KDDIの志望動機対策|事業内容の理解なくしてES通過なし
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最終更新日:2024年05月17日
unistyleでも以下にあるように複数の関連記事で紹介されている国内通信キャリア大手のKDDI。
「J:COM」をはじめとした固定通信市場にも力を入れている点・それらとメインの事業であるモバイル通信事業を組み合わせて幅広い提案ができる点など、同業の中でも差別化を図っており、その点を魅力に感じ志望している方も多いかと思われます。
そんな施策のかいもあってか、2016年度の通期決算では過去最高益を更新するなど近年の業績自体も順調なようです。最近ではノキアソリューションズ&ネットワークスと共同して5Gシステムの実証実験を行うなど、我々の生活にも影響を与えるようなニュースも耳にするようになりました。
このように商品についてはイメージがわきやすいKDDIではありますが、志望理由としてはどのような内容が適切と言えるのでしょうか?事業内容から考察し、実際のESを見てどのような内容が書かれているか見ていきましょう。
参考:KDDIの求める人材や内定者ES・面接設問についてはunistyle上に記事がありますのでそちらも併せて御覧ください。
KDDIの事業・選考・社風・内定者と自己PRと志望動機解説【unistyle企業研究】
KDDIの面接過去問リスト26選
KDDIのESと採用HPから見るKDDIの求める人材
KDDIのビジネスモデル
先述の通り、KDDIでは事業領域が多岐にわたることから、紹介されている事例もバラエティーに富んだ内容になっています。
近年、スマートフォンの端末販売は市場全体として頭打ちの傾向があり、大手3社からMVNOの乗り換えが進んでいる傾向にあります。そんな状況の中でも最高益を更新している一因としては、MVNO事業への進出といった新規事業への進出で成功を遂げている点が挙げられます。大きな施策を打たなくても一定の収入を確保できるビジネスである既存の移動通信事業に固執することなく、社会の状況に応じて新規事業を開拓していく環境がKDDIにはあると言うことができるでしょう。
メインとなる通信キャリア事業では、利用者への端末販売・通信料支払いにより収入を得るというビジネスモデルになっており、この点に関してはNTTドコモ・ソフトバンクといったキャリア他社と比較しても大きな違いはありません。まずはその通信キャリア事業について事例を見ていきましょう。
従来の携帯電話は、運用に専用システムが必要であるなどコスト効率に課題があった。また、一人で約60店舗を担当する営業統括マネージャーは、携帯電話とパソコン、データ通信端末の3台体制であったため、外出先でのメール確認や、各店舗の運営状況に関する情報にアクセスするにはパソコンを立ち上げなくてはならず、業務の負担になっていた。
(中略)
本社役員など約400名が利用していた従来の携帯電話をKDDIのスマートフォンに切り替えたことで、専用の運用システムが不要になりコストも管理負担も大幅に軽減できた。営業統括マネージャーは、スマートフォンのテザリング機能の活用でスマートフォンとパソコンの2台体制に移行。移動中にスマートフォンでメール送受信や本社からの連絡事項確認、各店舗の稼働状況の閲覧が可能となり、劇的に業務効率が向上した。
さらに『KODO』アプリケーションでお客さまの声をリアルタイムに店舗指導に生かすことも可能になった。営業統括マネージャーである西村氏は「従来、店舗巡回後に自宅やオフィスで行っていた事務業務も移動中にできるようになり、生産性が大幅に向上した」と導入効果を語る。また、KDDIを選んだ理由について、通信デバイスなどの管理を担う藤原マネージャーは「サービスやサポートについての柔軟な対応力が決め手になった」と説明する。
参考:日本マクドナルド株式会社様 導入事例
こちらは大手企業である日本マクドナルドに対して、店舗運営のシステム面の非効率的な状況を改善するためにKDDIのスマートフォンを導入した事例について紹介されています。
「KDDIのESと採用HPから見るKDDIの求める人材」にも書かれているように、KDDIは総合通信サービス事業者として扱える商材の種類がとても多いため、営業担当はしっかりと顧客が求めるサービスが何であるかを見極めることが求められます。
