、何人分の求人があったかを示すもので、求職者数よりも求人数が多いとき=人手が不足しているときは、有効求人倍率が1を上回り、逆のとき=就職難のときは1を下回ります。有効求人数は、公共職業安定所を通じた求人・求職情報を利用するため、求人情報誌や転職情報サイトなどの求人情報は含まれていません。引用:有効求人倍率とは?雇用状況から景気を知るための統計資料の一つということは、有効求人倍率が下がっていれば、景気も下がっているということです。一方で、有効求人倍率が上がっていれば、景気は上がっています。つまり、景気と有効求人倍率には正の相関があります。【本記事上の定義】・売り手市場…就職したい学生にとって優位な状況・買い手市場…就職したい学生にとって不利な状況・有効求人倍率…景気を知るための統計資料の一つリーマンショック時の就活状況言葉の定義を理解したと思うので次に、リーマンショック時の就活状況を見てみましょう。リーマンショック時の就活は、買い手市場でした。先ほども定義を見たように、買い手市場は「就職したい学生にとって不利な状況」です。実際に、内定取り消しがかなりあった時代の就活市場は、学生にとって厳しいものでした。売り手市場だった頃とは一転し、「御社が第一志望です」と言う学生が増えたり、数十社応募しても、面接でほぼ落とされる、内定一社取れれば良い方という状況が続きました。就職活動がかなり困難を極めていたようで、卒業を取り消して留年扱いにする措置を取る大学まで現れたこともあったそうです。売り手市場時代に生きる現役就活生からしたらイメージしにくいかと思いますが、当時は一人の応募企業が100~200社というのもザラであり、どんなに選考対策を行い数を追っていっても、なかなか実を結ばないという非常にシビアな就活風景でした。引用:不景気は就活に響く?就活生はどう動くべきか確かに、私たちはまだ売り手市場と言われている就活生で、イメージしにくいと思います。しかし、買い手市場になるとかなりの数の企業に応募しないといけない状況になります。応募企業が多くなると、企業研究の量やOB訪問も必然的に増えていくでしょう。数値的には、2009年の有効求人倍率は2.14倍と2008年と変わらなかったのですが、リーマンショックが起こった翌年の2010年には、大幅に有効求人倍率が1.62倍に下がっています。そして、2011年から2014年にかけて有効求人倍率は低迷を続けていました。先ほども、景気と有効求人倍率の関係性を見たように、不況になると、その後数年間は有効求人倍率は低迷し続けることが分かります。このような買い手市場になった場合も想定して、今後の就活を進めていきましょう。参考:第36回ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)?本当に不況が来るのか?リーマンショック後、就職活動を行った世代はかなり過酷な状況を強いられたことが分かりました。次に、不況が来るのか調べてみました。結論から言うと、不況が来るかもしれません。その理由を述べていきたいと思います。景気循環皆さんは「景気循環」という言葉を知っているでしょうか?今後、不況が起こる可能性を調べていったときにこのワードは知っておいてもいいと思いました。景気は就職活動にも影響を及ぼすものなので、ある程度の知識を持っておいてもいいかもしれません。一度、図も含めて理解していきましょう。資本主義経済の経済活動は、図表19-1のように時間を通じて上下変動をすることが実証されており、この変動を規則的な循環運動として捉えたものを景気循環とよぶ。景気の山から山まで(または谷から谷まで)を一循環(一周期)とよび、景気の山から経済活動が低下し始めた状態を後退、後退が進み谷に至るまでを不況、景気の谷から経済活動が上昇し始めた状態を回復、回復が進み山に至るまでを好況という。引用:第19章経済変動図からも分かるように、景気は循環していて、一定のサイクルであることが分かります。景気が後退していき、不況になり、回復し、好況に戻っていきます。今の景気の状況を知ることも、世の中を知る上で大切かもしれませんが、大きな文脈で見ることも一つの手だと思います。では次に、今までにどのような景気循環の流れがあったのか見ていきたいと思います。信用危機の再来に警戒感が強まっている。2018年はリーマンショックから数えて10年の信用サイクルの節目に当たるからだ。リーマンショックのような金融危機は好景気の下で信用供与が膨張していたところで、何らかのきっかけで債務不履行が発生し、リスクを減らすための資金回収に個々の投資家が走る結果、資金不足による倒産が連鎖して起こる。1987年に起きたブラックマンデーに始まり、1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックとほぼ10年の周期で金融危機が発生してきた。