実際、引用の最後に「サービスやサポートについての柔軟な対応力が決め手になった」と述べられていることからも、自社が持つソリューション技術をどう活用し・どう顧客に対してアプローチしていくべきなのか。相手のニーズを的確に先読みしつつ、課題解決のために働きかけていく必要があると言えるでしょう。
続いて、海外での事例について見ていきます。
KDDIは、日本国内で培った携帯電話、固定通信、インターネットなどの通信サービス全般の事業経験とノウハウ、信頼の技術力をもとに、新興国をはじめとする海外のお客さまへの取り組みを積極的に進めています。2014年には、住友商事、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体 (MPT) との共同事業により、ミャンマー通信事業に参入し、成長著しいミャンマーのNo.1総合通信事業者としてネットワークの拡大・品質向上に取り組んでいます。
また、1995年には、モンゴルのMobiCom Corporation LLCに設立当初から出資し、2016年3月に連結子会社化しました。モンゴルにおけるNo.1総合通信事業者として、お客さまに喜ばれる通信サービスを提供しています。KDDIは、今後も通話・通信品質の向上やエリアカバレッジの拡大などに取り組み、参入国の経済発展に貢献するとともに、新たな成長市場に参入することで確実な事業成長を実現していきます。
参考:海外でのコンシューマー事業への取り組み
こちらはKDDIが近年力を入れているミャンマーにおけるモバイル通信事業の参入の取り組みについて紹介された事例です。
近年、主に途上国を対象としたインフラ事業の取り組みは国策として政府も推進しており、通信インフラを担うKDDIも以下の国交省の方針に近い形で海外展開を進めています。モバイル通信だけでなく、多彩な事業領域を持っているKDDIでは、その分ミャンマーのような途上国に対して提案できる可能性は大きいと言えるでしょう。
「KDDIのESと採用HPから見るKDDIの求める人材」の冒頭で述べたベトナム2番手の通信キャリアとの提携からも、KDDIの途上国の発展に寄与するような取り組みを伺うことができます。
以上よりKDDIの志望動機を考えてみると
・新たに事業や仕組みを生み出す仕事がしたい
・相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい
・途上国の発展に貢献したい
上記のような軸がKDDIの志望動機を構築するうえで適切であると導けるでしょう。
KDDIのES通過者の志望動機解説
設問:KDDIでやりたいこと・実現したいことを教えてください。
私は、まずコンシューマ営業部で働き、代理店に出来る工夫や施策は何かを考え実行していく中で、「相手目線に立った細やかな営業活動が出来る能力」を身に付けたい。お客様目線から物事を考える事は、最良のサービスを提供する上で重要であると考えているからだ。
その後、ソリューション営業部で働き、これまでに培った営業ノウハウと御社が提供出来る様々な分野の商材を用いて、お客様の課題解決をしていきたい。ここでは、最もお客様に近く、様々な役職の方や社内の様々な部門の方々と関われる機会があり、自己成長に繋がって行くはずだ。これらの経験を活かし、最終的には今までに無い新しいビジネスをお客さまと一緒に提供する事が目標だ。
参考:エントリーシート(総合職)
この年度の志望動機は「やりたいこと・実現したいこと」ということで、「内定レベルの志望動機が10分で書けるフレームワーク」では⑤取り組みたい仕事を中心に問われていたようです。
こちらの書類通過者は「相手目線に立った細やかな営業活動が出来る能力を身に付けたい」という思いからKDDIを志望しているようです。幅広い事業や自社の技術から最適な解決策を考えそれを実行するという点から先述の軸のうち「相手のニーズを把握し、自らの提案で解決する仕事がしたい」というアプローチから書かれている志望動機であると言うことができます。具体的なキャリプランが描けていて実際に働くイメージがつかめていること・その内容が「お客様に近い」という理由付けから実現したいことと整合性が取れていることが評価できます。
一点、「相手目線に立つ」ことは確かにニーズの引き出しにおいて重要ではありますが、以下の記事にあるようにそれだけでは評価されない可能性が考えられます。ある意味多くの就活生が述べるありがちな内容とも言えますので、それを実現するための方法論などにまで面接に向けて自分なりに深掘りを加えていく必要はあるでしょう。
参考:「相手の立場になって考える」だけのアピールは面接官に評価されにくい事実
→一例として参考記事筆者が「相手思考」をどのように評価のされていたのかということと実際の集団面接で「他人の立場になって考える」ことを秀逸にアピールしていた内定者事例を提示します。
続いて、もう一人の志望動機を見ていきましょう。
設問:KDDIで実現したいことを自身の今後のキャリアパスを踏まえて、お書きください。
私は貴社にて、誰もが情報を楽しめる世界を実現したい。日本とは異なり、通信インフラが整っていない国が世界には存在する。しかし通信工学を専攻している私には、先代の方々が幸福のために生み出した通信技術を、そのような地域でも享受して欲しいという思いがある。
そこで私は、貴社の移動通信と固定通信を築き上げてきたノウハウを活かし、金銭的に貧しい国でも、最小限のコストで最大限の満足が得られるサービス開発を行っていきたい。そのためには、貴社のジェネラリストとしてのキャリアパスを通じて、さまざまなユーザの潜在的欲求を見極める力を身に付け、より満足度の高いサービスを提供できるよう成長していく必要があると感じている。
参考:【内定】エントリーシート(総合職)
やや質問の言い回しが変更されていますが、基本的には書くべき内容は変わりません。
こちらの内定者は「誰もが情報を楽しめる世界を実現したい」という成し遂げたいことを実現することが大枠としての志望動機のようです。そのために、通信インフラが十分に整備されていない国に対して通信技術を提供することを取り組みたい仕事として挙げています。
先述の通り、近年KDDIはミャンマーを始めとして途上国の通信インフラ整備に力を入れており、「途上国の発展に貢献したい」という軸からKDDIのビジネスプランとして実現妥当性がある内容に仕上げている点が評価できます。その理由として自身の専攻内容と結びつけることもできています。途上国への貢献の仕方が複数ある中で、なぜ「情報」というアプローチから解決を図りたいのかについては考えておく必要があると思います。
さらに一人志望動機を見ていきましょう。
設問:KDDIで実現したいことを自身の今後のキャリアパスを踏まえて、お書きください。
御社で実現したいことは、世界で最も災害に強いネットワークを構築することです。
東日本大震災の時、私は被災地の宮城県にいました。地震直後、電気をはじめ、全てのインフラが止まりました。今を生きるのに必死で、全く未来が見えなかったのを覚えています。通信網も使えなかったため、何が起きているのか、津波が来るのか、食料は届くのか、友人がどんな状況にあるのか全く分かりませんでした。私はその時初めて、「通信」が生活になくてはならないものだと痛感しました。
私はミャンマーをはじめ、世界で通信サービスを提供されている御社で、どんな災害にも屈しない強靭な通信網を構築し、日本、ないしは世界中の人々の生活を支えたいです。
参考:【内定】エントリーシート
こちらの内定者の実現したいことは「世界で最も災害に強いネットワークを構築する」ことのようです。通信ネットワークが十分に構築されていない「途上国の発展に貢献したい」というだけでなく、国内の通信ネットワークにも貢献したいという形で述べています。そのきっかけとなる経験として東日本大震災での被災経験を挙げており、他者から見ても共感できるような経験に根付いた理由が述べられている点が評価できるでしょう。
最後に
KDDIの志望動機を考えるうえでは業界軸のアプローチも有効ではありますが、「KDDIの面接過去問リスト26選」にもあるように、「同業(特に他社通信キャリア)の中でもなぜKDDIか」という点も考えておく必要があります。今回はフレームワークでは①成し遂げたいこと②きっかけとなる経験⑤取り組みたい仕事について該当する部分を中心に考察していきましたが、面接の場では⑥同業比較まで考えておく必要があるでしょう。
「NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの事業・社風・選考比較【unistyle業界研究】」といった記事も参考に、「なぜ通信キャリアか」「なぜKDDIか」という点について納得のいく回答ができるよう準備を重ねていってください。
photo by Martin Thomas