引用:リーマンショック10年、危機は再び来るのか1987年のブラックマンデー➡1997年アジア通貨危機➡2008年リーマンショックと約10年ごとの景気循環があることが分かります。上記の引用でも提示されていますが、2008年のリーマンショックから10年ほど過ぎ、もうそろそろ不況、金融危機が来るのではないかという予測は立てられます。もしかすると、今年か来年あたりにリーマンショックのような状況になるかもしれません。また、次のように景気について予測しているものもあります。BridgewaterAssociatesのRayDalio氏が、現在を「景気サイクルの終わりから1-2年前」の時点と明言した。〔中略〕同氏はサブプライム/リーマン危機を的確に言い当てた1人としても有名だ。引用:レイ・ダリオ:景気サイクル終盤で起こることこの証言は、2018年だったので、2019~2020年にかけて不況が来るかもしれないということを言っています。このレイ・ダリオさんはリーマンショックの予想を当てた方でもあるので、この証言はかなり有力であることが分かります。調べていく中で、そろそろ不況が来るのではないかと予想が多くありました。就活にも関わってくることなので、今後の景気の動向が気になる一方です。求める人材像が変わるここまで読んでくださった21卒のあなたは、「もしリーマンショックのような危機的な状況になるのならば、何を対策していけばいいのか?」と思うでしょう。その答えは、これからの時代において求められる人材になることです。では、皆さんはこれからの時代において求められる人材とはなんだと思いますか?論理的に考えることができる左脳型の人材でしょうか?それとも、共感ができ全体を把握できる右脳型の人材でしょうか?答えは、半分正解で、半分間違っています。つまり、右脳と左脳思考のどちらもバランスの取れた人材が今後求められる人材になります。確かに、論理的な思考が求められるのは正解です。しかし、それだけでは今後求められる人材にはなれません。今や、事務作業や簡単な処理はAIやコンピューターに代替されてきている時代になっています。そのように時代が変わってきているということは、「求められる人材」も変わってくるのではないでしょうか?「これから求められる人材」を考えるポイントについてヒントになる本を紹介したいと思います。社会評論やビジネス関連の書籍を多く執筆しているダニエル・ピンク氏の著書『ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』です。過去150年ほどの大きな流れを見てみると、大量生産の工場で働く強靭な肉体と精神を持ち合わせた労働者たちの「工業の時代」から、論理的で分析思考の得意な左脳型であるナレッジワーカーたちの「情報の時代」になりました。ナレッジワーカーの言葉の意味は以下の通りです。ナレッジワーカーとは、ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)を組み合わせた造語です。企業に対して、知識による新たな付加価値を生み出す労働者、「知識労働者」のことを指します。肉体労働やモノづくりのための単純労働に対する概念で、形のない知的生産物を生み出す労働者と定義されています。20世紀に活躍した社会学者・経済学者として知られるピーター・ドラッカーが、1960年の著書『新しい現実』の中で提唱しました。引用:「ナレッジワーカー」とは?仕事内容や求められる能力、育成事例ナレッジワーカーがこれまでの時代を牽引してきたのは間違いない事実です。しかし、これからの時代は大きく分けて三つの要因によって知識労働者であるナレッジワーカーのような左脳型人間は活躍が難しくなってくると言われています。三つの要因①先進国の生活が豊かになった②より低賃金なアジアに仕事を委託できるようになった③AIやロボットなどのテクノロジーの発展により、仕事が代替されるようになった。上記の世界の動向を踏まえれば、左脳型の思考をしているだけでは今後の求められる人材に合わなくなってしまいます。もちろん、「左脳型の思考が必要ない」ということではないということです。左脳型の思考も必要であるという前提で右脳思考も大事になってくるのです。また、「今後求められる人材像」について、リクルートワークス研究所副所長の中尾隆一郎氏は下記のように述べています。【2つのタイプ】・広範な知識と経験に基づく調整力にたけたゼネラリスト以上に、社内外のさまざまな人々を結び付けて収益を生み出す力を有しているのがプロデューサー・限られた職域で定型的な業務に注力するスペシャリストよりも、さらに専門性が高くしごとに必要なテクノロジーを使いこなすことができるのがテクノロジスト引用:日本企業が求める人材像、2030年にはこの2タイプに!?特に前半部分の「社内外のさまざまな人々を結び付けて収益を生み出す力を有しているのがプロデューサー」は、これから特に大事になってくるものです。先ほども紹介した、「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」でも、”個別よりも『全体の調和(シンフォニー)』”が求められると述べています。ダニエル・ピンク氏は、この「調和(シンフォニー)」を次のように定義しています。今日、最も重視されるのは、分析力ではなく総活力、つまり全体像を描き、バラバラなものをつなぎ合わせて印象的で新しい全体観を築き上げる能力である。〔中略〕たとえば、パターンを認識すること、境界を外して考え、隠された関連性を見つけ出すこと、イマジネーションを大胆に飛躍させることなどだ。引用:ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代情報に簡単にアクセスできる時代になり、とても便利な時代になったと思っている人は多くいるでしょう。その一方で情報過多により、選択肢が無限にある今日では「全体的に捉える能力、バラバラの断片をつなぎ合わせる能力、統合する能力」がより一層求められるようになっています。言い換えると、右脳の重要性が高まっているということです。まとめると、今後は右脳と左脳の両方を持ち合わせた人材が求められます。当然ながら右脳はすぐに鍛えられるものではありません。本章で伝えたかった内容としては、「自分は高学歴だから内定がもらえるだろう。」と楽観視せずに、不況に備えて、今からできる就活対策を粛々と進めることが何よりも大切だということです。参考:ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代【大前研一さんのお薦めの書籍】参考:成功ルールが変わる!―「カラオケ資本主義」を越えてネクスト・マーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略(ウォートン経営戦略シリーズ)就活生はどう向き合っていくか本記事を読んで、21卒のみなさんはどう感じましたか?仮に、金融危機が起こってしまった場合、就活市場に大きく影響を及ぼしていきます。リーマンショックの二の舞にならぬよう、就活の対策はぬかりなくやっていきましょう。また時代が変化していくと、これから求められる人材の流れも変わってきます。これらのことを頭の片隅に入れながら、21卒の皆さんは就活の対策をしていきましょう。就活は、自己分析、ES、グループディスカッション、面接など対策するべきことはたくさんあります。「売り手市場」という言葉に踊らされずに今からできること、「本選考に向けて早めの対策」をしっかりしていきましょう。油断は大敵です。また、unistyleには就活の対策記事がたくさんあります。ぜひたくさん活用して、納得した就活にしていきましょう。また以下の参考記事が、今の就活の状況を見つめ直す機会になれば幸いです。参考:新卒に1000万円、急激な人材市場の変化に就活生はどう向きあえばいいのか。参考:unistyleの記事をひたすら読み込んだ私が面接で無双した話【~対策記事一覧~】自己分析業界研究OB訪問志望動機企業選び面接 12,451 views
インターン選考比較!東京海上日動火災保険・損保ジャパン・三井住友海上の採用とは インターン選考比較!東京海上日動火災保険・損保ジャパン・三井住友海上の採用とは こんにちは、16卒の損害保険内定者です。この記事を読んでいる方の中には、インターンへの参加や筆記試験対策に動き出した(あるいは動いている)方も多くいらっしゃるかと思います。昨今の就職活動では総合商社や金融機関などの人気が高いように感じられるのですが、この時期にそれらの業界の違いまで深く掘り下げられている学生は少ないのではないかと感じます。今回の記事では対象を損害保険会社の上位3社(東京海上日動火災保険・三井住友海上・損保ジャパン)に絞り、それらの違いをインターンや採用選考の方式から見ていきたいと思います。本記事のコンテンツ・東京海上日動火災保険:とことんエリートを集める・スペック重視の実力勝負・損保ジャパン:数を打ってエリート収集・努力が報われる・三井住友海上:ひたすら数を打って学生と会う・良くも悪くも平等・最後に・保険業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介東京海上日動火災保険:とことんエリートを集める・スペック重視の実力勝負東京海上日動のインターン実施時期:大学の長期休暇に準ずる(サマー・ウィンター・スプリングいずれも)私服でインターン選考に参加し、そのまま受かってしまう学生がいたり、自己分析の材料になるほど深い自己分析を求められることからも、伝統やしきたりよりも学生自身の内面を評価する傾向にあるように感じられます。また、インターンの面接は2回あるようで、インターン参加者は自身の選考通過の要因を以下のように語っています。【一次グループ面接】・学生時代頑張ったことを1分以内にまとめて話したこと。・大きな声で、ゆっくり話したこと。・聞かれたことに結論から簡潔に答えた。文章にすると一見基本的なことだが、自分以外の人はこれらができていなかった。自分は今回が二回目の面接で慣れていた面もあるが、緊張して逆に話しすぎるケースが大半であったので場馴れもあるかもしれない。【最終個人面接】・笑顔で会話したこと・等身大の自分をさらけ出したこと・一貫した価値観が伝わったこと基本的に全ての質問に間を空けずに答えられた。ある程度質問を想定していたが、日頃から自分の意思決定について自問自答する習慣があったので、その辺も起因していると思う。自分の行動や世の中の何気ないことに「なぜ」と考える人が好まれるのではないかと思う。「東京海上日動火災保険インターン情報(12)(営業部門)」よりまとめると、「当たり前のことが当たり前にできること」が選考通過の要因なのかもしれません。また、インターンに参加することで本選考時に面接回数が減ったり、インターン生限定のセミナーに招待されたりと、有利になることでも知られています。参考:「東京海上のインターン面接は最高の自己分析ツールなので絶対に受けるべき」東京海上日動火災保険の採用選考以下の記事でも触れられているように、東京海上日動では志望動機が聞かれません。面接での質問は「学生時代に何に取り組んだか」ということについて深く掘り下げられることが考えられます。それを裏付けるかのように、unistyleのどの選考情報を参照しても、・「嘘はつかないほうが良い」・「等身大の自分を語る」・「自己分析を入念にすること」・「話す内容に付随する具体的なエピソード」という言葉が多く使われています。また、3メガ損保の中では唯一会場に学生を集めてSPI型の試験を実施するようです。参考:「東京海上、ESで志望動機を記入不要とした理由人事企画部採用チームリーダーの横山功介氏に聞く」また、OB訪問をしなければ内定が出ないという暗黙のルールが存在し、私の先輩には最終面接の場で「OB訪問をしないと内定を出せないことになっている」と言われて急いでOB訪問をしたという方もいました。選考には関係ないものの、会社の雰囲気を知ってもらうためにもやらなければならないことというように捉えるべきだといえます。東京海上日動火災保険の選考のまとめ三菱系の会社ということもあり、真面目で学歴の高い学生が多く集まり、社員の方もプライドを持って仕事をしているように感じられます。「3メガ全てに内定をもらえたとしたら東京海上日動火災保険に行きたい」という学生も主観ですが多いように感じられます。東京海上日動火災保険から内定をもらうためにできる努力としては「自己分析」に尽き、学生がどんなに東京海上日動火災保険に入社することを目的に学生時代に何か行動を起こしても、その努力が報われることはほとんどないと言えます。損保ジャパン:数を打ってエリート収集・努力が報われる損保ジャパンのインターン実施時期:大学の長期休暇に準ずる(サマー・ウィンター・スプリングいずれも)ESとWEBテストさえ通過すれば面接はグループディスカッション1回のみと、参加難易度は比較的優しい部類に入るといえます。グループディスカッションでは面接官が「全員合格もありうる」と公言しているようです。それ故か、参加する学生層も東大からMARCHまで幅広く集まるようです。また、インターンの最中のメンターは社員ではなく、参加学生にとって身近である内定者を配置することも特徴として挙げられます。16卒の採用選考では東京海上日動火災保険と同様に、インターンに参加すればインターン生限定の選考に面接解禁前から参加することができた学生もいたことから、学生にとって嬉しいこと尽くめの内容になっています。参考までに、インターン参加の要因を以下に紹介します。インターン選考において評価されたポイントや選考において重視されていると思う点について教えてください。グループディスカッションでは、自分の意見をグループメンバーに納得させる力だと思う。参加している学生は自分の意見の主張がうまく、それゆえにグループとしての意見をまとめるのが難しかった。うまくグループメンバーの良さを引き出し、まとめあげていることができた人が評価されていたのではないか。選考においては、面接官が全員合格もありうると公言するくらいなので、協調性を重視していたのではないかと思う。グループの中で、学生がどのような価値を発揮して、プレゼンスを発揮できていたかが評価されていたのではないか。「損保ジャパンインターン情報(4)(総合コース)」より損害保険会社の仕事の一つに代理店営業が挙げられますが、そこで求められることの一つとして「人気企業内定者に共通する、企業に伝えるべき5つの強み」の中の「価値観や立場の異なる人と協力して成果をあげることができる」が考えられます。実際の面接でも、そのような力が評価対象であると考えられます。損保ジャパンの採用選考面接解禁前から実施されるインターンに参加した優秀な学生限定の選考と、面接解禁後から行われる選考に別れるようです。unistyleの選考情報を参照すると、前者では面接の回数が2回、後者では4回のようです。特徴としては、前者では「自己PRや学生時代に頑張ったことなどオーソドックスな質問」に集中することに対し、後者では「もしあなたなら、この状況でどう行動する?」というような質問がされる可能性があるようです。インターンに参加した際にメンターとしてついてくれた15卒の内定者は、「LINE、3メガ損保、TPPといった言葉が書かれた3枚のカードから1枚を選び、その内容について自分の知っていることをプレゼンする」という「プレゼン面接」があったと言っていました。また、損保ジャパンには自分の興味のある部署やキャリアを積んでいる社員に会うためのツールとして「WEBからのOB訪問」なるものが存在します。しかし、これは解禁と同時にアクセスが集中し、すぐに埋まる傾向がありました。OBに会う場合には、結局自らのコネクションや大学に置かれた名簿を参照することが一般的であることに変わりなさそうです。参考:「損保ジャパン本選考情報」※通常選考「損保ジャパン本選考情報(2)」※インターン参加者限定の選考損保ジャパンの選考まとめ16卒の面接では「プレゼン面接」が廃止されたようですが、総じて自己分析よりも自己発信力や相手を納得させる力が評価されるように考えられます。その分、就職活動解禁前からしっかり準備をして、インターンや面接に臨むことで、内定を取れる確率が高くなる「努力が報われる方式」であると感じます。一方で、優秀な学生は東京海上日動火災保険に取られるからか、優秀な学生と会う場を増やして採用確率を上げるという努力をしていることが感じられます。参考:三井住友海上:ひたすら数を打って学生と会う・良くも悪くも平等三井住友海上のインターン実施時期:ほとんど通年16卒の就職活動においては、3メガ損保の中では唯一2014年6月から1年以上に渡り採用活動を行っていました。どういうことかというと、インターン参加した学生の中で優秀な学生は「続・インターン」が用意されているようです。インターンが長期休暇に合わせて行われていないことからも、大学の授業を欠席する必要があったりと三井住友海上への高いコミットが求められると言えます。インターンの選考では損保ジャパンと同じくES・WEBテストを経てグループディスカッションのみの選考となっており、こちらも比較的参加難易度は易しいと言えそうです。損保ジャパンとのグループディスカッションにおける違いとしては人数が挙げられ、三井住友海上では8人以上の学生を1チームとしてディスカッションを行うようです。インターン中におけるメンターは日替わりで内定者が務めるようです。東京海上日動火災保険や損保ジャパンと違い、インターン参加者限定の特別フローというのはunistyleの選考情報を参照しても確認できないことから、三井住友海上におけるインターンの位置づけは「多くの学生と出会いの場を持つこと」だと言えそうです。参考:「三井住友海上インターン情報(5)」三井住友海上の採用選考インターン参加者限定のフローが存在しないため、全員4回の面接を経て内定ということになるようです。ESやテストセンターの通過難易度は比較的に低く、内定までのフローも長い方なので、以下に紹介するような「三井住友海上を第一志望とする学生しか集まらない方式」となっていると考えられます。本選考のためにした準備について教えてください。セミナーが全部で8種類ほどあったが、全て参加した。また、実家の近くの支店に3月に直接電話をし、社員の方とお会いすることができた。年次が若い女性の方だったので、会社のことだけでなく、就活のアドバイスまで色々な話を聞いた。その方は通過したESを見てくれて、想定問題を一緒に考えてくれた。8月の面接はそれで臨んだ。大学のキャリアセンターで2度、個別面談練習をしてもらった。その際は、MSに行きたいことを伝えて、去年先輩が聞かれた質問を出してもらっていた。「三井住友海上本選考情報(3)」よりまた、三井住友海上の採用活動においては損保ジャパンと同様に「WEBからのOB訪問申込」が存在します。損保ジャパンのように1回締め切ったら終わりとはならず、5月から7月にかけて5回程のタームに分かれてOB訪問申込が実施されるため比較的参加しやすいと言えます。ここでのOB訪問で高評価だった場合、また違う人や部署の社員に対してOB訪問をする機会を得ることができるようです。三井住友海上の選考まとめ賛否両論あると思いますが、16卒の採用活動においてはひたすら説明会やインターンを実施して学生を集めていた印象を受けました。インターン参加者に特典が設けられていないのも、あまりにも多くの学生に会っていることに起因していると考えられます。また、WEBからのOB訪問は就職活動途中から損害保険会社を見始めた学生にとっても申し込みやすいものとなっており、総じて良くも悪くも平等な選考を行っていると感じます。最後に基本的には3メガ損保は併願される傾向にありますが、最終的に就職先を選ぶという観点では、ぜひ自分の色に合う会社を選んでほしいと思います。ここまで記載した内容に筆者自身の主観も含まれてはおりますが、上記の記事が読者の就職先を選ぶことに寄与することになれば幸いです。参考:東京海上日動火災保険の企業研究損保ジャパンの企業研究三井住友海上の企業研究→これらのページから各企業のインターン・本選考のESやテクニック記事をご覧になれます。また、動画を通じて損保業界を知りたいという方は下記の動画も参考にしてもらえればと思います。保険業界の情報収集に役立つ!就活生向けLINEオープンチャットを紹介unistyleでは業界別の就活用LINEオープンチャットを運営しており、数多くの就活生が匿名で就活に関する情報交換をしています。実際に保険業界志望者向けのグループでも、各社の選考に関するトークが活発に交わされています。下記の画像をクリックすることで参加用ページに飛び、ニックネームとプロフィール画像を登録するだけで参加することができますので、興味のある方はぜひご参加ください。また以下では、3メガ損保それぞれの内定者の回答を紹介いたします。損保ジャパン内定者の回答「損保ジャパンで実現したいことを教えてください。(200文字以内)」日本企業のグローバル展開力向上のために、彼らの「挑戦」に寄り添い共に戦う一番のパートナーになりたいと思います。保険の枠に留まらず、未開拓領域に誰よりも早く飛び込むチャレンジで、会社に新しい柱を構築したいです。また加速する技術革新をチャンスにすべく「挑戦」しようとする多くの日本企業が、「もしも」を恐れず進むことができるよう、保険という武器を持って支えていきたいと思います。三井住友海上内定者の回答「困難に向き合い、乗り越え、実現してきた経験を教えてください。(300字以内)」私は映像授業の予備校スタッフとして受験生30名の大学合格に貢献しました。スタッフの役割は主に生徒の質問対応ですが、大きな課題がありました。私以外のスタッフ6名は積極的に質問に来る生徒の指導は熱心な反面、消極的な生徒には指導があまり施されていませんでした。彼らの成績は概して芳しくなく、授業の受講率と相関関係がありました。そこで受講率を上げ、設定した勉強のペースを守らせる事が成績向上に不可欠と考え、一週間ごとに受講状況をエクセルで管理する手法を導入しました。他のスタッフ全員と共有し、併せて生徒への動機づけも行いました。結果、受講率を15%底上げすることができ、上記の結果を収めることに繋がりました。東京海上日動火災保険内定者の回答「学生時代の取り組みの中で感じた課題や問題、および感じたきっかけ・背景について教えてください。また、その後どのような行動を取ったのかについても教えてください。」立ち上げ当初、主体的に活動に参加する人が少なく、参加率が3割程度に留まっていたことです。その背景としては、考え方の異なる現地学生と意見を一致させることが難しかったことや、メンバー各人のモチベーションがバラバラだったことがありました。そこで私は、全員が主体的に参加できる環境作りのため、2つの改善策に取り組みました。1つ目は各メンバーとの面談です。各々の置かれている状況や考え方を丁寧に聞き取り、忙しい部活組には短時間で済むビラ配りを依頼するなど、各々の要望や生活に合った仕事を依頼しました。2つ目はチームでの目標の共有です。本番で100名を動員するという具体的な目標を立て、常日頃のメールのやり取りや会議でも目標の確認を確実に行いました。その結果、参加率は3割→8割に伸び、本番では目標を達成することができました。この経験から、「行動に裏打ちされた熱意は人を動かす力がある」と学びました。東京海上日動火災保険【内定】エントリーシート(グローバル職)より 148,140 views

現在ES掲載数

77,808

すべて見れる

上に戻る

会員登録・ログインして全てのコンテンツを見る

無料会員登録